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【発明の名称】 車両用動力伝達システムおよびそれを搭載した自動車
【発明者】 【氏名】射場本 正彦

【氏名】黒岩 弘

【要約】 【課題】高速走行時はモータの過回転を防止するため結合ギア比を小さくし、エンジン始動時および発進加速時は大トルクを得るために結合ギア比を大きくする必要がある。このためにモータ専用の変速機を付けると、そのアクチュエータも必要で、コスト高になる。

【解決手段】エンジン駆動力に加え、モータによるトルクアシスト・エネルギ回生を行うハイブリッド駆動方式において、走行用変速機の遊んでいるギアを活用して、モータ結合比を切り換えるようにした。走行に用いるギアと空いているギアのギア比の差でモータを回すことにより、発進時と高速時の必要結合比を両立させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】エンジンに連結された少なくとも2個のエンジンクラッチと、変速機の変速ギアに連結された少なくとも2個のギアクラッチと、前記各エンジンクラッチと前記各ギアクラッチを連結する第1クラッチ軸及び第2クラッチ軸と、前記エンジンに連結されたモータジェネレータとを備え、車両の走行中、前記第1クラッチ軸または第2クラッチ軸のいずれかを介して前記エンジンの回転を前記変速ギアに伝達する車両用動力伝達システムにおいて、走行に用いている前記変速ギアの入力回転数と、走行用以外の前記変速ギア入力回転数との差の回転数を利用して前記モータジェネレータを駆動し発電させる、ことを特徴とする車両用動力伝達システム。
【請求項2】請求項1において、前記モータジェネレータにより車両の回生制動を行うときは、前記差の回転数が前記モータジェネレータの高効率回転数範囲に入るように、前記変速機の変速段毎に前記走行用以外の変速ギアを切り換える、ことを特徴とする車両用動力伝達システム。
【請求項3】請求項1において、前記モータジェネレータにより車両の駆動力アシストを行うときは、前記モータジェネレータの回転数の上限以下の範囲で最大のトルクが得られるように、前記変速機の変速段毎に前記走行用以外の変速ギアを切り換える、ことを特徴とする車両用動力伝達システム。
【請求項4】請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記第1クラッチ軸及び第2クラッチ軸が同軸型のツインクラッチ変速機であり、該同軸状の2つのクラッチ軸に、前記モータジェネレータの固定子と回転子をそれぞれ直接接続する、ことを特徴とする車両用動力伝達システム。
【請求項5】請求項1ないし3のいずれかにおいて、差動装置を用いて、前記走行に用いている変速ギアの入力回転数と、前記走行用以外の変速ギア入力回転数との差を取り出し、固定子を固定した前記モータジェネレータに接続することを特徴とする車両用動力伝達システム。
【請求項6】請求項1ないし3のいずれかにおいて、遊星歯車と結合ギアを用いて、前記走行に用いている変速ギアの入力回転数と、前記走行用以外の変速ギア入力回転数との差を取り出し、固定子を固定した前記モータジェネレータに接続することを特徴とする車両用動力伝達システム。
【請求項7】請求項6において、リングギアと第1クラッチ軸を結ぶ結合ギア比を kr = 1に設定し、前記遊星歯車と前記結合ギアの結合ギア比を、(数式7)の関係にすることを特徴とする車両用動力伝達システム。
Nr = -N1 ・・・ (数式7)
【請求項8】請求項6において、サンギアと第2クラッチ軸5に接続する結合ギア比を ks =Zr/Zs に設定し、前記遊星歯車と前記結合ギアの結合ギア比を、数式8の関係にすることを特徴とする車両用動力伝達システム。
Ns = (Zr/Zs)N2 ・・・ (数式8)
【請求項9】請求項6において、キャリアとモータを結ぶ結合ギア比を kc = (Zs+Zr)/Zrに設定し、前記遊星歯車と前記結合ギアの結合ギア比を、数式9の関係にすることを特徴とする車両用動力伝達システム。
Nc = -{Zr/(Zs+Zr)}Nm ・・・ (数式9)
【請求項10】請求項6〜9のいずれかにおいて、遊星歯車と結合ギアを変速ギア列の端に設置し、前記モータジェネレータを変速ギア列の横に配置することを特徴とする車両用動力伝達システム。
【請求項11】請求項1ないし3のいずれかにおいて、出力軸の変速ドリブンギアを奇数番目と偶数番目を交互に配置して変速ドライブギアが一つ置きに配置されるように構成し、各変速ドライブギアの間にギアクラッチを配置すると共に、遊星歯車と結合ギアを変速ギア列の端に設置し、前記モータジェネレータを変速ギア列の横に配置することを特徴とする車両用動力伝達システム。
【請求項12】請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記変速機が同軸型ツインクラッチ変速機であり、2つのクラッチ軸回転数の差を、遊星歯車と結合ギアを用いて取り出し、固定子を固定した前記モータジェネレータに接続することを特徴とする車両用動力伝達システム。
