| 【発明の名称】 |
エンジンの回転数調整装置及びハイブリッド動力装置の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】久保 麻巳
【氏名】後藤 健一
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| 【要約】 |
【課題】アイドル時などにモータによりエンジンの回転数調整を行う際に、エンジン回転の振動的な変動に起因するバッテリへのリップル成分の入力によるバッテリの劣化進行を抑制する。
【解決手段】アイドル時において、バッテリの非劣化時には、エンジンの目標回転数と実回転数との偏差に基づくモータ回転数のフィードバック制御(PI制御)により、エンジンを目標回転数に維持する。一方、バッテリの劣化時には、P分ゲインを非劣化時より小さなものに切り換え、モータ回転数のフィードバック応答系の速度を遅くする。バッテリの劣化は、その内部抵抗の大きさから推定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】バッテリを電力源とする電気モータを含んで構成され、該電気モータに連結されたエンジンを目標回転数に調整するエンジンの回転数調整装置であって、前記エンジンの実回転数を検出する実回転数検出手段と、該実回転数検出手段により検出された実回転数と、前記エンジンの目標回転数との偏差に基づいて、該偏差が減少する方向に前記電気モータの制御量をフィードバック制御するフィードバック制御手段と、前記バッテリの劣化時を判定するバッテリ劣化時判定手段と、該バッテリ劣化時判定手段により前記バッテリの劣化時と判定された場合において、前記フィードバック制御手段における前記偏差の変化に対する前記制御量の応答変化を遅くする応答速度可変手段と、を含んで構成されるエンジンの回転数調整装置。 【請求項2】前記バッテリ劣化時判定手段は、前記バッテリの内部抵抗に基づいて前記バッテリの劣化時を判定することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの回転数調整装置。 【請求項3】前記バッテリ劣化時判定手段は、前記エンジンの冷却水温に基づいて判定される劣化検出条件が満たされた場合にのみ、前記バッテリの劣化時を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの回転数調整装置。 【請求項4】前記劣化検出条件は、始動時にエンジン冷却水が所定の低温状態にあり、かつ直前のキーオフ時にエンジン冷却水が所定の高温状態にあったことを含むことを特徴とする請求項3に記載のエンジンの回転数調整装置。 【請求項5】前記フィードバック制御手段が前記エンジンの目標回転数と実回転数との偏差に応じた比例成分を含んで前記電気モータの制御量をフィードバック制御するものである場合において、前記応答速度可変手段は、該比例成分を前記バッテリの非劣化時と比較して小さくすることで、前記制御量の応答変化を遅くすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のエンジンの回転数調整装置。 【請求項6】前記応答速度可変手段は、前記比例成分のゲインを小さくすることを特徴とする請求項5に記載のエンジンの回転数調整装置。 【請求項7】前記応答速度可変手段は、前記実回転数検出手段により検出された実回転数に加重平均処理を施すことを特徴とする請求項5に記載のエンジンの回転数調整装置。 【請求項8】前記目標回転数は、前記エンジンのアイドル運転時の目標アイドル回転数であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のエンジンの回転数調整装置。 【請求項9】前記電気モータは、ハイブリッド車両の動力源を構成するものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のエンジンの回転数調整装置。 