| 【発明の名称】 |
車両駆動装置、及び電車システム |
| 【発明者】 |
【氏名】田村 浩明
【氏名】吉川 春樹
【氏名】小西 義弘
【氏名】義則 直人
|
| 【要約】 |
【課題】小型で軽量フィルタリアクトルの車両駆動装置を提供する。
【解決手段】フィルタリアクトル4に流れる電流は、CT11で検出される。電流値検出回路12は平均値演算回路13と接続されている。平均値演算回路13では、フィルタリアクトル4に流れた電流の平均値が演算される。フィルタリアクトル4に流れた電流の平均値は比較器14で所定のしきい値と比較される。比較器14はしきい値設定回路15と接続され、設定されたしきい値を越えてフィルタリアクトル4に電流が流れた場合に、過熱検出信号を出力している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フィルタリアクトルとインバータ装置と電動機とを備えた車両駆動装置において、前記フィルタリアクトルの過熱を検出する過熱検出手段と、前記過熱検出手段により前記フィルタリアクトルの過熱が検出された場合に、前記フィルタリアクトルに流れる電流を低減する電流低減手段と、を備えたことを特徴とする車両駆動装置。 【請求項2】 前記過熱検出手段は、前記フィルタリアクトルに流れた電流の平均値を演算し、該電流の平均値が所定のしきい値を超えたことで前記フィルタリアクトルの過熱を検出するものであることを特徴とする請求項1記載の車両駆動装置。 【請求項3】 前記過熱検出手段は、前記フィルタリアクトルに流れた電流の実効値を演算し、該電流の実効値を前記フィルタリアクトルの熱時定数で一次遅れ演算して得られた値が、所定のしきい値を超えたことで前記フィルタリアクトルの過熱を検出するものであることを特徴とする請求項1記載の車両駆動装置。 【請求項4】 前記過熱検出手段は、前記フィルタリアクトルに流れた電流の二乗値と時間とを掛け算した値を演算し、該値を前記フィルタリアクトルの熱時定数で一次遅れ演算して得られた値が、所定のしきい値を超えたことで前記フィルタリアクトルの過熱を検出するものであることを特徴とする請求項1記載の車両駆動装置。 【請求項5】 前記電流低減手段は、前記フィルタリアクトルにおける回生ブレーキを停止して、発電ブレーキに切り換えるものであることを特徴とする請求項1記載の車両駆動装置。 【請求項6】 前記電流低減手段は、前記フィルタリアクトルにおける回生ブレーキを停止して、空気ブレーキに切り換えるものであることを特徴とする請求項1記載の車両駆動装置。 【請求項7】 前記電流低減手段は、力行時の前記インバータ装置のトルク出力を低下させるものであることを特徴とする請求項1記載の車両駆動装置。 【請求項8】 請求項1記載の車両駆動装置を搭載した複数の車両を編成の中に含む電車システムにおいて、前記編成中の車両の一台以上で車両駆動装置がカットアウトされた場合に、前記フィルタリアクトルの過熱を検出するとともに、前記フィルタリアクトルの電流を低減することによって、残りの車両における各フィルタリアクトルの過熱を防止したことを特徴とする電車システム。 【請求項9】 前記過熱検出手段は、複数の車両間で故障信号を授受し、該故障信号によって故障停止している車両数を検出して、各車両で前記フィルタリアクトルの過熱を検出するものであることを特徴とする請求項8記載の電車システム。 【請求項10】 前記過熱検出手段は、さらに前記電動機に取り付けた速度センサと、前記速度センサで検出した走行速度を微分演算して加速度を求める微分回路とを備え、前記車両毎に加速度が所定加速度値以下になったことで前記フィルタリアクトルの過熱を検出することを特徴とする請求項9記載の電車システム。 【請求項11】 前記過熱検出手段は、複数の車両間で故障により車両駆動装置を開放したことを示すユニット開放信号を授受し、該ユニット開放信号によって故障停止している車両数を検出して、各車両で前記フィルタリアクトルの過熱を検出するものであることを特徴とする請求項8記載の電車システム。 