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【発明の名称】 電気車用組電池の電圧検出装置
【発明者】 【氏名】鈴木 康平

【要約】 【課題】1つの差動増幅部により検出される電圧に応じてその差動増幅部の故障診断を行う電圧検出回路を得る。

【解決手段】セルコントローラC/C1は、故障診断時にセル電圧検出スイッチSWa1〜SWa8をオフ、セル基準電圧源スイッチSWcおよび容量調整回路スイッチSWb1〜SWb8をオンする。差動増幅部D1〜D8で検出される電圧が3.75Vから0.15V以上異なる場合に差動増幅部の故障を判断する。判断結果は差動増幅部で検出された電圧値とともにセルコントローラC/C1からバッテリコントローラB/Cに送信される。バッテリコントローラB/Cは、受信した判断結果と電圧値とに基づいて故障を判断する。セルコントローラC/C1は、セル電圧検出時にセル電圧検出スイッチSWa1〜SWa8をオン、セル基準電圧源スイッチSWcおよび容量調整回路スイッチSWb1〜SWb8をオフする。差動増幅部D1〜D8のそれぞれでセルC1〜C8の電圧を検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の単位電池で構成される電気車用組電池を電源として駆動する車両において、前記単位電池ごとに設けられて単位電池の電圧を検出する電圧検出回路と、前記電圧検出回路と前記単位電池間の接続をオン/オフする第1のスイッチ回路と、所定の電圧を発生する電圧発生回路と、前記電圧発生回路と前記電圧検出回路間の接続をオン/オフする第2のスイッチ回路と、前記第1のスイッチ回路がオンされるとともに前記第2のスイッチ回路がオフされているとき、前記電圧検出回路で検出される電圧に応じて前記単位電池の充電状態を診断する一方、前記第1のスイッチ回路がオフされるとともに前記第2のスイッチ回路がオンされているとき、前記電圧検出回路で検出される電圧に応じて前記電圧検出回路の故障診断を行う診断装置とを備えることを特徴とする電気車用組電池の電圧検出装置。
【請求項2】請求項1に記載の電気車用組電池の電圧検出装置において、前記単位電池ごとに設けられ、前記診断装置により前記単位電池の容量の調整が必要と診断された場合に当該単位電池を放電させる容量調整回路をさらに備え、前記第2のスイッチ回路がオンされると、前記電圧発生回路により発生された電圧が前記容量調整回路を介して前記電圧検出回路に印加されることを特徴とする電気車用組電池の電圧検出装置。
【請求項3】複数の単位電池で構成される電気車用組電池を電源として駆動する車両において、前記単位電池ごとに設けられて単位電池の電圧を検出する電圧検出回路と、前記電圧検出回路と前記単位電池間の接続をオン/オフする第1のスイッチ回路と、所定の電圧を発生する電圧発生回路と、前記電圧発生回路と前記電圧検出回路間の接続をオン/オフする第2のスイッチ回路と、前記第1のスイッチ回路がオンされるとともに前記第2のスイッチ回路がオフされているとき、前記電圧検出回路で検出される電圧に応じて前記単位電池の充電状態を診断する一方、前記第1のスイッチ回路がオフされるとともに前記第2のスイッチ回路がオンされているとき、前記電圧検出回路で検出される電圧に応じて前記電圧検出回路の故障診断を行う第1の診断装置と、前記電圧検出回路で検出される電圧と前記第1の診断装置による診断結果とに基づいて、前記電圧検出回路および前記第1の診断装置の故障診断を行う第2の診断装置とを備えることを特徴とする電気車用組電池の電圧検出装置。
【請求項4】請求項3に記載の電気車用組電池の電圧検出装置において、前記第1の診断装置と前記第2の診断装置との間で前記電圧検出回路による検出電圧と前記第1の診断装置による診断結果とを授受する通信回路をさらに備え、前記第2の診断装置は、前記授受された検出電圧と診断結果とに基づいて、前記通信回路の故障診断をさらに行うことを特徴とする電気車用組電池の電圧検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気車用組電池の電圧検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電気自動車の駆動用電池には、複数の単位電池(以下ではセルと呼ぶ)から成る組電池が用いられる。組電池の各セルはモジュールと呼ばれる所定数のセルごとに区分(ひとまとめをモジュール電池と呼ぶ)され、各モジュール電池ごとに設けられたセルコントローラによってモジュール電池を構成するセルが管理される。各セルコントローラは、それが管理するモジュール電池から電力が供給される。一方、車両側には各セルコントローラを制御して組電池を管理するバッテリーコントローラが設けられており、セルコントローラおよびバッテリーコントローラ間はシリアル通信により相互にデータが送受信される。充放電の際、バッテリーコントローラはセルコントローラから送信されるセル電圧データに基づいて充放電制御を行う。
