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【発明の名称】 交流電気車の電力変換装置
【発明者】 【氏名】小澤 寛之

【氏名】堀江 哲

【氏名】柿沼 博彦

【氏名】菅原 重光

【氏名】里城 義文

【氏名】佐藤 頼光

【要約】 【課題】架線停電時に車両に取り付けられた誘導電動機からの逆加圧電圧を制止し、架線への逆加圧を防止するに好適な交流電気車の電力変換装置を提供することにある。

【解決手段】集電装置1から交流電圧を取り込み、集電装置に接続される変圧器2により交流電圧を変換して車両を駆動し、また、車両に付帯する電気機器15に電力を供給する交流電気車において、集電装置に接続された架線電圧検出用変圧器11の出力により架線が停電したことを検出する停電検知論理回路12、NOTゲート13を設け、架線の停電を検知したとき、接触器コイル14aの励磁を解いて接触器14bを開放し、電気機器を作動する誘導電動機10,15を変圧器から切り放す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 集電装置から交流電圧を取り込み、前記集電装置に接続される変圧器により交流電圧を変換して車両を駆動し、また、車両に付帯する電気機器に電力を供給する交流電気車において、前記集電装置に接続された架線電圧検出用変圧器の出力により架線が停電したことを検出する手段を具備し、架線の停電を検知したとき、前記電気機器を作動する誘導電動機を前記変圧器から切り放す手段を備えることを特徴とする交流電気車の電力変換装置。
【請求項2】 受電した3相交流をスコット結線の変圧器により単相交流に変換し、車両の単相誘導電動機を駆動する交流電気車において、前記3相交流の2相または3相短絡事故により架線の停電を検出する手段を具備し、架線の停電を検知したとき、前記車両を駆動する単相誘導電動機を前記スコット結線の変圧器から切り放す手段を備えることを特徴とする交流電気車の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、交流電気車の電力変換装置に係り、特に、架線停電時の車両に取り付けられた誘導電動機からの逆加圧電圧を制止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、交流電力を電源とする電気車は、地上に設置された変電所において受電電力を所定の電圧に変換した後、架線に給電し、電気車へ交流電力を供給している。電気車には主変圧器が搭載され、主変圧器の1次巻線が集電装置に接続されて架線から交流電圧を取り込み、2次巻線に接続される車両を駆動するための主電動機の制御装置に電力を供給している。また、主変圧器には、制御装置以外にも主変圧器や主電動機を冷却するための送風機、車両の動作に必要な圧縮空気を作る空気圧縮機、空調機やヒータ、照明といった接客設備等に電力を供給する3次巻線を備えている。これら主変圧器3次巻線に接続される回路を一般に補助回路と呼び、例えば「電気車の科学」誌、第20巻 第8号には当時の日本国有鉄道711系交流電気車の補助回路ツナギが示されている。従来の交流電気車の簡略ツナギ図を図3に示す。集電装置1から取り込まれた交流電圧は、主変圧器2の1次巻線2aに接続され、接地装置3を介して接地される。主変圧器2には2次巻線2bと3次巻線2cが具備されており、2次巻線2bには車両を駆動する主電動機5とその制御装置4が接続される。3次巻線2cには空調機やヒータといった補助回路負荷10や、主変圧器2や主電動機5の冷却用単相誘導電動機15が接続されている。また、集電装置1には、制御装置4が主電動機5の制御に必要な架線電圧を検出するために、架線電圧検出用変圧器11が接続され、その出力は制御装置4に接続されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記のように補助回路には、送風機や圧縮機など電動機が多く接続されるが、これら電動機は電源として単相交流が得られること、また、構造が簡単であること等の理由から単相誘導電動機が用いられることが多い。単相誘導電動機も含め一般に誘導電動機は、回転磁界を発生するように配置されたコイルからなる固定子と、銅やアルミ等の導電体による回転子とにより構成される。固定子のコイルに交流電源を供給し、回転磁界を発生させると、回転子に誘導電流が流れ、回転力が発生する。ここで、交流電源を供給して回転している状態から交流電源を断つときについて考える。交流電源を断っても回転子が慣性により回転していると、回転子の誘導電流により発生していた磁界が残留磁界として残り、ある期間磁界を発生させて固定子に交流の残留電圧が発生する。図4に残留電圧の例を示す。この残留電圧は、例えば主変圧器の冷却用送風機に使用されている容量2kW程度の単相誘導電動機では、消滅までに数秒間発生する例がある。これら補助回路の単相誘導電動機は、前述のように主変圧器の3次巻線に接続されているため、架線の停電により電力の供給が断たれると、単相誘導電動機の残留電圧は主変圧器を介して車両側から架線を逆加圧する現象が生じる。次に、架線に交流電力を供給している地上の変電所について考える。一般に、変電所の受電電圧は3相交流であるのに対し、交流電気車への供給電圧は単相交流であるために、変電所では図5に示すスコット結線により3相交流から単相交流への変換を行っている。スコット結線変圧器21は単相変圧器を逆T字形に組み合わせた構成であり、1次巻線に中性点を持つM座と、持たないT座からなり、1次側のU、V、Wの各端子には、送電側からの3相交流が接続される。また、M座、T座の2組の2次巻線は各々架線に接続されており、T座の電気車22及びM座の電気車23へそれぞれ電力が供給される。それぞれの2次巻線側の架線に供給する電圧を等しくするためには、M座変圧器の巻数比を1次巻線:2次巻線=1:1としたときに、T座は1次巻線:2次巻線=√3/2:1とする必要がある。ここで、送電側で故障事故が発生し、U相とV相が短絡した場合を考える(図6)。U相とV相が短絡すると、送電側からの電力の供給が無くなるために架線は停電するが、このときT座に電気車22が存在すると、前述の3次巻線に接続される単相誘導電動機からの逆加圧によりT座の2次巻線が励磁され、1次巻線のV相端子−中性点間にも電圧が生じる。このときには、U相−V相間が短絡しているために、U相端子−中性点間には通常の√3倍の電圧が発生することになり、単相誘導電動機からの逆加圧電圧やその持続時間によっては、M座1次側巻線に過電圧による絶縁破壊が発生する恐れがある。
