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【発明の名称】 ハイブリッド電気自動車のエネルギー制御方法
【発明者】 【氏名】アンソニー マーク フィリップス

【氏名】ジョン リチャード ブランケンシップ

【氏名】キャサリン エレン ベーリー

【氏名】ミロスラバ ジャンコビック

【要約】 【課題】最適な充電状態でバッテリーを動作させると共に、ドライバーに充電/放電状態の移行を認識させない様にする。

【解決手段】ハイブリッド電気自動車のためのエネルギー制御方法10が、放電モード及び充電モードでの動作を制御する。制御方法10は12で、バッテリーが充電されるべき際の電力レベルの値を設定する。電力レベルは14で、電気モーターへ伝えられるべきトルク命令を計算するのに用いられる。本発明の方法10は、速度の上側及び下側の速度限界値により仕切られた電気モーターの動作についての移行領域22を設定する。本発明によれば、移行領域22の前、その中そしてその後で、電力レベル、所定の限界値及び境界値の関数である数式を適用することにより、目標トルクが計算される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン、モーター及び、充電状態と放電状態で動作するバッテリーを持つ、パラレル式ハイブリッド電気自動車のための車両システム制御器で用いられるエネルギー制御方法であって、モーター速度の計側値、エンジン・アイドル速度及びバッテリー充電状態を入力する工程、上記バッテリーが放電されるべき際の電力レベルを表す値BLEED_CMDを設定する工程、該値BLEED_CMDに基き上記モーターへ伝えられるべきトルク命令TQ_SA_BCを計算する工程、及び該トルク命令TQ_SA_BCを上記モーターへ伝える工程、を有する制御方法。
【請求項2】 上記伝えられるべきトルク命令を計算する工程は、上記伝えられるべきトルク命令を一定値に設定する工程を更に有する、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】 上記伝えられるべきトルク命令の値を計算する工程は、上記伝えられるべきトルク命令を変数値に設定する工程を更に有する、請求項1に記載の制御方法。
【請求項4】 上記電力レベルを表す値を設定する工程は、放電状態についての所定の境界値を持つ放電状態の一定電力レベルを決定する工程を更に有し、上記バッテリーの充電状態が放電状態についての所定の境界値に等しいとき、上記放電状態についての電力レベルがゼロであり、上記バッテリーの充電状態が上記所定の境界値を越えているとき、上記放電状態についての電力レベルが上記一定電力レベルから離間しており、そして上記バッテリーの充電状態が所定の最大値であるとき、上記放電状態についての電力レベルが上記一定電力レベルに等しい、請求項1に記載の制御方法。
【請求項5】 上記エンジン・アイドル速度に基き校正された速度限界値を計算する工程を、更に有する請求項1に記載の制御方法。
【請求項6】 上記校正速度限界値を計算する工程は、下側速度限界値を計算する工程、及び上側速度限界値を計算する工程、を更に有する、請求項5に記載の制御方法。
【請求項7】 所定の一定トルク・レベルを決定する工程、放電状態について、所定の上側境界値と所定の下側境界値を持つ変動トルク・レベルを決定する工程、BLEED_RPM_LLとして規定される放電状態についての下側速度限界値を計算する工程、及びBLEED_RPM_ULとして規定される放電状態についての上側速度限界値を計算する工程、を更に有する、請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】 上記放電状態についての下側速度限界値と上側速度限界値を計算する工程は、上記BLEED_RPM_LLを、BLEED_DELTA_LLとして規定されるエンジン・アイドル速度と所定の値との合計に等しく設定する工程、及び上記BLEED_RPM_ULを、BLEED_DELTA_ULとして規定される上記BLEED_RPM_LLと所定の値との合計に等しく設定する工程、を更に有する、請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】 上記モーターへ伝えられるべきトルク命令を計算する工程は、モーター速度が上記放電状態についての上側速度限界値よりも大きくなる時点を判断する工程を更に有し、そして上記モーターへ伝えられるべきトルク命令を計算する工程は、放電状態についてのモーター速度で上記BLEED_CMDを除算する工程を更に有する、請求項7に記載の制御方法。