【0003】ここで、各セルの電圧を検出する回路が設けられるとともに、この検出回路自身の故障診断を行う技術が知られている。図7は、モジュール電池を構成する各セルの電圧を検出する従来の電圧検出回路のブロック図である。図7において、モジュール電池とセルコントローラとが接続されている。モジュール電池は、8つのセルC1〜C8によって構成されている。セルコントローラには、セルC1〜C8のそれぞれの端子間に2つの差動増幅器A1とD1,A2とD2,…,A8とD8が設けられており、各セルの電圧がそれぞれ2つの差動増幅器によって検出される。たとえば、セルC1の電圧値Vc1は、差動増幅器A1とD1とで検出される。セルコントローラのCPUは、差動増幅器A1による検出電圧Va1と差動増幅器D1による検出電圧Vd1とによってセルC1の充電状態をチェックする。容量調整回路E1〜E8は、セルC1〜C8の充電状態にばらつきが生じている場合に該当するセルを放電することで、所定の状態(たとえば平均電圧)として充電状態のばらつきを抑制する回路である。セルコントローラのCPUは、検出電圧Va1およびVd1によってセルC1の充電状態のばらつきを判断すると、容量調整回路E1を介してセルC1を放電させる。このような電圧検出回路において、セルコントローラのCPUは、2つの差動増幅器によって検出される電圧値の差が所定値Vng以上の場合に、差動増幅器A1およびD1のいずれかに故障が生じたと判断する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の電圧検出回路では、モジュール電池を構成する各セルごとに2つの差動増幅器を備えていたので、回路のコストが高くなっていた。
【0005】本発明の目的は、セル(単位電池)の電圧検出と電圧検出回路自身の故障診断とを行う電圧検出装置を低コストで提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】一実施の形態を示す図1、図2に対応づけて本発明を説明する。
(1)請求項1に記載の発明による電気車用組電池の電圧検出装置は、複数の単位電池で構成される電気車用組電池を電源として駆動する車両に適用され、単位電池C1〜C8ごとに設けられて単位電池C1〜C8の電圧を検出する電圧検出回路D1〜D8と、電圧検出回路D1〜D8と単位電池C1〜C8間の接続をオン/オフする第1のスイッチ回路SWa1〜SWa8と、所定の電圧を発生する電圧発生回路Vsと、電圧発生回路Vsと電圧検出回路D1〜D8間の接続をオン/オフする第2のスイッチ回路SWcと、第1のスイッチ回路SWa1〜SWa8がオンされるとともに第2のスイッチ回路SWcがオフされているとき、電圧検出回路D1〜D8で検出される電圧に応じて単位電池C1〜C8の充電状態を診断する一方、第1のスイッチ回路SWa1〜SWa8がオフされるとともに第2のスイッチ回路SWcがオンされているとき、電圧検出回路D1〜D8で検出される電圧に応じて電圧検出回路D1〜D8の故障診断を行う診断装置CPUとを備えることにより、上述した目的を達成する。
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電気車用組電池の電圧検出装置において、単位電池C1〜C8ごとに設けられ、診断装置CPUにより単位電池C1〜C8の容量の調整が必要と診断された場合に当該単位電池C1〜C8を放電させる容量調整回路E1〜E8をさらに備え、第2のスイッチ回路SWcがオンされると、電圧発生回路Vsにより発生された電圧が容量調整回路E1〜E8を介して電圧検出回路D1〜D8に印加されることを特徴とする。
(3)請求項3に記載の発明による電気車用組電池の電圧検出装置は、複数の単位電池で構成される電気車用組電池を電源として駆動する車両に適用され、単位電池C1〜C8ごとに設けられて単位電池C1〜C8の電圧を検出する電圧検出回路D1〜D8と、電圧検出回路D1〜D8と単位電池C1〜C8間の接続をオン/オフする第1のスイッチ回路SWa1〜SWa8と、所定の電圧を発生する電圧発生回路Vsと、電圧発生回路Vsと電圧検出回路D1〜D8間の接続をオン/オフする第2のスイッチ回路SWcと、第1のスイッチ回路SWa1〜SWa8がオンされるとともに第2のスイッチ回路SWcがオフされているとき、電圧検出回路D1〜D8で検出される電圧に応じて単位電池C1〜C8の充電状態を診断する一方、第1のスイッチ回路SWa1〜SWa8がオフされるとともに第2のスイッチ回路SWcがオンされているとき、電圧検出回路D1〜D8で検出される電圧に応じて電圧検出回路D1〜D8の故障診断を行う第1の診断装置(セルコントローラC/C1のCPU)と電圧検出回路D1〜D8で検出される電圧と第1の診断装置(C/C1内のCPU)による診断結果とに基づいて、電圧検出回路D1〜D8および第1の診断装置(C/C1内のCPU)の故障診断を行う第2の診断装置(B/C内のCPU)とを備えることにより、上述した目的を達成する。