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【発明の名称】 電気自動車の起動システム
【発明者】 【氏名】錦織 秀隆

【氏名】山本 一郎

【要約】 【課題】電気自動車の起動時の速やかな発進を可能とする。

【解決手段】起動システム10は、走行するか否かを予測するためのドアスイッチ12と、負荷14内のコンデンサ16への充電及び放電を実行するプリチャージ回路18及びディスチャージ回路20と、ドアスイッチ12によって走行が予測されるとプリチャージ回路18を介してコンデンサ16を充電させる制御手段22とを備えたものである。そのため、運転者がイグニションスイッチ34をオンにした時には、既にコンデンサ16が十分に充電されているので、直ちに発進することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行するか否かを予測するための走行予測手段と、負荷内のコンデンサへの充電及び放電を実行する充放電手段と、前記走行予測手段によって走行が予測されると前記充放電手段を介して前記コンデンサを充電させる制御手段と、を備えた電気自動車の起動システム。
【請求項2】 前記制御手段は、前記走行予測手段によって走行が予測されてから一定時間、起動用のキースイッチがオンにならなければ、前記充放電手段を介して前記コンデンサを放電させる、請求項1記載の電気自動車の起動システム。
【請求項3】 前記制御手段は、起動用のキースイッチがオフになり、かつ前記走行予測手段によって走行が予測されなくなった場合に、前記充放電手段を介して前記コンデンサを放電させる、請求項1又は2記載の電気自動車の起動システム。
【請求項4】 前記制御手段は、起動用のキースイッチがオフになってから一定時間経過すれば、前記走行予測手段によって走行が予測されていても、前記充放電手段を介して前記コンデンサを放電させる、請求項1,2又は3記載の電気自動車の起動システム。
【請求項5】 前記走行予測手段は、ドアの開閉を検知するドアスイッチである、請求項1,2,3又は4記載の電気自動車の起動システム。
【請求項6】 前記走行予測手段は、座席に人が座ったことを検知するセンサである、請求項1,2,3又は4記載の電気自動車の起動システム。
【請求項7】 前記走行予測手段は、車内に人が入ったことを検知するセンサである、請求項1,2,3又は4記載の電気自動車の起動システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車の起動時に負荷のコンデンサへ速やかに充電するための起動システムに関する。なお、ここでいう「電気自動車」には、純電気自動車の他にハイブリット電気自動車も含まれるものとする。
【0002】
【従来の技術】モータを中心とする負荷には、ノイズを吸収したり電源電圧の変動を吸収したりするための大容量のコンデンサが接続されている。従来の電気自動車では、運転者がキースイッチをオンすることにより、負荷内のコンデンサへのプリチャージが始まり、プリチャージ完了後にメインリレーがオンすることにより走行可能状態になる。したがって、キースイッチをオンしてから走行可能になるまでに、コンデンサの充電に要する時間すなわち5〜10秒もの時間がかかっていた。また、停止時には、キースイッチをオフすると、即座に負荷内のコンデンサが放電される。したがって、次の起動時には再びプリチャージの動作から始まるため、キースイッチのオン後の速やかな発進ができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような問題を解決することを目的とした従来技術が、特開平9−149509号公報に開示されている。この従来技術は、運転席のキーシリンダにキーが差し込まれると、キースイッチをオンにしなくても、コンデンサへのプリチャージが始まるというものである。これにより、キーシリンダにキーを差し込んでからキースイッチをオンにするまでの時間だけ、確かに短縮できることになる。しかしながら、その時間はわずか1,2秒に過ぎないので、依然として不便さは解決されていない。
【0004】
【発明の目的】そこで、本発明の目的は、起動時の速やかな発進を可能とする、電気自動車の起動システムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電気自動車の起動システムは、走行するか否かを予測するための走行予測手段と、負荷内のコンデンサへの充電及び放電を実行する充放電手段と、走行予測手段によって走行が予測されると充放電手段を介してコンデンサを充電させる制御手段とを備えたものである(請求項1)。
【0006】運転者が例えば車外からドアを開くことは、ほとんどが走行しようとする場合を意味する。したがって、ドアが開くことにより、走行を予測することができる。本発明における制御手段は、キースイッチがオンになる前に、走行が予測された段階で、コンデンサを充電させる。したがって、運転者がキースイッチをオンにした時には、既にコンデンサが十分に充電されているので、直ちに発進することができる。
