| 【発明の名称】 |
自走車両 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊瀬 政純
【氏名】森下 勝之
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| 【要約】 |
【課題】構成の複雑化を招くことなく、バッテリーが過放電を起こすおそれを少なくしながらも、太陽電池の発電能力を最大限に活用することが可能となる自走車両を提供する。
【解決手段】走行駆動用の電動モータ4と、その電動モータ4に駆動用電力を供給するバッテリー17と、走行駆動用の動力を出力するエンジン2と、車両の走行運転状態を制御する車両制御部6とを備えた自走車両において、太陽電池30により発電された電力をバッテリー17に充電するように構成し、バッテリー17の充電状態が高充電状態よりも低いときにはバッテリー17の充電状態が目標充電状態になるように、且つ、バッテリー17の充電状態が高充電状態よりも高いときにはエンジン2の出力を減少させてバッテリー17を放電させるように、電動モータ4の作動とエンジン2の作動を管理する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行駆動用の電動モータと、その電動モータに駆動用電力を供給するバッテリーと、走行駆動用の動力を出力するエンジン、又は、燃料にて作動して前記バッテリーを充電するあるいは前記電動モータを駆動する電力を発電する発電手段と、車両の運転を管理する運転制御手段とが備えられた自走車両であって、太陽電池が備えられて、その太陽電池により発電された電力を前記バッテリーに充電するように構成され、前記運転制御手段が、前記バッテリーの充電状態が予め設定された高充電状態よりも低いときには、前記バッテリーの充電状態が前記高充電状態よりも低く設定された目標充電状態になるように、前記電動モータの作動、並びに、前記エンジンの作動あるいは前記発電手段の作動を管理する目標状態維持運転制御を実行し、且つ、前記バッテリーの充電状態が前記高充電状態よりも高いときには、前記バッテリーの放電を促進させるように、前記目標状態維持運転制御よりも前記エンジンの出力を減少させる、あるいは、前記発電手段の発電出力を減少させる状態で、前記電動モータの作動、並びに、前記エンジンの作動あるいは前記発電手段の作動を管理する放電量増加運転制御を実行するように構成されている自走車両。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、走行駆動用の電動モータと、その電動モータに駆動用電力を供給するバッテリーと、走行駆動用の動力を出力するエンジン、又は、燃料にて作動して前記バッテリーを充電するあるいは前記電動モータを駆動する電力を発電する発電手段と、車両の運転を管理する運転制御手段とが備えられた自走車両に関する。 【0002】 【従来の技術】上記構成の自走車両は、例えば、走行駆動用の電動モータと走行駆動用の動力を出力するエンジンとを備えて、エンジンの動力と電動モータの動力とを併用して走行駆動するようなパラレル方式のハイブリッド車両や、前記発電手段として、エンジンの動力により駆動されるエンジン駆動式の発電機を備えて、その発電機により前記バッテリーを充電し、そのバッテリーからの電力により走行駆動用の電動モータを駆動するシリーズ方式のハイブリッド車両、及び、前記発電手段として燃料電池を搭載し、その燃料電池からの電力により走行駆動用の電動モータを駆動する燃料電池式電動車両等がある。因みに、これらのいずれのタイプの車両でも、走行減速時には、電動モータによる回生電力を利用してバッテリーに充電を行うようになっている。 【0003】そして、このような自走車両において、従来より、太陽電池を備えて、発電手段の負荷を軽減させるようにする技術が提案されている。例えば、特開平8−251711号公報に示されるように、電動モータとエンジンとを備えたハイブリッド車両において、太陽電池にて発電した充電電流をバッテリーに充電することができるように構成され、バッテリーの充電電圧が設定値よりも低いときには、太陽電池からの充電が行われるが、バッテリーの充電電圧が設定値を越えると、太陽電池からバッテリーへの充電は行われないように電流制御する構成のものがあった(以下、第1の従来技術という)。つまり、この第1の従来技術では、バッテリーの充電電圧が設定値よりも低いときには、バッテリーに対する充電を太陽電池でも行うようにして、バッテリーの充電電圧が設定値を越えているときは、太陽電池が発電する発電電流は充電用の電流として流れない構成となっている。 