| 【発明の名称】 |
ハイブリッド自動車の運行システム |
| 【発明者】 |
【氏名】佐々木 洋士
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| 【要約】 |
【課題】エネルギの有効利用をいっそう高めるハイブリッド自動車の運行システムを提供する。
【解決手段】エンジン2と、車輪の駆動軸4に連結されて発電機運転/電動機運転されるモータ5と、このモータ5との間で充放電を行う蓄電装置としてのバッテリ6とを有するハイブリッド自動車において、走行経路に沿った高さ情報を取得する情報取得手段と、高さ情報に基づき走行中の充放電パターンを決定するパターン決定手段とを備えた。登坂路・降坂路の直前までにバッテリ6の残充電量を準備できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンと、車輪の駆動軸に連結されて発電機運転/電動機運転されるモータと、このモータとの間で充放電を行う蓄電装置とを有するハイブリッド自動車において、走行経路に沿った高さ情報を取得する情報取得手段と、高さ情報に基づき走行中の充放電パターンを決定するパターン決定手段とを備えたことを特徴とするハイブリッド自動車の運行システム。 【請求項2】 前記パターン決定手段は、登坂開始時期までに蓄電装置の残充電量が増えるよう充電パターンを決定し、少なくとも降坂開始時期までに蓄電装置の残充電量が減るよう放電パターンを決定することを特徴とする請求項1記載のハイブリッド自動車の運行システム。 【請求項3】 前記パターン決定手段は、登坂開始時期での蓄電装置の残充電量がその後の登坂に対する最適充電量となるよう充電パターンを決定し、降坂開始時期での蓄電装置の残充電量がその後の降坂に対する最適充電量となるよう放電パターンを決定することを特徴とする請求項1又は2記載のハイブリッド自動車の運行システム。 【請求項4】 前記パターン決定手段は、エンジンを最も経済効率よく運転しつつ走行したときに登坂開始時期までに目標の充電量が回収されるよう充電パターンを決定し、蓄電装置の放電のみで走行したときに降坂開始時期までに目標の放電量が消費されるよう放電パターンを決定することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のハイブリッド自動車の運行システム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンとモータとを搭載し、その両方または一方で車輪を駆動するハイブリッド自動車に係り、特に、エネルギの有効利用をいっそう高めるハイブリッド自動車の運行システムに関するものである。 【0002】 【従来の技術】ハイブリッド自動車では、減速時の制動エネルギを回収(回生)してバッテリやキャパシタなどの蓄電装置に充電しておき、発進・加速時に蓄電装置から放電してモータを駆動することにより、エンジンの負担を軽くして低燃費化を図ることができる。その際、蓄電装置は満充電になるとそれ以上充電できないし、空になるとそれ以上放電できないから、いつでも減速或いは発進・加速に備えるために、例えば、残充電量が常時50%程度を保つようにするのが望ましい。 【0003】また、ハイブリッド自動車では、降坂時には余剰なエネルギを回収して蓄電装置に充電し、登坂時には蓄電装置から放電してモータを駆動することにより、エンジンの負担を軽くすることもできる。つまり、高低差による位置エネルギを一時的に蓄電装置に蓄積し放出していることになる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、実際の走行に際しては、その走行経路中に平坦路は少なく、登坂路や降坂路が多く含まれる。一方、減速や発進・加速は走行経路の中で随時行われる。このため、減速により制動エネルギを回収した後に、降坂を行うという運転状況や発進・加速により蓄積エネルギを放出した後に、登坂を行うという運転状況が現れるのは避けられない。制動エネルギを回収して残充電量が増加した後に降坂を行うと、位置エネルギが回収しきれないことがある。また、発進・加速により蓄積エネルギを放出して残充電量が減少した後に登坂を行うと、エンジンをバックアップすることができず、燃料消費が増大してしまうことがある。 【0005】また、これを避けるために、バッテリやキャパシタなどの蓄電装置の容量を十分大きくする必要があり、このため重量の増大、スペースの増大をきたし、燃料消費をさらに増大させるおそれがあった。 