| 【発明の名称】 |
車両の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】中島 祐樹
【氏名】吉野 太容
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| 【要約】 |
【課題】ダイレクト配電を行いつつバッテリの充放電を意図的に行なう場合においてもバッテリ充電状態の影響を受けることなく運転者の要求する電動機出力を達成させる。
【解決手段】発電装置と、この発電装置及びバッテリに電気的に接続されると共に車両の駆動軸に連結される電動機とを備える車両の制御装置において、車両運転条件に基づいて目標電動機出力tPo00を算出する目標電動機出力算出手段(B1、B2)と、この目標電動機出力に基づいてバッテリから電動機へ出力可能な電力Pblimを算出するバッテリ出力可能電力算出手段(B15、B16)と、このバッテリ出力可能電力Pblimと前記目標電動機出力tPo00とに基づいて発電装置の目標発電電力tPgを算出する目標発電電力算出手段(B6、B7)と、この目標発電電力tPgに基づいて発電装置を制御する制御手段とを備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】発電装置と、この発電装置及びバッテリに電気的に接続されると共に車両の駆動軸に連結される電動機とを備える車両の制御装置において、車両の運転条件を検出する手段と、この車両運転条件に基づいて電動機の出力の目標である目標電動機出力を算出する目標電動機出力算出手段と、この目標電動機出力に基づいてバッテリから電動機へ出力可能な電力を算出するバッテリ出力可能電力算出手段と、このバッテリ出力可能電力と前記目標電動機出力とに基づいて発電装置の発電電力の目標である目標発電電力を算出する目標発電電力算出手段と、この目標発電電力に基づいて発電装置を制御する制御手段とを備えることを特徴とする車両の制御装置。 【請求項2】発電装置がエンジンとこのエンジンに連結される発電機とから構成され、制御手段が目標発電電力に基づいて発電機回転速度とエンジントルクとを制御することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。 【請求項3】バッテリ出力可能電力算出手段は、目標電動機出力を達成するのに必要な電圧を算出する必要電圧算出手段を含んで構成され、この必要電圧に基づいてバッテリ出力可能電力を算出することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。 【請求項4】バッテリ出力可能電力算出手段は必要電圧が高いほどバッテリ出力可能電力を小さくすることを特徴とする請求項3に記載の車両の制御装置。 【請求項5】バッテリ出力可能電力算出手段はバッテリの充電状態が低いほどバッテリ出力可能電力を小さくすることを特徴とする請求項4に記載の車両の制御装置。 【請求項6】バッテリ出力可能電力算出手段はバッテリ温度が低いほどバッテリ出力可能電力を小さくすることを特徴とする請求項4に記載の車両の制御装置。 【請求項7】バッテリの充電状態を目標値に近づけるためにバッテリから出力すべき電力の目標である目標バッテリ出力電力算出する目標バッテリ出力電力算出手段を備え、目標発電電力算出手段は、バッテリ出力可能電力より目標バッテリ出力電力が小さいとき目標電動機出力から目標バッテリ出力電力を減算した電力を目標発電電力とし、バッテリ出力可能電力より目標バッテリ出力電力が大きいとき目標電動機出力からバッテリ出力可能電力を減算した電力を目標発電電力とすることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は車両の制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、社会の要求からエンジンと発電/電動機を組合せて搭載したハイブリッド車両(HEV)の実用化が進められている。HEVはシリーズ式とパラレル式に大きく分かれるが、いずれもエンジンの運動エネルギの全部あるいは一部が発電機により一旦電気エネルギに変換される。そしてその電気エネルギは一部が直接電動機ヘ供給され、余剰な電気エネルギはバッテリに蓄積される。