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【発明の名称】 電気自動車の駆動装置
【発明者】 【氏名】清水 浩

【要約】 【課題】停止中にサイドブレーキの他にもう1つのロック機構を取付け、停止機能を強化した電気自動車の駆動機構を提供する。

【解決手段】電気自動車の駆動装置において、インホイールモータ方式に用いられるモータの回転軸に、回転を止めるロック機構600を係脱可能に設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 インホイールモータ方式に用いられるモータの回転軸に、回転を止めるロック機構を係脱可能に設けたことを特徴とする電気自動車の駆動装置。
【請求項2】 請求項1記載の電気自動車の駆動装置において、前記回転軸に係合溝を形成すると共に、前記係合溝に係合する係止体を前記回転軸に回転可能且つ前進および後進可能に遊嵌したことを特徴とする電気自動車の駆動装置。
【請求項3】 請求項1又は2記載の電気自動車の駆動装置において、前記ロック機構を、電磁駆動される中空第1筒体、該中空第1筒体に遊嵌する中空第2筒体、該中空第2筒体を前記中空第1筒体に回転可能且つ後進可能に突起と案内溝で関係付け、前記中空第1筒体の中空部に前記回転軸を遊嵌したことを特徴とする電気自動車の駆動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車の駆動装置に係り、特にその駆動装置の一部を構成するブレーキ装置に関するものである。
【0002】図8に示すように、電気自動車とは、電動機101の駆動力のみを用いて走行が可能な車であり、その電動機101に供給する電力源として、二次電池(バッテリー)を用いるものを狭義の電気自動車A、エンジン発電機を用いるものをシリーズハイブリッド車B、燃料電池を用いるものを燃料電池車Cと呼ぶことにする。なお、図8において、102は車輪、103はコントローラ、104は二次電池、201はエンジン、202は発電機、301は水素供給源、302は燃料電池である。
【0003】このように、電気自動車とは、回転式電気電動機の駆動力のみを用いて走行が可能な車であり、その電気電動機に供給する電力源として、二次電池、燃料電池、内燃機関を用いた発電機、太陽電池等およびこれらを組み合わせたものを使用した車と定義する。ただし、以下の説明では、二次電池のみを用いた電気自動車を念頭におくが、燃料電池、内燃機関発電機、太陽電池を電力源とする車も当然に含まれる。
【0004】
【従来の技術】従来の電気自動車用の駆動機構の詳細を、図7を参照して説明する。
【0005】この駆動機構100は、モータ200と、減速歯車機構300とブレーキ400を組み合わせて一体のユニット機構としたものであり、タイヤ500が装着される。
【0006】モータ200は永久磁石式交流モータである。このモータ200のケーシング210は、アウターフレーム211とインナーフレーム212と端リング213と端板214とで構成されている。アウターフレーム211は円筒状となっており図中右側部にブラケット部211aを有している。インナーフレーム212はアウターフレーム211の内側に同心状に配置された円筒状部材であり図中右側部にブラケット部212aを有している。そしてブラケット部211aとブラケット部212aがボルト結合されることにより、アウターフレーム211とインナーフレーム212が連結されている。アウターフレーム211の左端面には端リング213がボルト付され、この端リング213には端板214がボルト付されている。
【0007】アウターフレーム211の内周面には、固定子鉄心221及びコイル222で形成した固定子220が取り付けられている。また、インナーフレーム212の外周面にはモータベアリング230を介して円筒状の回転子240が回転自在に取り付けられている。回転子240は回転子鉄心241及び永久磁石242により形成されている。
【0008】モータ200のコイル222にはケーブル280を通じて交流電流が供給され、回転速度検出器260で検出した回転速度信号はケーブル281を介して出力される。
【0009】なお、アウターフレーム211に形成した支持リング290,291がサスペンションの支点に連結されて、この駆動機構100が電気自動車のシャーシへ取り付けられる。
【0010】減速歯車機構300は遊星歯車機構で構成されており、シャフト270の回転を減速してホイール軸410に伝える。この場合、減速歯車機構300のキャリア301は、ホイール軸410にセレーション結合しており、ホイール軸410の軸方向移動を許容しつつ回転力を伝えるようにしている。更に、図7の例では、減速歯車機構300の外径の寸法は、回転子240の内周径よりも大きくなっている。またホイール軸410が貫通しているホイール軸管411は、ブラケット部211a,212aに固定されている。
【0011】そして、モータ200とブレーキ400との連結部分の空スペース、具体的にはインナーフレーム212のブラケット部212aとホイール軸管411とで囲むスペースに、前記減速歯車機構300を配置するようにしている。更にシャフト270の端面とホイール軸410との端面はピボット412によりピボット支持されている。
【0012】ブレーキ400はドラムを用いた液圧ブレーキである。即ち、ホイール軸410にはホイールハブ420がボルト付され、このホイールハブ420にはブレーキドラム430がボルト付されている。またホイール軸管411とホイールハブ420との間にはハブベアリング440が介装されている。
