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【発明の名称】 燃料電池自動車の制御装置
【発明者】 【氏名】上野 宗利

【氏名】出口 慎一

【要約】 【課題】通常時の燃費を向上し、駆動用電動機の温度上昇時における動力性能低下を抑える。

【解決手段】出力電圧を昇降圧する変圧装置4を有する燃料電池1と、二次電池2とを、駆動用電動機3に並列接続すると共に、駆動用電動機3の負荷制御と協調して燃料電池1の出力電圧の制御目標値を設定する手段6と、制御目標値を変化させて、燃料電池1の出力および二次電池2の入出力を制御する手段6とを備える燃料電池自動車の制御装置において、駆動用電動機3の温度を検出する温度検出装置5を備え、燃料電池1の出力電圧の制御目標値を、駆動用電動機3の温度により補正する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 出力電圧を昇降圧する変圧装置を有する燃料電池と、二次電池とを、駆動用電動機に並列接続すると共に、駆動用電動機の負荷制御と協調して燃料電池の出力電圧の制御目標値を設定する手段と、前記制御目標値を変化させて、燃料電池の出力および二次電池の入出力を制御する手段とを備える燃料電池自動車の制御装置において、前記駆動用電動機の温度を検出する温度検出装置を備え、前記燃料電池の出力電圧の制御目標値を、前記駆動用電動機の温度により補正することを特徴とする燃料電池自動車の制御装置。
【請求項2】 前記温度検出装置は、駆動用電動機のコイル温度および駆動用電動機を冷却する冷却水温度のどちらか一方もしくは両方を検出することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池自動車の制御装置。
【請求項3】 車両の速度を検出する車速検出装置を備えると共に、前記燃料電池の出力電圧の制御目標値を前記車両の速度により補正することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池自動車の制御装置。
【請求項4】 出力電圧を昇降圧する変圧装置を有する燃料電池と、二次電池とを、駆動用電動機に並列接続すると共に、駆動用電動機の負荷制御と協調して燃料電池の出力電圧の制御目標値を設定する手段と、前記制御目標値を変化させて、燃料電池の出力および二次電池の入出力を制御する手段と、二次電池の接続を遮断する遮断装置とを備える燃料電池自動車の制御装置において、前記駆動用電動機の温度を検出する温度検出装置を備え、駆動用電動機の温度に応じて前記遮断装置を作動させると共に、前記燃料電池の出力電圧の制御目標値を、前記駆動用電動機の温度により補正することを特徴とする燃料電池自動車の制御装置。
【請求項5】 前記温度検出装置は、駆動用電動機のコイル温度および駆動用電動機を冷却する冷却水温度のどちらか一方もしくは両方を検出することを特徴とする請求項4に記載の燃料電池自動車の制御装置。
【請求項6】 車両の速度を検出する車速検出装置を備えると共に、前記燃料電池の出力電圧の制御目標値および前記遮断装置の作動条件を前記車両の速度により補正することを特徴とする請求項4または5に記載の燃料電池自動車の制御装置。
【請求項7】 燃料電池と、出力電圧を昇降圧する変圧装置を有する二次電池とを、駆動用電動機に並列接続すると共に、駆動用電動機の負荷制御と協調して二次電池の入出力電圧の制御目標値を設定する手段と、前記制御目標値を変化させて、二次電池の入出力および燃料電池の出力を制御する手段とを備える燃料電池自動車の制御装置において、前記駆動用電動機の温度を検出する温度検出装置を備え、前記二次電池の入出力電圧の制御目標値を、前記駆動用電動機の温度により補正することを特徴とする燃料電池自動車の制御装置。
【請求項8】 前記温度検出装置は、駆動用電動機のコイル温度および駆動用電動機を冷却する冷却水温度のどちらか一方もしくは両方を検出することを特徴とする請求項7に記載の燃料電池自動車の制御装置。
【請求項9】 車両の速度を検出する車速検出装置を備えると共に、前記二次電池の入出力電圧の制御目標値を前記車両の速度により補正することを特徴とする請求項7または8に記載の燃料電池自動車の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、燃料電池自動車の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】燃料電池ないし二次電池を電源とする電気自動車においては、高出力時ほど電源電圧が低下する特性がある。また、電動機の入力電圧(電源電圧)が低下すると、入力電流が増加することによって、図8のように熱損失が増加するため、電動機のコイル温度が上昇しやすくなる傾向がある。
【0003】そのため、特開平9−191582号公報に、電動機のコイル温度が所定値以上になった場合、出力を制限して電動機の入力電流を減少させることで、コイル温度の上昇を防ぎ、コイル温度が下がれば、電動機の出力の制限を徐々に解除するものがある。
