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【発明の名称】 ハイブリッド型電気自動車
【発明者】 【氏名】竹内 清

【要約】 【課題】蓄電器の容量を大きくせずに大量の回生電力が吸収可能なハイブリッド型電気自動車を提供する。

【解決手段】エンジン1と、このエンジン1に連結された発電機2と、電力を蓄える蓄電器3と、電力によって駆動力を発生する走行モータ4とを備え、車両減速時に生じるエネルギを上記走行モータ4の発電運転により電力エネルギに変換して上記蓄電器3に蓄えるエネルギ回生動作が可能なハイブリッド型電気自動車において、上記エネルギ回生動作時に上記蓄電器3の充電量が所定値を越えた場合に電力エネルギを消費する電力消費装置2,7を二つ以上備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンと、このエンジンに連結された発電機と、電力を蓄える蓄電器と、電力によって駆動力を発生する走行モータとを備え、車両減速時に生じるエネルギを上記走行モータの発電運転により電力エネルギに変換して上記蓄電器に蓄えるエネルギ回生動作が可能なハイブリッド型電気自動車において、上記エネルギ回生動作時に上記蓄電器の充電量が所定値を越えた場合に電力エネルギを消費する電力消費装置を二つ以上備えたことを特徴とするハイブリッド型電気自動車。
【請求項2】 上記電力消費装置の一つがエンジンの排ガスを浄化する排ガス浄化装置であることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド型電気自動車。
【請求項3】 上記電力消費装置の一つが電動機運転される上記発電機であり、この発電機への電力エネルギ供給量を調整する制御装置を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のハイブリッド型電気自動車。
【請求項4】 上記制御装置は、上記エネルギ回生動作時に上記蓄電器の充電量が所定値を越えた場合に、上記発電機への通電を開始し、上記蓄電器への流入電流が渦流入しないように上記発電機の回転数を制御し、この発電機またはエンジンが許容回転数に達するようであれば、排ガス浄化装置に通電し、この排ガス浄化装置への通電量を加味して上記発電機の回転数を制御することを特徴とする請求項3記載のハイブリッド型電気自動車。
【請求項5】 上記制御装置は、排ガス浄化装置が排ガス浄化のために通電中であって上記エネルギ回生動作時に上記蓄電器の充電量が所定値を越えた場合に、排ガス浄化装置への通電を継続し、それでも上記蓄電器への流入電流が必要以上にあるときには、上記発電機への通電を開始し、上記蓄電器への流入電流が渦流入しないように上記発電機の回転数を制御することを特徴とする請求項3又は4記載のハイブリッド型電気自動車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行モータの発電運転により車両減速エネルギを回生するハイブリッド型電気自動車に係り、特に、蓄電器の容量を大きくせずに大量の回生電力が吸収可能なハイブリッド型電気自動車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ハイブリッド型電気自動車(電気式ハイブリッド車;以下、HEVという)には、車両の駆動源としてエンジンと共に走行モータを設置し、これらエンジンと走行モータとで駆動力を複合させるタイプや、エンジンと走行モータとを設置するが、車両駆動は走行モータのみで行い、エンジンは発電機と直結させ発電のみを行うタイプ(シリーズハイブリッド車)がある。
【0003】これらのHEVは、減速時に生じるエネルギを用いて走行モータを発電運転することにより、上記減速時のエネルギを電力エネルギ(電力)に変換し、この電力エネルギを蓄電器にためるエネルギ回生動作が可能であり、この回生エネルギ(回生電力)を用いて燃費向上を図れることが利点の一つである。
【0004】また、ディーゼルエンジンのPM(パーティキュレート;カーボン等からなる)の低減手段として排気管にフィルタを付けて捕集するDPF(ディーゼルパーティキュレートフィルタ)と呼ばれるものがある。このDPFには電熱線等の熱源(ヒータ)が備わっており、フィルタに溜ったカーボンは熱源により燃焼させる。このように溜ったカーボンを燃焼させることを再生という。この再生のときの熱源のエネルギは蓄電器から供給される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】HEVの蓄電器(バッテリ、キャパシタ等)には、充電できる容量に限界(充電可能最大値)がある。また、急速に充電すると蓄電器の温度が上昇することなどから、一時に充電できる電力にも限界がある。
