| 【発明の名称】 |
前後輪駆動車両の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】中佐古 享
【氏名】内山 直樹
【氏名】為乗 浩司
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| 【要約】 |
【課題】道路状況やバッテリ性能に応じて回生を行い、燃費を向上させる前後輪駆動車両の制御装置を提供することを課題とする。
【解決手段】前後の車輪の一方をエンジンにより駆動し、蓄電手段からの電力によって他方の車輪をモータにより駆動する前後輪駆動車両の制御装置6であって、車両の運転状態を検出する運転状態検出手段と、路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定手段60と、大気温度を検出する大気温度検出手段と、蓄電手段の温度を検出する蓄電手段温度検出手段と、検出した運転状態と推定した路面摩擦係数とに基づいて、モータの駆動力を算出するモータ駆動力算出手段61,64,65,66と、検出した大気温度または/および蓄電手段の温度に応じて、モータの駆動力を算出する際の制御モードを切り替える制御モード切替手段62,63とを備えることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前後の車輪の一方をエンジンにより駆動し、蓄電手段からの電力によって他方の車輪をモータにより駆動する前後輪駆動車両の制御装置であって、前記前後輪駆動車両の運転状態を検出する運転状態検出手段と、路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定手段と、大気温度を検出する大気温度検出手段と、前記蓄電手段の温度を検出する蓄電手段温度検出手段と、前記運転状態検出手段により検出される運転状態と前記路面摩擦係数推定手段により推定される路面摩擦係数とに基づいて、前記モータの駆動力を算出するモータ駆動力算出手段と、前記大気温度検出手段により検出される大気温度または/および前記蓄電手段温度検出手段により検出される蓄電手段の温度に応じて、前記モータの駆動力を算出する際の制御モードを切り替える制御モード切替手段と、を備えることを特徴とする前後輪駆動車両の制御装置。 【請求項2】 前記運転状態検出手段として、前記蓄電手段の電力残量を検出する電力残量検出手段を備え、前記制御モード切替手段は、前記大気温度手段により検出される大気温度が第1所定大気温度以下の場合、前記蓄電手段温度検出手段により検出される蓄電手段の温度に応じて下限電力残量を設定し、前記電力残量検出手段により検出される電力残量が前記下限電力残量未満の時には前記モータの駆動力を制限することを特徴とする請求項1に記載の前後輪駆動車両の制御装置。 【請求項3】 前記運転状態検出手段として、前記蓄電手段の電力残量を検出する電力残量検出手段を備え、前記制御モード切替手段は、前記大気温度手段により検出される大気温度が第2所定大気温度以上の場合、前記路面摩擦係数推定手段により推定される路面摩擦係数に応じて下限電力残量を設定し、前記電力残量検出手段により検出される電力残量が前記下限電力残量未満の時には前記モータの駆動力を制限することを特徴とする請求項1に記載の前後輪駆動車両の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、前後の車輪の一方をエンジンで駆動するとともに他方の車輪をモータで駆動する前後輪駆動車両の制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、前後の車輪の一方をエンジンで駆動し、他方の車輪をモータで駆動する前後輪駆動車両が開発されている。この前後輪駆動車両は、ハイブリッド車としての低燃費性と四輪駆動車としての走行安定性を両立させた車両である。 【0003】前後輪駆動車両は、モータに供給する電力を蓄えるバッテリを備え、このバッテリを充電するためのジェネレータを備える。車輪を駆動するモータをジェネレータとして機能させる場合、モータは車両の走行エネルギの一部を電気エネルギに回生し、この電気エネルギをバッテリに蓄える。