【請求項10】 上記モーターへ伝えられるべきトルク命令を計算する工程は、モーター速度が上記放電状態についての下側速度限界値未満となる時期を判断する工程を更に有し、上記モーターへ伝えられるべきトルク命令を計算する工程は、モーター速度でBLEED_CMDを除した値と、放電状態での低いモーター速度についてのモーター・トルクの所定の値との最小値に等しく設定する工程、を更に有する、請求項7に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、概略的にはハイブリッド電気自動車のエネルギー制御システムに関し、より具体的には、パラレル式ハイブリッド電気自動車の放電状態と充電状態において電気モーターとエンジンを制御するシステム及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハイブリッド電気自動車は、何らかの形態で別の動力源と共に利用される少なくとも一つの電気モーターからなる推進システムを持つ。別の動力源としては、ガソリン・エンジン又はディーゼル・エンジンである場合が最も多い。
【0003】2つの動力源は、2つの方式すなわちシリーズとパラレルのうちの一つで構成されるのが、一般的である。シリーズ式ハイブリッドにおいて、車輪への駆動力は、完全に電気モーターにより供給される。電気エネルギーがバッテリーに蓄えられ、ドライバーが要求するときにはいつでもモーターに電力を与えるのに用いられる。他の動力源であるエンジンは、必要とされる分の電力を電気モーターに供給するのに適切なレベルにバッテリーに蓄えられるエネルギーのレベルを維持するのに用いられる。シリーズ式ハイブリッドにおいて、エンジンはドライバーの要求に基いて直接の動力を車輪に与えるためには用いられない。エンジンからのエネルギーは、バッテリーに蓄えられ、そこで、電気モーターにより、車輪を推進するために用いられる。
【0004】パラレル式ハイブリッドにおいては、エンジンとモーターの両方を車輪に直接結合することが出来るので、両方の動力源が、独立して、動力を車両に与えることが出来る。パラレル式ハイブリッドにおいて、エンジンが、シリーズ・ハイブリッドにおけるのと同じ様に、モーターへ電力を供給するバッテリーを充電するために、用いられることもあることに、留意すべきである。
【0005】パラレル式ハイブリッドの中には、エンジンからのトルクを補助するために用いられるときにのみ、モーターが正のトルクを供給する構成を採るものもある。これは、バッテリーから必要とするエネルギーがはるかに小さく、低必要電力(Low Storage Requirement略してLSR)方式と呼ばれる場合が多い。
【0006】バッテリーの充電状態が所望のレベルに制御されている期間においては、放電(bleed)作動と充電(charge)作動の両方がハイブリッド電気自動車に対して行われる。充電状態が所定のレベルよりも高いときに、電気モーターはモータリング状態で動作する様に命令される。これは、過剰の電荷をバッテリーから放出してバッテリーを最適な充電状態に戻すことになる。これが、放電(bleed)状態として知られている。充電状態が予め校正されたレベルよりも低いとき、電気モーターは発電モードで動作する様に命令される。その結果がバッテリーの最適充電レベルへの再充電であり、充電状態として知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、パラレル式ハイブリッド電気自動車の基本的な機能を実現することである。本発明のもう一つの目的は、パラレル式ハイブリッド電気自動車の機能を実現するためのエネルギー制御システムを提供することである。
