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【発明の名称】 有軌道台車システム
【発明者】 【氏名】稲田 健一

【要約】 【課題】従来、給電線を保持する構造体側への磁束を遮蔽して渦電流が発生しないようにするために、高抵抗磁性材料のフェライトシートを受電ユニットに対向して配置していたが、磁束が減少することによって、ピックアップコイルに発生する電流も減少して、供給電力も低下して効率が悪くなっていた。

【解決手段】開口凹部を有する受電コア3を備えた有軌道台車13と、コア凹部の所定位置に給電線5を配置する給電線保持部を有する給電線ホルダ24とを備え、該給電線から受電コアを介して有軌道台車に非接触で給電するようにした有軌道台車システムであって、給電線ホルダの上記コア開口端近傍位置に給電線の長手方向に沿って磁性体30を取り付けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 開口凹部を有する受電コアを備えた有軌道台車と、コア凹部の所定位置に給電線を配置する給電線保持部を有する給電線ホルダとを備え、該給電線から受電コアを介して有軌道台車に非接触で給電するようにした有軌道台車システムであって、給電線ホルダの上記コア開口端近傍位置に給電線の長手方向に沿って磁性体を取り付けたことを特徴とする有軌道台車システム。
【請求項2】 前記給電線保持部を、前記凹部の奥側に位置するようにした請求項1記載の有軌道台車システム。
【請求項3】 前記受電コアは2個の凹部を有するE型コアから成り、給電線ホルダは該2個の凹部内に給電線保持部を配置すべく一対の平行な脚部を含み、前記磁性体はこの脚部間に横架するよう取り付けられている請求項1または請求項2記載の有軌道台車システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有軌道台車に非接触で電力を供給する非接触給電システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から工場や倉庫内等で物品を搬送するために、軌道上に搬送台車を走行させるようにした技術が知られている。これら搬送台車の駆動源としては、内燃機関やモーター等があるが、工場内等閉じられた空間内で作業するときに排気ガスを発生する内燃機関を用いた駆動源では環境を悪化させるため、通常はモーターが使用される。このモーターを作動させるための電力としてはバッテリー式と電線より供給する方式とがあるが、バッテリー式の場合、所定の工程(時間)ごとに充電する必要があるために、充電ステーションが設けられ、バッテリーに蓄えた電力を消費する度に充電ステーションに立ち寄り、そこで停止して充電を行う必要がある。このため、例えば工場内の搬送システムではこの充電のための時間が必ず必要となるため作業効率が悪くなっていた。
【0003】このような不具合を解消できるのが給電線方式であり、接触式と非接触式がある。接触式の給電線方式としては、電車やモノレール等に見られるように、給電線に対して常時給電用接触体を接触させて電力を供給するようにしているが、この方式では、接触部分が磨耗するためにメンテナンスが不可欠であり、定期的に接触部の部品を交換する必要がある。また、接触式の電力供給方式では、その接触部においてスパークが発生する恐れがあるため防爆エリアでは使用できない。また、接触部分が摩耗することにより金属粉が発生するので、この金属粉等の異物は不純物が混じる原因となるような半導体製造工場等のクリーンルームでは使用できないという問題もあった。
【0004】これに対して、非接触式の給電線方式では、接触部分がないために塵埃が発生せず、常時給電できることからクリーンルームで使用されるようになってきている。この非接触式給電方式の構造は、図3に示すように、軌道となるレールに沿って支持部材2を介して一対の給電線5・5が架設されている。該給電線5・5を囲む如く、略E字状のコア3を設け、該コア3は搬送台車側に固定し、該コア3にピックアップコイル4を巻いて受電ユニット9を構成し、給電線5・5に交流電流が流れることによって、ピックアップコイル4に電流が生じて、搬送台車のモーター等に電力を供給するようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この電力を供給するときに、給電線5・5に交流電流が流れることによって、その周囲及びコア3に矢印の如く磁束が発生するが、給電線5・5を支持する側のレール等の構造体6が金属等の導電体で構成されていると、この磁束が構造体6を通るときに渦電流が発生し、損失となっていた。特に鉄のような強磁性体ではその損失が非常に大きく給電特性が著しく低下していた。
【0006】この渦電流が発生しないように、従来では、構造部材において上記受電ユニット9と対向している面に高抵抗磁性材料7を設け、給電線5・5に電流を流すことによって生成される磁束は、受電ユニット9のコア3と該高抵抗磁性材料7とによって形成される閉磁路を流れ、電流によって生成される磁束は、表皮効果により上記高抵抗磁性材料7の内部方向へ浸透することがないようにしていた。
