| 【発明の名称】 |
ハイブリッド車両の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 武彦
【氏名】和久田 聡
【氏名】竹本 和雄
|
| 【要約】 |
【課題】モータによる発進動作を、従来のエンジンによる発進動作に似せた形で行うことの出来る、ハイブリッド車両の制御装置の提供。
【解決手段】内燃エンジン2と該エンジンに接続されたモータ3を有し、内燃エンジンへの燃料供給が停止した後、内燃エンジンに燃料供給されている状態のエンジントルクmgTorque_egを推定するエンジントルク推定手段MCPを設け、エンジントルク推定手段で求められた推定エンジントルクに基づいてモータを駆動する際のモータ駆動トルクmgTorquを演算して求めるモータ駆動トルク演算手段を設ける。モータが推定されたエンジントルクに基づいて駆動されるので、発進時に、モータで発進させたとしても、変速機5側には、運転者が要求するトルクを供給することが出来、あたかもエンジン2で発進させているかのように発進動作を行うことが出来る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃エンジンと該内燃エンジンに接続されたモータからなり、該モータを回転駆動することにより、前記内燃エンジンがつれ回りする構造からなる駆動源を有し、該駆動源からの駆動力を、駆動輪に伝達するハイブリッド車両の制御装置において、内燃エンジンへの燃料供給が停止した後、内燃エンジンに燃料供給されている状態のエンジントルクを推定するエンジントルク推定手段を設け、前記エンジントルク推定手段で求められた推定エンジントルクに基づいて前記モータを駆動する際のモータ駆動トルクを演算して求めるモータ駆動トルク演算手段を設け、前記モータ駆動トルク演算手段により求められたモータ駆動トルクにより前記モータを駆動するモータ駆動手段を設けて構成した、ハイブリッド車両の制御装置。 【請求項2】 前記内燃エンジンの回転数を検出して、該検出された内燃エンジンの回転数に基づいて前記内燃エンジンの引きずりトルクを演算して求める引きずりトルク演算手段を設け、前記モータ駆動トルク演算手段は、前記エンジントルク推定手段で求められた推定エンジントルク及び前記引きずりトルク演算手段で求められた引きずりトルクに基づき、モータ駆動トルクを演算することを特徴とする、請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項3】 前記エンジントルク推定手段は、アクセル開度と内燃エンジンの回転数を検出し、検出されたアクセル開度と内燃エンジンの回転数に基づいてエンジントルクを推定することを特徴とする、請求項1又は2記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項4】 前記モータ駆動トルク演算手段は、前記モータを駆動する際のモータ駆動トルクを、前記エンジントルク推定手段で求められた推定エンジントルク及び引きずりトルク演算手段により求められた引きずりトルクの和から演算することを特徴とする、請求項2記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項5】 内燃エンジンと該内燃エンジンに接続されたモータからなり、該モータを回転駆動することにより、前記内燃エンジンがつれ回りする構造からなる駆動源を有し、該駆動源からの駆動力を、駆動輪に伝達するハイブリッド車両の制御装置において、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、内燃エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、内燃エンジンへの燃料供給が停止し、モータからの出力のみで走行する際に、前記アクセル開度検出手段及びエンジン回転数検出手段により検出されたアクセル開度及びエンジン回転数に基づいて、モータの駆動トルクを演算して求めるモータ駆動トルク演算手段と、前記モータ駆動トルク演算手段により求められたモータ駆動トルクにより前記モータを駆動するモータ駆動手段とを、備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項6】 前記モータ駆動トルク演算手段は、エンジン回転数に基づいて前記内燃エンジンの引きずりトルクを演算して求める引きずりトルク演算手段を更に備え、アクセル開度、エンジン回転数及び引きずりトルクに基づいてモータの駆動トルクを演算することを特徴とする、請求項5記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項7】 前記内燃エンジンは、デコンプ機構を有することを特徴とする、請求項1又は5記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項8】 前記モータ駆動トルク演算手段により求められたモータ駆動トルクが、前記モータにより出力可能か否かを判定する、モータ出力判定手段を設け、前記モータ出力判定手段が、前記モータ駆動トルク演算手段により求められたモータ駆動トルクが、前記モータから出力出来ないものと判定した場合に、前記内燃エンジンを始動するように制御する、内燃エンジン制御手段を設けて構成した、請求項1又は5記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項9】 前記内燃エンジンの出力軸と前記モータの出力軸は直結されていることを特徴とする、請求項1又は5記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項10】 前記モータは、発電機能をも有するモータジェネレータであることを特徴とする、請求項1または5記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項11】 前記ハイブリッド車両は、前記駆動源からの駆動力が入力される変速機を有し、前記駆動力は、該変速機の出力軸を介して前記駆動輪に伝達されることを特徴とする、請求項1または5記載のハイブリッド車両の制御装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、モータとエンジンが直結されたハイブリッド車両における制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】走行レンジで車両が停止した場合、ブレーキが踏まれてブレーキセンサがONになったところでエンジンが停止する、アイドリングストップ制御がこの種のハイブリッド車両において行われている。 【0003】この場合、ブレーキが解放され、ブレーキセンサがOFFになってスロットルが踏まれると、モータ(本明細書で、「モータ」と称した場合、回生動作にて発電機として作用する「ジェネレータ」機能を有するものも含む)が駆動され、車両はモータにで走行を開始する。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】この際、運転者に違和感を与えないためには、モータによる発進動作を、極力従来のエンジンによる発進に似せた形で行うことが望ましいが、そうした技術はいまだ開発されていない。 【0005】本発明は、上記した事情に鑑み、モータによる発進動作を、従来のエンジンによる発進動作に似せた形で行うことの出来る、ハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とするものである。 【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、内燃エンジン(2)と該内燃エンジンに接続されたモータ(3)からなり、該モータを回転駆動することにより、前記内燃エンジンがつれ回りする構造からなる駆動源(8)を有し、該駆動源からの駆動力を、駆動輪に伝達するハイブリッド車両の制御装置において、内燃エンジンへの燃料供給が停止した後、内燃エンジンに燃料供給されている状態のエンジントルク(mgTorque_eg)を推定するエンジントルク推定手段(62、MCP)を設け、前記エンジントルク推定手段で求められた推定エンジントルクに基づいて前記モータを駆動する際のモータ駆動トルク(mgTorque)を演算して求めるモータ駆動トルク演算手段(62、MCP)を設け、前記モータ駆動トルク演算手段により求められたモータ駆動トルクにより前記モータを駆動するモータ駆動手段(62、MCP)を設けて構成される。 