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【発明の名称】 前後輪駆動車両の充電制御装置
【発明者】 【氏名】加藤 武士

【氏名】漆原 圭輔

【氏名】内山 直樹

【氏名】中佐古 享

【氏名】米倉 尚弘

【要約】 【課題】電気モータを駆動するための電力量を蓄電池などの充電状態や車両の走行状態に応じて過不足なく得ることができ、燃費を向上させることができる前後輪駆動車両の充電制御装置を提供する。

【解決手段】前輪4を自動変速機3aを介してエンジン3で駆動し、後輪6を電気モータ5で駆動する前後輪駆動車両2の充電制御装置1のECU20は、自動変速機3aのシフト位置POSIを検出し、補機バッテリ8に蓄えられた電力の電圧VSBATを検出し、電気モータ5を駆動するための主バッテリ10の充電残量SOCを検出し、自動変速機3aのシフト位置POSIが非走行位置(「N」または「P」位置)にあり、電圧VSBATが所定電圧VSREF以上で、充電残量SOCが所定判別値UVON_SOC_L/H未満であるとき(ステップ2,4〜5の判別結果がいずれもYESのとき)に、DC/DCコンバータ9に、電力の昇圧変換を実行させることにより、昇圧変換された電力を主バッテリ10に充電する(ステップ7)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前後の駆動輪の一方を自動変速機を介してエンジンで駆動し、他方を電気モータで駆動する前後輪駆動車両において、前記電気モータを駆動するための電力を蓄える充電動作を制御する前後輪駆動車両の充電制御装置であって、前記自動変速機のシフト位置を検出するシフト位置検出手段と、電力を蓄える蓄電手段と、当該蓄電手段に蓄えられた電力の電圧を検出する電圧検出手段と、前記電気モータを駆動するための、前記蓄電手段よりも高い電圧の電力を蓄えるモータ用蓄電手段と、当該モータ用蓄電手段に蓄えられた電力量を検出する電力量検出手段と、前記モータ用蓄電手段に充電するために、前記蓄電手段から供給された電力を昇圧変換する昇圧コンバータと、前記シフト位置検出手段により検出された前記自動変速機のシフト位置が非走行位置にあり、前記電圧検出手段により検出された前記蓄電手段の電圧が所定電圧以上で、かつ前記電力量検出手段により検出された前記モータ用蓄電手段の電力量が所定判別値未満であるときに、前記昇圧コンバータに、電力の前記昇圧変換を実行させることにより、当該昇圧変換された電力を前記モータ用蓄電手段に充電する充電制御手段と、を備えることを特徴とする前後輪駆動車両の充電制御装置。
【請求項2】 前後の駆動輪の一方をエンジンで駆動し、他方を電気モータで駆動する前後輪駆動車両において、前記電気モータを駆動するための電力を蓄える充電動作を制御する前後輪駆動車両の充電制御装置であって、電力を蓄える蓄電手段と、当該蓄電手段に蓄えられた電力の電圧を検出する電圧検出手段と、前記電気モータを駆動するための、前記蓄電手段よりも高い電圧の電力を蓄えるモータ用蓄電池と、当該モータ用蓄電池に蓄えられた電力量を検出する電力量検出手段と、前記モータ用蓄電池の温度を検出する温度検出手段と、前記モータ用蓄電池に充電するために、前記蓄電手段から供給された電力を昇圧変換する昇圧コンバータと、前記電圧検出手段により検出された前記蓄電手段の電圧が所定電圧以上で、前記電力量検出手段により検出された前記モータ用蓄電池の電力量が所定判別値未満で、かつ前記温度検出手段により検出された前記モータ用蓄電池の温度が所定温度以下であるときに、前記昇圧コンバータに、電力の前記昇圧変換を実行させることにより、当該昇圧変換された電力を前記モータ用蓄電手段に充電する充電制御手段と、を備えることを特徴とする前後輪駆動車両の充電制御装置。
【請求項3】 前後の駆動輪の一方をエンジンで駆動し、他方を電気モータで駆動するとともに、当該他方の駆動輪と前記電気モータの間をクラッチにより接続・遮断する前後輪駆動車両において、前記電気モータを駆動するための電力を蓄える充電動作を、前記前後輪駆動車両の走行中の前記電気モータによる電力回生を含めて制御する前後輪駆動車両の充電制御装置であって、前記クラッチの接続・遮断状態を検出するクラッチ状態検出手段と、前記前後輪駆動車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、電力を蓄える蓄電手段と、前記電気モータを駆動するための、前記蓄電手段よりも高い電圧の電力を蓄えるモータ用蓄電手段と、当該モータ用蓄電手段に蓄えられた電力量を検出する電力量検出手段と、前記モータ用蓄電手段に充電するために、前記蓄電手段から供給された電力を昇圧変換する昇圧コンバータと、前記走行状態検出手段により検出された走行状態に応じて、前記電気モータによる回生電力量を推定する回生電力量推定手段と、前記クラッチ状態検出手段により前記クラッチの遮断状態が検出され、前記走行状態検出手段により前記前後輪駆動車両が走行中であると検出され、かつ前記電力量検出手段により検出された前記モータ用蓄電手段の電力量が所定電力量未満であるときに、前記検出された前記モータ用蓄電手段の電力量と、前記回生電力量推定手段により推定された回生電力量とに基づいて、前記昇圧コンバータによる前記昇圧変換を実行するか否かを決定する決定手段と、当該決定手段により前記昇圧変換の実行が決定されたときに、前記昇圧コンバータに、電力の前記昇圧変換を実行させることにより、当該昇圧変換された電力を前記モータ用蓄電手段に充電する充電制御手段と、を備えることを特徴とする前後輪駆動車両の充電制御装置。