【0004】ところで、上記第1の従来技術においては、バッテリーの充電電圧が設定値よりも低いときは太陽電池による充電が行われるので、太陽電池による発電電力を有効に活用できるが、バッテリーの充電電圧が高いときには太陽電池の発電電力を利用しないので、太陽電池の発電能力を有効に活用できないという不利な面がある。 【0005】尚、上記第1の従来技術の構成において、太陽電池による充電を行うか否かの判定基準となる前記設定値を予め低めの値に設定して、太陽電池の発電能力をできるだけ有効に利用することも考えられるが、このように構成しておくと、車両の走行運転が行われるときに、バッテリーの充電電圧が低すぎて電力が不足することがある。そうすると、例えば、エンジンにて発電機を駆動してバッテリーに充電する構成等において、発電機を駆動するエンジンにおける燃料消費量が多くなる等の不利な面がある。 【0006】そこで、上述したような不利を解消する構成として、例えば、特開2000−253504号公報に示されるものがあった。すなわち、バッテリーの充電量が予め設定された目標充電量になるように、発電手段の一例である発電機の起動・停止を制御するように構成されているハイブリッド車両において、太陽電池にて発電した充電電流を常にバッテリーに充電することができるように構成され、太陽電池の発電状態、具体的には、時刻の情報、その日の湿度や大気圧などの天候情報、及び、車両の方角や傾斜角などの姿勢情報等の各種の情報に基づいて、前記目標充電量を変更させるようにしている。例えば、太陽電池の出力が低いと予測されるときには目標充電量を高い値にさせ、太陽電池の出力が高いと予測されるときには目標充電量を低い値にさせる構成となっている。これは、太陽電池の出力が低くても電動モータの駆動等を適正な状態で行えるようにして、太陽電池の出力が高いときには、太陽電池による発電電力が多くなるので、バッテリーの充電量を予め低めに設定しておくことにより太陽電池による発電電力を適正に充電できるようにしたものである。(以下、第2の従来技術という)。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】上記第2の従来技術は、太陽電池が発電する発電電流は常に充電用の電流として流れることになり、太陽電池の発電能力を最大限に活用することにより、発電手段における燃料消費量を抑制するようにしたものであるが、この第2の従来技術においても次のような面で未だ改善の余地がある。すなわち、上記構成によれば、太陽電池の出力を予測するために、時刻の情報、その日の湿度や大気圧などの天候情報、及び、車両の方角や傾斜角などの姿勢情報等の各種の情報を検出して、それら各種の検出情報に基づいて目標充電量を変更させる構成となっており、このような各種の情報を検出するための各種の検出手段が必要であり、それだけ部品点数が増加して構成が複雑になる不利がある。 【0008】本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、太陽電池の発電状態を検出するための構成を設けるなどの構成の複雑化を招くことなく、太陽電池の発電能力を最大限に活用することが可能となる自走車両を提供する点にある。 【0009】 【課題を解決するための手段】請求項1によれば、走行駆動用の電動モータと、その電動モータに駆動用電力を供給するバッテリーと、走行駆動用の動力を出力するエンジン、又は、燃料にて作動して前記バッテリーを充電する、あるいは、前記電動モータを駆動する電力を発電する発電手段と、車両の運転を管理する運転制御手段とが備えられた自走車両において、太陽電池が備えられて、その太陽電池により発電された電力を前記バッテリーに充電するように構成され、前記運転制御手段が、前記バッテリーの充電状態が予め設定された高充電状態よりも低いときには、前記バッテリーの充電状態が前記高充電状態よりも低く設定された目標充電状態になるように、前記電動モータの作動、並びに、前記エンジンの作動あるいは前記発電手段の作動を管理する目標状態維持運転制御を実行し、且つ、前記バッテリーの充電状態が前記高充電状態よりも高いときには、前記バッテリーの放電を促進させるように、前記目標状態維持運転制御よりも前記エンジンの出力を減少させる、あるいは、前記発電手段の発電出力を減少させる状態で、前記電動モータの作動、並びに、前記エンジンの作動あるいは前記発電手段の作動を管理する放電量増加運転制御を実行するように構成されていることを特徴とする。 