【請求項13】請求項1ないし3のいずれかにおいて、変速機出力を、出力軸上に配置されたドリブンギアの一つを介してファイナルギアに取り出すと共に、そのドリブンギアと出力軸の間にギアクラッチを設けることを特徴とする車両用動力伝達システム。
【請求項14】請求項1〜13のいずれかの車両用動力伝達システムを搭載した自動車において、変速機内蔵モータジェネレータと、該変速機内蔵モータジェネレータを制御するモータ制御装置とバッテリを備え、前記モータジェネレータでエンジンを始動し、自動車の発進加速時には前記モータジェネレータのトルクでエンジントルクを補佐し、減速時には前記モータジェネレータを発電機として動作させて車体の運動エネルギを前記バッテリに回生することを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用動力伝達システムおよびそれを搭載した自動車に係り、特にエンジンのほかに電動機を付加して不足する駆動力を補佐あるいは余剰の駆動力をバッテリに回生し、もってエンジンの負荷を平滑化することで燃費を向上させる駆動系の制御システム、いわゆるモータジェネレータシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】走行時の駆動力を一時的にモータで補佐してエンジンのピーク出力を抑え、また制動時には発電機として車体の持つエネルギをバッテリに回生することで、全体としてエンジンの出力変動を抑制して、燃費を向上させる方式が提案されている。
【0003】またいわゆるアイドルストップ制御として停車時にエンジンを停止させ、走行開始時にエンジンを自動的に始動する方式を採用することで、むだなアイドル運転を排除してさらに燃費を向上させる方式も提案されている。これらの制御を効率的に行うためにはエンジンとモータを結合するギア比を切り換えることが有効であり、ギア比を変更する方式を含むモータジェネレータシステムの技術が、例えば特開平11-153038号公報、特開2000-156904号公報、特開2000-230430号公報等に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】通常のエンジンは回転数限界が6000rpm程度であるが、モータを小型にするには最高回転数を15000rpm程度に設計するのが良いとされている。したがって効率良く発電するためには結合ギア比を(15000/6000)=2.5程度にするとよい。
【0005】一方このモータでエンジンを始動する時のことを考える。例えばエンジンフリクショントルクの最大値を150Nm(極低温時等)とすると、ギア比2.5でエンジンを回すためには、最大モータトルクは60Nmを必要とする。
【0006】通常のモータ特性においては、最高回転数の半分程度まで最大トルクを発生させるのが普通であるから、7500rpmで60Nm発生するモータを用いることになる。すなわちモータ出力は、Pm=2π60(7500/60)=47.1kWのモータが必要になる。47kWのモータというのは自動車にとって極めて大きなものであり、重量・搭載スペース・コストの点で現時点では実現性が薄い。
【0007】そこで、モータを小型にする工夫が検討され、走行中と始動時で結合ギア比を切り換える方式が提案されている。例えば前記した特開平11-153038号公報、特開2000-156904号公報には遊星歯車を用いて始動時のギア比を高める方式が示されている。しかし、例えば自動車にとって実現可能な数kWのモータを使って、モータジェネレータシステムを構成しようとすると、始動時の減速比を10〜15位にする必要がある。しかし遊星歯車一段では大きな減速比を作ることが難しいため、より変速比の大きなモータ専用変速機を備える必要が出てきて、それを切り換えるアクチュエータや制御装置も必要になり、コストが高くなるという問題があった。
【0008】本発明の目的は、モータ専用変速機を設けることなく、走行中の低ギア比と始動時の高ギア比を両立させるモータジェネレータシステムを有する車両用動力伝達システムおよびそれを搭載した自動車を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】このため本発明においては、元々存在する車両走行用の変速機を用いてモータとエンジンの結合比を変えることにした。すなわち走行に用いる変速ギアは唯一つであり、その他のギアは遊んでいることに着目し、これらの遊んでいるギアを活用してエンジンとモータを接続するものである。
【0010】本発明の特徴は、エンジンに連結された少なくとも2個のエンジンクラッチと、変速機の変速ギアに連結された少なくとも2個のギアクラッチと、前記各エンジンクラッチと前記各ギアクラッチを連結する第1クラッチ軸及び第2クラッチ軸と、前記エンジンに連結されたモータジェネレータとを備え、車両の走行中、前記第1クラッチ軸または第2クラッチ軸のいずれかを介して前記エンジンの回転を前記変速ギアに伝達する車両用動力伝達システムにおいて、走行に用いている前記変速ギアの入力回転数と、走行用以外の前記変速ギア入力回転数との差の回転数を利用して前記モータジェネレータを駆動し発電させることにある。