なお、モータによる回生は、通常、アクセルペダルが踏み込まれていない減速走行時に行われる。しかし、バッテリの電力残量が所定の電力残量以下になった場合には、アクセルペダルが踏み込まれている場合でも強制的に充電を行う。なお、モータによる回生時、モータで駆動される車輪には制動力が作用する。 【0004】さらに、前後輪駆動車両は、エンジンの駆動力とモータの駆動力を設定し、エンジンおよびモータを各種制御モードで制御する制御装置を備える。例えば、制御モードとしては、低摩擦係数路(以下、摩擦係数をμと記載する)における走行安定性重視の低μ路走行モード、燃費重視の燃費モードやバッテリの電力残量が低下した時の強制充電モード等があげられ、これらの各制御モードに応じてエンジンおよびモータを制御する。より具体的には、低μ路走行モードでは、スリップしないように、各車輪の路面への伝達駆動力限界値の範囲内で駆動力を配分する。また、燃費モードでは、エンジンを高効率に駆動するように駆動力を配分する。また、強制充電モードでは、エンジンの駆動力限界値の範囲内で、エンジンの駆動力とモータの充電量を配分する。ちなみに、各モードの切り替えは、制御装置が自動で切り替えるが、ドライバによってマニュアルで切り替えることもできる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、強制充電モードに切り替える判断基準である下限電力残量を道路状況に関係なく一定値とすると、ハイブリッド車としての低燃費性を悪化させる場合がある。例えば、大気温度が常温時に高μ路の上り坂を連続登坂している場合、モータでも車輪を駆動するので、バッテリの電力残量が徐々に低下する。やがて、バッテリの電力残量が下限電力残量以下となり、強制充電モードに切り替わる。ところが、通常、連続した上り坂の後には連続した下り坂となるので、連続登坂後には連続降坂に移行する。したがって、連続降坂での減速走行時における回生によってバッテリの電力残量が増加することが期待できるにもかかわらず、連続登坂中に強制充電を行ってしまう。しかも、強制充電時にはモータ側の車輪に制動力が作用するので、その制動力に対抗するために、燃料消費率が低効率領域でエンジンを使用する必要が生じる。また、低μ路が雪による要因の場合、低μ路が長期間続く可能性が高い。この場合には低μ路走行モードによってモータによる電力消費量が増加するので、出来るだけバッテリの電力残量を増加させておく必要がある。さらに、バッテリの温度が低下すると、バッテリの電力を供給する性能が低下する。そこで、バッテリを充電し、バッテリの温度を出来るだけ上昇させる必要がある。しかし、路面状態やバッテリ性能に関係なく下限電力残量を一定値にすると、バッテリを適正な時期に充電できない。 【0006】そこで、本発明の課題は、道路状況やバッテリ性能に応じて回生を行い、燃費を向上させる前後輪駆動車両の制御装置を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決した本発明に係る前後輪駆動車両の制御装置は、前後の車輪の一方をエンジンにより駆動し、蓄電手段からの電力によって他方の車輪をモータにより駆動する前後輪駆動車両の制御装置であって、前記前後輪駆動車両の運転状態を検出する運転状態検出手段と、路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定手段と、大気温度を検出する大気温度検出手段と、前記蓄電手段の温度を検出する蓄電手段温度検出手段と、前記運転状態検出手段により検出される運転状態と前記路面摩擦係数推定手段により推定される路面摩擦係数とに基づいて、前記モータの駆動力を算出するモータ駆動力算出手段と、前記大気温度検出手段により検出される大気温度または/および前記蓄電手段温度検出手段により検出される蓄電手段の温度に応じて、前記モータの駆動力を算出する際の制御モードを切り替える制御モード切替手段とを備えることを特徴とする。この前後輪駆動車両の制御装置によれば、制御モード切替手段で制御モードを切り替える際のパラメータとして大気温度を用いることによって、道路状況を高精度に推定することができる。