【0010】すなわち、太陽電池が備えられて、その太陽電池にて発電された電力はバッテリーに充電される構成となっており、光があたっている間は太陽電池は常に発電し続けるので、そのような状態ではバッテリーに対して継続して充電が行われることになる。 【0011】そして、車両の運転を制御する運転制御手段は、バッテリーの充電状態が予め設定された高充電状態よりも低いときは、バッテリーの充電状態が高充電状態よりも低く設定された目標充電状態になるように、電動モータの作動、並びに、エンジンの作動あるいは発電手段の作動を管理する目標状態維持運転制御を実行することになる。すなわち、バッテリーの充電状態が高充電状態よりも低いときは、太陽電池による充電電力が車両の電力消費によって適正に消費されている状態であると考えられるから、このような場合には、バッテリーの充電状態は予め設定された目標充電状態になるように車両の運転が制御され適正な充電状態が維持されるのである。 【0012】バッテリーの充電状態が予め設定された高充電状態よりも高いときは、前記運転制御手段は、バッテリーの放電を促進させるように、目標状態維持運転制御よりもエンジンの出力を減少させる、あるいは、発電手段の発電出力を減少させる状態で、電動モータの作動、並びに、エンジンの作動あるいは発電手段の作動を管理する放電量増加運転制御を実行するのである。すなわち、バッテリーの充電状態が高充電状態よりも高いときは、上記したような目標状態維持運転制御を実行しているだけでは太陽電池による充電が車両の電力消費に比べて過剰になっていると考えられる状況であるから、この場合には、エンジンの出力を減少させて電動モータの走行駆動力を増大させて電動モータによる電力消費を増加させたり、あるいは、発電手段の発電出力を減少させて、発電手段によるバッテリーへの充電量を減らすことで、バッテリーからの電力消費量を増加させるのである。このようにして、太陽電池の出力が大きい状態であっても、バッテリーからの電力消費量を多くさせた状態で運転を継続させることができる。そして、太陽電池の出力が低下することにより、バッテリーの充電状態が高充電状態よりも低くなると、前記目標状態維持運転制御を実行する状態に戻るので、その後は、バッテリーの充電状態が目標充電状態になるように運転が制御される。 【0013】尚、前記放電量増加運転制御においてエンジンの出力を減少させる場合の具体的な例としては、次のような構成がある。例えば、電動モータとエンジンの両方で車両を走行駆動しているときには、エンジンの出力を減少させる構成として、電動モータによる動力とエンジンによる動力との動力分配率を、エンジンの比率が低下するように出力を低下させることで対応できる。又、車両の発進時に車速が設定速度に上昇するまで電動モータにて走行駆動し、速度が上昇したのちエンジンを起動して動力を出力させるような構成においては、エンジンの出力を減少させる構成として、例えば、エンジンによる出力を停止して電動モータだけの出力で走行駆動させるようにしたり、前記設定速度を高い値に変更してエンジンの起動のタイミングを遅らせること等により対応できる。 【0014】そして、太陽電池によるバッテリーへの充電は常に実行可能な状態となっており、太陽電池の発電状態には関係なくバッテリーの充電状態によって制御状態を変更しているので、太陽電池の発電状態を検出するための構成等も不要で構成が複雑化することもない。 【0015】従って、太陽電池の発電状態を検出するための構成を設けるなどの構成の複雑化を招くことなく、太陽電池の発電能力を最大限に活用することが可能となる自走車両を提供できるに至った。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る自走車両の一例としてのハイブリッド車両について図面に基づいて説明する。図1に、自走車両の一例としてのハイブリッド車両のシステム構成を示している。このハイブリッド車両は、後述するような遊星ギア機構1、エンジン2、発電機3、及び、電動モータ4等が一体的に組み付けられた駆動ユニットKが設けられ、この駆動ユニットKが、走行装置としての左右の前輪5を駆動する走行用駆動力を発生するように構成されている。そして、このハイブリッド車両には太陽電池30が備えられ、この太陽電池30により、後述するように車両に搭載されるバッテリーを充電するように構成されている。尚、詳述はしないが、太陽電池30は車両のボンネット部や屋根部などに太陽光を受光可能な状態で装着される。 