電動機には発電機だけでなくこのバッテリからも電気エネルギが供給され、供給された電気エネルギは電動機により運動エネルギに変換され車両が駆動される。 【0003】この場合、エンジンが発生した運動エネルギが発電機、バッテリ、電動機を経由してくる間に各々で損失が生じ、それらの損失は決して小さくないためエンジン出力で直接車両を駆動する手段を有するパラレル式のHEVの方が現在では効率が良いために主流になっている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、電動機で消費するエネルギを過不足なく発電機から直接に供給することができればバッテリにおける充放電の際の損失を大幅に低減することができることからシリーズ式のHEVであっても効率の向上が望める。特開平11−146503号公報や本出願人が開示している特願平11−172426号に記載のものでは、上記を狙いとして車両走行状態に基づいて必要な電力を発電機により発電させている。すなわち車両走行状態の変化に伴い電動機の出力は時々刻々変化するのであるが、その電動機出力に対して過不足なく電力をリアルタイムで発電機から供給することによりバッテリにおける電力損失を最小限にとどめることができ、エンジンの出力は効率良く電動機へと伝達される。 【0005】さて、こうした電力の配電方式つまり電動機で消費する電力を過不足なく発電機で発電する方式を「ダイレクト配電」と名付けると、ダイレクト配電を行うHEVでも、次のような理由によりバッテリの充電と放電を意図的に行なうことがある。 【0006】理由1:ダイレクト配電しようとしても実際には発電電力の過不足を完全に無くすことはできないので、バッテリ充電状態SOCを最適な状態にフィードバック制御することが必要となる。 【0007】理由2:ダイレクト配電が全ての運転条件で燃費最良になるとは限らず、特定運転条件のときにダイレクト配電を停止して積極的にバッテリを活用する場合も有り得る。 【0008】従ってダイレクト配電を行いつつバッテリの充電と放電を意図的に行なう場合に次のような問題が生じる。すなわち電動機が必要とする電力よりも発電電力を小さくすれば、その差分の電力はバッテリからの放電によって賄われるはずであるが、バッテリから電動機へ出力することが可能な電力は、電動機に印加すべき電圧によって変化するので、この出力可能な電力を考慮せずに発電電力を低下させると、実際にバッテリから出力(放電)される電力が見込みより少なくなり運転者の要求する電動機出力が達成できなくなる場合が生じる。 【0009】そこで本発明は、バッテリの出力可能な電力を目標電動機出力に基づいて予測し、目標電動機出力とこの予測したバッテリの出力可能な電力とに基づいて発電装置の目標発電電力を算出することにより、ダイレクト配電を行いつつバッテリの充電と放電を意図的に行なう場合においてもバッテリ充電状態の影響を受けることなく運転者の要求する電動機出力を達成させることを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】第1の発明は、発電装置と、この発電装置及びバッテリに電気的に接続されると共に車両の駆動軸に連結される電動機とを備える車両の制御装置において、車両の運転条件(APS、VSP)を検出する手段と、この車両運転条件に基づいて電動機の出力の目標である目標電動機出力tPo00を算出する目標電動機出力算出手段と、この目標電動機出力tPo00に基づいてバッテリから電動機へ出力可能な電力(以下「バッテリ出力可能電電力」という。)Pblimを算出するバッテリ出力可能電力算出手段と、このバッテリ出力可能電力Pblimと前記目標電動機出力tPo00とに基づいて発電装置の発電電力の目標である目標発電電力tPgを算出する目標発電電力算出手段と、この目標発電電力tPgに基づいて発電装置を制御する制御手段とを備える。ここで発電装置はエンジンと発電機によって構成するものに限らず、他の発電装置(燃料電池等)をも含むものである。 【0011】第2の発明では、第1の発明において発電装置がエンジンとこのエンジンに連結される発電機とから構成され、制御手段が目標発電電力tPgに基づいて発電機回転速度とエンジントルクとを制御する。 