| 【発明の名称】 |
ハイブリッド車の出力制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 寛之
【氏名】宮本 勝彦
【氏名】村上 信明
【氏名】五島 賢司
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| 【要約】 |
【課題】ハイブリッド車の出力制御装置において、加速初期において加速不良による空走感を抑制することでドライバビリティの向上を図る。
【解決手段】ハイブリッド車のK/D加速時に、加速初期の区間Aにおいて目標プライマリ回転速度Np4の二次遅れフィルタ処理(テーリング処理)を行う共に、この区間Aに継続する区間Bにおいて目標プライマリ回転速度Np4の二次遅れフィルタ処理(テーリング処理)を行うことで、仮想プライマリ回転速度Npaを算出し、この仮想プライマリ回転速度Npaの変化量ΔNpaに基づいて電気モータ14のアシストトルクを求める。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン及びモータからなるパワーユニットと、該パワーユニットにより駆動する回転軸をプライマリ軸として有する無段変速機とを具えたハイブリッド車において、ドライバによる加速要求時に、前記無断変速機の変速比が大きくなるときの前記プライマリ軸の回転速度を予測し、該回転速度の変化量に基づいて前記モータのアシストトルクを制御することを特徴とするハイブリッド車の出力制御装置。 【請求項2】 エンジン及びモータからなるパワーユニットと、該パワーユニットにより駆動する回転軸をプライマリ軸として有する無段変速機とを具えたハイブリッド車において、ドライバによる加速要求時に前記モータを駆動することにより前記エンジンを補助するモータ制御手段を設け、該モータ制御手段は、ドライバによる加速要求時に前記無断変速機の変速比を大きな変化割合で変化させる第1変化期間と、前記加速要求時に該第1変化期間に継続すると共に該第1変化期間における変化割合よりも小さな変化割合で前記無断変速機の変速比を変化させる第2変化期間とを設定し、前記第1変化期間における前記モータのアシストトルクが前記第2変化期間における該モータのアシストトルクよりも大きくなるように制御することを特徴とするハイブリッド車の出力制御装置。 【請求項3】 請求項2のハイブリッド車において、前記モータ制御手段は、前記プライマリ軸の回転速度の変化量に基づいて前記モータのアシストトルクを制御することを特徴とするハイブリッド車の出力制御装置。 【請求項4】 請求項2のハイブリッド車において、前記モータ制御手段は、前記プライマリ軸の回転速度の変化量から前記モータの応答遅れ時間を加味した所定期間経過後の仮想回転速度変化量を算出し、該仮想回転速度変化量に基づいて前記モータのアシストトルクを制御することを特徴とするハイブリッド車の出力制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンとモータと無段変速機とを有するハイブリッド車の出力制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、地球環境の問題から排気ガスの発生を抑制するような、エンジンとモータとを駆動源とするハイブリッド車が実用化されている。このようなハイブリッド車では、運転状態に応じてモータの駆動のみにより駆動輪を駆動したり、モータとエンジンの両者の駆動により駆動輪を駆動したりできるようになっており、最近では、このエンジン及びモータにCVT(Continuously Variable Transmission )などの無段変速機を組み合わせたものが提案されている。 【0003】このCVTは、入力軸に連結されたプライマリプーリと出力軸に連結されたセカンダリプーリとの間にベルトを掛け回し、各プーリのシリンダに油圧を給排することで、プライマリプーリ及びセカンダリプーリの各溝幅を相対的に変化させて変速させている。そして、このようなCVTを有するハイブリッド車にて、コントローラは、ドライバが操作するアクセル開度と車両の速度(車速)とに基づいて、車両が必要とする要求出力が設定され、この要求出力が発揮されるようにCVTの変速比(レシオ)が設定される。