トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 電動車両用駆動装置及びハイブリッド型車両用駆動装置
【発明者】 【氏名】久田 秀樹

【要約】 【課題】高車速領域において、駆動モータトルクが変化するのに伴って駆動モータの消費電力が大きく変化するのを防止する。

【解決手段】バッテリ43と、バッテリ43に蓄えられた電力を受けて駆動され、駆動モータトルクを発生させる駆動モータ25と、駆動モータ25の駆動に対応して変化する変量を算出する変量算出処理手段91と、前記変量の変化率を算出する変量変化率算出処理手段92と、変量の変化率を制限値に基づいて制限する変量制限処理手段93とを有する。この場合、駆動モータ25の駆動に対応して変化する変量が算出され、該変量の変化率が算出され、該変量の変化率が制限値に基づいて制限される。駆動力に大きな振動が発生するのを抑制することができるので、電動車両の走行フィーリングを良くすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電力を蓄えるバッテリと、該バッテリに蓄えられた電力を受けて駆動され、駆動モータトルクを発生させる駆動モータと、前記駆動モータの駆動に対応して変化する変量を算出する変量算出処理手段と、前記変量の変化率を算出する変量変化率算出処理手段と、前記変量の変化率を制限値に基づいて制限する変量制限処理手段とを有することを特徴とする電動車両用駆動装置。
【請求項2】 前記変量は駆動モータ目標トルクである請求項1に記載の電動車両用駆動装置。
【請求項3】 前記変量は駆動モータの駆動に伴って変化する電力である請求項1に記載の電動車両用駆動装置。
【請求項4】 前記変量は駆動モータの駆動に伴って変化する電流である請求項1に記載の電動車両用駆動装置。
【請求項5】 前記制限値は駆動モータが駆動される領域に対応させて設定される請求項1に記載の電動車両用駆動装置。
【請求項6】 エンジントルクの少なくとも一部を受けて電力を発生させ、かつ、エンジン回転速度を制御するための発電機と、該発電機によって発生させられた電力を蓄えるバッテリと、前記発電機によって発生させられた電力、及びバッテリに蓄えられた電力のうちの少なくとも一方を受けて駆動され、駆動モータトルクを発生させる駆動モータと、前記駆動モータの駆動に対応して変化する変量を算出する変量算出処理手段と、前記変量の変化率を算出する変量変化率算出処理手段と、前記変量の変化率を制限値に基づいて制限する変量制限処理手段とを有することを特徴とするハイブリッド型車両用駆動装置。
【請求項7】 前記変量は駆動モータ目標トルクである請求項6に記載のハイブリッド型車両用駆動装置。
【請求項8】 前記変量は駆動モータの駆動に伴って変化する電力である請求項6に記載のハイブリッド型車両用駆動装置。
【請求項9】 前記変量は駆動モータの駆動に伴って変化する電流である請求項6に記載のハイブリッド型車両用駆動装置。
【請求項10】 前記制限値は駆動モータが駆動される領域に対応させて設定される請求項6に記載のハイブリッド型車両用駆動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動車両用駆動装置及びハイブリッド型車両用駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンを駆動することによって駆動輪に駆動力を発生させて走行させられるようにした車両においては、アクセルペダルが踏み込まれるとエンジンの回転速度、すなわち、エンジン回転速度が高くなるとともに、エンジンによって発生させられるトルク、すなわち、エンジントルクが大きくなる。また、駆動モータを駆動することによって駆動輪に駆動力を発生させて走行させられるようにした電動車両においては、アクセルペダルが踏み込まれると、駆動モータの回転速度、すなわち、駆動モータ回転速度が高くなるとともに、駆動モータによって発生させられるトルク、すなわち、駆動モータトルクが大きくなる。
【0003】ところで、前記駆動モータの応答性はエンジンの応答性より高い。したがって、電動車両において、前記アクセルペダルを急激に踏み込むと、駆動モータ回転速度が急激に高くなり、駆動モータトルクが急激に大きくなり、それに伴って駆動モータのモータケースが反力を受け、該反力によって車体に振動が発生したり、ドライブシャフトに捩(ねじ)り振動が発生したりして走行フィーリングが悪くなってしまう。また、前記アクセルペダルの急激な踏込み及び戻しを短時間で繰り返し行った場合には、駆動モータと駆動輪との間のトルク伝達系を構成する変速用のギヤ、ディファレンシャルギヤ、ドライブシャフト等に存在するバックラッシュによって歯打ち音が発生してしまう。その結果、変速用のギヤ、ディファレンシャルギヤ、ドライブシャフト等に衝撃荷重が加わってトルク伝達系の耐久性を低下させてしまう。また、前記歯打ち音によって車体が共振すると、走行フィーリングが悪くなってしまう。
【0004】図2は従来の電動車両の第1のトルク特性図である。
【0005】図に示されるように、所定のタイミングt1でアクセルペダルを急激に踏み込むと、駆動モータトルクは急激に大きくなり、それに伴って、ドライブシャフトに捩り振動が発生し、電動車両を駆動するための駆動力に大きな振動が発生する。
【0006】そこで、前記アクセルペダルを踏み込んだときに、駆動モータトルクの変化率を低くし、駆動モータ回転速度が急激に高くなるのを防止するとともに、歯打ち音が発生するのを抑制するようにしている。
【0007】図3は従来の電動車両の第2のトルク特性図である。
【0008】図に示されるように、所定のタイミングt1でアクセルペダルを踏み込んだときに、駆動モータトルクの変化率を低くすると、駆動モータ回転速度が急激に高くなるのを防止することができ、それに伴って、前記駆動力に大きな振動が発生するのを抑制することができる。なお、前記駆動モータトルクの変化率を低くするのに伴って電動車両の加速性が低くなるが、前記変化率は、発進時、急加速時等において電動車両を十分に加速させることができ、運転者の要求を満たすことができる程度に設定される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の電動車両においては、前記変化率を、発進時、急加速時等において電動車両を十分に加速させることができ、運転者の要求を満たすことができる程度に設定すると、駆動モータ回転速度が高い領域、すなわち、高車速領域において、駆動モータトルクが変化するのに伴って、駆動モータを駆動することによって消費される電力、すなわち、駆動モータの消費電力が大きく変化してしまう。
【0010】図4は駆動モータトルクと消費電力との関係を示す図である。
【0011】図において、Pw1は駆動モータ回転速度が低い領域、すなわち、低車速領域における駆動モータの消費電力、Pw2は高車速領域における駆動モータの消費電力である。
【0012】一般に、駆動モータの消費電力は、(駆動モータトルク)×(駆動モータ回転速度)×(モータ効率)
で表される。したがって、駆動モータトルクの変化率を、発進時、急加速時等において電動車両を十分に加速させることができ、運転者の要求を満たすことができる程度に設定すると、低車速領域においては、駆動モータトルクが変化するのに伴って消費電力Pw1は大きく変化しないのに対して、高車速領域においては、駆動モータトルクが変化するのに伴って消費電力Pw2は大きく変化する。そして、消費電力Pw2が大きく変化するのに伴ってバッテリの電圧、すなわち、バッテリ電圧VBも大きく変化してしまう。
【0013】図5はバッテリの充放電特性図である。なお、図において、横軸に充電及び放電の別を、縦軸にバッテリ電圧VBを採ってある。
【0014】バッテリは内部に抵抗成分を有するので、バッテリ電圧VBは、放電時に低くなり、充電時に高くなる特性を有する。したがって、前記駆動モータの消費電力Pw1(図4)、Pw2が変化すると、バッテリ電圧VBがその分変化する。すなわち、低車速領域において消費電力Pw1が図4に示されるように立ち上がると、バッテリは充電状態St1から放電状態St2に変化し、それに伴って、バッテリ電圧VBは、大きく変化せず、わずかに低くなる。ところが、高車速領域において消費電力Pw2が図4に示されるように立ち上がると、バッテリは充電状態St1から放電状態St3に変化し、それに伴って、バッテリ電圧VBは、大きく変化し、かなり低くなる。
【0015】また、前記駆動モータのほかに、エンジン及び発電機を備えたハイブリッド型車両において、エンジンを駆動して発電機によって発電を行っている場合、バッテリ電圧VBが低くなるのに伴って、発電機の発電能力である発電機トルクが低下する。
【0016】図6は発電機の特性図である。なお、図において、横軸に発電機の回転速度、すなわち、発電機回転速度を、縦軸に発電機のトルク、すなわち、発電機トルクを採ってある。
【0017】図において、VB1〜VB3はバッテリ電圧であり、該バッテリ電圧VB1〜VB3は、VB1<VB2<VB3である。エンジントルクTEでエンジンを駆動して発電機によって発電を行っている場合、エンジンと発電機との間のギヤ比をkとしたとき、発電機トルクは−TE/kで表される。
【0018】ところで、一般に発電機においては、バッテリ電圧VBが低くなると、発電機トルクが低下する。したがって、例えば、低車速領域においては、消費電力Pw1が図4に示されるように立ち上がると、バッテリ電圧はVB1からVB2に変化するので、発電機トルクが低下する。この場合、発電機回転速度を駆動ポイントpt1から駆動ポイントpt2に急速に低くすることができるので、発電機トルクの低下に追随することができる。
【0019】これに対して、高車速領域においては、消費電力Pw2が図4に示されるように立ち上がると、バッテリ電圧はVB1からVB3に変化するので、発電機トルクが急激に低下する。この場合、発電機回転速度を低くするのに時間がかかり、発電トルクの低下に追随することができない。したがって、エンジンの吹上りが発生するのを防止するために、エンジントルクTEを小さくする必要がある。
【0020】ところが、エンジントルクTEを小さくしようとすると、エンジンの運転ポイントが最適燃料曲線から外れてしまう。
【0021】図7はエンジン運転状態マップを示す図である。なお、図において、横軸にエンジン回転速度を、縦軸にエンジントルクTEを採ってある。
【0022】図において、L1は最適燃料曲線であり、エンジンの運転ポイントqt1を最適燃料曲線L1上に置いてエンジンを駆動するのが望ましいが、エンジン回転速度を一定にしたままエンジントルクTEを小さくしようとすると、運転ポイントqt2が最適燃料曲線L1から外れてしまう。その場合、燃費が悪くなってしまう。また、バッテリ電圧VBが低くなるのに追従させてエンジントルクTEを小さくしようとすると、スロットル開度が急激に小さくなるので、排ガス中の有害物質が多くなってしまう。
【0023】また、発電機回転速度を急速に低くするためには、発電機トルクに十分に余裕を持たせる必要がある。したがって、発電機が大型化するだけでなく、ハイブリッド型車両のコストが高くなってしまう。