【0011】本発明によれば、一つのモータでエンジン始動と高効率発電が出来、スタータおよびオルタネータを廃止できる。また、トルクコンバータが不要になり、コスト低減だけでなく燃費を大幅に向上できる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の車両用動力伝達システムの第1の実施形態を図1〜図7に示す。この実施形態は、車両用動力伝達システムとして、ツインクラッチ変速機39を基に、第1クラッチ軸4と第2クラッチ軸5の間にモータ(モータジェネレータ)2を接続したものである。ツインクラッチ変速機39は、第1クラッチ軸4に連結されたクラッチ3と、第2クラッチ軸5に連結されたクラッチ3'を有する。モータ2は、エンジンを起動するためのスタータ機能、エンジンのトルクアシスト機能及び回生時のジェネレータ機能を備えている。
【0013】図1において、エンジン1の出力は、エンジン結合ギア24,25,26によりクラッチ3, 3'に入力される。第1クラッチ軸4に奇数番目の変速ドライブギア7,8,9を、第2クラッチ軸5に偶数番目の変速ドライブギア10, 11, 12を設けてある。ドリブンギア13〜18は共通の出力軸6に設けられている。各変速ドライブギアにはそれぞれギアクラッチ(例えばドッグクラッチ)19,20,21,22が設けられており,いずれか一つの変速ドライブギアがクラッチ軸と締結する。
【0014】いま1速ギア7のギアクラッチ19が締結し、エンジン出力が第1クラッチ3から1速ギア7を経由して1速で走行中であるとする(図2の1速)。このとき第2クラッチ3’は開放している。2速にアップシフトするためには、ギアクラッチ21を締結して2速ギア10を第2クラッチ軸5に結合し、クラッチ3'を締結すると共にクラッチ3を開放すれば良い(図2の1速→2速)。3速以上にアップシフトするときも、次段のギアを結合しておいて、クラッチ3および3’を掛け換えればよい。このように走行中は常にどちらかのクラッチが開放されており、選択された以外のギアは遊んでいることになる。
【0015】モータ2は、回転子28も固定子27も回転するタイプであり、固定子27が第2クラッチ軸5に、回転子28が第1クラッチ軸4に、それぞれ傘歯車で接続されている。なお、モータ内部にリダクションギア29を内蔵しており、見かけ上「低回転・高トルク」のモータであるが、内部は「高回転・低トルク」のモータである。
【0016】第1クラッチ軸4の回転数をN1、第2クラッチ軸5の回転数をN2とすれば、リダクションギアの外から見たモータ回転数Nmは、Nm = N1 - N2 となる。
【0017】変速ギア7〜12のギア比をそれぞれG1, G2, G3, G4, G5, GRとし、第1クラッチ軸4と結合している変速ギアのギア比をGAすなわちGA=(G1 OR G3 OR G5)、第2クラッチ軸5と結合している変速ギアのギア比をGBすなわちGB=(G2 OR G4 OR GR)とすれば、モータ回転数Nmは下式で表される。
Nm = N1 - N2 = GA×No - GB×No = (GA-GB)×No ・・・ (数式1)
ここでNoは出力軸6の回転数である。
【0018】図1の構成において、例えば2速で走行中はクラッチ3’およびギアクラッチ21が締結して駆動トルクを伝達しているが、クラッチ3は開放されている。ギアクラッチ19により1速の変速ギア7を第1クラッチ軸4に結合すると、上式よりNm = (G1-G2)×No ・・・ (数式2)
となる。エンジン回転数Neとの関係を求めると、No = N2/G2 = Ne/G2 であるから Nm = (G1-G2)×No = {(G1-G2)/G2}×Ne ・・・ (数式3)
2速走行中は奇数番目のギアはいずれも遊んでいるので、1速、3速、5速ギアを使って、モータ回転数が望みの値に近くなるように、モータ結合ギア比を変えることが出来る。
【0019】同様にして奇数番目のギアで走行中例えば3速走行中には、偶数番目のギアを使ってモータ結合ギア比を変える。偶数番目のギアの中には後退ギアも含まれるが、後退ギアは負のギア比を持っているので、非常に大きなモータ結合ギア比を得ることができる。
【0020】車両用動力伝達システムは、モータ2に給電するためのインバータを備えており、モータ2は誘導電動機あるいは同期電動機である。インバータの電源としてバッテリが設置されており、モータ2が電動機として駆動力を発生するときは電力を供給し、発電機として動作するときは電力を受け入れて充電する。またこのインバータの周波数および電流は、駆動系コントローラ43により制御される。駆動系コントローラ43はまた変速機のギアクラッチ19,20,21,22およびクラッチ3,3'も制御する。
【0021】この変速機を用いて、回生制動中に駆動系コントローラ43によりモータ回転数を最適に制御する処理手順を示したのが図2である。
【0022】まず、Step1で発電効率が最大になる回転数TNmを読み込む。次に、Step2で現在走行に用いている変速段を判定し、Step3で空いている反対側のギアを判定してギア比を設定し、Step4でそれらのギアが結合したと仮定してモータ回転数を算出する。Step5で過回転するギア段を排除して、残った中からStep6で目標回転数に最も近いギア段を選択する。