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電気車用組電池の電圧検出装置において、第1の診断装置(C/C1内のCPU)と第2の診断装置(B/C内のCPU)との間で電圧検出回路D1〜D8による検出電圧と第1の診断装置(C/C1内のCPU)による診断結果とを授受する通信回路をさらに備え、第2の診断装置(B/C内のCPU)は、授受された検出電圧と診断結果とに基づいて、通信回路の故障診断をさらに行うことを特徴とする。
【0007】なお、上記課題を解決するための手段の項では、本発明をわかりやすく説明するために実施の形態の図と対応づけたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【0008】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれば、次のような効果を奏する。
(1)請求項1,2に記載の発明では、第1のスイッチ回路および第2のスイッチ回路で接続を変え、電圧検出回路により単位電池の電圧を検出して単位電池の充電状態を診断する一方、電圧検出回路により所定の電圧を検出して電圧検出回路の故障診断を行うようにした。したがって、従来技術のような2つの電圧検出回路による故障診断を不要にし、1つの電圧検出回路で単位電池の電圧検出と故障診断とを行うことができる。この結果、部品数を削減して装置のコストが低減されるとともに、部品数の減少にともなって装置の信頼性が向上する。
(2)請求項2に記載の発明では、電圧発生回路による発生電圧を容量調整回路を介して電圧検出回路に印加するようにしたので、故障診断のために新たな回路を追加する必要がない。この結果、装置のコスト上昇を抑えることができる。
(3)請求項3,4に記載の発明では、電圧検出回路により検出した所定の電圧値と、この電圧値に応じて電圧検出回路の故障診断を行う第1の診断装置による診断結果とに基づいて、第2の診断装置で故障診断を行うようにした。したがって、第1の診断装置の故障と電圧検出回路の故障とを独立して判定できるから、故障発生時に復旧作業がしやすくなる。
(4)請求項4に記載の発明では、第1の診断装置と第2の診断装置との間に設けられる通信回路の故障も判定できるから、故障発生時に復旧作業がしやすくなる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施の形態による車両用組電池の全体構成図である。図1において、組電池は40個のセルC1〜C40が直列に接続されたものであり、セルC1〜C40は8個ずつまとめられて5つのモジュール電池M1〜M5を構成している。なお、組電池および各モジュール電池を構成するセルの数は本説明による数量に限定されるものではない。5つのモジュール電池M1〜M5には、それぞれセルコントローラC/C1、C/C2、…、C/C5が接続されている。5つのセルコントローラC/C1〜C/C5は、それぞれCPU、ROMおよびRAMを有し、モジュール電池Mnごとにモジュール電池Mn内の8個のセルを管理する。ここで、nは1〜5の整数である。
【0010】セルコントローラC/Cnは、後述する電圧検出回路で、1.セル電圧検出時に各モジュール電池Mn内の8個のセルのそれぞれの電圧を検出するとともに、2.故障診断時に診断用基準電圧を検出する。
さらに、セルコントローラC/Cnは、各モジュール電池Mn内の8個のセルのそれぞれを容量調整するための信号を出力する。セルの容量調整については後述する。セルコントローラC/Cnの電力は、それぞれ各モジュール電池Mnから供給される。
【0011】5つのセルコントローラC/C1〜C/C5は、バッテリコントローラB/Cによって管理される。バッテリコントローラB/Cは、CPU、ROM、RAMおよび不図示の通信インターフェイス回路を備えている。通信インターフェイス回路は、シリアル通信により各セルコントローラC/C1〜C/C5と通信を行う。バッテリコントローラB/Cは、このシリアル通信を用いて各セルコントローラC/C1〜C/C5を制御する一方、各セルコントローラC/C1〜C/C5から電池情報と診断情報とを受信する。