【0004】本発明の課題は、架線停電時に車両に取り付けられた誘導電動機からの逆加圧電圧を制止し、架線への逆加圧を防止するに好適な交流電気車の電力変換装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、集電装置から交流電圧を取り込み、集電装置に接続される変圧器により交流電圧を変換して車両を駆動し、また、車両に付帯する電気機器に電力を供給する交流電気車において、集電装置に接続された架線電圧検出用変圧器の出力により架線が停電したことを検出する手段を具備し、架線の停電を検知したとき、前記電気機器を作動する誘導電動機を前記変圧器から切り放す手段を備える。また、受電した3相交流をスコット結線の変圧器により単相交流に変換し、車両の単相誘導電動機を駆動する交流電気車において、前記3相交流の2相または3相短絡事故により架線の停電を検出する手段を具備し、架線の停電を検知したとき、車両を駆動する単相誘導電動機をスコット結線の変圧器から切り放す手段を備える。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態による交流電気車の電力変換装置を示す。図1において、架線電圧検出用変圧器11の2次側に停電検知論理回路12を接続し、その出力はNOTゲート13を介して単相誘導電動機開放用接触器のコイル14aに供給する。また、補助回路の単相誘導電動機10,15は、単相誘導電動機開放用接触器14bの接点を介して主変圧器2の3次側巻線2cに接続する。通常、架線が加圧されている状態では、停電検知論理回路12が”L”を出力し、NOTゲート13は”H”を出力し、単相誘導電動機開放用接触器のコイル14aを励磁し、その接点14bを閉じ、補助回路の単相誘導電動機10,15は3次巻線2cに接続されて回転している。ところで、架線停電が発生すると、停電検知論理回路12が”H”を出力し、NOTゲート13は”L”を出力し、単相誘導電動機開放用接触器のコイル14aの励磁を解き、その接点14bを開放し、単相誘導電動機10,15は3次巻線2cから開放される。このため、架線の停電時に、補助回路の単相誘導電動機10,15からの逆加圧電圧が変圧器2に印加されることがないため、架線への逆加圧を防止する。なお、本実施形態では、補助回路の単相誘導電動機10,15について説明したが、補助回路に3相誘導電動機を用いても同様に機能する。
【0007】図2は、本発明の他の実施形態であり、変電所の受電電圧は3相交流であり、図5に示すスコット結線により3相交流から単相交流に変換して交流電気車の単相誘導電動機に単相交流を供給する場合について説明する。図2において、変電所に設けた架線電圧検出用変圧器(図示せず)の2次側に停電検知論理回路12を接続し、その出力をNOTゲート13を介して単相誘導電動機開放用接触器のコイル14aに供給する。図2では、交流電気車22,23の単相誘導電動機(図示せず)は、それぞれ単相誘導電動機開放用接触器14c,14dの接点を介してそれぞれスコット結線変圧器21のM座、T座の2次巻線に接続する。通常、変電所の受電電圧が正常な状態では、図1と同様に、停電検知論理回路12が”L”を出力し、NOTゲート13は”H”を出力し、単相誘導電動機開放用接触器のコイル14aを励磁し、その接点14c,14dを閉じ、交流電気車22,23の単相誘導電動機はスコット結線変圧器21のM座、T座の2次巻線に接続されて回転する。ところで、送電側で故障事故が発生し、U相とV相が短絡すると、送電側からの電力の供給が無くなるために架線は停電する。この停電を停電検知論理回路12が検知し、”H”を出力し、NOTゲート13は”L”を出力し、単相誘導電動機開放用接触器のコイル14aの励磁を解き、その接点14c,14dを開放し、交流電気車22,23の単相誘導電動機をスコット結線変圧器21のM座、T座の2次巻線から開放する。このため、変電所における送電側の短絡事故の発生に際しても、交流電気車22,23の単相誘導電動機からの逆加圧電圧がスコット結線変圧器21のM座、T座の2次巻線に印加されることなく、架線への逆加圧を防止する。なお、本実施形態は、スコット結線変圧器21のU相とW相またはV相とW相の2相短絡、および3相短絡が発生しても同様に機能する。
【0008】ここで、停電検知論理回路12の停電検知の手段としては、架線の電圧レベルのみならず、周波数が定格から外れたことを検知するなどの種々の方法を併用することにより、架線の停電から単相誘導電動機の開放までの時間をより短縮することができる。
【0009】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、架線停電時に発生する補助回路の誘導電動機からの逆加圧電圧、また、送電側の3相交流の2相または3相短絡による停電事故時に発生する交流電気車の単相誘導電動機からの逆加圧電圧を制止し、架線への逆加圧を防止することができ、また、変圧器を絶縁破壊から保護することができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【識別番号】590003825
【氏名又は名称】北海道旅客鉄道株式会社
【出願日】 平成13年2月15日(2001.2.15)
【代理人】 【識別番号】100099302
【弁理士】
【氏名又は名称】笹岡 茂 (外1名)
【公開番号】 特開2002−247703(P2002−247703A)
【公開日】 平成14年8月30日(2002.8.30)
【出願番号】 特願2001−38303(P2001−38303)