【0024】本発明は、前記従来の電動車両及びハイブリッド型車両の問題点を解決して、走行フィーリングを良くすることができ、発進時、急加速時等において十分に加速させることができ、高車速領域において、駆動モータトルクが変化するのに伴って駆動モータの消費電力が大きく変化するのを防止することができる電動車両用駆動装置及びハイブリッド型車両用駆動装置を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明の電動車両用駆動装置においては、電力を蓄えるバッテリと、該バッテリに蓄えられた電力を受けて駆動され、駆動モータトルクを発生させる駆動モータと、前記駆動モータの駆動に対応して変化する変量を算出する変量算出処理手段と、前記変量の変化率を算出する変量変化率算出処理手段と、前記変量の変化率を制限値に基づいて制限する変量制限処理手段とを有する。
【0026】本発明の他の電動車両用駆動装置においては、さらに、前記変量は駆動モータ目標トルクである。
【0027】本発明の更に他の電動車両用駆動装置においては、さらに、前記変量は駆動モータの駆動に伴って変化する電力である。
【0028】本発明の更に他の電動車両用駆動装置においては、さらに、前記変量は駆動モータの駆動に伴って変化する電流である。
【0029】本発明の更に他の電動車両用駆動装置においては、さらに、前記制限値は駆動モータが駆動される領域に対応させて設定される。
【0030】本発明のハイブリッド型車両用駆動装置においては、エンジントルクの少なくとも一部を受けて電力を発生させ、かつ、エンジン回転速度を制御するための発電機と、該発電機によって発生させられた電力を蓄えるバッテリと、前記発電機によって発生させられた電力、及びバッテリに蓄えられた電力のうちの少なくとも一方を受けて駆動され、駆動モータトルクを発生させる駆動モータと、前記駆動モータの駆動に対応して変化する変量を算出する変量算出処理手段と、前記変量の変化率を算出する変量変化率算出処理手段と、前記変量の変化率を制限値に基づいて制限する変量制限処理手段とを有する。
【0031】本発明の他のハイブリッド型車両用駆動装置においては、さらに、前記変量は駆動モータ目標トルクである。
【0032】本発明の更に他のハイブリッド型車両用駆動装置においては、さらに、前記変量は駆動モータの駆動に伴って変化する電力である。
【0033】本発明の更に他のハイブリッド型車両用駆動装置においては、さらに、前記変量は駆動モータの駆動に伴って変化する電流である。
【0034】本発明の更に他のハイブリッド型車両用駆動装置においては、さらに、前記制限値は駆動モータが駆動される領域に対応させて設定される。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施の形態においては、駆動モータのほかに、エンジン及び発電機を備えた車両、すなわち、ハイブリッド型車両に配設されたハイブリッド型車両用駆動装置について説明するが、本発明を、エンジン及び発電機を備えない車両、すなわち、電動車両に配設された電動車両用駆動装置に適用することもできる。
【0036】図1は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両用駆動装置の機能ブロック図である。
【0037】43は電力を蓄えるバッテリ、25は、該バッテリ43に蓄えられた電力を受けて駆動され、駆動モータトルクを発生させる駆動モータ、91は前記駆動モータ25の駆動に対応して変化する変量を算出する変量算出処理手段、92は前記変量の変化率を算出する変量変化率算出処理手段、93は前記変量の変化率を制限値に基づいて制限する変量制限処理手段である。
【0038】図8は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両用駆動装置の概念図である。
【0039】図において、11は第1の軸線上に配設されたエンジン(E/G)、12は前記第1の軸線上に配設され、前記エンジン11を駆動することによって発生させられた回転を出力する出力軸、13は前記第1の軸線上に配設され、前記出力軸12を介して入力された回転に対して変速を行う差動歯車装置としてのプラネタリギヤユニット、14は前記第1の軸線上に配設され、プラネタリギヤユニット13における変速後の回転が出力される出力軸、15は該出力軸14に固定された出力ギヤとしての第1のカウンタドライブギヤ、16は前記第1の軸線上に配設され、伝達軸17を介してプラネタリギヤユニット13と連結され、更にエンジン11と機械的に連結された第1の電動機としての発電機(G)である。
【0040】前記出力軸14はスリーブ形状を有し、前記出力軸12を包囲して配設される。また、前記第1のカウンタドライブギヤ15はプラネタリギヤユニット13よりエンジン11側に配設される。
【0041】そして、前記プラネタリギヤユニット13は、少なくとも、第1の歯車要素としてのサンギヤS、該サンギヤSと噛(し)合するピニオンP、該ピニオンPと噛合する第2の歯車要素としてのリングギヤR、及び前記ピニオンPを回転自在に支持する第3の歯車要素としてのキャリヤCRを備え、前記サンギヤSは前記伝達軸17を介して発電機16と、リングギヤRは出力軸14及び所定のギヤ列を介して、前記第1の軸線と平行な第2の軸線上に配設され、前記発電機16と互いに機械的に連結された第2の電動機としての駆動モータ(M)25及び駆動輪37と、キャリヤCRは出力軸12を介してエンジン11と連結される。また、前記キャリヤCRと駆動装置のケース10との間にワンウェイクラッチFが配設され、該ワンウェイクラッチFは、エンジン11から正方向の回転がキャリヤCRに伝達されたときにフリーになり、発電機16又は駆動モータ25から逆方向の回転がキャリヤCRに伝達されたときにロックされ、逆方向の回転がエンジン11に伝達されないようにする。
【0042】前記発電機16は、前記伝達軸17に固定され、回転自在に配設されたロータ21、該ロータ21の周囲に配設されたステータ22、及び該ステータ22に巻装されたコイル23から成る。前記発電機16は、伝達軸17を介して伝達される回転によって電力を発生させる。前記コイル23は、図示されないバッテリに接続され、該バッテリに直流の電流を供給する。前記ロータ21と前記ケース10との間に発電機ブレーキBが配設され、該発電機ブレーキBを係合させることによってロータ21を固定し、発電機16の回転を停止させることができる。
【0043】また、26は前記第2の軸線上に配設され、前記駆動モータ25の回転が出力される出力軸、27は該出力軸26に固定された出力ギヤとしての第2のカウンタドライブギヤである。前記駆動モータ25は、前記出力軸26に固定され、回転自在に配設されたロータ40、該ロータ40の周囲に配設されたステータ41、及び該ステータ41に巻装されたコイル42から成る。
【0044】前記駆動モータ25は、コイル42に供給される電流によって駆動モータトルクを発生させる。そのために、前記コイル42は前記バッテリに接続され、該バッテリからの直流の電流が交流の電流に変換されて供給されるようになっている。
【0045】そして、該駆動輪37をエンジン11の回転と同じ方向に回転させるために、前記第1、第2の軸線と平行な第3の軸線上にカウンタシャフト30が配設され、該カウンタシャフト30に、第1のカウンタドリブンギヤ31、及び該第1のカウンタドリブンギヤ31より歯数が多い第2のカウンタドリブンギヤ32が固定される。また、前記第1のカウンタドリブンギヤ31と前記第1のカウンタドライブギヤ15とが、また、前記第2のカウンタドリブンギヤ32と前記第2のカウンタドライブギヤ27とが噛合させられ、前記第1のカウンタドライブギヤ15の回転が反転されて第1のカウンタドリブンギヤ31に、前記第2のカウンタドライブギヤ27の回転が反転されて第2のカウンタドリブンギヤ32に伝達されるようになっている。
【0046】さらに、前記カウンタシャフト30には前記第1のカウンタドリブンギヤ31より歯数が少ないデフピニオンギヤ33が固定される。
【0047】そして、前記第1〜第3の軸線と平行な第4の軸線上にディファレンシャル装置36が配設され、該ディファレンシャル装置36のデフリングギヤ35と前記デフピニオンギヤ33とが噛合させられる。したがって、デフリングギヤ35に伝達された回転が前記ディファレンシャル装置36によって分配され、駆動輪37に伝達される。このように、エンジン11によって発生させられた回転を第1のカウンタドリブンギヤ31に伝達することができるだけでなく、駆動モータ25によって発生させられた回転を第2のカウンタドリブンギヤ32に伝達することができるので、エンジン11及び駆動モータ25を駆動することによってハイブリッド型車両を走行させることができる。
【0048】なお、38はロータ21の位置、すなわち、発電機ロータ位置θGを検出するレゾルバ等の発電機ロータ位置センサ、39はロータ40の位置、すなわち、駆動モータロータ位置θMを検出するレゾルバ等の駆動モータロータ位置センサである。
【0049】前記発電機ロータ位置θGの変化率ΔθGを算出することによって発電機回転速度NGを算出し、前記駆動モータロータ位置θMの変化率ΔθMを算出することによって駆動モータ回転速度NMを算出することができる。また、前記変化率ΔθM、及び前記出力軸26から駆動輪37までのトルク伝達系におけるギヤ比GMWに基づいて車速Vを算出することができる。このように、発電機ロータ位置θGは発電機回転速度NGに対応し、駆動モータロータ位置θMは駆動モータ回転速度NMに対応するので、実質的に、発電機ロータ位置センサ38は発電機回転速度NGを検出する発電機回転速度検出手段として、駆動モータロータ位置センサ39は駆動モータ回転速度NMを検出する駆動モータ回転速度検出手段及び車速Vを検出する車速検出手段として機能する。
【0050】次に、前記プラネタリギヤユニット13の動作について説明する。
【0051】図9は本発明の第1の実施の形態におけるプラネタリギヤユニットの動作説明図、図10は本発明の第1の実施の形態における通常走行時の車速線図、図11は本発明の第1の実施の形態における通常走行時のトルク線図である。
【0052】図に示されるように、プラネタリギヤユニット13においては、キャリヤCRがエンジン11と、サンギヤSが発電機16と、リングギヤRが出力軸14を介して前記駆動モータ25及び駆動輪37とそれぞれ連結されるので、リングギヤRの回転速度、すなわち、リングギヤ回転速度NRと、出力軸14に出力される回転速度、すなわち、出力軸回転速度とが等しく、キャリヤCRの回転速度とエンジン回転速度NEとが等しく、サンギヤSの回転速度と発電機回転速度NGとが等しくなる。そして、リングギヤRの歯数がサンギヤSの歯数のρ倍(本実施の形態においては2倍)にされると、(ρ+1)・NE=1・NG+ρ・NRの関係が成立する。したがって、リングギヤ回転速度NR及び発電機回転速度NGに基づいてエンジン回転速度NE NE=(1・NG+ρ・NR)/(ρ+1) ……(1)
を算出することができる。なお、前記式(1)によって、プラネタリギヤユニット13の回転速度関係式が構成される。
【0053】また、エンジントルクTE、リングギヤRに発生させられるトルク、すなわち、リングギヤトルクTR、及び発電機トルクTGは、 TE:TR:TG=(ρ+1):ρ:1 ……(2)
の関係になり、互いに反力を受け合う。なお、前記式(2)によって、プラネタリギヤユニット13のトルク関係式が構成される。
【0054】そして、ハイブリッド型車両の通常走行時において、リングギヤR、キャリヤCR及びサンギヤSはいずれも正方向に回転させられ、図10に示されるように、リングギヤ回転速度NR、エンジン回転速度NE及び発電機回転速度NGは、いずれも正の値を採る。また、前記リングギヤトルクTR及び発電機トルクTGは、プラネタリギヤユニット13の歯数によって決定されるトルク比でエンジントルクTEを按(あん)分することによって得られるので、図11に示されるトルク線図上において、リングギヤトルクTRと発電機トルクTGとを加えたものがエンジントルクTEになる。