【0017】次に駆動ユニットKの構成について説明する。図2に示すように、エンジン2、電動モータ4、及び、発電機3は夫々、遊星ギア機構1を介して機械的に結合されており、遊星ギア機構1は、中央軸芯周りで回転するサンギア18、サンギア18の外周を係合して自転しながら中央軸芯周りで公転する3個の遊星ピニオンギア19、さらにその外周で各遊星ピニオンギア19に係合しながら回転するリングギア20が備えられ、前記3個の遊星ピニオンギア19はキャリア21にて軸支され一体的に中央軸芯周りで公転するように構成されている。この遊星ギア機構1に対して、エンジン2の出力軸2aがキャリア21に結合され、発電機3の駆動軸3aがサンギア18に結合され、電動モータ4の駆動軸4aがカウンタギア22を介してリングギア20に結合されている。又、前記電動モータ4の駆動軸4aはカウンターギア22及びディファレンシャルギア23を介して左右の前輪5に結合されている。つまり、電動モータ4と各前輪5とは連動連結される状態であり常に同期して回転する状態となっている。 【0018】上記構成の遊星ギア機構1では、前記各ギアに夫々結合されている3つの軸、つまり、エンジン2の出力軸2a、発電機3の駆動軸3a、及び、電動モータ4の駆動軸4aのうち、2つの軸の回転状態(回転速度や回転トルク等)が定まると、残りの1つの軸の回転状態は一義的に定まる特性を有している。これらの間での回転速度の関係は、図4に示すような共線図で表すことができる。前記各ギアが停止している状態(速度ゼロ)であれば、図の特性線L1で示す状態となる。そして、エンジン2が停止している状態で電動モータ4のみにより走行駆動させるモータ走行状態では、図の特性線L2で示すように電動モータ4を前進方向側に回転駆動する。このとき、エンジン2は停止しており、発電機3は発電方向とは逆向きの自由回転状態となる。前記モータ走行状態においてエンジン2を始動させるときには、図の特性線L3で示すように、発電機3を電動モータとして機能させて設定回転速度で駆動させてエンジン2を始動させる。エンジン2が始動すると、図の特性線L4で示すように、発電機3は回転停止状態に維持され、その後はエンジン2の動力と電動モータ4の動力により走行駆動される。バッテリー17の充電が必要なときは、図の特性線L5で示すようにエンジン2の回転速度を上げて発電機3を駆動して発電させることができる。 【0019】このように、エンジン2の出力軸、発電機3の駆動軸、及び、電動モータ4の駆動軸の夫々の回転速度の関係は共線図上で常に一直線として規定されることになる。発電機3及び電動モータ4は、夫々、交流同期式の電動機で構成され、これらに対する駆動電流の供給方向と電流値を調節して回転方向や回転速度を制御することが可能であり、駆動ユニットKは無段階に走行速度を変更させることができる構成となっている。 【0020】次に、このハイブリッド車両における駆動ユニットKに対する制御構成について説明する。図3にも示すように、車両全体の動作を統括して管理する車両制御部6、この車両制御部6からの制御情報に基づいて前記電動モータ4の動作を制御するモータ制御部7、車両制御部6からの制御情報に基づいて前記発電機3の動作を制御する発電機制御部8、車両制御部6からの制御情報に基づいて前記エンジン2の出力、具体的には、電子スロットル弁9のスロットル開度及びインジェクタ(図示せず)の燃料噴射量を自動調節するエンジン制御部10夫々が備えられ、アクセル操作具11の操作量を検出するアクセル操作量検出センサS1、ブレーキ操作具13の操作量(操作圧)を検出するブレーキ操作量検出センサS2、シフトポジションレバー15の位置を検出するシフトポジションセンサS3、前輪5の車軸の回転速度に基づいて車速を検出する車速センサS4、及び、バッテリーの充電状態を検出するための充電状態検出部S5等による各種の検出情報が車両制御部6に入力される構成となっている。 【0021】前記シフトポジションレバー15の位置としては、「P」(駐車位置)、「R」(後進走行位置)、「N」(中立位置)、「D」(前進走行位置)、「B」(制動力が大きめに作用する前進走行位置)があり、運転者により運転状況に応じて適宜、切り換え操作されることになる。 【0022】前記電動モータ4、発電機3並びに前記各制御部に対する駆動電力は、バッテリー17から供給され、このバッテリー17は後述するように発電機3や電動モータ4からの発電電力によって充電されるとともに、太陽電池30の発電電力によっても充電される構成となっている。 