【請求項4】 前記決定手段は、前記モータ用蓄電手段の電力量に前記推定された回生電力量を加算した予想電力量が第2所定電力量未満のときに、前記昇圧コンバータによる前記昇圧変換の実行を決定するとともに、前記予想電力量が前記第2所定電力量以上のときに、前記電気モータによる電力回生の実行をさらに決定し、前記決定手段により前記電力回生の実行が決定されたときに、前記電気モータに前記電力回生を実行させることにより、当該回生電力を前記モータ用蓄電手段に充電する回生充電制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の前後輪駆動車両の充電制御装置。
【請求項5】 前後の駆動輪の一方をエンジンで駆動し、他方を電気モータで駆動するとともに、当該他方の駆動輪と前記電気モータの間をクラッチにより接続・遮断する前後輪駆動車両において、前記電気モータを駆動するための電力を蓄える充電動作を、前記前後輪駆動車両の走行中の前記電気モータによる電力回生を含めて制御する前後輪駆動車両の充電制御装置であって、前記クラッチの接続・遮断状態を検出するクラッチ状態検出手段と、前記電気モータが前記他方の駆動輪を駆動中であるか否かを検出するモータ駆動状態検出手段と、電力を蓄える蓄電手段と、前記電気モータを駆動するための、前記蓄電手段よりも高い電圧の電力を蓄えるモータ用蓄電手段と、当該モータ用蓄電手段に蓄えられた電力量を検出する電力量検出手段と、前記モータ用蓄電手段に充電するために、前記蓄電手段から供給された電力を昇圧変換する昇圧コンバータと、前記クラッチ状態検出手段によりクラッチの接続状態が検出され、前記モータ駆動状態検出手段により前記電気モータが駆動中であると検出され、かつ前記電力量検出手段により検出された前記モータ用蓄電手段の電力量が所定電力量未満であるときに、前記昇圧コンバータに、電力の前記昇圧変換を実行させることにより、当該昇圧変換された電力を前記モータ用蓄電手段に充電する充電制御手段と、を備えることを特徴とする前後輪駆動車両の充電制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、前後の駆動輪の一方をエンジンで駆動し、他方を電気モータで駆動する前後輪駆動車両において、電気モータを駆動するための電力を蓄える充電動作を制御する前後輪駆動車両の充電制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の充電制御装置として、例えば特開平11−332012号公報に記載されたものが知られている。この前後輪駆動車両は、前輪をエンジンにより駆動し、後輪をこれに直結した電気モータにより駆動するタイプのものである。この駆動制御装置は、電気モータ駆動用の電力を蓄えるキャパシタと、スタータモータ駆動用の電力を蓄える補機用バッテリと、補機用バッテリの電力を昇圧するDC/DCコンバータとを備えている。この駆動制御装置では、走行中、キャパシタに蓄えられた電力が後輪を駆動するために使用されると、その電力を補うために、補機用バッテリの電力がDC/DCコンバータにより昇圧されてキャパシタに充電される。また、車両の減速走行時には、電気モータによる電力回生動作を実行し、それにより生じる回生電力がキャパシタに充電される。さらに、気温の低下などを原因とする補機用バッテリの電力低下により、補機用バッテリでエンジンを始動できないときには、補機用バッテリの電力が昇圧され、キャパシタに充電される。そして、このキャパシタに充電した電力でスタータモータを駆動することにより、エンジンが始動される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の充電制御装置によれば、走行中においては、キャパシタの電力が使用されると、運転状態や補機用バッテリおよびキャパシタの状態にかかわらず、補機用バッテリの電力が昇圧されてキャパシタに必ず充電されるので、電力をキャパシタにきめ細かく過不足なく充電することができないとともに、補機バッテリ側の電力が不足することがある。また、車両停止中においては、キャパシタへの充電が始動時以外には実行されないので、キャパシタの電力量が不足している場合には、発進の際、電気モータを駆動するための電力量が不足することがあり、その場合には、電気モータによる後輪の駆動力が不足する。さらに、電気モータと後輪が互いに直結されているので、後輪の駆動および電力回生動作のいずれも実行しない場合には、逆に電気モータが走行抵抗となってしまうため、その分、燃費が悪化する。
【0004】本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、電気モータを駆動するための電力量を蓄電池などの充電状態や車両の走行状態に応じて過不足なく得ることができ、燃費を向上させることができる前後輪駆動車両の充電制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、前後の駆動輪の一方(例えば実施形態における(以下、この項において同じ)前輪4)を自動変速機3aを介してエンジン3で駆動し、他方(後輪6)を電気モータ5で駆動する前後輪駆動車両2において、電気モータ5を駆動するための電力を蓄える充電動作を制御する前後輪駆動車両2の充電制御装置1であって、自動変速機3aのシフト位置POSIを検出するシフト位置検出手段(シフト位置センサ25)と、電力を蓄える蓄電手段(補機バッテリ8)と、蓄電手段に蓄えられた電力の電圧VSBATを検出する電圧検出手段(補機バッテリ電圧センサ21)と、電気モータ5を駆動するための、蓄電手段よりも高い電圧の電力を蓄えるモータ用蓄電手段(主バッテリ10)と、モータ用蓄電手段に蓄えられた電力量(充電残量SOC)を検出する電力量検出手段(ECU20、充電残量センサ22)と、モータ用蓄電手段に充電するために、蓄電手段から供給された電力を昇圧変換する昇圧コンバータ(DC/DCコンバータ9)と、シフト位置検出手段により検出された自動変速機3aのシフト位置POSIが非走行位置(NまたはP位置)にあり、電圧検出手段により検出された蓄電手段の電圧VSBATが所定電圧VSREF以上で、かつ電力量検出手段により検出されたモータ用蓄電手段の電力量(充電残量SOC)が所定判別値UVON_SOC_L/H未満であるとき(ステップ2,4〜5の判別結果がいずれもYESのとき)に、昇圧コンバータに、電力の昇圧変換を実行させることにより、昇圧変換された電力をモータ用蓄電手段に充電する充電制御手段(ECU20)と、を備えることを特徴とする。
【0006】この前後輪駆動車両の充電制御装置によれば、シフト位置検出手段により、自動変速機のシフト位置が検出され、電圧検出手段により、蓄電手段に蓄えられた電力の電圧が検出され、電力量検出手段により、モータ用蓄電手段に蓄えられた電力量が検出される。そして、それらの検出結果により、シフト位置が非走行位置にあり、蓄電手段の電圧が所定電圧以上で、かつモータ用蓄電手段の電力量が所定判別値未満であるときに、充電制御手段により、蓄電手段の電力が昇圧コンバータで昇圧変換された後、モータ用蓄電手段に充電される。このように、車両の停止中において、蓄電手段の電力の電圧が十分で、モータ用蓄電手段の電力量が不足している場合には、従来と異なり、蓄電手段の電力が昇圧され、電気モータを駆動するための電力としてモータ用蓄電手段に充電される。その結果、電気モータを駆動するための電力量を十分に確保することができ、車両発進の際、電気モータで他方の駆動輪を十分な駆動力で駆動することができる。また、上記モータ用蓄電手段への充電を蓄電手段の電力が十分な場合にのみ行うことによって、その電力を無理なく利用しながら充電を確実に行うことができる。
【0007】また、請求項2に係る発明は、前後の駆動輪の一方(前輪4)をエンジン3で駆動し、他方(後輪6)を電気モータ5で駆動する前後輪駆動車両2において、電気モータ5を駆動するための電力を蓄える充電動作を制御する前後輪駆動車両2の充電制御装置1であって、電力を蓄える蓄電手段(補機バッテリ8)と、蓄電手段に蓄えられた電力の電圧VSBATを検出する電圧検出手段(補機バッテリ電圧センサ21)と、電気モータ5を駆動するための、蓄電手段よりも高い電力を蓄えるモータ用蓄電池(主バッテリ10)と、モータ用蓄電池に蓄えられた電力量(充電残量SOC)を検出する電力量検出手段(ECU20、充電残量センサ22)と、モータ用蓄電池の温度TMBATを検出する温度検出手段(主バッテリ温度センサ23)と、モータ用蓄電池に充電するために、蓄電手段から供給された電力を昇圧変換する昇圧コンバータ(DC/DCコンバータ9)と、電圧検出手段により検出された蓄電手段の電圧VSBATが所定電圧VSREF以上で、電力量検出手段により検出されたモータ用蓄電池の電力量(充電残量SOC)が所定判別値UVON_SOC_L/H未満で、かつ温度検出手段により検出されたモータ用蓄電池の温度TMBATが所定温度TMREF以下であるとき(ステップ3〜5の判別結果がいずれもYESのとき)に、昇圧コンバータに、電力の昇圧変換を実行させることにより、昇圧変換された電力をモータ用蓄電手段に充電する充電制御手段(ECU20)と、を備えることを特徴とする。
【0008】この前後輪駆動車両の充電制御装置によれば、電圧検出手段により、蓄電手段に蓄えられた電力の電圧が検出され、電力量検出手段により、モータ用蓄電池に蓄えられた電力量が検出され、温度検出手段により、モータ用蓄電池の温度が検出される。そして、それらの検出結果により、蓄電手段の電圧が所定電圧以上で、モータ用蓄電手段の電力量が所定判別値未満で、かつモータ用蓄電池の温度が所定温度以下であるときに、充電制御手段により、蓄電手段の電力が昇圧コンバータで昇圧変換された後、モータ用蓄電手段に充電される。このように、蓄電手段の電力の電圧が十分で、モータ用蓄電手段の電力量が不足しており、かつモータ用蓄電池の温度が低温である場合、すなわちモータ用蓄電池が十分に活性化されていないために起電力が低下している場合には、蓄電手段の電力が昇圧変換されてモータ用蓄電池に充電される。その結果、充電と、それに伴うモータ用蓄電池の活性化による発熱で起電力が上昇することとの相乗効果によって、低温であるために一時的に低下したモータ用蓄電池の電力量を、電気モータで他方の駆動輪を駆動するのに十分な量まで迅速に回復させることができる。これにより、他方の駆動輪に対する電気モータの駆動力を十分に確保できる。
【0009】一方、請求項3に係る発明は、前後の駆動輪の一方(前輪4)をエンジン3で駆動し、他方(後輪6)を電気モータ5で駆動するとともに、他方の駆動輪(後輪6)と電気モータ5の間をクラッチ12aにより接続・遮断する前後輪駆動車両2において、電気モータ5を駆動するための電力を蓄える充電動作を、前後輪駆動車両2の走行中の電気モータ5による電力回生を含めて制御する前後輪駆動車両2の充電制御装置1であって、クラッチ12aの接続・遮断状態を検出するクラッチ状態検出手段(クラッチセンサ24)と、前後輪駆動車両2の走行状態(車速VP)を検出する走行状態検出手段(車速センサ27)と、電力を蓄える蓄電手段(補機バッテリ8)と、電気モータ5を駆動するための、蓄電手段よりも高い電圧の電力を蓄えるモータ用蓄電手段(主バッテリ10)と、モータ用蓄電手段に蓄えられた電力