【0004】しかし、この場合出力を制限することによって、電動機のコイル温度の上昇を抑え、所定値以下に保つことは可能となるが、出力制限時には車両動力性能が低下してしまうという問題がある。
【0005】そこで、特開平11−220812号公報に、直流電源の出力電圧を昇降圧する装置により、電動機の入力電圧をほぼ一定値(高位)に保ち、電動機損失を低減させることで、電動機の出力を安定的に発生させるようにしたものがある。
【0006】しかし、このように電動機の出力を安定的に発生させるために電動機の入力電圧を高位に保とうとすると、燃料電池と二次電池とを並列に接続して、燃料電池の効率が最適になるよう、燃料電池の出力電圧を制御して、燃料電池の出力および二次電池の入出力を制御しようとするシステム等においては、二次電池の充放電が制限される。したがって、電動機のコイル温度に余裕があっても、本来の燃料電池の高効率運転ができなくなり、燃費が悪化するという問題がある。
【0007】また、燃料電池と二次電池とを並列に接続して、燃料電池の効率が最適になるよう、二次電池の出力電圧を制御して、燃料電池の出力および二次電池の入出力を制御しようとするシステム等においても、同様の問題がある。
【0008】この発明は、このような問題点を解決することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、出力電圧を昇降圧する変圧装置を有する燃料電池と、二次電池とを、駆動用電動機に並列接続すると共に、駆動用電動機の負荷制御と協調して燃料電池の出力電圧の制御目標値を設定する手段と、前記制御目標値を変化させて、燃料電池の出力および二次電池の入出力を制御する手段とを備える燃料電池自動車の制御装置において、前記駆動用電動機の温度を検出する温度検出装置を備え、前記燃料電池の出力電圧の制御目標値を、前記駆動用電動機の温度により補正する。
【0010】第2の発明は、第1の発明において、前記温度検出装置は、駆動用電動機のコイル温度および駆動用電動機を冷却する冷却水温度のどちらか一方もしくは両方を検出する。
【0011】第3の発明は、第1、第2の発明において、車両の速度を検出する車速検出装置を備えると共に、前記燃料電池の出力電圧の制御目標値を前記車両の速度により補正する。
【0012】第4の発明は、出力電圧を昇降圧する変圧装置を有する燃料電池と、二次電池とを、駆動用電動機に並列接続すると共に、駆動用電動機の負荷制御と協調して燃料電池の出力電圧の制御目標値を設定する手段と、前記制御目標値を変化させて、燃料電池の出力および二次電池の入出力を制御する手段と、二次電池の接続を遮断する遮断装置とを備える燃料電池自動車の制御装置において、前記駆動用電動機の温度を検出する温度検出装置を備え、駆動用電動機の温度に応じて前記遮断装置を作動させると共に、前記燃料電池の出力電圧の制御目標値を前記駆動用電動機の温度により補正する。
【0013】第5の発明は、第4の発明において、前記温度検出装置は、駆動用電動機のコイル温度および駆動用電動機を冷却する冷却水温度のどちらか一方もしくは両方を検出する。
【0014】第6の発明は、第4、第5の発明において、車両の速度を検出する車速検出装置を備えると共に、前記燃料電池の出力電圧の制御目標値および前記遮断装置の作動条件を前記車両の速度により補正する。
【0015】第7の発明は、燃料電池と、出力電圧を昇降圧する変圧装置を有する二次電池とを、駆動用電動機に並列接続すると共に、駆動用電動機の負荷制御と協調して二次電池の入出力電圧の制御目標値を設定する手段と、前記制御目標値を変化させて、二次電池の入出力および燃料電池の出力を制御する手段とを備える燃料電池自動車の制御装置において、前記駆動用電動機の温度を検出する温度検出装置を備え、前記二次電池の入出力電圧の制御目標値を、前記駆動用電動機の温度により補正する。
【0016】第8の発明は、第7の発明において、前記温度検出装置は、駆動用電動機のコイル温度および駆動用電動機を冷却する冷却水温度のどちらか一方もしくは両方を検出する。
【0017】第9の発明は、第7、第8の発明において、車両の速度を検出する車速検出装置を備えると共に、前記二次電池の出力電圧の制御目標値を前記車両の速度により補正する。
【0018】
【発明の効果】第1の発明では、駆動用電動機の温度が所定値以下の通常時は、駆動用電動機の負荷制御と協調して、燃料電池の効率が最適になるように、燃料電池の出力、燃料電池の出力電圧、二次電池の入出力を制御するのであるが、駆動用電動機の温度を検出する温度検出装置を備え、駆動用電動機の温度が高い場合、燃料電池の出力電圧を高位側にシフトすることで、駆動用電動機への入力電圧を高位側にして、駆動用電動機の熱損失を低減して、駆動用電動機の出力低下を抑えることができる。
【0019】したがって、通常時の車両燃費向上と、駆動用電動機の温度上昇時における車両動力性能の確保(動力性能低下の抑制)が可能となる。