【0006】このように、実際の走行ではエネルギの有効利用が制限されてしまい、ハイブリッド自動車の利点が十分に発揮できない問題がある。 【0007】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、エネルギの有効利用をいっそう高めるハイブリッド自動車の運行システムを提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、エンジンと、車輪の駆動軸に連結されて発電機運転/電動機運転されるモータと、このモータとの間で充放電を行う蓄電装置とを有するハイブリッド自動車において、走行経路に沿った高さ情報を取得する情報取得手段と、高さ情報に基づき走行中の充放電パターンを決定するパターン決定手段とを備えたものである。 【0009】前記パターン決定手段は、登坂開始地点に到達するまでに蓄電装置の残充電量が増えるよう充電パターンを決定し、少なくとも降坂開始地点に到達するまでに蓄電装置の残充電量が減るよう放電パターンを決定してもよい。 【0010】前記パターン決定手段は、登坂開始地点に到達したときの蓄電装置の残充電量がその後の登坂に対する最適充電量となるよう充電パターンを決定し、降坂開始地点に到達したときの蓄電装置の残充電量がその後の降坂に対する最適充電量となるよう放電パターンを決定してもよい。 【0011】前記パターン決定手段は、エンジンを最も経済効率よく運転しつつ走行したときに登坂開始時期までに目標の充電量が回収されるよう充電パターンを決定し、蓄電装置の放電のみで走行したときに降坂開始時期までに目標の放電量が消費されるよう放電パターンを決定してもよい。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。 【0013】まず、図1、図2により、本発明の原理を説明する。ここではハイブリッド自動車として路線バスを例にとる。各図において、上部は、走行経路の高さ変化を示している。図の下部は、蓄電装置としてのバッテリの残充電量変化を示している。 【0014】本発明のハイブリッド自動車の運行システムを搭載した路線バス1は、平坦路が続く走行経路での走行中は、従来と同様にバッテリの残充電量が50%程度を保つように運行している。従って、バッテリの残充電量変化は50%の付近で推移する。この路線バスは、情報取得手段により走行経路に沿った高さ情報を取得しており、現在位置から登坂開始地点までの距離を逐次認識することができる。路線バスが登坂開始地点に到達する時点が登坂開始時期t2となる。そこで、路線バスは、登坂開始時期t2になる以前に、パターン決定手段により、登坂開始時期t2でのバッテリの残充電量が最適充電量(この例では100%であるが、100%とは限らず50%より高めであればよい)となるよう充電パターンを決定する。充電パターンとは、充電開始時期t1と登坂開始時期t2と最適充電量とを含むもので、充電開始時期tから登坂開始時期t2までに充電開始時期の残充電量から最適充電量まで充電する予定線を示すものである。この予定線の傾斜は、エンジンを最も経済効率よく運転をしたときに得られるエンジン出力エネルギから走行エネルギを消費しつつ余剰に取り出し可能な電力で決定される。登坂開始時期t2と最適充電量とが決まれば、予定線を時間的に溯って充電開始時期t1が決まる。 【0015】路線バス1は、充電開始時期t1になるまでは前記した平坦路走行の運行を続け、充電開始時期t1になると、充電パターンに従って充電を開始し、予定線に沿って充電を続ける。即ち、路線バスは、エンジンを最も経済効率よく運転しつつ走行し、走行によるエネルギ消費を除く余剰分を回収する。例えば、後述するパラレル式ハイブリッド自動車の場合、エンジンが車軸に繋がっているので、エンジン回転数は変えずにトルクを増大させ、その増大分で発電機の回転子を回転させて発電する。シリーズ式ハイブリッド自動車の場合、モータで消費される電力を上回る発電を行う。これにより、走行には影響を与えずに、余剰な電力をバッテリに回収することができる。 【0016】路線バス1は、登坂開始時期t2に登坂開始地点に到達する。このときまでに、目標の充電量が回収され、残充電量が最適充電量に達する。そして、路線バス1は、登坂開始と同時にバッテリから放電を開始する。登坂中、バッテリからの放電によりモータが駆動されるので、エンジンの負担が軽くなるとともに、エンジンは熱効率最大の点で運転できる。。 