| 【発明の名称】 |
動力出力装置およびその制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 嘉昭
【氏名】佐々木 正一
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| 【要約】 |
【課題】電動機からトルクを出力している状態から内燃機関と電動機とからトルクを出力する状態を経て内燃機関から駆動軸にトルクを出力する状態に至るまでに生じ得るトルクショックを抑止する。
【解決手段】トルクコンバータ28の運動方程式から導き出される推定式によりエンジン22の推定トルクTe*を推定すると共にこの推定トルクTe*の変化率に基づいてエンジン22の始動開始時を判定する。そして、エンジン22の始動開始判定時からモータ26を停止するまでアクセル操作量APに応じてエンジン22のトルクとモータ26のトルクとの合成トルクTdが滑らかに変化するように合成トルクTdを生成する。この結果、エンジン22の始動開始時とモータ26を停止する際に生じ得るトルクショックを抑止することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃機関と少なくとも一つの電動機とから動力を出力可能な動力出力装置であって、前記内燃機関の回転数と前記電動機のトルクとに基づいて前記内燃機関から出力されているトルクの推定値である推定トルクを演算するトルク推定手段と、該推定された推定トルクに基づいて前記内燃機関の始動を判定する内燃機関始動判定手段と、前記電動機からトルクを出力している際に前記内燃機関始動判定手段により前記内燃機関の始動が判定されたとき、前記トルク推定手段により推定された推定トルクに基づいて前記内燃機関から出力されているトルクと前記電動機から出力されているトルクとの和としての合成トルクが滑らかに変化するよう前記電動機を駆動制御する内燃機関始動時駆動制御手段とを備える動力出力装置。 【請求項2】 前記内燃機関と前記電動機とからトルクが出力されている際に該電動機の停止条件が成立したとき、前記トルク推定手段により推定された推定トルクに基づいて前記合成トルクが滑らかに変化するよう前記電動機を駆動制御して停止する電動機停止時駆動制御手段を備える請求項1記載の動力出力装置。 【請求項3】 前記電動機停止時駆動制御手段は、前記内燃機関の始動の完了を前記電動機の停止条件として該電動機の停止制御を行なう手段である請求項2記載の動力出力装置。 【請求項4】 前記内燃機関始動時駆動制御手段と前記電動機停止時駆動制御手段は、前記合成トルクが連続して滑らかに変化するよう前記電動機を駆動制御する手段である請求項3記載の動力出力装置。 【請求項5】 請求項1ないし4いずれか記載の動力出力装置であって、前記電動機のトルク指令を設定するトルク指令設定手段を備え、前記トルク推定手段は、前記電動機のトルクとして前記トルク指令設定手段により設定されたトルク指令を用いて前記推定トルクを推定する手段である動力出力装置。 【請求項6】 請求項5記載の動力出力装置であって、前記合成トルクの目標値としての目標トルクを設定する目標トルク設定手段を備え、前記トルク指令設定手段は、前記内燃機関始動時判定手段により前記内燃機関の始動が判定されるまでは前記目標トルク設定手段により設定された目標トルクに基づいて前記トルク指令を設定し、前記内燃機関始動時判定手段により前記内燃機関の始動が判定されたときは前記目標トルク設定手段により設定された目標トルクと前記トルク推定手段により推定された推定トルクとに基づいて前記トルク指令を設定する手段である動力出力装置。 【請求項7】 前記内燃機関始動時判定手段は、前記内燃機関が始動が判定されていない状態で前記トルク推定手段により推定された推定トルクの変化量が所定量以上となったときに前記内燃機関の始動を判定する手段である請求項1ないし6いずれか記載の動力出力装置。 【請求項8】 請求項1ないし7いずれか記載の動力出力装置であって、前記電動機は、前記内燃機関の出力軸にトルクを出力するよう配置され、前記出力軸のトルクを駆動軸に伝達するトルク伝達手段を備え、前記トルク推定手段は、前記内燃機関の回転数と前記電動機のトルクと前記駆動軸の回転数とに基づいて前記推定トルクを推定する手段である動力出力装置。 