【0008】本発明の更なる目的は、ハイブリッド電気自動車の放電状態と充電状態を制御する方法を提供することである。本発明のまた更なる目的は、最適な充電状態でバッテリーを動作させるため電気モーターに対してのトルク命令を発生することである。本発明のまだ更なる目的は、充電/放電(CHARGE/BLEED)のハイブリッド動作モードをドライバーから認識されない様にすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上述の目的などを実現するために、電気モーターとエンジンを制御する車両全体システムの制御器のためのコードの一部として、アルゴリズムが提供される。本発明のアルゴリズムは、バッテリーを最適充電レベルで動作させる、電気モーターへのトルク命令を発生する。命令されたトルクを供給するための電気モーター制御の具体的な実現方法は、その用途に特有のものであり、ここで述べることはしない。本発明のアルゴリズムは、電気自動車のドライバーから認識されない態様で、放電状態及び充電状態において電気モーターと内燃機関を作動させるために、電気モーターへトルク値を命令するのに用いられる制御コードの一部である。
【0010】本発明によれば、電気自動車の放電状態を制御するためのアルゴリズムと充電状態を制御するためのアルゴリズムは、本質的に同じである。唯一の違いは、命令されるトルクの符号にある。放電状態は正トルクを持ち、充電状態は負トルクを持つ。
【0011】本発明のアルゴリズムは、バッテリーが充電されるべきか放電されるべきかを判断する際の電力レベルを設定する。次に、このアルゴリズムは、この電力レベルに基き電気モーターへ伝えられるべきトルク命令を計算する。本発明は、このトルク命令が規定されるということと共に、エンジン制御ユニット(engine control unit略してECU)内で電気モーターからのトルクを相殺することにより、充電及び/又は放電中の認識不可能な移行を維持する。それぞれのモーター速度において、認識不可能な移行を達成するために、トルク命令を設定するために校正された限界値が用いられる。
【0012】本発明の他の目的等は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を読むことにより、そして添付の図面を参照することにより、明らかとなる。
【0013】本発明のより完全な理解のために、添付の図面により詳細に図示され、本発明の例を用いて後述される発明の実施の形態が、参照されるべきである。
【0014】
【発明の実施の形態】ハイブリッド電気自動車の充電及び放電状態のための、本発明のアルゴリズム10のフローチャートである。本発明は、充電状態と放電状態の両方に適用可能で、パラレル式ハイブリッド電気自動車にとり最適な充電レベルでバッテリーを動作させる電気モーターへのトルク命令を発生する、エネルギー管理システムを提供するものである。更に、本発明は、充電及び放電状態を車両のドライバーに認識不可能なものとするために、エンジンへのトルク命令を発生する。
【0015】充電状態において、充電レベルが予め校正されたレベルよりも低い。それで、電気モーターは、発電状態で動作し、バッテリーを最適充電レベルまで再充電する様に、命令される。放電状態においては、充電レベルが予め校正されたレベルよりも高い。それで、電気モーターは、モータリング・モードで動作し、バッテリーを放電させて、それを最適充電レベルへ戻す様に命令される。
【0016】アルゴリズム10には、ステップ11で、モーター速度(SA_SPEED)、エンジンのアイドル回転数(Engine_Idle_Speed)及びバッテリーの充電状態(SOC)が入力される。アルゴリズムは、ステップ12で、バッテリーが充電されるべきときの電力レベルをワットで表示した値を設定する。この例におけるこの値は、充電状態においてはCHARGE_CMDであり、放電状態においてはBLEED_CMDである。この電力レベルは、一定であっても、一つ以上のシステム変数の関数であっても良い。
【0017】一定の電力レベル又は変数の電力レベルのいずれが用いられるべきかということは、バッテリーの充電又は放電に最適な方法に応じて決まる。電気モーター毎に定まる種々の要素に基き当業者が決めることが可能である最適な方法には、多くの変形例がある。
【0018】この例において、充電状態に関して言えば、CHARGE_CMDは推定される充電レベルに依存する。充電状態の間、充電レベルSOCは、所定の値に校正されるON境界値SOC_CHARGE_ONとOFF境界値SOC_CHARGE_OFFを持つ。CHARGE_CMDの値はまた、充電状態での電気モーターの最大動力により制限される。この例において、この最大電力限界値をCHARGE_MAXと呼ぶ。それで、本発明によれば、CHARGE_CMDが、図3において符号38で示される、最大電力限界値CHARGE_MAXと、式(1)により表され充電レベル境界値により定まる最大電力限界値の比との最小値として、規定される。