【0023】走行用の変速ギアが変更されたときは、それに連れて反対側のギア段も変更されるが、車速が変化して過回転条件から開放されると、走行用変速ギアが変わらなくても変更される。
【0024】実際の変速機を例に、回転数変化を試算した結果を図3に示す。ここで示すモータ回転数Nmmはリダクションギアの内側の回転数である。この例ではリダクションギア比kdを6.0としている。高速からのコースト走行中に、図中の矢印で示す車速でダウンシフトしながら停車するまでの間、エンジン回転数Neとモータ回転数Nmmが車速に対してどの様に変化するかを示したものである。エンジン回転数を実線で、各ギアの組み合わせにおけるモータ回転数を細い破線で示す。例えば2-3と表示してある線は、2速走行中に3速ギアを締結して得られるモータ回転数を示す。遊んでいるギアの中から最適のものを選ぶことにより、太い破線で示すように、モータ回転数を常にある範囲内に維持することができる。
【0025】図4はモータ(発電機)の出力特性を示した一例である。一点鎖線で示す定出力線がこのモータの最大出力特性である。最高回転数の約半分の回転数以下では最高トルクを発生するトルク一定特性となる。発電効率は、図中に楕円状の等高線で示すように、11000(1/min)付近で最大効率を示す。したがってモータ回転数Nmmを8000〜14000(1/min)に維持できれば、発電効率を高く保つことができる。図3の例では、モータ回転数Nmmは7000〜14000(1/min)に維持されており、特に低車速域で高回転を維持できることがわかる。
【0026】ちなみに、エンジンとモータをリダクションギアなしに一定の結合ギア比2.5で結合した場合の計算結果を参考までに図5に示す。90km/h以上の高速域では高回転を維持しているが、使用頻度の高い中低車速域ではモータ回転数が低下することがわかる。
【0027】次に、発進時のトルクについて説明する。図1の構成において、エンジントルクをTe, リダクションギア外側のモータトルクをTm, 出力軸トルクをTo とすると、例えば1速走行時の出力トルクは下式で表される。

右辺の第1項はエンジンによる出力トルクであり、第2項はモータによるアシストトルクである。ここでGBとしては2速、4速、後退ギアを選ぶことができるが、後退ギアを選んだ場合、図3からも判るように10km/h以下の領域でしか使えないものの非常に大きな結合ギア比が得られる。すなわち後退ギア比は負の値であるので、(G1-GB)が正の大きな値(図3の場合には6.961)になるからである。ちなみに図3の例では、2速ギアを選んだ場合は1.434、4速ギアを選んだ場合は2.457である。
【0028】図4のモータを用いて発進時の出力トルク最大値を試算すると、見かけ上のモータトルクTmは(内部モータトルクTmm)×(リダクションギア比kd)であるから、下式で表される。起動時のエンジントルク最大値を88 (Nm), モータトルク最大値を18 (Nm), リダクションギア比kd=6.0とすると To = G1×Te + (G1-GB)×Tm = G1×Te + (G1-GB)×Tmm×kd = 3.545×88 + 6.961×18×6.0 = 312 + 752 = 1064 (Nm) ・・・ (数式5)
となる。第1項はエンジンによる出力トルクで、第2項はモータによるアシストトルクである。アシストトルクの方がはるかに大きな値になることが判る。
【0029】エンジン始動前のエンジントルクTeは負の値である。クランキングトルクは通常数十Nmであるが、極低温時のことを想定すると150Nm位は必要である。(数式5)においてTe=-150 (Nm)とするとTo=220 (Nm)となり、クランキングしながら220 (Nm)の出力トルクで走り出すことが出来る。もし220 (Nm)の出力トルクで走行できないような場合例えば坂道においては、下り方向に走行しながらエンジンを始動すれば、勾配による推進力をエンジン始動に加算することができる。
【0030】エンジン始動後は(数式4)によりモータによる加速アシストを行うことが出来る。この場合にもモータ回転数が許容値に達するまでは、出来るだけギア比の差が大きい変速ギアを組み合わせることにより、大きなアシストトルクが得られる。
【0031】ここで、最適なアシストトルクを得るギア選択アルゴリズムを、図6に示す。まず、Step1で現在走行に用いている変速段を判定し、Step2で空いている反対側のギアを判定してギア比を設定する。Step3でそれらのギアが結合したと仮定してモータ回転数を算出し、Step4で過回転するギア段を排除して、残った中からStep5でアシストトルクが最大になるギア段を選択する。
【0032】この方式により、図3で試算した変速機において加速アシストトルクを求めると図7のようになる。各変速段において走行中に遊んでいるギアを用いて加速アシストした場合の駆動力を示してある。
【0033】太い実線で表したのがエンジンのみによる駆動力である。例えば1速走行中に2速ギアを用いてトルクアシストすると、図中に1-2で示したように駆動力を15%程度増加させることが出来る。特に発進時においては後退ギアによるアシストで8000(N)に近い駆動力を発揮でき、参考までに太い破線で示したAT車の1速駆動力に匹敵する駆動力を得られることが判る。これはトルクコンバータが不要になることを意味している。
