トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 電気車駆動制御装置
【発明者】 【氏名】熊野 昌義

【氏名】四方 進

【氏名】丸山 高央

【要約】 【課題】レールを流れる帰線電流の含有高調波成分による付設の鉄道用保安設備等への悪影響を避けるため、小型で十分な減衰特性を確保したフィルタを有する電気車駆動制御装置を提供する。

【解決手段】直流フィルタ5を介して給電されるインバータ6を備えた電気車駆動制御装置において、直流フィルタ5は、磁気結合を有する2個のリアクトル51a、51bを直列接続して、有効にインダクタンスを確保し小型化を図ると共に近接設置を可能にする。出力端子に第一のコンデンサ52aを、前記2つのリアクトルの直列接続点にその相互インダクタンス値に略等しいインダクタンス値を有する第三のリアクトル53と第二のコンデンサ52bの直列接続体を接続して磁気結合による負の等価インダクタンスを打ち消し、磁気結合の悪影響を防止して2段フィルタ特性を有効に発揮させ、高周波成分の大幅な減衰を図る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 給電線からの直流電力を直流フィルタを介して入力し、交流電動機に対して可変電圧可変周波数制御された交流電力を供給するインバータを備えた電気車駆動制御装置において、前記直流フィルタを、正の入出力端子間に直列接続された磁気結合を有する第一及び第二のリアクトルと、出力端子間に設けられた第一のコンデンサと、前記第一及び第二のリアクトルの直列接続点と負側端子間に設けられた第三のリアクトルと第二のコンデンサの直列接続体とから構成したことを特徴とする電気車駆動制御装置。
【請求項2】 請求項1に記載の電気車駆動制御装置において、前記第三のリアクトルは、前記第一と第二のリアクトルの相互インダクタンスの値に略等しいインダクタンス値を有することを特徴とする電気車駆動制御装置。
【請求項3】 請求項1または2に記載の電気車駆動制御装置において、前記第三のリアクトルと前記第二のコンデンサとの間に抵抗を設けたことを特徴とする電気車駆動制御装置。
【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の電気車駆動制御装置において、前記直列接続された第一及び第二のリアクトルの代わりに、中間タップ付リアクトルを用いることを特徴とする電気車駆動制御装置。
【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の電気車駆動制御装置において、前記第三のリアクトルの一部または全部に配線ケーブルのインダクタンスを用いることを特徴とする電気車駆動制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、給電線より電力の供給を受け駆動される電気車の駆動制御装置に関するもので、特に高調波電流の流入流出を防止すための直流フィルタを有する電気車駆動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図6は、例えば特開2000−188803号公報に示された従来の電気車駆動制御装置を示す概略構成図である。図6において、給電線(架線)1とレール2間に印加された直流電力は、集電器3により集電され、遮断器4と、直流フィルタ50を構成するリアクトル51およびコンデンサ52を介して、インバータ6に入力される。インバータ6は、入力された直流電力を可変電圧可変周波数制御した交流電力に変換し、車両を駆動するための交流電動機7に供給するようになっている。この場合、インバータ6の入力電圧がコンデンサ52により平滑されるとともにスイッチング動作により発生する高調波の電源側への影響をリアクトル51により防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような電力変換器を用いた従来の電気車駆動制御装置においては、電源となる変電所等への帰路となるレール2を流れる帰線電流の含有高調波成分が付設の踏み切り制御装置や信号機など鉄道用保安設備を誤動作させる等の悪影響を及ぼすことがあった。このため、このような悪影響を避けるため、リアクトル51とコンデンサ52で構成されるL−C直流フィルタ50が設けられている。しかし、誤動作を防ぐための帰線電流の高調波成分の許容限界値は非常に小さく、特に数百Hz近傍では50MA以下の直流成分の1/10000以下に下げなければならなく、一方、インバータ6側の発生高調波も種々の制約上あまり小さく出来ないため、電流高調波の十分な減衰特性を確保するには大容量のフィルタが必要となり、寸法・重量の増加を招き車載が困難になるという問題点があった。
【0004】この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、帰線電流における高調波成分の十分な減衰特性を確保した電気車駆動制御装置を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明に係る電気車駆動制御装置は、給電線からの直流電力を直流フィルタを介して入力し、交流電動機に対して可変電圧可変周波数制御された交流電力を供給するインバータを備えた電気車駆動制御装置において、前記直流フィルタを、正の入出力端子間に直列接続された磁気結合を有する第一及び第二のリアクトルと、出力端子間に設けられた第一のコンデンサと、前記第一及び第二のリアクトルの直列接続点と負側端子間に設けられた第三のリアクトルと第二のコンデンサの直列接続体とから構成したものである。
【0006】また、前記第三のリアクトルは、前記第一と第二のリアクトルの相互インダクタンスの値に略等しいインダクタンス値を有することを特徴とするものである。
【0007】また、前記第三のリアクトルと前記第二のコンデンサとの間に抵抗を設けたことを特徴とするものである。
【0008】また、前記直列接続された第一及び第二のリアクトルの代わりに、中間タップ付リアクトルを用いることを特徴とするものである。
【0009】さらに、前記第三のリアクトルの一部または全部に配線ケーブルのインダクタンスを用いることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は、この発明の実施の形態1に係る電気車駆動制御装置を示す構成図である。図1において、1は給電線(架線または第三レール)、2はレール、3は集電器、4は遮断器、5は直流フィルタ、6はインバータ、7は交流電動機(誘導電動機または同期電動機)、8は車輪である。給電線1とレール2に印加された直流電力は、集電器3により集電され、遮断器4と、直流フィルタ5を介して、インバータ6に入力される。インバータ6は、入力された直流電力を可変電圧可変周波数制御した交流電力に変換し、車両を駆動するための交流電動機7に供給する。
【0011】ここで、直流フィルタ5は、接近して配置され正の入出力端間に直列接続された磁気結合を有する2個のリアクトル51aと51b、2個の並列コンデンサ52a、52bで直列2段L−Cフィルタを構成すると共に、このリアクトルの直列接続点に接続された第二のコンデンサ52bに、前記2つのリアクトル間の相互インダクタンスを相殺すべく、第三のリアクトル53が直列に接続されている。すなわち、第三のリアクトル53と第二のコンデンサ52bの直列接続体が、リアクトル51aと51bの直列接続点と負側端子との間に設けられている。
【0012】リアクトル51a、51bは直流のメイン電流が流れるため、強制冷却された空心リアクトルが用いられるが、2つのリアクトルを近接して設置することにより互いの磁気結合を利用し小型で大きなインダクタンスを得ることが出来る。即ち、それぞれの自己インダクタンスをLa、Lb、相互インダクタンスをM【数1】