【0007】また、制御手段は、走行予測手段によって走行が予測されてから一定時間、起動用のキースイッチがオンにならなければ、充放電手段を介してコンデンサを放電させる、としてもよい(請求項2)。
【0008】運転者が例えば車外からドアを開いても、必ずしも走行するとは限らない。例えば、車内から荷物を取り出す場合や、車内に入って休む場合もある。このような場合、コンデンサを充電させたままでいると、その状態を維持するために電力を消費することになる。そこで、走行が予測されても一定時間キースイッチがオンにならなければ、コンデンサを放電させることにより、省電力化が図れる。
【0009】更に、制御手段は、起動用のキースイッチがオフになり、かつ走行予測手段によって走行が予測されなくなった場合に、充放電手段を介してコンデンサを放電させる、としてもよい(請求項3)。
【0010】起動用のキースイッチがオフになっても、必ずしも停止し続けるとは限らない。例えば、車内で少し休んで再び走行する場合もある。このような場合、キースイッチがオフになるのと同時にコンデンサを放電してしまうと、再び走行しようとする時、キースイッチがオンになってからコンデンサを充電し始めるので、走行までに時間がかかってしまう。そこで、キースイッチがオフになっただけではコンデンサを放電させずに、なおかつ走行が予測されなくなってからコンデンサを放電させる。これにより、キースイッチをオフにして再びオンにしても、直ちに発進することができる。
【0011】更にまた、制御手段は、起動用のキースイッチがオフになってから一定時間経過すれば、走行予測手段によって走行が予測されていても、充放電手段を介してコンデンサを放電させる、としてもよい(請求項4)。
【0012】起動用のキースイッチがオフになって、なおかつ走行が予測されていても、必ずしもすぐに走行するとは限らない。例えば、車内で長時間休む場合もある。このような場合、あまりにも長い時間コンデンサを充電させたままでいると、その状態を維持するための電力を看過できなくなる。そこで、走行が予測されても一定時間経過すれば、コンデンサを放電させることにより、省電力化が図れる。
【0013】また、走行予測手段は、ドアの開閉を検知するドアスイッチ、座席に人が座ったことを検知するセンサ、車内に人が入ったことを検知するセンサ等によって実現することができる(請求項5〜7)。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る起動システムの一実施形態を示すブロック図である。以下、この図面に基づき説明する。
【0015】本実施形態の起動システム10は、走行するか否かを予測するための走行予測手段としてのドアスイッチ12と、負荷14内のコンデンサ16への充電及び放電を実行する充放電手段としてのプリチャージ回路18及びディスチャージ回路20と、ドアスイッチ12によって走行が予測されるとプリチャージ回路18を介してコンデンサ16を充電させる制御手段22(コントロ−ラ24の機能の一部)とを備えたものである。
【0016】また、制御手段22は、次の三つの機能も備えている。■.ドアスイッチ12によって走行が予測されてから一定時間、イグニションスイッチ34がオンにならなければ、ディスチャージ回路20を介してコンデンサ16を放電させる。■.イグニションスイッチ34がオフになり、かつドアスイッチ12によって走行が予測されなくなった場合に、ディスチャージ回路20を介してコンデンサ16を放電させる。■.イグニションスイッチ34がオフになってから一定時間経過すれば、ドアスイッチ12によって走行が予測されていても、ディスチャージ回路20を介してコンデンサ16を放電させる。
【0017】コントロ−ラ24は、起動システム10の制御手段22としての機能の他にも、多くの機能を兼ね備えている。以下、起動システム10と直接関係がない部分については、説明を簡略化する。また、抵抗器の多くについては説明を省略する。
【0018】コントロ−ラ24は、各種のプログラムを内蔵したCPU(マイクロコンピュータ)26、CPU26用の低電圧電源としての電源部28、スイッチとして動作するトランジスタTR1〜TR7、逆流防止用のダイオードD1〜D5、バッテリ30の電力を電源部28へ供給するリレーRY等を備えている。CPU26には、入力端子I1,I2,I3と出力端子O1,O2,O3,O4とが設けられている。
【0019】コントロ−ラ24の入力側には、ドアスイッチ12の他に、低電圧系のバッテリ30、ドア開で点灯しドア閉で消灯するルームランプ32、起動用キースイッチとしてのイグニションスイッチ34等が設けられている。ドアスイッチ12は、ドア開のときに閉となり、ドア閉のときに開となる。
