トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 自走車両
【発明者】 【氏名】吉田 稔

【氏名】道岡 力

【氏名】炭谷 俊弘

【氏名】栗本 隆志

【氏名】下永吉 裕親

【要約】 【課題】電動モータの回生制動により車両の運動エネルギーを回収するという面でのエネルギー効率の低下を回避させるようにしながら、車体の乗り心地を悪化させる不利を回避させることが可能となる自走車両を提供する。

【解決手段】走行駆動用の電動モータ2が、アクセル操作具13が操作された状態では車体走行用の走行駆動力を出力し、ブレーキ操作具14が制動力発生状態に操作された状態ではブレーキ操作用の回生制動力を出力し、アクセル操作具13の操作が解除され且つブレーキ操作具14が操作されてはいるものの制動力発生状態には操作されていないときはブレーキ操作用の回生制動力以下であるブレーキ操作前用の回生制動力を出力し、アクセル操作具13の操作が解除され且つブレーキ操作具14が操作されない状態では、ブレーキ操作前用の回生制動力よりも小さいアクセル解除状態用の回生制動力を出力する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行駆動用の電動モータと、この電動モータの作動を制御する制御手段とが備えられ、その制御手段が、アクセル操作具が操作された状態では、車体走行用の走行駆動力を出力するように前記電動モータの作動を制御し、且つ、機械的な制動力を発生する機械式制動手段を作動させるためのブレーキ操作具が制動力発生状態に操作された状態では、ブレーキ操作に対応するブレーキ操作用の回生制動力を出力するように前記電動モータの作動を制御するよう構成されている自走車両であって、前記制御手段が、前記アクセル操作具の操作が解除され、且つ、前記ブレーキ操作具が、操作されてはいるものの、前記制動力発生状態には操作されていないときには、前記ブレーキ操作用の回生制動力以下であるブレーキ操作前用の回生制動力を出力し、前記アクセル操作具の操作が解除され、且つ、前記ブレーキ操作具が操作されていない状態では、前記ブレーキ操作前用の回生制動力よりも小さいアクセル解除状態用の回生制動力を出力するように、前記電動モータの作動を制御するよう構成されている自走車両。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行駆動用の電動モータと、この電動モータの作動を制御する制御手段とが備えられ、その制御手段が、アクセル操作具が操作された状態では、車体走行用の走行駆動力を出力するように前記電動モータの作動を制御し、且つ、機械的な制動力を発生する機械式制動手段を作動させるためのブレーキ操作具が制動力発生状態に操作された状態では、ブレーキ操作に対応するブレーキ操作用の回生制動力を出力するように前記電動モータの作動を制御するよう構成されている自走車両に関する。
【0002】
【従来の技術】上記構成の自走車両は、走行駆動用の電動モータにて全走行駆動力を出力する形式のもの、あるいは、走行駆動用の電動モータに加えて走行駆動用のエンジンを備えて、電動モータ及びエンジン夫々により走行駆動力を出力する、いわゆるハイブリッド形式のもの等があり、従来では、アクセル操作具が操作された状態では電動モータにより車体走行用の走行駆動力を出力させて走行駆動するように構成され、ブレーキ操作具が制動力発生状態に操作された状態では、そのブレーキ操作にて機械式制動手段により機械的な制動力を発生して車体を制動させるとともに、電動モータによりブレーキ操作用の回生制動力を出力させる構成となっていた(以下、第1の従来技術という)。このように、電動モータにより回生制動力を出力させることによって車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収するようにしている。
【0003】尚、前記機械式制動手段としては、ブレーキ操作具の操作に伴って油圧操作力を発生させ、その油圧操作力により機械的な制動力を発生する油圧操作式の制動機構を用いるのが一般的であり、そして、電動モータによりブレーキ操作用の回生制動力を出力させるための具体構成としては、油圧力検出手段にて前記油圧操作力が発生したことが検出されると、ブレーキ操作具が制動力発生状態に操作された状態であるとして、ブレーキ操作用の回生制動力を出力させるように電動モータの作動を制御するよう構成したものがあった。