【0013】このブレーキ400ではブレーキペダルが踏まれて液圧が高くなると、ホイールシリンダ401の作用によりブレーキシュー402が押し広げられてブレーキドラム430に接触し、ブレーキが作用する。
【0014】タイヤ500はディスクホイール505のリム510に取り付けられている。このリム510はディスクホイール505の車輪円板を介してブレーキドラム430に連結されている。
【0015】上記構成となっている駆動機構100では、モータ200が駆動して回転子240が回転すると、この回転は回転ブロック250及びシャフト270に伝わり、減速歯車機構300で減速されてホイール軸410に伝わる。このためホイール軸410に連結されたタイヤ500及びブレーキドラム430が回転し、これにより電気自動車が走行する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の電気自動車の駆動機構では、車輪の内部にモータおよび減速機構からなる駆動装置を挿入した、いわゆるインホイールモータ方式の駆動装置であって、停車中に車両を停止状態にしておくための装置としては機械式ブレーキに組み込まれたサイドブレーキしか取り付けられていなかった。この種のサイドブレーキは、車両停止状態に維持するためのワイヤーがしばしば緩み、制動力が弱くなったり、凍結時には作動不良になったりすることがあった。
【0017】本発明は、上記問題点を除去し、停止中にサイドブレーキの他にもう1つのロック機構を取付け、停止機能を強化した電気自動車の駆動装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、〔1〕電気自動車の駆動装置において、インホイールモータ方式に用いられるモータの回転軸に、回転を止めるロック機構を係脱可能に設けるようにした。
【0019】〔2〕上記〔1〕記載の電気自動車の駆動装置において、前記回転軸に係合溝を形成すると共に、前記係合溝に係合する係止体を前記回転軸に回転可能且つ前進および後進可能に遊嵌するようにした。
【0020】〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載の電気自動車の駆動装置において、前記ロック機構を、電磁駆動される中空第1筒体、この中空第1筒体に遊嵌する中空第2筒体、この中空第2筒体を前記中空第1筒体に回転可能且つ後進可能に突起と案内溝で関係付け、前記中空第1筒体の中空部に前記回転軸を遊嵌するようにした。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0022】図1は本発明の実施例を示す電気自動車用の駆動機構の構成図である。なお、図7の駆動装置と同じ部分には同じ符号を付してそれらの説明は省略する。
【0023】この実施例は、上記した従来の図7に示される駆動装置100を改良して、ロック機構600を配置した点に特徴がある。
【0024】回転子鉄心241には回転ブロック250がボルト付けされ、回転ブロック250の左端にはロック機構600が設けられ、回転ブロック250の右部にはシャフト270がセレーション結合されている。
【0025】このロック機構600は、ケーブルの配管を兼ねる支持フレーム601により端板214に固定されている。その固定はブッシュ602により行われる。また、ブッシュ602はケーブルのケーブル端子603の引き出しも行う。なお、ここでは、図7に示す回転速度検出器は、図示しないが別の箇所に配置するものとする。
【0026】この実施形態のロック機構600は、図2に示すように、係止機構10と、電磁プランジャ30とからなる。係止機構10は、中空第1筒体15、中空第2筒体11、コイルバネ14、中空第1筒体15に設けた突起12、この突起12が遊嵌する中空第2筒体11の内面に形成される案内溝13、中空第2筒体11の端面に設けた係合溝(図示なし)に嵌挿する係止体17、中空第1筒体15の端面に設けたシャフト16とからなる。
【0027】中空第1筒体15は、中空内面が円筒状になっている。この中空第1筒体15の中空円筒部には、後述する回転ブロックの案内軸20またはシャフト21の案内部が回転自在に遊嵌される。シャフト16は、中空第1筒体15の端面に連設されていて、コイルバネ14の抜け止めの作用も奏する。中空第2筒体11は、中空第1筒体15と同じ中空内面が円筒状になっていて、中空第1筒体15に対して摺動自在で遊嵌可能な関係になっている。
【0028】コイルバネ14は中空第1筒体15の外周に遊嵌され、シャフト16の端面と中空第2筒体11の端面との間を伸長する作用を奏する。中空第2筒体11には、その円筒外面から内面まで開口した案内溝13が筒体の長さ方向に対して斜めに設けられている。中空第2筒体11には、他端に係止体17が設けられている。この係止体17は、後述する回転ブロックの軸部20に形成した係合溝22に対応した形状をしている。この実施態様の場合は、断面長方形の柱状をした係止体17が遊嵌するように係合溝22が形成されている。
【0029】この係止機構10について、図2の裁断線Aから矢印方向に破断した断面図を図5(A)に示す。同じく、図2の裁断線Bから矢印方向に破断した断面図を図5(B)に、図2の裁断線Cから矢印方向に破断した断面図を図5(C)に、それぞれ示す。
【0030】また、図6は係止機構のシャフトの操作を電気的に行う実施例を示すもので、この実施の態様は電磁プランジャを示す。
【0031】電磁プランジャ30は、電磁コイル31、棒状永久磁石32、ストッパー33、軟磁性体または永久磁石からなり、状態の記憶作用を奏する保持体34、ヨーク35とからなり、ヨーク35の中空スロットルに棒状永久磁石32を左右摺動自在に設けてある。