【0012】電池情報は、セル電圧検出時に各セルコントローラC/C1〜C/C5の電圧検出回路によって検出される各モジュール電池Mn内のセルの電圧値である。受信された電池情報は、バッテリコントローラB/CのRAMに記憶され、セルコントローラC/C1〜C/C5の制御に利用されたり、不図示の容量計の容量表示等に利用される。セルの電圧値が所定の電圧範囲より高いと過充電であり、セルの電圧値が所定の電圧範囲より低いと過放電であり、セルの電圧値から充電状態がわかる。また、診断情報は、故障診断時に各セルコントローラC/C1〜C/C5の電圧検出回路によって検出される診断用基準電圧値と、故障診断によって異常が検出された場合の異常フラグである。受信された診断情報は、バッテリコントローラB/CのRAMに記憶され、バッテリコントローラB/Cにおける故障診断に利用される。
【0013】バッテリコントローラB/Cからは、5つのセルコントローラC/C1〜C/C5のそれぞれに対し、各モジュール電池Mnを構成する各セルの容量調整を行うための信号が出力される。バッテリコントローラB/Cはさらに、不図示の容量計の容量表示を行うための電池容量や電池劣化状態の演算を行うとともに、演算された電池容量や電池劣化状態等の信号を、車両を制御する不図示のコントローラ等に出力する。バッテリコントローラB/Cの電力は、補助電池Bから供給される。
【0014】セルコントローラC/C1〜C/C5は、バッテリコントローラB/Cからオン信号が送信されることにより電源オンし、オフ信号が送信されることにより電源オフする。バッテリコントローラB/Cは、車両のスイッチおよび組電池の充電のオン・オフに連動してオン/オフされる。
【0015】図2は、セルコントローラC/C1内の回路ブロック図である。ここではセルコントローラC/C1を例に上げて説明するが、他のセルコントローラC/C2〜C/C5もセルコントローラC/C1と同様である。図2において、モジュール電池M1とセルコントローラC/C1とが接続されている。モジュール電池M1は8つのセルC1〜C8が直列に接続されて構成されている。セルコントローラC/C1は、電源スイッチSWmと、中央演算処理回路(以下、マイコン)CPUと、診断用基準電圧部Vsと、8つの差動増幅部D1〜D8と、8つの容量調整回路E1〜E8と、8つのセル電圧検出スイッチSWa1〜SWa8とを有する。診断用基準電圧部Vsは、電圧レギュレータIC1と、電圧増幅回路IC2と、セル基準電圧源スイッチSWcとを有する。容量調整回路E1〜E8には、それぞれ容量調整回路スイッチSWb1〜SWb8と、抵抗器R1〜R8とが設けられている。
【0016】電源スイッチSWmは、バッテリコントローラB/Cから送られる電源オン信号によってオンされ、バッテリコントローラB/Cから送られる電源オフ信号によってオフされる。電圧レギュレータIC1は、モジュール電池M1から電源が供給されると、入力された電圧をDC/DC変換して、たとえば、5Vの電圧を出力する。電圧増幅回路IC2は入力される5Vの電圧を増幅し、たとえば、30Vの電圧を出力する。セル基準電圧源スイッチSWcは、マイコンCPUから故障診断時に送られるオン信号によってオンされ、故障診断後に送られるオフ信号によってオフされる。
【0017】セル電圧検出スイッチSWa1〜SWa8は、それぞれマイコンCPUからセル電圧検出時に送られるオン信号によってオンされ、故障診断時に送られるオフ信号によってオフされる。8つの差動増幅部D1〜D8は、セル電圧検出時に、それぞれセルC1〜C8の端子電圧Vc1〜Vc8を検出し、検出電圧Vd1〜Vd8を出力する。また、故障診断時に、それぞれ診断用のセル基準電圧を検出し、検出電圧Vd1〜Vd8を出力する。マイコンCPUにはA/D変換回路が内蔵されており、差動増幅部D1〜D8から出力される検出電圧Vd1〜Vd8をデジタル信号に変換する。マイコンCPUは、デジタル変換した検出データに基づいてセルC1〜C8の管理と電圧検出回路の故障診断とを行う。ここで、電圧検出回路は、診断用基準電圧部Vs、容量調整回路E1〜E8、および差動増幅部D1〜D8を含む。マイコンCPUには通信インターフェイス回路も内蔵されている。マイコンCPUは、セルC1〜C8の電池情報と差動増幅部D1〜D8の診断情報とをシリアル通信によりバッテリコントローラB/Cに送信する。送信端子がTx、受信端子がRxである。