【0007】上記高抵抗磁性材料7は電気抵抗が大きいため電流が流れ難くなり、その内部において磁束の変化が発生しても渦電流は流れ難くなり、損失が小さくなり、構造体6内への磁束の浸入を防ぐ。この結果、磁束を遮蔽することができ構造体6において渦電流が発生することはない。
【0008】しかしながら、高抵抗磁性材料7は、構造体6のコア側表面に添設されるため、コア3と構造体6とのギャップが大きく、給電効率が悪くなると言う問題があった。そこで、本発明は給電特性が向上する給電線ホルダを備えた有軌道台車システムを提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。即ち、請求項1においては、開口凹部を有する受電コアを備えた有軌道台車と、コア凹部の所定位置に給電線を配置する給電線保持部を有する給電線ホルダとを備え、該給電線から受電コアを介して有軌道台車に非接触で給電するようにした有軌道台車システムであって、給電線ホルダの上記コア開口端近傍位置に給電線の長手方向に沿って磁性体を取り付けた。
【0010】また、請求項2においては、前記給電線保持部を、前記凹部の奥側に位置するようにした。
【0011】また、請求項3においては、前記受電コアは2個の凹部を有するE型コアから成り、給電線ホルダは該2個の凹部内に給電線保持部を配置すべく一対の平行な脚部を含み、前記磁性体はこの脚部間に横架するよう取り付けられているものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例の非接触給電システムについて図面を参照しながら説明する。給電線を用いた非接触電力供給方式について、図1および図2を参照しながら説明する。
【0013】図1は、給電線から非接触で電力を供給する方式の有軌道台車システムを模式的に示す図である。図1において、軌道12は、搬送台車13の移動経路に敷設されており、その軌道12に沿って銅線などの導電線を絶縁材料で被覆した給電線5が配置され、軌道12側部に複数のステーション10・10が配置され、搬送台車13がステーション10・10間を移動して一方のステーション10から他方のステーション10へ物品を搬送できるようにしている。
【0014】前記給電線5・5の一端には交流電源11が設けられ、所定の周波数で電力を供給できるようにしている。搬送台車13は軌道12上を往復するよう、また軌道12が環状に構成される場合はこれを循環するように設置されており、交流電源11から供給される高周波電流によりモータを駆動して走行するようにしている。該搬送台車13は、給電線5から電力を得るための受電ユニット9を有し、その受電ユニット9が取り出す電力を利用して軌道12上を移動する。
【0015】図2は、本発明の有軌道台車システムの受電ユニット9の断面図であり、給電方法及び受電ユニット9と給電線5の構成を説明する。軌道12を構成するレール20が床21上に固定され、該レール20上を搬送台車13の車輪23がモーターの駆動によって走行する。
【0016】前記レール20上には断面視略U字型の給電線ホルダ24がレール20に沿って長手方向に固定され、該給電線ホルダ24上端に上方を開放したC字状の給電線保持部24a・24aが形成され、該給電線保持部24a・24aに一対の往路と復路となす給電線5・5が架設されている。
【0017】前記給電線5を囲むように受電ユニット9が配置されており、該受電ユニット9はブラケット26が搬送台車13に固定され、該ブラケット26には図示しないガイドローラが取り付けられて、該ガイドローラがレール20または給電線ホルダ24に当接するように配置して、両者の位置決めをしてレール20に沿って走行する時に互いに干渉せず所定の間隔を保ちながら走行できるようにしている。前記受電ユニット9のブラケット26内には、断面が略E字型をしたフェライト製のコア3が固定され、該コア3の中央の突出部3aにピックアップコイル4が巻かれている。
【0018】コア3は、両側の突出部3b・3bとその間の中央の突出部3aの間に形成した2つの空間(凹部)において、開口側と反対側寄り、つまり閉塞側(奥側)の空間の図における左右略中央内に給電線保持部24a・24aを位置させて、給電線5・5をそれぞれ一本ずつ収納するようにしている。この給電線5・5に高周波電流を流すことによって生成する交番磁界を、ピックアップコイル4で受けるようにしている。そして、電磁誘導現象を利用し、受電ユニット9が、その磁束の変化によってピックアップコイル4に発生する電圧から電力を取り出す。このようにして、給電線5から受電ユニット9に非接触で電力を供給し、走行用のモーターを駆動したり、制御機器に電力を供給したりする。
【0019】そして、本発明では、前記給電線ホルダ24の内側の上下中途部に略水平方向に対向して棚部24b・24bを形成している。ただし、該棚部24bは両側を繋いだ一枚のプレートととしてもよいが、後述する冷却効果を高めるために分離したほうが好ましい。該棚部24上面には搬送台車3が所定位置で停止できるようにするためのマークが設けられる。
