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【発明の名称】 電気車の制御装置
【発明者】 【氏名】嶋田 基巳

【氏名】児島 徹郎

【氏名】仲田 清

【氏名】豊田 瑛一

【要約】 【課題】電気車の速度零まで安定してトルク出力し、特に、ブレーキ制御において速度ゼロで完全に停止する電気ブレーキ解除タイミングを決定するために必要な速度推定精度の向上を図ることにある。

【解決手段】電動機10を駆動する電力変換器8と、電動機の加速度推定値Acchに基づいて基準回転速度推定値Frh1を出力する速度推定器3を備える電気車の制御装置において、Frh1を補正して基準回転速度推定値Frh2を出力する速度推定器4を設け、ブレーキ指令Bによる減速中にFrh1がまだ演算精度に充分な精度の得られる速度として設定する条件速度(低速度)に達したとき、電動機の基準回転速度指令Frとして停止制御演算器5によりFrh1またはFrh2を選択し、電力変換器を制御する。ここで、電動機のFrが停止直前の回転速度に達したとき、ブレーキトルク立ち下げ指令Sbに基づいて電動機のトルクを所定変化率で減少させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電動機を駆動する電力変換器と、前記電動機の加速度推定値に基づいて第1の基準回転速度推定値を出力する第1の速度推定手段と、前記電力変換器の制御手段を備えた電気車の制御装置において、前記第1の基準回転速度推定値を補正して第2の基準回転速度推定値を出力する第2の速度推定手段を設け、前記電気車のブレーキ指令による減速中に前記第1の基準回転速度推定値が予め定めた設定速度値に達したとき、前記第1または第2の基準回転速度推定値を選択し、前記選択した基準回転速度推定値を前記電動機の基準回転速度指令とし、前記基準回転速度指令に基づいて前記電力変換器を制御することを特徴とする電気車の制御装置。
【請求項2】 請求項1において、前記第2の速度推定手段の出力する第2の基準回転速度推定値は、前記電気車のブレーキ指令による減速中に前記第1の基準回転速度推定値が予め定めた設定速度値に達したとき、前記電動機の加速度推定値および加速度指令値のうちのいずれかの最小値を求め、前記最小値に基づいて演算することを特徴とする電気車の制御装置。
【請求項3】 請求項1において、前記電動機の基準回転速度指令が停止直前のトルク電流立ち下げ開始速度である回転速度に達したとき、ブレーキトルク立ち下げ指令に基づいて前記電動機のトルクを所定変化率で減少させることを特徴とする電気車の制御装置。
【請求項4】 電動機を駆動する電力変換器と、前記電動機の加速度推定値に基づいて基準回転速度推定値を出力する第1の速度推定手段と、前記電力変換器の制御手段を備えた電気車の制御装置において、前記電動機の動作を規定する回転速度パターン発生手段を設け、前記電気車のブレーキ指令による減速中に前記基準回転速度推定値が予め定めた速度設定値に達したとき、前記回転速度パターンまたは前記基準回転速度推定値を選択し、前記選択した回転速度パターンまたは基準回転速度推定値を前記電動機の基準回転速度指令とし、前記基準回転速度指令に基づいて前記電力変換器を制御することを特徴とする電気車の制御装置。
【請求項5】 請求項4において、前記電動機の基準回転速度指令が停止直前のトルク電流立ち下げ開始速度である回転速度に達したとき、ブレーキトルク立ち下げ指令に基づいて前記電動機のトルクを所定変化率で減少させることを特徴とする電気車の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気車の制御装置に係り、特に、推定速度に基づく電気ブレーキの停止制御の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電動機用のインバータ制御においては電動機の回転速度を制御用変数として用いる必要があり、電気車では電動機あるいは車軸にパルスセンサ等の速度検出器を取り付け、その検出値に基づいて制御を行っている。しかしながら、速度検出器は取り付けスペースを確保する必要があること、また、速度検出器は電動機毎に取り付ける必要があるため、メンテナンスに労力とコストがかかることから、速度検出器を用いない速度センサレスインバータ制御が注目されつつある。