【0006】請求項2の発明は、前記内燃エンジンの回転数を検出して、該検出された内燃エンジンの回転数に基づいて前記内燃エンジンの引きずりトルク(mgTorque_dr)を演算して求める引きずりトルク演算手段(62、MCP)を設け、前記モータ駆動トルク演算手段は、前記エンジントルク推定手段で求められた推定エンジントルク(mgTorque_eg)及び前記引きずりトルク演算手段で求められた引きずりトルクに基づき、モータ駆動トルク(mgTorque)を演算することを特徴として構成される。 【0007】請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記エンジントルク推定手段は、アクセル開度と内燃エンジンの回転数を検出し、検出されたアクセル開度と内燃エンジンの回転数に基づいてエンジントルクを推定することを特徴として構成される。 【0008】請求項4の発明は、請求項2の発明において、前記モータ駆動トルク演算手段は、前記モータを駆動する際のモータ駆動トルクを、前記エンジントルク推定手段で求められた推定エンジントルク及び引きずりトルク演算手段により求められた引きずりトルクの和から演算することを特徴として構成される。 【0009】請求項5の発明は、内燃エンジンと該内燃エンジンに接続されたモータからなり、該モータを回転駆動することにより、前記内燃エンジンがつれ回りする構造からなる駆動源を有し、該駆動源からの駆動力を、駆動輪に伝達するハイブリッド車両の制御装置において、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、内燃エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、内燃エンジンへの燃料供給が停止し、モータからの出力のみで走行する際に、前記アクセル開度検出手段及びエンジン回転数検出手段により検出されたアクセル開度及びエンジン回転数に基づいて、モータの駆動トルク(mgTorque)を演算して求めるモータ駆動トルク演算手段と、前記モータ駆動トルク演算手段により求められたモータ駆動トルクにより前記モータを駆動するモータ駆動手段とを、備えることを特徴として構成される。 【0010】請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記モータ駆動トルク演算手段は、エンジン回転数に基づいて前記内燃エンジンの引きずりトルクを演算して求める引きずりトルク演算手段を更に備え、アクセル開度、エンジン回転数及び引きずりトルクに基づいてモータの駆動トルクを演算することを特徴として構成される。 【0011】請求項7の発明は、請求項1又は5の発明において、前記内燃エンジン(2)は、デコンプ機構を有することを特徴として構成される。 【0012】請求項8の発明は、請求項1又は5の発明において、前記モータ駆動トルク演算手段により求められたモータ駆動トルクが、前記モータにより出力可能か否かを判定する、モータ出力判定手段(62、MCP)を設け、前記モータ出力判定手段が、前記モータ駆動トルク演算手段により求められたモータ駆動トルクが、前記モータから出力出来ないものと判定した場合に、前記内燃エンジンを始動するように制御する、内燃エンジン制御手段を設けて構成される。 【0013】請求項9の発明は、請求項1又は5の発明において、前記内燃エンジンの出力軸と前記モータの出力軸は直結されていることを特徴として構成される。 【0014】請求項10の発明は、請求項1または5の発明において、前記モータは、発電機能をも有するモータジェネレータであることを特徴として構成される。 【0015】請求項11の発明は、請求項1または5の発明において、前記ハイブリッド車両は、前記駆動源からの駆動力が入力される変速機を有し、前記駆動力は、該変速機の出力軸を介して前記駆動輪に伝達されることを特徴として構成される。 【0016】 【発明の効果】請求項1の発明によれば、内燃エンジンへの燃料供給が停止した後、内燃エンジンに燃料供給されている状態のエンジントルク(mgTorque_eg)が推定され、該推定されたエンジントルク(mgTorque_eg)に基づいてモータ駆動トルク(mgTorque)が演算され、該モータ駆動トルクに基づいてモータが駆動されるので、エンジン停止後のハイブリッド車両の発進時に、モータのみを駆動して発進させたとしても、あたかもエンジン(2)で発進させているかのように発進動作を行うことが出来、運転者に違和感を与えることがない。 