【請求項10】エンジンと、該エンジンと連結された、バッテリを電力源とする電気モータとを含んで構成されるハイブリッド動力装置の制御装置であって、前記エンジンの実回転数を検出する実回転数検出手段と、該実回転数検出手段により検出された実回転数と、前記エンジンの目標回転数との偏差に基づいて、該偏差が減少する方向に前記電気モータの制御量をフィードバック制御するフィードバック制御手段と、前記バッテリの劣化時を判定するバッテリ劣化時判定手段と、該バッテリ劣化時判定手段により前記バッテリの劣化時と判定された場合において、前記フィードバック制御手段における前記偏差の変化に対する前記制御量の応答変化を遅くする応答速度可変手段と、を含んで構成されるハイブリッド動力装置の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの回転数調整装置及びハイブリッド動力装置の制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、アイドル時などの一定速運転時においてエンジンを目標回転数に維持するための技術として、エンジンに連結された電気モータの目標トルクを、エンジンの目標回転数と実回転数との乖離量に応じてフィードバック制御し、エンジンの回転速度を調整するものがあるが、このような技術は、近年開発されているハイブリッド車両においても採用されている(特開2000−97070号公報参照)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電気モータの電力源であるバッテリの劣化が進行した状態で上記従来の技術をそのまま採用すると、次のような不具合が生じる。すなわち、電気モータによりエンジン回転を一定に調整しようとすると、電気モータがエンジン回転の振動的な変化を拾った結果として、バッテリに対して振動的な充電電流成分(一般的に正弦波状であり、以下「リップル成分」という。)が入力されることとなる。 【0004】ここで、電気モータの目標トルクを上記乖離量に基づく比例積分(PI)制御などにより設定する場合には、一般的にその比例分ゲインが電気モータの応答性を重視したものとして設定されるため、リップル成分の振幅が大きくなる傾向がある。大振幅のリップル成分がバッテリの劣化に及ぼす悪影響は著しく、バッテリの劣化が進行して、その内部抵抗が増大した場合には、バッテリ電圧の過度な上昇を招き、バッテリの劣化がさらに促進されるという問題が生じる。 【0005】このような実状に鑑み、本発明は、アイドル時などの一定速運転時にエンジンを目標回転数に調整する際に、エンジン回転の変動に起因するバッテリの劣化進行を抑制し、バッテリの延命を図ることを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】このため、請求項1に記載の発明に係るエンジンの回転数調整装置は、バッテリを電力源とする電気モータを含んで構成され、該電気モータに連結されたエンジンを目標回転数に調整するものであって、前記エンジンの実回転数を検出する実回転数検出手段と、該実回転数検出手段により検出された実回転数と、前記エンジンの目標回転数との偏差に基づいて、該偏差が減少する方向に前記電気モータの制御量をフィードバック制御するフィードバック制御手段と、前記バッテリの劣化時を判定するバッテリ劣化時判定手段と、該バッテリ劣化時判定手段により前記バッテリの劣化時と判定された場合において、前記フィードバック制御手段における前記偏差の変化に対する前記制御量の応答変化を遅くする応答速度可変手段と、を含んで構成される。 【0007】請求項2に記載の発明に係るエンジンの回転数調整装置は、前記バッテリ劣化時判定手段が、前記バッテリの内部抵抗に基づいて前記バッテリの劣化時を判定することを特徴とする。請求項3に記載の発明に係るエンジンの回転数調整装置は、前記バッテリ劣化時判定手段が、前記エンジンの冷却水温に基づいて判定される劣化検出条件が満たされた場合にのみ、前記バッテリの劣化時を判定することを特徴とする。 【0008】請求項4に記載の発明に係るエンジンの回転数調整装置は、前記劣化検出条件が、始動時にエンジン冷却水が所定の低温状態にあり、かつ直前のキーオフ時にエンジン冷却水が所定の高温状態にあったことを含むことを特徴とする。請求項5に記載の発明に係るエンジンの回転数調整装置は、前記フィードバック制御手段が前記エンジンの目標回転数と実回転数との偏差に応じた比例成分を含んで前記電気モータの制御量をフィードバック制御するものである場合において、前記応答速度可変手段が、該比例成分を前記バッテリの非劣化時と比較して小さくすることで、前記制御量の応答変化を遅くすることを特徴とする。 【0009】請求項6に記載の発明に係るエンジンの回転数調整装置は、前記応答速度可変手段が、前記比例成分のゲインを小さくすることを特徴とする。請求項7に記載の発明に係るエンジンの回転数調整装置は、前記応答速度可変手段が、前記実回転数検出手段により検出された実回転数に加重平均処理を施すことを特徴とする。 【0010】請求項8に記載の発明に係るエンジンの回転数調整装置は、前記目標回転数が前記エンジンのアイドル運転時の目標アイドル回転数であることを特徴とする。