とすると、2つのリアクトルの等価回路図である図2に示す如く、各リアクトルの等価インダクタンスはLa+M、Lb+Mとなる。また、強制冷却機構も容易に共通のものが利用でき、小型化が図れる。
【0013】しかし、反面、2つのリアクトルの接続分岐点には、等価的に−Mのインダクタンスを接続したことになり、高周波領域においては、図1に示すコンデンサ52bによるバイパス作用を阻害しフィルター特性を劣化させようとするが、インダクタンス値が相互インダクタンスMに等しい第三のリアクトル53を設置することにより、先の結合による等価インダクタンス−Mを相殺し、このバイパス回路はコンデンサ52bのみと等価になる。なお、このバイパス回路に流れる電流は、2つののリアクトル52a、52bを流れるメイン電流に比べ通常1/10以下と少ないため、第三のリアクトル53はインダクタンスの値がMであっても相対的に小型になり冷却も容易となる。また、このインダクタンス値の一部または全部に配線のインダクタンスも利用できる。
【0014】図3は、インバータ6側から見た直流フィルタ5の電流伝達特性の一例を示したものである。曲線55は図1に示すこの発明のフィルタ5の特性を示し、曲線56は図6に示す従来のフィルタ50の特性を示し、曲線57は図1に示すこの発明のフィルタ5で第三のリアクトル53が無い場合の特性をそれぞれ示している。図3において、従来の特性曲線56は、第1の共振周波数以上で−40db/dec.で減衰するが、この発明による特性曲線55は、第2の共振周波数以上では−80db/dec.で減衰する2段フィルタの特性を示し高周波領域の特性が改善されている。ちなみに、第三のリアクトル53を設けない場合の特性曲線57は、従来の1段フィルタ特性56よりも劣っている。
【0015】実施の形態2.図4は、この発明の実施の形態2に係る電気車駆動制御装置における直流フィルタの構成を示す回路図である。第三のリアクトル53と第二のコンデンサ52bの直列回路にダンピングのための抵抗54を設け、図3に示す第2の共振点における特性の跳ね上がりを抑制している。
【0016】実施の形態3.図5は、この発明の実施の形態3に係る電気車駆動制御装置における直流フィルタの構成を示す回路図である。図1の2個の直列接続リアクトル51a、51bの代わりに、中間タップを有するリアクトル51cを用いて小型化を図っている。動作は図1と同じである。
【0017】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、直流フィルタを、正の入出力端子間に直列接続された磁気結合を有する第一及び第二のリアクトルと、出力端子間に設けられた第一のコンデンサと、前記第一及び第二のリアクトルの直列接続点と負側端子間に設けられた第三のリアクトルと第二のコンデンサの直列接続体とから構成したので、帰線電流における高調波成分の十分な減衰特性を確保することができる。
【0018】また、前記第三のリアクトルの値を、前記第一と第二のリアクトルの相互インダクタンスの値に略等しくすることにより、第一と第二のリアクトルの結合による等価インダクタンスを相殺し、バイパス回路をコンデンサのみと等価にすることができる。
【0019】また、前記第三のリアクトルと前記第二のコンデンサとの間に抵抗を設けることにより、ダンピングの役割を果たし、直流フィルタの第2の共振点におけるゲイン/周波数特性の跳ね上がりを抑制することができる。
【0020】また、前記直列接続された第一及び第二のリアクトルの代わりに、中間タップ付リアクトルを用いることにより、小型化を図ることができる。
【0021】さらに、前記第三のリアクトルの一部または全部を配線ケーブルのインダクタンスを用いて構成することができる。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成13年4月13日(2001.4.13)
【代理人】 【識別番号】100057874
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照 (外4名)
【公開番号】 特開2002−315101(P2002−315101A)
【公開日】 平成14年10月25日(2002.10.25)
【出願番号】 特願2001−115301(P2001−115301)