また、この制御装置は、制御モード切替手段で制御モードを切り替える際のパラメータとして蓄電手段の温度を用いることによって、蓄電手段の性能を高精度に推定することができる。そして、この制御装置では、制御モード切替手段により道路状況やバッテリ性能に応じて制御モードを切り替え、出来る限り燃費性を向上させる。なお、運転状態は、アクセルペダルの開度、車速、蓄電手段の電力残量等の前後輪駆動車両の状態を示すものである。 【0008】さらに、前記前後輪駆動車両の制御装置において、前記運転状態検出手段として、前記蓄電手段の電力残量を検出する電力残量検出手段を備え、前記制御モード切替手段は、前記大気温度手段により検出される大気温度が第1所定大気温度以下の場合、前記蓄電手段温度検出手段により検出される蓄電手段の温度に応じて下限電力残量を設定し、前記電力残量検出手段により検出される電力残量が前記下限電力残量未満の時には前記モータの駆動力を制限することを特徴とする。この前後輪駆動車両の制御装置によれば、大気温度が第1所定大気温度以下の低温の場合には、蓄電手段から電力を供給する性能が低下する可能性が高いと推定できるので、蓄電手段の温度に応じて下限電力残量を高く設定することができる。この設定によって強制充電の頻度が高くなるので、蓄電手段の性能に合わせて蓄電手段の電力残量が増加すると共に蓄電手段の温度が上昇する。なお、第1所定大気温度は、降雪または降雪の可能性のある低温度であり、本実施の形態では5℃である。また、モータの駆動力を制限するとは、モータの駆動を停止、あるいはモータをジェネレータとして機能させてモータにより蓄電手段を充電することである。 【0009】また、前記前後輪駆動車両の制御装置において、前記運転状態検出手段として、前記蓄電手段の電力残量を検出する電力残量検出手段を備え、前記制御モード切替手段は、前記大気温度手段により検出される大気温度が第2所定大気温度以上の場合、前記路面摩擦係数推定手段により推定される路面摩擦係数に応じて下限電力残量を設定し、前記電力残量検出手段により検出される電力残量が前記下限電力残量未満の時には前記モータの駆動力を制限することを特徴とする。この前後輪駆動車両の制御装置によれば、大気温度が第2所定大気温度以上の常温の場合には、蓄電手段の性能が低下する可能性が低くかつ雪道による低μ路になる可能性がないと推定できるので、路面μ推定値に応じて下限電力残量を低く設定することができる。この設定によって強制充電の頻度が少なくなり、路面μ推定値が低μでなければ出来る限り燃費の向上を図ることができる。なお、第2所定大気温度は、絶対に降雪とならない温度であり、本実施の形態では30℃である。また、モータの駆動力を制限するとは、モータの駆動を停止、あるいはモータをジェネレータとして機能させてモータにより蓄電手段に充電することである。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明に係る前後輪駆動車両の制御装置の実施の形態について説明する。 【0011】本発明に係る前後輪駆動車両の制御装置は、路面μに加えて大気温度を制御モードを切り替える際のパラメータとすることによって道路状況(特に、路面状態)をより詳細に判別し、この道路状況に応じて制御モードを切り替える。また、この制御装置は、蓄電手段の温度を制御モードを切り替える際のパラメータに加えることによって蓄電手段の性能を判別し、この性能に応じて強制充電の頻度を設定できる。特に、大気温度が低い場合、この制御装置は、蓄電手段の温度に応じて下限電力残量を高い値に設定し、強制充電の頻度を多くし、蓄電手段の性能を向上させる。また、大気温度が高い場合、この制御装置は、推定した路面μに応じて下限電力残量を低い値に設定し、強制充電の頻度を少なくし、燃費性を向上させる。 【0012】本実施の形態では、本発明に係る前後輪駆動車両として、前輪をエンジンで駆動すると共に後輪をモータで駆動する前後輪駆動車両とする。また、本実施の形態では、エンジンの駆動力とモータの駆動力を設定するための制御モードとして、燃費重視の燃費モード、走行安定性重視の低μ路走行モードおよびバッテリ充電重視の強制充電モードを有する。