【0023】そして、前記車両制御部6が、アクセル操作具11の操作量の情報、ブレーキ操作具13の操作量の情報、シフトポジションレバー15の位置の情報、車速センサS4による検出情報等の走行用の駆動力調整情報、及び、充電状態検出部S5にて検出されるバッテリーの充電状態から求められる電池要求電力情報に基づいて、エンジンを始動させるか否かの判断処理や駆動ユニットKに対する要求駆動力を求める処理、駆動ユニットKにて要求駆動力を出力させる出力処理等を実行するように構成されている。出力処理においては、車両制御部6が、駆動ユニットKにて要求駆動力を出力させるように、モータ制御部7、発電機制御部8、及び、エンジン制御部10に制御情報を出力して、エンジン2、発電機3及び電動モータ4の出力を制御するようになっている。 【0024】以下、車両が停車している状態から発進して走行し、その後、減速して停止するまでの各操作段階での夫々の運転モードにおける制御内容について簡単に説明する。バッテリーが十分充電されており充電する必要がないときに、エンジン2、電動モータ4、及び、発電機3が回転を停止している停止状態(図4の特性線L1に対応)から、アクセルが踏み込み操作されると、先ず、エンジン2を停止した状態で電動モータ4に前進走行用の駆動トルクを発生させて車両を発進させる(図4の特性線L2に対応)。走行速度が設定速度(約10km/h)を越えてエンジン2の駆動力が必要である場合には、発電機3を回転駆動させてエンジン2を始動させる(図4の特性線L3に対応)。つまり、車両制御部6がエンジン2の始動に必要な目標回転速度を求め、その目標回転速度の指令情報を発電機制御部8に指令し、発電機制御部8が、対応する目標回転速度になるように発電機3に対する駆動用の供給電流値を制御する。発電機制御部8により発電機3が駆動トルクを生じている状態から回生制動トルクを発生している状態になったことが判断されることにより、エンジン2の始動が確認されると、その後はバッテリーの充電の必要がなければ発電機3の回転を停止させる(図4の特性線L4に対応)。 【0025】尚、車両走行中においてバッテリー17の充電状態が低下して充電が必要であると判断されると、エンジン2の動力により発電機3を駆動して発電してバッテリー17を充電する(図4の特性線L5に対応)。又、図示はしないが、車両走行停止中、すなわち、電動モータ4が駆動停止しているときに、バッテリー17の充電が必要であると判断されると、エンジン2を始動してエンジン2の動力により発電機3を駆動して発電する。 【0026】エンジン2が始動した後において、後で詳述するように、エンジン2に対するスロットル開度及び燃料噴射量は、エンジンの回転速度の変化に対して運転効率が最も大きくなるような最適燃費ラインに沿って変化するように電子スロットル弁9やインジェクタを自動調節する構成となっている。そして、車両走行中において、上記したような最適燃費ラインに基づくエンジンの駆動力では不足する走行駆動力を電動モータ4により出力するようになっている。車速が高速であれば、回生制動力を発生するための目標電流値を求めて、電動モータ4からバッテリー17に供給される電流が目標電流値になるように電流量を調整制御する。このとき、電動モータ4は発電機として機能し発電した電力はバッテリ17に蓄電される構成となっている。 【0027】上述したような駆動ユニットKに対する走行駆動力の調整処理によって車両の運転が管理されることになり、車両制御部6、モータ制御部7、発電機制御部8、エンジン制御部10の夫々により、車両の運転を管理する管理制御手段としての制御手段Hが構成される。この制御手段Hの制御内容について図面を参照しながら説明を加えると、図5に示すように、先ず、アクセル操作量検出センサS1にて検出されるアクセル操作具11の操作量の情報、ブレーキ操作量検出センサS2にて検出されるブレーキ操作具13の操作量の情報、シフトポジションセンサS3にて検出されるシフトポジションレバー15の位置の情報、車速センサS4にて検出される車速検出情報、充電状態検出部S5の検出情報の夫々を取り込み、それらの各種の情報に基づいて、現在の車両の走行状態が上述したような各種の運転モードのうちのいずれの運転モードにあるかを判断する処理や、上記各種の検出情報に基づいて、前記要求駆動力から前記スロットル目標開度、モータトルク、発電機目標回転速度を演算にて求める目標値の演算処理、エンジン2を始動させたり、停止させたりする必要があるか否かの判断処理等を含む演算処理を実行する。 