量(充電残量SOC)を検出する電力量検出手段(ECU20、充電残量センサ22)と、モータ用蓄電手段に充電するために、蓄電手段から供給された電力を昇圧変換する昇圧コンバータ(DC/DCコンバータ9)と、走行状態検出手段により検出された走行状態(車速VP)に応じて、電気モータ5による回生電力量SOC_RGNを推定する回生電力量推定手段(ECU20、ステップ15)と、クラッチ状態検出手段によりクラッチ12aの遮断状態が検出され、走行状態検出手段により前後輪駆動車両2が走行中であると検出され、かつ電力量検出手段により検出されたモータ用蓄電手段の電力量(充電残量SOC)が所定電力量(目標充電残量SOC_OBJ)未満であるとき(ステップ9,13の判別結果がNOで、ステップ12の判別結果がYESのとき)に、検出されたモータ用蓄電手段の電力量(充電残量SOC)と、回生電力量推定手段により推定された回生電力量SOC_RGNとに基づいて、昇圧コンバータによる昇圧変換を実行するか否かを決定する決定手段(ECU20、ステップ16)と、決定手段により昇圧変換の実行が決定されたとき(ステップ16の判別結果がYESのとき)に、昇圧コンバータに、電力の昇圧変換を実行させることにより、昇圧変換された電力をモータ用蓄電手段に充電する充電制御手段(ECU20)と、を備えることを特徴とする。
【0010】この前後輪駆動車両の充電制御装置によれば、クラッチ状態検出手段により、クラッチの接続・遮断状態が検出され、走行状態検出手段により、走行状態が検出され、電力量検出手段により、モータ用蓄電手段に蓄えられた電力量が検出されるとともに、回生電力量推定手段により、検出された走行状態に応じて、電気モータによる回生電力量が推定される。そして、これらの検出結果および推定結果により、クラッチの遮断状態が検出され、前後輪駆動車両が走行中であると検出され、モータ用蓄電手段の電力量が所定電力量未満である場合に、決定手段により、モータ用蓄電手段の電力量と推定された回生電力量とに基づいて、昇圧コンバータによる電力の昇圧変換の実行が決定されたときに、充電制御手段により、蓄電手段の電力が昇圧コンバータで昇圧変換された後、モータ用蓄電手段に充電される。このように、エンジンの駆動力のみで走行している場合において、モータ用蓄電手段の電力量が不足しているときには、モータ用蓄電手段の電力量と、電力回生により得られると推定される回生電力量とに基づいて、電力回生によるモータ用蓄電手段への充電ではなく、電力の昇圧変換による充電が実行される。したがって、電気モータの電力回生で得られると推定される回生電力量が足りないときに、電力の昇圧変換による充電を実行することにより、モータ用蓄電手段の電力量を、電気モータで他方の駆動輪を駆動するのに十分な量まで回復させることができる。また、電気モータによる駆動が不要なときに、クラッチにより電気モータと駆動輪の間を遮断することによって、電気モータが走行抵抗となるのを防止でき、その分、燃費を向上させることができる。
【0011】さらに、請求項4に係る発明は、請求項3に記載の前後輪駆動車両2の充電制御装置1において、決定手段(ECU20)は、モータ用蓄電手段の電力量(充電残量SOC)に推定された回生電力量SOC_RGNを加算した予想電力量(予想充電残量SOC_EST)が第2所定電力量(目標充電残量SOC_OBJ)未満のとき(ステップ9,13の判別結果がNOで、ステップ12,16の判別結果がYESのとき)に、昇圧コンバータによる昇圧変換の実行を決定するとともに(ステップ7)、予想電力量(予想充電残量SOC_EST)が第2所定電力量(目標充電残量SOC_OBJ)以上のとき(ステップ9,13,16の判別結果がNOで、ステップ12の判別結果がYESのとき)に、電気モータ5による電力回生の実行をさらに決定し(ステップ17)、決定手段により電力回生の実行が決定されたときに、電気モータ5に電力回生を実行させることにより、回生電力をモータ用蓄電手段に充電する回生充電制御手段(ECU20)をさらに備えることを特徴とする。
【0012】この前後輪駆動車両の充電制御装置によれば、決定手段により、モータ用蓄電手段の電力量に推定された回生電力量を加算した予想電力量が第2所定電力量未満のときに、昇圧コンバータによる電力の昇圧変換の実行が決定され、それにより、充電制御手段によって、電力の昇圧変換によるモータ用蓄電手段への充電が実行される。一方、予想電力量が第2所定電力量以上のときに、電気モータによる電力回生の実行がさらに決定され、それにより、回生充電制御手段によって、電力回生によるモータ用蓄電手段への充電が実行される。このように、エンジンの駆動力のみでの走行中において、モータ用蓄電手段の電力量が不足している場合に、推定した回生電力量が目標値に達しないときには電力の昇圧変換による充電が、回生電力量が目標値以上となるときには電力回生による充電がそれぞれに実行される。したがって、前後輪駆動車両の走行状態に応じて推定した回生電力量に基づき、電力の昇圧変換による充電または電力回生による充電を適切に選択することができ、それにより、モータ用蓄電手段の電力量を、十分な電力量まで効率よく回復させることができる。