そして、コントローラが設定された変速比となるように油圧制御することでプライマリプーリ及びセカンダリプーリの各溝幅を相対的に変化させ、車両をドライバの要求通りに走行させる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、このような従来のハイブリッド車の出力制御装置にあって、CVTでは、前述したように、入力側と出力側の一対の可変V形のプライマリプーリ及びセカンダリプーリの間に無端のスチールベルトを掛け回し、各プーリとスチールベルトとの間の摩擦力により回転力を伝達し、油圧の給排により各プーリの溝幅を変更してプーリ比を変えることで変速比を無段階に調節している。そのため、例えば、ドライバが加速のためにアクセルペダルを踏み込むと、車両の加速要求トルクの増大によりCVTの変速比が大きく設定され、プライマリ回転数が上昇するが、アクセルペダルの踏み込み直後は各プーリ等の慣性力に吸収されるエネルギが大きいため、プライマリ回転数(エンジン回転数)が上昇する割りに車両加速度が小さく、ドライバは空走感を感じてドライバビリティが悪化してしまう。 【0005】図6に従来のハイブリッド車の出力制御装置の運転状態の変化を表すタイムチャートを示す。図4のタイムチャートに示すように、一般に、ドライバ加速要求に対して、コントローラは、エンジントルク増幅のために急激に変速比を大きくする区間Aと、滑り感を抑えながらゆっくりと変速比を大きくする区間Bとに別けて制御している。即ち、ハイブリッド車の走行中にドライバがアクセルペダルを強く踏み込むと、アクセル開度が上昇して区間Aに入り、要求トルクが上昇してCVTレシオが急激に大きく設定され、エンジン回転数が上昇すると共にエンジントルクが増幅され、車両は所定の加速度で加速して車速が上昇していく。ところが、実際には、前述したように、アクセルペダルの踏み込み直後にはエンジントルクの一部が各プーリ等の慣性力に吸収されるため、エンジン回転数(エンジントルク)が上昇しても車両加速度が小さく、ドライバは加速感を味わうことができずに空走感を感じてしまう。 【0006】そして、ドライバがアクセルペダルを踏み込んで所定時間が経過すると、区間Bに入り、要求トルクに対してCVTレシオがゆっくりと大きく設定され、エンジン回転数がゆるやかに上昇すると共にエンジントルクが増幅され、車両は所定の加速度で加速して車速が上昇していく。この区間Aから区間Bに移行するとき、各プーリの回転速度がある程度上昇しているためにその慣性力に吸収されるエンジントルクが減少し、ここで大きな車両加速度が発生してドライバは大きな加速感を味わうこととなる。その結果、ドライバは、アクセルペダルを踏み込んで区間Aに入ったときと、区間Aから区間Bに移行したときの両方で加速感を感じることとなり、この2段加速によりドライバビリティが悪化してしまうという問題がある。 【0007】更に、加速時の燃費を向上するために、加速前のエンジン回転数を、例えば、1350rpmまで低下させると、区間Bの加速感をエンジン回転数を低下させないものと同等のものにするために区間AのCVTレシオを大きくする必要があり、この場合、各プーリ等の慣性力に吸収されるエネルギが大きくなり、ドライバは加速初期により一層大きな減速感を感じてしまう。 【0008】なお、特開2000-97063号公報には、「ハイブリッド車両の制御装置」として、車両の加速時における運転状態に応じたアシスト量をもってモータ駆動によりエンジンをアシストする装置が記載されているが、この装置では、車両の運転状態に応じてアシスト量を一定とし、触媒の温度に応じてこのアシスト量を補正するものであり、加速初期に無断変速機に吸収されるエネルギに対して対応させるものではなく、前述した装置と同様に、ドライバは車両の加速初期に空走感を感じてしまう。 【0009】本発明はこのような問題を解決するものであって、加速初期において加速不良による空走感を抑制することでドライバビリティの向上を図ったハイブリッド車の出力制御装置を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するための請求項1の発明のハイブリッド車の出力制御装置では、エンジン及びモータからなるパワーユニットと、このパワーユニットにより駆動する回転軸をプライマリ軸として有する無段変速機とを具えたハイブリッド車において、ドライバによる加速要求時に、無断変速機の変速比が大きくなるときのプライマリ軸の回転速度を予測し、この回転速度の変化量に基づいてモータのアシストトルクを制御している。 