電気車の速度センサレスインバータ制御については、インバータ制御車両の制御装置においてベクトル制御方式を行う上で必要であった電動機のセンサを一切排除し、これにより、構成の簡素化および耐環境性の向上を図ることを目的とした方式が特開2000−60200号公報に示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、特開2000−60200号公報に示されている方式では、回転加速度指令の演算に用いるトルク電流検出値をインバータの出力電圧の瞬時値検出器によって検出した電流検出値をdq座標変換することにより求めている。しかし、瞬時値検出器によって検出した電流検出値は、電動機が速度ゼロ付近で低速回転しているときには安定したトルクを出力する充分な検出精度が得られないため、電気車を完全に停止させるまでブレーキ出力を得ることが難しい。
【0004】本発明の課題は、電気車の制御装置の速度センサレスインバータ制御において、速度零まで安定してトルク出力し、特に、ブレーキ制御において速度ゼロで完全に停止する電気ブレーキ解除タイミングを決定するために必要な速度推定精度を得るに好適な電気車の制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、電動機の加速度推定値に基づいて第1の速度推定手段が出力する第1の基準回転速度推定値を補正して第2の基準回転速度推定値を出力する第2の速度推定手段を設け、電気車のブレーキ指令による減速中に第1の基準回転速度推定値が予め定めた設定速度値に達したとき、電動機の基準回転速度指令として第1または第2の基準回転速度推定値を選択し、選択した基準回転速度推定値に基づいて電力変換器を制御する。また、第2の速度推定手段に代えて電動機の動作を規定する回転速度パターン発生手段を設け、電動機の基準回転速度指令として回転速度パターン発生手段が出力する回転速度パターンまたは第1の速度推定手段が出力する第1の基準回転速度推定値を選択する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の電気車の制御装置の一実施形態を示すブロック図である。図1において、運転台1は、ブレーキ投入中にONするブレーキ指令フラグBを出力し、このブレーキ指令フラグBを電流指令演算器2、速度推定器(1)3、速度推定器(2)4、停止制御演算器5に入力する。電流指令演算器2は、ブレーキ指令フラグBおよび後述の停止速度演算器5の出力であるブレーキトルク立ち下げ信号Sbを入力とし、励磁電流指令Idp、トルク電流指令Iqaおよび加速度指令値Accpを出力する。ベクトル制御演算器6には、励磁電流指令Idpとトルク電流指令Iqaと電流検出器7a、7b、7cから得られる電動機電流検出値iu、iv、iwおよび停止制御演算器5が出力する基準回転速度信号Frを入力し、インバータの出力電圧指令Vpおよび加速度推定値Acchを出力する。PWMインバータ8では出力電圧指令Vpが入力され、これにより演算されるゲート信号は主回路を構成するスイッチング素子を動作させ、直流電源9より得られる直流電力が三相交流電力に変換され、その電力は誘導電動機10に供給される。
【0007】速度推定器(1)3は、運転台1が出力するブレーキ指令フラグBおよびベクトル制御演算器6が出力する加速度推定値Acchを入力とし、これらの入力信号に基づいて基準回転速度推定値(1)Frh1を出力する。基準回転速度推定値(1)Frh1は、ブレーキ指令フラグBがオンであるとき、加速度推定値Acchを積分することにより演算する。速度推定器(2)4は、運転台1が出力するブレーキ指令フラグB、速度推定器(1)3が出力する基準回転速度推定値(1)Frh1、電流指令演算器2が出力する加速度指令値Accpおよびベクトル制御演算器6が出力する加速度推定値Acchを入力とし、これらの入力信号に基づいて基準回転速度推定値(2)Frh2を出力する。基準回転速度推定値(2)Frh2は、ブレーキ指令フラグBがオンであり、基準回転速度推定値(1)Frh1がある速度条件を満たしたとき、基準回転速度推定値(1)Frh1を加速度指令値Accpおよび加速度推定値Acchに基づいて補正することにより演算する。