【0018】容量調整回路E1〜E8はセルC1〜C8を放電させる。容量調整回路スイッチSWb1〜SWb8は、マイコンCPUから送られるオン信号によってオンされ、オフ信号によってオフされる。容量調整回路スイッチSWb1〜SWb8がオンされると、対応する抵抗器R1〜R8を介してセルC1〜C8が放電される。マイコンCPUは、上述した電圧検出データからセルの容量のばらつき(詳しくはC1〜C8の平均値より高い電圧を示す)を判断したセルに対し、このセルに対応する容量調整回路スイッチをオンして放電させる。容量調整回路E1〜E8はさらに、故障診断時にも使用される。マイコンCPUは故障診断時に容量調整回路スイッチSWb1〜SWb8に対してオン信号を送り、故障診断後にオフ信号を送る。
【0019】故障診断時において、セル電圧検出スイッチSWa1〜SWa8がオフされるとともに、セル基準電圧源スイッチSWcがオンされる。このとき、容量調整回路スイッチSWb1〜SWb8がオンされると、8つの容量調整回路E1〜E8に電圧増幅回路IC2から出力される30Vのセル基準電圧が印加される。ここで、容量調整回路E1〜E8を構成する各抵抗器R1〜R8の抵抗値が同じであるので、差動増幅部D1〜D8のそれぞれには理論上30/8=3.75Vの電圧が印加される。マイコンCPUは、差動増幅部によって検出されるセル基準電圧値が、たとえば、3.75Vに対して0.15V未満の差異で検出される場合にその差動増幅部が正常であると判断し、0.15V以上の差異で検出される場合にその差動増幅部に故障が生じていると判断する。差動増幅部によって理論上検出されるべき電圧値(ここでは3.75V)は、マイコンCPUにあらかじめ与えられている。
【0020】バッテリコントローラB/Cは、上述したようにシリアル通信で送信される電池情報に基づいてセルコントローラC/C1〜C/C5の制御を行うが、通常(走行中や充電中)の制御では、電池情報のうちの電圧検出情報、および故障診断結果から得られる異常検出情報がセルコントローラC/C1〜C/C5からバッテリコントローラB/Cへ送られる。バッテリーコントローラB/Cは、電圧検出情報に基づいて充放電制御を行い、異常検出情報に基づいて警告表示等により異常を運転者に伝えるとともにフェイルセーフ動作(入出力制限等)を行わせる。
【0021】上記のバッテリコントローラB/CのマイコンCPUで行われる処理をフローチャートを参照して説明する。図3および図4は、バッテリコントローラB/CのマイコンCPUで行われる処理の流れを説明するフローチャートであり、車両のスイッチおよび組電池の充電のオンに連動して起動する。図3のステップS10において、マイコンCPUは、イグニッションスイッチがオンされたか否かを判定する。イグニッションスイッチがオンされている場合はステップS10を肯定判定してステップS15へ進み、イグニッションスイッチがオンされていない場合はステップS10を否定判定して判定処理を繰り返す。
【0022】ステップS15において、マイコンCPUは、セルコントローラC/C1〜C/C5に対して電源オン信号を送信してステップS20へ進む。ステップS20において、マイコンCPUは、セルコントローラC/C1〜C/C5に対して電圧検出回路の故障診断を開始させる信号を送信してステップS25へ進む。ステップS25において、マイコンCPUは、セルコントローラC/C1〜C/C5から故障診断情報の受信を完了したか否かを判定する。診断情報の受信を完了するとステップS25を肯定判定してステップS30へ進み、診断情報が受信されない場合はステップS25を否定判定してステップS20へ戻る。
【0023】ステップS30において、マイコンCPUは、受信した診断情報をRAMに記憶してステップS35へ進む。ステップS35において、マイコンCPUは、セルコントローラC/C1〜C/C5の電圧検出回路(差動増幅部)によるそれぞれの検出電圧値が正常か否かを判定する。各差動増幅部による検出電圧値は、各セルコントローラから受信した診断情報の中に含まれている。マイコンCPUは、あらかじめ記憶されている基準電圧値Vo(ここでは3.75Vとする)と、診断情報の中の検出電圧値との差異が、たとえば、0.15V未満であればステップS35を肯定判定してステップS45へ進み、基準電圧値Voと診断情報の中の検出電圧値との差異が0.15V以上であればステップS35を否定判定してステップS40へ進む。ステップS40において、マイコンCPUは、バッテリコントローラB/Cによる診断結果に異常フラグをたててステップS45へ進む。異常フラグは、異常と診断したセルコントローラに対応してバッテリコントローラB/CのRAMに記憶される。
【0024】ステップS45において、マイコンCPUは、セルコントローラC/C1〜C/C5による診断結果が正常か否かを判定する。各セルコントローラによって異常が診断されている場合は、各セルコントローラから受信した診断情報の中に異常フラグが含まれている。マイコンCPUは、セルコントローラC/C1〜C/C5による診断情報の中に異常フラグがない、すなわち、セルコントローラC/C1〜C/C5によって正常と判定されている場合にステップS45を肯定判定してステップS50へ進み、セルコントローラC/C1〜C/C5による診断情報に異常フラグが含まれる、すなわち、セルコントローラC/C1〜C/C5によって異常が判定されている場合にステップS45を否定判定してステップS55へ進む。