【請求項9】 内燃機関と少なくとも一つの電動機とから動力を出力可能な動力出力装置の制御方法であって、(a)前記内燃機関の回転数と前記電動機のトルクとに基づいて前記内燃機関から出力されているトルクの推定値である推定トルクを演算し、(b)前記電動機からトルクを出力している際に前記推定された推定トルクに基づいて前記内燃機関の始動が判定されたとき、前記推定された推定トルクに基づいて前記内燃機関から出力されているトルクと前記電動機から出力されているトルクとの和としての合成トルクが滑らかに変化するよう前記電動機を駆動制御する動力出力装置の制御方法。 【請求項10】 前記ステップ(b)は、前記内燃機関の始動が判定されるまでは前記合成トルクの目標値として設定された目標トルクに基づいて電動機のトルク指令を設定し、前記内燃機関の始動が判定された後は前記目標トルクと前記推定された推定トルクとに基づいて前記トルク指令を設定して前記電動機を駆動制御するステップである請求項9記載の動力出力装置の制御方法。 【請求項11】 前記ステップ(b)の後に、(c)前記内燃機関と前記電動機とからトルクが出力されている際に該電動機の停止条件が成立したとき、前記推定された推定トルクに基づいて前記合成トルクが滑らかに変化するよう前記電動機を駆動制御して停止するステップを備える請求項9または10記載の動力出力装置の制御方法。 【請求項12】 内燃機関と少なくとも一つの電動機とから駆動軸に動力を出力可能な動力出力装置であって、前記電動機から前記駆動軸にトルクを出力する際に必要なトルクを生成する電動機トルク生成手段と、前記電動機のトルクと前記内燃機関のトルクとの合成トルクを生成する合成トルク生成手段と、前記駆動軸にトルクを出力するために、前記電動機トルク生成手段と前記合成トルク生成手段とのうちの一方を選択する選択手段とを備える動力出力装置。 【請求項13】 前記選択手段は、前記内燃機関の始動が判定されるまでは前記電動機トルク生成手段を選択し、前記内燃機関の始動が判定された後は前記合成トルク生成手段を選択する手段である請求項12記載の動力出力装置。 【請求項14】 内燃機関と少なくとも一つの電動機とから駆動軸に動力を出力可能な動力出力装置の制御方法であって、(a)前記電動機から前記駆動軸にトルクを出力する際に必要なトルクを生成するステップと、(b)前記電動機のトルクと前記内燃機関のトルクとの合成トルクを生成するステップと、(c)前記駆動軸にトルクを出力するために、前記ステップ(a)と前記ステップ(b)とのうちの一方のステップを選択するステップとを備える動力出力装置の制御方法。 【請求項15】 前記ステップ(c)は、前記内燃機関の始動が判定されるまでは前記ステップ(a)を選択し、前記内燃機関の始動が判定された後は前記ステップ(b)を選択するステップである請求項14記載の動力出力装置の制御方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、動力出力装置およびその制御方法に関し、詳しくは、内燃機関と少なくとも一つの電動機とから動力を出力可能な動力出力装置およびその制御方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種の動力出力装置としては、発進時にアクセルペダルの踏み込みによってエンジンを始動させるハイブリッド自動車に搭載された動力出力装置において、電動機によりエンジンを始動し、エンジン回転数がアイドリング回転数に達するまでスロットルを全閉保持し、エンジン回転数がアイドリング回転数に達するとアクセルペダルの踏み込み量に見合う開度までスロットルを徐々に開くと共にエンジンと電動機とから駆動軸に出力される出力トルクの和が漸増するよう電動機を駆動制御するものが提案されている(例えば、特開平8−193531号公報など)。この装置では、エンジンの出力トルクをエンジン回転数とスロットル開度の指令値との関数として算出し、この算出したエンジンの出力トルクと電動機のトルクとの和が漸増するよう電動機を駆動制御している。そして、こうした制御により、発進時にアクセルペダルを踏み込み過ぎても過大なトルクが出力されることがなく、トルクショックや車両の急発進を防止することができると共に車両を滑らかに加速することができる、とされている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうした動力出力装置では、電動機の出力トルクは、エンジンの始動時にはエンジンの始動トルクとして用いられ、駆動軸には出力されながら、エンジン回転数がアイドリング回転数に達するまでは駆動軸にトルクを出力することができない。