【0012】第3の発明では、第1の発明においてバッテリ出力可能電力算出手段が、目標電動機出力tPo00を達成するのに必要な電圧Vを算出する必要電圧算出手段を含んで構成され、この必要電圧Vに基づいてバッテリ出力可能電力Pblimを算出する。 【0013】第4の発明では、第3の発明においてバッテリ出力可能電力算出手段が必要電圧Vが高いほどバッテリ出力可能電力Pblimを小さくする。 【0014】第5の発明では、第4の発明においてバッテリ出力可能電力算出手段がバッテリの充電状態SOCが低いほどバッテリ出力可能電力Pblimを小さくする。 【0015】第6の発明では、第4の発明においてバッテリ出力可能電力算出手段がバッテリ温度Tmpbが低いほどバッテリ出力可能電力Pblimを小さくする。 【0016】第7の発明では、第1の発明においてバッテリの充電状態(SOC)を目標値に近づけるためにバッテリから出力すべき電力の目標である目標バッテリ出力電力tPb0)算出する目標バッテリ出力電力算出手段を備え、目標発電電力算出手段が、バッテリ出力可能電力Pblimより目標バッテリ出力電力tPb0が小さいとき目標電動機出力tPo00から目標バッテリ出力電力tPb0を減算した電力を目標発電電力tPgとし、バッテリ出力可能電力Pblimより目標バッテリ出力電力tPb0が大きいとき目標電動機出力tPo00からバッテリ出力可能電力Pblimを減算した電力を目標発電電力tPgとする。 【0017】 【発明の効果】第1、第2、第3、第7の発明によれば、バッテリから電動機へ出力可能な電力を算出(予測)し、この算出したバッテリ出力可能電力に合わせて発電装置の目標発電電力を決定するので、発電装置の発電電力とバッテリ出力電力とによって電動機が必要とする電力が常に確保される。このため、運転者の要求する電動機出力が常に達成できる。 【0018】第4、第5、第6の発明によればバッテリ出力可能電力を正確に予測することができ、電動機の出力確保がより正確に行える。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。 【0020】図1に示される車両にはエンジン1の駆動力により車両の推進を行う無段変速機3を備える。無段変速機3は一対のモータジェネレータ4、5からなり、入力側のモータジェネレータ4がエンジン1の出力軸2に、出力側のモータジェネレータ5が駆動軸7に連結される。基本的にモータジェネレータ4が発電機として、これに対してモータジェネレータ5はモータジェネレータ3の発電した電力によって駆動される電動機として働く。以下モータジェネレータ4を発電機、モータジェネレータ5を電動機という。 【0021】発電機4、電動機5は交流機(例えば永久磁石式交流同期モータ等)で構成されそれぞれインバータ8と接続されている。発電機4、電動機5の回転速度はインバータ8の駆動周波数に応じて制御され、インバータ8の駆動周波数の比が変速機3の入出力軸の回転速度比(変速比)となる。 【0022】発電機回転速度センサ(変速機の入力軸回転速度センサ)21からの発電機回転速度Ni、電動機回転速度センサ(変速機の出力軸回転速度センサ)22からの電動機回転速度Noの信号が入力されるトランスミッションコントロールユニット11では、統合コントロールユニット13により演算される目標発電機回転速度tNiと目標電動機トルクtToとが得られるようにインバータ8の駆動周波数を制御する。 【0023】なお、発電機4、電動機5の間には選択的に締結可能なクラッチ6が介装され、このクラッチ6はエンジンコントロールユニット12からの指令に応じて制御される。例えば無段変速機3の入力軸回転速度と出力軸回転速度が等しいときにクラッ6を締結してエンジン1の駆動力を直接駆動輪に伝達し、これによって発電機4、電動機5の損失を抑制して車両の燃費性能を向上するようにしている。 【0024】エンジンコントロールユニット12では、統合コントロールユニット13により演算される目標エンジントルクtTeが得られるように電子制御スロットル装置14のスロットル開度TVOを制御する。このときスロットル位置に応じた吸入空気がエンジン1に流れ込む。この吸入空気の流量Qaを電子制御スロットル装置14上流に設けたエアフローメータ23により計量しており、コントロールユニット12では、この空気流量Qaとクランク角センサ24からのエンジン回転速度とに基づいて燃料噴射弁15を用いての燃料噴射制御と点火プラグ16を用いての点火時期制御とを行う。 