【0020】コントロ−ラ24の出力側には、プリチャージ回路18及びディスチャージ回路20の他に、高電圧系のバッテリ36、バッテリ36の電力を負荷14へ供給するコンタクタ38、バッテリ36及びコンデンサ16の電圧を検出する電圧検出器40等が設けられている。プリチャージ回路18は、コンデンサ16充電用のリレー181、充電電流制限用の抵抗器182等を備えている。ディスチャージ回路20は、コンデンサ16放電用のリレー201、放電電流消費用の抵抗器202等を備えている。
【0021】CPU26の入力端子I1は、ドアの開閉すなわちドアスイッチ12の開閉に応じた信号を入力する。ドア開のときは、ドアスイッチ12閉、トランジスタTR1,TR2オン、ダイオードD4導通となるので、入力端子I1にはローレベル電圧が入力される。逆に、ドア閉のときは、ドアスイッチ12開、トランジスタTR1,TR2オフ、ダイオードD4非導通となるので、入力端子I1にはハイレベル電圧が入力される。CPU26の入力端子I2は、イグニションスイッチ34の開閉に応じた信号を入力する。イグニションスイッチ34開のときは、トランジスタTR3オフ、ダイオードD5非導通となるので、入力端子I2にはハイレベル電圧が入力される。逆に、イグニションスイッチ34閉のときは、トランジスタTR3オン、ダイオードD5導通となるので、入力端子I2にはローレベル電圧が入力される。CPU26の入力端子I3は、電圧検出器40を介してコンデンサ16の電圧に応じた信号を入力する。
【0022】CPU26の出力端子O1は、コンタクタ38の動作を制御する。出力端子O1の出力電圧がハイレベルのとき、トランジスタTR5オン、コンタクタ38の接点閉となる。逆に、出力端子O1の出力電圧がローレベルのとき、トランジスタTR5オフ、コンタクタ38の接点開となる。CPU26の出力端子O2は、プリチャージ回路18の動作を制御する。出力端子O2の出力電圧がハイレベルのとき、トランジスタTR6オン、リレー181の接点閉となる。逆に、出力端子O2の出力電圧がローレベルのとき、トランジスタTR6オフ、リレー181の接点開となる。CPU26の出力端子O3は、ディスチャージ回路20の動作を制御する。出力端子O3の出力電圧がハイレベルのとき、トランジスタTR7オン、リレー201の接点閉となる。逆に、出力端子O3の出力電圧がローレベルのとき、トランジスタTR7オフ、リレー201の接点開となる。CPU26の出力端子O4は、電源部28の動作を制御する。出力端子O4の出力電圧がハイレベルのとき、トランジスタTR4オン、ダイオードD2導通、リレーRYの接点閉となる。逆に、出力端子O4の出力電圧がローレベルのとき、トランジスタTR4オフ、ダイオードD2非導通、リレーRYの接点開となる。
【0023】図2は、起動システム10における走行開始時の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図1及び図2に基づき、コントロ−ラ24の動作を中心に説明する。
【0024】まず、運転者が車を使用するために車外からドアを開けると、ドアスイッチ12閉、TR1,TR2オン、ダイオードD3導通、リレーRYの接点閉となって、電源部28が動作し始めることにより、コントロ−ラ24も動作し始める(ステップ101,102)。これと同時に、CPU26の出力端子O4からハイレベルの電圧を出力することにより、トランジスタTR4オン、ダイオードD2導通とし、リレーRYの接点閉を保持する。そして、CPU26の出力端子O2からハイレベルの電圧を出力することにより、トランジスタTR6オン、リレー181の接点閉とし、プリチャージ回路18の動作を開始させる(ステップ103)。続いて、電圧検出回路40を介してCPU26の入力端子I3からコンデンサ16の電圧を入力し、この電圧が所定値に達したら(ステップ104)、CPU26の出力端子O2からローレベルの電圧を出力することにより、プリチャージ回路18の動作を終了させる(ステップ105)。続いて、CPU26の出力端子O1からハイレベルの電圧を出力することにより、コンタクタ38の接点を閉とする(ステップ106)。
【0025】このまま待機し(ステップ107)、運転者がイグニションスイッチ34をオンすると(ステップ108)、トランジスタTR3オン、ダイオードD5導通となって、CPU26の入力端子I2の入力電圧がローレベルになる。これにより車両が走行可能状態となる(ステップ109)。運転者がイグニションスイッチ34をオンにした時には、既にコンデンサ16が充電されているので、直ちに発進することができる。
【0026】一方、時間A分が経過しても、イグニションスイッチ34がオンにならなければ(ステップ107,108)、CPU26の出力端子O1からローレベルの電圧を出力することにより、コンタクタ38の接点を開とする(ステップ110)。続いて、CPU26の出力端子O3からハイレベルの電圧を出力することにより、トランジスタTR7オン、リレー201の接点閉とし、ディスチャージ回路20を動作させる(ステップ111)。続いて、電圧検出回路40を介してCPU26の入力端子I3からコンデンサ16の電圧を入力し、この電圧が所定値に達したら(ステップ112)、CPU26の出力端子O4からローレベルの電圧を出力することにより、リレーRYの接点を開にする(ステップ113)。これにより、電源部28から電源電圧が供給されなくなるので、コントロ−ラ24の動作が終了する。なお、ステップ101でドアの開閉が検出されなくても、イグニションスイッチ34がオンになれば、ステップ102以降の処理が実行される(ステップ114)。
