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【発明の名称】 移動体への非接触給電システム
【発明者】 【氏名】村田 究

【氏名】植平 眞

【要約】 【課題】給電線の長さを略半分にし、コストダウンを実現することができるとともに、給電線の抵抗損失及び渦電流による損失を低減させることができる移動体への非接触給電システムを提供する。

【解決手段】2線の走行路9,9間の中央部に、案内レール7,7と平行に、断面がコの字形状をなす給電線支持部5が、開口部を上に向けた状態で設けられている。給電線支持部5の各上端面には、リッツ線からなる給電線6,6が取り付けられている。そして、各給電線6に対応させて、移動体1,1の側面に、ピックアップコイル2a,2aが巻かれたピックアップコア2,2が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 移動体の走行路を平行に複数設けてあり、前記走行路に沿って設けられた給電線を流れる電流によって生ずる磁束を、各移動体に設けられた、コイルが巻かれたピックアップコアに鎖交させ、前記給電線から前記コイルを介して移動体の負荷に電力を供給すべくなしてある、移動体への非接触給電システムにおいて、走行路2線毎に、各走行路に対応させて、直列に接続された給電線を各1本設け、各給電線に対応させて各走行路の移動体に前記ピックアップコアを設けてあることを特徴とする移動体への非接触給電システム。
【請求項2】 走行路と走行路との間に前記給電線が設けてある請求項1記載の移動体への非接触給電システム。
【請求項3】 前記ピックアップコアは、断面がC字形を有する請求項1又は2記載の移動体への非接触給電システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波の交流電源に接続された一次側回路の給電線から、これと物理的に非接触の状態で磁気結合させた二次側回路のコイルを介して移動体の負荷に給電を行うようにした移動体への非接触給電システムに関する。
【0002】
【従来の技術】案内レールに沿って移動する移動体により荷物の搬送を行う搬送システムが種々実施されており、工場内、倉庫内の物流の効率化が図られている。一般に、このような移動体の走行には走行用モータが使用されており、この走行用モータへの駆動電力は、案内レールに沿って敷説されている給電線を介して供給される。
【0003】この給電方法には、トロリー式と非接触方式とがある。トロリー式は、移動体側に設けた集電子を、移動体の走行路に架設した給電線に接触させて給電する方式である。一方、非接触方式は、給電線に対向させて移動体に、コイルが巻かれたピックアップコアを設け、前記コイルに誘導起電力を発生させて交流電力を得る方式である。トロリー式は、給電線との摺接に伴い、集電子が摩耗して塵芥が発生したり、火花が発生したりするという問題を有しており、給電不良に対処するために定期的な保守作業が必要であった。非接触方式においてはこのような問題がないので、非接触方式の給電装置が多用されている。
【0004】図5は、従来の非接触給電システムを示す平面図、図6は正面図であり、図中19は走行路である。走行路19には案内レール17,17が設けられており、この案内レール17,17の上端面を移動体11の車輪13,13が転動すべくなしてある。図5に示したように、走行路19は、平行に2線設けられている。案内レール17,17間の中央部には、案内レール17,17と平行に給電線設置板14が設けられており、給電線設置板14上には、断面がコの字形状をなす給電線支持部15が、開口部を上に向けた状態で設けられている。給電線支持部15の各上端面には、高周波電源18に接続された、リッツ線からなる給電線16,16が取り付けられている。この給電線16,16は走行路19の一端側で直列に接続されており、2線の走行路19,19の隣合う側の給電線16,16は、走行路19,19の他端側で直列に接続されている。
【0005】移動体11の底面の中央部には、磁性材製であり、断面がE字形状をなすピックアップコア12が、開口部を下に向けた状態で配されている。ピックアップコア12の中央部の脚部には、リッツ線からなるピックアップコイル12aが巻回されている。ピックアップコイル12aは、給電線16,16間に配される。ピックアップコイル12aの両端は、図示しない受電回路を介して移動体11のモータを含む動力回路及び制御回路に接続されている。
【0006】この非接触給電システムにおいては、給電線16に高周波電流を流してその周囲に磁界を形成させることにより、移動体11側のピックアップコイル12aに起電力が生じて、移動体11の負荷へ電力が供給される。
【0007】以上のように、従来の非接触給電システムにおいては、高周波電源18との配線長さ及び電界強度等を考慮して、走行路19の中央部に、給電線16を平行に2本配していた。しかしながらこの非接触給電システムにおいては、走行路19が平行に2線設けられた場合、給電線16が4本分必要となり、給電線16の長さが長くなるので、給電線16の費用等のコストが高くなる、抵抗損失等の損失が増加するという問題が生じていた。
