| 【発明の名称】 |
電気車両の回生制動制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】刀谷 郁也
|
| 【要約】 |
【課題】同時に幾つかの回生制動が発生した場合でも、切り換わり時に急にトルクがなくなるのを防止して、車にショックが発生するのを防止する。
【解決手段】2種以上の回生制動機能を有し、車体に搭載されたバッテリからの電力供給により走行モータを駆動する電気車両の制動制御装置であって、前記2種以上の回生制動機能が同時に働く条件となったとき、当該2種以上の回生制動機能の中から最も大きい制動トルクを得られる回生制動機能が、他の回生制動機能に優先して選択されることを特徴とする |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 2種以上の回生制動機能を有し、車体に搭載されたバッテリからの電力供給により走行モータを駆動する電気車両の制動制御装置であって、前記2種以上の回生制動機能が同時に働く条件となったとき、当該2種以上の回生制動機能の中から最も大きい制動トルクを得られる回生制動機能が、他の回生制動機能に優先して選択されることを特徴とする電気車両の回生制動制御装置。 【請求項2】 前記最も大きい制動トルクが得られる回生制動機能は、各回生制動のモータ出力電圧値を演算比較し、最も大きいモータ出力電圧値が得られる回生制動機能であることを特徴とする請求項1記載の電気車両の回生制動制御装置。 【請求項3】 前記2種以上の回生制動機能のうち、働く条件とならなかった回生制動機能の制動トルクをゼロとし、全ての回生制動機能の制動トルクを比較することを特徴とする請求項1又は2記載の電気車両の回生制動制御装置。 【請求項4】 前記2種以上の回生制動機能のうち、働く条件となった回生制動機能の制動トルクのみを互いに比較することを特徴とする請求項1又は2記載の電気車両の回生制動制御装置。 【請求項5】 前記2種以上の回生制動機能は、アクセルペダルを離したときに回生をスタートするニュートラル回生制動機能と、ブレーキペダルが踏まれたときに回生をスタートするブレーキ回生制動機能と、降坂時に回生をスタートする回生制動機能と、前後進の反転時に回生をスタートする反転回生制動機能と、車が所定以上の速度になったときに回生をスタートする最高速回生制動機能と、のうちから選ばれた2種以上の回生制動機能であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の電気車両の回生制動制御装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、駆動電源をバッテリ式としたフォークリフトの制動装置に好適に用いられる電気車の制動制御方法及び制動制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】先ず、フォークリフトの構成を本発明の図を用いて簡単に説明すると、図7に示すように、フォークリフト1は、周知のように車体2と、この車体2の前部側に設けられた荷役装置3とで構成されている。車体2の運転席のシート4の下方には充電式のバッテリ5が納装されており、また、このバッテリ5を電源として駆動される走行用モータ6及び油圧用モータ40が配設されている。なお、これらのモータ6,40は、例えば誘導電動機が用いられている。 【0003】従来、バッテリ5を電源としたインバータ回路(図示せず)により走行用モータ6に電圧を印加して、フォークリフト1の走行や、同じく油圧用モータ40に電圧を印加した荷役装置3の駆動を行なっていた。 【0004】そして、駆動電源をバッテリ式としたこの種のフォークリフトの制動を行なう場合の回生制御には以下に示すように種々の種類があり、それぞれ独立して制御していた。すなわち、アクセルを離した時に回生をスタートする「ニュートラル回生」、ブレーキが踏まれた時に回生をスタートする「ブレーキ回生」、ニュートラル状態で加速した時に回生をスタートする「降坂時回生」、走行中に進行方向の反転操作をした時に回生をスタートする「反転回生」及び車が所定の速度以上になった時にスタートする「最高速回生」などがある。 【0005】上記の各回生制御は本出願人が別出願を行なったのであるが、ここで、各回生制御を簡単に説明する。ニュートラル回生制御は、アクセルがオフで、シフトレバーの操作による前進、後進、中立のうちで、所謂ディレクショナルが中立の時、低速時は速度に比例した力(回生力)を出し(式1)、高速時は一定の力(式2)で回生するものである。 