【0028】そして、前記演算処理にて演算された結果に基づいて、エンジン2を始動させるエンジン始動処理、上記したような各運転モードに応じて必要とされる駆動力になるように上記したような最適燃費ラインに従ってスロットル開度が調整される状態で、エンジン2の出力を調整するエンジン出力処理、上記したような各運転モードに応じて必要とされる運転状態になるように電動モータ4の出力を調整するモータ出力処理、及び、運転モードに応じて必要とされる運転状態になるように発電機3の出力を調整する発電機出力処理の夫々を実行するように構成されている。これらの一連の処理が走行駆動力調整処理に対応する。 【0029】そして、前記車両制御部6は、バッテリー17の充電状態SOCが予め設定された高充電状態Yよりも低いときには、バッテリー17の充電状態SOCが高充電状態Yよりも低く設定された目標充電状態Xになるように、電動モータ4の作動及びエンジン2の作動を管理する目標状態維持運転制御を実行し、且つ、バッテリー17の 充電状態SOCが高充電状態Yよりも高いときには、目標状態維持運転制御よりもエンジン2の出力を減少させてバッテリー17を放電させるように、電動モータ4の作動及びエンジン2の作動を管理する放電量増加運転制御を実行するように構成されている。 【0030】次に、前記目標状態維持運転制御について具体的に説明する。図9に示すように、例えばシフトポジションレバー15が「D」位置にあるときの車速の変化に対する駆動ユニットKに対する要求駆動力の変化特性が予め設定されており、前記車両制御部6がこの特性に基づいて走行用の要求駆動力を求める構成となっている。図9(イ)に示されるラインq1は、アクセル操作量が最大(全開)になったときの値に対応する車速の変化に対する要求駆動力の変化を示しており、アクセル操作量が変化した場合の要求駆動力の変化割合が図9(ロ)に示すような特性として予め設定されている。そして、これらの特性から、そのときの車速に対応する要求駆動力は、図9(イ)に示されるラインq1から求められる車速に対する値と、アクセル操作量の検出値に基づく変化割合(%)との積により求められることになる。 【0031】図9に示す特性において、正(+)側は、目標走行方向が前進方向であること、すなわち、前進走行用の要求駆動力であることを示し、図において上側ほど前進走行用の要求駆動力が大となることを示している。又、負(−)側は、目標走行方向が前進方向とは逆方向の要求駆動力であることを示し、図において下側ほど逆向きの要求駆動力が大となることを示している。そして、図6のラインq2は、アクセル操作量が最小(全閉)で且つブレーキ操作量が最小になったときの要求駆動力の変化特性を示しており、又、図9のラインq3はブレーキ操作量が最大になったときの要求駆動力の変化特性を示している。 【0032】アクセル並びにブレーキが操作されていないときには、このラインq2を用いて要求駆動力が求められることになる。上記ラインq2より明らかなように、車速が設定車速より大でありアクセルが全閉であるとき負(−)側の要求駆動力、すなわち、指示されている進行方向とは逆向きの要求駆動力となることを示しており、ラインq2及びラインq3より明らかなように、ブレーキ操作量が大であるほど負(−)側の要求駆動力が大になるように設定されている。 【0033】そして、図10に示すように、充電状態検出部S5にて検出されるバッテリーの充電状態SOCに対するバッテリー17における充電すべき電力や放電すべき電力を規定する電池要求電力の変化特性が予め設定されており、充電状態検出部S5にて検出される現在のバッテリー17の充電状態SOCからそのときの電池要求電力を求め、その電池要求電力を駆動ユニットKに対する要求動力に換算した値と、前記アクセル操作量やブレーキ操作量等に基づいて求められる走行用の要求駆動力とを合算して最終的な要求駆動力を求める。 【0034】図10において、電池要求電力が正(+)側は上方側ほどバッテリーが大きな電力を放電させる必要があることを示し、負(−)側は下方側ほどバッテリーの充電量を大きくさせる必要があることを示しており、電池要求電力が正(+)側であれば充電の必要はないので駆動ユニット(エンジン)に対する要求動力は小さくなり、電池要求電力が負(−)側であれば充電が必要であり駆動ユニット(エンジン)に対する要求動力は大きくなる。 【0035】前記車両制御部6は、上記したようにして求められる要求駆動力から、先ず、エンジン2を起動する必要があるか否かを判断し、必要があれば要求されるエンジン要求出力を求める。