このため、操作者のアクセル操作に対するレスポンスが遅くなってしまう。 【0004】こうした問題に対して、エンジンを停止した状態でアクセル操作に見合うトルクを電動機から駆動軸に出力し、その後、エンジンを始動する制御も考えられるが、エンジンの始動過渡時には、エンジンの出力トルクは、エンジンの温度や燃料カットオフ解除のタイミング,着火のタイミングなどの影響により、エンジン回転数とスロットル開度の指令値との関数では正確に表わすことができないから、この関数を用いて計算したエンジンの出力トルクを用いて制御すると実際のエンジンの出力トルクとの差が生じ、トルクショックを除去しきれない。 【0005】本発明の動力出力装置およびその制御方法は、電動機からトルクを出力している状態から内燃機関を始動して内燃機関と電動機とからトルクを出力する状態に至るまでのトルクショックを抑止することを目的の一つとする。また、本発明の動力出力装置およびその制御方法は、内燃機関と電動機とからトルクを出力している状態から電動機を駆動停止して内燃機関からトルクを出力する状態に至るまでのトルクショックを抑止することを目的の一つとする。さらに、本発明の動力出力装置およびその制御方法は、電動機からトルクを出力している状態から内燃機関を始動して内燃機関と電動機とからトルクを出力する状態を通って内燃機関の始動が完了したときに電動機を駆動停止して内燃機関からトルクを出力する状態に至るまでのトルクショックを抑止することを目的の一つとする。 【0006】 【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本発明の動力出力装置およびその制御方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。 【0007】本発明の第1の動力出力装置は、内燃機関と少なくとも一つの電動機とから動力を出力可能な動力出力装置であって、前記内燃機関の回転数と前記電動機のトルクとに基づいて前記内燃機関から出力されているトルクの推定値である推定トルクを演算するトルク推定手段と、該推定された推定トルクに基づいて前記内燃機関の始動を判定する内燃機関始動判定手段と、前記電動機からトルクを出力している際に前記内燃機関始動判定手段により前記内燃機関の始動が判定されたとき、前記トルク推定手段により推定された推定トルクに基づいて前記内燃機関から出力されているトルクと前記電動機から出力されているトルクとの和としての合成トルクが滑らかに変化するよう前記電動機を駆動制御する内燃機関始動時駆動制御手段とを備えることを要旨とする。 【0008】この本発明の第1の動力出力装置では、電動機からトルクを出力している際に内燃機関の推定トルクに基づいて内燃機関の始動が判定されたとき、内燃機関の推定トルクに基づいて内燃機関から出力されているトルクと電動機から出力されているトルクとの和としての合成トルクが滑らかに変化するよう電動機を駆動制御する。推定トルクは、内燃機関の回転数と電動機のトルクとに基づいて推定されるから、内燃機関の回転数とスロットル開度の指令値との関数として計算されるものに比して、始動過渡時でもより正確に推定することができる。この結果、電動機からトルクを出力している状態から内燃機関を始動して内燃機関と電動機とからルクを出力する状態に至るまでのトルクショックを抑止することができる。 【0009】こうした本発明の第1の動力出力装置において、前記内燃機関と前記電動機とからトルクが出力されている際に該電動機の停止条件が成立したとき、前記トルク推定手段により推定された推定トルクに基づいて前記合成トルクが滑らかに変化するよう前記電動機を駆動制御して停止する電動機停止時駆動制御手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関と電動機とからトルクを出力している状態から電動機を駆動停止して内燃機関からトルクを出力する状態に至るまでのトルクショックを抑止することができる。 【0010】この電動機停止時駆動制御手段を備える態様の本発明の第1の動力出力装置において、前記電動機停止時駆動制御手段は、前記内燃機関の始動の完了を前記電動機の停止条件として該電動機の停止制御を行なう手段であるものとすることもできる。こうすれば、電動機からトルクを出力している状態から内燃機関を始動して内燃機関と電動機とからトルクを出力する状態を通って内燃機関の始動が完了したときに電動機を駆動停止して内燃機関からトルクを出力する状態に至るまでのトルクショックを抑止することができる。