式1=定数a×SP2式2=定数b×|SP|但し、SPは車のスピード入力値である。また、式1より式2の方が大きい時はモータ出力電圧=式1とし、それ以外の時はモータ出力電圧=式2として回生制御を行なっている。上記の式1、2でニュートラル回生力の計算を行なっている。 【0006】また、ブレーキ回生制御は以下のようにしている。ブレーキペダルが踏まれている時で、低速時は速度に比例した力(制動力)を出し(式3)、高速時は一定に力で(式4)回生するものである。 式3=定数c×SP2式4=定数d×|SP|ここで、式3より式4の方が大きい時は、モータ出力電圧=式3とし、それ以外のときは、モータ出力電圧=式4としてブレーキ力を計算している。 【0007】次に降坂時回生について説明する。アクセル入力がない状態で、坂を前向きで降りる時と、坂を後ろ向きで降りる時の回生制御があり、前者を降坂時抑速回生前進制御と称し、後者を降坂時抑速回生後進制御と称している。降坂時の車の目標速度を予め設定しておき、この目標速度と実際の降坂時の入力速度を比較し、入力速度より目標速度の方が高い場合には、当該入力速度を目標速度とし、また、目標速度より入力速度の方が高い場合には、当該目標速度に対して所定のモータ出力電圧になるように、式5にて制御を行なう。 式5=定数e(入力速度−目標速度)+定数f×入力加速度【0008】また、反転回生制御は、モータが誘導電動機のプラギング操作(前後進切換操作)において、モータの回転数に対して電流が一定になる式6をたて、また、回転数に対して電流が比例する式7をたてる。さらに、式6と式7を加算した式8をたて、この式8にアクセル角を乗じ、電圧の式9をたてる。この式9の電圧をモータ出力電圧としてモータに印加して反転回生制御を行なう。 式6=定数g×SP式7=定数h×SP2式8=式6+式7式9=定数i×AC×(定数g×SP+定数h×SP2 ) ACは、アクセル角(アクセル入力値)である。 【0009】さらに最高速回生制御は以下のようにしている。まず、走行速度を入力し、走行速度と最高速度(例えば、15km/h)と比較し、走行速度が最高速度以上の時、目標速度(16km/h)として以下の制御を行なう。最高速前進回生の場合のモータ出力電圧の計算は、式10で行ない、最高速後進回生の場合のモータ出力電圧の計算は式11で行なう。 式10:モータ出力電圧=定数j(入力速度−目標速度)+定数k×入力加速度式11:モータ出力電圧=−定数m(入力速度−目標速度)−定数n×入力加速度【0010】 【発明が解決しようとする課題】上述のように回生制御の種類として、ニュートラル回生、ブレーキ回生、降坂時回生、反転回生、最高速回生があり、従来では、各回生ごとの動作条件を決めておき、その中で優先順位にしたがい、実行する回生制動を決定していた。そのため、同時にいくつかの回生制動が必要になった時、その中の最優先の回生処理に実行が移ってしまい、今まで行なっていた回生制動とはつながらず、車にショックが発生する場合があった。このため、荷崩れの原因となっていた。 【0011】例えば、後進での降坂時回生の時、途中で前進したい場合にはアクセルペダルを踏むが、条件的にはアクセル入力が強いものの、アクセルの踏み込みが弱い場合は後進する方のトルクが大きいので、後ろに下がる速度が早くなり、危険な状態になる場合があった。 【0012】本発明は、上述の点に鑑みて提供したものであって、同時に複数の回生制動機能が働く条件となった場合でも、回生制動のつながりをスムーズにし、車にショックが発生するのを防止することを目的とした電気車の制動制御方法及び制動制御装置を提供するものである。 【0013】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明の請求項1記載の電気車両の回生制動制御方法では、2種以上の回生制動機能を有し、車体に搭載されたバッテリからの電力供給により走行モータを駆動する電気車両の制動制御装置であって、前記2種以上の回生制動機能が同時に働く条件となったとき、当該2種以上の回生制動機能の中から最も大きい制動トルクを得られる回生制動機能が、他の回生制動機能に優先して選択されることを特徴とする。 【0014】また、請求項1記載の電気車両の回生制動制御装置において、前記最も大きい制動トルクが得られる回生制動機能は、各回生制動のモータ出力電圧値を演算比較し、最も大きいモータ出力電圧値が得られる回生制動機能であることを特徴とする。 【0015】また、請求項1又は2記載の電気車両の回生制動制御装置において、前記2種以上の回生制動機能のうち、働く条件とならなかった回生制動機能の制動トルクをゼロとし、全ての回生制動機能の制動トルクを比較することを特徴とする。 