【0055】次に、前記構成のハイブリッド型車両の制御装置について説明する。
【0056】図12は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の制御装置を示す概念図である。
【0057】図において、10はケース、11はエンジン、13はプラネタリギヤユニット、16はエンジントルクTEの少なくとも一部を受けて電力を発生させ、かつ、エンジン回転速度NEを制御するための発電機、Bは該発電機16のロータ21を固定するための発電機ブレーキ、25は駆動モータ、28は発電機16を駆動するためのインバータ、29は駆動モータ25を駆動するためのインバータ、37は駆動輪、38は発電機ロータ位置センサ、39は駆動モータロータ位置センサ、43は電力を蓄えるバッテリである。前記インバータ28、29は電源スイッチSWを介してバッテリ43に接続され、該バッテリ43は前記電源スイッチSWがオンのときに直流の電流を前記インバータ28、29に送る。なお、前記バッテリ43の正の極性の端子と負の極性の端子との間に平滑用のコンデンサCが接続される。また、前記発電機16、インバータ28及び図示されない冷却系によって発電駆動部が構成される。前記駆動モータ25は、前記発電機16によって発生させられる電流、及びバッテリ43から供給される電流のうちの少なくとも一方によって駆動される。
【0058】また、51は図示されないCPU、記録装置等から成り、ハイブリッド型車両の全体の制御を行う車両制御装置であり、該車両制御装置51は、エンジン制御手段としてのエンジン制御装置46、発電機制御手段としての発電機制御装置47、及び駆動モータ制御手段としての駆動モータ制御装置49を備える。そして、前記エンジン制御装置46は、図示されないCPU、記録装置等から成り、エンジン11の制御を行うために、スロットル開度θ、バルブタイミング等の指示信号をエンジン11に送る。また、前記発電機制御装置47は、図示されないCPU、記録装置等から成り、前記発電機16の制御を行うために、インバータ28に駆動信号SG1を送る。そして、駆動モータ制御装置49は、図示されないCPU、記録装置等から成り、前記駆動モータ25の制御を行うために、インバータ29に駆動信号SG2を送る。
【0059】前記インバータ28は、駆動信号SG1に基づいて駆動され、力行(駆動)時にバッテリ43から直流の電流を受けて、U相、V相及びW相の電流IGU、IGV、IGWを発生させ、各電流IGU、IGV、IGWを発電機16に送り、回生(発電)時に発電機16からU相、V相及びW相の電流IGU、IGV、IGWを受けて、直流の電流を発生させ、バッテリ43に送る。
【0060】また、前記インバータ29は、駆動信号SG2に基づいて駆動され、力行時にバッテリ43から直流の電流を受けて、U相、V相及びW相の電流IMU、IMV、IMWを発生させ、各電流IMU、IMV、IMWを駆動モータ25に送り、回生時に駆動モータ25からU相、V相及びW相の電流IMU、IMV、IMWを受けて、直流の電流を発生させ、バッテリ43に送る。
【0061】また、44は前記バッテリ43の状態、すなわち、バッテリ状態としてのバッテリ残量SOCを検出するバッテリ残量検出装置、52はエンジン回転速度NEを検出するエンジン回転速度センサ、53は図示されない選速操作手段としてのシフトレバーの位置、すなわち、シフトポジションSPを検出するシフトポジションセンサ、54はアクセルペダル、55は該アクセルペダル54の位置(踏込量)、すなわち、アクセルペダル位置APを検出するアクセル操作検出手段としてのアクセルスイッチ、61はブレーキペダル、62は該ブレーキペダル61の位置(踏込量)、すなわち、ブレーキペダル位置BPを検出するブレーキ操作検出手段としてのブレーキスイッチ、63はエンジン11の温度tmを検出するエンジン温度センサ、64は発電機16の温度、例えば、コイル23(図8)の温度を検出する発電機温度センサ、65は駆動モータ25の温度、例えば、コイル42の温度を検出する駆動モータ温度センサである。なお、インバータ28の温度を検出するインバータ温度センサ、冷却系の油の温度を検出する油温センサ等を配設することもできる。
【0062】そして、66〜69はそれぞれ電流IGU、IGV、IMU、IMVを検出する電流センサ、72は前記バッテリ状態としてのバッテリ電圧VBを検出するバッテリ電圧センサである。また、バッテリ状態として、バッテリ電流、バッテリ温度等を検出することもできる。なお、バッテリ残量検出装置44、バッテリ電圧センサ72、図示されないバッテリ電流センサ、図示されないバッテリ温度センサ等によってバッテリ状態検出手段が構成される。
【0063】前記車両制御装置51は、前記エンジン制御装置46にエンジン制御信号を送ってエンジン11の駆動・停止を設定したり、発電機ロータ位置θGを読み込んで発電機回転速度NGを算出したり、駆動モータロータ位置θMを読み込んで駆動モータ回転速度NMを算出したり、前記回転速度関係式によってエンジン回転速度NEを算出したり、エンジン制御装置46にエンジン回転速度NEの目標値、すなわち、エンジン目標回転速度NE* を設定したり、前記発電機制御装置47に発電機回転速度NGの目標値、すなわち、発電機目標回転速度NG* 、及び発電機トルクTGの目標値、すなわち、発電機目標トルクTG* を設定したり、前記駆動モータ制御装置49に駆動モータトルクTMの目標値、すなわち、駆動モータ目標トルクTM* 及び駆動モータトルク補正値δTMを設定したりする。
【0064】そのために、前記車両制御装置51の図示されない発電機回転速度算出処理手段は、前記発電機ロータ位置θGを読み込んで発電機回転速度NGを算出し、前記車両制御装置51の図示されない駆動モータ回転速度算出処理手段は、前記駆動モータロータ位置θMを読み込んで駆動モータ回転速度NMを算出し、前記車両制御装置51の図示されないエンジン回転速度算出処理手段は、前記回転速度関係式によってエンジン回転速度NEを算出する。なお、前記発電機回転速度算出処理手段、前記駆動モータ回転速度算出処理手段及び前記エンジン回転速度算出処理手段は、それぞれ、発電機回転速度NG、駆動モータ回転速度NM及びエンジン回転速度NEを検出する発電機回転速度検出手段、駆動モータ回転速度検出手段及びエンジン回転速度検出手段として機能する。
【0065】本実施の形態においては、前記車両制御装置51によってエンジン回転速度NEが算出されるようになっているが、エンジン回転速度センサ52からエンジン回転速度NEを読み込むこともできる。また、本実施の形態において、車速Vは、変化率ΔθM、及び出力軸26から駆動輪37までのギヤ比GMWに基づいて算出されるようになっているが、リングギヤ回転速度NRを検出し、該リングギヤ回転速度NR及び前記ギヤ比GMWに基づいて車速Vを算出したり、駆動輪37の回転速度、すなわち、駆動輪回転速度に基づいて車速Vを算出したりすることもできる。その場合、車速検出手段として、リングギヤ回転速度センサ、駆動輪回転速度センサ等が配設される。
【0066】次に、前記構成のハイブリッド型車両の動作について説明する。
【0067】図13は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の動作を示す第1のメインフローチャート、図14は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の動作を示す第2のメインフローチャート、図15は本発明の第1の実施の形態における第1の車両要求トルクマップを示す図、図16は本発明の第1の実施の形態における第2の車両要求トルクマップを示す図、図17は本発明の第1の実施の形態におけるエンジン目標運転状態マップを示す図、図18は本発明の第1の実施の形態におけるエンジン駆動領域マップを示す図である。なお、図15、16及び18において、横軸に車速Vを、縦軸に車両要求トルクTO* を、図17において、横軸にエンジン回転速度NEを、縦軸にエンジントルクTEを採ってある。
【0068】まず、車両制御装置51(図12)の図示されない車両要求トルク決定処理手段は、車両要求トルク決定処理を行い、アクセルスイッチ55からアクセルペダル位置APを、ブレーキスイッチ62からブレーキペダル位置BPを読み込むとともに、駆動モータロータ位置センサ39から駆動モータロータ位置θMを読み込んで、車速Vを算出し、アクセルペダル54が踏み込まれた場合、前記車両制御装置51の記録装置に記録された図15の第1の車両要求トルクマップを参照し、ブレーキペダル61が踏み込まれた場合、前記記録装置に記録された図16の第2の車両要求トルクマップを参照して、アクセルペダル位置AP、ブレーキペダル位置BP及び車速Vに対応させてあらかじめ設定された、ハイブリッド型車両を走行させるのに必要な車両要求トルクTO* を決定する。
【0069】続いて、前記車両制御装置51は、車両要求トルクTO* があらかじめ駆動モータ25の定格として設定されている駆動モータ最大トルクTMmaxより大きいかどうかを判断する。車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmaxより大きい場合、前記車両制御装置51はエンジン11が停止中であるかどうかを判断し、エンジン11が停止中である場合、車両制御装置51の図示されない急加速制御処理手段は、急加速制御処理を行い、駆動モータ25及び発電機16を駆動してハイブリッド型車両を走行させる。なお、前記駆動モータ最大トルクTMmaxは、出力軸26に出力される駆動モータ25の最大トルク、及び前記ギヤ比GMWに基づいて算出される。
【0070】また、車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmax以下である場合、及び車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmaxより大きく、かつ、エンジン11が駆動中である場合、前記車両制御装置51の図示されない運転者要求出力算出処理手段は、前記車両要求トルクTO* と車速Vとを乗算することによって、運転者要求出力PDPD=TO* ・Vを算出する。
【0071】次に、前記車両制御装置51の図示されないバッテリ充放電要求出力算出処理手段は、前記バッテリ残量検出装置44からバッテリ残量SOCを読み込み、該バッテリ残量SOCに基づいてバッテリ充放電要求出力PBを算出する。
【0072】続いて、前記車両制御装置51の図示されない車両要求出力算出処理手段は、前記運転者要求出力PDとバッテリ充放電要求出力PBとを加算することによって、車両要求出力POPO=PD+PBを算出する。
【0073】続いて、前記車両制御装置51の図示されないエンジン目標運転状態設定処理手段は、エンジン目標運転状態設定処理を行い、前記記録装置に記録された図17のエンジン目標運転状態マップを参照し、前記車両要求出力POを表す線PO1〜PO3と、各アクセルペダル位置AP1〜AP6におけるエンジン11の効率が最も高くなる最適燃費曲線L11とが交差するポイントA1〜A3、Amを、エンジン目標運転状態であるエンジン11の運転ポイントとして決定し、該運転ポイントにおけるエンジントルクTE1〜TE3、TEmをエンジン目標トルクTE* として決定し、前記運転ポイントにおけるエンジン回転速度NE1〜NE3、NEmをエンジン目標回転速度NE* として決定する。