【0013】一方、請求項5に係る発明は、前後の駆動輪の一方(前輪4)をエンジン3で駆動し、他方(後輪6)を電気モータ5で駆動するとともに、他方の駆動輪(後輪6)と電気モータ5の間をクラッチ12aにより接続・遮断する前後輪駆動車両2において、電気モータ5を駆動するための電力を蓄える充電動作を、前後輪駆動車両2の走行中の電気モータ5による電力回生を含めて制御する前後輪駆動車両2の充電制御装置1であって、クラッチ12aの接続・遮断状態を検出するクラッチ状態検出手段(クラッチセンサ24)と、電気モータ5が他方の駆動輪を駆動中であるか否かを検出するモータ駆動状態検出手段(ECU20、ステップ14)と、電力を蓄える蓄電手段(補機バッテリ8)と、電気モータ5を駆動するための、蓄電手段よりも高い電圧の電力を蓄えるモータ用蓄電手段(主バッテリ10)と、モータ用蓄電手段に蓄えられた電力量(充電残量SOC)を検出する電力量検出手段(ECU20、充電残量センサ22)と、モータ用蓄電手段に充電するために、蓄電手段から供給された電力を昇圧変換する昇圧コンバータ(DC/DCコンバータ9)と、クラッチ状態検出手段によりクラッチの接続状態が検出され、モータ駆動状態検出手段により電気モータ5が駆動中であると検出され、かつ電力量検出手段により検出されたモータ用蓄電手段の電力量が所定電力量未満であるとき(ステップ12〜14の判別結果がYESのとき)に、昇圧コンバータに、電力の昇圧変換を実行させることにより、昇圧変換された電力をモータ用蓄電手段に充電する充電制御手段(ECU20)と、を備えることを特徴とする。
【0014】この前後輪駆動車両の充電制御装置によれば、クラッチ状態検出手段により、クラッチの接続・遮断状態が検出され、モータ駆動状態検出手段により、電気モータが他方の駆動輪を駆動中であるか否かが検出され、電力量検出手段により、モータ用蓄電手段に蓄えられた電力量が検出される。そして、これらの検出結果により、クラッチの接続状態が検出され、電気モータが他方の駆動輪を駆動中であると検出され、かつモータ用蓄電手段の電力量が所定電力量未満であるときに、充電制御手段により、蓄電手段の電力が昇圧コンバータで昇圧変換された後、モータ用蓄電手段に充電される。このように、モータ用蓄電手段の電力量が不十分な状態でありながら、電気モータで他方の駆動輪を駆動中であることにより、電気モータによる電力回生を実行できない場合に、電力の昇圧変換によるモータ用蓄電池への充電が実行されるので、前後輪駆動車両の前後輪駆動走行中において、モータ用蓄電手段の電力量の不足による駆動力不足を回避することができる。また、電気モータによる駆動が不要なときに、クラッチにより電気モータと駆動輪の間を遮断することによって、電気モータが走行抵抗となるのを防止でき、その分、燃費を向上させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る前後輪駆動車両の充電制御装置について説明する。図1は、本発明による充電制御装置1およびこれを適用した前後輪駆動車両(以下「車両」という)2の概略構成を示している。同図に示すように、この車両2は、左右の前輪4,4(一方の駆動輪)をエンジン3で駆動するとともに、左右の後輪6,6(他方の駆動輪)を電気モータ(以下「モータ」という)5で駆動するものである。
【0016】エンジン3は、車両2の前部に横置きに搭載されており、図示しないトルクコンバータを有する自動変速機3a、減速ギヤ(図示せず)を有するフロント差動ギヤ機構3bおよび左右の前駆動軸3c,3cなどを介して、左右の前輪4,4に接続されている。この自動変速機3aは、「1,2,3,D4,D5,N,R,P」からなる8つのシフト位置POSIを選択可能なシフトレバー(図示せず)を備えている。さらに、自動変速機3aには、そのシフト位置POSIを検出するシフト位置センサ25(シフト位置検出手段)が設けられている。このシフト位置センサ25は、選択されているシフト位置POSIを検出して、その検出信号をECU20に送る。
【0017】また、エンジン3には、オルタネータ7が設けられている。このオルタネータ7は、エンジン3により駆動されることで発電し、発電された電力は、補機バッテリ8に充電される。この補機バッテリ8(蓄電手段)は、エンジン3のスタータモータなどを駆動するためのものであり、所定の電圧(例えば12V)で電力を蓄える。この補機バッテリ8には、電圧検出手段としての補機バッテリ電圧センサ21が接続されている。この補機バッテリ電圧センサ21は、補機バッテリ8の電圧VSBATを検出して、その検出信号をECU20に送る。
【0018】さらに、この補機バッテリ8は、DC/DCコンバータ9を介して、主バッテリ10に接続されている。このDC/DCコンバータ9(昇圧コンバータ)は、補機バッテリ8の電力を昇圧変換して、主バッテリ10に充電するためのものであり、その充電動作は、後述するように、ECU20により制御される。以下、補機バッテリ8の電力を、DC/DCコンバータ9で昇圧変換して主バッテリ10に充電する動作を「昇圧充電」という。
【0019】また、主バッテリ10(モータ用蓄電手段、モータ用蓄電池)は、モータ5を駆動するためのものであり、補機バッテリ8よりも高い所定電圧(例えば144V)で電力を蓄える。この主バッテリ10には、充電残量センサ22および主バッテリ温度センサ23がそれぞれ設けられている。充電残量センサ22(電力量検出手段)は、主バッテリ10の電流・電圧値を検出して、その検出信号をECU20に送る。ECU20は、この充電残量センサ22の検出信号に基づき、主バッテリ10の充電残量SOC(電力量)を算出する。この充電残量SOCは、主バッテリ10に現在蓄えられている電力量の、主バッテリ10にフルチャージしたときの電力量に対する割合(%)として算出される。さらに、主バッテリ温度センサ23(温度検出手段)は、主バッテリ10の温度TMBATを検出して、その検出信号をECU20に送る。
【0020】一方、モータ5は、駆動源としての主バッテリ10にPDU11を介して接続されている。このPDU11は、ECU20に接続された電気駆動回路であり、ECU20によりその動作を制御されることによって、モータ5に主バッテリ10の電力を供給することで後輪6を駆動させる。
