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【発明の名称】 誘導性負荷の駆動回路
【発明者】 【氏名】延原 以清

【要約】 【課題】リレー等の誘導性負荷の異常判定の誤りを低減する。

【解決手段】インバータ部230から高周波ノイズが、高圧系電源ラインと、SMR(システム・メイン・リレー)2への負荷配線250との間の静電結合等を介して、負荷配線250・グラウンド間の浮遊容量255に誘導される。誘導された高周波ノイズは、消弧用の早切り回路130の検波作用により直流成分を発生させ、この直流成分が浮遊容量255とSMR2のソレノイドとの並列共振系を振動させて低周波ノイズを発生させる。この低周波ノイズがインテリジェントMOS120の負荷電圧監視用のコンパレータ126の基準電圧を超えると、SMR2の異常の誤判定を引き起こす場合がある。負荷配線250に対し、浮遊容量255と並列に低周波ノイズ低減用のコンデンサ160を接続することで、その低周波ノイズのレベルを低減し、異常誤判定を防止できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 誘導性の負荷を駆動する駆動回路であって、前記負荷の駆動終了時に前記負荷の電磁エネルギーを放出するための消弧手段を備え、前記負荷への駆動電力供給のための配線の電圧を監視して負荷異常を判定する駆動回路において、前記配線に対する当該駆動回路の出力に対し、前記負荷への前記配線に関する浮遊容量と並列に、所定の容量を接続したことを特徴とする誘導性負荷の駆動回路。
【請求項2】 前記駆動回路は、前記配線の電圧レベルが所定の許容範囲から逸脱したことをもって負荷異常と判定し、前記浮遊容量に対して並列に接続する所定の容量は、前記配線に電気的に結合されるノイズ源からの高周波ノイズを起因として、前記消弧手段、前記誘導性の負荷及び前記浮遊容量の作用によって発生される低周波ノイズのレベルが前記許容範囲以内となるように設定されている、ことを特徴とする請求項1記載の駆動回路。
【請求項3】 前記誘導性の負荷は、車両に装備されるリレー又はアクチュエータであり、前記浮遊容量は、当該車両のワイヤハーネスと車体との間に形成される浮遊容量である、請求項1又は2に記載の駆動回路。
【請求項4】 前記誘導性の負荷は、車両に装備されるリレー又はアクチュエータであり、前記ノイズ源は、当該車両に装備された大電力スイッチング回路である、請求項1又は2に記載の駆動回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車等に搭載されたリレー等の誘導性負荷を駆動する駆動回路に関し、特にその誘導性負荷の異常の判定に対するノイズの影響の低減のための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】ハイブリッド車や電気自動車等では、インバータ等のモータ駆動系とバッテリとの間の接続を開閉するためにメインリレーが用いられている。このメインリレーは、ECU(電子制御ユニット)内のリレー制御機構により開閉制御される。ここで、リレーには、オープン(不導通)異常やショート(導通)異常などの異常があり、このような異常は車両の状態に悪影響をもたらす。そこで、リレー制御機構は、オープン異常やクローズ異常を検知し、異常を検知すると異常検知信号を出力するなどして所定の異常時動作が実行されるようにしている。これらの異常の検知は、リレー制御機構からメインリレーへの駆動信号出力を監視することにより行われる。例えば、リレー制御機構が駆動指令を出していないにも拘わらず、駆動信号出力がハイ(H)レベルであった場合、オープン異常と判定される。
【0003】ここで、ハイブリッド車等には、モータ駆動のためのインバータやDC−DCコンバータ等のスイッチング回路が設けられており、これはメインリレーを介してリレー制御機構に対し、静電結合等により電気的に結合している。インバータ等には、モータ駆動のための高電圧・大電力が印加され、しかもそれがPWM制御などのために高速スイッチングされるので、かなり高レベルの、例えば10MHzなどといった高周波が発生する。この高周波は、電気的に結合されたリレー制御機構の駆動信号出力に対してノイズとして作用する。このため、従来から、その駆動信号出力と、その信号のハイ・ロー判定のための比較器との間に低域通過フィルタ成分を設けることにより、その高周波ノイズがリレー異常の判定に影響を与えないようにしている。