請求項9に記載の発明に係るエンジンの回転数調整装置は、前記電気モータが、ハイブリッド車両の動力源を構成するものであることを特徴とする。請求項10に記載の発明に係るハイブリッド動力装置の制御装置は、エンジンと、該エンジンと連結された、バッテリを電力源とする電気モータとを含んで構成されるハイブリッド動力装置の制御装置であって、前記エンジンの実回転数を検出する実回転数検出手段と、該実回転数検出手段により検出された実回転数と、前記エンジンの目標回転数との偏差に基づいて、該偏差が減少する方向に前記電気モータの制御量をフィードバック制御するフィードバック制御手段と、前記バッテリの劣化時を判定するバッテリ劣化時判定手段と、該バッテリ劣化時判定手段により前記バッテリの劣化時と判定された場合において、前記フィードバック制御手段における前記偏差の変化に対する前記制御量の応答変化を遅くする応答速度可変手段と、を含んで構成される。 【0011】 【発明の効果】請求項1,10に記載の発明によれば、バッテリの劣化時と判定された場合において、一定速運転時にエンジンの回転数調整を行う際に、エンジン回転の変動に対する電気モータの制御応答性が遅くなるので、リップル成分の振幅が小さくなり、バッテリの劣化進行を抑制することが可能となる。 【0012】請求項2に記載の発明によれば、バッテリの劣化時を容易に判定することができる。請求項3に記載の発明によれば、エンジンの冷却水温に基づいて判定される劣化検出条件により、バッテリの劣化時の判定時期を容易に適正化することができる。 【0013】請求項4に記載の発明によれば、バッテリの劣化時を、バッテリが確実に平衡状態にあるときに判定することができる。請求項5に記載の発明によれば、電気モータの制御応答性を容易に遅らせることができる。請求項6,7に記載の発明によれば、電気モータの制御応答性を遅らせるための具体的手段が提供される。 【0014】請求項8に記載の発明によれば、一定速運転時の代表的なものであるアイドル時に、バッテリの劣化進行を抑制することが可能となる。請求項9に記載の発明によれば、ハイブリッド車両の動力源を構成する電気モータの電力源であるバッテリの劣化進行を抑制することが可能となる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両における動力系構成の概略を示している。本ハイブリッド車両では、エンジン1の出力側に、発電機としての機能を兼ね備える電気モータ(モータジェネレータ、以下「M/G」と表記する。)2を直結しており、さらに、M/G2に変速機3を接続している。そして、変速機3の出力側の駆動軸4により、ディファレンシャル5を介して駆動輪側の車軸6が回転されるようにしている。 【0016】ここで、M/G2は、その電力源としての高電圧バッテリ11に、インバータ12を介して接続されている。M/G2は、エンジン1の始動時又は車両の発進時にエンジン1のクランキングを行う始動手段として用いられ、特に、所定のアイドルストップ条件においてエンジン1を自動的に停止させるアイドルストップ装置を備える場合には、アイドルストップ後に、所定のアイドルストップ解除条件によりエンジン1を自動的に再始動するのに用いられる。 【0017】また、減速運転時には、M/G2を発電機として機能させることにより、駆動軸4側からのエネルギーを回生して発電を行い、高電圧バッテリ11の充電のために使用する。図2は、本ハイブリッド車両における電力供給系構成をより詳細に示したものである。図1及び2を参照して説明を進める。 【0018】高電圧バッテリ11は、定格42[V]程度の、M/G2の電力源となる充放電可能な電池電源であって、具体的には、鉛酸バッテリを用いている。高電圧バッテリ11の充電時、すなわち、M/G2から発電電力が得られている状態では、M/G2により発生される3相交流電力が、インバータ12により直流電力に変換され、メインリレー回路13を介して高電圧バッテリ11に供給される。 【0019】一方、放電時には、高電圧バッテリ11の放電電力が、メインリレー回路13及びインバータ12を介して3相交流電力に変換され、M/G2に供給される。低電圧バッテリ14は、エンジン補機負荷を含む車載電気負荷の電力源として一般的に用いられている定格14[V]程度の鉛酸電池であり、その電気エネルギーは、M/G2からインバータ12及びメインリレー回路13を介した後、DC/DCコンバータ15を介して、蓄えられる。 【0020】電子制御ユニット(以下「C/U」という。)21は、クランク角度センサ31、エンジン冷却水温センサ32、アイドルスイッチ33及び車速センサ34などの各種センサから運転状態が入力される他、高電圧バッテリ11の充電電流(又は放電電流)IHを検出する電流センサ41や、高電圧バッテリ11の端子電圧VHを検出する電圧センサ42からの信号が入力される。