【0074】そして、前記車両制御装置51は、前記記録装置に記録された図18のエンジン駆動領域マップを参照して、エンジン11が駆動領域に置かれているかどうかを判断する。図18において、AR1はエンジン11が駆動される駆動領域、AR2はエンジン11が駆動を停止させられる停止領域、AR3はヒステリシス領域である。また、LE1は駆動を停止させられているエンジン11が駆動されるライン、LE2は駆動されているエンジン11が駆動を停止させられるラインである。なお、前記ラインLE1は、バッテリ残量SOCが大きいほど図18の右方に移動させられ、駆動領域AR1が狭くされ、バッテリ残量SOCが小さいほど図18の左方に移動させられ、駆動領域AR1が広くされる。
【0075】そして、エンジン11が駆動領域AR1に置かれているにもかかわらず、エンジン11が駆動されていない場合、車両制御装置51の図示されないエンジン始動制御処理手段は、エンジン始動制御処理を行い、エンジン11を始動する。また、エンジン11が駆動領域AR1に置かれていないにもかかわらず、エンジン11が駆動されている場合、車両制御装置51の図示されないエンジン停止制御処理手段は、エンジン停止制御処理を行い、エンジン11の駆動を停止させる。
【0076】また、エンジン11が駆動領域AR1に置かれていて、しかも、エンジン11が駆動されている場合、前記車両制御装置51の図示されないエンジン制御処理手段は、エンジン制御処理を行い、周知の方法でエンジン11の制御を行う。
【0077】続いて、車両制御装置51は、駆動モータロータ位置θMを読み込み、該駆動モータロータ位置θM、及び出力軸26(図8)からリングギヤRまでのギヤ比GMRに基づいてリングギヤ回転速度NRを算出するとともに、エンジン目標運転状態設定処理において決定されたエンジン目標回転速度NE* を読み込み、リングギヤ回転速度NR及びエンジン目標回転速度NE* に基づいて、前記回転速度関係式によって、発電機目標回転速度NG* を算出し、決定する。
【0078】続いて、車両制御装置51の図示されない発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段は、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を行い、発電機ブレーキBのオン・オフ(係合・解放)制御を行うとともに、発電機回転速度制御処理を行うことによって発電機16の回転速度制御を行うか、又は発電機トルク制御処理を行うことによって発電機16のトルク制御を行う。
【0079】ところで、前述されたように、エンジントルクTE、リングギヤトルクTR及び発電機トルクTGは互いに反力を受け合うので、発電機トルクTGがリングギヤトルクTRに変換されてリングギヤRから出力される。そして、リングギヤトルクTRがリングギヤRから出力されるのに伴って、発電機回転速度NGが変化し、前記リングギヤトルクTRが変化すると、変化したリングギヤトルクTRが駆動輪37に伝達され、ハイブリッド型車両の走行フィーリングが低下してしまう。そこで、発電機回転速度NGの変化に伴う発電機16のイナーシャ分のトルクを見込んでリングギヤトルクTRを算出するようにしている。
【0080】そのために、前記車両制御装置51の図示されないリングギヤトルク算出処理手段は、リングギヤトルク算出処理を行い、前記発電機回転速度制御処理において決定された発電機目標トルクTG* を読み込み、該発電機目標トルクTG* 、及びサンギヤSの歯数に対するリングギヤRの歯数の比に基づいてリングギヤトルクTRを算出する。
【0081】すなわち、発電機16のイナーシャをInGとし、発電機16の角加速度(回転変化率)をαGとしたとき、サンギヤSに加わるサンギヤトルクTSは、TS=TG* +InG・αGになる。
【0082】そして、リングギヤRの歯数がサンギヤSの歯数のρ倍であるとすると、リングギヤトルクTRは、サンギヤトルクTSのρ倍であるので、
になる。このように、発電機目標トルクTG* からリングギヤトルクTRを算出することができる。
【0083】続いて、車両制御装置51の図示されない駆動軸トルク推定処理手段は、駆動軸トルク推定処理を行い、前記リングギヤトルクTR、及びリングギヤRから出力軸26までのギヤ比GMRに基づいて、すなわち、リングギヤRの歯数に対する第2のカウンタドライブギヤ27の歯数の比に基づいて、エンジントルクTEによってプラネタリギヤユニット13を介して出力軸26に発生させられるトルク、すなわち、駆動軸トルクTRoutを推定する。なお、発電機ブレーキBが係合させられる際には、リングギヤトルクTRはエンジントルクTEと比例関係になり、前記リングギヤトルクTR、及びリングギヤRの歯数に対する第2のカウンタドライブギヤ27の歯数の比に基づいて前記駆動軸トルクTRoutが推定される。
【0084】続いて、前記車両制御装置51の図示されない駆動モータ目標トルク決定処理手段は、駆動モータ目標トルク決定処理を行い、前記車両要求トルクTO* 及び前記ギヤ比GMWに基づいて、出力軸26における駆動軸要求トルクTRout* を算出し、該駆動軸要求トルクTRout* から前記駆動軸トルクTRoutを減算することによって、駆動軸トルクTRoutでは加不足する分を駆動モータ目標トルクTM* として決定する。なお、本実施の形態において、前記駆動モータ目標トルク決定処理手段は、駆動モータ25の駆動に対応して変化する変量として、駆動モータ目標トルクTM* を決定する。前記駆動モータ目標トルク決定処理手段によって変量算出処理手段91(図1)が構成される。
【0085】そして、前記車両制御装置51の変量制限処理手段93としての図示されない駆動モータ目標トルク制限処理手段は、駆動モータ目標トルク制限処理を行い、高車速領域において、駆動モータトルクTMが変化するのに伴って駆動モータ25の消費電力が大きく変化するのを防止することができるように、駆動モータ目標トルクTM* を制限する。続いて、前記車両制御装置51の図示されない駆動モータ制御処理手段は、駆動モータ制御処理を行い、駆動モータ25の制御を行う。
【0086】次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 アクセルペダル位置AP及びブレーキパダル位置BPを読み込む。
ステップS2 車速Vを算出する。
ステップS3 車両要求トルクTO* を決定する。
ステップS4 車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmaxより大きいかどうかを判断する。車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmaxより大きい場合はステップS5に、車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmax以下である場合はステップS7に進む。
ステップS5 エンジン11が停止中であるかどうかを判断する。エンジン11が停止中である場合はステップS6に、停止中でない場合はステップS7に進む。
ステップS6 急加速制御処理を行い、処理を終了する。
ステップS7 運転者要求出力PDを算出する。
ステップS8 バッテリ充放電要求出力PBを算出する。
ステップS9 車両要求出力POを算出する。
ステップS10 エンジン11の運転ポイントを決定する。
ステップS11 エンジン11が駆動領域に置かれているかどうかを判断する。
エンジン11が駆動領域に置かれている場合はステップS12に、置かれていない場合はステップS13に進む。
ステップS12 エンジン11が駆動されているかどうかを判断する。エンジン11が駆動されている場合はステップS16に、駆動されていない場合はステップS14に進む。
ステップS13 エンジン11が駆動されているかどうかを判断する。エンジン11が駆動されている場合はステップS15に、駆動されていない場合はステップS19に進む。
ステップS14 エンジン始動制御処理を行う。
ステップS15 エンジン停止制御処理を行う。
ステップS16 エンジン制御処理を行う。
ステップS17 発電機目標回転速度NG* を決定する。
ステップS18 発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を行う。
ステップS19 駆動軸トルクTRoutを推定する。
ステップS20 駆動モータ目標トルクTM* を決定する。
ステップS21 駆動モータ目標トルク制限処理を行う。
ステップS22 駆動モータ制御処理を行い、処理を終了する。
【0087】次に、図13のステップS6における急加速制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0088】図19は本発明の第1の実施の形態における急加速制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0089】まず、前記急加速制御処理手段は、車両要求トルクTO* を読み込み、該車両要求トルクTO* と駆動モータ最大トルクTMmaxとの差トルクΔTを算出し、駆動モータ最大トルクTMmaxでは不足する分を発電機目標トルクTG* として決定する。
【0090】そして、前記急加速制御処理手段の図示されない駆動モータ制御処理手段は、駆動モータ制御処理を行い、駆動モータ目標トルクTM* を駆動モータ最大トルクTMmaxにして駆動モータ25の制御を行う。また、前記急加速制御処理手段の図示されない発電機トルク制御処理手段は、発電機トルク制御処理を行い、決定された発電機目標トルクTG* に基づいて発電機16のトルク制御を行う。
【0091】次に、図19のフローチャートについて説明する。
ステップS6−1 車両要求トルクTO* を読み込む。
ステップS6−2 駆動モータ目標トルクTM* に駆動モータ最大トルクTMmaxをセットする。
ステップS6−3 発電機目標トルクTG* に車両要求トルクTO* と駆動モータ目標トルクTM* との差トルクΔTをセットする。
ステップS6−4 駆動モータ制御処理を行う。
ステップS6−5 発電機トルク制御処理を行い、リターンする。
【0092】次に、図14のステップS14におけるエンジン始動制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0093】図20は本発明の第1の実施の形態におけるエンジン始動制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0094】まず、エンジン始動制御処理手段は、スロットル開度θを読み込み、スロットル開度θが0〔%〕である場合に、リングギヤ回転速度NRを読み込み、かつ、エンジン目標運転状態設定処理において決定されたエンジン11(図12)の運転ポイントを読み込む。なお、前記リングギヤ回転速度NRは、前述されたように、駆動モータロータ位置θMに基づいて算出される。
【0095】続いて、エンジン始動制御処理手段は、前記リングギヤ回転速度NR、及び前記運転ポイントにおけるエンジン目標回転速度NE* に基づいて、前記回転速度関係式によって発電機目標回転速度NG* を算出し、決定する。
【0096】前記エンジン始動制御処理手段の発電機回転速度制御処理手段は、発電機目標回転速度NG* に基づいて発電機回転速度制御処理を行い、発電機回転速度NGを高くし、それに伴って、エンジン回転速度NEを高くする。