【請求項12】 前記過熱検出手段は、さらに前記電動機に取り付けた速度センサと、前記速度センサで検出した走行速度を微分演算して加速度を求める微分回路とを備え、前記車両毎に加速度が所定加速度値以下になったことで前記フィルタリアクトルの過熱を検出することを特徴とする請求項11記載の電車システム。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、電気車に搭載したフィルタリアクトルの保護を可能とする車両駆動装置に関し、特に、車両駆動装置を搭載した複数の車両を編成の中に含む電車システムに関する。 【0002】 【従来の技術】通常の電車システムは、車両駆動装置を搭載した複数の車両を編成の中に含んで、回生ブレーキと発電ブレーキとを併用して走行する。 【0003】図11は、従来技術を説明する車両駆動装置の一例を示す図である。図11において、車両駆動装置は力行時には、架線1からパンタグラフ2、開閉器3、フィルタリアクトル4を介して駆動装置であるインバータ5に電流が流れ、それぞれ電動機61〜64が駆動される。回生ブレーキ時には、インバータ5からフィルタリアクトル4、開閉器3、パンタグラフ2の経路で架線1に電流が流れる。車輪7とフィルタリアクトル4との間には、発電ブレーキ用の抵抗器8とスイッチング素子9が直列に設けられている。 【0004】電車が力行動作と回生動作を繰り返すことで、フィルタリアクトル4には電流が流れる。フィルタリアクトル4に入力電流が流れると、その巻線抵抗の大きさに基づいて熱損失が発生し、温度が上昇する。そこで従来は、フィルタリアクトル4は電車運用上の最大ケースを想定して、フィルタリアクトル4が過熱しないようにその容量を決定していた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】したがって、上述した車両駆動装置を搭載した複数の車両を編成の中に含む電車システムでは、電車運用上では稀にしか発生しない状況を前提にフィルタリアクトルの容量を決定する必要があって、そのため、従来の車両駆動装置は大型で、重量が大きくなるという問題があった。また、各車両ユニットが全て健全であるという前提でフィルタリアクトルの容量を決定した場合には、過負荷を検出したときに、フィルタリアクトルに流れる電流を低減しなければ、フィルタリアクトルが損傷するという問題もあった。 【0006】この発明の目的は、小型・軽量のフィルタリアクトルを適用した車両駆動装置を提供することにある。また、この発明の別の目的は、フィルタリアクトルの過熱を確実に検出することができる車両駆動装置、及び電車システムを提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、フィルタリアクトルとインバータ装置と電動機とを備えた車両駆動装置が提供される。この車両駆動装置は、前記フィルタリアクトルの過熱を検出する過熱検出手段と、前記過熱検出手段により前記フィルタリアクトルの過熱が検出された場合に、前記フィルタリアクトルに流れる電流を低減する電流低減手段とから構成される。 【0008】この車両駆動装置では、運用上の特殊な条件でフィルタリアクトルの容量を決定するのではなく、通常の運用において発生する責務でフィルタリアクトルの容量を決定することができる。 【0009】また、車両駆動装置を搭載した複数の車両を編成の中に含む電車システムが提供される。この電車システムは、前記編成中の車両の一台以上の車両駆動装置がカットアウトされた場合に、残りの車両における前記フィルタリアクトルの過熱を検出するとともに、前記フィルタリアクトルの電流を低減することによって、各フィルタリアクトルの過熱を防止するものである。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。 (第一の実施の形態)図1(A)は、フィルタリアクトルの過熱を検出するための保護装置を示すブロック図、同図(B)は、その検出動作を説明する図である。ここでは、フィルタリアクトルに流れた電流の平均値を演算して、フィルタリアクトルの過熱を検出するようにしている。 