【0004】リレー等の誘導性負荷の制御についての高周波ノイズ対策に関するものとして、特開平8−22336号公報に示される技術がある。この文献には、自動車の電磁アクチュエータや電磁弁などの誘導性負荷を駆動する駆動装置において、電流経路のスイッチングによる高周波ノイズを除去するために、フライバック回路内にノイズ除去用のコンデンサを設ける手法が開示されている。また、特開平11−136801号公報には、電気自動車において、モータ駆動用のインバータのスイッチングノイズが、ラジオ等の補機への低圧電源線に流れ込むのを回避するために、バッテリからインバータへの高圧電源線をバッテリからシールドする手法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】リレー等の誘導性の負荷を駆動するリレー制御機構等の駆動回路では、その負荷のインダクタンスと、駆動回路からその負荷までの配線の浮遊容量などの影響により、上記高周波ノイズから低周波ノイズ(例えば数十kHz)を誘起してしまう場合がある。
【0006】ところが、上記従来技術は、いずれも高周波ノイズに対する配慮は行っているものの、それから誘起される低周波ノイズについては考慮を払っていない。例えば、上述のリレー制御機構の場合、そのような低周波ノイズは低域通過フィルタで十分減衰させることができず、リレー異常の誤判定を誘発する可能性がある。
【0007】本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、リレー等の誘導性の負荷の駆動回路において、高周波ノイズに起因する低周波ノイズによる該負荷の異常判定の誤判定を低減するための技術を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る駆動回路は、誘導性の負荷を駆動する駆動回路であって、前記負荷の駆動終了時に前記負荷の電磁エネルギーを放出するための消弧手段を備え、前記負荷への駆動電力供給のための配線の電圧を監視して負荷異常を判定する駆動回路において、前記配線に対する当該駆動回路の出力に対し、前記負荷への前記配線に関する浮遊容量と並列に、所定の容量を接続したことを特徴とする。
【0009】ここで、誘導性の負荷とは例えばリレー、アクチュエータなどである。消弧手段はその検波作用により外来の高周波ノイズから直流成分を発生させる。この直流成分が、誘導性の負荷とこれに対する配線の浮遊容量とにより構成される共振系を振動させることで低周波ノイズが発生し、これが負荷異常の誤判定の一因となる。本発明では、浮遊容量と並列に所定の容量を接続することで、負荷への配線の浮遊容量に誘導される高周波ノイズのレベルを低減し、この高周波ノイズから最終的に誘起される低周波ノイズのレベルを低減する。低周波ノイズのレベル低減により、低周波ノイズによる誤判定を防止又は低減できる。
【0010】好適な態様では、前記駆動回路は、前記配線の電圧レベルが所定の許容範囲から逸脱したことをもって負荷異常と判定し、前記浮遊容量に対して並列に接続する所定の容量は、前記配線に電気的に結合されるノイズ源からの高周波ノイズを起因として、前記消弧手段、前記誘導性の負荷及び前記浮遊容量の作用によって発生される低周波ノイズのレベルが前記許容範囲以内となるように設定される。
【0011】また、別の好適な態様では、前記誘導性の負荷は、車両に装備されるリレー又はアクチュエータであり、前記浮遊容量は、当該車両のワイヤハーネスと車体との間に形成される浮遊容量である。
【0012】また、別の好適な態様では、前記誘導性の負荷は、車両に装備されるリレー又はアクチュエータであり、前記ノイズ源は、当該車両に装備された大電力スイッチング回路である。
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0013】ハイブリッド車や電気自動車等の電源断続用のメインリレーの駆動回路において、インバータ等のスイッチング回路が発する高周波ノイズから、低周波ノイズが誘起され、それが該駆動回路におけるリレーの異常判定に影響を与えるメカニズムを、図1を参照して説明する。
【0014】図1は、このようなメインリレーの駆動回路周りの等価回路を示す図である。図において、駆動回路としてのECU(電子制御ユニット)10は、誘導性負荷20の駆動制御を行う。誘導性負荷20は、この場合、インバータ等のモータ駆動系とバッテリとの間の接続を開閉するためのメインリレーである。ECU10自体は、このような誘導性負荷20の制御の他にも様々な制御機能を実行しうるが、ここでは本発明と関連する誘導性負荷20の制御に関する構成要素のみ図示している。