C/U21は、以上の信号に基づいて、エンジン1及びモータジェネレータ2(さらに、変速機3)を制御する。 【0021】次に、C/U21による制御内容について説明する。C/U21は、キーオンされると、図3に示すフローチャートに従って、バッテリ(特に、高電圧バッテリ11)の劣化時であるか否かを判定する。まず、本ルーチンから説明することとする。C/U21は、まず、ステップ(以下、単に「S」と表記する。)1で、劣化検出条件が成立しているか否かを判定する。劣化検出条件が成立しているときは、高電圧バッテリ11が平衡状態にあることを示す。次に、この具体的な判定方法について説明する。 【0022】本ステップにおいて、C/U21は、エンジン冷却水温センサ32の信号を入力し、現在の水温Tを検出するとともに、記憶装置から直前のキーオフ時に検出された水温Tzを読み込む。そして、現在の水温Tが、所定の低温状態を判定するための閾値Tcより低く(T<Tc)、かつ直前のキーオフ時に検出された水温Tzが、所定の高温状態を判定するための閾値Thより高い(Th<Tz)場合に限り、直前のキーオフから充分に長い時間が経過し、高電圧バッテリ11が平衡状態となったものと判断して劣化検出条件を成立させ、S2へ進む。それ以外の場合には、劣化検出条件を不成立とし、本ルーチンを終了する。 【0023】なお、タイマーを設置して、高電圧バッテリ11が開放された状態で放置された実際の時間を測定するようにしてもよいことは勿論であるが、水温センサ32を用いて判定する方法には、コスト的な利点がある。S2では、高電圧バッテリ11の劣化の進行度合を示すパラメータである劣化度合SOHを検出する。劣化度合SOHは、0〜100[%]の値により劣化の進行度合を示し、全くの非劣化時において(すなわち、新品の状態で)0であり、劣化が進行するほど100に近い値をとる。 【0024】一般的に、バッテリの劣化は、バッテリの性能に関する幾つかの要素に悪影響を及ぼすが、ここでは、バッテリが劣化するとバッテリの内部抵抗が増大するという性質に基づき、高電圧バッテリ11の内部抵抗Rの大きさから、高電圧バッテリ11の劣化度合SOHを検出している。次に、S2の内容を、図4を参照して説明する。 【0025】まず、メインリレー回路13の起動前のS11で、電圧センサ42の信号を基に、高電圧バッテリ11の開放端電圧OCV(Open circuit voltage) を検出する。開放端電圧OCVは、高電圧バッテリ11の起電力に相当するものである。続いて、S12で、メインリレー回路13のスイッチ13aをオンし、S13で、電流センサ41からの信号を基に、高電圧バッテリ11の放電電流IHを検出する。 【0026】S14では、検出精度のバラツキを考慮して、放電特性が安定しているか否かを判定する。具体的には、検出された放電電流IHが、所定の時間以上継続して所定の低電流値以下の値を示したか否かにより判定する。この条件を満たした場合にのみS15へ進み、この条件が満たされないうちは、S13に戻ってさらに放電電流IHを検出し、S14の判定を繰り返す。 【0027】S15では、電圧センサ42からの信号を基に、高電圧バッテリ11の端子電圧VHを検出する。S16では、高電圧バッテリ11の内部抵抗Rを算出する。内部抵抗Rは、検出された開放端電圧OCV、放電電流IH及び端子電圧VHに基づいて、次の充放電特性を表す式(1)により求めることができる。 【0028】VH=OCV−IH×R ・・・(1) なお、実際には、放電電流IH及び端子電圧VHの複数のサンプルデータにより、内部抵抗Rを近似するのが好ましい。また、上式(1)により算出された内部抵抗Rに対して、高電圧バッテリ11の実際の温度や、実際の充電状態SOC(始動時には、起電力、すなわち開放端電圧OCVによって大方推定することができる。)に関する補正を施してもよい。高電圧バッテリ11の内部抵抗Rは、高電圧バッテリ11が低温であるほど増加する傾向にあるので、実際の温度と基準温度との偏差に応じた補正により、次の劣化時判定の判定精度向上を図ることが可能となる。 【0029】図3に戻り、C/U21は、S3で、検出された劣化度合SOHが、バッテリの劣化が所定の許容限界まで進行したことを判定するための閾値SOHH#より大きいか否かを判定する。具体的には、S16で算出された内部抵抗Rが、閾値SOHH#に対応する高電圧バッテリ11の抵抗値Rsより大きい場合に、劣化度合SOHが閾値SOHH#より大きい状態にあるものと判断してS4へ進み、高電圧バッテリ11の劣化が許容限界まで進行したことを示すための指標SOHSWを、1に設定する。 