【0011】従って、プライマリ軸の回転速度を予測してそれに応じてアシストトルクを制御することで、ドライバの加速要求に応じた加速感を感じることができ、加速初期において加速不良による空走感を抑制してドライバビリティが向上する。 【0012】また、請求項2の発明のハイブリッド車の出力制御装置では、エンジン及びモータからなるパワーユニットと、このパワーユニットにより駆動する回転軸をプライマリ軸として有する無段変速機とを具えたハイブリッド車において、ドライバによる加速要求時にモータを駆動することによりエンジンを補助するモータ制御手段を設け、このモータ制御手段は、ドライバによる加速要求時に無断変速機の変速比を大きな変化割合で変化させる第1変化期間と、加速要求時に第1変化期間に継続すると共に第1変化期間における変化割合よりも小さな変化割合で無断変速機の変速比を変化させる第2変化期間とを設定し、第1変化期間におけるモータのアシストトルクが記第2変化期間におけるモータのアシストトルクよりも大きくなるように制御している。 【0013】従って、ドライバの加速要求に応じた加速初期となる第1変化期間にて、十分なアシストトルクが作用することとなり、この第1変化期間で加速感を感じることができ、加速初期において加速不良による空走感を抑制してドライバビリティが向上する。 【0014】また、請求項3の発明のハイブリッド車の出力制御装置では、モータ制御手段は、プライマリ軸の回転速度の変化量に基づいてモータのアシストトルクを制御している。従って、車両の加速度合に応じたきめ細かいモータ制御を行うことができ、空走感を一層抑制できる。 【0015】また、請求項4の発明のハイブリッド車の出力制御装置では、モータ制御手段は、プライマリ軸の回転速度の変化量からモータの応答遅れ時間を加味した所定期間経過後の仮想回転速度変化量を算出し、仮想回転速度変化量に基づいてモータのアシストトルクを制御している。従って、モータの応答遅れを加味したアシストトルクに基づいてモータを制御することとなり、車両の加速度合に応じたきめ細かいモータ制御を行うことができ、空走感をなお一層抑制できる。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。 【0017】図1に本発明の一実施形態に係るハイブリッド車の出力制御装置を表す概略構成、図2にハイブリッド車の出力制御装置の制御ブロック、図3にハイブリッド車の出力制御装置による制御のフローチャート、図4に実プライマリ回転速度と仮想プライマリ回転速度との関係を表すタイムチャート、図5にハイブリッド車の出力制御装置の運転状態の変化を表すタイムチャートを示す。 【0018】本実施形態のハイブリッド車の出力制御装置において、図1に示すように、エンジン11のクランク軸12は伝達クラッチ13を介して電気モータ14の出力軸15と断接可能となっており、この伝達クラッチ13は図示しない油圧駆動装置で作動するアクチュエータ16により駆動可能となっている。そして、この電気モータ14は図示しないバッテリから電力の供給を受けて駆動可能であると共に、エンジン11からの駆動力を受けて発電して電力をバッテリに充電可能となっている。このようにエンジン11と電気モータ14とでハイブリッド車のパワーユニットが構成されている。 【0019】この電気モータ14の出力軸15は無段変速機としてのCVT17の入力軸(プライマリ軸)18に接続されている。このCVT17はエンジン11側に連結されたプライマリプーリ19と車両の駆動軸側に連結されたセカンダリプーリ20と両プーリ19,20間に掛け渡されたベルト21等とから構成され、プライマリシャフト18に入力された回転が、同軸一体のプライマリプーリ19からベルト21を介してセカンダリプーリ20へ入力され、セカンダリ軸22に出力されるようになっている。 【0020】即ち、プライマリプーリ19は固定シーブ19aと可動シーブ19bとを有し、可動シーブ19bの背面側にプライマリシリンダ19cが形成されている。