【0017】登坂終了後は、円滑に平坦路走行に復帰するべく、50%程度を目標に充電を行う。 【0018】図1には、従来のハイブリッド自動車によるバッテリの残充電量変化を二点鎖線で付記してある。従来のハイブリッド自動車では、登坂開始地点に到達するまで残充電量が50%程度を保っているので、登坂開始後、エンジンをバックアップすると残充電量が早期のうちに0%になってしまう。この後は、エンジンからのエネルギのみで走行するしかなくなる。ところが本発明では、登坂開始地点で残充電量が最適充電量(100%)まで増加しているので、登坂開始後、長い間、放電が続けられる。従って、エンジンを長い間バックアップすることができる。予め登坂終了地点に到達する登坂終了時期t3を見込んで、最適充電量を決定しておけば、登坂が終了するまで放電を続けてエンジンをバックアップすることができる。 【0019】このように、路線バスは、登坂に際して必要となるエネルギをエンジンに経済効率の最もよい運転をさせつつ前もって確保し、登坂路ではそのエネルギでエンジンをバックアップするので、エネルギの利用効率が高い。 【0020】図2においても、路線バス1は、現在位置から降坂開始地点までの距離を逐次認識することができる。路線バス1が降坂開始地点に到達する時点が降坂開始時期t5となる。そこで、路線バス1は、降坂開始時期t5になる以前に、パターン決定手段により、降坂開始時期t5でのバッテリの残充電量が最適充電量(この例では0%であるが、0%とは限らず50%より低めであればよい)となるよう放電パターンを決定する。放電パターンとは、放電開始時期t4と降坂開始時期t5と最適充電量とを含むもので、放電開始時期t4から降坂開始時期t5までに放電開始時期t4の残充電量から最適充電量まで放電する予定線を示すものである。この予定線の傾斜は、バッテリからの放電による駆動エネルギを付加して走行したときの放電速度で決定される。降坂開始時期t5と最適充電量とが決まれば、予定線を時間的に溯って放電開始時期t4が決まる。 【0021】路線バス1は、放電開始時期t4になるまでは平坦路走行の運行を続け、放電開始時期t4になると、放電パターンに従って放電を開始し、予定線に沿って放電を続ける。放電が続いている間、エンジンの負担が軽くなる。 【0022】路線バス1は、降坂開始時期t5に降坂開始地点に到達する。このときまでに、目標の充電量が消費され、残充電量が最適充電量に達する。そして、路線バス1は、降坂開始と同時にバッテリへの充電を開始する。これにより、降坂時の制動エネルギ或いはエンジンから得られたエネルギの余剰分が回収される。 【0023】降坂終了後は、円滑に平坦路走行に復帰するべく、50%程度を目標に放電を行う。 【0024】従来のハイブリッド自動車では、降坂開始地点に到達するまで、残充電量が50%程度を保っているので、降坂開始後、残充電量が早期のうちに100%になってしまう。この後は、エネルギを熱で放出するしかなく、無駄が生じることになる。ところが本発明では、降坂開始地点で残充電量が最適充電量(0%)まで減少しているので、降坂開始後、長い間、充電が続けられる。従って、エネルギの無駄な放出を長い間回避することができる。そして、放電開始時期t4から降坂開始時期t5までの間、エンジンの負担が軽減される。予め降坂終了地点に到達する降坂終了時期t6を見込んで、最適充電量を決定しておけば、降坂が終了するまで充電を続け、熱によるエネルギ消費を極力抑えることができる。 【0025】このように、路線バス1は、降坂路にさしかかる以前のエンジンの負担を軽減し、降坂に際して発生するエネルギの回収容量を前もって確保しているので、エネルギの利用効率が高い。 【0026】尚、図1、図2においては、充放電パターンの運行中に減速、発進、加速を含まず、予定線のとおりに充放電が行われるものとしたが、途中で予期しない減速、発進、加速が行われた場合でも、多少の変動はあるが概ね予定線に沿った充放電が行われるので、本発明は有効である。 【0027】次に、本発明の運行システムを搭載するハイブリッド自動車の動力系の構成を説明する。図3に示した構成は、パラレル式ハイブリッド自動車のものである。この構成では、エンジン2にトランスミッョン3を介して車軸4が接続され、その車軸4と一体に回転可能な回転子を有するモータ5が設けられ、このモータ5は発電機運転と電動機運転とが可能である。モータ5に接続されたバッテリ6はCPU7によって充放電が制御される。エンジンの運転もCPUによって制御される。