【0030】一方、内部抵抗Rが所定値Rs以下である場合には、高電圧バッテリ11の非劣化時であると判断してS5へ進み、指標SOHSWを0に設定した後、続くS6で、劣化時判定フラグFを0に設定し、本ルーチンを終了する。S7では、前回のキーオンの際に設定された指標SOHSWzが1であったか否かを判定する。指標SOHSWzが1以外、すなわち0であれば、高電圧バッテリ11の非劣化時であると判断してS6へ進み、劣化時判定フラグFを0に設定し、本ルーチンを終了する。一方、指標SOHSWzが1の場合には、S8に進む。 【0031】S8では、前々回のキーオンの際に設定された指標SOHSWzzが1であったか否かを判定する。指標SOHSWzzが0であれば、高電圧バッテリ11の非劣化時であると判断してS6へ進み、劣化時判定フラグFを0に設定し、本ルーチンを終了する。一方、指標SOHSWzzが1の場合には、S9に進む。S9では、劣化時判定フラグFを1に設定する。すなわち、今回、前回及び前々回のキーオンの際(乃至は、それより前のキーオンの際)のいずれにおいても高電圧バッテリ11の劣化が所定の許容限界まで進行したと判断された場合にのみ、高電圧バッテリ11の劣化時であると判断してS9へ進み、劣化時判定フラグFを1とするのである。 【0032】次に、C/U21のアイドル時における制御内容を説明する。アイドル時には、エンジン1を目標回転数に制御するために、エンジン1自体の制御に併せて、M/G2による回転数調整を行い、エンジン回転の変動をM/G2のトルクで補う制御を行う。図5及び6は、アイドル時におけるM/G2の回転数制御の制御ブロック図を例示しており、ここでは、M/G2の制御量が目標トルクの形態で設定され、この目標トルクが、エンジン1の目標回転数と実回転数との偏差に基づいてフィードバック制御される。 【0033】図5に示す例によると、M/G2の目標トルクは、エンジン1の目標回転数と実回転数との偏差に、PI(比例積分)制御に基づくゲインを乗じて算出される。PI制御器では、所定のI(積分)分ゲインが設定される一方、P(比例)分ゲインは、高電圧バッテリ11の劣化時であるか否かに応じて切り換えられる。劣化時判定において、高電圧バッテリ11の非劣化時であると判定された場合には、P分ゲインは、PG#1に設定される。一方、高電圧バッテリ11の劣化時であると判定された場合には、P分ゲインは、PG#1より小さいPG#2に設定される。P分ゲインが比較的小さく設定されることにより、エンジン回転の変動に対するM/G2の制御応答性が遅くなるという効果が得られる。 【0034】図6に示す他の例によると、M/G2の目標トルクは、基本的な流れとしては、エンジン1の目標回転数と実回転数との偏差にPI制御に基づくゲインKを乗じるなどして算出されるが、この偏差を算出するに際し、劣化時判定において、高電圧バッテリ11の劣化時と判定された場合には、エンジン1の実回転数になましをかける処理を施すことで、エンジン回転の変動に対するM/G2の制御応答性を遅くするという効果を得ている。 【0035】ここでは、高電圧バッテリ11の劣化時と判定された場合に、検出されたエンジン1の実回転数Neに、重み付け定数をF(0<F<1)として、次式(1)に従って加重平均処理を施す例を示している。 Nave(n)=F×Ne+(1−F)×Nave(n-1) ・・・(1) なお、Nave(n-1)は、前回のルーチンでの平均値であり、Nave(n)は、今回のルーチンでの平均値である。 【0036】次に、C/U21のアイドル時における制御内容を、フローチャートに基づいて説明する。図7に示すフローチャートは、図5に示す制御系構成を採用した場合に対応している。C/U21は、S21で、アイドル時か否かを判定する。例えば、アイドルスイッチがオンであり、かつ車速VSPがほぼ0である場合に、アイドル時であると判断してS22へ進む。アイドル時以外では、本ルーチンは、そのままリターンされる。 【0037】S22では、目標回転数を設定する。目標回転数は、エンジン冷却水温Tなどに応じて可変に設定するとよい。S23では、エンジン1の実回転数Neを検出する。S24〜26では、図3のルーチンで設定された劣化時判定フラグFに応じてP分ゲインを切り換える。すなわち、高電圧バッテリ11の非劣化時であるとして、劣化時判定フラグFが0に設定された場合には、S25へ進んで、比較的大きなP分ゲインPG#1を選択し、一方、高電圧バッテリ11の劣化時であるとして、劣化時判定フラグFが1に設定された場合には、S26へ進んで、比較的小さなP分ゲインPG#2を選択する。 