従って、このプライマリシリンダ19cに油圧を給排することで固定シーブ19aに対して可動シーブ19bを移動し、プーリの溝幅を可変とすることができる。一方、同様に、セカンダリプーリ20は固定シーブ20aと可動シーブ20bとを有し、可動シーブ20bの背面側にセカンダリシリンダ20cが形成されている。従って、このセカンダリシリンダ20cに油圧を給排することで固定シーブ20aに対して可動シーブ20bを移動し、プーリの溝幅を可変とすることができる。 【0021】また、このCVT17は油圧回路により制御されるようになっている。即ち、セカンダリシリンダ20cにはレギュレータバルブ23により調圧されたセカンダリ油圧(ライン圧)が加えられ、プライマリシリンダ19cには、ライン圧が変速比制御バルブ24により調圧されたプライマリ油圧が加えられる。なお、25はオイルパン、26はオイルパン25内の油をレギュレータバルブ23側へ供給するオイルポンプである。 【0022】そして、CVT17のセカンダリ軸22は発進クラッチ27を介してデファレンシャルギヤ28に接続されており、この発進クラッチ27は図示しない油圧駆動装置で作動するアクチュエータ29により駆動可能となっており、セカンダリ軸22から左右の駆動輪30へのトルク伝達量を調整することができる。 【0023】また、車両には、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を有するSMU(システムマネージメントユニット)31が設けられており、このSMU31によりエンジン11及び電気モータ14などを含めた総合的な制御が行われる。即ち、このSMU31にはエンジン回転速度センサ32、車速センサ33、アクセルペダルのポジションセンサ34、プライマリ回転速度センサ35、セカンダリ回転速度センサ36などの各種センサの検出情報(エンジン回転速度Ne、車速V、アクセル開度APS、実プライマリ回転速度Np、セカンダリ回転速度Ns)が入力される。そして、SMU31は各種センサの検出情報に基づいて燃料噴射モードや燃料噴射量、点火時期等を決定し、図示しない点火プラグ、インジェクタ、スロットル弁を制御し、エンジン11の出力制御を行う。なお、SMU31は、伝達クラッチ13と発進クラッチ27の各アクチュエータ16,29の制御も行う。 【0024】また、SMU31にはバッテリの充電容量(バッテリ充電率SOC)が入力されており、このバッテリ充電容量に応じて電気モータ14を制御し、モータ14の出力制御を行う。 【0025】更に、車両には、SMU31と同様に、入出力装置、記憶装置、中央処理装置、タイマカウンタ等を有するCVT−ECU(CVT用電子制御ユニット)37が設けられており、このCVT−ECU37によりCVT17の総合的な制御が行われる。即ち、このCVT−ECU37にはアクセルペダルのポジションセンサ34、プライマリ回転速度センサ35、セカンダリ回転速度センサ36などの各種センサ類の検出情報(アクセル開度APS、実プライマリ回転速度Np、セカンダリ回転速度Ns)が入力される。そして、CVT−ECU37は各種センサ類の検出情報に基づいて、CVT17のレギュレータバルブ23及び変速比制御バルブ24の油圧を制御することでプーリ比を変え、変速比を設定変更することができる。 【0026】そして、このCVT−ECU37では、SMU31にて、アクセル開度APSと車速Vに基づいて図示しないマップから要求トルクを求め、この要求トルクに基づいて図示しないマップからSMU31にて実プライマリ回転速度Np1 を求め、CVT−ECU37では実プライマリ回転速度Np1 にフィルタをかけ、目標プライマリ回転速度Np1cvt を設定するようになっている。この目標プライマリ回転速度Np1cvt はCVT17を制御するためのものであり、エンジン11及びモータ14等を制御するための目標プライマリ回転速度Np1はSMU31で設定されるようになっている。このようにSMU31とCVT−ECU37のそれぞれが別々に目標プライマリ回転速度を設定するのは、制御対象に応じた設定を行うためであり、CVT−ECU37で設定される目標プライマリ回転速度Np1cvt は、CVTレシオの急変を避けるためにSMU31で設定される目標プライマリ回転速度Np1を基にフィルタ処理により鈍化された値となっている。 