停止制御演算器5は、運転台1が出力するブレーキ指令フラグB、速度推定器(1)3が出力する基準回転速度推定値(1)Frh1および基準速度推定器(2)4が出力する基準回転速度推定値(2)Frh2を入力とし、これらの入力信号に基づいて基準回転速度Frおよびブレーキトルク立ち下げ信号Sbを出力する。ここで、基準回転速度Frは、高速域では基準回転速度推定値(1)Frh1を出力し、ブレーキ指令フラグBがオンで減速中に基準回転速度推定値(1)Frh1がある速度(基準回転速度推定値(1)Frh1がまだ演算精度に充分な精度の得られる速度として設定する条件速度)Frbに達したときに、基準回転速度推定値(2)Frh2に切り換えて出力する。また、ブレーキトルク立ち下げ信号Sbは、ブレーキ指令フラグBがオンで減速中に基準回転速度Frが停止直前のトルク電流立ち下げ開始速度である回転速度Fr0に達した時点でトルク電流パターンIqaを時間tdで立ち下げる指令である。なお、トルク電流立ち下げ開始速度である回転速度Fr0およびトルク電流立ち下げ時間tdは乗り心地を確保し、かつ、確実に停止するように設定する。
【0008】図2に、本実施形態における速度推定器(1)3の入出力信号の時間的関係を表す波形図を示す。ブレーキ投入によりブレーキ指令フラグBがオンすると、電流指令演算器2はトルク電流指令Iqaおよび図示しない励磁電流指令Idpを出力する。ベクトル制御演算器6は、トルク電流指令Iqa、励磁電流指令Idp、さらに図示しない電動機電流検出値iu、iv、iwのフィードバックによりベクトル制御演算を行い、時々刻々の加速度推定値Acchを出力する。速度推定器(1)3は、ブレーキ指令フラグBおよび加速度推定値Acchを入力とし、ブレーキ指令フラグBがオンしている期間、加速度推定値Acchを積分することにより、基準回転速度推定値(1)Frh1を次式により演算する。
【数式1】
Frh1(t)=∫B(t)・Acch(t)・dt (1)
【0009】図3に、本実施形態における速度推定器(2)4の入出力信号の時間的関係を表す波形図を示す。ブレーキ投入によりブレーキ指令フラグBがオンすると、電流指令演算器2は、トルク電流指令Iqaおよび図示しない励磁電流指令Idpを出力する。また、次式に基づいて加速度指令値Accpを演算し、出力する。
【数式2】
Acch(t)=K・Idp(t)+αr (2)
ここで、Kは比例定数、αrは勾配、曲線等の走行抵抗分相当の加速度である。すなわち、Accpはαrとしてその走行区間における最大の走行抵抗分の加速度とすることにより、ブレーキ中に期待できる減速度の最小値(負の加速度としては最大値)に設定できる。また、ベクトル制御演算器6は、トルク電流指令Iqa、励磁電流指令Idpさらに図示しない電動機電流検出値iu、iv、iwのフィードバックによりベクトル制御演算を行い、時々刻々の加速度推定値Acchを出力する。加速度推定値Acchの演算には、図示しない電動機電流検出値iu、iv、iwを用いるため、電動機電流検出値に充分な精度が得られない低速域では基準回転速度推定値(1)Frh1の演算精度も低下する。したがって、基準回転速度推定値(1)Frh1がまだ演算精度に充分な精度の得られる速度として設定する条件速度Frbに達した時点における加速度推定値Acchおよび加速度指令値Accpをホールドする。さらに両者のホールドした値の小さい方を選択し、最小値として加速度最小値Acc_minを求める。速度推定器(2)4は、ブレーキ指令フラグBがオンしている期間、初期値をFrbとし、Acch_minを積分することにより、基準回転速度推定値(2)Frh2を次式により演算する。
【数式3】
Frh2(t)
=Frb+∫B(t)・Acc min(t)・dt (3)
なお、図3において、符号aは基準回転速度推定値(2)Frh2の傾きがAcch_minに該当することを表す。ここで、加速度推定値Acchの演算に失敗した場合、加速度指令値Accpを用いることで最低限の減速度を確保することができる。この場合、加速度指令値Accpを初期値Frbで積分することにより、基準回転速度推定値(2)Frh2を演算する。