CHARGE_MAX/(SOC_CHARGE_ON-SOC_CHARGE_OFF)*(SOC-SOC_CHARGE_OFF) (1)【0019】それで、バッテリーの充電レベルが、上側充電レベル境界値に等しいときに、CHARGE_CMDが一定のCHARGE_MAXに等しいことは明らかである。バッテリーの充電レベルが、充電レベルの下側境界値に等しいときに、CHARGE_CMDはゼロである。中間では、CHARGE_CMDは変数である。
【0020】放電状態に関して言うと、BLEED_CMDがまた、放電状態がもはや必要ではないときの、境界値を持つ。この境界値を、この例において、SOC_BLEED_OFFと呼ぶ。充電状態におけるのと同じ様に、この境界値は校正される。BLEED_CMDの値は、放電中の電気モーターの最大動力により制限される。この例では、この最大動力の値をBLEED_MAXと呼ぶ。BLEED_CMDの値は、BLEED_MAXと100%の充電レベルとの比から設定される。この比は、BLEED_CMDをキロワットを単位として設定するのに、用いられる。充電状態が最適値に近付くにつれて、この比は、放電状態で動作する必要が無くなるまで、ゼロに近付いて行く。下記の式(2)がBLEED_CMDを表しており、それはまた、図3において符号42で示されている。
BLEED_CMD=[BLEED_MAX/(100-SOC_BLEED_OFF)]*(SOC-SOC_BLEED_OFF) (2)【0021】それで、バッテリーが100%充電されているとき、BLEED_CMDは一定でありBLEED_MAXに等しい。バッテリーの充電レベルが100%以下の何れかの値であるとき、BLEED_CMDは変数である。バッテリーの充電レベルが境界値に等しいとき、BLEED_CMDはゼロである。
【0022】CHARGE_CMDそして同様にBLEED_CMDは、バッテリーを充電又は放電させるのに要求される電力レベルに対応する。それで、電気モーターへのトルク命令は、この電力レベルから計算することが出来る。再度図1を参照すると、本発明は、ステップ14において、設定された動力レベルに基き電気モーターへ伝えられるべきトルク命令を計算する。計算されたトルク命令が、ステップ16において、電気モーターへ送られる。本発明の別の実施形態においては、計算されたトルク命令が、ステップ18において、エンジンに送られ、そのトルク命令は、モーターに加えられる変化を相殺し、充電/放電状態をドライバーに認識出来ないもととするために、絶対値は等しいが符号が逆になっている。
【0023】この例において、トルク命令をTQ_SA_BCと呼ぶ。この計算値は、この例でSA_SPEEDと呼ぶモーター速度に依存したものである。本発明によれば、充電状態及び放電状態についての上側及び下側モーター速度限界値が、予め定められ、目標トルク命令TQ_SA_DESの計算で用いられる。
【0024】モーター速度SA_SPEEDは、充電状態についての所定の下側限界値CHARGE_RPM_LL及び放電状態についての所定の下側限界値BLEED_RPM_LLを持つ。所定の上側限界値は、充電状態についてはCHARGE_RPM_ULであり、放電状態についてはBLEED_RPM_ULである。所定のモーター速度限界値は、目標トルク命令を決定するのに使用される計算のための境界値を規定する、作動状態それぞれについてのモーター速度の区切りを表したものである。
【0025】所定の上側限界値より上のモーター速度に関して言うと、目標トルクは、式(3)又は(4)に示される様に、動力レベルCHARGE_CMD又はBLEED_CMDをモーター速度SA_SPEEDにより除すことにより、計算される。
TQ_SA_BC = CHARGE_CMD/SA_SPEED (3)TQ_SA_BC = BLEED_CMD/SA_SPEED (4)【0026】所定の上側限界値より上の速度についての目標トルクの計算から明らかな様に、速度が低くなると、より高いトルク命令がなされる。しかしながら、内燃機関は通常、高い値のトルクを低回転で発生することが出来ない。それで、低回転でのモーターへの命令トルクは、制限されなければならない。また、充電状態及び放電状態での電気モーターからのトルクは、充電状態又は放電状態への移行が車両のドライバーに認識不可能なままである様に、車両用エンジン制御ユニット内で相殺されなければならない。また、電気モーターは低回転で効率的でないのが一般的であるので、低回転でトルク命令を制限する必要がある。