【0025】アクセル開度センサ25からのアクセル開度(アクセルペダルの踏込み量のこと)APS、温度センサ26からのバッテリ27の温度Tmpbが入力される統合コントロールユニット13では、これらの信号とトランスミッションコントロールユニット11を介して得られる発電機回転速度Ni、電動機回転速度Noとに基づいてダイレクト配電が行われるように電動機5に与える目標電動機トルクtToと発電機4に与える目標発電機回転速度tNiとを演算する。 【0026】ダイレクト配電は(1)アクセル開度と車速(車両の運転条件)に基づいて電動機の出力の目標である目標電動機出力tPo00を算出し、(2)この目標発電電力tPgに基づいて電動機5を制御すると共に、(3)目標電動機出力tPo00に基づいて発電機4の発電電力の目標である目標発電電力tPgを算出し、(4)この目標発電電力tPgに基づいて発電機4を制御することを基本とするもので、この実施形態ではさらに(5)バッテリ出力可能電力Pblimを予測するため目標電動機出力tPo00に基づいてバッテリ出力可能電力Pblimを算出し、(6)このバッテリ出力可能電力Pblimをも加味して前記目標発電電力tPgを算出させるようにしている。 【0027】統合コントロールユニット13で行われるこのダイレクト配電の制御を図2の制御ブロック図により詳細に説明する。 【0028】図2においてブロックB1ではアクセル開度APO[deg]と車速VSP[km/h]とに基づき目標駆動力tFd0[N]を算出する。この目標駆動力tFd0の算出は具体的にはAPOとVSPに従って目標駆動力マップをルックアップすることにより行う。なお、アクセル開度APOはアクセル開度センサ25で検出し、車速VSPは電動機回転速度センサ22で検出した電動機回転速度No[rpm]に定数G1を乗じて算出する。車両の駆動輪の半径をr[m]、電動機の出力軸から駆動輪軸までの減速比をRとしたとき、定数G1はG1=2×π×r×60/(R×1000)により計算される値である。 【0029】ブロックB2ではこの目標駆動力tFd0を電動機5により発生させるため目標駆動力tFd0[N]に車速VSP[m/s]を乗じて目標電動機出力tPo00[W]を算出する。なおこの算出に用いるVSPは単位が[m/s]でなければならないので電動機回転速度No[rpm]に定数G2を乗じることにより[m/s]単位のVSPを算出している。ここで定数G2はG2=2×π×r/(R×60)により計算される値である。 【0030】ブロックB3ではこの目標電動機出力tPo00[W]にフィルタ処理を施す。フィルタ処理は電動機5の見かけ上の制御応答速度を小さくするために行なうものである。 【0031】ブロックB4ではフィルタ処理後の目標電動機出力tPo0[W]を電動機回転速度No[rad/s]で除して目標電動機トルクtTo[Nm]を算出する。なおここで用いる回転速度Noの単位は[rad/s]であるため、電動機回転速度No[rpm]に定数G3を乗じることにより[rad/s]単位のNoを算出している。定数G3はG3=2×π/60により計算される値である。 【0032】このようにして算出された目標電動機トルクtToは電動機コントロールユニットMCUに送られ、MCUはこの目標電動機トルクtToに基づいてインバータ8を介し電動機5のトルクを制御する。 【0033】ブロックB5では上記の目標電動機トルクtTo[Nm]と電動機回転速度No[rpm]とに基づき電動機5の効率EFFmを算出し、ブロックB6で目標電動機出力tPo00[W]をこの電動機効率EFFmで除すことにより電動機消費電力tPo01[W]を算出する。本実施形態では基本的に電動機5が消費する電力を過不足なく発電機4で発電する、いわゆるダイレクト配電を行なうので、ダイレクト発電の際にはこの電動機消費電力tPo01が発電機4の目標発電電力の基本値となる。 【0034】ブロックB7(目標発電電力算出手段)ではこの電動機消費電力tPo01[W]からバッテリ出力電力tPb[W](詳細は後述する)を減算した値を目標発電電力tPg[W]として算出する。バッテリ出力電力tPbはバッテリ27から電力を出力する(放電)とき正の値を採り、バッテリ27に電力を入力する(充電)とき負の値を採る。 