【0097】そして、前記エンジン始動制御処理手段は、エンジン回転速度NEとあらかじめ設定された始動回転速度NEth1とを比較し、エンジン回転速度NEが始動回転速度NEth1より高いかどうかを判断する。エンジン回転速度NEが始動回転速度NEth1より高い場合、エンジン始動制御処理手段は、エンジン11において燃料噴射及び点火を行い、エンジン回転速度NEがエンジン目標回転速度NE* になるようにスロットル開度θを調整する。
【0098】続いて、前記エンジン始動制御処理手段は、エンジン11が正常に動作しているかどうかを判断するために、発電機トルクTGが、エンジン11の始動に伴うモータリングトルクTEthより小さいかどうかを判断し、発電機トルクTGがモータリングトルクTEthより小さい状態で所定時間が経過するのを待機する。
【0099】次に、図20のフローチャートについて説明する。
ステップS14−1 スロットル開度θが0〔%〕であるかどうかを判断する。スロットル開度θが0〔%〕である場合はステップS14−3に、0〔%〕でない場合はステップS14−2に進む。
ステップS14−2 スロットル開度θを0〔%〕にし、ステップS14−1に戻る。
ステップS14−3 リングギヤ回転速度NRを読み込む。
ステップS14−4 エンジン11の運転ポイントを読み込む。
ステップS14−5 発電機目標回転速度NG* を決定する。
ステップS14−6 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS14−7 エンジン回転速度NEが始動回転速度NEth1より高いかどうかを判断する。エンジン回転速度NEが始動回転速度NEth1より高い場合はステップS14−8に進み、エンジン回転速度NEが始動回転速度NEth1以下である場合はステップS14−3に戻る。
ステップS14−8 燃料噴射及び点火を行う。
ステップS14−9 スロットル開度θを調整する。
ステップS14−10 発電機トルクTGがモータリングトルクTEthより小さいかどうかを判断する。発電機トルクTGがモータリングトルクTEthより小さい場合はステップS14−11に進み、発電機トルクTGがモータリングトルクTEth以上である場合はステップS14−1に戻る。
ステップS14−11 所定時間が経過するのを待機し、リターンする。
【0100】次に、図14のステップS15におけるエンジン停止制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0101】図21は本発明の第1の実施の形態におけるエンジン停止制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0102】まず、エンジン停止制御処理手段は、発電機ブレーキB(図12)が解放されているかどうかを判断する。発電機ブレーキBが解放されておらず、係合させられている場合、前記エンジン停止制御処理手段は、エンジントルクTE相当分を発電機目標トルクTG* にセットする。次に、前記エンジン停止制御処理手段の発電機トルク制御処理手段は、前記発電機目標トルクTG* に従って発電機トルク制御処理を行う。そして、所定時間が経過すると、前記エンジン停止制御処理手段の発電機回転速度制御処理手段は、発電機回転速度制御処理を行う。その後、前記エンジン停止制御処理手段は発電機ブレーキBを解放する。なお、前記エンジントルクTE相当分は、エンジントルクTEに対する発電機トルクTGの比、すなわち、トルク比を学習することによって算出される。
【0103】また、前記発電機ブレーキBが解放されている場合、及び前記発電機回転速度制御処理が行われた場合、エンジン停止制御処理手段は、エンジン11における燃料噴射及び点火を停止させ、スロットル開度θを0〔%〕にする。
【0104】続いて、前記エンジン停止制御処理手段は、エンジン目標回転速度NE* を0〔rpm〕とし、前記リングギヤ回転速度NRを読み込み、該リングギヤ回転速度NR及びエンジン目標回転速度NE* (0〔rpm〕)に基づいて、前記回転速度関係式によって、発電機目標回転速度NG* を決定する。そして、前記発電機回転速度制御処理手段は発電機回転速度制御処理を行う。
【0105】次に、前記エンジン停止制御処理手段は、エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2以下であるかどうかを判断し、エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2以下である場合、発電機16に対するスイッチングを停止させ、発電機16のシャットダウンを行う。
【0106】次に、図21のフローチャートについて説明する。
ステップS15−1 発電機ブレーキBが解放されているかどうかを判断する。
発電機ブレーキBが解放されている場合はステップS15−7に、解放されていない場合はステップS15−2に進む。
ステップS15−2 エンジントルクTE相当分を発電機目標トルクTG* にセットする。
ステップS15−3 発電機トルク制御処理を行う。
ステップS15−4 所定時間が経過したかどうかを判断する。所定時間が経過した場合はステップS15−5に進み、経過していない場合はステップS15−3に戻る。
ステップS15−5 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS15−6 発電機ブレーキBを解放する。
ステップS15−7 燃料噴射及び点火を停止させる。
ステップS15−8 スロットル開度θを0〔%〕にする。
ステップS15−9 発電機目標回転速度NG* を決定する。
ステップS15−10 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS15−11 エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2以下であるかどうかを判断する。エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2以下である場合はステップS15−12に進み、エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2より大きい場合はステップS15−9に戻る。
ステップS15−12 発電機16に対するスイッチングを停止させ、リターンする。
【0107】次に、図14のステップS18における発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0108】図22は本発明の第1の実施の形態における発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0109】まず、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段は、発電機目標回転速度NG* を読み込み、該発電機目標回転速度NG* の絶対値が所定の第1の回転速度Nth1(例えば、500〔rpm〕)より小さいかどうかを判断する。発電機目標回転速度NG* の絶対値が第1の回転速度Nth1より小さい場合、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段は、発電機ブレーキB(図12)が解放されているかどうかを判断し、発電機ブレーキBが解放されている場合、発電機目標回転速度NG* に0〔rpm〕をセットする。
【0110】そして、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段の発電機回転速度制御処理手段は、発電機回転速度制御処理を行う。
【0111】次に、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段は、発電機回転速度NGの絶対値が所定の第2の回転速度Nth2(例えば、100〔rpm〕)より小さいかどうかを判断し、発電機回転速度NGの絶対値が第2の回転速度Nth2より小さい場合、発電機ブレーキBを係合させる。そして、発電機ブレーキBが係合させられた状態で所定時間が経過すると、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段は、発電機16に対するスイッチングを停止させ、発電機16のシャットダウンを行う。
【0112】一方、発電機目標回転速度NG* の絶対値が前記第1の回転速度Nth1以上である場合、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段は、発電機ブレーキBが係合させられているかどうかを判断し、係合させられていない場合、前記発電機回転速度制御処理手段は、発電機回転速度制御処理を行う。
【0113】また、発電機ブレーキBが係合させられている場合、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段は、前記エンジントルクTE相当分を発電機目標トルクTG* にセットする。そして、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段の発電機トルク制御処理手段は、発電機トルク制御処理を行う。
【0114】続いて、発電機トルク制御処理が行われた後、所定時間が経過すると、前記発電機回転速度制御処理手段は発電機回転速度制御処理を行う。そして、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段は発電機ブレーキBを解放する。
【0115】次に、図22のフローチャートについて説明する。
ステップS18−1 発電機目標回転速度NG* を読み込む。
ステップS18−2 発電機目標回転速度NG* の絶対値が第1の回転速度Nth1より小さいかどうかを判断する。発電機目標回転速度NG* の絶対値が第1の回転速度Nth1より小さい場合はステップS18−3に、発電機目標回転速度NG* の絶対値が第1の回転速度Nth1以上である場合はステップS18−4に進む。
ステップS18−3 発電機ブレーキBが解放されているかどうかを判断する。発電機ブレーキBが解放されている場合はステップS18−5に進み、解放されていない場合はリターンする。
ステップS18−4 発電機ブレーキBが係合させられているかどうかを判断する。発電機ブレーキBが係合させられている場合はステップS18−12に、係合させられていない場合はステップS18−11に進む。
ステップS18−5 発電機目標回転速度NG* に0〔rpm〕をセットする。
ステップS18−6 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS18−7 発電機回転速度NGの絶対値が第2の回転速度Nth2より小さいかどうかを判断する。発電機回転速度NGの絶対値が第2の回転速度Nth2より小さい場合はステップS18−8に進み、発電機回転速度NGの絶対値が第2の回転速度Nth2以上である場合はステップS18−6に戻る。
ステップS18−8 発電機ブレーキBを係合させる。
ステップS18−9 所定時間が経過したかどうかを判断する。所定時間が経過した場合はステップS18−10に進み、経過していない場合はステップS18−8に戻る。
ステップS18−10 発電機16に対するスイッチングを停止させ、リターンする。
ステップS18−11 発電機回転速度制御処理を行い、リターンする。