この態様の本発明の第1の動力出力装置において、前記内燃機関始動時駆動制御手段と前記電動機停止時駆動制御手段は、前記合成トルクが連続して滑らかに変化するよう前記電動機を駆動制御する手段であるものとすることもできる。 【0011】また、本発明の第1の動力出力装置において、前記電動機のトルク指令を設定するトルク指令設定手段を備え、前記トルク推定手段は前記電動機のトルクとして前記トルク指令設定手段により設定されたトルク指令を用いて前記推定トルクを推定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、電動機のトルクを検出することなく推定トルクを推定することができる。この態様の本発明の第1の動力出力装置において、前記合成トルクの目標値としての目標トルクを設定する目標トルク設定手段を備え、前記トルク指令設定手段は、前記内燃機関始動時判定手段により前記内燃機関の始動が判定されるまでは前記目標トルク設定手段により設定された目標トルクに基づいて前記トルク指令を設定し、前記内燃機関始動時判定手段により前記内燃機関の始動が判定されたときは前記目標トルク設定手段により設定された目標トルクと前記トルク推定手段により推定された推定トルクとに基づいて前記トルク指令を設定する手段であるものとすることもできる。 【0012】さらに、本発明の第1の動力出力装置において、前記内燃機関始動時判定手段は、前記内燃機関が始動が判定されていない状態で前記トルク推定手段により推定された推定トルクの変化量が所定量以上となったときに前記内燃機関の始動を判定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の始動開始時をより正確に判定することができる。 【0013】また、本発明の第1の動力出力装置において、前記電動機は前記内燃機関の出力軸にトルクを出力するよう配置され、前記出力軸のトルクを駆動軸に伝達するトルク伝達手段を備え、前記トルク推定手段は前記内燃機関の回転数と前記電動機のトルクと前記駆動軸の回転数とに基づいて前記推定トルクを推定する手段であるものとすることもできる。 【0014】本発明の第1の動力出力装置の制御方法は、内燃機関と少なくとも一つの電動機とから動力を出力可能な動力出力装置の制御方法であって、(a)前記内燃機関の回転数と前記電動機のトルクとに基づいて前記内燃機関から出力されているトルクの推定値である推定トルクを演算し、(b)前記電動機からトルクを出力している際に前記推定された推定トルクに基づいて前記内燃機関の始動が判定されたとき、前記推定された推定トルクに基づいて前記内燃機関から出力されているトルクと前記電動機から出力されているトルクとの和としての合成トルクが滑らかに変化するよう前記電動機を駆動制御することを要旨とする。 【0015】この本発明の第1の動力出力装置の制御方法では、電動機からトルクを出力している際に内燃機関の推定トルクに基づいて内燃機関の始動が判定されたときに、内燃機関の推定トルクに基づいて内燃機関から出力されているトルクと電動機から出力されているトルクとの和としての合成トルクが滑らかに変化するよう電動機を駆動制御する。推定トルクは、内燃機関の回転数と電動機のトルクとに基づいて推定されるから、内燃機関の回転数とスロットル開度の指令値との関数として計算されるものに比して、始動過渡時でもより正確に推定することができる。この結果、電動機からトルクを出力している状態から内燃機関を始動して内燃機関と電動機とからルクを出力する状態に至るまでのトルクショックを抑止することができる。 【0016】こうした本発明の第1の動力出力装置の制御方法において、前記ステップ(b)は、前記内燃機関の始動が判定されるまでは前記合成トルクの目標値として設定された目標トルクに基づいて電動機のトルク指令を設定し、前記内燃機関の始動が判定された後は前記目標トルクと前記推定された推定トルクとに基づいて前記トルク指令を設定して前記電動機を駆動制御するステップであるものとすることもできる。 【0017】また、本発明の第1の動力出力装置の制御方法において、前記ステップ(b)の後に、(c)前記内燃機関と前記電動機とからトルクが出力されている際に該電動機の停止条件が成立したとき、前記推定された推定トルクに基づいて前記合成トルクが滑らかに変化するよう前記電動機を駆動制御して停止するステップを備えるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関と電動機とからトルクを出力している状態から電動機を停止して内燃機関からトルクを出力する状態に至るまでのトルクショックを抑止することができる。 