【0027】運転者が車外からドアを開いても、車内から荷物を取り出す場合や、車内に入って休む場合もある。このような場合、コンデンサ16を充電させたままでいると、その状態を維持するために電力を消費することになる。そこで、運転者がドアを開いてから時間A分が経過してもイグニションスイッチ34がオンにならなければ、コンデンサ16を放電させる(ステップ101〜107,110〜113)。
【0028】図3は、起動システム10における走行終了時の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図1及び図3に基づき、コントロ−ラ24の動作を中心に説明する。
【0029】まず、運転者がイグニションスイッチ34をオフすると、トランジスタTR3オフ、ダイオードD5非導通となって、CPU26の入力端子I2の入力電圧がハイレベルになる。これにより車両が走行不能状態となる(ステップ201)。続いて、運転者が車内からドアを開けると、ドアスイッチ12閉、TR1,TR2オン、ダイオードD4導通となって、CPU26の入力端子I1の入力電圧がハイレベルになる。これにより走行終了と認識される(ステップ202)。続いて、CPU26の出力端子O1からローレベルの電圧を出力することにより、コンタクタ38の接点を開とする(ステップ203)。続いて、CPU26の出力端子O3からハイレベルの電圧を出力することにより、トランジスタTR7オン、リレー201の接点閉とし、ディスチャージ回路20を動作させる(ステップ204)。続いて、電圧検出回路40を介してCPU26の入力端子I3からコンデンサ16の電圧を入力し、この電圧が所定値に達したら(ステップ205)、CPU26の出力端子O4からローレベルの電圧を出力することにより、トランジスタTR4オフ、ダイオードD2非導通とし、リレーRYの接点を開にする(ステップ206)。これにより、電源部28から電源電圧が供給されなくなるので、コントロ−ラ24の動作が終了する。なお、コンデンサ16の放電中にイグニションスイッチ34が再びオンされたら、図2のステップ101へ進む(ステップ207)。
【0030】また、運転者がイグニションスイッチ34をオフしてから時間B分経過すれば、運転者が車内からドアを開けなくても、ディスチャージ回路20を介してコンデンサ16を放電させる(ステップ208)。例えば、車内で長時間休む場合などに、あまりにも長い時間コンデンサ16を充電させたままでいると、その状態を維持するための電力を看過できなくなる。そこで、走行が予測されても時間B分経過すれば、コンデンサ16を放電させることにより、省電力化が図れる。
【0031】なお、本発明は、言うまでもなく、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、ドアスイッチ12の代わりに、座席に人が座ったことを検知する圧力センサ、マイクロスイッチ等、又は車内に人が入ったことを検知する赤外線センサ、超音波センサ等によって走行を予測するようにしてもよい。
【0032】
【発明の効果】本発明に係る電気自動車の起動システムによれば、走行が予測された時点でコンデンサを充電し始めることにより、運転者がキースイッチをオンにした時には既にコンデンサが十分に充電されているので、直ちに発進することができる。
【0033】また、走行が予測されてから一定時間、起動用のキースイッチがオンにならなければコンデンサを放電させることにより、車内から荷物を取り出す場合や、車内に入って休む場合などの無駄な電力消費を抑えることができる。
【0034】更に、起動用のキースイッチがオフになり、かつ走行が予測されなくなった場合にコンデンサを放電させることにより、車内で少し休んで再び走行する場合などに、キースイッチをオフにして再びオンにしても、直ちに発進することができる。
【0035】更にまた、起動用のキースイッチがオフになってから一定時間経過すれば、走行が予測されていてもコンデンサを放電させることにより、車内で長時間休む場合などの無駄な電力消費を抑えることができる。
【出願人】 【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
【出願日】 平成12年11月14日(2000.11.14)
【代理人】 【識別番号】100079164
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 勇
【公開番号】 特開2002−152915(P2002−152915A)
【公開日】 平成14年5月24日(2002.5.24)
【出願番号】 特願2000−346798(P2000−346798)