そして、前後輪駆動車両に備えられる制御装置では、制御モード判定マトリクスに基づいて3つの制御モードを切り替え、各制御モードに応じてエンジンの駆動力とモータの駆動力を設定する。なお、この制御装置では、制御モードを切り替えるためのパラメータを路面μ推定値、大気温度、バッテリ温度およびバッテリ電力残量とする。 【0013】まず、図1を参照して、前後輪駆動車両(以下、車両と記載する)1の全体構成について説明する。なお、図1は、前後輪駆動車両の全体構成図である。なお、本実施の形態では、前後輪駆動車両1が特許請求の範囲に記載の前後輪駆動車両に相当する。 【0014】車両1は、左右の前輪2,2をエンジン3で駆動するとともに、左右の後輪4,4をモータ5で駆動する。そして、車両1では、制御装置6がエンジン3およびモータ5を制御する。なお、本実施の形態では、前輪2,2が特許請求の範囲に記載の前後の車輪の一方に相当し、後輪4,4が特許請求の範囲に記載の他方の車輪に相当し、エンジン3が特許請求の範囲に記載のエンジンに相当し、モータ5が特許請求の範囲に記載のモータに相当し、制御装置6が特許請求の範囲に記載の制御装置に相当する。 【0015】エンジン3は、車両1の前部に横置きに搭載される。そして、エンジン3は、トルクコンバータ7aを備える自動変速機7およびフロントディファレンシャル8を介して前輪2,2に接続し、前輪2,2を駆動する。また、エンジン3は、DBW(Drive By Wire)ドライバ25を介してスロットル弁26に制御装置6が接続される。そして、エンジン3は、制御装置6によって駆動力が設定され、この駆動力に応じてDBWドライバ25によってスロットル弁26が電子制御される。DBWドライバ25は、モータによりスロットル弁26の開度を変える。 【0016】モータ5は、車両1の後部に搭載される。そして、モータ5には、バッテリ9が接続され、このバッテリ9を駆動源とする。さらに、モータ5は、電磁クラッチ10およびリヤディファレンシャル11を介して後輪4,4に接続され、後輪4,4を駆動する。なお、モータ5がバッテリ9から電力が供給され、かつ電磁クラッチ10が接続されている場合、後輪4,4が駆動され、車両1が四輪駆動状態となる。ちなみに、モータ5の出力は、最大12kWの範囲内である。一方、モータ5が車両1の走行エネルギにより回転駆動されている場合、モータ5がジュネレータとして機能し、回生状態となる。なお、バッテリ9には電流センサ12および電圧センサ13が設けられ、このセンサ12,13で検出したバッテリ電流信号BCとバッテリ電圧信号BVが制御装置6に取り込まれる。ちなみに、制御装置6では、バッテリ電流信号BCとバッテリ電圧信号BVに基づいてバッテリ9の電力残量SOCを算出する。また、バッテリ9にはバッテリ温度センサ14が設けられ、このセンサ14で検出したバッテリ温度信号BTが制御装置6に取り込まれる。なお、バッテリ温度センサ14は、サーミスタからなる温度センサである。なお、本実施の形態では、バッテリ9が特許請求の範囲に記載の蓄電手段に相当し、電流センサ12および電圧センサ13は特許請求の範囲に記載の電力残量検出手段および運転状態検出手段に相当し、バッテリ温度センサ14は特許請求の範囲に記載の蓄電手段温度検出手段に相当する。 【0017】また、モータ5は、モータドライバ15を介して制御装置6に接続される。そして、モータ5は、制御装置6によって四輪駆動状態での駆動力や回生状態での発電力(負値の駆動力)が設定され、この駆動力や発電力に応じてモータドライバ15によって制御される。モータドライバ15は、モータ5のコントロールデバイスであり、モータ5の電流制御等を行う。さらに、電磁クラッチ10は、制御装置6によって接続/遮断が判断され、制御装置6によって電磁クラッチ10に備えられるソレノイド(図示せず)への電流の供給/停止が制御される。 【0018】左右の前輪2,2および左右の後輪4,4には磁気ピックアップ式の車輪センサ16,・・・が各々設けられ、このセンサ16,・・・で検出した各車輪2,2,4,4の回転数のパルス信号である車輪回転数信号WSが制御装置6に取り込まれる。