ステップS18−12 エンジントルクTE相当分を発電機目標トルクTG* にセットする。
ステップS18−13 発電機トルク制御処理を行う。
ステップS18−14 所定時間が経過したかどうかを判断する。所定時間が経過した場合はステップS18−15に進み、経過していない場合はステップS18−12に戻る。
ステップS18−15 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS18−16 発電機ブレーキBを解放し、リターンする。
【0116】次に、図22のステップS18−6の発電機回転速度制御処理のサブルーチンについて説明する。なお、図20のステップS14−6、図21のステップS15−5、S15−10、図22のステップS18−11、S18−15の発電機回転速度制御処理については、ステップS18−6の発電機回転速度制御処理と同じ処理が行われるので、その説明を省略する。
【0117】図23は本発明の第1の実施の形態における発電機回転速度制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0118】まず、前記発電機回転速度制御処理手段は、発電機目標回転速度NG* 及び発電機回転速度NGを読み込み、発電機目標回転速度NG* と発電機回転速度NGとの差回転速度ΔNGに基づいてPI制御を行い、発電機目標トルクTG* を算出し、決定する。この場合、差回転速度ΔNGが大きいほど、発電機目標トルクTG* は大きくされ、正負も考慮される。
【0119】続いて、前記発電機回転速度制御処理手段の発電機トルク制御処理手段は発電機トルク制御処理を行い、発電機16のトルク制御を行う。
【0120】次に、図23のフローチャートについて説明する。
ステップS18−6−1 発電機目標回転速度NG* を読み込む。
ステップS18−6−2 発電機回転速度NGを読み込む。
ステップS18−6−3 発電機目標トルクTG* を決定する。
ステップS18−6−4 発電機トルク制御処理を行い、リターンする。
【0121】次に、図23のステップS18−6−4における発電機トルク制御処理のサブルーチンについて説明する。なお、図19のステップS6−5、図21のステップS15−3、及び図22のステップS18−13の発電機トルク制御処理については、ステップS18−6−4の発電機トルク制御処理と同じ処理が行われるので、その説明を省略する。
【0122】図24は本発明の第1の実施の形態における発電機トルク制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0123】まず、前記発電機トルク制御処理手段は、発電機目標トルクTG* を読み込み、発電機ロータ位置θGを読み込み、該発電機ロータ位置θGに基づいて発電機回転速度NGを算出し、バッテリ電圧VBを読み込む。続いて、前記発電機トルク制御処理手段は、発電機目標トルクTG* 、発電機回転速度NG及びバッテリ電圧VBに基づいて、前記記録装置に記録された電流指令値マップを参照し、d軸電流指令値IGd* 及びq軸電流指令値IGq* を決定する。
【0124】また、前記発電機トルク制御処理手段は、電流センサ66(図12)、67から電流IGU、IGVを読み込むとともに、電流IGU、IGVに基づいて電流IGWIGW=IGU−IGVを算出する。なお、電流IGWを電流IGU、IGVと同様に電流センサによって検出することもできる。
【0125】続いて、前記発電機トルク制御処理手段は、3相/2相変換を行い、電流IGU、IGV、IGWをd軸電流IGd及びq軸電流IGqに変換し、該d軸電流IGd及びq軸電流IGq、並びに前記d軸電流指令値IGd* 及びq軸電流指令値IGq* に基づいて、電圧指令値VGd* 、VGq* を算出する。そして、前記発電機トルク制御処理手段は、2相/3相変換を行い、電圧指令値VGd*、VGq* を電圧指令値VGU* 、VGV* 、VGW* に変換し、該電圧指令値VGU* 、VGV* 、VGW* に基づいて、パルス幅変調信号SU、SV、SWを算出し、該パルス幅変調信号SU、SV、SWを発電機トルク制御処理手段のドライブ処理手段に出力する。該ドライブ処理手段は、パルス幅変調信号SU、SV、SWに基づいて前記インバータ28に駆動信号SG1を送る。
【0126】次に、図24のフローチャートについて説明する。
ステップS18−6−4−1 発電機目標トルクTG* を読み込む。
ステップS18−6−4−2 発電機ロータ位置θGを読み込む。
ステップS18−6−4−3 発電機回転速度NGを算出する。
ステップS18−6−4−4 バッテリ電圧VBを読み込む。
ステップS18−6−4−5 d軸電流指令値IGd* 及びq軸電流指令値IGq* を決定する。
ステップS18−6−4−6 電流IGU、IGVを読み込む。
ステップS18−6−4−7 3相/2相変換を行う。
ステップS18−6−4−8 電圧指令値VGd* 、VGq* を算出する。
ステップS18−6−4−9 2相/3相変換を行う。
ステップS18−6−4−10 パルス幅変調信号SU、SV、SWを出力し、リターンする。
【0127】ところで、前述されたように、駆動モータトルクTMの変化率を、発進時、急加速時等においてハイブリッド型車両を十分に加速させることができ、運転者の要求を満たすことができる程度に設定すると、高車速領域において駆動モータ25の消費電力が大きく変化し、それに伴って、バッテリ電圧VBが低くなり、発電機16の発電機トルクが低下してしまう。
【0128】この場合、発電機回転速度NGを低くするのに時間がかかり、発電機トルクの低下に追随することができないので、エンジン11の吹上りが発生するのを防止するために、エンジントルクTEを小さくすると、エンジン11の運転ポイントが最適燃料曲線L11(図17)から外れてしまう。
【0129】そこで、前記駆動モータ目標トルクTM* が決定されると、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段によって、駆動モータ目標トルクTM* が制限されるようになっている。
【0130】次に、図14のステップS21における駆動モータ目標トルク制限処理のサブルーチンについて説明する。
【0131】図25は本発明の第1の実施の形態における駆動モータ目標トルク制限処理のサブルーチンを示す図、図26は本発明の第1の実施の形態における駆動モータトルクと消費電力との関係を示す図である。
【0132】図26において、TM1は低車速時、例えば、低車速領域における駆動モータ25(図1)の駆動モータトルク、TM2は高車速時、例えば、高車速領域における駆動モータ25の駆動モータトルク、Pw11は低車速時、例えば、低車速領域における駆動モータ25の消費電力、Pw12は高車速時、例えば、高車速領域における駆動モータ25の消費電力である。
【0133】まず、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段は駆動モータ目標トルクTM*を読み込み、続いて、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段の図示されない車速領域判定処理手段は、車速領域判定処理を行い、駆動モータ回転速度NMを読み込み、前記駆動モータ回転速度NMが閾(しきい)値NMthより低いかどうかを判断し、駆動モータ回転速度NMが閾値NMthより低い場合、駆動モータ回転速度NMは低車速領域に属し、駆動モータ25は低車速領域で駆動されていると判断し、駆動モータ回転速度NMth以上である場合、駆動モータ回転速度NMは高車速領域に属し、駆動モータ25は高車速領域で駆動されていると判断する。
【0134】続いて、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段の駆動モータトルク変化率設定処理手段は、駆動モータトルク変化率設定処理を行い、駆動モータ25が低車速領域で駆動されている場合、低車速領域における制限値としての最大変化率ΔTM1を設定し、駆動モータ25が高車速領域で駆動されている場合、高車速領域における制限値としての最大変化率ΔTM2を設定する。
【0135】そのために、前記車両制御装置51の記録装置の駆動モータトルク変化率マップには、駆動モータトルクTMを図26に示されるように変化させることができるように、低車速領域における駆動モータトルクTMの変化率ΔTMの最大値が前記最大変化率ΔTM1として、高車速領域における駆動モータトルクTMの変化率ΔTMの最大値が前記最大変化率ΔTM2(<ΔTM1)として設定される。
【0136】続いて、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段の変量変化率算出処理手段92(図1)は、変量変化率算出処理を行い、低車速領域における最大変化率ΔTM1が設定されると、前記駆動モータ目標トルクTM* の変化率ΔTM* を算出する。そして、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段は、該変化率ΔTM* と前記最大変化率ΔTM1とを比較し、変化率ΔTM* が最大変化率ΔTM1以下である場合、前記変化率ΔTM* を駆動モータ目標トルクTM* を制限するための変化率ΔTM* としてセットし、変化率ΔTM* が最大変化率ΔTM1より大きい場合、前記最大変化率ΔTM1を駆動モータ目標トルクTM* を制限するための変化率ΔTM* としてセットする。
【0137】続いて、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段は、前記変化率ΔTM* に基づいて駆動モータ目標トルクTM* を制限する。したがって、図26に示されるように、低車速領域において駆動モータトルクTM1は早めに立ち上がる。
【0138】また、前記変量変化率算出処理手段92は、高車速領域における最大変化率ΔTM2が設定されると、前記駆動モータ目標トルクTM* の変化率ΔTM* を算出する。そして、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段は、前記変化率ΔTM* と前記最大変化率ΔTM2とを比較し、変化率ΔTM* が最大変化率ΔTM2以下である場合、前記変化率ΔTM* を駆動モータ目標トルクTM* を制限するための変化率ΔTM* としてセットし、変化率ΔTM* が最大変化率ΔTM2より大きい場合、前記最大変化率ΔTM2を駆動モータ目標トルクTM* を制限するための変化率ΔTM* としてセットする。
【0139】続いて、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段は、前記変化率ΔTM* に基づいて駆動モータ目標トルクTM* を制限する。したがって、図26に示されるように、高車速領域において駆動モータトルクTM2は緩く立ち上がる。
【0140】このように、駆動モータ目標トルク制限処理手段は、駆動モータ回転速度NMに対応させて、駆動モータ目標トルクTM* を変化率ΔTM* に基づいて制限し、駆動モータ回転速度NMが高くなるに従って変化率ΔTM* を小さくする。すなわち、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段は、駆動モータ25を駆動するに当たり、駆動モータ回転速度NMが低車速領域に属する場合、駆動モータ目標トルクTM* を最大変化率ΔTM1以下の変化率ΔTM* で、駆動モータ回転速度NMが高車速領域に属する場合、駆動モータ目標トルクTM* を最大変化率ΔTM2以下の変化率ΔTM* で変化させる。