【0015】ECU10において、CPU(中央演算処理装置)11は、各種制御のための処理を実行する装置であり、本実施形態との関連では、誘導性負荷20への駆動信号INの生成、及び誘導性負荷20のオープン異常やショート異常の判定やその判定に応じた異常通知信号の出力などの処理などを行う。駆動信号INは、スイッチ素子ドライブ段13のアンプで増幅され、駆動スイッチ素子15のゲートに供給される。駆動スイッチ素子15は、誘導性負荷20に対する駆動電力の供給・遮断を制御する素子であり、例えばMOS型トランジスタで構成される。駆動スイッチ素子15は、駆動信号INが例えばハイの場合にゲートを開き、電源16からの例えば12Vの駆動電流を誘導性負荷20に供給する。コンパレータ17は、駆動スイッチ素子15の出力から誘導性負荷20への配線21の電圧(電位)を所定の基準電圧(しきい値電位)と比較し、その比較結果をステータス信号STとして出力する。例えば、駆動信号INがハイで、駆動スイッチ素子15のゲートがオープンして、誘導性負荷20に対して駆動電力が供給されているときには、配線21の電圧は基準電圧よりも高くなり、ステータス信号STはハイとなる。CPU11は、このステータス信号STと、自分が行っている駆動スイッチ制御の状態(例えば駆動信号INがハイか否かなど)との整合性を検査するなどして、誘導性負荷20(例えばリレー)にオープン異常やショート異常が生じていないかどうかを判定する。フリーホイールダイオード19は、誘導性負荷20の駆動が終了した時に、それまでに誘導性負荷20に蓄積された電磁エネルギーを迅速に放出することで、リレーを素早く切り換えたり、スイッチ素子の破損等を防止したりといった機能を果たす。この機能は消弧機能とも呼ばれる。
【0016】高周波ノイズ源26は、ハイブリッド車の場合はモータ・ジェネレータの駆動制御のためのインバータ、DC−DCコンバータ等の高電圧・大電力のスイッチング回路である。この高周波ノイズ源26は、メインリレー等の誘導性負荷20と電気的に結合されている。浮遊容量22は、ECU10から誘導性負荷20への負荷配線21とグラウンド(GND)電位(ハイブリッド車の場合、車体の電位)との間に生じている浮遊容量である。
【0017】このような回路において、高周波ノイズ源26により生じた高周波ノイズから低周波ノイズが生じ、負荷異常の誤判定を招来する仕組みは以下の通りである。
【0018】まず、高周波ノイズ源26では、インバータ等のスイッチングに伴い、それらインバータ等の構成素子の浮遊容量、配線インダクタンスにより、例えば10MHz、数十Vpp(ボルト・ピーク・トゥ・ピーク)の高周波のリンギングノイズが発生する。図2(a)は、この高周波ノイズの波形の例を示す。この波形において、バーストの繰り返し周波数は10kHz程度であり、個々のバースト内のノイズが例えば10MHzの高周波となっている。
【0019】この高周波ノイズは、メインリレー(誘導性負荷20)とスイッチング回路(高周波ノイズ源)とをつなぐ高圧系電源ラインや、それらスイッチング回路内の内部配線などに誘導して重畳する。そして、高周波ノイズは、その高圧系電源ラインとメインリレーの励磁ワイヤ(すなわち配線21)との間の静電結合容量(例えば数十pF)やインバータ等の低圧系制御信号ラインとリレー例示ワイヤの静電結合容量(図1では、これらを合わせて結合容量24として示す)を介し、励磁ワイヤ・グラウンド間の浮遊容量22(例えば約500pF)に静電誘導する。この場合、ECU10が非接続状態のときに浮遊容量22に誘導されるノイズは、例えば約10MHz、10〜20Vppのバースト波である。
【0020】ECU10の出力端子が接続(スイッチ素子15が導通)されると、ECU10内のスイッチ素子15及びフリーホイールダイオード19により、その約10MHzの高周波成分が検波され、DC(直流)成分が発生する。このDC成分が、メインリレー(誘導性負荷20)のインダクタンスと浮遊容量22との並列共振系により、低周波(例えば約30kHz)の共振を引き起こす。この共振による低周波成分が配線21に重畳する。この低周波ノイズは、モータ駆動等のための高電圧・大電力のスイッチング回路からの高レベルの高周波ノイズから誘起されるので、かなり高レベルのノイズとなる。図2(b)は、リレー励磁ライン(配線21)への出力の電圧波形の例であり、これは駆動スイッチ素子15がOFF(すなわちリレーが非駆動、すなわち不導通の時)時の波形である。この図に示されるように、配線21への出力の電圧には、約10MHzのバースト性の高周波ノイズ成分と、約30kHzの低周波ノイズ成分が重畳している。図2(b)に示される3.6Vレベルの破線は、コンパレータ17の基準電圧を示している。