【0034】このように本発明の方法によれば、高速走行時におけるモータ回転数を発電効率の良い範囲に維持できると共に、発進時におけるアシストトルクはエンジンによる出力トルクよりも大きく、エンジンフリクションの大きな極低温時においてさえもエンジンを始動しながら走行する程の大きなトルクを発生出来るという特徴がある。しかもモータを結合するための特別の変速機を必要とせず、コスト上昇を最低限に抑えて新しい機能を実現できるので、経済的効果は大きい。
【0035】図8は、本発明の第2の実施形態を示したもので、エンジン1の出力は2階建てのツインクラッチ3, 3'の2つの出力軸を同軸状に変速機の中に導き、外側の第1クラッチ軸4に奇数番目の変速ドライブギア7,8,9を、内側の第2クラッチ軸5に偶数番目の変速ドライブギア10, 11, 12を設けてある。ドリブンギア13〜18は共通の出力軸6に設けられている。各変速ドライブギアにはそれぞれギアクラッチ(例えばドッグクラッチ)19,20,21,22が設けられており,いずれか一つの変速ドライブギアがクラッチ軸と締結する。
【0036】本実施形態においては、モータ2の固定子27と回転子28を、外側の第1クラッチ軸4と内側の第2クラッチ軸5に直接接続することになる。このようにすると、第1の実施例におけるエンジン結合ギア24、25、26および傘歯車が不要である。なお、モータの回転子と固定子の接続先が図1とは逆になっているが、モータのトルクと回転数の方向を考慮して制御すれば問題ない。
【0037】本発明の第3の実施形態を図9により説明する。図9(a)は図1に示した第1の実施形態におけるモータ結合部の構成であるが、モータの固定子も回転子も回転するので、給電するためのスリップリング30を必要とする。
【0038】そこでモータの固定子を固定した方法を図9(b)に示す。差動装置31の2つの入力軸を第1クラッチ軸4と第2クラッチ軸5に接続し、差動装置31のキャリアをモータの回転子に接続する。モータの固定子は変速機のケースに固定されている。このようにすれば、第1クラッチ軸4と第2クラッチ軸5の回転差がモータに伝わるので、モータ回転数はN1-N2となり図9(a)と全く同じ特性を示す。第2クラッチ軸5に接続する傘歯車の向きが図9(a)とは逆になる。この方法によればモータの固定子が回転しないので、スリップリングが不要になり接触不良等の問題が発生せず信頼性を高めることが出来る。
【0039】本発明の第4の実施形態を図10に示す。図9(b)はスリップリングは不要であるが傘歯車を多用しており、傘歯車は加工が複雑で高価であり効率も良くない。また回転軸が縦方向と横方向に配置されるので、変速機ケースの加工性も良くない。
【0040】そこで差動装置31の代りに遊星歯車32を用いるのが本実施形態の特徴である。第1クラッチ軸4の結合ギア33と、遊星歯車32のリングギアの外周に刻まれた歯が噛み合っている。この間の結合ギア比をkrとする。遊星歯車32のサンギアは結合ギア列34により第2クラッチ軸5に接続されている。結合ギア列34にはアイドラギアが入っており、サンギアは第2クラッチ軸5と同じ方向に回転する。結合ギア列34の結合ギア比をksとする。遊星歯車32のキャリアは結合ギア35によりモータの回転子28に接続されている。この間の結合ギア比をkcとする。モータの固定子27は変速機ケースに固定されており、給電線は直接固定子のコイルに接続されている。
【0041】遊星歯車の一般的な関係式は(数式6)で表される。
Nc = NsZs/(Zs+Zr) + NrZr/(Zs+Zr) ・・・ (数式6)
ここでNc:キャリア回転数、Ns:サンギア回転数、Nr:リングギア回転数、Zs:サンギア歯数、Zr:リングギア歯数である。
【0042】リングギアと第1クラッチ軸4を結ぶ結合ギア比を kr = 1に設定するとNr = -N1 ・・・ (数式7)
サンギアと第2クラッチ軸5に接続する結合ギア比を ks = Zr/Zs に設定すると、回転方向が同じであるからNs = (Zr/Zs)N2 ・・・ (数式8)
キャリアとモータを結ぶ結合ギア比を kc = (Zs+Zr)/Zr に設定するとNc = -{Zr/(Zs+Zr)}Nm ・・・ (数式9)
(数式7)〜(数式9)を(数式6)に代入するとNm = N1 - N2 ・・・ (数式10)
これは図1の場合と全く同じ関係式であり、同じ動作をすることを意味する。
【0043】なお実際の構成においては、キャリアとモータを結ぶ結合ギア比を kc×kd とすればリダクションギアを省略することが出来る。
【0044】すなわち第4の実施形態によれば、効率の悪い傘歯車を用いることなく、またリダクションギアも必要なく、各軸の方向を統一出来て、第1の実施形態と同じ動作を実現できるので、効率も加工性も良い実用的な構成を提供することができる。