【0027】更に、CVT−ECU37では、検出した実プライマリ回転速度Np と設定した目標プライマリ回転速度Np1cvt との偏差に基づいてCVT17の変速デューティを設定し、設定した変速デューティに応じてレギュレータバルブ23及び変速比制御バルブ24の油圧を制御してプーリ比を変え、変速比を設定変更する。 【0028】このように構成されたハイブリッド車の出力制御装置において、ドライバが加速のためにアクセルペダルを踏み込むと、加速要求トルクの増大によりCVT17の変速比が大きく設定され、実プライマリ回転速度Npが上昇するが、アクセルペダルの踏み込み直後はプーリ等の慣性力に吸収されるエネルギが大きいため、車両加速度が小さくてドライバは空走感を感じてしまう。そこで、本実施形態にて、CVT−ECU37は、ドライバによる加速要求時に、CVT17の変速比が大きくなるときの仮想プライマリ回転速度Npaを予測し、この目標プライマリ回転速度Npaの変化量に基づいてモータ14によるアシストトルクを制御するようにしている。 【0029】まず、SMU31による加速制御に関連する機能要素を図2の制御ブロックを用いて説明する。このSMU31は、加速制御に用いる仮想プライマリ回転速度Npaを設定する仮想プライマリ回転速度設定部41と、回生制御に用いる仮想プライマリ回転速度Npbを設定する仮想プライマリ回転速度設定部(図示略)と、モータ要求トルクMTQを設定するモータ要求トルク設定部51とを有している。そして、この仮想プライマリ回転速度設定部41は、第1LPF(ローパスフィルタ)42と、第2LPF43と、前回値処理器44と、第3LPF45とから構成され、モータ要求トルク設定部51は、補償トルク演算器52,53と、第1勾配制限器54と、加算器55と、第2勾配制限器56と、加算器57と、最大トルク制限器58とから構成されている。 【0030】次に、上述した本実施形態のハイブリッド車の出力制御装置におけるSMU31の制御を図2の制御ブロック及び図3のフローチャートに基づいて詳細に説明する。 【0031】図3に示すように、ステップS11において、SMU31はアクセル開度APSと車速Vとバッテリ充電率SOCとから基本モータ要求トルクMTQ1 を演算し、ステップS12では、図示しないマップを用いてアクセル開度APSと車速Vとから目標プライマリ回転速度Np1を演算する。この目標プライマリ回転速度Np1はエンジン11及びモータ14の制御目標値として用いられ、実プライマリ回転速度Npの信号変化に対して所定時間先行して変化、つまり、目標プライマリ回転速度Np1に対して実プライマリ回転速度Npが所定時間遅れて変化するものであり、ここに追従遅れが存在する。 【0032】そして、ステップS13にて、目標プライマリ回転速度Np1の信号が第1LPF42によりノイズ処理されるが、この第1LPF42は一次遅れフィルタであり、フィルタゲイン(FG)が適宜の値に設定されている。この第1LPF42により目標プライマリ回転速度Np1はノイズが除去され目標プライマリ回転速度Np2が演算される。 【0033】ステップS14では、アクセル開度APSの変化量ΔAPSの閉じ判定を行う。つまり、アクセル開度APSの所定時間当たりの変化量ΔAPSを所定周期(10ms)ごとにサンプリングし、前回値と比較して所定回数連続して負の値(ΔAPSが減少)であるかどうかを判定している。ここで変化量ΔAPSが所定回数連続して負の値でなければ、アクセル開度APSが一定あるいは増加しているとしてステップS15に移行する。このステップS15では、キックダウン(K/D)加速判定、つまり、フィルタ処理された目標プライマリ回転速度Np2の所定時間当たりの変化量ΔNp2を演算し、この変化量ΔNp2が所定値よりも大きいかどうかを判定し、変化量ΔNp2が所定値よりも大きければ、ハイブリッド車は加速中であるとしてステップS16に移行する。 【0034】ステップS16では、目標プライマリ回転速度Np2の信号が第2LPF43によりフィルタ処理されるが、この第2LPF43も一次遅れフィルタであり、キックダウン(K/D)であればフィルタゲイン(FG)が第1LPF42よりもかなり小さい値dに設定され、キックダウン(K/D)でなければフィルタゲイン(FG)は0に設定される。