【0141】この場合、最大変化率ΔTM1、ΔTM2は、それぞれ、低車速領域及び高車速領域において、駆動モータ回転速度NMが急激に高くなるのを防止し、ハイブリッド型車両の駆動力に大きな振動が発生するのを抑制することができる程度の低い値で、かつ、ハイブリッド型車両の加速性が低くならず、発進時、急加速時等においてハイブリッド型車両を十分に加速させることができ、運転者の要求を満たすことができる程度の値に設定される。したがって、ハイブリッド型車両の走行フィーリングを良くすることができる。
【0142】前記駆動モータ25の消費電力は、前述されたように、(駆動モータトルクTM)×(駆動モータ回転速度NM)×(モータ効率)
で表される。
【0143】したがって、低車速領域においては、発進時、急加速時等においてハイブリッド型車両を十分に加速させることができ、運転者の要求を満たすことができる程度に前記変化率ΔTM* が設定されても、駆動モータトルクTMが変化するのに伴って消費電力Pw11は大きく変化しない。一方、高車速領域においては、前記変化率ΔTM* が低車速領域における変化率ΔTM* より低く設定されるので、前記駆動モータトルクTM2が変化するのに伴って消費電力Pw12は大きく変化しない。
【0144】すなわち、高車速領域における変化率ΔTM* が低車速領域における変化率ΔTM* より低く設定されるので、消費電力Pw11の変化率ΔPw11と消費電力Pw12の変化率ΔPw12とは等しく、しかも、低くされる。したがって、低車速領域及び高車速領域において、消費電力Pw11、Pw12が大きく変化するのを防止することができる。
【0145】この場合、駆動モータ回転速度NMに対応させて前記変化率ΔTM* が制限されることによって、駆動モータ回転速度NMに対応させて消費電力Pw11、Pw12が制限され、駆動モータ回転速度NMが高くなるに従って消費電力Pw11、Pw12が大きくされる。
【0146】そして、消費電力Pw11、Pw12が大きく変化するのが防止されるので、バッテリ電圧VBは大きく変化しない。したがって、駆動モータトルクTMが不足することがない。また、高車速領域において、発電機回転速度NGを急速に低くする必要がなくなるので、発電機トルクTGに十分に余裕を持たせる必要がない。その結果、発電機16を小型化することができ、ハイブリッド型車両のコストを低くすることができる。
【0147】また、エンジン11の吹上りが発生するのを防止するためにエンジントルクを小さくする必要がない。したがって、エンジン11の運転ポイントが最適燃料曲線から外れることがないので、燃費を良くすることができる。また、スロットル開度θが急激に小さくなることがないので、排ガス中の有害物質を少なくすることができる。
【0148】なお、車両が電動車両の場合、車速Vと駆動モータ回転速度NMとが対応するので、車速Vが閾値Vthより低いかどうかを判断し、車速Vが閾値thより低い場合、車速Vは低車速領域に属し、駆動モータ25は低車速領域で駆動されていると判断し、車速Vが閾値Vth以上である場合、車速Vは高車速領域に属し、駆動モータ25は高車速領域で駆動されていると判断する。
【0149】本実施の形態においては、低車速時と高車速時とを分けるために、低車速領域及び高車速領域の二つの車速領域を設定し、各車速領域で変化率ΔTM* を異ならせるようにしているが、低車速領域及び高車速領域のほかに中車速領域等の他の一つ以上の車速領域を設定し、各車速領域で変化率を異ならせることもできる。また、検出された車速Vと変化率ΔTM* とを対応させ、変化率ΔTM* を連続的に変化させることもできる。
【0150】また、本実施の形態においては、各変化率ΔTM* はいずれも一定の値にされるが、変化率ΔTM* を、時間をパラメータとする変数で表すこともできる。その場合、駆動モータトルクTM1、TM2をそれぞれ変化させるのに必要な時間のうちの長い方の時間で駆動モータトルクTM1、TM2を積分し、積分値σTM1、σTM2を算出したとき、σTM1>σTM2にされる。
【0151】さらに、本実施の形態においては、変化率ΔPw11と変化率ΔPw12とを等しく設定するようになっているが、変化率ΔTM2が変化率ΔTM1より低くされるのであれば、変化率ΔPw11、ΔPw12は必ずしも等しく設定する必要はない。
【0152】次に、フローチャートについて説明する。
【0153】図25のフローチャートの説明を入力又は修正してください。
ステップS21−1 駆動モータ目標トルクTM* を読み込む。
ステップS21−2 駆動モータ回転速度NMを読み込む。
ステップS21−3 駆動モータ回転速度NMが閾値NMthより低いかどうかを判断する。駆動モータ回転速度NMが閾値NMthより低い場合はステップS21−4に、駆動モータ回転速度NMが閾値NMth以上である場合はステップS21−5に進む。
ステップS21−4 低車速領域における最大変化率ΔTM1を設定する。
ステップS21−5 高車速領域における最大変化率ΔTM2を設定する。
ステップS21−6 変化率ΔTM* が最大変化率ΔTM1より大きいかどうかを判断する。変化率ΔTM* が最大変化率ΔTM1より大きい場合はステップS21−8に、変化率ΔTM* が最大変化率ΔTM1以下である場合はステップS21−7に進む。
ステップS21−7 変化率ΔTM* に変化率ΔTM* をセットする。
ステップS21−8 変化率ΔTM* に最大変化率ΔTM1をセットする。
ステップS21−9 駆動モータ目標トルクTM* を制限し、リターンする。
ステップS21−10 変化率ΔTM* が最大変化率ΔTM2より大きいかどうかを判断する。変化率ΔTM* が最大変化率ΔTM2より大きい場合はステップS21−12に、変化率ΔTM* が最大変化率ΔTM2以下である場合はステップS21−11に進む。
ステップS21−11 変化率ΔTM* に変化率ΔTM* をセットし、ステップS9に進む。
ステップS21−12 変化率ΔTM* に最大変化率ΔTM1をセットし、ステップS9に進む。
【0154】次に、図14のステップS22における駆動モータ制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0155】図27は本発明の第1の実施の形態における駆動モータ制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0156】まず、駆動モータ制御処理手段は、図14のステップS21において制限された駆動モータ目標トルクTM* を読み込み、駆動モータロータ位置θMを読み込み、該駆動モータロータ位置θMに基づいて駆動モータ回転速度NMを算出し、バッテリ電圧VBを読み込む。続いて、前記駆動モータ制御処理手段は、駆動モータ目標トルクTM* 、駆動モータ回転速度NM及びバッテリ電圧VBに基づいて、前記記録装置に記録された電流指令値マップを参照し、d軸電流指令値IMd* 及びq軸電流指令値IMq* を決定する。
【0157】また、前記駆動モータ制御処理手段は、電流センサ68(図12)、69から電流IMU、IMVを読み込むとともに、電流IMU、IMVに基づいて電流IMWIMW=IMU−IMVを算出する。なお、電流IMWを電流IMU、IMVと同様に電流センサによって検出することもできる。
【0158】続いて、前記駆動モータ制御処理手段は、3相/2相変換を行い、電流IMU、IMV、IMWをd軸電流IMd及びq軸電流IMqに変換し、前記d軸電流IMd及びq軸電流IMq、並びに前記d軸電流指令値IMd* 及びq軸電流指令値IMq* に基づいて、電圧指令値VMd* 、VMq* を算出する。そして、前記駆動モータ制御処理手段は、2相/3相変換を行い、電圧指令値VMd* 、VMq* を電圧指令値VMU* 、VMV* 、VMW* に変換し、該電圧指令値VMU* 、VMV* 、VMW* に基づいて、パルス幅変調信号SU、SV、SWを算出し、該パルス幅変調信号SU、SV、SWを駆動モータ制御処理手段のドライブ処理手段に出力する。該ドライブ処理手段は、パルス幅変調信号SU、SV、SWに基づいて前記インバータ29に駆動信号SG2を送る。
【0159】次に、図27のフローチャートについて説明する。
ステップS22−1 駆動モータ目標トルクTM* を読み込む。
ステップS22−2 駆動モータロータ位置θMを読み込む。
ステップS22−3 駆動モータ回転速度NMを算出する。
ステップS22−4 バッテリ電圧VBを読み込む。
ステップS22−5 d軸電流指令値IMd* 及びq軸電流指令値IMq* を決定する。
ステップS22−6 電流IMU、IMVを読み込む。
ステップS22−7 3相/2相変換を行う。
ステップS22−8 電圧指令値VMd* 、VMq* を算出する。
ステップS22−9 2相/3相変換を行う。
ステップS22−10 パルス幅変調信号SU、SV、SWを出力し、リターンする。
【0160】ところで、ハイブリッド型車両の慣性によって、車速Vは直ちには変化しないと仮定すると、駆動モータ回転速度NMも直ちには変化しない。そこで、アクセルペダル54を急激に踏み込んだときの車両要求トルクTO* に基づいて駆動軸要求トルクTRout* を算出することができる。また、該駆動軸要求トルクTRout* と現在の駆動モータ回転速度NMとを乗算することによって駆動軸要求出力PRoutを算出することができる。一方、現在の駆動軸トルクTRoutと現在の駆動モータ回転速度NMとを乗算することによって、現在の駆動軸出力PCを算出することができる。
【0161】そこで、前記駆動軸要求出力PRoutと駆動軸出力PCとの出力差分ΔPの変化率を制限するようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0162】図28は本発明の第2の実施の形態における駆動モータ目標トルク制限処理のサブルーチンを示す図である。
【0163】この場合、変量制限処理手段93(図1)としての駆動モータ目標トルク制限処理手段は、駆動モータ目標トルク制限処理を行い、車両要求トルクTO* を読み込み、該車両要求トルクTO* 及びギヤ比GMWに基づいて駆動軸要求トルクTRout* を算出することができる。次に、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段は、駆動モータ回転速度NMを読み込み、前記駆動軸要求トルクTRout* と駆動モータ回転速度NMとを乗算することによって、駆動軸要求出力PRoutPRout=TRout* ・NMを算出する。
【0164】続いて、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段の図示されない出力差分算出処理手段は、駆動軸トルクTRoutを読み込み、該駆動軸トルクTRoutと前記駆動モータ回転速度NMとを乗算することによって、現在の駆動軸出力PCPC=TRout・NMを算出し、前記駆動軸要求出力PRoutと現在の駆動軸出力PCとの差、すなわち、出力差分ΔPΔP=PRout−PCを算出する。なお、前記出力差分算出処理手段は、前記駆動モータ25の駆動に対応して変化する変量を表す電力の変化率として出力差分ΔPを算出する変量変化率算出処理手段92を構成する。