【0017】請求項2の発明によれば、モータ駆動トルク(mgTorque)が、非駆動状態の内燃エンジンをモータで駆動するための引きずりトルクを考慮した形で求められるので、ハイブリッド車両の発進時に、モータのみを駆動して、非駆動状態の内燃エンジンを、連れ回りさせる形で発進させたとしても、推定エンジントルク(mgTorque_eg)分を適正に駆動輪側に出力することが出来、運転者に違和感を与えることがない。 【0018】請求項3の発明によれば、アクセル開度と内燃エンジンの回転数により、正確なエンジントルクの推定が可能となる。 【0019】請求項4の発明によると、モータを駆動する際のモータ駆動トルクを、エンジントルク推定手段で求められた推定エンジントルク及び引きずりトルク演算手段により求められた引きずりトルクの和から演算するので、モータを駆動するモータ駆動トルクを簡単に演算することが出来、制御が容易になる。 【0020】請求項5の発明によると、内燃エンジンのみで走行する際に、アクセル開度及びエンジン回転数からモータの駆動トルク(mgTorque)が演算され、該モータ駆動トルクに基づいてモータが駆動されるので、ハイブリッド車両の発進時に、モータのみを駆動して発進させたとしても、あたかもエンジン(2)で発進させているかのように発進動作を行うことが出来、運転者に違和感を与えることがない。 【0021】請求項6の発明によると、モータ駆動トルク(mgTorque)が、非駆動状態の内燃エンジンをモータで駆動するための引きずりトルクを考慮した形で求められるので、ハイブリッド車両の発進時に、モータジェネレータのみを駆動して、非駆動状態の内燃エンジンを、連れ回りさせる形で発進させたとしても、運転者に違和感を与えることがない。 【0022】請求項7の発明によると、デコンプ機構により、内燃エンジンの引きずりトルクを低減させることが出来るので、モータ駆動トルクを小さく抑えてバッテリーの消耗を抑えることが出来る。 【0023】請求項8の発明によると、モータ駆動トルク演算手段により求められたモータ駆動トルクが、モータから出力出来ないものと判定した場合に、内燃エンジンが始動されるので、トルク不足のまま車両が発進することが無く、円滑な発進動作を行うことが出来る。 【0024】請求項9の発明によると、内燃エンジンの出力軸と前記モータの出力軸が直結されたタイプの車両にも適用可能である。 【0025】請求項10の発明によると、モータが発電機能も有するので、別に発電機を設ける必要がない。 【0026】請求項11の発明によると、本発明を駆動源と駆動輪との間に変速機が設けられたタイプのハイブリッド車両にも適用することが出来る。 【0027】なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。 【0028】 【発明の実施の形態】図1は、ハイブリッド車両の駆動機構の一例を示す概略図、図2(a)は自動変速機構のスケルトン図、(b)はその作動図、図3はモータジェネレータの制御ブロック図、図4はモータ制御プログラムの一例を示すフローチャート、図5(a)はエンジントルク特性マップの一例、(b)はモータトルクマップの一例、(c)はひきずりトルク特性マップの一例を示す図である。 【0029】図1は、ハイブリッド車両の駆動機構の一例を示す概略図である。なお、以下の説明では、モータという言葉を、モータジェネレータと同じ意味に使用するものとする。 【0030】同図に示すように、駆動系1は、駆動源8と自動変速機(変速機)9とによって構成されており、このうち前者の駆動源8は、エンジン(内燃エンジンE/G)2とモータジェネレータ(M/G)3との2系統を備えている。エンジン2とモータジェネレータ3は互いの出力軸が、クラッチなどを介することなく、直列に直結接続されており、エンジン2又はモータジェネレータ3のいずれかを回転駆動すると、モータジェネレータ3又はエンジン2が連れ回りする形で駆動される。従って、駆動力は、エンジン2とモータジェネレータ3の一方又は双方から出力され、そして、変速機9に入力されるようになっている。なお、モータジェネレータ3のように、発電機能を有するモータの他に、発電機能を有さない又は、発電機として使用しない、通常のモータを用いることも当然可能である。 