【0021】ECU10内では、この配線21への出力端子の電圧をコンパレータ17で監視しているが、出力端子からコンパレータ17までの間には従来より低域通過フィルタ(LPF)成分が設けられている。このため、配線21への出力の電圧に重畳した約10MHzの高周波ノイズ成分は減衰され、電圧監視には影響を及ぼさない。
【0022】これに対し、この高周波ノイズから誘起された約30kHzの低周波ノイズ成分はLPF成分ではあまり減衰されないので、レベルが基準電圧を超えてしまい、コンパレータ17が、ロー(L)レベルを出力すべきところを、ハイ(H)レベルを出力するケースが出てくる。例えば、図2の例では、リレー非駆動状態の場合なので、配線21の電圧は基準電圧より低くなっているべきであり、コンパレータ17の出力はLになっているべきである。ところが、同図(b)に示すように低周波ノイズ成分のレベルが基準電圧レベル(破線)を超えている部分があり、この部分ではコンパレータ17の出力(ステータス信号ST)がHレベルとなる(図2(c)参照)。この場合、CPU11は、ステータス信号STがLレベルであるべきところが実際にはHレベルなので、リレー(誘導性負荷20)のオープン異常と判定してしまう。このとき、実際にはリレーは非駆動状態なので、オープン異常との判定は誤判定である。
【0023】以上、高周波ノイズに誘起された低周波ノイズによる異常誤判定の発生メカニズムを説明した。このような誤判定を防止又は低減するため、本実施形態の回路では、ECU10の励磁出力のための配線21とグラウンドとの間に、配線21の浮遊容量22と並列に、十分な容量を持ったコンデンサを設ける。
【0024】例えば、このコンデンサの容量が浮遊容量22と同等以上であれば、そのコンデンサを設けない場合に浮遊容量22に流れ込んでいた電流の半分以上がそのコンデンサに流れ込み、浮遊容量22に流れ込む電流の量は半分以下となるので、浮遊容量22に誘導されるバースト性の高周波(約10MHz)ノイズの振幅が半分以下になる。
【0025】ここで、ECU10のスイッチ素子15とフリーホイールダイオード19によりその高周波ノイズが検波されることで発生するDC成分のレベルは、その高周波ノイズの振幅にほぼ比例する。また、このDC成分から、誘導性負荷20と浮遊容量22の並列共振系により発生する低周波ノイズの振幅は、そのDC成分にほぼ比例する。
【0026】したがって、浮遊容量22に並列に付加したコンデンサにより高周波ノイズの振幅が半分以下とすれば、最終的に誘起される低周波ノイズの振幅も半分以下とすることができる。例えば図2に示した例では、低周波ノイズのレベルが半減すれば、コンパレータ17の基準電圧を超えることはないので、異常の誤検出が防止される。
【0027】なお、浮遊容量22に対して並列に追加するコンデンサの容量の例として、浮遊容量22と同等以上の場合を例示したが、もちろんこれは一例に過ぎない。原理的には、誘起される低周波ノイズのレベルが、配線21への出力電圧を監視する手段(コンパレータ17)の基準電圧以下となるよう、浮遊容量22への電流を分流できるだけの容量であればよい。誤判定防止のために必要な容量は、起因となるノイズ源26の高周波ノイズのレベル、浮遊容量22の容量、コンパレータ17の基準電圧などを考慮して、また必要に応じて実験などを行うことにより、適切に定めることができる。
【0028】図3は、高周波ノイズのレベルと、これから誘起される低周波ノイズのレベルとの相関関係を示す図である。この相関関係は実験により求めたものであるが、高周波ノイズのレベルが下がると、それにほぼ比例して低周波ノイズのレベルが下がっているのが分かる。これからも、DC成分の元になる浮遊容量22に誘導された高周波ノイズ成分のレベルを下げることにより、それに応じて低周波ノイズを低減することができることが分かる。
【0029】以上説明したように、メインリレー等の誘導性負荷への負荷配線への出力に対し、その負荷配線周りの浮遊容量と並列に、低周波ノイズレベルを基準電圧以下とするのに十分な容量を接続することにより、誘導性負荷の異常判定の誤りを防止又は低減することができる。