【0038】S27では、エンジン1の目標回転数と実回転数Neとの偏差に、PI制御に基づくゲインを乗じて、M/G2の目標トルクを算出する。ここで、P分ゲインについては、S25又は26において、比較的大きなPG#1か又は比較的小さなPG#2かのいずれかが選択されている。図8に示すフローチャートは、図6に示す制御系構成を採用した場合に対応している。 【0039】C/U21は、S31で、アイドル時か否かを判定する。この判定は、先のS21におけるものと同様であってよく、アイドル時であると判断された場合にのみ、S32へ進む。アイドル時以外では、本ルーチンは、そのままリターンされる。S32では、エンジン冷却水温Tなどを基に、エンジン1の目標回転数を設定する。 【0040】S33では、エンジン1の実回転数Neを検出する。S34では、図3のルーチンで設定された劣化時判定フラグFを参照し、高電圧バッテリ11の劣化時であるとして、劣化時判定フラグFが1に設定された場合にのみ、S35へ進んで、検出された実回転数Neに加重平均処理を施した後、S36へ進む。劣化時判定フラグFが0に設定された場合には、そのままS36へ進む。 【0041】S36では、エンジン1の目標回転数と、検出された実回転数Ne又は実回転数の平均値Nave(n)との偏差に、PI制御に基づくゲインKを乗じて、M/G2の目標トルクを算出する。最後に、本実施形態の効果について説明する。図9は、アイドル時にエンジン1の回転数調整を行う際の、高電圧バッテリ11への充電電流Icの特性をおおまかに示したものであり、エンジン回転の振動的な変化に応じて、充電電流Icが、目標充電電流(例えば、5[A])を中心として正弦波状に変化する様子を表している。 【0042】図中曲線B(一点鎖線で表示)は、M/G2の目標トルクを、単に、エンジン1の目標回転数と実回転数Neとの偏差に、PI制御に基づくゲインを乗じることのみにより設定した場合に相当する。先にも説明したが、P分ゲインは、通常は、M/G2の応答性を重視したものとして設定されるため、充電電流Icは、その振動振幅Abが大きくなり、上限電流値(実際の充電状態SOCによって変動するものであり、SOCが高いほど、低くなる。)を超えて変動する傾向が強い。過大な振幅を伴う充電電流Icは、端子電圧VHの過度な上昇を招くばかりでなく、目標充電電流を境界とした充放電の繰り返しにより、総放電電流量の実質的な増大を促進し、高電圧バッテリ11の劣化を促進する。 【0043】一方、図中曲線A(実線で表示)は、本発明の構成を採用した場合に相当するものであるが、これによれば、アイドル時にエンジン1の回転数調整を行う際に、エンジン回転の変動に対するM/G2の制御応答性が遅くされることにより、充電電流Icの振動振幅Aaが小さくなる。これにより、充電電流Icの最大値を確実に上限電流値以下に抑え、過度な電圧の印加を回避することが可能となるばかりでなく、目標充電電流を基準とした充電電流Icの変化量が小さくなり、総放電電流量が減少されるので、バッテリの劣化進行を抑えることができる。 【0044】なお、アイドルストップ後の再始動を含め、エンジン1の始動時におけるクランキングにM/G2を使用する際に設定されるゲインを、以上に説明したアイドル時の回転数調整の際に設定されるゲインとは別に設定することで、エンジン1の始動時におけるM/G2の制御応答性を確保し、始動時間の長期化を回避することが可能である。 【0045】また、以上の説明では、本発明に係るエンジンの回転数調整の適用条件を、エンジンのアイドル運転時としたが、適用条件はこれに限定されず、例えば、M/G2により所定量の発電を行うために、エンジン1を所定の低中速で一定速運転する場合にも、適用することが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年12月15日(2000.12.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078330 【弁理士】 【氏名又は名称】笹島 富二雄
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| 【公開番号】 |
特開2002−186108(P2002−186108A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月28日(2002.6.28) |
| 【出願番号】 |
特願2000−381558(P2000−381558) |
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