【0027】本発明において、低回転時のモーター・トルク命令の制限された値を、LOW_RPM_CHARGE_TQ又はLOW_RPM_BLEED_TQと呼ぶ。この制限された値は、使用される電気モーターに応じて校正される所定の境界値である。この制限された値は、所定の下側モーター速度限界値CHARGE_RPM_LL又はBLEED_RPM_LLよりも低いモーター速度についての目標トルクTQ_SA_DESを計算するのに用いられる。
【0028】エンジンのアイドル速度モードへの及びそこからの移行をドライバーに認知されない様にするために、本発明のアルゴリズムは、アイドル・モードでの低いモーター速度及びアイドルを越えた速度域について、モーターのトルク命令を発する。このアイドルを越えた速度域は、この例においては、境界値CHARGE_RPM_LL及びCHARGE_RPM_UL又はBLEED_RPM_LL及びBLEED_RPM_ULにより規定される。これらの境界値が、車両のドライバーから認識されるべきではない過渡期を規定する。本発明は、過渡期のエンジン及びモーターの変動を抑制する様に設計された所定の関数を、規定する。
【0029】上述の様に、上下の境界値(CHARGE_RPM_LL, CHARGE_RPM_UL, BLEED_RPM_LL及びBLEED_RPM_UL)は、エンジンの動作の区切点を表すモーター速度である。移行のための境界値を決定するために、エンジンのアイドル速度からの所定の差を規定する校正された値を用いることにより、上記区切点を計算することが出来る。この例においては、これらの差をCHARGE_DELTA_LL及びBLEED_DELTA_LLと称し、そして、これらは校正が可能であるので、低速でのトルクから目標トルクへの移行が始まる際の速度をテスト・エンジニアが選択するのが可能である。
【0030】充電状態に関して言えば、移行の際の下側及び上側限界値は、以下の式(5)及び(6)により与えられる。
CHARGE_RPM_LL=Engine_Idle_Speed+CHARGE_DELTA_LL (5)CHARGE_RPM_UL=CHARGE_RPM_LL+CHARGE_DELTA_UL (6)放電状態に関して言えば、下側及び上側限界値は、以下の式(7)及び(8)により与えられる。
BLEED_RPM_LL=Engine_Idle_Speed+BLEED_DELTA_LL (7)BLEED_RPM_UL=BLEED_RPM_LL+BLEED_DELTA_UL (8)【0031】図2は、本発明のアルゴリズムで用いられる目標トルク関数を表したグラフである。図2に示されているのは、y軸の目標トルクTQ_SA_DESとx軸のモーター速度SA_SPEEDのグラフ20である。グラフ20は、放電状態についてのトルクを表している。Engine_Idle_Speed中のLOW_RPM_BLEED_TQにおいてグラフの線は、下側限界値BLEED_RPM_LLに到達するまで一定のままである。その点において、低回転から高回転への移行が起こり、目標トルクの値が上述の様に計算される。移行領域は、グラフ20上の符号22により特定されている。上側限界値BLEED_RPM_ULに到達した後で、目標トルクがBLEED_CMD/SA_SPEEDとして計算される。
【0032】移行領域は、図2に示されこの例に関して後述される様な線形である必要はない。この領域は、多くの異なる関数により表すことが出来、関数全てをここで述べるには多すぎる。当業者であれば、移行領域での目標モーター速度を表す関数を決定することが出来る。
【0033】この例において、移行領域における目標トルクの値は、式(9)と式(10)との最大値として規定される。
−(CHARGE_CMD/(CHARGE_RPM_UL)-LOW_RPM_CHARGE_TQ)*(SA_SPEED-CHARGE_RPM_LL)/(CHARGE_RPM_UL-CHARGE_RPM_LL)+LOW_RPM_CHARGE_TQ (9)−CHARGE_CMD/(SA_SPEED) (10)【0034】移行領域における目標トルクの値は、式(11)と式(12)との最小値として規定される。
(BLEED_CMD/(BLEED_RPM_UL)-LOW_RPM_BLEED_TQ)*(SA_SPEED-BLEED_RPM_LL)/(BLEED_RPM_UL-BLEED_RPM_LL)+LOW_RPM_BLEED_TQ (11)BLEED_CMD/(SA_SPEED) (12)【0035】図3に示されるのは、本発明の好ましい実施形態による、充電状態と放電状態についての本発明のアルゴリズムの詳細を示す表30である。欄32が表しているのは、充電状態CHARGE 34又は放電状態BLEED 36となるエンジンの状態である。欄37は、アルゴリズムの出力を表している。