【0025】ステップS50において、マイコンCPUは、バッテリコントローラB/Cによる診断結果が正常か否かを判定する。バッテリコントローラB/Cによる診断結果は、上述したステップS35で否定判定した場合の異常フラグの有無で判定する。マイコンCPUは、RAMに異常フラグが記憶されていない場合にステップS50を肯定判定してステップS65へ進み、RAMに異常フラグが記憶されている場合にステップS50を否定判定してステップS60へ進む。ステップS65において、マイコンCPUは、セルコントローラC/C1〜C/C5、およびバッテリコントローラB/Cのいずれによる診断結果も正常であると判断し、図4のステップS80へ進む。また、ステップS50において否定判定されて進むステップS60において、マイコンCPUは、セルコントローラC/C1〜C/C5内のマイコンCPUに故障があると判断し、図4のステップS80へ進む。
【0026】一方、ステップS45において否定判定されて進むステップS55において、マイコンCPUは、バッテリコントローラB/Cによる診断結果が正常か否かを判定する。マイコンCPUは、バッテリコントローラB/C内のRAMに異常フラグが記憶されていない場合にステップS55を肯定判定してステップS70へ進み、RAMに異常フラグが記憶されている場合にステップS55を否定判定してステップS75へ進む。ステップS70において、マイコンCPUは、バッテリコントローラB/CとセルコントローラC/C1〜C/C5間の通信に異常があると判断し、図4のステップS80へ進む。また、ステップS75において、マイコンCPUは、電圧検出回路の故障と判断し、図4のステップS80へ進む。
【0027】ステップS80において、マイコンCPUは、セルコントローラC/C1〜C/C5に対して各セルの電圧検出値の送信を要求してステップS85へ進む。ステップS85において、マイコンCPUは、セルコントローラC/C1〜C/C5からセル電圧値の受信を完了したか否かを判定する。セル電圧値の受信を完了するとステップS85を肯定判定してステップS90へ進み、セル電圧値の受信が完了されない場合はステップS85を否定判定してステップS80へ戻る。
【0028】ステップS90において、マイコンCPUは、各セルの電圧値の平均値を演算してステップS95へ進む。なお、上述したステップS60、ステップS70、およびステップS75のいずれかで故障あるいは異常が判断されている場合には、マイコンCPUはフェイルセーフ動作を行う。すなわち、故障と判断された電圧検出回路によって検出されるセルの電圧値、セルコントローラ内のマイコンCPUに故障があると判断されたセルコントローラから送信される電圧値を用いずに、正常と判断されるセルの電圧値の平均値を演算する。
【0029】ステップS95において、マイコンCPUは、セル電圧の分布を演算し、演算した平均値と分布とから異常と思われるセルを特定してステップS100へ進む。ステップS100において、マイコンCPUは、セルの電圧平均値とセル電圧の分布により、各セルごとに容量調整を行う必要があるか否かを判定する。マイコンCPUは、セルに対する容量調整が必要な場合にステップS100を肯定判定してステップS105へ進み、容量調整が不要な場合にステップS100を否定判定してステップS115へ進む。
【0030】ステップS105において、マイコンCPUは、容量調整を行う必要があるセルに対して、それぞれの容量調整時間を演算してステップS110へ進む。ステップS110において、マイコンCPUは、セルコントローラC/C1〜C/C5のそれぞれに対して容量調整が必要なセルごとの容量調整時間を送信し、ステップS115へ進む。容量調整が不要の場合は、容量調整不要の信号を送信する。ステップS115において、マイコンCPUは、セルコントローラC/C1〜C/C5に対して各セルの電圧検出値の送信を要求してステップS120へ進む。ステップS120において、マイコンCPUは、受信した各セル電圧値に基づいて総電圧、平均値を演算してステップS125へ進む。