また、前輪2,2および後輪4,4には加速度センサ17,18が各々設けられ、このセンサ17,18で検出した前輪2,2および後輪4,4の加速度信号WAが制御装置6に取り込まれる。なお、加速度センサ17,18は、車体の前後方向の加速度を検出する前後Gセンサ(磁歪式)を設け、このセンサで検出した車体の前後方向の加速度信号WAを制御装置6に取り込んでもよく、車体速度を正確に求めることができればよいものである。また、制御装置6では、車輪回転数信号WSに基づいて車輪速度を算出するとともに、車輪回転数信号WSと加速度信号WA等に基づいて車体速度を算出する。なお、本実施の形態では、車輪センサ16,・・・は特許請求の範囲に記載の運転状態検出手段に相当し、加速度センサ17,18は特許請求の範囲に記載の運転状態検出手段に相当する。 【0019】また、エンジン3のクランクシャフト(図示せず)にはクランク角センサ19が設けられ、このセンサ19で検出したクランク角がクランクパルス信号CPとして制御装置6に取り込まれる。さらに、自動変速機7のメインシャフト7bには磁気ピックアップ式のメインシャフト回転数センサ20が設けられ、このセンサ20で検出したメインシャフト7bの回転数のパルス信号であるメインシャフト回転数信号NMが制御装置6に取り込まれる。なお、制御装置6では、クランクパルス信号CPに基づいてエンジン回転数NEを算出する。そして、制御装置6は、メインシャフト回転数信号NMとエンジン回転数NEに基づいて、トルクコンバータ7aのスリップ率=NM/NEを算出する。 【0020】また、モータ5にはレゾルバ式のモータ回転数センサ21が設けられ、このセンサ21で検出したモータ5の回転数のパルス信号であるモータ回転数信号MSが制御装置6に取り込まれる。 【0021】さらに、アクセルペダル22にはアクセル開度センサ23が設けられ、このセンサ23で検出したアクセルペダル22のON/OFFを含むアクセル開度信号AOが制御装置6に取り込まれる。なお、アクセル開度センサ23は特許請求の範囲に記載の運転状態検出手段に相当する。 【0022】また、車体1には大気温度センサ24が設けられ、このセンサ24で検出した大気温度信号ATが制御装置6に取り込まれる。なお、大気温度センサ24は、サーミスタからなる温度センサである。なお、本実施の形態では、大気温度センサ24は特許請求の範囲に記載の大気温度検出手段に相当する。 【0023】制御装置6は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、CPU(Central Processing Unit)およびI/Oインターフェース等からなるマイクロコンピュータ(図示せず)である。制御装置6は、アクセル開度と車体速度に基づいて目標駆動力を設定する。そして、制御装置6は、各種センサの検出値に基づいて、制御モード判定マトリクス62aに従って制御モードを決定する(図4参照)。続いて、制御装置6は、各制御モードに基づいてエンジン3の駆動力およびモータ5の駆動力を設定し、さらにエンジン3の駆動力に基づいてエンジン駆動信号EDおよびモータ5の駆動力に基づいてモータ要求トルク信号MTを設定する。なお、モータ5の駆動力は、モータ5をジェネレータとして機能させる場合には負値となる。そして、制御装置6は、エンジン駆動信号EDをDBWドライバ25に出力し、スロットル弁26のスロットル弁開度を制御してエンジン3の駆動力を制御する。また、制御装置6は、モータ要求トルク信号MTをモータドライバ15に出力し、モータ5の駆動力を制御する。 【0024】次に、図2を参照して、制御装置6の構成について説明する。なお、図2は、前後輪駆動車両の制御装置の構成図である。 【0025】制御装置6は、路面μ推定部60、目標駆動力設定部61、制御モード判定部62、制御モード切替部63、燃費モード制御部64、低μ路走行モード制御部65、強制充電モード制御部66、エンジン駆動信号設定部67およびモータ要求トルク信号設定部68等を備える。なお、本実施の形態では、路面μ推定部60が特許請求の範囲に記載の路面摩擦係数推定手段に相当し、目標駆動力設定部61、燃費モード制御部64、低μ路走行モード制御部65および強制充電モード制御部66が特許請求の範囲に記載のモータ駆動力算出手段に相当し、制御モード判定部62および制御モード切替部63が特許請求の範囲に記載の制御モード切替手段に相当する。 