【0030】なお、異常判定の誤り防止は、コンパレータ17の出力とCPU11との間に低域通過フィルタを設けることによっても実現可能であるが、この方式では実際に異常があった場合、その異常検出のタイミングに遅れが生じ、異常検出性能の低下を来す。これに対し、本実施形態の方式によれば、異常検出性能の低下を招来することなく、異常誤検出を防止又は低減することができる。
【0031】また、以上では、フリーホイールダイオード19が設けられている場合を例に取ったが、この代わりにフリーホイールダイオード以外の消弧手段を備えるような場合でも、本実施形態の方式が適用可能であることは明らかであろう。
【0032】次に、以上説明した方式を適用したハイブリッド車のモータ駆動系の回路の例を、図4を参照して説明する。
【0033】図4に示す回路構成において、SMRアセンブリ200は、メインバッテリ210と、モータ・ジェネレータ240側とを結ぶ高圧系電源ラインの接続・遮断のための、SMR1〜3の3つのシステム・メイン・リレー(SMR)を内蔵したユニットである。SMR3は負極側、SMR2が正極側のリレーであり、電源ライン接続状態ではこれらが両リレーが接続状態となっている。ただし、電源ライン遮断状態からこれら両リレーを接続すると、瞬間的に大電流が流れてヒューズが溶断するおそれがあるので、SMR2を接続する前に、抵抗と直列に設けられたSMR1をまず接続して大電流を防止し、その後SMR2を接続し、SMR1を遮断するという手順をとっている。メインバッテリ210は、電池ECU215により制御されている。DC−DCコンバータ220は、メインバッテリ210の電圧を降圧して12Vの補機電源を得るためのものである。インバータ部230は、供給された高圧直流電力をスイッチングして三相交流を生成し、モータ・ジェネレータ240に供給したり、その逆にモータ・ジェネレータ240が発電した電力を直流に変換してメインバッテリ210側に供給したりする。なお、このような回路構成は周知のものなので、説明は以上にとどめる。
【0034】ハイブリッドECU100は、このSMR1〜3の駆動制御のために、インテリジェントMOS120及び140を備えている。インテリジェントMOS120及び140は、駆動スイッチ素子124、スイッチ素子ドライブ段122及びコンパレータ126を備えたデバイスであり、これらは図1の等価回路の駆動スイッチ素子15、スイッチ素子ドライブ段13及びコンパレータ17に対応している。インテリジェントMOS120はSMR2の制御のためのものであり、そこから出力される負荷配線250はSMR2のソレノイドに接続されている。一方インテリジェントMOS140はSMR1,3の制御のためのものであり、出力端子に接続された負荷配線260はSMR1,3に接続されている(図では配線の図示を省略している)。これら各インテリジェントMOS120,140はCPU110に接続され、このCPU110から駆動信号INを受けたり、CPU110にステータス信号STを供給したりする。CPU110は、図1のCPU11に対応している。
【0035】インテリジェントMOS140からSMR1,3への負荷配線260とグランド電位(車体)との間にフリーホイールダイオード150が設けられており、MOS140の出力端子OUTの電位を−1V程度にクランプする。したがって、SMR1,3への励磁電流の供給を遮断すると、そのSMR1,3が蓄えている電磁エネルギーがフリーホイールダイオード150により約1Vの電圧降下で放出される。
【0036】インテリジェントMOS120の出力端子に接続された負荷配線250には、グラウンド(この場合は車体)との間に早切り回路130が設けられている。この早切り回路130は、基本的にはフリーホイールダイオード150と同様、SMR2への励磁電流供給切断時に消弧機能を果たすためのものである。ただし、早切り回路130は、約−10〜−20Vといった大きいクランプ電圧を負荷配線250に設定することで、フリーホイールダイオード150よりもはるかに素早い電磁エネルギー放出を実現する。SMR2への負荷配線250に早切り回路130が設けられるのは、SMR2がメインのリレー(SMR1と比べての場合)であり、イグニッションスイッチのオフ時に、このSMR2を切断してSMR3のみを接続状態とし、インバータ部230内の電解コンデンサの電荷を抜き取るべくインバータ部230を駆動する制御が行われ、この時SMR2から多量の電磁エネルギーを素早く放出させる必要があるためである。ツェナーダイオード132は、そのクランプ電圧に対応した降伏電圧のものが用いられる。通常時(例えばSMR2駆動時)は早切り回路130のPNP型のスイッチ134はオフ状態であるが、インテリジェントMOS120のスイッチ素子124をオフすると、早切り回路130のグラウンド端子と負荷配線側端子との間の大きな電位差ができてツェナーダイオード132が降伏して電流が流れ、これによりスイッチ134がオンすることで比較的大きな電流が早切り回路130内を流れ、これによりSMR2のソレノイドの電磁エネルギーが素早く放出される。