【0020】第4の発明では、駆動用電動機の温度が高い場合、二次電池の接続を遮断すると共に、燃料電池の出力電圧を高位側にシフトすることで、駆動用電動機への入力電圧を高位側にして、駆動用電動機の熱損失を低減して、駆動用電動機の出力低下を抑えることができる。
【0021】したがって、通常時の車両燃費向上と、駆動用電動機の温度上昇時における車両動力性能の確保(動力性能低下の抑制)が可能となる。
【0022】第7の発明では、駆動用電動機の温度が高い場合、二次電池の出力電圧を高位側にシフトすることで、駆動用電動機への入力電圧を高位側にして、駆動用電動機の熱損失を低減して、駆動用電動機の出力低下を抑えることができる。
【0023】したがって、通常時の車両燃費向上と、駆動用電動機の温度上昇時における車両動力性能の確保(動力性能低下の抑制)が可能となる。
【0024】第2、第5、第8の発明では、駆動用電動機のコイル温度、冷却水温度に基づき、通常時の車両燃費向上と、駆動用電動機の温度上昇時における車両動力性能の確保(動力性能低下の抑制)が可能となる。
【0025】第3、第6,第9の発明では、駆動用電動機の温度の上昇しやすい中高速域における車両の車両動力性能の確保(動力性能低下の抑制)が可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0027】図1は本発明の第1の実施の形態を示す概略構成図である。
【0028】図1に示すように、直流電源として燃料電池1と二次電池2とが備えられている。燃料電池1と二次電池2とは並列に駆動用電動機3に接続され、燃料電池1の出力側には出力電圧を昇降圧する変圧装置4が設けられている。
【0029】車両が要求する電力(駆動用電動機3の負荷)は、変圧装置4によって燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を昇降圧させることにより、燃料電池1と二次電池2で分配される。また、燃料電池1で作られた電力は、その出力電圧(変圧装置4の出力電圧)と二次電池2の開放電圧とに応じて、二次電池2にも供給される。
【0030】駆動用電動機3は、例えば、三相同期電動機と直流から交流に変換するインバータで構成されており、燃料電池1もしくは二次電池2から供給された電力によって駆動され、トルクを発生させることで車輪(図示せず)を回転させて、電気駆動自動車が走行され、減速時には駆動力を電気エネルギーとして回収して、二次電池2へ充電される。
【0031】温度検出装置5は、駆動用電動機3の電動機コイル温度を検出するコイル温度検出センサおよび駆動用電動機3を冷却する冷却装置(図示せず)の冷却水温度を検出する冷却水温度検出センサのどちらか一方もしくは両方を備え、検出信号を制御装置6に送る。車速検出装置8は、車両の速度を検出して、検出信号を制御装置6に送る。
【0032】制御装置6は、駆動用電動機3の負荷制御と協調して燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を変化させて、燃料電池1の出力と二次電池2の入出力を制御する。また、温度検出装置5の検出信号および車速検出装置8の検出信号に応じて、燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を所定高位に制御する。
【0033】次に、制御内容を図2のフローチャートにしたがって説明する。ただし、温度検出装置5は駆動用電動機3の電動機コイル温度および冷却水温度のどちらか一方もしくは両方を検出するが、代表して電動機コイル温度を例に述べる。
【0034】なお、図2におけるモード1は、駆動用電動機3の温度が所定値以下の通常時に、駆動用電動機3の負荷制御と協調して、燃料電池1の効率が最適になるように、燃料電池1の出力電圧(於第1、第2の実施の形態)、[又は、二次電池2の入出力(於第3の実施の形態)]、および燃料電池1の出力、二次電池2の入出力を制御する運転モードを意味し、全ての実施の形態において共通な運転モードである。一方、図2におけるモード2は、駆動用電動機3の温度が所定値を超えた場合、燃料電池1の出力電圧を高位側にシフトすることで、駆動用電動機3への入力電圧を高位側にして、駆動用電動機3の熱損失を低減して、駆動用電動機3の出力低下を抑える運転モードを意味し、第1の実施の形態で実施される運転モードである。
【0035】ステップS1では、温度検出装置5により検出された電動機コイル温度を取り込む。
【0036】ステップS2では、電動機コイル温度が所定値以上かを判断する。
【0037】電動機コイル温度が所定値以上の場合、ステップS3に進み、モード2の制御を行う。
【0038】これは、燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を図9に示すように通常制御範囲の高位側の値(制御目標値)に制御する。このとき二次電池2の開放電圧が前記制御電圧値より低ければ、二次電池2を充電する必要があるため、燃料電池1に駆動用電動機3への供給電力に加え、二次電池2への充電電力も発電させ、充電させる。二次電池2の充電量が増加し、二次電池2の開放電圧が前記制御電圧値になれば、燃料電池1に駆動用電動機3に供給する電力のみを発電させる。