この第2LPF43により目標プライマリ回転速度Np2はフィルタ処理されて目標プライマリ回転速度Np3に演算されるが、この目標プライマリ回転速度Np3はCVT−ECU37で得られる目標プライマリ回転速度Np1cvt に相当するように設定される。従って、得られた目標プライマリ回転速度Np3と実プライマリ回転速度Npとに基づき、CVT−ECU37と同様にCVTレシオの制御に用いる変速デューティ補正量を求めることができる。 【0035】ステップS17では、前回値処理器44が目標プライマリ回転速度Np3に前回処理を行い、所定時間、例えば、10ms前の値として補正し、これを目標プライマリ回転速度Np4とする。そして、ステップS18では、K/D加速初期間Aの時間をセカンダリ回転速度Nsに依存した2次元マップにより演算する。続いて、ステップS19では、K/D加速が開始されてからの経過時間が、ステップS18で求めたK/D加速初期の区間Aの時間内にあるかどうかを判定する。ここで、K/D加速が開始されてからの経過時間がK/D加速初期の区間Aの時間内にあれば、ステップS20で区間Aにおける仮想Npaのテーリング処理を行い、そうでなければステップS21で区間Aに継続する区間Bにおける仮想Npaのテーリング処理を行う。 【0036】即ち、第3LPF45は、目標プライマリ回転速度Np4の信号をフィルタ処理するが、この第3LPF45は二次遅れフィルタであり、区間A(ステップS20)ではフィルタゲイン(FG)が1に近い大きな値aに設定され、また、区間B(ステップS21)ではフィルタゲイン(FG)が1より小さく値aより大きい値bに設定され、目標プライマリ回転速度Np4の信号は大きく鈍らされるが、区間Bを過ぎれば0に設定される。そして、仮想プライマリ回転速度Npaとして出力される。 【0037】このようにして求められた仮想プライマリ回転速度Npaは、図4に示すように、実プライマリ回転速度Npに対して先行して変化する。この実プライマリ回転速度Npに対する仮想プライマリ回転速度Npaの先行時間は、実プライマリ回転速度Npの変化量ΔNpを検出してから電気モータ14にアシストトルクを発生させるまでの制御系の応答遅れ時間よりも大きいか略同等である。従って、後述するが、実プライマリ回転速度Npの代わりに仮想プライマリ回転速度Npaに基づいて、電気モータ14のアシストトルクを求めることで、ハイブリッド車の加速初期に無断変速機に吸収されるエネルギに対応したアシスト力を得てドライバは適正な加速感を得ることができる。また、実プライマリ回転速度Npには変動があるため、フィルタ処理をしても適正値とすることはできず、ハンチングにより適正なアシスト力を求めることはできない。 【0038】なお、仮想プライマリ回転速度設定部41では、上述したように、K/D加速時における仮想プライマリ回転速度Npaを出力するが、別の仮想プライマリ回転速度設定部では、減速時において回生制御に用いる仮想プライマリ回転速度Npbを出力している。 【0039】ステップS22では、K/D加速時の仮想プライマリ回転速度Npa及び回生制御時の仮想プライマリ回転速度Npbに応じたモータアシスト量、つまり、補償モータ要求トルクMTQ2 を求める。まず、補償トルク演算器52は仮想プライマリ回転速度Npaに基づいてK/D加速時における慣性補償トルクT1 を演算する。具体的には仮想プライマリ回転速度Npaのサンプリング時間(20ms)当たりの変化量ΔNpaを演算し、この変化量ΔNpaにプライマリ軸15の慣性係数を乗算して求める。続いて、第1勾配制限器54にて所定時間内ではこの慣性補償トルクT1 を出力し、所定時間経過後は所定勾配で0まで減算して出力する。 【0040】次に、加算器55はこのK/D加速時における慣性補償トルクT1 を第2勾配制限器56にかけて勾配制限を実行し、補償モータ要求トルクMTQ2 を求める。つまり、慣性補償トルクT1 の上昇率は電気モータ14の性能を越えて発揮することができないため、ここに上限値を設定する。 【0041】そして、ステップS23では、加算器57がステップS11で求めた基本モータ要求トルクMTQ1 に補償モータ要求トルクMTQ2 を加算し、ステップS24にて、最大トルク制限器58が電気モータ14の性能を越えないように制限を加えてモータ要求トルクMTQが演算され、ステップS25にて、SMU31はこのモータ要求トルクMTQに基づいて電気モータ14を制御する。 