【0010】図4に、本実施形態における停止制御演算器5の入出力信号の時間的関係を表す波形図を示す。ブレーキ投入によりブレーキ指令フラグBがオンしているとき、基準回転速度推定値(1)Frh1が条件速度Frbよりも大きいときは基準回転速度推定値(1)Frh1をそのまま基準回転速度Frとして出力し、基準回転速度推定値(1)Frh1が条件速度Frb以下となった時点で基準回転速度推定値(2)Frh2に切り換え、基準回転速度Frとして出力する。ブレーキトルク立ち下げ信号Sbは、ブレーキ指令フラグBがオンで減速中に基準回転速度Frが停止直前の設定速度Fr0に達した時点でトルク電流パターンIqaを時間td(s)(図5を参照)で立ち下げる指令である。ここで、トルク電流立ち下げ開始速度であるFr0およびトルク電流立ち下げ時間td(s)は乗り心地を確保し、かつ、確実に停止するように設定する。
【0011】図5に、本実施形態における電流指令演算器2の入出力信号の時間的関係を表す波形図を示す。時刻0においてブレーキ投入中でブレーキ指令フラグBはオンである。実回転速度が零で大きなショックなく完全に停止させるために、ブレーキトルク立ち下げ信号Sb(これに比例するトルク電流指令Iqa)を点線のパターン〈1〉のように時刻t0でステップ状に立ち下げ、実回転速度が一定減速度で停止すると仮定した時刻t0よりもtd/2だけ早い時点(t0−td/2)すなわち回転速度Fr0で基準回転速度Frを立ち下げはじめ、td(s)間でブレーキトルク立ち下げ信号Sb(これに比例するトルク電流指令Iqa)が完全に立ち下がる時点(t0+td/2)で丁度基準回転速度Frがゼロとなるような変化率で徐々に立ち下げる(実線のパターン〈2〉)。このとき、ブレーキトルク立ち下げ信号Sb(これに比例するトルク電流指令Iqa)を立ち下げる始める回転速度Fr0(Hz)は次式で求められる。
【数式4】
Fr0=β×(td/2+Δt) (4)
ここで、Δtは基準回転速度Frの検出おくれであり、例えばノイズ除去のために導入する遅れ要素分などを考慮する。βはAcc minに相当する。
【0012】本実施形態は、これらの構成により、高速域では速度推定器(1)3が出力する基準回転速度推定値(1)Frh1を基準回転速度Frに用い、ブレーキ指令Bによる減速中に基準回転速度推定値(1)Frh1がまだ演算精度に充分な精度の得られる速度として設定する条件速度Frbに達したときに、つまり低速域では速度推定器(2)4が出力する基準回転速度推定値(2)Frh2に切り換え、この基準回転速度推定値(2)Frh2を基準回転速度Frに用いる。そして、基準回転速度Frが停止直前のトルク電流立ち下げ開始速度である回転速度Fr0に達した時点でトルク電流パターンIqaを時間tdで立ち下げる指令すなわちブレーキトルク立ち下げ信号Sbを発し、td間でブレーキトルク立ち下げ信号Sb(これに比例するトルク電流指令Iqa)が完全に立ち下がる時点で丁度基準回転速度Frをゼロとするような変化率で徐々に立ち下げる。このようにして、本実施形態では、全速度域において安定したトルク制御が可能となり、また、低速度の速度検知の精度が向上することにより、零速度まで電気ブレーキ力のみで停止する全電気ブレーキ停止制御が可能になると共に、電気ブレーキ停止制御の精度の向上を図ることができる。
【0013】なお、ここでは、ブレーキ指令Bによる減速中に基準回転速度推定値(1)Frh1がまだ演算精度に充分な精度の得られる速度として設定する条件速度Frbに達したときに、基準回転速度推定値(2)Frh2に切り換えて基準回転速度Frに用いることについて説明したが、加速度推定値Acchの演算に失敗した場合、加速度指令値Accpを用いることで最低限の減速度を確保することができるので、条件速度Frbに達しても基準回転速度推定値(1)Frh1を基準回転速度Frとして用いてもよい。