【0039】このように燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)、すなわち駆動用電動機3への入力電圧を高位側の一定値に保持することで、駆動用電動機3に流れる電流を小さくし、電動機コイル温度の上昇を防ぐと共に、図8のように熱損失を低減することができる。したがって、駆動用電動機3の出力低下を抑えることができる。
【0040】なお、この場合燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を図9のように通常制御範囲の高位側の値に制御するのではなく、図10のように燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)の通常制御範囲の下限値を制限するようにしても良い。また、図11のように燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)の通常制御範囲の下限値を電動機コイル温度に応じて可変するようにしても良く、このようにすれば、燃料電池1の負担を軽減でき、燃料電池1の効率が向上する。
【0041】一方、電動機コイル温度が所定値を超えていない場合、ステップS4に進み、モード1の制御を行う。
【0042】これは、燃料電池1の効率が最適になるように、燃料電池1の出力、燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)、二次電池2の入出力を制御する。即ち、燃料電池1の出力を効率の良い出力レベルに制御する(図7参照)と共に、駆動用電動機3の負荷制御と協調して、燃料電池1の出力のみで補えるときは、燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を通常制御範囲にて二次電池2の開放電圧より高くして、燃料電池1の電力で駆動用電動機3を駆動すると共に、余りの電力を二次電池2に充電する。また、燃料電池1の出力のみでは補えないときは、燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を通常制御範囲にて二次電池2の開放電圧と同等にして要求電力を燃料電池1と二次電池2で分配供給する。
【0043】このように電動機コイル温度に余裕があるときは、燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)、すなわち駆動用電動機3への入力電圧を二次電池2の開放電圧と同等に下げて、燃料電池1の効率が最適になるように運転でき、したがって燃費の向上を図ることができる。
【0044】なお、燃料電池1を最適効率で運転する手段として、図7のように最も燃料電池1の効率が良いところで一定運転するように燃料電池1の出力を制御するか、または任意の時間毎に車両の平均出力を計算し、燃料電池1の出力をその出力レベルに制御しても良い。
【0045】そして、ステップS3のモード2の状態のとき、ステップS5にて電動機コイル温度が所定値を下回るか判断する。電動機コイル温度が所定値以上であればステップS3のモード2を継続し、所定値を下回ったら、ステップS4のモード1に移行する。
【0046】この場合、図9のようにモード2からモード1もしくはモード1からモード2への移行の判定値にヒステリシスを設定しても良い。
【0047】なお、図2のフローは、電動機コイル温度が所定値以上の場合、モード2の制御に入り、燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を所定高位側の値に制御する例を示したが、駆動用電動機3の冷却水温度が所定値以上の場合、モード2の制御に入り、燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を所定高位側の値に制御するようにしても良い。また、電動機コイル温度および駆動用電動機3の冷却水温度がそれぞれ所定値以上の場合、あるいはこれらの昇温状態に基づき、モード2の制御に入り、燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を所定高位側の値に制御するようにしても良く、このようにすれば、制御精度、応答性が向上する。
【0048】また、この燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)の制御目標値に、車速検出装置8によって検出される車速を反映させるようにしても良い。即ち、電動機コイル温度が所定値以上(または冷却水温度が所定値以上、または電動機コイル温度および冷却水温度がそれぞれ所定値以上)かつ車速が中高速域にあるときにのみ、燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を所定高位側に制御するようにする。このようにすれば、通常時の車両の燃費が一層向上すると共に、電動機コイル温度の上昇しやすい中高速域における車両の動力性能低下の抑制が可能となる。