【0016】また、請求項1又は2記載の電気車両の回生制動制御装置において、前記2種以上の回生制動機能のうち、働く条件となった回生制動機能の制動トルクのみを互いに比較することを特徴とする。 【0017】また、請求項1乃至4の何れかに記載の電気車両の回生制動制御装置において、前記2種以上の回生制動機能は、アクセルペダルを離したときに回生をスタートするニュートラル回生制動機能と、ブレーキペダルが踏まれたときに回生をスタートするブレーキ回生制動機能と、降坂時に回生をスタートする回生制動機能と、前後進の反転時に回生をスタートする反転回生制動機能と、車が所定以上の速度になったときに回生をスタートする最高速回生制動機能と、のうちから選ばれた2種以上の回生制動機能であることを特徴とする。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。先ず、図7によりフォークリフト1の全体の構成について説明する。フォークリフト1は、従来例の項で説明したように、車体2と荷役装置3とで構成され、車体2の上部にはヘッドガード7が設けられている。また、車体2の前部にはハンドル10と、前進、中立、後進のシフト切り換えを行なうシフトレバー(図示せず)と、荷役装置の油圧操作を行う油圧レバー11が配設され、床面には加速を行なうアクセルペダル12が設けてある。そして、このアクセルペダル12の横にはブレーキペダル9が並設されている。 【0019】さらに、車体2の後部のシート4の下方には充電式のバッテリ5が納装され、このバッテリ5により、車体2に配設した走行用モータ6や、荷役装置3を駆動するための油圧用モータ40の電源としている。なお、上記モータ6,40は本実施形態では誘導電動機を用いており、以下では走行用モータ6に着目して説明する。 【0020】荷役装置3の左右一対のマスト13の前面にはリフトシリンダ14によって上下動するリフトブラケット15が設けられており、このリフトブラケット15にフォーク16が取り付けられていて、マスト13はティルトシリンダ17により前後傾させられるようになっている。 【0021】図6はモータ6を駆動するインバータ回路20を示し、このインバータ回路20は、IGBTあるいはFETなどのスイッチング素子からなり、バッテリ5を電源として駆動され、3相の誘導電動機からなるモータ6を駆動するものである。なお、バッテリ5とインバータ回路20との間にはスイッチ21が介挿され、また、インバータ回路20の入力側にはコンデンサC1 が並列に接続されている。 【0022】図5は本発明の電気構成を示すブロック図であり、制御装置30には各センサからの信号が入力され、これらの信号に基づいて制御装置30はインバータ回路20の各スイッチング素子のゲートにモータゲート信号U1 、U2 、V1 、V2、W1 、W2 を出力するようになっている。アクセル開度センサ22は、アクセルペダル12の踏み込み量を検出するものであり、例えばポテンショメータで構成されている。また、ブレーキ開度センサ26は、ブレーキペダル9の踏み込み量を検出しており、例えばポテンショメータで構成されている。バッテリ電圧センサ23は、バッテリ5のバッテリ電圧を検出しており、これらアクセル開度センサ22、ブレーキ開度センサ26及びバッテリ電圧センサ23からのアナログ信号は制御装置30の入出力インターフェイス31に入力されている。 【0023】フォークリフト1の速度を検出する車速センサ24は、例えば、パルスエンコーダで構成され、走行用モータ6の回転数に応じたパルス数を出力し、速度を検出している。シフト位置センサ25は、フォークリフト1の前進、中立、後進を検出するものであり、シフトレバーの操作位置によって例えばリミットスイッチなどで検出するようにしている。これら、車速センサ24及びシフト位置センサ25からの信号も制御装置30の入出力インターフェイス31に入力されている。 【0024】制御装置30は、上記入出力インターフェイス31と、この入出力インターフェイス31からの信号を処理する信号処理部32と、全体の制御を司るCPU36と、このCPU36を所定の手順通りに動かすためのプログラムを格納しているROM及びセンサなどからのデータを格納するRAMからなるメモリ37と、CPU36に制御されてインバータ回路20にモータゲート信号を送るPWM回路38と、インバータ回路20に信号を送る入出力インターフェイス39等で構成されている。