【0004】ところで、上記したような第1の従来技術の構成においては、例えば、アクセル操作具が操作されて走行駆動力を出力している状態からアクセル操作具の操作が解除され、その後、ブレーキ操作具の操作が行われるような場合に、アクセル操作具の操作が解除されてから、ブレーキ操作具が制動力発生状態に操作されてブレーキ操作用の回生制動力が出力されるまでの間においては、回生制動によるエネルギーの回収を行えるにもかかわらず回生制動が行われないものとなっており、車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収するという面ではそれだけエネルギー効率の低下を招くという不利な面があった。
【0005】尚、ブレーキ操作具は、非操作状態から制動力発生状態に操作されるまでの間、つまり、その操作開始位置から前記油圧操作力が発生する制動開始位置に至るまでの間に、操作融通(遊び)が設けられることになるが、油圧力検出手段にて前記油圧操作力が発生したことが検出されると、ブレーキ操作具が制動力発生状態に操作された状態であるとして、ブレーキ操作用の回生制動力を出力させるように電動モータの作動を制御する構成の場合には、アクセル操作具の操作が解除されてブレーキ操作具の操作が開始されるまでの間、並びに、ブレーキ操作具の操作が開始されてから前記油圧操作力が発生するまでの間においても回生制動力が出力されないものとなる。
【0006】そこで、このような不利を回避するための構成として、次のような構成が考えられる。すなわち、アクセル操作具が操作されて電動モータが走行駆動力を出力している状態から、アクセル操作具の操作が解除された場合に、電動モータにより、上記したようなブレーキ操作に対応するブレーキ操作用の回生制動力と同じような大きさの回生制動力を直ちに発生させる構成である(以下、第2の従来技術という)。尚、アクセル操作具の操作が解除されたときに電動モータに回生制動力を発生させる構成の具体例としては、例えば、特開平10−271607号公報に示されるように、エンジンブレーキ力に相当する回生制動力を出力するように電動モータの作動を制御するよう構成したものがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記第2の従来技術においては、アクセル操作具の操作が解除されたときに、電動モータにより回生制動力を出力させるので、第1の従来技術のように、車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収する場合におけるエネルギー効率の低下を招くという不利を回避することは可能である。
【0008】ところで、前記ブレーキ操作用の回生制動力としては、上記したような車両の運動エネルギーを回収するという面でのエネルギー効率を向上させるためにはできるだけ大きい値に設定した方がよいが、上記第2の従来技術のように、アクセル操作具の操作を解除したときに直ちに前記ブレーキ操作用の回生制動力と同じような大きさの回生制動力を出力させる構成とした場合において、ブレーキ操作用の回生制動力を大きな値に設定すると、アクセル操作具の操作を解除すると同時に大きな回生制動力が発生してそのような大きな回生制動力に起因して車体のショックが大きくなり、運転者に違和感を与えて乗り心地を悪化させてしまうおそれがある。
【0009】このように、上記第2の従来技術では、アクセル操作具の操作を解除したときに直ちに前記ブレーキ操作用の回生制動力と同じような大きさの回生制動力を出力させる構成であることから、上記したようなエネルギー効率を向上させることと、アクセル操作具の操作が解除されたときに生じる車体のショックを極力小さくして車体の乗り心地が悪化する不利を回避させることを共に満足させることは難しいものであった。
【0010】尚、上記したようなアクセル操作具の操作が解除されたときに生じる車体のショックを小さくするためには、前記ブレーキ操作用の回生制動力を予め小さい値に設定しておくことで対応できるが、その場合には、電動モータの回生制動により車両の運動エネルギーを回収するという面でのエネルギー効率が低下することになる。特に、回生制動力に応じて機械式の制動力を制御する、いわゆる回生協調ブレーキ制御を行わないものにおいては、回生制動力を大きくできないため、エネルギー効率が更に低下することになる。