【0018】本発明の第2の動力出力装置は、内燃機関と少なくとも一つの電動機とから駆動軸に動力を出力可能な動力出力装置であって、前記電動機から前記駆動軸にトルクを出力する際に必要なトルクを生成する電動機トルク生成手段と、前記電動機のトルクと前記内燃機関のトルクとの合成トルクを生成する合成トルク生成手段と、前記駆動軸にトルクを出力するために、前記電動機トルク生成手段と前記合成トルク生成手段とのうちの一方を選択する選択手段とを備えることを要旨とする。 【0019】この本発明の第2の動力出力装置では、駆動軸にトルクを出力するために、電動機から前記駆動軸にトルクを出力する際に必要なトルクを生成する電動機トルク生成手段と電動機のトルクと前記内燃機関のトルクとの合成トルクを生成する合成トルク生成手段とのうちの一方を選択する。したがって、電動機トルク生成手段を選択している状態から合成トルク生成手段を選択するときに、合成トルクを電動機トルク生成手段により生成されたトルクから滑らかに移行するよう生成するものとすれば、移行時におけるトルクショックを抑止することができる。 【0020】こうした本発明の第2の動力出力装置において、前記選択手段は、前記内燃機関の始動が判定されるまでは前記電動機トルク生成手段を選択し、前記内燃機関の始動が判定された後は前記合成トルク生成手段を選択する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の始動時におけるトルクショックを抑止することができる。 【0021】本発明の第2の動力出力装置に制御方法は、内燃機関と少なくとも一つの電動機とから駆動軸に動力を出力可能な動力出力装置の制御方法であって、(a)前記電動機から前記駆動軸にトルクを出力する際に必要なトルクを生成するステップと、(b)前記電動機のトルクと前記内燃機関のトルクとの合成トルクを生成するステップと、(c)前記駆動軸にトルクを出力するために、前記ステップ(a)と前記ステップ(b)とのうちの一方のステップを選択するステップとを備えることを要旨とする。 【0022】この本発明の第2の動力出力装置の制御方法では、駆動軸にトルクを出力するために、電動機から前記駆動軸にトルクを出力する際に必要なトルクを生成するステップと電動機のトルクと前記内燃機関のトルクとの合成トルクを生成するステップとのうちの一方を選択する。したがって、ステップ(a)を選択している状態からステップ(b)を選択するときに、合成トルクをステップ(a)により生成されたトルクから滑らかに移行するよう生成するものとすれば、移行時におけるトルクショックを抑止することができる。 【0023】こうした本発明の第2の動力出力装置の制御方法において、前記ステップ(c)は、前記内燃機関の始動が判定されるまでは前記ステップ(a)を選択し、前記内燃機関の始動が判定された後は前記ステップ(b)を選択するステップであるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の始動時におけるトルクショックを抑止することができる。 【0024】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は、車両に搭載された本発明の一実施例である動力出力装置20の構成の概略を示す構成図である。実施例の動力出力装置20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22のクランクシャフト24にトルクを出力可能なモータ26と、エンジン22およびモータ26の発生するトルクをトルクコンバータ28に伝達するシャフト36と、トルクコンバータ28と変速機30とから構成されクランクシャフト24のトルクをディファレンシャルギヤ12を介して駆動輪14,16に接続された駆動軸34に伝達するオートマチックトランスミッション32と、装置全体をコントロールする電子制御ユニット40とを備える。 