【0011】図1(A)において、フィルタリアクトル4に流れる電流は、CT11で検出される。電流値検出回路12は平均値演算回路13と接続されていて、ここでフィルタリアクトル4に流れた電流の平均値が演算される。このフィルタリアクトル4に流れた電流の平均値は、比較器14で所定のしきい値と比較される。比較器14はしきい値設定回路15と接続され、設定されたしきい値を越えてフィルタリアクトル4に電流が流れた場合に、過熱検出信号を出力している。なお、パンタグラフ2、フィルタリアクトル4、インバータ5、電動機61〜64及び車輪7は、図11の従来例と同じである。 【0012】いま、フィルタリアクトル4に流れる電流値をILとし、フィルタリアクトル4の抵抗成分の大きさをRLとする。すると、フィルタリアクトル4で発生する損失PLは、次の式(1)で表すことができる。 【0013】 PL=IL2×RL …(1) すなわち、フィルタリアクトル4で発生する損失PLは、フィルタリアクトル4を流れる電流の二乗値とフィルタリアクトル4の抵抗成分との積である。ここでは、上述した式(1)で示すように、フィルタリアクトル4で発生する損失(発熱量)がフィルタリアクトル4に流れる電流値の二乗に比例することを利用して、車両駆動装置における過負荷状態を検出している。 【0014】図1(B)では、横軸に時間tを、縦軸に電流値ILを示している。平均値演算回路13において、点線で示す入力電流を一定時間サンプルして、フィルタリアクトル4に流れた電流の平均値を演算している。この演算結果は、図1(B)では実線により示してある。比較器14では、この平均値が一点鎖線で示すしきい値と比較され、過熱検出信号が出力される。 【0015】以上のように、ここに示す保護装置では、フィルタリアクトル4に流れた電流の平均値が所定のしきい値を超えたことで、フィルタリアクトル4の過熱状態を知って、車両駆動装置における過負荷状態を検出できる。 (第二の実施の形態)図2(A)は、フィルタリアクトルに流れた電流の実効値を演算して、フィルタリアクトルの過熱を検出する保護装置を示すブロック図、同図(B)は、その検出動作を説明する図である。 【0016】図2(A)において、フィルタリアクトル4に流れる電流は、CT11によって検出される。電流値検出回路12は実効値演算回路21と接続されていて、ここでフィルタリアクトル4に流れた電流の実効値が演算される。このフィルタリアクトル4の実効電流の大きさは、CT11で検出された電流値をILとしたとき、この入力電流を二乗して、時間との積をとり、さらにルート演算した値(IL2×t)1/2となる。この実効値演算回路21の出力は、一次遅れ演算回路22に供給され、一次遅れ演算結果が比較器14で所定のしきい値と比較される。比較器14はしきい値設定回路15と接続され、設定されたしきい値を越えてフィルタリアクトル4に電流が流れた場合に、過熱検出信号を出力している。なお、パンタグラフ2、フィルタリアクトル4、インバータ5、電動機61〜64及び車輪7は、図11の従来例と同じである。 【0017】図2(B)では、横軸に時間tを、縦軸に一次遅れ補正されたフィルタリアクトル4の実効電流の大きさを示している。点線で示す実効電流が実効値演算回路21から出力されるとき、一次遅れ演算回路22ではフィルタリアクトル4の熱時定数Tを元にして、1/(1+sT)の一次遅れ演算が行われる。実効値演算結果に対して熱時定数Tで一次遅れ演算した値を用いて過熱検出を行うことにより、フィルタリアクトル4の温度推定の演算精度を向上することができる。フィルタリアクトル4に一定の実効電流が流れた場合でも、その熱時定数で決まる時間だけ遅れて温度が上昇するからである。一次遅れ演算結果は、図2(B)では実線により示してある。比較器14では、この値が一点鎖線で示すしきい値と比較され、過熱検出信号が出力される。 【0018】以上のように、第二の実施形態に示す保護装置では、フィルタリアクトル4に流れた電流の実効値が所定のしきい値を超えたことで、フィルタリアクトル4の過熱状態を知って、車両駆動装置における過負荷状態を検出できる。 (第三の実施の形態)図3(A)は、第二の実施形態での演算を簡略化した演算システムを示す保護装置を示すブロック図、同図(B)は、その検出動作を説明する図である。 【0019】第二の実施形態では、実効値演算を行うことによってフィルタリアクトル4の過負荷状態を検出していたが、ここではルート演算を行わないで、単に二乗演算だけで過熱状態を検知しようとするものである。図2(A)と異なるのは、実効値演算回路21に代えて二乗演算回路31を用いている点である。実効値演算が1秒毎に行われるものとすれば、時間tとの掛け算も省略される。 【0020】このように、フィルタリアクトル4を流れる電流値を二乗した値に対して、一次遅れ演算回路22で一次遅れ演算した値を求め、比較器14で所定のしきい値と比較するだけで、車両駆動装置における過負荷状態を検出することができる。したがって、第二の実施形態のものと比較して、フィルタリアクトル4の温度推定の精度が向上するとともに、フィルタリアクトル4が過熱したことの誤検出を低減できる。 (第四の実施の形態)従来は、図11に示すように開閉器3によって力行モードから回生モードに切り換えてフィルタリアクトル4に流れる電流方向が切り換えられて、車両駆動装置で駆動される電車の速度を低下させていた。回生モードに切り換えられた後に過熱検出手段によりフィルタリアクトル4の過熱が検出された場合、フィルタリアクトル4に流れる電流を低減する電流低減手段について説明する。 【0021】図4は、電流低減手段の構成を示す図である。ここでは、図4(A)に示すような電力回生によるブレーキモードだけでなく、同図(B)に示すような発電ブレーキ(抵抗器8での電力消費によるブレーキ)モードを選択可能にしている。発電ブレーキモードでは、フィルタリアクトル4には回生電流が流れない。したがって、フィルタリアクトル4での過熱が検出された場合に、モード切り換え制御によって発電ブレーキモードを選択することによって、フィルタリアクトル4の責務を低減することができる。同図(C)には、電流低減手段の構成を示している。フィルタリアクトル4の過熱検出回路の構成は、第一乃至第三の実施形態のいずれであってもよい。ここでは、モード切り換え制御が過熱検出信号に基づいて実行され、フィルタリアクトル4の温度を上昇させることなく、車両駆動装置における過負荷状態に応じてブレーキモードが選択できる。 【0022】なお、ブレーキモードとしては空気ブレーキを選択することも可能であり、抵抗器8による電力消費に代えて空気ブレーキモードに切り換えるモード切り換え制御によって、同様の責務の低減効果が得られる。 (第五の実施の形態)つぎに、力行モードを切り換えて、フィルタリアクトル電流の低減を図るようにした電流低減手段について説明する。 【0023】図5は、力行モードを切り換える方法を説明する図である。同図(A)は、フィルタリアクトル電流の低減がない場合の速度を実線にて示し、低減する場合の速度を破線にて示している。同図(B)では、それぞれ対応する出力トルクの状態を示している。また、同図(C)では、フィルタリアクトル電流の状態を示している。力行中にフィルタリアクトル4に流れる電流を低減するには、インバータの出力トルクを減少させればよい。 【0024】電動機の出力Pは、出力Trと車両速度ωとの積であるから、フィルタリアクトル電流をI、入力電圧をVとすると、 P=V×I=Tr×ω …(2) となる。したがって、入力電流Iは次の式(3)で示すように、インバータの出力トルクTrに比例する。 【0025】 I=Tr・ω/V …(3) 式(3)から、フィルタリアクトル4に流れる電流Iを低減するには、Trを低下させればよい。 【0026】いま、電動機の回転数をNとすると、図5(A)乃至(C)に示すように、時刻t0からt1までは定トルク領域、時刻t1からt2までは定出力領域、時刻t2以降が特性領域であって、実線に示すトルクを出力する場合をフィルタリアクトル4に流れる電流の低減がない場合のパターンとする。