【0035】ブロックB8では発電機回転速度Ni[rpm]と目標エンジントルクtTe[Nm]の前回値(直前に算出した値を出力するブロックB14から供給される)とに基づき発電機4の効率EFFgを算出し、ブロックB9で目標発電電力tPg[W]をこの発電機効率EFFgで除すことにより発電機消費動力tPe[W]を算出する。発電機4はエンジン1によって駆動されるので、発電機消費動力tPeは目標エンジン出力を表す。エンジン1と発電機4とは直結されているため発電機回転速度Niはエンジン回転速度に等しい。 【0036】ブロックB10では目標エンジン出力tPe[W]を車速VSP[m/s]で除して第2目標駆動力tFd[N]を算出し、ブロックB11でこの第2目標駆動力tFd[N]と車速VSP[km/h]とに基づき目標発電機回転速度tNi0[rpm]を算出する。この算出は例えば出力配分マップをルックアップすることにより行えばよい。 【0037】このようにして算出した目標発電機回転速度tNi0[rpm]に対してブロックB12でフィルタ処理を施す。フィルタ処理は発電機4の見かけ上の制御応答速度を小さくするために行なうもので、ブロックB3のフィルタ処理と同じ処理である。 【0038】フィルタ処理後の目標発電機回転速度tNi[rpm]は発電機コントロールユニットGCUに送られ、発電機コントロールユニットGCUはこの目標発電機回転速度tNiに基づいてインバータ8を介し発電機4の回転速度を制御する。なお、発電機コントロールユニットGCUと前述の電動機コントロールユニットMCUとがトランスミッションコントロールユニット11を構成している。 【0039】一方、上記の目標エンジン出力tPe[W]をブロックB13において発電機回転速度Ni[rad/s]で除すことにより目標エンジントルクtTe[Nm]を算出する。なお、この算出に用いる発電機回転速度Niの単位は[rad/s]であるため発電機回転速度Ni[rpm]に定数G3を乗じることにより[rad/s]単位のNiを算出している。 【0040】算出された目標エンジントルクtTeはエンジンコントロールユニット(図ではECUで略記)12に送られ、エンジンコントロールユニット12ではこの目標エンジントルクtTeに基づいてエンジントルクを制御する。具体的には電子制御スロットル装置14のスロットル開度を制御してエンジンの吸入空気量を増減させる。実際のエンジントルクはスロットル開度制御に対して所定の遅れを持って追随するのが一般的であり、上記ブロックB3やB12のフィルタ処理はこのようなエンジンの応答遅れに電動機5や発電機4の制御の位相を同期させるために施されている。 【0041】ブロックB15とB16はバッテリ27から電動機5へ出力することが可能な電力であるバッテリ出力可能電力Pblimを上記の目標電動機出力tPo00に基づいて算出することにより予測する部分(バッテリ出力可能電力算出手段)である。まずブロックB15では目標電動機出力tPo00[W]に基づき電動機5に印加すべき必要電圧V[V]を算出する。この必要電圧の算出は具体的には目標電動機出力tPo00に従って必要電圧テーブル(図3参照)をルックアップすることにより行う。 【0042】ブロックB16ではこの必要電圧V[V]とバッテリ充電状態SOC[%]とバッテリ温度Tmpb[℃]とに基づきバッテリ出力可能電力Pblim[W]を算出する。この算出はパラメータが3つであるためVとSOCとTmpbとに従い複数のバッテリ出力可能電力マップ(図4(a)〜(c)参照)の中から選択した2つのマップのルックアップと、得られたマップ値の間を直線補間する計算との組み合わせにより行う。 【0043】必要電圧Vにさらにバッテリ充電状態SOCとバッテリ温度Tmpbとを加えてバッテリ出力可能電力Pblimを算出するようにしたのは、これらバッテリ充電状態SOCやバッテリ温度Tmpbがバッテリ出力可能電力Pblimに影響するからである。例えばバッテリ温度Tmpbが25℃一定のときの特性である図4(a)において、同じ必要電圧Vに対してバッテリ充電状態SOCが小さくなるほどバッテリ出力可能電力Pblimの値が小さくなっている。また同じ必要電圧V、同じバッテリ充電状態SOCに対してバッテリ温度Tmpbが低くなるほど(図4(a)から(c)に向かうほど)バッテリ出力可能電力Pblimの値が小さくなっている。