【0021】また、モータ5は、クラッチ12aを有する減速ギヤ機構12、リヤ差動ギヤ機構13および左右の後駆動軸14,14などを介して、左右の後輪6,6に連結されている。クラッチ12aは、図示しないアクチュエータを備えた例えば伝達容量を制御可能な湿式多板クラッチで構成され、このアクチュエータがECU20に駆動制御されることにより、モータ5と後輪6,6の間を接続・遮断する。このクラッチ12aが接続され且つモータ5が主バッテリ10の電力で駆動されているときに、後輪6,6が駆動され、このとき、車両2は四輪駆動状態になる。なお、クラッチ12aは、湿式多板クラッチに限らず、電磁クラッチなどでもよい。
【0022】さらに、減速ギヤ機構12には、クラッチ状態検出手段としてのクラッチセンサ24が設けられている。このクラッチセンサ24は、クラッチ12aの接続・遮断状態を検出して、その検出信号をECU20に送る。
【0023】また、モータ5は、電力回生可能なものであり、PDU11を介してECU20によって制御されることにより、車両2の走行エネルギで回転駆動され、それにより発電を行う。この回生発電された電力は、主バッテリ10に充電される。以下、このモータ5の電力回生により発電された電力を主バッテリ10に充電する動作を「回生充電」という。
【0024】さらに、ECU20には、アクセル開度センサ26および車速センサ27がそれぞれ接続されている。このアクセル開度センサ26は、図示しないアクセルペダルのオン/オフを含む開度を検出して、その検出信号をECU20に送る。また、車速センサ27(走行状態検出手段)は、車速VP(走行状態を表すパラメータ)を検出して、その検出信号をECU20に送る。
【0025】上記ECU20(電力量検出手段、充電制御手段、回生電力量推定手段、決定手段、回生充電制御手段、モータ駆動状態検出手段)は、RAM、ROM、CPUおよびI/Oインターフェースなどからなるマイクロコンピュータ(いずれも図示せず)で構成されている。ECU20は、前記各種のセンサ21〜27からの検出信号に基づき、PDU11を介してモータ5の回転駆動、およびクラッチ12aの接続・遮断を制御し、さらに、主バッテリ10へのDC/DCコンバータ9による昇圧充電およびモータ5による回生充電を制御する。
【0026】以下、図2のフローチャートを参照しながら、電力を主バッテリ10に充電するための充電制御処理について説明する。この処理は、後述するように、所定の条件が成立したときに、主バッテリ10に対し、停車中は昇圧充電により充電し、走行中は、昇圧充電または回生充電により選択的に充電するためのものである。また、この処理は、所定の時間(例えば100msec)ごとに実行される。
【0027】まず、ステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、エンジン運転フラグF_ENGONが「1」であるか否かを判別する。このエンジン運転フラグF_ENGONは、エンジン3の運転中に「1」に、停止中に「0」にそれぞれセットされる。この判別結果がYESのとき、すなわちエンジン運転中のときには、ステップ2に進み、シフト位置が「N」または「P」の非走行位置にあるか否かを判別する。
【0028】この判別結果がYESのとき、すなわちシフト位置が「N」または「P」にあるときには、ステップ3に進み、主バッテリ温度TMBATが所定温度TMREF以下であるか否かを判別する。この所定温度TMREFは、主バッテリ10が低温であるためにモータ5を駆動するのに十分な電力を得られなくなる可能性がある値(例えば0℃)に設定されている。なお、このステップ3の判別は、温度センサ23で検出した主バッテリ温度TMBATに代えて、外気温やエンジン水温などから推定した主バッテリの温度を用いても実行してもよい。
【0029】ステップ3の判別結果がYESのとき、すなわち主バッテリ10が低温で、モータ5を駆動するのに十分な電力を得られない可能性がある状態のときには、ステップ4に進み、主バッテリ10の充電残量SOCが所定判別値UVON_SOC_L/H未満であるか否かを判別する。この所定判別値UVON_SOC_L/Hは、主バッテリ10の充電残量SOCが十分であるか否かを判別するためのものであり、制御の安定のためにヒステリシス付きの値(例えば50%,55%)に設定される。
【0030】この判別結果がYESのとき、すなわち主バッテリ10の充電残量SOCが不足しているときには、ステップ5に進み、補機バッテリ8の電圧VSBATが所定電圧VSREF以上であるか否かを判別する。この所定電圧VSREFは、補機バッテリ8の電力で主バッテリ10への昇圧充電を実行可能な下限値(例えば12V)として設定される。この判別結果がYESのとき、すなわち補機バッテリ8の電力が主バッテリ10への昇圧充電を実行可能であるときには、ステップ6に進み、アクセル・オフフラグF_APOFFが「1」であるか否かを判別する。
【0031】このアクセル・オフフラグF_APOFFは、アクセルペダルが踏まれていないときに「1」に、踏まれているときに「0」にそれぞれセットされる。この判別結果がYESのとき、すなわちアクセルペダルが踏まれていないときには、主バッテリ10への昇圧充電の実行条件が成立したとして、ステップ7に進み、それを表すために、昇圧充電実行フラグF_UVONを「1」にセットして、本処理を終了する。これにより、図示しない昇圧充電制御処理において、昇圧充電による主バッテリ10への充電が実行される。