【0031】ステップS125において、マイコンCPUは、不図示の容量計の容量表示を行うための電池容量や電池劣化状態等の演算を行うとともに、演算された電池容量や電池劣化状態等の信号を車両制御する不図示のコントローラ等に出力し、ステップS130へ進む。ステップS130において、マイコンCPUは、イグニッションスイッチがオフされたか否かを判定する。イグニッションスイッチがオフされた場合はステップS130を肯定判定してステップS135へ進み、イグニッションスイッチがオフされていない場合はステップS130を否定判定してステップS115へ戻る。ステップS135において、マイコンCPUは、セルコントローラC/C1〜C/C5に対して電源オフ信号を送信してステップS140へ進む。ステップS140において、マイコンCPUは、バッテリコントローラB/C自身の電源をオフして図4の処理を終了する。
【0032】次に、セルコントローラC/C1〜C/C5の各マイコンCPUで行われる処理をフローチャートを参照して説明する。図5および図6は、セルコントローラC/C1〜C/C5のマイコンCPUで行われる処理の流れを説明するフローチャートであり、バッテリコントローラB/Cから送信されるオン信号によって起動する。ここでは1つのセルコントローラC/C1について説明するが、他のセルコントローラも同様である。図5のステップS500において、マイコンCPUは、バッテリコントローラB/Cからのオン信号に基づいて電源をオンしてステップS510へ進む。ステップS510において、マイコンCPUは初期化を行ってステップS520へ進む。ステップS520において、マイコンCPUは自己診断を行ってステップS530へ進む。
【0033】ステップS530において、マイコンCPUは、バッテリコントローラB/Cから電圧検出回路の故障診断を開始する信号を受信すると、容量調整回路スイッチSWb1〜SWb8をオン、セル基準電圧源スイッチSWcをオンさせてステップS540へ進む。なお、この時点でセル電圧検出スイッチSWa1〜SWa8はオフされている。ステップS540において、マイコンCPUは、差動増幅部D1〜D8から出力される診断用セル基準電圧の検出電圧Vd1〜Vd8を取り込んでステップS550へ進む。
【0034】ステップS550において、マイコンCPUは、電圧検出回路(差動増幅部)による8つの検出電圧値がそれぞれ正常か否かを判定する。マイコンCPUは、あらかじめ記憶されている基準電圧値Vo(ここでは3.75Vとする)と、差動増幅部による検出電圧値との差異が、たとえば、0.15V未満であればステップS550を肯定判定してステップS560へ進み、基準電圧値Voと差動増幅部による検出電圧値との差異が0.15V以上であればステップS550を否定判定してステップS570へ進む。ステップS560において、マイコンCPUは、8つの検出電圧値と判定結果(正常)とをバッテリコントローラB/Cに送信し、ステップS580へ進む。一方、ステップS570において、マイコンCPUは、異常フラグをたてて、8つの検出電圧値と判定結果(異常)と異常フラグとをバッテリコントローラB/Cに送信し、ステップS580へ進む。異常フラグは、異常と診断されたセルに対応してセルコントローラのRAMに記憶される。
【0035】ステップS580において、マイコンCPUは、セル基準電圧源スイッチSWcをオフ、容量調整回路スイッチSWb1〜SWb8をオフさせてステップS590へ進む。ステップS590において、マイコンCPUは、セル電圧検出スイッチSWa1〜SWa8をオンさせて図6のステップS600へ進む。ステップS600において、マイコンCPUは、差動増幅部D1〜D8から出力されるセルC1〜C8の検出電圧Vd1〜Vd8を取り込んでステップS610へ進む。ステップS610において、マイコンCPUは、バッテリコントローラB/Cからセル検出電圧の送信要求を受信すると、8つのセルC1〜C8の検出電圧をバッテリコントローラB/Cへ送信してステップS620へ進む。
【0036】ステップS620において、マイコンCPUは、バッテリコントローラB/Cからセルの容量調整時間を受信すると、該当するセルに対応する容量調整回路スイッチSWb1〜SWb8のいずれかを受信した調整時間に基づいてオンさせる。なお、バッテリコントローラB/Cから容量調整不要の信号が送信された場合は、容量調整を行わずにステップS630へ進む。ステップS630において、マイコンCPUは、差動増幅部D1〜D8から出力されるセルC1〜C8の検出電圧Vd1〜Vd8を取り込んでステップS640へ進む。
【0037】ステップS640において、マイコンCPUは、バッテリコントローラB/Cからセル検出電圧の送信要求を受信すると、8つのセルC1〜C8の検出電圧をバッテリコントローラB/Cへ送信してステップS650へ進む。ステップS650において、マイコンCPUは、バッテリコントローラB/Cから電源オフ信号を受信すると、セル電圧検出スイッチSWa1〜SWa8をオフし、セルコントローラの電源をオフして図6の処理を終了する。
【0038】以上説明した実施の形態についてまとめる。