【0045】本発明の第5の実施形態の構成図を図11に示す。変速機の構成は図8と同じであるが、モータの接続方法が異なる。第1クラッチ軸4にリングギア結合歯車33が設けてあり、遊星歯車32のリングギアに噛み合っている。第2クラッチ軸5にはサンギア結合歯車34が設けてあり、アイドラーを介して遊星歯車32のサンギアに接続される。モータはキャリア結合歯車35により遊星歯車32のキャリアに接続されている。したがって動作としては図10の場合と全く同じであり、図8とも同じ特性を示す。しかし、図8の場合には変速機の中に、しかも奇数段ギア列と偶数段ギア列の間にモータを設置するので、変速機が大型になり、モータの冷却も困難になる。図11においては2つのギア列の間には、結合ギア2〜3枚が入るだけであるので、変速機の軸長を長くすることなしに実現できる。モータは変速機の横に抱くように設置するので、FF車用に好適である。
【0046】次に第6の実施形態の構成図を図12に示す。第1から第5の実施形態はモータの結合方法に関する種々の方式であったが、第6の実施形態は変速機の変速ギア配列に関するものである。
【0047】奇数番目の変速ギア7,8,9と、偶数番目の変速ギア10,11,12を交互に並べると、各変速ギアの出力軸側のドリブンギアは1速から順序良く並ぶことになり、ドリブンギアは狭い隙間で配置されるが、ドライブ側のギアは1つ置きに配置されるので隙間が広がり、その間にギアクラッチを設置できて、変速機の全長を短くすることが出来る。モータとの結合ギア33,34,35は変速ギア列の端部に配置する。このようにするとモータを変速ギア列の上に設置でき、特に第1クラッチ軸4と第2クラッチ軸5を出力軸6に対してV字型に配置して、その谷間にモータを設置すると、変速機をコンパクトにレイアウトすることが出来る。
【0048】本発明の第7の実施形態を図13に示す。ファイナルギア36は、出力軸上のドリブンギアのいずれかに噛み合っており、図13の例では3速ギアのドリブンギアに噛み合っている。さらに3速ギアのドリブンギアにはギアクラッチ37が設けられていて、出力軸6と結合/開放できるようになっている。図13は込み入っていて判り難いので、図14の原理構成図にて説明する。図13では遊星歯車によるモータ結合を行っているが、原理的には図14のようにモータを直接両クラッチ軸に接続しても同じ動作をする。3速のドリブンギアにギアクラッチ37を設けファイナルギア36に噛み合わせた点が図1の場合と異なる。
【0049】走行しないでエンジンを始動する場合、ギアクラッチ37を開放し、ギアクラッチ19により1速ギア7を、ギアクラッチ22により後退ギア12をそれぞれのクラッチ軸に締結しておく。クラッチ3を開放し、クラッチ3’を締結した状態でモータ2を回すと、エンジンに加えられるトルクは下式で表される。
Te = Tm + T2 = Tm + To/Gr = Tm + T1×G1/Gr = Tm - Tm×G1/Gr = (1-G1/Gr)Tm ・・・(数式11)
ここで図3に特性を示した変速機を例に試算すると、G1=3.545, Gr=-3.416, モータトルク最大値18 (Nm), リダクションギア比6.0であるから、Te=220 (Nm)が得られる。これはモータとエンジンを12倍のギアで結合したことになる。
【0050】エンジンが始動したら、後退ギア12のギアクラッチ22を開放し、3速ドリブンギアのギアクラッチ37を締結すれば発進準備が整う。モータ2(この場合発電機)の伝達トルクを増加するとエンジントルクが1速ギアを介して出力軸に伝達されて発進する。
【0051】本実施形態の方法によれば、走りながらエンジンを始動する必要がないので、例えば極低温時に、坂道で(数式5)の出力では登坂できず、後に走行する余地のない場合でも、充分余裕のあるトルクでエンジンを始動できる。
【0052】本発明の第8の実施形態を図15に示す。自動車38のエンジン1に変速機39が接続されており、この変速機39は第1から第6の実施形態により説明した本発明の方法で構成されている。変速機の出力軸6はファイナルギア36を含むデファレンシャルギアを介してタイヤ40を駆動する。変速機39に内蔵されたモータ2に給電するためのインバータ41があり、その場合モータ2は誘導電動機あるいは同期電動機である。インバータ41の電源としてバッテリ42が設置されており、モータ2が電動機として駆動力を発生するときは電力を供給し、発電機として動作するときは電力を受け入れて充電する。またこのインバータ41の周波数および電流は、駆動系コントローラ43により制御される。駆動系コントローラ43はまた、変速機のギアクラッチ19,20,21,22およびクラッチ3,3'も制御する。自動車38はアクセルペダル等の操作に応じてエンジン1を制御するためのエンジンコントローラも備えている。
【0053】図16は、図15の自動車が発進してから停止するまでの駆動系コントローラ43による制御動作を示すタイムチャートである。時刻t1においてアクセルペダルを踏み始めると、モータがトルクTmを発生し、車が走行し始める。このとき変速機39の奇数ギア列GAは、1速ギア7のギアクラッチ19が結合しており、偶数ギア列GBにおいては、R速ギア12のギアクラッチ22が結合している。したがって1速走行R速アシスト状態であり、(数式5)で示したように大きなトルクで発進する。なお、GA,GBの破線はアシスト側であることを示す。