【0006】回生電力を十分に吸収できるだけの容量を持つ蓄電器を車載することが望ましいが、蓄電器の容量を大きくすると、蓄電器の重量が重くなること、スペースを大きく占有することなどが問題となるので、蓄電器の容量は制限されることになる。
【0007】このように、蓄電器の容量に制限があるため、高速走行時に最大減速で減速する場合や、降坂時に長時間にわたり減速する場合に、大量の電力が回生されると、その回生電力が蓄電器に充電しきれなくなる。
【0008】回生電力が蓄電器に充電しきれないときに、エンジンと直結させた発電機をモータリング(電動機運転)させ、エンジンのフリクション(燃焼室内の空気圧抵抗などを含む負荷トルクを言う)によって電力消費を行う方法が考えられるが、シリーズハイブリッド車などでは小排気量のエンジンを積んでいるため、エンジンのフリクションが小さく、エンジンのフリクションのみでは吸収量(電力消費量)が少ないことがある。
【0009】従来のハイブリッド型電気自動車は、蓄電器やモータリングで回生電力を十分に吸収しきれなくなると、減速力を下げねばならず、速やかな減速ができなくなるという問題が生じる。
【0010】また、回生電力を消費するために放電装置(負荷抵抗器)を車載しているHEVもあるが、この放電装置は冷却を行う必要があると共にスペースを要するため、小型の車両に車載するには問題がある。
【0011】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、蓄電器の容量を大きくせずに大量の回生電力が吸収可能且つ減速力を確保したハイブリッド型電気自動車を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、エンジンと、このエンジンに連結された発電機と、電力を蓄える蓄電器と、電力によって駆動力を発生する走行モータとを備え、車両減速時に生じるエネルギを上記走行モータの発電運転により電力エネルギに変換して上記蓄電器に蓄えるエネルギ回生動作が可能なハイブリッド型電気自動車において、上記エネルギ回生動作時に上記蓄電器の充電量が所定値を越えた場合に電力エネルギを消費する電力消費装置を二つ以上備えたものである。
【0013】上記電力消費装置の一つがエンジンの排ガスを浄化する排ガス浄化装置であってもよい。
【0014】上記電力消費装置の一つが電動機運転される上記発電機であり、この発電機への電力エネルギ供給量を調整する制御装置を備えてもよい。
【0015】上記制御装置は、上記エネルギ回生動作時に上記蓄電器の充電量が所定値を越えた場合に、上記発電機への通電を開始し、上記蓄電器への流入電流が渦流入しないように上記発電機の回転数を制御し、この発電機またはエンジンが許容回転数に達するようであれば、排ガス浄化装置に通電し、この排ガス浄化装置への通電量を加味して上記発電機の回転数を制御してもよい。
【0016】上記制御装置は、排ガス浄化装置が排ガス浄化のために通電中であって上記エネルギ回生動作時に上記蓄電器の充電量が所定値を越えた場合に、排ガス浄化装置への通電を継続し、それでも上記蓄電器への流入電流が適量以上に渦流入しているときには、上記発電機への通電を開始し、上記蓄電器への流入電流が渦流入しない程度の適量になるように上記発電機の回転数を制御してもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0018】図1に示されるように、本発明に係るHEVは、エンジン1と、このエンジン1に連結された発電機2と、電力を蓄える蓄電器(バッテリ)3と、電力によって駆動力を発生する走行モータ(電動機)4と、この走行モータ4に連結されたタイヤ5と、エンジン1からの排気管6に設けられた排ガス浄化装置(DPF)7と、これらの各部間のエネルギの流れを制御するHEVコントローラ(制御装置)8とを備える。9は、アクセルペダルの踏込み(オン/オフ及び踏込み量)を検出するアクセルセンサ、10は、ブレーキペダルの踏込み(オン/オフ及び踏込み量)を検出するブレーキセンサ、11は、シフトレバーの操作位置(ドライブD、ニュートラルN、リバースR)を検出するシフトレバースイッチ、12は、車速センサ、13は、エンジンを制御するエンジンコントローラ、14は、発電機用インバータ、15は、モータ用インバータ、16は、蓄電器の状態を監視しているBMU(バッテリマネージメントユニット)である。