【0042】なお、実際には、ステップS15のK/D加速判定と同様に車両の減速を判定するステップがあり、このステップで減速判定が成された場合、前述したように、フィルタ処理により回生制御に用いる仮想プライマリ回転速度Npbを算出しており、補償トルク演算器53はこの仮想プライマリ回転速度Npbに基づいて回生制御時における慣性補償トルクT2 を演算して出力する。そして、加算器55はこの回生制御時における慣性補償トルクT2 をを第2勾配制限器56にかけて勾配制限を実行して補償モータ要求トルクMTQ2 を求めている。 【0043】ところで、ステップS14にて、アクセル開度APSの変化量ΔAPSの閉じ判定を行って、アクセル開度APSが一定あるいは増加していればステップS15に移行したが、アクセル開度APSが減少していればハイブリッド車の減速運転と判定してステップS26に移行する。そして、このステップS27では、ハイブリッド車が加速後に減速した場合に対して、電気モータ14のアシスト量として求めた補償モータ要求トルクMTQ2 を所定勾配で減算していき、ステップS28にて、加算器57が基本モータ要求トルクMTQ1 に減算した補償モータ要求トルクMTQ2'を加算してモータ要求トルクMTQを求める。また、ステップS15にて、K/D加速判定によりアクセル開度APSが一定であればステップS28に移行し、ハイブリッド車は減速も加速もしておらずに一定車速で走行しているものとし、基本モータ要求トルクMTQ1 をモータ要求トルクMTQとする。 【0044】このように本実施形態のハイブリッド車の出力制御装置では、ハイブリッド車のK/D加速時に、加速初期の区間Aにおいて目標プライマリ回転速度Np4の二次遅れフィルタ処理(テーリング処理)を行うと共に、この区間Aに継続する区間Bにおいて目標プライマリ回転速度Np4の二次遅れフィルタ処理(テーリング処理)を行うことで、仮想プライマリ回転速度Npaを算出し、この仮想プライマリ回転速度Npaの変化量ΔNpaに基づいて電気モータ14のアシストトルクを求めることで、ハイブリッド車の加速初期に無断変速機に吸収されるエネルギに対応したアシスト力を得てドライバは適正な加速感を得ることができる。 【0045】具体的には、図5に示すように、ハイブリッド車の走行中にドライバがアクセルペダルを強く踏み込むと、アクセル開度が上昇して区間Aに入り、要求トルクが上昇してCVTレシオが急激に大きく設定され、エンジン回転数が上昇すると共にエンジントルクが増幅され、車両は所定の加速度で加速して車速が上昇していく。この場合、アクセルペダルの踏み込み直後にエンジントルクの一部がCVT17の各プーリ等の慣性力に吸収されるが、このK/D加速時には仮想プライマリ回転速度Npaの変化量ΔNpaに基づいて電気モータ14のアシストトルクが発生するため、ハイブリッド車はドライバのアクセルペダルを強く踏み量に応じて車両加速度が発生し、ドライバは適正な加速感を感じることができる。 【0046】そして、ドライバがアクセルペダルを踏み込んで所定時間が経過すると、区間Bに入り、要求トルクに対してCVTレシオがゆっくりと大きく設定され、エンジン回転数がゆるやかに上昇すると共にエンジントルクが増幅され、車両は所定の加速度で加速して車速が上昇していく。この区間Aから区間Bに移行するとき、CVT17の慣性力に吸収されるエンジントルクが減少して大きな車両加速度が発生するが、ここで電気モータ14のアシストトルクが減少するため、区間Aから区間Bにかけて車両加速度は滑らかに連続することとなり、ドライバは2段加速感を感じることはなく、ドライバビリティが悪化することはない。 【0047】また、ハイブリッド車の加速時の燃費を向上するために、加速前のエンジン回転数を低下させて区間AのCVTレシオを更に大きく設定して、CVT17の慣性力に吸収されるエンジントルクが大きくなっても、それに応じて電気モータ14のアシストトルクが設定されることとなり、ドライバは加速初期に減速感を感じることはない。 