【0026】路面μ推定部60は、車輪センサ16,・・・からの車輪回転数信号WSおよび加速度センサ17,18からの加速度信号WAが入力され、目標駆動力設定部61および制御モード判定部62に路面μ推定値Rμを出力する。路面μ推定部60は、車輪回転数信号WSに基づいて、各輪2,2,4,4の車輪速度を算出する。さらに、路面μ推定部60は、過去の車体速度の履歴、車輪速度および加速度信号WA等に基づいて、車体1の車体速度を算出する。そして、路面μ推定部60は、各輪の車輪速度と車体速度に基づいて、各輪の2,2,4,4のスリップ率を算出する。最後に、路面μ推定部60は、算出した各輪2,2,4,4のスリップ率に基づいて、路面μ推定値Rμを算出する。 【0027】目標駆動力設定部61は、車輪センサ16,・・・からの車輪回転数信号WS、加速度センサ17,18からの加速度信号WA、アクセル開度センサ23からのアクセル開度信号AOおよび路面μ推定部60からの路面μ推定値Rμが入力され、制御モード切替部63を介して燃費モード制御部64、低μ路走行モード制御部65または強制充電モード制御部66に目標駆動力TDを出力する。なお、目標駆動力TDは、車両1で必要とされる駆動力であり、エンジン3とモータ5とで発生させる駆動力である。ちなみに、モータ5がジェネレータとして機能する場合、目標駆動力TDは、全てエンジン3で発生させる。さらに、この場合、モータ5で消費される走行エネルギもエンジン3で発生させる。 【0028】そして、目標駆動力設定部61は、前記した路面μ推定部60で算出した同様の方法で車体速度を算出する。なお、目標駆動力設定部61では、車体速度を算出せずに、路面μ推定部60で算出した車体速度を用いてもよい。さらに、目標駆動力設定部61は、ROM等の記憶手段を備え、予め実験値または設計値に基づいて設定した車体速度およびアクセル開度信号AOと目標駆動力TDの対応するテーブルを記憶している。なお、このテーブルは、目標駆動力を、アクセル開度が大きいほど大きく、車体速度が大きいほど小さくなるように設定している。そして、目標駆動力設定部61は、車体速度およびアクセル開度信号AOをアドレスとして対応する目標駆動力TDを読み出し、目標駆動力TDを制御モード切替部63に出力する。なお、車両1がスリップしている場合、目標駆動力設定部61は、車両1の総重量と路面μ推定値Rμに基づいて、スリップ時に路面に伝達可能な伝達駆動力を算出し、この伝達駆動力を目標駆動力TDとする。ちなみに、目標駆動力設定部61では、路面μ推定部60で算出した各輪2,2,4,4のスリップ率に基づいてスリップしているか否かを判定する。 【0029】制御モード判定部62は、電流センサ12からのバッテリ電流信号BC、電圧センサ13からのバッテリ電圧信号BV、バッテリ温度センサ14からのバッテリ温度信号BT、大気温度センサ24からの大気温度信号ATおよび路面μ推定部60からの路面μ推定値Rμが入力され、制御モード切替部63に制御モードCMを出力する。そのために、制御モード判定部62は、ROM等の記憶手段を備え、予め実験値または設計値に基づいて設定した制御モード判定マトリクス62aに従ったテーブルを記憶している(図4参照)。そして、制御モード判定部62は、バッテリ電圧信号BV、バッテリ温度信号BT、大気温度信号ATおよび路面μ推定値Rμに基づいて、テーブルに従って制御モードとして燃費モード、低μ路走行モードおよび強制充電モードのいずれかの制御モードを判定する。なお、制御モード判定マトリクス62aは、バッテリ電力残量、大気温度、路面μ推定値およびバッテリ温度をパラメータとして、燃費モード、低μ路走行モードおよび強制充電モードのいずれかの制御モードを判定できるマトリクスである。なお、制御モード判定部62は、バッテリ電流信号BCおよびバッテリ電圧信号BVに基づいてバッテリ電力残量SOCを算出する。バッテリ電力残量SOCは、バッテリ9に充電可能な電力容量に対するバッテリ9に充電されている電力の割合(0〜100%)で表す。 