また、上記信号処理部32は、アクセル開度センサ22、ブレーキ開度センサ26及びバッテリ電圧センサ23からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路33と、車速センサ24からのパルス数をカウントするカウンタ34と、シフト位置センサ25からの信号により、前進、中立、後進などのディレクショナルを判定する判定回路35で構成されている。 【0025】次に、フローチャートを用いて動作を説明する。図2はスタート時のフローチャートを示し、ステップS1で各部の状態を初期化、つまりイニシャライズして、ニュートラルモードから始める。次いで、ステップS2でアクセル開度センサ22からアクセルペダル12の踏み込み量としてのアクセル入力値ACが入力され、同時にシフト位置センサ25により前進、中立、後進のいずれかであるかのディレクショナル入力DRが入力される。ステップS3ではブレーキ開度センサ26からブレーキ入力値BSが入力され、さらに、ステップS4で車速センサ24からはスピード入力値SPが入力される。 【0026】次に、ステップS5でディレクショナルDRによりモードを判断し、前進力行であればステップS10に進んで前進力行モードに移る。また、前進力行モードでなければ、ステップS6に移行して後進力行かを判断し、後進力行モードであればステップS11に移行する。後進力行モードでなければ、ステップS7、ステップS8に移行し、前進回生モードか、あるいは後進回生モードかを判断し、前進回生モードであればステップS12に移行し、後進回生モードであればステップS13に進む。そして、どのモードにも対応しない場合はステップS9のニュートラルモードに移行して次にどのモードに移るかの判断を待つ。各ステップS10〜13におけるモードに応じた走行用モータ6に印加すべくモータ出力電圧を計算し、該計算したモータ出力電圧を走行用モータ6に印加することになる。 【0027】図3はニュートラルモードから各モードへ移る場合の制御フローを示し、ステップS21でアクセル入力の有無を判断し、アクセル入力があれば、ステップS22に進み、アクセル入力がなければステップS26に進む。ステップS21でアクセル入力があればステップS22でシフト位置センサ25からの信号により前進、後進、あるいは中立か否かのディレクショナルの判断を行なう。ディレクショナルが前進、後進でればステップS23に移行して、ディレクショナルが前進であれば、ステップS24に進んで前進力行モードに移る。また、ステップS23でディレクショナルが後進であれば、ステップS25に移行して後進力行モードに移る。 【0028】次に、ステップS21でアクセル入力が無い場合(オペレータがアクセルペダル12を離した場合)にはステップS26で入力スピードが0より大きいか小さいかを判断し、入力スピードが0より大きい場合には、アクセルペダル12を踏んでいないにも関わらず車が走行しているので、電気的制動をかけるべくステップS27に移行して前進回生モードに移る。また、ステップS26で入力スピードが0より小さい場合(0を含む)には、車が後進(バック)していると判断してステップS28に進み、同様に入力スピードが0より小さければ電気的制動をかけるべくステップS29に移行して後進回生モードに移る。 【0029】図4は前進力行モードの動作フローを示し、ステップS31でアクセル入力の有無を判断し、アクセル入力がなければステップS33に示すようにモータ出力電圧を0とし、ニュートラルモードに移る(ステップS34参照)。ステップS31でアクセル入力があれば、ステップS32に移行してディレクショナル入力を判断する。ディレクショナル入力が後進、又は中立の場合にはモータ出力電圧を0にして(ステップ33)、ニュートラルモード(ステップ34)(図3参照)を経て、後進であれば後進力行モード(ステップ25)に移る。 【0030】前進力行モードにおいてステップS32でディレクショナル入力が前進であれば、ステップS35に進んで現在のスピードが15km/h以上か否かを判断する。この15km/hという速度は、予め任意に定めた数値であり、任意の速度を設定できるのは言うまでもない。アクセル入力があり、前進であってもスピードが15km/h以上の場合は、電気的制動をかけるべくステップS36に示すようにモータ出力電圧を0にし、前進回生モードに移る(ステップS37)(図1参照)。 【0031】次に、ステップS35でアクセル入力があり、前進であって速度が15km/h以下の場合には、ステップS38に移行して、アクセル入力、走行用モータ6の回転数から操作量に応じたモータ出力電圧を計算し、アクセル入力値に応じた所定の速度で前進力行モードの運転となる。