【0049】図3、図4は第2の実施の形態を示す。
【0050】これは、第1の実施の形態に対して、二次電池2の出力側に、二次電池2の接続を遮断する遮断装置7を追加したものである。なお、前図1と同一の部分には同符号を付してある。
【0051】なお、図4におけるモード2’は、駆動用電動機3の温度が所定値を超えた場合、二次電池2の接続を遮断すると共に、燃料電池1の出力電圧を高位側にシフトすることで、駆動用電動機3への入力電圧を高位側にして、駆動用電動機3の熱損失を低減して、駆動用電動機3の出力低下を抑える運転モードを意味し、第2の実施の形態で実施される運転モードである。
【0052】図4のように、ステップS11では、温度検出装置5により検出された電動機コイル温度を取り込む。
【0053】ステップS12では、電動機コイル温度が所定値以上かを判断する。
【0054】電動機コイル温度が所定値以上の場合、ステップS13に進み、モード2の制御を行う。
【0055】これは、遮断装置7を作動して二次電池2を駆動用電動機3の並列回路から切り離し、燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を図9に示すように通常制御範囲の高位側の値(制御目標値)に制御する。したがって、このとき燃料電池1の電力は、駆動用電動機3に供給されるのみで、二次電池2の開放電圧が前記制御電圧値より低くても、二次電池2に供給されることはない。
【0056】このように二次電池2の接続を遮断すると共に、燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)、すなわち駆動用電動機3への入力電圧を高位側の一定値に保持することで、駆動用電動機3の熱損失を低減しつつ、駆動用電動機3の出力を向上することができる。
【0057】なお、この場合図11のように燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)の通常制御範囲の下限値を電動機コイル温度に応じて可変するようにしていても良い。
【0058】一方、電動機コイル温度が所定値を超えていない場合、ステップS14に進み、モード1の制御を行う。モード1の制御は、第1の実施の形態と同様である。
【0059】また、ステップS13のモード2’の状態のとき、ステップS15にて電動機コイル温度が所定値を下回るか判断する。電動機コイル温度が所定値以上であればステップS13のモード2’を継続し、所定値を下回ったら、ステップS14のモード1に移行する。この場合、図9のようにモード2’からモード1もしくはモード1からモード2’への移行の判定値にヒステリシスを設定しても良い。
【0060】なお、駆動用電動機3の冷却水温度が所定値以上の場合、モード2’の制御に入り、遮断装置7を作動すると共に、燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を所定高位側の値に制御するようにしても良い。また、電動機コイル温度および駆動用電動機3の冷却水温度がそれぞれ所定値以上の場合、あるいはこれらの昇温状態に基づき、モード2’の制御に入り、遮断装置7を作動すると共に、燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を所定高位側の値に制御するようにしても良い。
【0061】また、この遮断装置7の作動条件および燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)の制御目標値に、車速検出装置8によって検出される車速を反映させるようにしても良い。即ち、電動機コイル温度が所定値以上(または冷却水温度が所定値以上、または電動機コイル温度および冷却水温度がそれぞれ所定値以上)かつ車速が中高速域にあるときにのみ、遮断装置7を作動すると共に、燃料電池1の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を所定高位側に制御するようにする。このようにすれば、通常時の車両の燃費の一層の向上と、電動機コイル温度の上昇しやすい中高速域における車両の動力性能向上が可能となる。
【0062】図5、図6は第3の実施の形態を示す。
【0063】これは、第1の実施の形態に対して、変圧装置4を二次電池2の出力側に設けたものである。なお、前図1と同一の部分には同符号を付してある。
【0064】なお、図6におけるモード2”は、駆動用電動機3の温度が所定値を超えた場合、二次電池2の出力電圧を高位側にシフトすることで、駆動用電動機3への入力電圧を高位側にして、駆動用電動機3の熱損失を低減して、駆動用電動機3の出力低下を抑える運転モードを意味し、第3の実施の形態で実施される運転モードである。
【0065】図6のように、ステップS21では、温度検出装置5により検出された電動機コイル温度を取り込む。
【0066】ステップS22では、電動機コイル温度が所定値以上かを判断する。