【0037】上述のイグニッションスイッチオフ時の運転モードでは、SMR2が遮断(不導通)状態となるべく制御しているので、負荷配線250の電圧は、インテリジェントMOS120の電圧監視の基準電圧より低くなっているべきであるが、このときインバータ部230が運転されるので、その高速スイッチングによる高周波ノイズから、上述したメカニズムで負荷配線250に低周波ノイズが誘起される。すなわち、インバータ部230のスイッチング素子部分Aは約10MHzの高周波ノイズの発生源であり、このノイズが高圧系電源ラインやDC−DCコンバータ220内の部分Bによるフィルタ効果、SMR2近傍の高圧系電源ラインと負荷配線250(励磁ライン)との間の浮遊容量によるクロストークなどにより、負荷配線250の浮遊容量255に高周波ノイズを誘導する。そして、この高周波ノイズから、早切り回路130とスイッチング素子124の検波動作によりDC成分を発生させ、これが浮遊容量255とSMR2のインダクタンスによる並列共振系を振動させることにより、負荷配線250に低周波ノイズを誘起する。この低周波ノイズにより、インテリジェントMOS120及びCPU110が、SMR2のオープン異常と誤判定するおそれがある。
【0038】そこで、本実施形態では、このような誤判定を防ぐため、負荷配線250に対して、その負荷配線250とグラウンドとの間の浮遊容量255と並列に、低周波ノイズ低減用のコンデンサ160の設けた。このコンデンサ160により、上述の仕組みにより、低周波ノイズのレベルが低減され、SMR2の異常判定の誤りを低減することができる。なお、このコンデンサ160を、低周波ノイズのレベルが、コンパレータ126による負荷電圧レベル判定の基準電圧より小さくなるのに十分なだけの容量とすれば、誤判定を防止することができる。
【0039】なお、図4の例では、SMR2への負荷配線250に対してのみ低周波ノイズ低減用のコンデンサ160を設けたが、これは配線の取り回しの仕方やリレー接続モードの関係で、SMR1や3の負荷配線260には問題となるような高レベルの低周波ノイズが誘起されないためである。したがって、逆にSMR1,3への負荷配線260にも高レベルの低周波ノイズが現れるような場合には、負荷配線260に対し、同様の低周波ノイズ低減用のコンデンサを設けることも好適である。
【0040】以上の例では、ハイブリッド車や電気自動車等のモータ(及び/又はジェネレータ)駆動用の高圧系電源ラインをオン・オフするリレーの駆動回路を例にとって説明したが、本実施形態の方式は、このようなリレー以外の誘導性負荷の駆動回路に適用可能である。すなわち、誘導性負荷のオープン異常、ショート異常などの異常を、その負荷へ電力を供給する配線の電圧を監視してそれが所定の許容範囲にあるかどうかに基づき判定する回路において、外来の高周波ノイズからその配線の負荷容量に低周波ノイズが誘起されるようなものであれば、本実施形態の方式を利用することで誤判定を防止又は低減できる。例えば、車両エンジンのインジェクタソレノイド等を駆動するアクチュエータ駆動回路にも、駆動終了時のソレノイドの電磁エネルギー放出のために消弧回路が設けられたものがある(例えば特開平10−311238号公報)。このような駆動回路でも、上記実施形態同様、近傍から高周波ノイズが誘導すれば、消弧回路の検波作用によりDC成分が発生し、それが負荷配線の浮遊容量とソレノイドとの共振系により低周波ノイズを誘導して誤判定を招く場合があり得るので、本実施形態の方式を適用することが有効である。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成13年5月17日(2001.5.17)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開2002−345102(P2002−345102A)
【公開日】 平成14年11月29日(2002.11.29)
【出願番号】 特願2001−147585(P2001−147585)