尚、バッテリー17の充電状態がSOCが目標充電状態X(電池要求電力が「0」となる充電状態)よりも大であり、車速が設定車速(10km/h)以下であれば、エンジン2を起動させずに電動モータ4による駆動を行うようになっている。次に、図6を参照しながら、各種目標値の演算処理の手順について説明する。バッテリー17の充電状態がSOCが目標充電状態Xより小さくなるか、又は、車速が設定車速(10km/h)を越えて、エンジン2を起動する場合には、図7に示すように予め設定されている変化特性から、前記エンジン要求出力に対して運転効率が最も大きくなるようなエンジン目標回転速度を求める。そして、図8に示すように、エンジン2の運転効率の高い点に沿うように予め設定されたエンジン2のエンジン目標回転速度に対する目標スロットル開度の変化特性、すなわち、最適燃費ラインが設定されており、前記エンジン目標回転速度とこの最適燃費ラインとからそのときの目標スロットル開度を求める。この求めた目標スロットル開度の情報はエンジン制御部10に指令される。エンジン制御部10は、実際のスロットル開度が求めた目標スロットル開度になるように電子スロットル弁9の開度を調整する。尚、図示はしないが、吸入空気量とエンジン回転速度に対応する燃料噴射量も合わせて求められ、対応する燃料噴射量になるように自動調節されることになる。 【0036】一方、上記したようにして求めた前記エンジン目標回転速度とそのときの車速の情報とから発電機3の目標回転速度を求め、その目標回転速度になるように発電機制御部8に制御情報を指令する。但し、ここでも求められる発電機目標回転速度が負の値、すなわち、発電機目標回転速度が図4において「0」よりも下側の値として求められた場合には電動モータとして機能するため、エンジン2を始動させる場合等の特殊な状況以外では、発電機制御部8に情報を指令することなく、発電機3の回転を機械的に阻止する油圧式制動装置31を作動させて回転停止させるようになっている。そして、回転を停止させる場合には、車速の情報から再度、エンジン目標回転速度を演算にて求めて、その求めた値と前記最適燃費ラインとから、エンジン2の運転効率の高い目標スロットル開度を求めるようにしている。 【0037】そして、車速の変化に対する電動モータ4とエンジン2とのトルク分配比率等を設定した車両の走行性能特性が予め設定されており、前記要求駆動力の情報や車速の情報と、走行性能特性から電動モータ4が出力すべきモータトルクを算出する。例えば、設定車速以下であればすべての駆動力を電動モータ4にて出力するように、又、設定車速を越えて走行しているときエンジン2の出力では要求駆動力に対して不足する動力を電動モータ4にて出力するように、必要なモータトルクが求められ、電動モータ4の駆動制御が行われることになる。 【0038】前記電池要求出力が負(充電)側に大であれば、走行用要求駆動力に充電に必要な駆動力が加算されるので、発電機目標回転数が正の値になり、発電機から駆動されてバッテリー17に充電が行われ、前記電池要求出力が正(放電)側に大であれば、発電機3が停止して、バッテリー17の電力により電動モータ4が駆動され、バッテリー17から電力が放電されることになる。従って、バッテリー17の充電状態SOCが目標充電状態Xになるように、電動モータ4やエンジン2の作動が制御されることになる。以上までの動作が目標状態維持運転制御に対応する。 【0039】次に、放電量増加運転制御について説明する。バッテリー17の充電状態SOCが高充電状態Yよりも高くなると、車速の状況等にかかわらず、常に、車両の走行駆動力をすべて電動モータ4にて出力させるように駆動制御する。つまり、上記したような太陽電池30によるバッテリーへの充電は常に行われる構成となっているから、上記したような目標状態維持運転制御だけを実行している場合には、バッテリー17に対する充電状態が消費量に対して多くなり過ぎるおそれがあるが、バッテリー17の充電状態SOCが高充電状態Yよりも高くなると、車両の走行駆動力をすべて電動モータ4にて出力させエンジン2を停止させることで電動モータ4による電力消費を多くさせる運転モードで駆動することにより、電力消費量を多くさせるようにしている。そして、放電量増加運転制御を実行することにより、バッテリーの充電状態SOCが高充電状態Yよりも低くなると、前記目標状態維持運転制御を実行することになり、バッテリー17の充電状態SOCが目標充電状態Xになるように、電動モータ4やエンジン2の作動が制御されることになる。 