【0011】本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、電動モータの回生制動により車両の運動エネルギーを回収するという面でのエネルギー効率を向上させるようにしながら、車体の乗り心地を悪化させる不利を回避させることが可能となる自走車両を提供する点にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1によれば、走行駆動用の電動モータと、この電動モータの作動を制御する制御手段とが備えられ、その制御手段が、アクセル操作具が操作された状態では、車体走行用の走行駆動力を出力するように前記電動モータの作動を制御し、且つ、機械的な制動力を発生する機械式制動手段を作動させるためのブレーキ操作具が制動力発生状態に操作された状態では、ブレーキ操作に対応するブレーキ操作用の回生制動力を出力するように前記電動モータの作動を制御するよう構成されている自走車両において、前記制御手段が、前記アクセル操作具の操作が解除され、且つ、前記ブレーキ操作具が、操作されてはいるものの、前記制動力発生状態には操作されていないときには、前記ブレーキ操作用の回生制動力以下であるブレーキ操作前用の回生制動力を出力し、前記アクセル操作具の操作が解除され、且つ、前記ブレーキ操作具が操作されていない状態では、前記ブレーキ操作前用の回生制動力よりも小さいアクセル解除状態用の回生制動力を出力するように、前記電動モータの作動を制御するよう構成されていることを特徴とする。
【0013】つまり、運転者がアクセル操作具を操作して電動モータが車体走行用の走行駆動力を出力しながら車体を走行させている状態から、運転者がアクセル操作具の操作を解除すると、ブレーキ操作具の操作が未だ行われていない状態においては、電動モータが、前記ブレーキ操作前用の回生制動力よりも小さいアクセル解除状態用の回生制動力を出力する。又、ブレーキ操作具が操作されてはいるものの制動力発生状態には操作されていないとき、例えば、ブレーキ操作具が操作融通(遊び)の操作域にあるときにおいては、電動モータが前記ブレーキ操作前用の回生制動力を出力する。更に、ブレーキ操作具が制動力発生状態に操作された状態では、電動モータがブレーキ操作用の回生制動力を出力する。
【0014】このように、アクセル操作具の操作が解除されてブレーキ操作具の操作が開始されるまでの間、並びに、ブレーキ操作具の操作が開始されてから制動力発生状態に操作されるまでの間においても回生制動力が出力されることになり、車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収することが可能な状況においては、電動モータの回生制動により車両の運動エネルギーを的確に回収することができる。しかも、アクセル操作具の操作が解除されたときに発生するアクセル解除状態用の回生制動力は、ブレーキ操作具が操作されたときに発生する前記ブレーキ操作前用の回生制動力よりも小さい値に設定されているので、上記第2の従来技術のようにアクセル操作具の操作の解除と同時に直ちにブレーキ操作用の回生制動力と同じような大きな回生制動力が加わることがなく、車体のショックを極力小さくして車体の乗り心地が悪化する不利を回避させることが可能となる。又、制動力発生状態にはなっていないが、運転者が車体制動の意思を表すブレーキ操作が行われた状態、例えば、ブレーキ操作具が操作融通(遊び)の操作域にあるときにおいては、アクセル解除状態用の回生制動力よりも大きいブレーキ操作前用の回生制動力を出力するので、この状態においても小さいアクセル解除状態用の回生制動力を出力するものに比べて、電動モータの回生制動により車両の運動エネルギーを回収するときのエネルギー効率をそれだけ向上させることが可能であり、このブレーキ操作が行われたときには、運転者が車体制動の意思を表す状態であるから、大きめの回生制動力が発生しても、車体のショックにより運転者が違和感を感じて乗り心地を悪化させるおそれは少ない。