【0030】ちなみに、制御モード判定マトリクス62aでは、下限電力残量に基づいて強制充電モードか否かを判定できる。なお、下限電力残量は、大気温度範囲、路面μ推定値範囲およびバッテリ温度範囲に基づいて設定される。さらに、制御モード判定マトリクス62aでは、バッテリ電力残量SOCが下限電力残量以上の場合、大気温度範囲、路面μ推定値範囲およびバッテリ温度範囲に基づいて燃費モード、走行μ路走行モードおよび強制充電モードのいずれかの制御モードを判定できる。ちなみに、制御モードを切り替えるためのパラメータとして、従来の路面μ推定値に大気温度とバッテリ温度を追加した。というのは、大気温度は、季節を推定するのに重要なパラメータであり、特に、路面μ推定値が低い場合には、その要因が雪やアイスバーンによるか否かを推定できるパラメータである。したがって、大気温度と路面μ推定値を組み合わせることによって、道路状況で最も重要な路面状態を従来より正確に推定できる。一方、バッテリ温度は、バッテリ9の性能を推定するのに重要なパラメータである。ちなみに、バッテリ温度が低下すると、バッテリ9での反応が低下してバッテリ9が電力を供給する性能が低下するので、バッテリ9を充電してバッテリ温度を上昇させなければならない。 【0031】ここで、大気温度および路面μ推定値と路面状態の関係を理解するために、図5を参照して、寒冷地での路面状態のパターンを季節に応じて説明しておく。なお、図5は、寒冷地における季節に応じた路面状態のパターンの一例であり、(a)は春から秋における路面状態パターン図であり、(b)は冬(序盤)における路面状態パターン図であり、(c)は冬(中盤)における路面状態パターン図であり、(d)は冬(終盤)における路面状態パターン図である。 【0032】(a)図は、季節が春〜夏〜秋における雪が降らない時期の路面状態を示す。この季節では、大気温度としては中温度から高温度となり、路面状態として雪やアイスバーンによる低μ路となることはない。したがって、この季節では、高μ路の場合には路面状態としてはアスファルト路と推定でき、中μ路の場合には路面状態としてはアスファルト路か砂利道等と推定でき、低μ路の場合には路面状態として砂利道や河原等と推定できる。 【0033】(b)図は、季節が冬の序盤における雪の降り始めの時期の路面状態を示す。この季節では、大気温度としては低温度となり、路面状態としては雪による低μ路となる場合が多い。したがって、この季節では、低μ路の場合には路面状態としては雪路と推定でき、特に、平地では積もり始めの雪道と推定でき、高地の登坂路等では積雪量の増大による圧雪路と推定でき、高地の降坂路では圧雪路の他にアイスバーンも推定できる。 【0034】(c)図は、季節が冬の中盤における降雪量の多い時期の路面状態を示す。この季節では、大気温度としては極低温度となり、路面状態としては雪による低μ路となる場合が多い。しかし、平地等ではロードヒーティング等によってアスファルト路となる場合もある。したがって、この季節では、平地において、低μ路の場合にはアイスバーンと推定でき、高μ路の場合には除雪によるアスファルト路と推定できる。また、この季節では、高地において、登坂路等では積雪量の増大による圧雪路と推定でき、高地の降坂路では圧雪路の他にアイスバーンも推定できる。 【0035】(d)図は、季節が冬の終盤における平地での降雪がなくなる時期の路面状態を示す。この季節では、大気温度として低温度から中温度(平地)となり、路面状態としては高地では雪による低μ路となり、平地では雪がなくなるため高μ路となる場合がある。したがって、この季節では、平地において、高μ路の場合には除雪によらないアスファルト路と推定できる。また、この季節では、高地において、登坂路から降坂路にかけて長期間の積雪による圧雪路と推定できる。 【0036】さらに、図4を参照して、制御モード判定マトリクス62aについて詳細に説明する。なお、図4は、制御モード判定マトリクスを示す。ちなみに、制御モード判定マトリクス62aでは、大気温度の高温度は30℃以上、中温度は5℃〜30℃、低温度は5℃以下である。また、路面μ推定値は高μ値は0.8以上、中μ値は0.5〜0.8、低μ値は0.5以下である。