【0048】なお、この図5のグラフでは、モータトルクを一定として、K/D加速初期にアシストトルク(補償モータ要求トルクMTQ2 )を設定するようにしたが、これはモータアシストトルクの発生を分かりやすくするためにしたものであり、実際には、前述したように、基本モータ要求トルクMTQ1 と補償モータ要求トルクMTQ2 を加算したものがモータ要求トルクMTQとなっている。即ち、ハイブリッド車に駆動力が要求される場合やエンジン11による走行では効率がよくない場合には、基本モータ要求トルクを設定してモータにトルクを出力させる一方、減速時や下り坂などのブレーキが必要になる場合や充電率SOCの低下により発電が要求される場合には、回生モータ要求トルクを設定して電気モータ14を発電機として作動させ、この電気モータ14にトルクを吸収させている。 【0049】上述の実施形態では、K/D加速時の期間を初期期間Aとこの区間Aに継続する区間Bに分けたが、1つの区間としてもよく、また、3つ以上のの区間に分けてもよい。また、上述した実施形態では、ベルト式無段変速機としてベルト式CVT17を用いたが、トロイダル式CVTなど他の方式の無段変速機を用いてもよい。 【0050】 【発明の効果】以上、実施形態において詳細に説明したように請求項1の発明のハイブリッド車の出力制御装置によれば、ドライバによる加速要求時に無断変速機の変速比が大きくなるときのプライマリ軸の回転速度を予測し、この回転速度の変化量に基づいてモータのアシストトルクを制御するので、プライマリ軸の回転速度を予測してそれに応じてアシストトルクを制御することで、ドライバの加速要求に応じた加速感を感じることができ、加速初期において加速不良による空走感を抑制してドライバビリティを向上することができる。 【0051】また、請求項2の発明のハイブリッド車の出力制御装置によれば、ドライバによる加速要求時にモータを駆動することによりエンジンを補助するモータ制御手段を設け、このモータ制御手段は、ドライバによる加速要求時に無断変速機の変速比を大きな変化割合で変化させる第1変化期間と、加速要求時に第1変化期間に継続すると共に第1変化期間における変化割合よりも小さな変化割合で無断変速機の変速比を変化させる第2変化期間とを設定し、第1変化期間におけるモータのアシストトルクが記第2変化期間におけるモータのアシストトルクよりも大きくなるように制御するので、ドライバの加速要求に応じた加速初期となる第1変化期間にて、十分なアシストトルクが作用することとなり、この第1変化期間で加速感を感じることができ、加速初期において加速不良による空走感を抑制してドライバビリティを向上することができる。 【0052】また、請求項3の発明のハイブリッド車の出力制御装置によれば、モータ制御手段はプライマリ軸の回転速度の変化量に基づいてモータのアシストトルクを制御するので、車両の加速度合に応じたきめ細かいモータ制御を行うことができ、空走感を一層抑制することができる。 【0053】また、請求項4の発明のハイブリッド車の出力制御装置によれば、モータ制御手段は、プライマリ軸の回転速度の変化量からモータの応答遅れ時間を加味した所定期間経過後の仮想回転速度変化量を算出し、仮想回転速度変化量に基づいてモータのアシストトルクを制御するので、モータの応答遅れを加味したアシストトルクに基づいてモータを制御することとなり、車両の加速度合に応じたきめ細かいモータ制御を行うことができ、空走感をなお一層抑制することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006286 【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月9日(2001.3.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078499 【弁理士】 【氏名又は名称】光石 俊郎 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−271912(P2002−271912A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月20日(2002.9.20) |
| 【出願番号】 |
特願2001−66131(P2001−66131) |
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