【0032】一方、ステップ1,3〜6のいずれかの判別結果がNOのとき、すなわちエンジン停止中か、主バッテリ温度TMBATが高いか、主バッテリ10の充電残量SOCが十分であるか、補機バッテリ8の電圧VSBATが低いか、またはアクセルペダルが踏まれているときには、主バッテリ10への昇圧充電の実行条件が成立していないとして、ステップ8に進み、それを表すために昇圧充電実行フラグF_UVONを「0」にセットして、本処理を終了する。
【0033】一方、ステップ2の判別結果がNOのとき、すなわちシフト位置が「D」位置などの走行位置にあるときには、ステップ9に進み、停車中であるか否かを判別する。この場合、車速センサ27により検出された車速VPが所定車速(例えば5km/h)以下のときに停車中であると判別される。この判別結果がNOのとき、すなわち走行中であるときには、ステップ10に進み、路面の摩擦抵抗係数μを推定する。この摩擦抵抗係数μの推定は、具体的な説明は省略するが、既知の算出手法により車速VPに基づいて実行される。
【0034】次に、ステップ11に進み、ステップ10で推定した摩擦抵抗係数μと主バッテリ温度TMBATに基づき、図3に一例を示すマップを検索することにより、目標充電残量SOC_OBJを算出する。同図に示すように、このマップは、摩擦抵抗係数μの第1〜第3の所定の境界値μ1〜μ3、および主バッテリ温度TMBATの第1〜第2の所定の境界値TMB1,TMB2により計12個の領域に区分されているとともに、各領域に対応して、目標充電残量SOC_OBJ(所定電力量、第2所定電力量)が設定されている。具体的には、摩擦抵抗係数μが第3境界値μ3よりも小さい領域においては、摩擦抵抗係数μが小さい領域ほど、目標充電残量SOC_OBJが大きい値に設定されている。これは、摩擦抵抗係数μが小さいほど、四輪駆動状態で走行する頻度が高くなるからである。
【0035】一方、摩擦抵抗係数μが第3境界値μ3よりも大きい領域においては、第3境界値μ3とこれよりも小さな第2境界値μ2との間の領域よりも、目標充電残量SOC_OBJが大きい値に設定されている。これは、この摩擦抵抗係数μが第3境界値μ3よりも大きい領域では、四輪駆動状態で走行する頻度が極めて低いため、回生充電を実行しやすく、それにより大きな発電量を確保しやすいことによる。
【0036】また、摩擦抵抗係数μが所定境界値μ1(<μ2)よりも小さい領域では、主バッテリ温度TMBATが低い領域ほど、目標充電残量SOC_OBJが大きい値に設定されている。これは、主バッテリ温度TMBATが低いほど、主バッテリ10の起電力が低下するため、それを補償するためである。さらに、目標充電残量SOC_OBJは、摩擦抵抗係数μおよび主バッテリ温度TMBATが各々の境界値に一致した場合、これらがそれ以前に属していた領域の値に設定される。なお、上記のように算出した目標充電残量SOC_OBJを、外気温に基づいて補正してもよい。さらに、目標充電残量SOC_OBJは、摩擦抵抗係数μに代えて、または摩擦抵抗係数μとともに外気温をパラメータとして用いて算出してもよい。これは、外気温が低いと、路面凍結などを生じやすく、四輪駆動状態での走行の頻度が高くなると推定されることによる。
【0037】次に、ステップ12に進み、現在の充電残量SOCが目標充電残量SOC_OBJ未満であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわち充電残量SOCが不足しているときには、ステップ13に進み、クラッチ12aがオンされている(接続されている)か否かを判別する。
【0038】この判別結果がYESのとき、すなわちクラッチ12aが接続状態のときには、ステップ14に進み、モータ5で後輪を駆動中であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわち後輪駆動中のときには、回生充電を実行できないので、前記ステップ7を実行し、昇圧充電を行うようにして、本処理を終了する。なお、ステップ14における後輪駆動中であるかの判別に代えて、所定車速域でクルージング走行中であるか否かを判別するようにしてもよい。このようにすれば、クルージング走行中であることで、モータ5に要求されるトルクが小さくかつ回生充電を実行できない運転状態のときにも、昇圧充電を実行することができる。
【0039】一方、ステップ13の判別結果がNOのとき、すなわちクラッチ12aが遮断状態のときには、ステップ15に進み、車速VPに基づき、図示しないテーブルを検索することにより、回生電力量SOC_RGNを算出する。この回生電力量SOC_RGNは、現在の車速VPから所定車速まで減速されるまでの間、電力回生を実行したときに得られると推定される電力量である。
【0040】次に、ステップ16に進み、予想充電量SOC_ESTが目標充電残量SOC_OBJ未満であるか否かを判別する。この予想充電量SOC_EST(予想電力量)は、現在の充電残量SOCに、上記ステップ15で算出した回生電力量SOC_RGNを加算した値である。
【0041】この判別結果がYESのとき、すなわち回生充電を実行して得られる全体の充電残量SOCが目標充電残量SOC_OBJに達しないと推定されるとき(図4に示す状態のとき)には、前記ステップ7に進み、昇圧充電を実行するようにして、本処理を終了する。一方、この判別結果がNOのとき、すなわち回生充電を実行して得られる全体の充電残量SOCが目標充電残量SOC_OBJ以上になると推定されるときには、ステップ17に進み、電力回生実行フラグF_MOTRGNを「1」にセットした後、前記ステップ8を実行して、本処理を終了する。これにより、図示しない電力回生制御処理において、回生充電による主バッテリ10への充電が実行される。なお、上記ステップ16で、予想充電量SOC_ESTと対比する目標充電残量SOC_OBJとして、ステップ12と同じ値を用いたが、これに限らず、異なる値を用いてもよい。