【0036】充電(CHARGE)状態について、38でCHARGE_CMDが計算される。次に40で、アルゴリズムは、モーター速度SA_SPEEDとモーター・トルク命令の下側限界値CHARGE_RPM_LLとの間の関係に基き目標トルクを計算する。モーター速度が下側限界値未満であるとき、目標トルクが、低モーター速度及びアイドル速度についてのモーター・トルク命令の値と、−CHARGE_CMD/SA_SPEEDにより計算される目標トルクとの最大値として、計算される。
【0037】モーター速度がモーター・トルク命令の下側限界値よりも大きいとき、目標トルクが−CHARGE_CMD/SA_SPEEDとして計算される。
【0038】他の全ての状況において、モーターは移行状態にあり、移行領域についての数式は、式(9)及び(10)を参照して上述された様に適用される。モーター速度が充電状態についての境界の限界値に等しいとき、目標トルクは−CHARGE_CMD/SA_SPEEDに等しいことに、留意すべきである。
【0039】放電(BLEED)状態について言えば、42でBLEED_CMDが計算される。次に44で、アルゴリズムは、モーター速度SA_SPEEDとモーター・トルク命令の下側限界値BLEED_RPM_LLとの間の関係に基き目標トルクを計算する。モーター速度がBLEED_RPM_LL未満であるとき、目標トルクは、低モーター速度及びアイドル速度についてのモーター・トルク命令の値と、BLEED_CMD/SA_SPEEDにより計算される目標トルクとの最小値である。
【0040】モーター速度がモータートルク命令の下側限界値よりも大きいとき、目標トルクがBLEED_CMD/SA_SPEEDとして計算される。
【0041】他の全ての状況において、モーターは移行状態にあり、移行領域についての数式は、式(11)及び(12)を参照して上述された様に適用される。
【0042】好ましい実施形態において移行領域について線形で表しているが、それ以外の形態とすることも可能である。代りとなり得る多くの代替案が存在する。しかしながら、上側と下側の境界値は、常に移行領域の限界値を示すことになる。
【0043】本発明は、バッテリーを最適な充電レベルで動作させる電気モーターへのトルク命令を発生することにより、ハイブリッド電気自動車の放電状態と充電状態を制御するものである。本発明によれば、バッテリーが充電されるべきか、放電されるべきかを判断する電力レベルが、計算され、その値が、電気モーターへ伝えられるべきトルク命令を計算するのに用いられる。本発明は、電気モーターからのトルクを相殺することにより、充電及び/又は放電中の移行を、認識出来ないものに保つ。
【0044】本発明の別の実施形態においては、車両システム制御器のコード内に生成される命令が、エンジン制御ユニット内で生成される命令に合致しなければならないのが、普通である。これが、CHARGE/BLEEDモード中のドライバーからの非認識性を維持する。計算されたトルク命令は、車輪トルクを補正してトルク全体を同一に維持し、それによりドライバーに対するCHARGE/BLEEDモードの非認識性を維持する様に、トルクの増大又は減少のいずれかを行なうために送られる。
【0045】本発明は、全ての代替案、変更案そして均等物を、添付の請求項の思想及び範囲に含まれ得る様に、包含する。
【0046】
【発明の効果】以上説明した様に本発明によれば、電気モーターに対してトルク命令を発して、最適な充電状態でバッテリーを動作させることが出来る。また本発明によれば、充電/放電のハイブリッド動作モードをドライバーから認識されない様にすることが出来る。
【出願人】 【識別番号】590002987
【氏名又は名称】フォード・モーター・カンパニー
【出願日】 平成13年10月17日(2001.10.17)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘 (外7名)
【公開番号】 特開2002−186111(P2002−186111A)
【公開日】 平成14年6月28日(2002.6.28)
【出願番号】 特願2001−318927(P2001−318927)