【0015】従って、電動モータの回生制動により車両の運動エネルギーを回収するという面でのエネルギー効率を向上させるようにしながら、車体の乗り心地を悪化させる不利を回避させることが可能となる自走車両を提供できるに至った。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る自走車両の一例としてのハイブリッド車両について図面に基づいて説明する。図1に示すように、本発明に係るハイブリッド車両が示されている。このハイブリッド車両は、走行駆動用のエンジン1、及び、このエンジン1の出力軸に直結された走行駆動用の電動モータ2を備えて、これらの動力により走行装置としての左右の車輪3を駆動して走行するように駆動ユニットKUが構成されている。つまり、前記電動モータ2は、エンジン1の出力軸にロータ2aが同一軸芯で一体回動するように連結され、そのロータ2aの外周部を囲うステータ2bが位置固定状態で図示しない外部支持部に支持される構成となっており、この電動モータ2は、エンジン1にて回転駆動される出力軸1aに対してその回転方向と同一方向に回転トルクを出力させることで、エンジン1の出力に対する動力の補助を行うとともに、エンジン1の出力に余裕があるときは回生制動力を出力してその結果得られた回生電力をバッテリー4に充電することができる構成となっている。前記駆動ユニットKUの動力は、走行クラッチ5を介してトランスミッション6に伝えられ、このトランスミッション6内部の図示しない変速機構により変速された後に差動機構7を介して左右の車輪3に伝えられる構成となっている。
【0017】次に、このハイブリッド車両における走行駆動用の制御構成について説明する。図2にも示すように、車両全体の動作を統括して管理する車両制御部8、この車両制御部8からの制御情報に基づいて前記電動モータ2の動作を制御するモータ制御部9、車両制御部8からの制御情報に基づいて前記エンジン1の出力、具体的には、電子スロットル弁10のスロットル開度及びインジェクタ11による燃料噴射量を自動調節するエンジン制御部12夫々が備えられ、アクセル操作具13の操作量を検出するポテンショメータ式のアクセル操作量検出センサS1、ブレーキ操作具14が踏み込み操作されているか否かを検出するスイッチ式のブレーキ操作検出センサS2、電動モータ2の回転軸の回転速度を検出する回転速度センサS3、及び、車輪3の車軸の回転速度に基づいて車速を検出する車速センサS4等による各種の検出情報が車両制御部8に入力される構成となっている。前記電動モータ2並びに前記各制御部に対する駆動電力はバッテリー4から供給され、このバッテリー4は後述するように電動モータ2からの発電電力によって充電される構成となっている。
【0018】そして、前記車両制御部8が、アクセル操作具13の操作量の情報、車速センサS4による検出情報等の走行用の駆動力調整情報に基づいて、エンジン1及び電動モータ2の作動を制御するようになっている。又、アクセル操作具13の操作が解除され、ブレーキ操作具14が操作されると、ブレーキ操作に対応するブレーキ操作用の回生制動力を出力するように前記電動モータ2の作動を制御するよう構成されている。このとき、電動モータ2は発電機として機能し、発電した電力はバッテリー4に充電される構成となっている。このような状況としては、例えば、平坦な走行面を走行しているときに一定速度で走行するような場合や走行中に下りの坂道等において走行に必要な要求駆動力が小さくなったような場合、及び、走行クラッチ5を切り操作して車体の走行を停止させているような場合等がある。走行停止中は走行駆動力は不要であるから、走行クラッチ5を切り操作した状態でエンジン1の動力をすべて回生制動による発電に利用することができる。
【0019】前記ブレーキ操作具14により機械式制動手段KSを作動させて機械的な制動力を発生させるための構成について説明を加えると、運転者の足踏み操作にてブレーキ操作具14が操作されると、その足踏み操作力に対応させて制動用の油圧操作力を発生させる周知構成のマスターシリンダ15が備えられ、このマスターシリンダ15から作動油供給路15aを通して出力される油圧操作力にて前記車輪3の近傍に設けられた摩擦式の制動装置16を作動させて車体を制動させる構成となっている。このような機械式制動手段KSは、ブレーキ操作具14に対する運転者の操作力が大きくなるほど、その油圧操作力、すなわち、機械的な制動力が大となるように変更調節自在に構成されている。そして、前記マスターシリンダ15にて発生する油圧操作力、すなわち、マスターシリンダ15内の液圧の大きさを検出する液圧検出センサS5が備えられており、この液圧検出センサS5の検出情報も車両制御部8に入力される構成となっている。