【0165】続いて、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段は、前記出力差分ΔPが、あらかじめ設定された制限値としての電力変化率制限値ΔPth1より大きいかどうかを判断し、出力差分ΔPが電力変化率制限値ΔPth1より大きい場合、出力差分ΔPに電力変化率制限値ΔPth1をセットする。
【0166】次に、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段は、現在の駆動軸出力PCに前記出力差分ΔPにセットされた電力変化率制限値ΔPth1を加算し、駆動モータ目標トルクTM* を制限するための駆動軸要求出力PRoutを算出する。続いて、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段は、前記駆動軸要求出力PRoutを駆動モータ回転速度NMで除算することによって、駆動モータ目標トルクTM* を算出し、制限する。
【0167】なお、前記電力変化率制限値ΔPth1は、低車速領域及び高車速領域において、駆動モータ回転速度NMが急激に高くなるのを防止し、ハイブリッド型車両の駆動力に大きな振動が発生するのを抑制することができる程度の低い値で、かつ、ハイブリッド型車両の加速性が低くならず、発進時、急加速時等においてハイブリッド型車両を十分に加速させることができ、運転者の要求を満たすことができる程度の値に設定される。
【0168】例えば、電力変化率を40〔kW/s〕で制限し、駆動モータ目標トルク制限処理が2〔ms〕で行われている場合、前記電力変化率制限値ΔPth1は80〔W〕になる。
【0169】次に、フローチャートについて説明する。
【0170】図28のフローチャートの説明を入力又は修正してください。
ステップS21−21 車両要求トルクTO* を読み込む。
ステップS21−22 駆動モータ回転速度NMを読み込む。
ステップS21−23 駆動軸要求出力PRoutを算出する。
ステップS21−24 現在の駆動軸出力PCを算出する。
ステップS21−25 出力差分ΔPを算出する。
ステップS21−26 出力差分ΔPが電力変化率制限値ΔPth1より大きいかどうかを判断する。出力差分ΔPが電力変化率制限値ΔPth1より大きい場合はステップS21−27に、出力差分ΔPが電力変化率制限値ΔPth1以下の場合はステップS21−28に進む。
ステップS21−27 出力差分ΔPに電力変化率制限値ΔPth1をセットする。
ステップS21−28 駆動軸要求出力PRoutに現在の駆動軸出力PCに出力差分ΔPを加算した値をセットする。
ステップS21−29 駆動モータ目標トルクTM* を制限し、リターンする。
【0171】次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0172】図29は本発明の第3の実施の形態における駆動モータ目標トルク制限処理のサブルーチンを示す図である。
【0173】この場合、前記変量制限処理手段93(図1)としての駆動モータ目標トルク制限処理手段は、駆動モータ目標トルク制限処理を行い、車両要求トルクTO*を読み込み、該車両要求トルクTO* 及びギヤ比GMWに基づいて駆動軸要求トルクTRout* を算出することができる。次に、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段は、駆動モータ回転速度NMを読み込み、前記駆動軸要求トルクTRout* と駆動モータ回転速度NMとを乗算することによって、駆動軸要求出力PRoutPRout=TRout* ・NMを算出する。
【0174】続いて、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段の図示されない出力差分算出処理手段は、駆動軸トルクTRoutを読み込み、該駆動軸トルクTRoutと前記駆動モータ回転速度NMとを乗算することによって、現在の駆動軸出力PCPC=TRout・NMを算出し、出力差分ΔPΔP=PRout−PCを算出する。なお、前記出力差分算出処理手段は、前記駆動モータ25の駆動に対応して変化する変量を表す電流の変化率として出力差分ΔPを算出する変量変化率算出処理手段92を構成する。
【0175】次に、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段は、バッテリ電圧VBを読み込み、該バッテリ電圧VBとあらかじめ設定された制限値としての電流変化率制限値ΔIthとを乗算し、電力変化率制限値ΔPth2を算出する。
【0176】続いて、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段は、前記出力差分ΔPが、前記電力変化率制限値ΔPth2より大きいかどうかを判断し、出力差分ΔPが電力変化率制限値ΔPth2より大きい場合、出力差分ΔPに電力変化率制限値ΔPth2をセットし、前記出力差分ΔPを駆動モータ回転速度NMで除算することによって、駆動モータ目標トルクTM* を算出し、制限する。
【0177】次に、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段は、現在の駆動軸出力PCに前記出力差分ΔPにセットされた電力変化率制限値ΔPth2を加算し、駆動モータ目標トルクTM* を制限するための駆動軸要求出力PRoutを算出する。続いて、前記駆動モータ目標トルク制限処理手段は、前記駆動軸要求出力PRoutを駆動モータ回転速度NMで除算することによって、駆動モータ目標トルクTM* を算出し、制限する。
【0178】なお、前記電力変化率制限値ΔPth2は、低車速領域及び高車速領域において、駆動モータ回転速度NMが急激に高くなるのを防止し、ハイブリッド型車両の駆動力に大きな振動が発生するのを抑制することができる程度の低い値で、かつ、ハイブリッド型車両の加速性が低くならず、発進時、急加速時等においてハイブリッド型車両を十分に加速させることができ、運転者の要求を満たすことができる程度の値に設定される。
【0179】なお、例えば、電流変化率を100〔A/秒〕で制限した場合、駆動モータ目標トルク制限処理が2〔m秒〕で実行される場合、電流変化率制限値ΔIthは0.2〔A〕になる。
【0180】次に、フローチャートについて説明する。
【0181】図29のフローチャートの説明を入力又は修正してください。
ステップS21−31 車両要求トルクTO* を読み込む。
ステップS21−32 駆動モータ回転速度NMを読み込む。
ステップS21−33 駆動軸要求出力PRoutを算出する。
ステップS21−34 現在の駆動軸出力PCを算出する。
ステップS21−35 出力差分ΔPを算出する。
ステップS21−36 バッテリ電圧VBを読み込む。
ステップS21−37 電力変化率制限値ΔPth2を算出する。
ステップS21−38 出力差分ΔPが電力変化率制限値ΔPth2より大きいかどうかを判断する。出力差分ΔPが電力変化率制限値ΔPth2より大きい場合はステップS21−39に、出力差分ΔPが電力変化率制限値ΔPth2以下の場合はステップS21−40に進む。
ステップS21−39 出力差分ΔPに電力変化率制限値ΔPth2をセットする。
ステップS21−40 駆動軸要求出力PRoutに現在の駆動軸出力PCに出力差分ΔPを加算した値をセットする。
ステップS21−41 駆動モータ目標トルクTM* を制限し、リターンする。
【0182】なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0183】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、電動車両用駆動装置においては、電力を蓄えるバッテリと、該バッテリに蓄えられた電力を受けて駆動され、駆動モータトルクを発生させる駆動モータと、前記駆動モータの駆動に対応して変化する変量を算出する変量算出処理手段と、前記変量の変化率を算出する変量変化率算出処理手段と、前記変量の変化率を制限値に基づいて制限する変量制限処理手段とを有する。
【0184】この場合、駆動モータの駆動に対応して変化する変量が算出され、該変量の変化率が算出され、該変量の変化率が制限値に基づいて制限される。したがって、発進時、急加速時等において電動車両を十分に加速させることができ、運転者の要求を満たすことができる程度に駆動モータトルクの変化率を設定することができる。その結果、駆動力に大きな振動が発生するのを抑制することができるので、電動車両の走行フィーリングを良くすることができる。
【0185】また、低車速時及び高車速時において、駆動モータトルクが変化するのに伴って駆動モータの消費電力が大きく変化するのを防止することができるので、バッテリ電圧を安定させることができる。その結果、バッテリ電圧が急激に低くなることがないので、駆動モータの駆動モータトルクが不足することがない。
【0186】本発明のハイブリッド型車両用駆動装置においては、エンジントルクの少なくとも一部を受けて電力を発生させ、かつ、エンジン回転速度を制御するための発電機と、該発電機によって発生させられた電力を蓄えるバッテリと、前記発電機によって発生させられた電力、及びバッテリに蓄えられた電力のうちの少なくとも一方を受けて駆動され、駆動モータトルクを発生させる駆動モータと、前記駆動モータの駆動に対応して変化する変量を算出する変量算出処理手段と、前記変量の変化率を算出する変量変化率算出処理手段と、前記変量の変化率を制限値に基づいて制限する変量制限処理手段とを有する。
【0187】この場合、駆動モータの駆動に対応して変化する変量が算出され、該変量の変化率が算出され、該変量の変化率が制限値に基づいて制限される。したがって、駆動モータを駆動したときに消費される消費電力の変化率が制限されるので、発進時、急加速時等においてハイブリッド型車両を十分に加速させることができ、運転者の要求を満たすことができる程度に駆動モータトルクの変化率を設定することができる。したがって、駆動力に大きな振動が発生するのを抑制することができるので、ハイブリッド型車両の走行フィーリングを良くすることができる。
【0188】また、低車速時及び高車速時において、駆動モータトルクが変化するのに伴って駆動モータの消費電力が大きく変化するのを防止することができるので、バッテリ電圧を安定させることができる。その結果、バッテリ電圧が急激に低くなることがないので、駆動モータの駆動モータトルクが不足することがない。
【0189】そして、高車速時において、発電機回転速度を急速に低くする必要がなくなるので、発電機トルクに十分に余裕を持たせる必要がない。したがって、発電機を小型化することができ、ハイブリッド型車両のコストを低くすることができる。
【0190】さらに、エンジンの吹上りが発生するのを防止するためにエンジントルクを小さくする必要がない。したがって、エンジンの運転ポイントが最適燃料曲線から外れることがないので、燃費を良くすることができる。また、スロットル開度が急激に小さくなることがないので、排ガス中の有害物質を少なくすることができる。
【出願人】 【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
【出願日】 平成13年3月29日(2001.3.29)
【代理人】 【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠 (外2名)
【公開番号】 特開2002−300702(P2002−300702A)
【公開日】 平成14年10月11日(2002.10.11)
【出願番号】 特願2001−97324(P2001−97324)