【0025】電子制御ユニット40は、図示しないが、ハード的にはCPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、機能ブロックとしては、図示するように、エンジン22の運転制御を行なうエンジン制御部42と、エンジン22の回転数Neとトルクコンバータ28の出力軸回転数Ntと1サンプル前のモータ26のトルク指令Tm_refとに基づいてエンジン22から出力されていると推定される推定トルクTe*を演算するエンジントルク推定部44と、推定トルクTe*に基づいてエンジン22の始動開始を判定するエンジン始動判定部46と、アクセル操作量APに基づいてモータ26のトルク指令Tm_refを生成するモータトルク生成部48と、アクセル操作量APと1サンプル前のモータ26のトルク指令Tm_refとエンジン22から出力されていると推定される推定トルクTe*とに基づいてエンジン22とモータ26との合成トルクTdを生成する合成トルク生成部50と、合成トルクTdからエンジン22の推定トルクTe*を減じてモータ26のトルク指令Tm_refを演算する減算部52と、モータトルク生成部48からのトルク指令Tm_refと減算部52からのトルク指令Tm_refとゼロ出力部56からの値0とからモータ26に出力するトルク指令Tm_refをエンジン始動判定部46の判定結果とモータ停止条件とに基づいて切り替えるスイッチ54とを備える。 【0026】エンジントルク推定部44では、推定トルクTe*を次式(1)に基づいて演算する。式(1)中、J1はエンジン22とモータ26とトルクコンバータ28の入力軸回転部の慣性モーメントの総和、stは演算のサンプル時間、eはトルクコンバータ28の入出力速度比(出力軸の回転数/入力軸の回転数)、C(e)はトルクコンバータの容量係数である。 【0027】 【数1】
【0028】この式(1)は、次のようにして導き出すことができる。まず、トルクコンバータ28の運動方程式は、次式(2)〜式(5)により表わすことができる。ここで、式中、Teはエンジン22のトルク、Tpはトルクコンバータ28の入力軸側のトルク、t(e)はトルクコンバータ28のトルク比である。なお、実施例では、エンジン22とモータ26とトルクコンバータ28の入力軸は直結されているから、モータ26の回転数やトルクコンバータ28の入力軸回転数はエンジン22の回転数で代表させた。 【0029】 【数2】
【0030】トルクコンバータ28の運動方程式のうち式(2)と式(3)からトルクコンバータ28の入力側のトルクTpを消去してエンジン22のトルクTeについて整理すると、エンジン22のトルクTeは次式(6)で表わされる。 【0031】 【数3】
【0032】この式(6)は連続式であり、実際にはサンプル値演算するから、式(5)を離散化すると共にエンジン22のトルクTeを推定トルクTe*に置き換え、モータ26のトルクTmに1サンプル前のモータ26のトルク指令Tm_refを用いれば、式(1)を導き出すことができる。 【0033】また、エンジン始動判定部46では、エンジントルク推定部44で演算された推定トルクTe*の変化量ΔTeが初めて閾値Tr以上となるときをエンジン22の始動開始と判定する。 【0034】モータトルク生成部48では、運転者のアクセルペダル踏み込み量としてのアクセル操作量APに見合うトルクをシャフト36に出力可能な値としてトルク指令Tm_refを生成する。例えば、予めアクセル操作量APとトルク指令Tm_refとを関連付けてマップとして記憶しておき、アクセル操作量APが与えられるとマップから対応するトルク指令Tm_refを導出するものとすればよい。 【0035】合成トルク生成部50では、アクセル操作量APと推定トルクTe*と1サンプル前のトルク指令Tm_refとに基づいてシャフト36に出力されるトルクが滑らかに変化するように合成トルクTdを演算する。実施例では、シャフト36に出力されるトルクが滑らかに変化するようsin関数を用いて合成トルクTdを変化させるものとした。 【0036】スイッチ54は、実施例ではソフト的なスイッチであり、後述する始動制御ルーチンにより端子A,B,Cの接続の切り替えが行なわれる。 【0037】次に、こうして構成された動力出力装置20の動作、特にモータ26からのトルクだけで走行している状態からエンジン22を始動しエンジン22とモータ26とからのトルクにより走行する状態を経てモータ26を停止してエンジン22からのトルクだけで走行する状態に至る動作について説明する。図2は、実施例の動力出力装置20の電子制御ユニット40により実行される制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、サンプル時間st毎に実行される。 