また、ステップS39に示すように、入力スピードが0km/h以上の場合には、連続した前進力行モードとしてこの制御動作を繰り返す。車が坂道を後進していたりした場合は、ステップS39でスピードが0km/hより小さくなるので、後進回生モードに移り(ステップS40参照)、車を減速させていく。 【0032】なお、後進力行モードも車の進行方向が逆だけで、基本的な制御は前進力行モードと略同様なので、その説明は省略する。 【0033】次に、本発明の制御動作を図1に示すフローチャートに基づいて説明する。図1は前進回生モードでの制御を示し、同時に幾つかの回生処理(上述したニュートラル回生、ブレーキ回生、降坂時回生、反転回生及び最高速回生)が発生した場合でも、常時全ての回生計算を行なっていて、その中で一番制動トルクの大きい出力値を選び、当該回生処理を行なうようにしたものである。これにより急に制動トルクが無くなるということがなく、車にショックが発生するのを防止するようにしたものである。なお、後進回生モード時での制御も略同様なので、前進回生モード時での制御についてだけ以下説明する。 【0034】ステップS41で車のスピードが15km/h以上か否かを判断し、スピードが15km/h以下の場合は、ステップS42でアクセル入力の有無を判断し、アクセル入力があってステップS43に示すディレクショナルが前進であればステップS44に移行する。そして、モータ出力電圧が0の状態を経てステップS45に示すように前進力行モードに移行してアクセル入力値に対応した走行速度に近づけるようにモータ出力電圧を印加する。ステップS41で車のスピードが15km/h以上の場合には、速度を制限すべくステップS46に移行して従来例で述べた最高速回生の計算を行なう。 【0035】次に、ステップS47に示すように、前進回生モードであってアクセル入力がある場合には、ステップS48に進んでディレクショナルを判断する。ディレクショナルが前進または中立の場合はステップS52に移行するが、ディレクショナルが後進の場合は、前進から後進への反転であるから速度を落とすためにステップS49に示すように反転回生の計算を行なう。そして、ステップS50でスピードが0km/h以下となれば後進となり、次いでステップS51で後進力行モードに移る。 【0036】ステップS52で前進回生モードであってアクセル入力が有れば、ステップS53で前進か否かを判断し、前進であれば回生をかける必要がないのでモータ出力電圧を0とし(ステップS55参照)、ステップS56に示すように回生状態からニュートラルモード(図3参照)に移る。ステップS52で前進回生モードであってアクセルの入力が無い場合はステップS54に進み、スピード入力が0km/h以下の場合は、モータ出力電圧を0にし、ニュートラルモード(ステップ56)(図3参照)を経て、前進回生モードから後進力行モードに移行する。 【0037】ステップS54で前進回生モードであってアクセル入力が無く、スピードが0km/h以上であれば、ステップS57に進んで最大速度と現在のスピード(入力速度)を比較し、予め設定した最大速度より入力速度の方が大きい場合はステップS58に移行して降坂時回生の計算を行なう。また、ステップS57で入力速度より最大速度の方が大きい場合は、ステップS59に移行してブレーキペダル9が踏まれているか否かの判断を行ない、ブレーキペダル9が踏まれていればステップS60に進んでブレーキ回生の計算を行なう。 【0038】また、ステップS59あるいはステップS60からステップS61に移行してニュートラル回生の計算を行なう。そして、上記最高速回生の計算(ステップS46参照)、反転回生の計算(ステップS49参照)、降坂時回生の計算(ステップS58参照)、ブレーキ回生の計算(ステップS60参照)、ニュートラル回生の計算(ステップS61参照)において、各々の回生制動におけるモータ出力電圧値を計算する。このモータ出力電圧値は、その値が大きいほど制動トルクが大きいので、上記計算した各々の回生制動でのモータ出力電圧値を比較し、その中から最も大きいモータ出力電圧値がわかり、このモータ出力電圧値が得られる回生制動を車にかけるものである。つまり、制動トルクが最も大きい回生制動が選択されるものである。なお、図1のステップで回生制動の計算に行かなかった回生制動についてはモータ出力電圧値を0として他の回生制動の計算値と比較する。 【0039】このように構成ないし方法とすることで、例えば、降坂時において回生(降坂時回生)がかかっている時に、車を反転操作させて反転回生をかけた場合、降坂時回生と反転回生の回生力(トルク)の大きい方を選択して、走行用モータ6を制御することで、急にトルクが無くなることがなく、車にショックが発生することが無くなった。 