【0014】図6は、本発明の電気車の制御装置の他の実施形態を示すブロック図である。図6において、図1の実施形態と異なる点は、図1の速度推定器(2)4の代わりに、ブレーキ指令フラグBがオンであり、基準回転速度推定値(1)Frh1がある速度条件を満たしたとき、以降の誘導電動機3の動作を規定する回転速度パターンを発生する速度指令器11を用いる点である。速度指令器11は、運転台1が出力するブレーキ指令フラグB、速度推定器(1)3が出力する基準回転速度推定値(1)Frh1、電流指令演算器2が出力する加速度指令値Accpを入力とし、これらの入力信号に基づいて基準回転速度パターンFrpを出力する。基準回転速度パターンFrpは、ブレーキ指令フラグBがオンであり、基準回転速度推定値(1)Frh1がある速度条件を満たしたとき、加速度指令値Accpに基づいて予め速度指令器11内に記憶させておく複数の速度パターンの中から1つを選択して出力する。停止制御演算器5は、運転台1が出力するブレーキ指令フラグB、速度推定値(1)3が出力する基準回転速度推定値(1)Frh1および速度推定器11が出力する基準回転速度パターンFrpを入力とし、これらの入力信号に基づいて基準回転速度Frおよびブレーキトルク立ち下げ信号sbを出力する。ここで、基準回転速度Frは、高速域では基準回転速度推定値(1)Frh1を出力し、ブレーキ指令フラグBがオンで減速中に基準回転速度推定値(1)Frh1の条件速度Frbに達したときに、基準回転速度パターンFrpに切り換えて出力する。また、図1の実施形態と同様に、ブレーキトルク立ち下げ信号sbは、ブレーキ指令フラグBがオンで減速中に基準回転速度Frが停止直前のある速度Fr0に達した時点でトルク電流パターンIqaを時間td(s)で立ち下がる指令である。ここで、トルク電流立ち下げ開始速度であるFr0およびトルク電流立ち下げ時間td(s)は乗り心地を確保しかつ確実に停止するように設定する。
【0015】図7に、本実施形態における速度指令器11の入出力信号の時間的関係を表す波形図を示す。ブレーキ投入によりブレーキ指令フラグBがオンすると、電流指令演算器2はトルク電流指令Iqaおよび図示しない励磁電流指令Idpを出力する。また、上述した(2)式に基づいて加速度指令値Accpを演算し、出力する。基準回転速度推定値(1)Frh1がまだ演算精度に充分な精度の得られる速度として設定する条件速度Frbに達した時点で、その時の加速度指令値Accpに基づいて予め速度指令器11内に記憶させておく複数の速度パターンの中から1つを選択し、基準回転速度パターンFrpとして出力する。
【0016】本実施形態は、これらの構成により、高速域では速度推定器(1)3が出力する基準回転速度推定値(1)Frh1を基準回転速度Frに用い、ブレーキ指令Bによる減速中に基準回転速度推定値(1)Frh1がまだ演算精度に充分な精度の得られる速度として設定する条件速度Frbに達したときに、つまり低速域では速度指令器11が出力する基準回転速度パターンFrpに切り換え、この基準回転速度パターンFrpを基準回転速度Frに用いる。そして、基準回転速度Frが停止直前のトルク電流立ち下げ開始速度である回転速度Fr0に達した時点でトルク電流パターンIqaを時間tdで立ち下げる指令すなわちブレーキトルク立ち下げ信号Sbを発し、td間でブレーキトルク立ち下げ信号Sb(これに比例するトルク電流指令Iqa)が完全に立ち下がる時点で丁度基準回転速度Frをゼロとするような変化率で徐々に立ち下げる。このようにして、本実施形態では、全速度域において安定したトルク制御が可能となり、また、低速度の速度検知の精度が向上することにより、零速度まで電気ブレーキ力のみで停止する全電気ブレーキ停止制御が可能になると共に、電気ブレーキ停止制御の精度の向上を図ることができる。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、電気車の制御装置の速度センサレスインバータ制御において速度零まで安定してトルク出力し、特に、ブレーキ制御において速度ゼロで完全に停止する電気ブレーキ解除タイミングを決定するために必要な速度推定を高精度に行うことができる。また、全速度域において安定したトルク制御が可能となり、また、低速度の速度検知の精度が向上することにより、零速度まで電気ブレーキ力のみで停止する全電気ブレーキ停止制御を可能にすると共に、電気ブレーキ停止制御の精度の向上を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成12年11月29日(2000.11.29)
【代理人】 【識別番号】100099302
【弁理士】
【氏名又は名称】笹岡 茂 (外1名)
【公開番号】 特開2002−171602(P2002−171602A)
【公開日】 平成14年6月14日(2002.6.14)
【出願番号】 特願2000−362490(P2000−362490)