なお、バッテリ充電状態SOCはバッテリ27に出入りする電流とそのときの端子電圧をモニタして算出すれば良い。Tmpbは温度センサ26で検出する。 【0044】ブロックB17はバッテリ充電状態SOC[%]を目標バッテリ充電状態tSOC[%]にフィードバック制御するための目標バッテリ出力電力tPb0[W]を算出する部分で、例えばフィードバック動作として比例動作を用いるのであれば比例ゲインKpを用いて次式により目標バッテリ出力電力tPb0を算出する。 【0045】tPb0=Kp×(SOC−tSOC) この式により目標バッテリ出力電力tPb0は、実際のSOCがtSOCより高いとき正の値(放電)となり、実際のSOCがtSOCより低いとき負の値(充電)となる。 【0046】ブロックB18ではこの目標バッテリ出力電力tPb0[W]と上記のバッテリ出力可能電力Pblim[W]とを比較し小さい方をバッテリ出力電力tPb[W]として選択する。 【0047】ここで、本実施形態の作用を説明する。本実施形態では、電動機5への電力供給をダイレクト配電によって行なっており、このダイレクト配電が理想的に行われていればバッテリ充電状態SOCの変動は0となる。しかしながら、実際には電動機5の消費電力と発電機4の発電電力とを完全に一致させることは困難であり、車両の運転を続けるうちにSOCが最適値(tSOC)から徐々にずれてくることがある。このため、SOCのフィードバック制御を行なっている(B17、B18)。 【0048】例えば、実際のSOCが最適値より大きくなっている場合、電動機5の消費電力よりも発電機4の発電電力を小さくし、その差分の電力をバッテリ27から放電させてSOCを最適値へ近づけるようにする。このように、ダイレクト配電を基本としていてもバッテリ27から意図的に電力を取り出す場合がある。 【0049】ところで、バッテリ27が実際に出力できる電力(バッテリ出力可能電力)は電動機5に印加すべき電圧によって変化する。例えば、バッテリ27のSOCと温度が同じであっても、電動機5に印加すべき電圧が高いとき(電動機5が高出力を発生すべきとき)は低いときよりバッテリ出力可能電力が小さくなる。このような現象を考慮せず、SOCフィードバック制御のために決定したバッテリ出力電力を電動機消費電力tPo01から減じて目標発電電力tPgを決定すると、そのときのバッテリ出力可能電力がバッテリ出力電力より小さい場合に電力不足となり、運転者の要求する電動機出力が達成できなくなる。 【0050】これに対して本実施形態では、バッテリ出力可能電力PblimをブロックB15、B16で算出(予測)し、この算出したバッテリ出力可能電力PblimでSOCフィードバック制御のための目標バッテリ出力電力tPb0を制限して最終的なバッテリ出力電力tPbを決定している。したがってこの場合、バッテリ出力可能電力Pblimより大きなバッテリ出力電力tPbが設定されることはなく、前述したような電力不足の発生が回避され、常に運転者の要求する電動機出力が達成できるようになる。 【0051】なお、本実施形態では意図的なバッテリ放電制御の例としてSOCフィードバック制御を例示したが、これに限らず、バッテリ27の電力を積極的に活用して車両の運転を行なう場合にも本発明は適用可能である。 【0052】さらに、実施形態ではエンジン1と発電機4によって発電装置を構成する場合で説明したが、これに限らず他の発電装置(燃料電池等)を使用する車両にも本発明を適用できることはいうまでもない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月15日(2001.3.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075513 【弁理士】 【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−271913(P2002−271913A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月20日(2002.9.20) |
| 【出願番号】 |
特願2001−73635(P2001−73635) |
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