【0040】上記の実施形態において、回生計算をニュートラル回生、ブレーキ回生、降坂時回生、反転回生、最高速回生の5種類を行なっていたが、常に5つの回生処理の計算をする必要がなく、例えば、降坂時回生と反転回生の2種類の計算を行なって、大きい方の計算値をモータ出力電圧として走行用モータ6に印加して制動をかけるようにしても良い。しかし、上記の5つの回生処理の計算結果から最も大きい値を用いる方が好適例である。また、各回生モードにおける制御方法も本発明の場合だけに限らず、回生モードの制御方法自体が異なる場合でも、各回生処理の計算結果から最も大きい値を用いるとする場合も本発明に適用できるものである。 【0041】また、上記の実施形態ではフォークリフトの場合について説明したが、一般の電気自動車の場合にも本発明を適用できるものである。 【0042】次に、上述してきた回生制動制御の特徴を図8を参照して説明する。この説明では■、■、及び■の3種類の回生制動機能をもっている場合について説明する。図8の(a)及び(b)共に横軸を時間、縦軸を制動トルクとしている。まず、図8(b)は、従来の制動制御であり、上記3種類の回生制動機能は優先順位の番号も兼ねる。つまり、これら複数の回生制動が同時に働く条件となったとき、■は■に優先して働き、■は■に優先して働く。今、■の回生制動が働いているとき、■の回生制動が働く条件となると、■が■に優先する。このため、制動トルクが図8(b)中の符号Cから符号Dへ切り換わってしまい、大きな制動トルク差が生じてしまう。また、■の回生制動中に■の回生制動が働く条件となったとき、■が■に優先して働く。このため、制動トルクが図8(b)中の符号Eから符号Fへ切り換わることとなり、ここでも大きな制動トルク差が生じてしまう。即ち、回生制動の切り換わり時に生じる制動トルク差から車にショックが生じる状態となってしまい、フォークに積んでいた荷が崩れたり、運転者の運転操作が不安定になってしまうものであった。 【0043】これに対し、図8(a)は、本発明の回生制動制御であり、■、■、及び■は優先順位を示すものではない。今、■の回生制動が働いているとき、■の回生制動が働く条件となったとする。本発明の回生制動制御では、常に全ての種類の回生制動の制動トルクを比較しており、その時に一番大きい制動トルクが生じる回生制動が選択されていく。従って、この例では図8(a)中の符号Aを境にして、■の回生制動から■の回生制動に移ることになり、制動トルク差が生じない。また、■の回生制動中に■の回生制動が働く条件となったときも同様に図8(a)中の符号Bを境にして、■の回生制動から■の回生制動に移ることになり、制動トルク差が生じない。即ち、回生制動の切り換わり時でも制動トルク差が生じないことから車へのショックが少なく、フォークに積んでいる荷の崩れや運転者の運転操作が不安定になるといったことがないものである。なお、複数の回生制動の制動トルクを比較する場合、上述のように回生制動が働く条件となっていない回生制動も含めた全ての種類の回生制動の制動トルクを比較しても良いし、回生制動が働く条件となった回生制動のみの制動トルクを比較しても良い。前者の場合、回生制動が働く条件となっていない回生制動の制動トルクについてはゼロとして比較するものである。 【0044】 【発明の効果】本発明の請求項1及び2の電気車両の回生制動制動装置によれば、同時に幾つかの回生処理が発生した場合でも、常時2種類以上の回生計算、あるいは全ての回生計算を行なっていて、その中で一番トルクの大きい値をモータ出力電圧として選ぶため、急にトルクが無くなるということがなく、車にショックが発生するのを防止することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000232807 【氏名又は名称】日本輸送機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年12月15日(2000.12.15) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2002−186105(P2002−186105A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月28日(2002.6.28) |
| 【出願番号】 |
特願2000−382836(P2000−382836) |
|