【0032】図6(a)は電磁プランジャの吸引状態を示し、ヨーク35と磁石32の各極が吸引状態となる。この状態で励磁入力を零としても磁石32はヨーク35の鉄心に吸着し、状態を保持する。図6(b)は電磁プランジャの反発状態を示すもので、ヨーク35と磁石32の各極が反発し、磁石32は保持体34に接することになる。この状態で励磁入力を零としても磁石32と保持体34とが吸着し、状態を保持することになる。
【0033】図3は本発明の実施例を示すロック機構を装着する回転軸の構成図であり、図4は破断線Dから矢印方向に破断した断面図である。
【0034】回転ブロック250の1端部の軸部20には、図3および図4に示すように、その円周方向に離して係合溝22が複数、軸21の長さ方向に沿うように、設けられている。係合溝22の長さは、係止機構10の係止体17の長さに対応するように形成されている。この軸部20の先端側には、この軸部20の径より細い径の案内軸21が突設されている。案内軸21の径は、前記係止機構10の中空第1筒体15の内側中空筒に遊嵌する径に形成されている。
【0035】他の軸部の実施態様として、例えば、減速歯車機構300の前後のシャフト270またはホイール軸410を軸部とする態様も実施可能である。シャフト270の場合、シャフト270の一部に太径部と細径部を連接し、太径部をシャフト270そのものとし、細径部を図3に示すように連続して形成し、細径部に係止機構10の中空第1筒体15の中空内筒部を遊嵌し、係止機構10の係止体17に対応する係合溝を図4に示すような対称的な配置で複数長さ方向に沿って形成する。
【0036】シャフト270における係止機構10の組込は、シャフトの組込の初期に予め先行して行っておく。ホイール軸410の場合もシャフト270と同様に組込の初期に行っておく。軸部をシャフト270またはホイール軸410とするときは、係止機構10および電磁プランジャ30の組込に適合するように空間を確保する。
【0037】(動作態様)
(a)非ロック時回転ブロック250の端部に設けた案内軸21が中空第1筒体15の中空内筒部に遊嵌し、係止体17が係合溝22の端部手前にある状態。この状態では、電磁プランジャ30は、図6(a)に示す状態にある。即ち、電磁コイル31の励磁の向きは、棒状永久磁石32の各磁極を吸引するように励磁される。一旦励磁したあと、励磁電流をゼロにしても、棒状永久磁石32の磁極とヨーク35との磁気吸着力によりこの状態を保持する。
【0038】(b)ロック時図6(a)の状態から、電磁プランジャ30の電磁コイル31の励磁電流の向きを図6(b)に示すように切り換えると、電磁コイル31の発生磁界が逆になって、棒状永久磁石32の各磁極に対し反発力が発生して棒状永久磁石32をその先端が保持体34に当接する位置まで押し出す。この状態で励磁電流をゼロにしても、棒状永久磁石32と保持体34が吸着してこの状態を保持する。
【0039】シャフト16が押し出されるとき、図2の状態のまま係止体17も押し出され、初期段階で、まず係止体17が軸部20の案内軸21に連なる端面に当接する。このとき、係止体17と係合溝22が一致すれば、押し出し動作に追従して両者が確実に嵌合し、ロック状態を形成する。一致しないとき、シャフト16の押し出し動作に追従してコイルバネ14を圧縮しながら、中空第1筒体15が押し出される。これに連動して、突起12が押し出され、突起12に対して案内溝13が円運動で移動し、結果として中空第1筒体15に対して中空第2筒体11が回転しながら押し戻され、係止体17が軸部20の案内軸21に連なる端面に当接しながら円運動をすることになる。係合溝22は複数設けてあるので係止体17が円運動をすれば、どこかで必ず係合溝22に係合する。この結果、ロック状態となり、保持できる。
【0040】(c)再度非ロック時図6(b)の状態から、電磁コイル31の励磁電流の向きを図6(a)と同じ向きに換えると、棒状永久磁石32と保持体34との吸着力に抗して電磁コイル31と棒状永久磁石32との吸着力が大きくなり、棒状永久磁石32はヨーク35側に吸着される。このようにして、サイクリックにシャフト16を押し引き駆動できる。この結果、係止体17と係合溝22との係合を解除して、図6(a)の初期状態に復帰させることができる。
【0041】電磁コイル31への励磁電流のON、OFFは、運転席に設けた操作スイッチにより行う。
【0042】なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0043】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明によれば、インホイールモータ方式に用いられるモータの回転軸または変速ギヤに取り出し軸に停止中に自由な回転を止めるためのロック機構を設けたので、車両を確実に停止状態に止めることができる。また、駆動源であるモータの軸に直接ロック機構を設けたので、ロック作用がより確実になる。
【出願人】 【識別番号】396020800
【氏名又は名称】科学技術振興事業団
【出願日】 平成12年12月12日(2000.12.12)
【代理人】 【識別番号】100089635
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 守
【公開番号】 特開2002−186115(P2002−186115A)
【公開日】 平成14年6月28日(2002.6.28)
【出願番号】 特願2000−377726(P2000−377726)