【0031】一方、後者の変速機9は、トルクコンバータ(T/C)4と、自動変速機構5と、オイルポンプ6と、を備えている。このうちトルクコンバータは、上述の駆動源8から入力された駆動力を、作動油を介して自動変速機構5に入力する。また、自動変速機構5は、複数のプラネタリギヤ、及びプラネタリギヤの構成要素に係脱する複数の摩擦係合要素を有しており、その係脱の組み合わせを変更することで複数段の変速比が選択可能である。なお、自動変速機構5については後に詳述する。オイルポンプ6は、トルクコンバータ4と連動するように配設されており、上述のエンジン2及びモータジェネレータ3により駆動されて油圧を発生する。 【0032】このように構成された駆動系1においては、エンジン2とモータジェネレータ3の一方又は双方で出力された駆動力は、トルクコンバータ4を介して自動変速機構5に入力される。そして、入力された駆動力は、車両の走行状況に基づいて自動変速機構5により適宜な段数に変速された後、車輪(駆動輪)に出力される。 【0033】つづいて、図2(a)、(b)に沿って、自動変速機構5について説明する。なお、図2(a)は自動変速機構5のスケルトン図であり、図2(b)はその作動図である。 【0034】図2(a)に示すように、自動変速機構5は、主変速機構30、副変速機構40、及びディファレンシャル装置50を備えている。このうち主変速機構30は、エンジン出力軸に整列して配置される第1軸に配置されており、エンジン2及びモータジェネレータ3から、ロックアップクラッチ36を有するトルクコンバータ4を介して駆動力が伝達される入力軸37を有している。この第1軸には、トルクコンバータ4に隣接するオイルポンプ6、ブレーキ部34、プラネタリギヤユニット部31、クラッチ部35が順に配置されている。 【0035】プラネタリギヤユニット部31は、シンプルプラネタリギヤ32とダブルピニオンプラネタリギヤ33から構成されている。このうちシンプルプラネタリギヤ32は、サンギヤS1、リングギヤR1、及びこれらギヤに噛合するピニオンP1を支持したキャリヤCRからなり、また、ダブルピニオンプラネタリギヤ33は、サンギヤS2、リングギヤR2、並びにサンギヤS1に噛合するピニオンP2及びリングギヤR2に噛合するピニオンP3を相互に噛合するように支持するキャリヤCRからなる。そして、サンギヤS1及びサンギヤS2は、それぞれ入力軸37に回転自在に支持された中空軸に回転自在に支持されている。また、キャリヤCRは、前述の両プラネタリギヤ32、33に共通しており、それぞれサンギヤS1、S2に噛合するピニオンP1及びピニオンP2は一体に回転するように連結されている。 【0036】ブレーキ部34は、内径側から外径方向に向かって順次にワンウェイクラッチF1、ブレーキB1、そしてブレーキB2が配設されており、また、カウンタドライブギヤ39はスプラインを介してキャリヤCRに連結している。さらに、リングギヤR2とケースとの間にワンウェイクラッチF2が介在されており、このリングギヤR2外周とケースとの間にはブレーキB3が介在されている。また、クラッチ部35は、フォワードクラッチC1及びダイレクトクラッチC2を備えている。このうちフォワードクラッチC1は、リングギヤR1外周とダイレクトクラッチC2との間に介在されており、また、ダイレクトクラッチC2は、可動部材(不図示)の内周と中空軸先端に連結されたフランジ部との間に介在されている。 【0037】副変速機構40は、入力軸37からなる第1軸に平行に配置された第2軸43に配設されており、これら第1軸及び第2軸は、ディファレンシャル軸(左右車軸)45l、45rからなる第3軸と合せて、側面視3角状に構成されている。そして、この副変速機構40は、シンプルプラネタリギヤ41、42を有しており、キャリヤCR3とリングギヤR4とが一体に連結されるとともに、サンギヤS3、S4相互が一体に連結されて、シンプソンタイプのギヤ列を構成している。さらに、リングギヤR3がカウンタドリブンギヤ46に連結されて入力部を構成し、またキャリヤCR3及びリングギヤR4が出力部となる減速ギヤ47に連結されている。さらに、リングギヤR3と一体サンギヤS3、S4との間にUDダイレクトクラッチC3が介在され、また一体サンギヤS3(S4)がブレーキB4にて適宜係止し得、かつキャリヤCR4がブレーキB5にて適宜係止し得る。