【0020】従って、上述したような駆動ユニットKUに対する走行駆動力の調整処理によって車両の運転が管理されることになり、車両制御部8、モータ制御部9、エンジン制御部12の夫々により、車両の運転を管理する制御手段Hが構成され、この制御手段が、アクセル操作具13が操作された状態では、車体走行用の走行駆動力を出力するように電動モータ2の作動を制御し、且つ、ブレーキ操作具14が操作された状態では、ブレーキ操作に対応するブレーキ操作用の回生制動力を出力するように電動モータ2の作動を制御するよう構成されている。更に、この制御手段Hは、アクセル操作具13の操作が解除され、且つ、ブレーキ操作具14の操作が行われていない状態では、ブレーキ操作用の回生制動力よりも小さいアクセル解除状態用の回生制動力を出力するように、電動モータ2の作動を制御するよう構成されている。
【0021】次に、制御手段Hによるエンジン1、電動モータ2を制御するときの処理について具体的に説明する。
【0022】先ず、ブレーキ操作具14が操作されず、アクセル操作具13が操作されている状態について説明する。制御手段Hは、ブレーキ操作検出センサS2の検出情報に基づいてブレーキ操作具14が操作されていない状態で、アクセル操作量検出センサS1の検出情報に基づいて、アクセル操作具13が操作されていることが判別されると、そのアクセル操作量検出センサS1の検出情報に基づいて判断されるアクセル操作具13の操作量の情報、車速センサS4による検出情報等の走行用の駆動力調整情報に基づいて、電動モータ2がエンジン1の出力に対して補助するように駆動制御する。
【0023】次に、アクセル操作具13が操作されず、ブレーキ操作具14が操作されている状態について説明する。運転者によりブレーキ操作具14が操作されると、制御手段Hによる制御動作とは無関係に、その操作力が増大するに伴って大きくなるように機械式制動手段KSにより機械的な制動力が発生する。そして、制御手段Hは、アクセル操作量検出センサS1の検出情報に基づいて、アクセル操作具13が操作されていないことが判別され、ブレーキ操作検出センサS2の検出情報に基づいてブレーキ操作具14が操作されていることが判別されると、例えば、図3に示すように予め設定された特性に基づいて、液圧検出センサS5にて検出されるマスターシリンダ15内のブレーキ液圧、つまり、マスターシリンダ15にて発生する油圧操作力の大きさが大きいほど大となるように、前記ブレーキ操作用の回生制動力を求めて、その求めた回生制動力を出力するように電動モータ2の作動を制御するのである。
【0024】図3は、ブレーキ操作具14が操作されている状態でのブレーキ液圧に対する回生制動力の変化特性を示しており、ブレーキ液圧がゼロであっても、ブレーキ操作具14が操作されていれば所定の大きさの回生制動力が発生するようになっており、要するに、ブレーキ操作具14が操作されている状態では、所定の大きさよりも大きい回生制動力が発生するものとなる。このような回生制動力がブレーキ操作に対応するブレーキ操作用の回生制動力に対応する。
【0025】次に、図4を参照しながら、ブレーキ操作具14の操作が行われていない状態でアクセル操作具13の操作が解除されたとき、及び、その後、ブレーキ操作具14が操作されたときの状態について説明する。図4には、アクセル操作具13が操作されている車体走行状態から例えばブレーキ操作にて車体を停止させるような場合における制御動作のタイムチャートが示されている。
【0026】制御手段Hは、ブレーキ操作検出センサS2の検出情報に基づいて、ブレーキ操作具14が操作されていないこと(オフ状態)が判別されているときに、アクセル操作量検出センサS1の検出情報に基づいてアクセル操作具13が操作されている状態(オン状態)から操作されていない状態(オフ状態)に変化したことが判別されると、例えば、図4の時刻t1に示すように、小さめのアクセル解除状態用の回生制動力P1を出力するように電動モータ2の作動を制御する。
【0027】その後、ブレーキ操作検出センサS2の検出情報に基づいて、ブレーキ操作具14が操作されていない状態(オフ状態)から操作されている状態(オン状態)に変化したことが判別されると、図4の時刻t2に示すように、前記アクセル解除状態用の回生制動力P1よりも大きいブレーキ操作前用の回生制動力P2を出力するように、電動モータ2の作動を制御する。このブレーキ操作前用の回生制動力P2は、前記ブレーキ操作用の回生制動力以下となる値に設定されるものであり、この実施形態では、図3に示す特性において、ブレーキ液圧がゼロで、且つ、ブレーキ操作具14が操作されているときのブレーキ操作用の回生制動力と同じ値に対応することになる。尚、図3、図4のPmは回生制動力の最大値を示している。