【0054】このとき第1クラッチClt1が締結されていてエンジン1が、スタータの機能を有するモータ2により回されるので、時刻t2において点火するとエンジンが始動する。すなわちエンジントルクTeは負から正に転じる。エンジン回転数Neは車速と共に上昇する。一方モータ回転数Nmは(数式2)により(G1+GR)Noで上昇する。モータトルクTmはエンジン始動に合わせて時刻t2で低減する。
【0055】時刻t3で奇数ギア列GAを2速に切換えると、1速走行2速アシスト状態になる。モータ回転数Nmは(G1-G2)Noに低減する。モータトルクTmの変化は制御方式により異なるが、例えば駆動力をアクセル開度TVOに比例させるには、エンジントルクをほぼ一定に保ち、モータによるアシストトルクを加減して駆動力制御を行うのが燃費の点で効果がある。そのときはアクセル開度TVOの変化にギア比の変化を合成して段差を生じながら上昇する。
【0056】時刻t4で走行用のギアを1速から2速にシフトアップするために、モータトルクTmは変速期間中だけ(-Te)となる。第1クラッチClt1から第2クラッチClt2に切り替わると共に、アシストギアを3速に切り換えるので、2速走行3速アシスト状態になる。モータ回転数Nmは(G3-G2)Noになるので負になる。モータトルクTmも回転方向の反転に伴って負となる。時刻t5でアクセル開度TVOが一定になるので、モータトルクTmも一定になる。
【0057】時刻t6で走行用のギアを2速から3速にシフトアップすると共に、アシストギアを4速に切り換えるので、3速走行4速アシスト状態になる。モータ回転数Nmは、(G3-G4)Noになるので再び正になり、モータトルクTmも正になる。
【0058】同様にして時刻t7で走行用のギアを3速から4速にシフトアップし、アシストギアを5速に切り換えると、4速走行5速アシスト状態になってモータ回転数Nm、モータトルクTmが負になる。
【0059】時刻t8で走行用のギアを5速にシフトアップするが、アシストギアは4速にせざるを得ないので、5速走行4速アシスト状態になる。モータ回転数Nmは4速走行5速アシスト状態と変わらないので負である。モータトルクTmも負のままである。
【0060】時刻t9でアクセルペダルを放してアクセル開度TVOをゼロにすると、いわゆるコースティング状態になり、燃費向上のため燃料カットを行う。エンジンを空転状態にするのでエンジントルクTeはわずかに負になる。このとき心地よいブレーキ感覚を得るために回生制動を行うと、運動エネルギをバッテリに蓄えるのでさらに燃費向上に役立つ。このときモータトルクTmはt9以前の加速アシスト状態とは逆向きのトルクを発生するので、t9からt10の間は正のトルクになる。
【0061】時刻t10で走行用のギアを4速にシフトダウンすると共に、アシストギアを3速に切り換えるので4速走行3速回生状態になり、モータ回転数Nmは3速走行4速アシスト状態と同じ向きで正になる。このときモータトルクTmは制動トルクであるので負になる。
【0062】同様にして時刻t11で走行用のギアを3速にシフトダウンし、アシストギアを2速に切り換えるとモータ回転数Nmは負に、モータトルクTmは正になる。
【0063】時刻t12で走行用のギアを2速にシフトダウンし、アシストギアを1速に切り換えると再びモータ回転数NmとモータトルクTmの向きは反転する。
【0064】時刻t13で走行用のギアを1速にシフトダウンするが、アシストギアを2速のままにするので、モータ回転数Nmの向きは正のままで変わらず、それに対して制動トルクを発生するのでモータトルクTmの向きも負のままである。
【0065】時刻t14でアシストギアをR速に切り換えると、モータ回転数Nmは大きくなるが向きは変わらず、したがってモータトルクTmは小さくなるが向きは負のままである。このときは車速Vspもエンジン回転数Neも小さくなっているので、エンジンは停止して第1クラッチClt1が開放される。
【0066】時刻t15で車速がほぼゼロになると車両停止状態になる。次の発進のため第1クラッチClt1を締結しておく。
【0067】本実施形態の方法によれば、アイドルストップ状態からアクセルペダルを踏むと、モータ2のトルクで発進しながらエンジン1をクランキングし、エンジン始動後は図7のように加速アシストして走行する。高速走行からアクセルペダルを離すと発電モードになり、走行用以外の遊んでいるギアを切り換えながら、発電効率の高い回転数を維持するよう走行する。すなわち無駄なアイドリングを排除し、加速時にはモータアシストによりエンジンのピーク負荷を抑制し、減速時には回生ブレーキにより運動エネルギをバッテリに回生するので、燃費を大幅に改善することが出来る。
【0068】本発明の第9の実施形態を図17に示す。図12の構成と異なるのはモータ軸にプーリ50,50'を設け、ベルト51,エアコンクラッチ52,回転方向変換機53を介して、エアコンディショナ用のコンプレッサ54を接続したことである。