【0038】制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット40のCPUは、まず、エンジン22の回転数Neとトルクコンバータ28の出力軸回転数Ntとアクセル操作量APを入力する処理を実行する(ステップS100)。そして、上述した式(1)を用いて推定トルクTe*を演算し(ステップS102)、走行モードが1,2,3のいずれであるかを判定する(ステップS104)。なお、走行モードは、モータ26からのトルクだけで走行する状態とされたときにモード1が設定され、モード2,3はこのルーチンにより設定される。 【0039】いま、モータ26からのトルクだけで走行している状態を考えるから、走行モードはモード1に設定されている。したがって、図1におけるスイッチ54はA端子に接続された状態となる。この場合、ステップS106の処理に進んで、推定トルクTe*の変化量ΔTeを計算し、計算した変化量ΔTeを閾値Trと比較する(ステップS108)。変化量ΔTeが閾値Tr未満のときには、エンジン22はまだ始動されていないと判定し、アクセル操作量APに見合うトルクがシャフト36に出力されるようモータ26のトルク指令Tm_refを設定し(ステップS112)、本ルーチンを終了する。 【0040】ステップS108で変化量ΔTeが閾値Tr以上のときには、エンジン22が始動開始されたと判定して走行モードにモード2を設定し(ステップS110)、合成トルクTdの演算処理を実行する(ステップS118)。この走行モードのモード2の設定によりスイッチ54はA端子の接続からB端子の接続に切り替えられる。合成トルクTdの演算処理は、ステップS104で走行モードがモード2であると判定されると共に走行モード2の終了が判定されなかったときにも行なわれ、アクセル操作量APと推定トルクTe*と1サンプル前のモータ26のトルク指令Tm_refとに基づいて合成トルクTdが演算される。前述したように、実施例では、シャフト36に出力されるトルクが滑らかに変化するようにアクセル操作量APの増加または減少の方向にsin関数を用いて次式(7)のように合成トルクTdが演算される。なお、ステップS110で走行モードがモード2に設定された直後では、合成トルクTdは、1サンプル前のトルク指令Tm_refに推定トルクTe*が加えられた値、即ち次式(8)により計算されて設定される。 【0041】 【数4】
【0042】 Td=1サンプル前のTm_ref+Te* (8) 【0043】ステップS114の走行モード2の終了判定は、エンジン22の始動が完了してモータ26の停止指令が出力され、エンジン22の推定トルクTe*が合成トルクTdに等しくなったときに行なわれる。この場合、走行モードをモード3に設定してスイッチ54をB端子の接続からC端子の接続に切り替えると共に(ステップS116)、モータ26のトルク指令Tm_refに値0を設定して(ステップS122)、本ルーチンを終了する。なお、ステップS104で走行モードがモード3と判定されたときにもモータ26のトルク指令Tm_refに値0を設定する処理(ステップS122)が実行される。 【0044】図3に図2の制御ルーチンを実行した際の実施例の動力出力装置20におけるエンジン22のトルクとモータ26のトルクとその合成トルクの変化の様子の一例を示し、図4に従来例の動力出力装置における同様なエンジン始動の際のエンジンのトルクとモータのトルクとその合成トルクの変化の様子の一例を示す。従来例の動力出力装置では、図4に示すように、エンジンの始動開始時やモータの停止時に合成トルクが急変して大きなトルクショックが予想されるのに対し、実施例の動力出力装置20では、図3に示すように、エンジン22のトルクとモータ26のトルクとの合成トルクは、エンジン22の始動開始時からモータ26の停止時に至るまで滑らかに変化するから、トルクショックは生じない。 【0045】以上説明した実施例の動力出力装置20によれば、エンジン22の回転数Neとトルクコンバータ28の出力軸回転数Ntとモータ26のトルク指令Tm_refとに基づいてエンジン22の推定トルクTe*を精度よく推定すると共にこの推定された推定トルクTe*を用いてエンジン22の始動開始時を判定し、かつ、推定トルクTe*を用いて合成トルクTdが滑らかに変化するように制御することにより、モータ26からのトルクだけで走行している状態からエンジン22を始動してエンジン22とモータ26とからのトルクにより走行する状態を経てモータ26を停止してエンジン22からのトルクだけで走行する状態に至るまでに生じ得るトルクショック、即ちエンジン22の始動開始時に生じ得るトルクショックとモータ26を停止する際に生じ得るトルクショックとを抑止することができる。 