【0019】HEVコントローラ8は、車両減速時に生じるエネルギを走行モータ4の発電運転により電力エネルギに変換して蓄電器3に蓄えるエネルギ回生動作を制御し、蓄電器3の充電量が所定値を越えた場合に、発電機、排ガス浄化装置等の電力消費装置に通電することにより、電力エネルギを消費することができる。各電力消費装置への通電の手順は、排ガス浄化装置が定期的に行っている再生動作(DPF動作)とエネルギ回生動作とのタイミングの兼ね合いで異なる。
【0020】図1に示したハイブリッド型電気自動車は、ディーゼルエンジンを使用したシリーズハイブリッド車であるものとする。また、エネルギ回生によるブレーキに機械ブレーキを併用したもので、ブレーキペダルの踏込み量に応じて回生電力を調整する機能を備えたものである。
【0021】DPF非動作時の通電手順を図2の流れ図により説明する。
【0022】まず、走行時、シフトレバー11の操作位置、アクセルペダルセンサ9のオン/オフ、ブレーキペダルセンサ10のオン/オフから、回生モードに入るかどうかを判定する(S1)。シフトレバーの操作位置がDであるとき、アクセルペダルセンサ9がオフになるか、又はブレーキペダルセンサ10がオンになると、車両制御状態が回生モードに入る。これにより、走行モータ4が発電運転となる。この時に、蓄電器3の状態を監視しているBMU16が出力する信号により、蓄電器3の充電態様(SOC)を測定する。SOCは、残存容量を0から100までの値で示したものである。また、BMU16は、蓄電器3の電圧、温度等の状態を測定し、SOCを算出する。これにより、蓄電器3への充電が可能かどうかを判定することができる。そこで、SOCを所定値と比較する(S2)。
【0023】SOCが所定値より小さければ、蓄電器3への充電が可能であるから、充電を開始する。SOCが所定値より大きければ、蓄電器3への充電はできないので、まず、発電機2のモータリングを行う。このために、既にモータリング中かどうか調べる(S3)。
【0024】既にモータリング中でなければ、モータリングを開始する(S4)。このとき、アクセルペダルセンサやブレーキペダルセンサにより出力するべきブレーキ力を求め、このブレーキ力に相応する回生トルクを決定する。このときのモータ回転数と回生トルクとから、得られる回生電力を算出し、この回生電力が発電機2で消費されるよう、モータリング指示値を決定する(S5)。既にモータリング中の場合は、S4、S5を行わない。
【0025】次に、蓄電器3に通電している量が通電可能量以上かどうか調べる(S6)。蓄電器3に通電可能量以上通電していなければ、回生電力の適量がモータリングによって消費されていることが判るので、S7以降を行わない。
【0026】蓄電器3に通電可能量以上に通電しているようであれば、モータリングによる消費量が不足していることが判るので、モータリング指示値を所定の単位量だけ増加させる(S7)。発電機2またはエンジン1が許容回転数に達してしまうと、モータリングによる消費量を増加させることができないので、発電機2またはエンジン1が許容回転数に達したかどうか調べる(S8)。許容回転数に達していなければ、S9以降を行わない。
【0027】発電機2またはエンジン1が許容回転数に達している場合、別の電力消費装置を併用することになる。即ち、DPF7に通電を開始する(S9)。このとき、DPF7は、オンかオフかのいずれかに制御されるヒータであり、電流を調節することができず、DPF通電電力Pdは一定である。そこで、DPF通電電力Pdに見合うだけモータリング指示値を減少させる(S10)。
【0028】この通電手順は、常時、繰り返される。
【0029】HEVコントローラ8は、具体的には、次のようにモータリング指示値を決定する。モータリング電力をPm、回生電力をPr、蓄電器3の充電可能電力をPbとすると、Pm=Pr−Pb−Pd 式(1)という関係が成り立つようモータリング指示値を決定する。これにより、蓄電器充電可能電力Pbが回生電力Prより大きければ、もっぱら蓄電器3への充電が行われ、蓄電器充電可能電力Pbが回生電力Prより小さければ、その余剰分がモータリング電力Pmとして消費され、モータリング能力が最大限になってからは、蓄電器3に充電されない余剰分がモータリング電力Pm及びDPF通電電力Pdとして消費される。
【0030】このように、本発明では、二つ以上の電力消費装置として、一方は通電量が調整可能な発電機、もう一方は通電量が固定のDPFを使用し、最初は発電機のモータリングで電力を消費し、モータリング能力が最大限になればDPF通電により電力を消費するようにしたので、比較的小排気量のエンジンを積んだハイブリッド型電気自動車でも、蓄電器の容量を大きくせずに大量の回生電力が吸収可能となり、速やかな減速が達成される。しかも、モータリング電力を調整することにより、回生電力の余剰だけが消費されて蓄電器からの無駄な消費がないようにすることができる。