車軸4は、ディファレンシャル8を介して車輪9に接続されている。 【0028】図4に示した構成は、シリーズ式ハイブリッド自動車のものである。この構成では、エンジン2に発電機10が連結され、その発電機10は電気的にコントローラ11を介してバッテリ6及びモータ12に接続されている。コントローラ11はCPU7の指令によって電力の流れを制御するものである。モータ12は発電機運転と電動機運転とが可能である。モータ12の回転子は、ディファレンシャル8を介して車輪に接続されている。 【0029】各方式のハイブリッド自動車において、CPU7は、走行経路に沿った高さ情報を取得する情報取得手段と、高さ情報に基づき走行中の充放電パターンを決定するパターン決定手段と、現在位置を検出する位置検出手段と、充放電パターンに従って現在位置での制御内容を実行する実行手段とを備える。 【0030】情報取得手段は、高さ情報を含んだ地図情報を格納したメモリ或いは外部記録媒体から走行経路に沿った所望地点の高さ情報を取得することができる。地図情報は、全国にわたる広域なものでもよいし、路線バスやルート配送車などでは、対象地域だけのものでもよい。高さ情報は、地図上に示された道路上の要所毎の標高値である。走行経路は、運転者が予定した経路を随時入力してもよいし、バス路線や配送ルートのような固定の経路を予め記憶してもよいし、カーナビゲーションシステムが推奨した経路であってもよい。 【0031】位置検出手段は、地上のビーコン装置やGPS衛星からの受信電波に基づくものでもよいし、車輪の回転から検知した瞬時毎の移動距離とジャイロで検知した瞬時毎の方位角とに基づくものでもよい。これらは、公知の位置検出方式であるので、説明は省略する。 【0032】パターン決定手段は、地図情報に現在位置を適用し、地図上の現在位置以降の走行経路の標高から今後の道路状況(登坂・降坂の開始地点、終了地点)を把握する。パターン決定手段は、現在のバッテリ6の残充電量を図示しない残充電量センサから読み取り、この残充電量と当該登坂・降坂に必要な最適充電量とから登坂開始地点・降坂開始地点までに行うべき充放電量を算出する。パターン決定手段は、登坂開始地点・降坂開始地点に到達する時間、即ち、登坂開始時期t2・降坂開始時期t5を算出する。この登坂開始時期t2・降坂開始時期t5から予定線を所定の傾斜で伸ばして充電開始時期t1・放電開始時期t4を決定する。このようにして決定した走行中の充放電パターンをメモリに格納する。 【0033】実行手段は、通常の平坦路走行中は、減速及び発進・加速に応じた充放電を制御し、バッテリの残充電量が50%程度を保つようにする。実行手段は、メモリに格納された充放電パターンを参照し、平坦路であっても、充電開始時期t1又は放電開始時期t4になると、バッテリ6の残充電量が充放電パターンに沿って変化するよう充放電を制御する。また、実行手段は、メモリに格納された充放電パターンを参照し、登坂開始時期t2又は降坂開始時期t5になると、エンジンをバックアップする放電又は制動エネルギによる充電を制御する。登坂路中の残充電量の変化、降坂路中の残充電量の変化も予め充放電パターンとして決定しておいてもよい。 【0034】 【発明の効果】本発明は次の如き優れた効果を発揮する。 【0035】(1)走行経路に沿った高さ情報に基づき走行中の充放電パターンを決定するので、登坂開始以前、或いは降坂開始以前に蓄電装置を最適充電量に準備しておき、エネルギを有効利用することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000170 【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年5月24日(2001.5.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068021 【弁理士】 【氏名又は名称】絹谷 信雄
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| 【公開番号】 |
特開2002−354612(P2002−354612A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月6日(2002.12.6) |
| 【出願番号】 |
特願2001−155816(P2001−155816) |
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