【0046】実施例の動力出力装置20では、式(6)から式(1)を導き出す過程でモータ26のトルクにトルク指令Tm_refを適用するものとしたが、モータ26から出力されているトルクを検出したり推定したりした値をそのまま用いるものとしてもよい。 【0047】実施例の動力出力装置20では、モータ26からのトルクだけで走行している状態からエンジン22を始動してエンジン22とモータ26とからのトルクにより走行する状態を経てモータ26を停止してエンジン22からのトルクだけで走行する状態に至る動作に始動制御を適用したが、エンジン22とモータ26とからのトルクにより走行する状態を移行状態としない場合にも適用するものとしてもよい。即ち、モータ26からのトルクだけで走行している状態からエンジン22を始動してエンジン22とモータ26とからのトルクにより走行する状態に至るまでの動作にのみ適用するものとしたり、エンジン22とモータ26とからのトルクにより走行している状態からモータ26を停止してエンジン22からのトルクだけで走行する状態に至る動作のみに適用するものとしてもよい。 【0048】実施例の動力出力装置20では、合成トルク生成部50により生成された合成トルクTdから推定トルクTe*を減じたトルク指令Tm_refをそのまま用いるものとしたが、図5の変形例の動力出力装置20Bに示すように、減算部52の出力側にフィルタを設けるものとしてもよい。こうすれば、合成トルクTdや推定トルクTe*に含まれるノイズ成分を除去することができる。 【0049】実施例の動力出力装置20では、モータ26をエンジン22のクランクシャフト24にトルクを出力可能なように配置すると共にクランクシャフト24と駆動軸34との間にオートマチックトランスミッション32を設置した構成に始動制御を適用したが、図6の変形例の動力出力装置20Cに示すように、プラネタリギヤなどの動力分割機や変速機にエンジン22のクランクシャフト24とモータ26の回転軸27と駆動軸34とを接続するタイプの構成に始動制御を適用するものとしてもよい。この場合、エンジントルク推定部44Cは、エンジン22の回転数Neと1サンプル前のトルク指令Tm_refとを用いて表わされる動力分割機や変速機の運動方程式に基づいて導き出される推定式により推定するものとすればよい。実施例では、シャフト36のトルクを滑らかに変化するように制御することにより、エンジン22の始動開始時に生じ得るトルクショックとモータ26を停止する際に生じ得るトルクショックとを抑止したが、駆動軸36のトルクを同様の考えで滑らかに変化するように制御することにより、前記トルクショックを抑止することも可能である。また、駆動軸34のトルクを滑らかに変化するように制御する手法を変速機30が変速したときに応用することにより、変速時のトルクショックを抑止することも可能である。 【0050】実施例の動力出力装置20では、車両に搭載される動力出力装置として説明したが、車両以外の船舶や航空機などの移動体に搭載される動力出力装置や建設機械や工作機械などの移動しない機械装置に搭載される動力出力装置に適用するものとしてもよい。 【0051】以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003609 【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所 【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年11月14日(2000.11.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075258 【弁理士】 【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−152912(P2002−152912A) |
| 【公開日】 |
平成14年5月24日(2002.5.24) |
| 【出願番号】 |
特願2000−346980(P2000−346980) |
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