(1)セルコントローラC/C1におけるセル電圧検出時に、セルC1〜C8と差動増幅部D1〜D8との間のセル電圧検出スイッチSWa1〜SWa8をオン(ステップS590)して差動増幅部D1〜D8でセルC1〜C8の端子電圧Vc1〜Vc8をそれぞれ検出するようにした。1つのセルの電圧を1つの差動増幅部で検出するので、2つの差動増幅部で検出する場合に比べてコストを低減することができる。
(2)セルコントローラC/C1における故障診断時に、セル電圧検出スイッチSWa1〜SWa8をオフするとともに、セル基準電圧源スイッチSWcおよび容量調整回路スイッチSWb1〜SWb8をオン(ステップS530)して診断用基準電圧部Vsから出力される30Vの電圧を容量調整回路E1〜E8に印加する。このとき、差動増幅部D1〜D8のそれぞれで30/8=3.75Vの電圧を検出し(ステップS540)、3.75Vから0.15V以上異なる電圧が検出される場合に当該差動増幅部の故障を判断する(ステップS550)ようにした。したがって、2つの差動増幅部で電圧を検出し、2つの検出電圧値が異なる場合に2つの差動増幅部のいずれかの故障を判断する場合と異なり、どの差動増幅部に故障が生じているかがわかる。
(3)上記(2)の故障診断時に、容量調整回路E1〜E8を用いて30Vの電圧を分圧し、分圧後の3.75Vの電圧を差動増幅部D1〜D8のそれぞれに印加するようにしたので、故障診断時の基準電圧印加のために新たな回路を追加する必要がない。この結果、コストの増加を抑えることができる。
(4)上記(2)において差動増幅部D1〜D8のそれぞれで検出した検出電圧値をセルコントローラC/C1からバッテリコントローラB/Cに通信インターフェイス回路を介して送信し(ステップS560およびS570)、バッテリコントローラB/C側でも検出電圧値が3.75Vから0.15V以上異なるか否かを判断する(ステップS35)ようにした。したがって、セルコントローラC/C1側マイコンCPUの判断結果とバッテリコントローラB/C側のマイコンCPUの判断結果とに基づいて、■正常を判断(ステップS65)、■セルコントローラC/C1のマイコンCPU故障を判断(ステップS60)、■セルコントローラC/C1とバッテリコントローラB/C間のシリアル通信異常を判断、■セルコントローラC/C1の電圧検出回路の故障を判断(ステップS75)できるから、故障原因の切り分けを行うことができる。この結果、故障発生時に復旧作業がやりやすくなる。
(5)セルコントローラC/C1の電源オフ時にセル電圧検出スイッチSWa1〜SWa8をオフするようにしたので、セル電圧を検出する回路にセルC1〜C8から暗電流が流れない。この結果、無駄な電力消費を抑えるとともに、暗電流によて生じる各セル間の容量のばらつきを減少させることができる。
【0039】以上の説明では、電気自動車を例にあげて説明したが、エンジンとモータとを搭載したハイブリッド車両(HEV)にも本発明を提供することができる。
【0040】セルコントローラC/C1のマイコンCPU、およびバッテリコントローラB/CのマイコンCPUは、あらかじめ与えられている基準電圧値Vo(3.75V)に対して0.15V以上の差異で診断用のセル基準電圧が検出されると異常と判断するようにしたが、上述した電圧値は説明に用いた値でなくてもよい。すなわち、基準電圧値Voを5Vにしてもよいし、0.15Vを1Vにしてもよい。基準電圧値Voを5Vにする場合は、診断用基準電圧部Vsから出力される電圧を40Vにすればよい。
【0041】特許請求の範囲における各構成要素と、発明の実施の形態における各構成要素との対応について説明すると、セルC1〜40が単位電池に、差動増幅部D1〜D8が電圧検出回路に、セル電圧検出スイッチSWa1〜SWa8が第1のスイッチ回路に、診断用基準電圧部Vsが電圧発生回路に、セル基準電圧源スイッチSWcが第2のスイッチ回路に、過充電が充電状態に、セルコントローラC/C1〜C/C5のマイコンCPUが診断装置および第1の診断装置に、容量調整回路E1〜E8が容量調整回路に、バッテリコントローラB/CのマイコンCPUが第2の診断装置に、通信インターフェイス回路が通信回路に、それぞれ対応する。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成12年12月28日(2000.12.28)
【代理人】 【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
【公開番号】 特開2002−199510(P2002−199510A)
【公開日】 平成14年7月12日(2002.7.12)
【出願番号】 特願2000−400991(P2000−400991)