これに対して、破線で示すように、時刻t1で電動機のトルクを1/N2で低下させることによって、力行時のフィルタリアクトル4に流れる電流は時刻t1から1/Nで低下することになる。これにより、力行時にもフィルタリアクトル4の責務の低減が図れる。 【0027】図5(D)には、電流低減手段の構成を示している。フィルタリアクトル4の過熱検出回路の構成は、第一乃至第三の実施形態のいずれであってもよい。ここでは、モード切り換え制御が過熱検出信号に基づいて実行され、フィルタリアクトル4の温度を上昇させることなく、車両駆動装置における過負荷状態に応じて力行モードが選択できる。 (第六の実施の形態)つぎに、上述した車両駆動装置を搭載した複数の車両を編成の中に含む電車システムについて説明する。 【0028】すでに説明したように、従来のフィルタリアクトル4では、その容量を電車運用上の最大ケースで決定することにより、フィルタリアクトル4を過熱しないようにしていた。このため、フィルタリアクトルが大型で重くなるという課題があった。電車運用上、フィルタリアクトルに流れる電流が増加するケースとしては、次に示すユニット開放時がある。 【0029】図6は、6両1編成の電車の構成を示している。このうち、車両Mは電動機によって車輪が駆動されている電動車である。車両Tはトレーラ車両であり、台車には電動機を取り付けていない。ここに示す6両編成の電車は、4M2Tで構成された電車システムを構成している。 【0030】ところで、1台の車両Mに取り付けてある電動機を駆動するための電力変換装置が故障すると、3M3Tの車両構成となる。2台の車両で電力変換装置が故障した場合には、2M4Tの車両構成となる。電車の推進力は、MT比の比率にしたがって低下する。そして、MT比が低下すれば、以下に述べる理由でフィルタリアクトルが過負荷状態になる。 【0031】図7は、運転モードを示す図である。車両ユニットの開放によって2M4Tとなった場合でも、電車が同じ時間で駅間を走行するためには、速度−時間曲線における面積が同一とならなければならない。そのため、開放によって推進力が低下した場合には、低下した割合に応じて力行時間が延びることになる。その結果、フィルタリアクトルに流れる平均電流が増加する。駅間での平均電流が増加した状態のままで運用を継続すると、フィルタリアクトル自体の温度が上昇し、フィルタリアクトルは過熱状態に至る。 【0032】この実施の形態では、1台以上の車両の駆動装置がユニット開放になったことから、フィルタリアクトルの過熱発生を予測するようにした過熱検出手段について説明する。 【0033】図8は、各車両でフィルタリアクトルの過熱を検出するための保護装置を示すブロック図である。車両の駆動装置を構成する各電動機61〜64には、それぞれ速度検出器71〜74が接続され、速度信号を加速度検出回路75に出力している。加速度検出回路75には、力行ノッチ信号と空転検出信号が供給され、力行時に加速度を演算して出力している。比較器76は、演算された加速度を所定のしきい値と比較するものである。比較器76にはしきい値設定回路77が接続され、加速度が低下して、設定されたしきい値を下回った場合には、フィルタリアクトル4に過大な電流が流れたとして、過熱検出信号を出力している。 【0034】なお、パンタグラフ2、フィルタリアクトル4、インバータ5、電動機61〜64及び車輪7は、図11の従来例と同じである。上述した構成の保護装置では、フィルタリアクトル4の過熱が発生することを、駆動装置がユニット開放になったことから予測できる。すなわち、電車の場合には力行ノッチに合わせてトルクが対応することになっている。故障などにより、健全ユニットの数が低下した場合、直接に加速度に反映される。トルク立ち上げが完了した時点から定出力になるまでの定トルク領域において、加速度αは次式(4)で示される。 【0035】 α=Tr/M …(4) ここで、Mは車両の質量、Trはトルクである。定トルク領域において、たとえば健全ユニット数が1/2になった場合に加速度も1/2になることから、定トルク流域での加速度からユニット開放が発生したことを検出することが可能である。