これにより、この副変速機構40は、前進3速の変速段を得られる。 【0038】また、第3軸を構成するディファレンシャル装置50は、デフケース51を有しており、このケース51には前述の減速ギヤ47と噛合するギヤ52が固定されている。さらに、デフケース51の内部にはデフギヤ53及び左右サイドギヤ55、56が相互に噛合してかつ回転自在に支持されており、左右サイドギヤ55、56から左右車軸45l、45rが延設されている。これにより、ギヤ52からの回転が、負荷トルクに対応して分岐され、左右車軸45l、45rを介して左右の前輪に伝達される。 【0039】つづいて、本自動変速機構5の作動を、図2(b)に示す作動表に沿って説明する。1速(1ST)状態では、フォワードクラッチC1、ワンウェイクラッチF2及びブレーキB5が係合する。これにより、主変速機構30は、1速となり、この減速回転がカウンタギヤ39、46を介して副変速機構40におけるリングギヤR3に伝達される。この副変速機構40は、ブレーキB5によりキャリヤCR4が停止されて1速状態にあり、前述の主変速機構30の減速回転は、この副変速機構40によりさらに減速されて、そしてギヤ47、52及びディファレンシャル装置50を介して車軸45l、45rに伝達される。 【0040】2速(2ND)状態では、フォワードクラッチC1の外、ブレーキB2が係合するとともに、ワンウェイクラッチF2からワンウェイクラッチF1に滑らかに切換わり、主変速機構30は2速状態となる。また、副変速機構40は、ブレーキB5の係合により1速状態にあり、この2速状態と1速状態が組み合わさって、自動変速機構5全体では2速が得られる。 【0041】3速(3RD)状態では、主変速機構30は、フォワードクラッチC1、ブレーキB2及びワンウェイクラッチF1が係合した上述の2速状態と同じであり、副変速機構40がブレーキB4を係合する。すると、サンギヤS3、S4が固定され、リングギヤR3からの回転は2速回転としてキャリヤCR3から出力され、したがって主変速機構30の2速と副変速機構40の2速とで、自動変速機構5全体では3速が得られる。 【0042】4速(4TH)状態では、主変速機構30は、フォワードクラッチC1、ブレーキB2及びワンウェイクラッチF1が係合した上述の2速及び3速状態と同じであり、副変速機構40は、ブレーキB4を解放するとともにUDダイレクトクラッチC3が係合する。この状態では、リングギヤR3とサンギヤS3(S4)とが連結されて、両プラネタリギヤ41、42が一体回転する直結回転となる。したがって、主変速機構30の2速と副変速機構40の直結(3速)とが組み合わされて、自動変速機構5全体では、4速回転が得られる。 【0043】5速(5TH)状態では、フォワードクラッチC1及びダイレクトクラッチC2が係合して、入力軸37の回転がリングギヤR1及びサンギヤS1にともに伝達されて、主変速機構30は、ギヤユニット31が一体回転する直結回転となる。また、副変速機構40は、UDダイレクトクラッチC3が係合した直結回転となっており、したがって主変速機構30の3速(直結)と副変速機構40の3速(直結)とが組み合わされて、自動変速機構5全体では、5速回転が得られる。 【0044】後進(REV)状態では、ダイレクトクラッチC2及びブレーキB3が係合するとともに、ブレーキB5が係合する。この状態では、主変速機構30にあっては、後進回転が取り出され、また副変速機構40は、ブレーキB5に基づきキャリヤCR4が逆回転方向にも停止され、1速状態に保持される。したがって、主変速機構30の逆転と副変速機構40の1速回転とが組み合わされて、逆転減速回転が得られる。 【0045】なお、図2(b)において、三角印は、エンジンブレーキ時に作動することを示す。すなわち、1速にあっては、ブレーキB3が係合して、ワンウェイクラッチF2に代ってリングギヤR2を固定する。2速、3速、4速にあっては、ブレーキB1が係合して、ワンウェイクラッチF1に代ってサンギヤS2を固定するようになっている。 【0046】また、モータジェネレータ3には、図3に示すように、モータジェネレータ制御部62が接続しており、モータジェネレータ制御部62には、エンジン回転数センサ60、スロットル開度センサ61及びブレーキストロークセンサ64が接続している。 