【0008】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、2線の走行路毎に、各走行路に対応させて、直列に接続された給電線を各1本設け、各給電線に対応させて各走行路の移動体にピックアップコアを設けることにより、従来と比較して給電線の長さが略半分となって、コストダウンを実現することができるとともに、給電線の抵抗損失及び渦電流による損失、並びに周囲電界強度を低減させることができる移動体への非接触給電システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1発明の移動体への非接触給電システムは、移動体の走行路を平行に複数設けてあり、前記走行路に沿って設けられた給電線を流れる電流によって生ずる磁束を、各移動体に設けられた、コイルが巻かれたピックアップコアに鎖交させ、前記給電線から前記コイルを介して移動体の負荷に電力を供給すべくなしてある、移動体への非接触給電システムにおいて、走行路2線毎に、各走行路に対応させて、直列に接続された給電線を各1本設け、各給電線に対応させて各走行路の移動体に前記ピックアップコアを設けてあることを特徴とする。
【0010】第1発明においては、平行に移動する2台の移動体に対して給電線を2本(1往復)配置すればよく、従来と比較して給電線の長さが略半分となるので、給電線費用、給電線設置板等の給電線設置部材の費用、及び設置工事時間が半減する。そして、給電線長さが略半分となるので、給電線抵抗損失及び周囲部材における渦電流損失が略半減し、その結果、高周波電源の容量も低減化させることができる。
【0011】第2発明の移動体への非接触給電システムは、第1発明において、走行路と走行路との間に前記給電線が設けてあることを特徴とする。第2発明においては、従来の非接触給電システム1つ分の断面スペースで2台の移動体の給電が可能であるので、システムの小型化を実現することができるとともに、周辺電界強度を低減させることができる。この周辺電界強度の低減効果は、2本の給電線の間隔が狭い程、大きくなる。
【0012】第3発明の非接触給電システムは、第1発明において、前記ピックアップコアが、断面がC字形を有することを特徴とする。ここで、「C字形」として、「コの字形」も含む。第3発明においては、給電の効率が良好である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.図1は、本発明の実施の形態1に係る非接触給電システムを示す平面図、図2は正面図であり、図中9は走行路である。走行路9には案内レール7,7が設けられており、案内レール7,7の上端面を移動体1の車輪3,3が転動すべくなしてある。図1に示したように、走行路9は、平行に2線設けられている。2線の走行路9,9間の中央部には、案内レール7,7と平行に給電線設置板4が設けられており、給電線設置板4上には、断面がコの字形状をなす給電線支持部5が、開口部を上に向けた状態で設けられている。給電線支持部5の各上端面には、高周波電源8に接続された、リッツ線からなる給電線6,6が取り付けられている。この給電線6,6は走行路9の端部で直列に接続されている。
【0014】一方の移動体1の給電線6に向かう側面の下部には、磁性材製であり、断面がコの字形状をなすピックアップコア2が、開口部を下に向けた状態で設けられている。ピックアップコア2の中央部には、リッツ線からなるピックアップコイル2aが巻回されている。他方の移動体1の給電線6に向かう側面の下部には、ピックアップコア2が、開口部を下に向けた状態で配されている。ピックアップコイル2aの両端は、図示しない受電回路を介して、移動体1のモータを含む動力回路及び制御回路に接続されている。
【0015】この非接触給電システムにおいては、給電線6に高周波電流を流してその周囲に磁界を形成させることにより、移動体1のピックアップコイル2aに起電力が生じて、移動体1の負荷へ電力が供給される。
【0016】この実施の形態の非接触給電システムにおいては、隣接して、平行に移動する2台の移動体1に対して給電線6が2本分(1往復)あればよく、従来と比較して給電線6の長さが略半分となるので、給電線6の費用、給電線設置板4及び給電線支持部5等の給電線設置部材の費用、及び設置工事時間が半減する。そして、給電線6の長さが略半分となるので、給電線6の抵抗損失及び周囲部材における渦電流損失が略半減し、その結果、高周波電源8の容量も低減化させることができる。また、従来の非接触給電システム1つ分の断面スペースで2台の移動体1への給電が可能であるので、システムの小型化を実現することができるとともに、周辺電界強度を低減させることができる。この周辺電界強度の低減効果は、給電線6,6の間隔を狭くする程、大きくなる。