加速度信号は、上述したように電動機に取り付けた速度センサなどによって速度信号を得て、それを微分すれば得られる。推進力が例えば半減したことを検出するものとすれば、電車の性能から決まる加速度を1とした場合に1乃至1/2の間のしきい値を設定し、このしきい値と演算によって求めた加速度とを比較して、過熱検出信号を出力すればよい。上述した実施の形態では、車両の空転制御信号を比較器76に入力しておいて、空転制御中に所定のトルクを下回った場合には加速度の演算を行わないで、演算精度を向上させるようにしている。 (第七の実施の形態)つぎに、ユニット間でユニット故障信号を相互に伝え合って、過熱を予測する電車システムについて説明する。 【0036】図9は、車両駆動装置を搭載した4台の車両ユニットM1〜M4を編成の中に含む電車システムを示す図である。各車両ユニット間で、他の車両ユニットでの故障信号を相互に伝え合うように構成され、例えば車両ユニットM1では自己の故障信号を他の車両ユニットM2〜M4に停止情報として伝送するとともに、これらの車両ユニットM2〜M4からの故障信号を、車両の停止情報として受け取っている。 【0037】故障停止した車両ユニットが2台以上となり、健全なユニット数が残り2台以下となった場合に、推進力は半分以下に低減し、力行時間が増加するため、フィルタリアクトル4は過負荷状態となって過熱する恐れがあるものとする。ここで車両ユニットM1の過熱検出回路90は、3つのアンドゲート91〜93と1つのオアゲート94から構成された論理回路である。この過熱検出回路90では、2台以上の車両ユニットが故障停止した場合に、オアゲート94からの出力信号によってフィルタリアクトル4の過熱を検出することができる。 (第八の実施の形態)つぎに、ユニット間でユニット開放信号を相互に伝え合って、過熱を予測する電車システムについて説明する。 【0038】図10は、車両駆動装置を搭載した4台の車両ユニットM1〜M4を編成の中に含む電車システムを示す図である。各車両ユニット間で、他の車両ユニットでの開放信号を相互に伝え合うように構成され、例えば車両ユニットM1では自己の開放信号を他の車両ユニットM2〜M4に停止情報として伝送するとともに、これらの車両ユニットM2〜M4からの開放信号を停止情報として受け取っている。 【0039】第七の実施形態と同様に、故障停止した車両ユニットが2台以上となり、健全なユニット数が残り2台以下となった場合に、推進力は半分以下に低減し、力行時間が増加するため、フィルタリアクトルは過負荷状態となって過熱する恐れがあるものとする。ここで、車両ユニットM1の過熱検出回路100は、3つのアンドゲート91〜93と1つのオアゲート94から構成された論理回路である。この過熱検出回路100では、2台以上の車両ユニットが故障停止した場合に、オアゲート94からの出力信号によってフィルタリアクトルの過熱を検出することができる。 【0040】 【発明の効果】以上に説明したように、この発明の電車システムによれば、運用上の特殊な条件でフィルタリアクトルの容量を決定するのではなく、通常の運用において、発生する責務でフィルタリアクトルの容量を決定することができる。したがって、フィルタリアクトルの小型化、軽量化を図ることが可能になる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005234 【氏名又は名称】富士電機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成13年3月14日(2001.3.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092152 【弁理士】 【氏名又は名称】服部 毅巖
|
| 【公開番号】 |
特開2002−271902(P2002−271902A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月20日(2002.9.20) |
| 【出願番号】 |
特願2001−72940(P2001−72940) |
|