【0047】ハイブリッド車両は、以上のような構成を有するので、車両を運転するに際して、走行レンジで車両が停止した場合、ブレーキが踏まれてブレーキストロークセンサ64により検出されるブレーキのストロークが所定の値より大きくなったところで、エンジンへの燃料の供給が停止され、エンジンが停止する、所謂、アイドリングストップ制御が行われる。 【0048】次に、ブレーキが徐々に解放され、ブレーキストロークセンサにより検出されるブレーキのストロークが所定の値よりも小さくなると、モータジェネレータ3が駆動され、車両はモータにで走行を開始するが、この際、モータジェネレータ制御部62は、図4に示す、モータ制御プログラムMCPに基づき、ハイブリッド車両の走行開始時におけるモータジェネレータ3の制御を行う。 【0049】即ち、モータジェネレータ制御部62は、モータ制御プログラムMCPのステップS1で、エンジン2が通常の駆動状態にあるか否かを判定する。エンジン2が通常の駆動状態にある場合にはモータジェネレータ3を駆動する必要がないので、ステップS2に入り、モータトルクを0Nmに設定して、ステップS3でモータジェネレータ3に対してモータトルクが0Nmでの駆動を指令する。なお、この場合、実際には、モータジェネレータ3が駆動されることはない。 【0050】ステップS1で、エンジンに対する燃料供給が停止されており、エンジン2が駆動されていないものと判定された場合には、ステップS4に入り、モータジェネレータ制御部62は、スロットル開度センサ61からの信号に基づいて、スロットル開度を検出する。この際、スロットル開度を読み込む代わりに、アクセル開度を読み込むようにしてもよい。通常、スロットル開度とアクセル開度は機械的にリンクしており、アクセル開度とスロットル開度は一対一に対応しており、同義であるが、電子スロットルを用いた場合などは、アクセル開度とスロットル開度が一対一に対応しない場合もある。その場合には、運転者が直接アクセル操作することにより変化するアクセル開度を用いることが、運転者の要求トルクを適切に判定する上で望ましい。 【0051】次に、モータジェネレータ制御部62は、ステップS5に入り、エンジン回転数センサ60からの信号に基づいて、エンジンの回転数を検出する。エンジン2は、それ自体駆動されていなくても、モータジェネレータ3が回転駆動されている場合には、モータジェネレータ3により連れ回りする形で回転するので、当該回転数を検出する。 【0052】次に、ステップS6に入り、モータジェネレータ制御部62は、図5(a)に示す、適宜なメモリ中に格納されたエンジントルク特性マップMP1を参照して、現在のスロットル開度及びエンジン回転数から運転者が要求しているエンジントルクmgTorque_egを演算により求める。なお、ブレーキストロークが所定の値より小さく、スロットル開度が0の時は、アイドリング回転数のトルクを求める。 【0053】エンジントルクmgTorque_egが求められたところで、ステップS7に入り、適宜なメモリ中に格納された図5(c)に示す引きずりトルク特性マップMP2から、エンジン2の非駆動における、ピストンやクランク軸のエンジン構成部品を空転させるのに必要なトルク、即ち引きずりトルクmgTorque_drを演算して求める。引きずりトルクマップMPには、エンジン内のシリンダ内の空気を外部に排出することの出来るデコンプ機構がある場合と無い場合との、エンジン回転数(非駆動空転状態)に対する引きずりトルクmgTorque_drが示されているので、現在のエンジンの回転数に対応した引きずりトルクmgTorque_drの大きさは、引きずりトルク特性マップMP2から簡単に演算することが出来る。 【0054】次に、モータジェネレータ制御部62は、モータ制御プログラムMCPのステップS8に入り、モータ駆動トルクmgTorqueを、mgTorque=mgTorque_eg+mgTorque_drから演算して求める。このモータ駆動トルクmgTorqueは、現在のスロットル開度及びエンジン回転数(非駆動状態)において、内燃エンジンに仮に燃料供給されていると仮定した場合に、エンジンが発生するエンジントルクに等しい。