【0040】以上の制御動作については、シフトポジションレバー15が「D」位置にある場合について説明したが、それ以外の指令位置、例えば、「B」位置にある場合や「R」位置にある場合であっても、同じような処理を実行することになる。但し、このように走行用の指令位置が異なると、車速の変化に対する要求駆動力の変化特性等として異なる特性が用いられることになる。例えば、「B」位置では、「D」位置に比べて、アクセルが全閉であるときの逆向き走行駆動力が大きめの値が設定されることになるが、それらの詳細については説明は省略する。 【0041】上記構成においては、前記エンジン2は走行駆動用の動力を出力するエンジンとして機能し、且つ、前記発電機3を駆動することから、この発電機と前記エンジン2とにより、燃料にて作動して前記バッテリー17を充電する電力を発電する発電手段Gとして機能することになる。 【0042】〔別実施形態〕以下、別実施形態を列記する。 【0043】(1)上記実施形態では、放電量増加運転制御として、車両の走行駆動力をすべて電動モータにて出力させる構成を例示したが、このような構成に限らず、例えば、走行開始直後に電動モータだけで駆動する車両の走行速度の上限値が、目標状態維持運転制御における10km/hでなく、それよりも速い速度、例えば、数十km/hに上昇させる制御形態でもよい。又、このような複数の動作モードを任意の切り換え手段にて随時切り換えて使用するような構成としてもよい。例えば、車両の走行駆動力をすべて電動モータにて出力させる動作モードと、電動モータだけで駆動する車両の走行速度の上限値を数十km/hに上昇させる動作モードとを任意に切り換える構成としてもよい。要するに、放電量増加運転制御としては、エンジンの出力を減少させたり、あるいは、発電手段の発電出力を減少させるような運転モードであればよい。 【0044】(2)上記実施形態では、自走車両として、エンジン及び電動モータ双方の動力を車軸に伝達可能な所謂、パラレルハイブリッド方式のハイブリッド車両を例示したが、本発明は、この構成に限らず、例えば図11に示すように、エンジン40は発電機41を駆動するだけの構成とし、発電機41にてバッテリー17を充電し、バッテリー17の電力にて車両走行駆動用の電動モータ4を駆動するシリーズハイブリッド方式のハイブリッド車両において、太陽電池30にてバッテリー17に充電するような構成にも適用できる。この場合、エンジン40と発電機41とにより、燃料にて作動して前記バッテリー17を充電する電力を発電する発電手段Gが構成される。この構成において、前記発電機41の発電電力にて直接、電動モータ4を駆動する構成として電動モータ4を駆動した残りの余剰電力をバッテリー17に充電させる構成としてもよい。又、本発明は、ハイブリッド車両に限らず、図12に示すように、水素と酸素等を化学反応させて発電するような構成の燃料電池50を、前記発電手段Gとして備えて、この燃料電池50により走行用電動モータ4を駆動し、且つ、バッテリー17を充電するような構成の自走車両において、太陽電池30にてバッテリー17に充電するような構成としてもよい。 【0045】(3)上記実施形態では、駆動手段が前輪を駆動する構成としたが、これに限らず、後輪を駆動する構成や、4 輪すべてを駆動する構成でもよく、又、駆動手段として遊星ギア機構を備える構成を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、各種の伝動機構を用いることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002967 【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月21日(2001.3.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107308 【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開2002−281604(P2002−281604A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月27日(2002.9.27) |
| 【出願番号】 |
特願2001−80716(P2001−80716) |
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