【0017】実施の形態2.図3は、本発明の実施の形態2に係る非接触給電システムを示す正面図であり、図中、図1及び図2と同一部分は同一符号を付してある。この実施の形態2においては、移動体1の走行路は、上下に平行に2線設けられている。壁10の2線の走行路9,9間の中央部に対応する位置には、断面がT字形状をなす給電線支持部5が、平面部5aを走行路9に向けた状態で取り付けられている。給電線支持部5の平面部5aの上部及び下部には、高周波電源8に接続された、リッツ線からなる給電線6,6が取り付けられている。この給電線6,6は走行路9の端部で直列に接続されている。
【0018】平面部5aの上部に取り付けられた給電線6に対応する側の移動体1の側面の下部には、磁性材製であり、断面がコの字形状をなすピックアップコア2が、開口部を下に向けた状態で設けられている。ピックアップコア2の中央部には、リッツ線からなるピックアップコイル2aが巻回されている。平面部5aの下部に取り付けられた給電線6に対応する側の移動体1の側面の上部には、ピックアップコア2が、開口部を上に向けた状態で設けられている。ピックアップコイル2aの両端は、図示しない受電回路を介して、移動体1のモータを含む動力回路及び制御回路に接続されている。
【0019】この実施の形態の非接触給電システムにおいては、上下に、平行移動する2台の移動体1に対して給電線6が2本分(1往復)あればよく、従来と比較して給電線6の長さが略半分となるので、実施の形態1と同様に、給電線6の費用、給電線支持部5等の給電線設置部材の費用、及び設置工事時間が半減する。そして、給電線6の抵抗損失及び周囲部材における渦電流損失が略半減し、システムの小型化を実現することができるとともに、周辺電界強度を低減させることができる。
【0020】実施の形態3.図4は、本発明の実施の形態3に係る非接触給電システムを示す平面図であり、図中、図1と同一部分は同一符号を付してある。この実施の形態3においては、移動体1の走行路9は平行に4線設けられており、2線の走行路9毎に、該走行路9,9間に、直列に接続された給電線6が2本設けられている。そして、各給電線6,6に対応させて、移動体1,1にピックアップコア2,2が設けられている。
【0021】この実施の形態3においては、1台の高周波電源8から、一度に4台の移動体1に給電する。この非接触給電システムにおいては、平行に移動する移動体4台に対して給電線6が4本分(1往復)あればよく、従来と比較して給電線6の長さが略半分となる。なお、給電線6の長さ及び電力を考慮し、1台の高周波電源8の給電能力を超える場合には、2台の高周波電源8により給電することにしてもよい。
【0022】以上のように、本発明の非接触給電システムにおいては、横方向に、又は上下方向に平行に設けられた2線の走行路9毎に、該走行路9,9間に、給電線6,6を配置するので、従来と比較して給電線の長さが略半分となり、コストダウン、抵抗損失の低減、装置の小型化及び周辺電界強度の低減を実現することができる。
【0023】なお、前記実施の形態においては、ピックアップコイル2aがコの字形断面を有する場合につき説明しているが、これに限定されるものではなく、他のC字形断面等、他の断面形状を有するものであってもよい。但し、断面がコの字形等のC字形を有する場合、給電効率が良好であるので、好ましい。
【0024】また、前記実施の形態においては、移動体1が案内レール7,7上を走行する場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、モノレール方式の案内レール7に移動体1が懸架されるものであってもよい。この場合も、各案内レール7に対応させて給電線6を各1本設け、各給電線6に対応させて各移動体1にピックアップコア2を設ける。
【0025】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明においては、平行に設けられた2線の走行路毎に、各走行路に対応させて、給電線を各1本設ければよく、従来と比較して給電線の長さが略半分となるので、給電線費用、給電線設置板等の給電線設置部材の費用、及び設置工事時間が半減する。そして、給電線長さが略半分となるので、給電線抵抗損失及び周囲部材における渦電流損失が略半減し、その結果、高周波電源の容量も低減化させることができる。さらに、従来の非接触給電システム1つ分の断面スペースで2台の移動体の給電が可能であるので、システムの小型化を実現することができるとともに、周辺電界強度を低減させることができる。そして、ピックアップコアの断面がC字形を有する場合、給電の効率が良好である。
【出願人】 【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
【出願日】 平成12年11月24日(2000.11.24)
【代理人】 【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
【公開番号】 特開2002−165301(P2002−165301A)
【公開日】 平成14年6月7日(2002.6.7)
【出願番号】 特願2000−358003(P2000−358003)