【0042】一方、ステップ9,12,14のいずれかの判別結果がNOのとき、すなわち停車中か、充電残量SOCが十分であるか、または後輪の非駆動中のときには、昇圧充電を実行すべきではないとして、前記ステップ8を実行して、本処理を終了する。
【0043】以上のように、本実施形態の充電制御装置1によれば、シフト位置POSIが非走行位置にあり、補機バッテリ8の電圧が十分で、かつ主バッテリ10の充電残量SOCが不足しているときには、昇圧充電が実行されるので、モータ5を駆動するための電力量を十分に確保することができ、車両発進の際、モータ5で後輪6を十分な駆動力で駆動することができる。また、補機バッテリ8の電圧が十分な場合にのみ行うことによって、その電力を無理なく利用しながら昇圧充電を確実に行うことができる。
【0044】さらに、上記条件に加えて、主バッテリ10の温度TMBATが低いことで、その起電力が低下しているときに、昇圧充電が実行されるので、昇圧充電と、それに伴う主バッテリ10の活性化による発熱で起電力が上昇することとの相乗効果によって、低温であるために一時的に低下した主バッテリ10の充電残量SOCを十分な量まで迅速に回復させることができる。
【0045】また、走行中、主バッテリ10の充電残量SOCが不足している場合、クラッチ12aが遮断中で、回生充電で得られると推定される回生電力量SOC_RGNが足りないときに昇圧充電を、回生電力量SOC_RGNが十分であるときに回生充電を選択して実行するので、主バッテリ10の充電残量SOCを十分な量まで効率よく回復させることができる。一方、モータ5による駆動を行わないときに、クラッチ12aによりモータ5と後輪6の間を遮断することによって、モータ5が走行抵抗となるのを防止でき、その分、燃費を向上させることができる。
【0046】さらに、走行中、主バッテリ10の充電残量SOCが不足している状態でありながら、モータ5で後輪6を駆動中であることにより、回生充電を実行できないときに、昇圧充電が実行されるので、走行中において、主バッテリ10の充電残量SOC不足による駆動力不足を回避することができる。
【0047】なお、本発明は、エンジン3により前輪4,4を、モータ5により後輪6,6をそれぞれ駆動する実施形態の前後輪駆動車両2に限らず、これとは逆に構成した、すなわちエンジンおよびモータにより後輪および前輪をそれぞれ駆動する前後輪駆動車両に適用してもよい。また、モータ5を駆動するための電力を蓄える構成は、実施形態の主バッテリ10に限らず、キャパシタなどの電力を蓄えることができるものであればよい。
【0048】
【発明の効果】以上のように、本発明の前後輪駆動車両の充電制御装置によれば、電気モータを駆動するための電力量を十分に確保することができ、車両発進の際、電気モータで他方の駆動輪を十分な駆動力で駆動することができる。また、上記モータ用蓄電手段への充電を蓄電手段の電力が十分な場合にのみ行うことによって、その電力を無理なく利用しながら充電を確実に行うことができる。
【0049】また、充電と、それに伴うモータ用蓄電池の活性化による発熱で起電力が上昇することとの相乗効果によって、低温であるために一時的に低下したモータ用蓄電池の電力量を、電気モータで他方の駆動輪を駆動するのに十分な量まで迅速に回復させることができる。これにより、他方の駆動輪に対する電気モータの駆動力を十分に確保できる。
【0050】さらに、電気モータの電力回生で得られると推定される回生電力量が不十分であるときに、電力の昇圧変換による充電を実行することにより、モータ用蓄電手段の電力量を、電気モータで他方の駆動輪を駆動するのに十分な量まで回復させることができる。また、電気モータによる駆動が不要なときに、クラッチにより電気モータと駆動輪の間を遮断することによって、電気モータが走行抵抗となるのを防止でき、その分、燃費を向上させることができる。また、前後輪駆動車両の走行状態に応じて推定した回生電力量に基づき、電力の昇圧変換による充電または電力回生による充電を適切に選択することができ、それにより、モータ用蓄電手段の電力量を、十分な電力量まで効率よく回復させることができる。
【0051】また、前後輪駆動車両の走行状態に応じて推定した回生電力量に基づき、電力の昇圧変換による充電または電力回生による充電を適切に選択することができ、それにより、モータ用蓄電手段の電力量を、十分な電力量まで効率よく回復させることができる。
【0052】さらに、モータ用蓄電手段の電力量が不十分な状態でありながら、電気モータで他方の駆動輪を駆動中であることにより、電気モータによる電力回生を実行できない場合に、電力の昇圧変換によるモータ用蓄電池への充電が実行されるので、前後輪駆動車両の前後輪駆動走行中において、モータ用蓄電手段の電力量の不足による駆動力不足を回避することができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成12年11月10日(2000.11.10)
【代理人】 【識別番号】100095566
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 友雄
【公開番号】 特開2002−152913(P2002−152913A)
【公開日】 平成14年5月24日(2002.5.24)
【出願番号】 特願2000−344376(P2000−344376)