【0067】電動機コイル温度が所定値以上の場合、ステップS23に進み、モード2”の制御を行う。
【0068】これは、二次電池2の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を図9に示すように通常制御範囲の高位側の値(制御目標値)に制御し、燃料電池1の出力電圧が前記制御電圧値になるように燃料電池1の出力を固定する。この際、燃料電池1の特徴として低出力ほど出力電圧が高いので、前記制御電圧値に対して燃料電池1の出力電圧が低い場合、燃料電池1の出力を制限することになる。したがって、この場合駆動用電動機3への供給電力の不足分は二次電池2が出力する。
【0069】このように二次電池2の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)、すなわち駆動用電動機3への入力電圧を高位側の一定値に保持することで、駆動用電動機3の熱損失を低減することができ、駆動用電動機3の出力低下を抑えることができる。
【0070】なお、この場合二次電池2の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を図9のように通常制御範囲の高位側の値に制御するのではなく、図10のように二次電池2の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)の通常制御範囲の下限値を制限するようにしても良い。また、図11のように二次電池2の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)の通常制御範囲の下限値を電動機コイル温度に応じて可変するようにしても良い。
【0071】一方、電動機コイル温度が所定値を超えていない場合、ステップS24に進み、モード1の制御を行う。
【0072】これは、燃料電池1の効率が最適になるように、燃料電池1の出力、二次電池2の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)、二次電池2の入出力を制御する。即ち、燃料電池1の出力を効率の良い出力レベルに制御すると共に、駆動用電動機3の負荷制御と協調して、燃料電池1の出力のみで補えるときは、二次電池2の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を通常制御範囲にて燃料電池1の出力電圧より低くして、燃料電池1の電力で駆動用電動機3を駆動すると共に、余りの電力を二次電池2に充電する。また、燃料電池1の出力のみでは補えないときは、二次電池2の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を通常制御範囲にて燃料電池1の出力電圧と同等にして要求電力を燃料電池1と二次電池2で分配供給する。
【0073】また、ステップS23のモード2”の状態のとき、ステップS25にて電動機コイル温度が所定値を下回るか判断する。電動機コイル温度が所定値以上であればステップS23のモード2”を継続し、所定値を下回ったら、ステップS24のモード1に移行する。この場合、図9のようにモード2”からモード1もしくはモード1からモード2”への移行の判定値にヒステリシスを設定しても良い。
【0074】なお、駆動用電動機3の冷却水温度が所定値以上の場合、モード2”の制御に入り、二次電池2の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を所定高位側の値に制御するようにしても良い。また、電動機コイル温度および駆動用電動機3の冷却水温度がそれぞれ所定値以上の場合、あるいはこれらの昇温状態に基づき、モード2”の制御に入り、二次電池2の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を所定高位側の値に制御するようにしても良い。
【0075】また、この二次電池2の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)の制御目標値に、車速検出装置8によって検出される車速を反映させるようにしても良い。即ち、電動機コイル温度が所定値以上(または冷却水温度が所定値以上、または電動機コイル温度および冷却水温度がそれぞれ所定値以上)かつ車速が中高速域にあるときにのみ、二次電池2の出力電圧(変圧装置4の出力電圧)を所定高位側に制御するようにする。このようにすれば、通常時の車両の燃費の一層向上と、電動機コイル温度の上昇しやすい中高速域における車両の動力性能低下の抑制が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【代理人】 【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
【公開番号】 特開2002−218607(P2002−218607A)
【公開日】 平成14年8月2日(2002.8.2)
【出願番号】 特願2001−10917(P2001−10917)