このエンジントルクは、当該トルクにより、エンジンそれ自体を回転させるに必要なトルク、即ち、引きずりトルクmgTorque_drを含んでいるので、これにより、仮に、モータジェネレータ3をこのモータ駆動トルクmgTorqueで駆動すると、引きずりトルクmgTorque_dr分で非駆動状態のエンジン2が回転駆動され、更に、本来運転者が要求している、エンジントルクmgTorque_eg分で、トルクコンバータ4、自動変速機構5などが駆動されるので、ハイブリッド車両は、あたかもエンジン2で駆動されたかのように、違和感無く走行を開始することが出来る。 【0055】次に、モータジェネレータ制御部62は、モータ制御プログラムMCPのステップS9に入り、図5(b)に示す、適宜なメモリ中に格納されたモータトルクマップMP3を参照して、ハイブリッド車両に搭載されているモータジェネレータ3で出力可能な最大出力トルクTmaxを算出し、続いてステップS10で、運転者がスロットルを踏み込むことで要求している要求トルクがモータジェネレータ3から出力可能かどうかを判定する。具体的には、ステップS8で求められたモータ駆動トルクmgTorqueが出力可能か否かを判定する。 【0056】ステップS10で、モータ駆動トルクmgTorqueが出力可能と判定された場合には、ステップS3に入り、モータジェネレータ制御部62はモータジェネレータ3に対してモータ駆動トルクmgTorqueでの駆動を指令し、モータジェネレータ3は当該モータ駆動トルクmgTorqueで駆動される。すると、ハイブリッド車両は、既に説明したように、運転者が要求するトルクと等しいとトルクでトルクコンバータ4や自動変速機構5が駆動される。これにより、エンジン2による駆動と同等のフィーリングを運転者に与えた形でハイブリッド車両を走行開始させることが出来る。 【0057】なお、ステップS10で、モータ駆動トルクmgTorqueがモータジェネレータ3の最大モータ出力トルクTmaxを越えてしまい、モータジェネレータ3から当該モータ駆動トルクmgTorqueが出力出来ないものと判定された場合には、ステップS11に入り、エンジン2を始動させると共に、ステップS11でモータジェネレータ3の駆動トルクを最大モータ出力トルクTmaxに設定して、モータジェネレータ3に対して当該最大モータ出力トルクTmaxでの駆動を指令する。この場合、図示しない、エンジン2を制御するエンジン制御部が、エンジン2及びモータジェネレータ3から出力されてトルクコンバータ4及び自動変速機構5を駆動する駆動トルクが、運転者の要求するエンジントルクmgTorque_egとなるようにエンジン2を制御し、エンジン2単独での車両の走行開始と同等な状態となるようにして、運転者に違和感を与えることなく車両を走行開始させる。 【0058】なお、エンジン2にデコンプ機構が付いている場合には、図5(c)に示すように、引きずりトルクTorque_drがデコンプ機構が無いものより小さくすることが出来るので、モータ駆動トルクmgTorqueを小さく抑えることが出来、バッテリの消費を抑えることが出来、好都合である。 【0059】なお、上述の実施例は、モータジェネレータ3の出力軸とエンジン2などの出力軸が直結されている構造について述べたが、モータジェネレータ3の出力軸とエンジン2の出力軸は、必ずしも直結されていなくても、モータジェネレータ3が回転駆動されることにより、エンジン2の出力軸がつれ回りしてしまう構造である限り、ギヤなどの適宜な機構が両者の間に介在していてもよい。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000100768 【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
|
| 【出願日】 |
平成13年2月20日(2001.2.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082337 【弁理士】 【氏名又は名称】近島 一夫 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2002−247707(P2002−247707A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月30日(2002.8.30) |
| 【出願番号】 |
特願2001−43125(P2001−43125) |
|