【0069】本実施形態における制御方法は2通りある。一つは走行中におけるコンプレッサ54の運転である。モータ回転数は(数式1)で表され、車速に対する特性は図3に示されるので、常に回転数範囲を制限することが出来る。例えば図17のプーリ50,50'の減速比を4対1とし、図3のモータ回転数範囲が5000〜15000(1/min)であるとすれば、コンプレッサ54は1250〜3750(1/min)で回転することになる。すなわちエンジンに直結する場合より回転数範囲を狭くすることが出来る。コンプレッサの回転数範囲を制限すれば、より効率の高いコンプレッサにすることが出来て燃費向上に役立つ。
【0070】この場合モータ回転数は図3のようにある範囲に制限されるが、回転方向はアシストギアの組み合わせで随時反転する。そこで図18に示す回転方向変換機53を用いる。
【0071】入力軸55はクラッチ52に接続され、プーリ50'からの回転を入力する。入力軸55には第1ワンウエイクラッチのドライブホイール56が設けられており、この回転がまゆ形こま58を介してドリブンドラム57に伝達される。ドリブンドラム57は出力軸59を通してコンプレッサ54に接続されているので、入力軸55の一方向回転のみがコンプレッサ54に伝わることになる。
【0072】一方、入力軸55には入力結合ギア60が設けてあるが、これに噛み合う反転ギア61には第2ワンウエイクラッチのドライブホイール62が設けられており、この回転がまゆ形こま64を介してドリブンドラム63に伝達される。ドリブンドラム63の回転は、出力結合ギア65・アイドラー66に伝わり、出力軸59に設けられた出力結合ギア67を回転させる。第2ワンウエイクラッチは第1ワンウエイクラッチと同じ物である。第2ワンウエイクラッチの入力軸は第1ワンウエイクラッチの入力軸と反転結合しており、第2ワンウエイクラッチの出力軸は第1ワンウエイクラッチの出力軸と正転結合しているので、入力軸55が逆転して第1ワンウエイクラッチをトルクが伝達しないときには、第2ワンウエイクラッチをトルクが伝達し、出力軸59を通してコンプレッサ54を回転させることになる。
【0073】このように回転方向変換機53は、入力軸55がどちらの方向に回転しても出力軸59を常に同じ方向に回転させるので、モータ回転の方向に関係なくいつでもコンプレッサ54を駆動することが出来る。なお、入力結合ギア60と反転ギア61は同一径であり、また出力結合ギア65と67も同一径であるので回転方向が変わっても伝達トルクは同じである。
【0074】第二の制御方法は停車中である。最近は燃費向上のために一時停止中でもエンジンを停止するいわゆるアイドリングストップ制御を行うようになってきたが、従来の車ではこのときエアコンディショナも停止するので、猛暑の季節は事実上アイドリングストップ運転が出来ない状況にあった。そこで信号待ち等の短時間停車中は、走行中に蓄えたバッテリのエネルギを用いて、モータでコンプレッサを回すことにする。
【0075】図17において、停車中にクラッチ3、3’或いはギアクラッチ19,20,21,22を解放しておけば、モータを回しても出力軸6に駆動力は発生せず、コンプレッサ54のみを駆動することが出来る。
【0076】このように本実施形態の方法によれば、エアコンディショナ用のコンプレッサを制限された回転数で効率良く運転して燃費が向上すると共に、一時停止中でもエアコンを停めることなく快適な車内環境を提供出来るという効果がある。
【0077】本発明の第10の実施形態を図19に示す。図13の構成と異なるのはモータ軸にプーリ50,50'を設け、ベルト51,エアコンクラッチ52,回転方向変換機53を介して、エアコンディショナ用のコンプレッサ54を接続したことである。本実施形態においても第9の実施形態と同じ動作を行い、同じ効果が得られる。
【0078】
【発明の効果】本発明の方法によれば、エンジンとモータを結合するのに特別なモータ専用変速機を必要とせず、次の3つの条件を全て満足するモータジェネレータシステムを実現できる。
(1) エンジン始動時においてクランキングトルクを確保するため、モータとエンジンの間の結合ギア比を大きくする。
(2) 発進加速時におけるトルクコンバータに匹敵する発進駆動力を得るため、モータとエンジンの間の結合ギア比を大きくする。
(3) 高速走行時においてモータを高効率領域に維持し、かつモータの過回転を防止するため、エンジンが高速回転しているときはモータとエンジンの間の結合ギア比を小さくする。
【0079】これにより次の効果が得られる。
(1) 一つのモータでエンジン始動と高効率発電が出来、スタータおよびオルタネータを廃止できる。
(2) トルクコンバータが不要になり、コスト低減だけでなく燃費を大幅に向上できる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成13年8月8日(2001.8.8)
【代理人】 【識別番号】100074631
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 幸彦 (外1名)
【公開番号】 特開2002−204504(P2002−204504A)
【公開日】 平成14年7月19日(2002.7.19)
【出願番号】 特願2001−241075(P2001−241075)