【0028】ブレーキ操作具14の操作が開始されてから少し時間遅れの後に、図4の時刻t3に示すように、機械式制動手段KSにて機械的な制動力が生じて、液圧検出センサS5にてブレーキ液圧が検出され始めると、その後は、図3に示す特性に従って、ブレーキ液圧が大きいほど大となるようにブレーキ操作用の回生制動力を求めて、その求めた回生制動力を出力するように電動モータ2の作動を制御することになる。尚、図4では、動作を理解し易くするために、ブレーキ液圧が時間の経過と共に最大値に至るまで徐々に増加している状態を示している。
【0029】〔別実施形態〕以下、別実施形態を列記する。
【0030】(1)上記実施形態では、機械的な制動力を発生する機械式制動手段KSとして、運転者のブレーキ操作具に対する操作力に対応させて制動用の油圧操作力を発生させるマスターシリンダが備えられ、このマスターシリンダから出力される油圧操作力にて前記車輪の近傍に設けられた摩擦式の制動装置を作動させて車体を制動させる構成を例示したが、このような構成に限らず、次のように構成するものでもよい。例えば、電磁アクチュエータを用いて電子制御することで制動力を変更調節制御が可能な電子制御式の制動手段を用いて、ブレーキ操作具の操作量や操作圧をセンサにて検出して、その検出情報に基づいて、操作量が大きいほど大きい制動力を出力するように電磁アクチュエータを制御する構成としてもよい。
【0031】(2)上記実施形態では、前記ブレーキ操作具の操作が行われた状態では、そのブレーキ操作具の制動力増減のための操作状態に基づいて求められるブレーキ液圧が大きいほど大となるようにブレーキ操作用の回生制動力を求めて、その求めた回生制動力を出力するように電動モータの作動を制御する構成を例示したが、このような構成に限らず、ブレーキ操作具の操作が行われた状態では、ブレーキ操作具の操作状態、つまり、操作量や操作圧にかかわらず、常に一定のブレーキ操作用の回生制動力を出力するように電動モータの作動を制御する構成としてもよい。具体的に説明すると、例えば、図5に示すように、ブレーキ操作具の操作が開始された後は常に一定のブレーキ操作用の回生制動力を出力する構成である。
【0032】(3)上記実施形態では、前記ブレーキ操作前用の回生制動力として、ブレーキ操作用の回生制動力(液圧に応じて変化する実施形態では液圧がゼロのときの値)と同じ値になるように設定するものを例示したが、このような構成に限らず、アクセル解除状態用の回生制動力より大きく、ブレーキ操作用の回生制動力よりも小さい値、すなわち、それらの値の中間的な値に設定するものであってもよい。
【0033】(4)上記実施形態では、ブレーキ操作具の操作が行われたことをスイッチ式のブレーキ操作検出センサにて検出し、操作力の大きさを液圧検出センサにて検出する構成としたが、このような構成に代えて、例えば、ブレーキ操作具を弾性的に復帰付勢する構成として、その操作量を検出する一つのポテンショメータ式の操作量センサにて、ブレーキ操作具の操作が行われたか否かの検出と操作量(操作圧)の検出とを両方行えるようにしてもよい。
【0034】(5)上記実施形態では、走行駆動用のエンジンの出力軸と走行駆動用の電動モータとを直結する構成のハイブリッド車両を例示したが、このような構成に限らず、例えば、バッテリー充電用の発電機を別途備えて、エンジン、電動モータ、及び、発電機が夫々、遊星歯車機構を介して連結されて、エンジン及び電動モータの夫々により走行用駆動力を出力するような構成のいわゆるパラレル方式のハイブリッド車両や、エンジンにて発電機を駆動してバッテリーを充電し、バッテリーの電力にて電動モータを駆動して電動モータだけで走行用駆動力を出力するシリーズ方式のハイブリッド車両に適用してもよい。又、本発明は、このようなハイブリッド車両に限らず、電動モータだけで走行用駆動力を出力する電動車両にも適用できる。
【出願人】 【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
【出願日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2002−345107(P2002−345107A)
【公開日】 平成14年11月29日(2002.11.29)
【出願番号】 特願2001−148824(P2001−148824)