【0031】DPF7においては、再生時期でないときに通電されることになるが、モータリングによってエンジンが回転されているため、排気管6に排気ガスが流れており、この排気ガスによってDPF7は冷却される。従って、DPF7が過度に熱されることはない。
【0032】次に、DPF動作時の通電手順を図3の流れ図により説明する。
【0033】DPF7が再生時期に入っており、通電されているとき、シフトレバー11の操作位置、アクセルペダルセンサ9のオン/オフ、ブレーキペダルセンサ10のオン/オフから、回生モードに入るかどうかを判定する(S21)。シフトレバーの操作位置がDであるとき、アクセルペダルセンサ9がオフになるか、又はブレーキペダルセンサ10がオンになると、車両制御状態が回生モードに入る。これにより、走行モータ4が発電運転となる。この時に、蓄電器3の充電態様(SOC)を測定する。このSOCにより、蓄電器3への充電が可能かどうかを判定する(S22)。SOCが所定値より小さければ、蓄電器3への充電が可能であるから、充電を開始する。なお、回生電力がDPF7への通電電力に満たない場合は、回生電力に蓄電器3からの放電電力を加えてDPF7に供給することになる。SOCが所定値より大きければ、蓄電器3への充電はできないので、既にDPF7に通電されていることを考慮しつつ、発電機2のモータリングを行う。このために、既にモータリング中かどうか調べる(S23)。
【0034】既にモータリング中でなければ、モータリングを開始する(S24)。このとき、出力するべきブレーキ力を求め、このブレーキ力に相応する回生トルクを決定する。このときのモータ回転数と回生トルクとから、得られる回生電力を算出し、この回生電力がDPF7及び発電機2で消費されるよう、モータリング指示値を決定する(S25)。既にモータリング中の場合は、S24、S25を行わない。
【0035】次に、蓄電器3に通電している量が通電可能量以上かどうか調べる(S26)。蓄電器3に通電可能量以上通電していなければ、回生電力の適量がDPF7の加熱及びモータリングによって消費されていることが判るので、S27以降を行わない。
【0036】蓄電器3に通電可能量以上通電しているようであれば、モータリングによる消費量が不足していることが判るので、モータリング指示値を所定の単位量だけ増加させる(S27)。発電機2またはエンジン1が許容回転数に達してしまうと、モータリングによる消費量を増加させることができないので、発電機2またはエンジン1が許容回転数に達したかどうか調べる(S28)。許容回転数に達していなければ、S30を行わない。
【0037】発電機2またはエンジン1が許容回転数に達している場合、エネルギ回生によるブレーキの限界となるので、機械ブレーキの比率を高めるなどして、制動力を確保し、モータリング指示値を減少させる(S30)。
【0038】この通電手順は、常時、繰り返される。
【0039】ここでも、HEVコントローラ8は、前述の式(1)が成立するようモータリング指示値を決定する。ただし、ここでは、蓄電器3に充電されない余剰分がDPFの再生動作の通電電力Pdとして消費され、さらに余剰な回生電力があればモータリング電力Pmとして消費される。
【0040】このように、本発明では、DPF動作時にエネルギ回生動作を行うときには、回生電力をDPF7に優先的に流すようにしたので、再生時期を逸することなくDPF7を本来の排ガス浄化目的で使用することができ、しかも、DPF通電電力Pdを回生電力Prでまかなうことができる。
【0041】本発明は、重機を装備した車両等の建機(例えば、ショベルカー)にも適用可能である。
【0042】
【発明の効果】本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0043】(1)電力消費装置を二つ以上備えたので、消費電力が大きく確保できると共に必要に応じて片方の電力消費装置のみによる電力消費が可能となる。
【0044】(2)排ガス浄化装置、発電機を電力消費装置に用いることで、特別な放電装置を車載しなくてよいので、スペース効率がよい。
【出願人】 【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
【出願日】 平成13年2月7日(2001.2.7)
【代理人】 【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
【公開番号】 特開2002−238105(P2002−238105A)
【公開日】 平成14年8月23日(2002.8.23)
【出願番号】 特願2001−31141(P2001−31141)