【0020】この棚部24b・24b上に磁性体30を固定している。但し、給電線ホルダ24の内側に磁性体30を直接横架する構成とすることもできる。該磁性体30は給電線ホルダと共に、長手方向に延設されて、磁性体30が前記コア3の下端近傍位置となるように配置されている。つまり、磁性体30の上面はできるだけ前記コア3の開口端下方に近づけた位置となるように配置されている。この磁性体30は、レール20等の構造体の向きや形状に合わせて設けられ、コア3の突出部3a・3b間のコアギャップをできる限り狭くするように配置しつつ、搬送台車13の走行に伴うコア3の移動を妨げないように設けることが肝心である。特に、給電線ホルダ24の、コア3の突出部3a・3bと、レール20等の構造体との間で、突出部3a・3bにコア3の移動を妨げない限り近づけた位置に設けることが好ましい。
【0021】この磁性体30は、特に、高透磁率材料が好ましく、材質としてはフェライトが好ましいが、低炭素鋼板やケイ素鋼板であってもかまわない。また、発熱のおそれがある搬送台車13の停止位置付近のみをフェライトで構成することも可能である。
【0022】また、磁性体30の下面には足部(脚部)30a・30a・・・が設けられている。該足部30aは前記棚部24b上からコア3下端までの間で磁性体30を所定高さに調節して持ち上げるようにするとともに、磁性体30の背面側とレール20等の構造体との間に空間が形成されるようにしたものである。また、足部30aをフィン状に形成したのは、磁性体の補強と、台車が受電状態で長時間停止した時に放熱して発熱を抑えるためである。
【0023】このような構成において、給電線5(給電線5a・5bとする)に流れる高周波電流の方向が、ある瞬間において図2に示すような状態であったとすると、その電流によって生成される磁束の向きは、矢印で示す方向になる。すなわち、各給電線5a・5bの回りを互いに逆方向に周回するような磁束が形成される。このとき、例えば給電線25aによって生成される磁束は、コア3の内部を透過し、中央の突起部3aの先端部から出て、端部の突起部3bの先端部に到達することによって1周する。
【0024】この突起部3aの先端部から出る磁束の一部は磁性体30を通過する。つまり、磁性体30は高透磁率材料としているために磁束が通過し易く、突起部3aの先端部との間のギャプは小さい為に、より多くの磁束が磁性体30を通ろうとする。このため、コア3に対向する金属等でできたレール20等の構造部材等があっても磁束がレール20等にまで至らず、これにより渦電流損失を小さくでき、レール20等の発熱を抑えることができるのである。特に、本実施例では、磁性体30とレール20との間に空間が形成されているため、より確実にレール20が発熱するのを防ぐことができるようになっている。
【0025】また、磁束が増加することによって磁束に比例した電流がピックアップコイル4に流れることになり、搬送台車13に供給できる電力も増加することができるのである。特に、磁性体30をフェライトで構成することによって、低損失となり、電流が流れ難く、渦電流の発生をより確実に抑制し、給電特性をより向上させることができるとともに、レール20等の発熱をより抑えることができる。
【0026】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、以下の効果を奏するものである。即ち、請求項1の如く、開口凹部を有する受電コアを備えた有軌道台車と、コア凹部の所定位置に給電線を配置する給電線保持部を有する給電線ホルダとを備え、該給電線から受電コアを介して有軌道台車に非接触で給電するようにした有軌道台車システムであって、給電線ホルダの上記コア開口端近傍位置に給電線の長手方向に沿って磁性体を取り付けたので、コアギャップが小さくなり、ピックアップ可能な電力が増加する。このため、給電効率を向上することができた。
【0027】また、請求項2の如く、前記給電線保持部を、前記凹部の奥側に位置するようにしたので、凹部の中心よりもより給電効率が高くなる。
【0028】また、請求項3の如く、磁性体が給電線ホルダの脚部に横架するよう取り付けられているので、コアと磁性体との距離をより至近にすることができる。更に、結果的に磁性体の背面に空間が出来ることになるから、台車が受電状態で長時間停止した際の発熱を冷却する効果も期待できる。
【出願人】 【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
【出願日】 平成12年11月27日(2000.11.27)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2002−165302(P2002−165302A)
【公開日】 平成14年6月7日(2002.6.7)
【出願番号】 特願2000−359403(P2000−359403)