また、バッテリ温度の高温度は40℃以上、中温度は0℃〜40℃、低温度は0℃以下である。 【0037】まず、制御モード判定マトリクス62aにおける下限電力残量設定の考え方について説明する。下限電力残量設定は、大気温度と路面μ推定値に基づいて行われる。基本的に、大気温度が低いほどバッテリ9から電力を供給する性能が低下すると推定できるので、下限電力残量を高い値に設定し(強制充電の頻度を多くし)、バッテリ9の性能が低下する前に充電を行ってバッテリ9の性能を確保する。また、大気温度が高いほど高μ路での安定走行ができると推定できるので、下限電力残量を低い値に設定し(強制充電の頻度を少なくし)、出来る限り燃費の向上を図る。特に、大気温度が常温度(中高温度)の場合、路面μ推定値が低ければ、砂利道等による低μ路と推定する。この場合、雪道と違って長期間低μ路が続かないので、下限電力残量を低い値に設定する。さらに、大気温度が高温度の場合には、バッテリ9の性能が低下する可能性が低くかつ雪道による低μ路になる可能性がないと推定できるので、路面μ推定値に応じて下限電力残量を極力低い値に設定し、燃費の向上を図る。一方、大気温度が降雪温度(低温度)の場合、路面μ推定値が低ければ、雪道による低μ路と推定する。この場合、雪道により長期間低μ路が続くので、低μ路でのモータ5による電力消費量の増加に備えて下限電力残量を高い値に設定する。また、大気温度が降雪温度(低温度)の場合、路面μ推定値が高くても、除雪による高μ路と推定する。この場合、近い将来に雪道による低μ路となることが予測できるので、低μ路でのモータ5による電力消費量の増加に備えて下限電力残量を高い値に設定する。そこで、大気温度が降雪温度(低温度)の場合には、バッテリ9の性能が低下する可能性が高いと推定できるので、路面μ推定値に関係なく、バッテリ温度に応じて下限電力残量を極力高い値に設定し、バッテリ性能を確保する。 【0038】また、下限電力残量設定は、バッテリ温度に基づいても行われる。基本的に、バッテリ温度が低いほどバッテリ9が電力を供給する性能が低下するので、下限電力残量を高い値に設定し(強制充電の頻度を多くし)、バッテリ9を充電してバッテリ温度を上昇させる。また、バッテリ温度が高いほどバッテリ9が電力を供給する性能が高いので、下限電力残量を低い値に設定し(強制充電の頻度を少なくし)、出来る限り燃費の向上を図る。 【0039】次に、大気温度、路面μ推定値およびバッテリ温度による制御モード判定の考え方について説明する。大気温度が高いほど、雪による影響がないので、燃費性を重視する。一方、大気温度が低いほど、雪による影響を考慮して、走行安定性を重視する。また、路面μ推定値が高いほど、安定走行できるので、燃費性を重視する。一方、路面μ推定値が低いほど、不安定走行となるので、走行安定性を重視する。なお、大気温度が低くかつ路面μ推定値が高い場合でも、バッテリ温度が低下すると、強制充電モードとし、近い将来の雪道に備えてバッテリ温度を上昇させる。 【0040】それでは、制御モード判定マトリクス62aを具体的に説明する。大気温度が高温度かつ路面μ推定値が高μ値の場合、継続して高μ路安定走行が可能と推定でき、バッテリ温度に関係なく制御モードを燃費モードとする。また、下限電力残量を10%と最低値に設定して、強制充電の頻度を最低にする。大気温度が高温度かつ路面μ推定値が中μ値の場合、雪道の可能性無しで燃費走行可能と推定でき、バッテリ温度に関係なく制御モードを燃費モードとする。また、下限電力残量を20%に設定して、強制充電の頻度を少なくする。大気温度が高温度かつ路面μ推定値が低μ値の場合、砂利道等の低μ路不安定走行と推定でき、バッテリ温度に関係なく制御モードを低μ路走行モードとする。また、砂利道等は長期間継続しないので、下限電力残量を30%に設定して、強制充電の頻度を少なくする。 【0041】大気温度が中温度かつ路面μ推定値が高μ値の場合、継続して高μ路安定走行が可能と推定でき、バッテリ温度に関係なく制御モードを燃費モードとする。また、下限電力残量をバッテリ温度が高温度時には10%、バッテリ温度が中温度時には20%に設定して、強制充電の頻度を少なくする。大気温度が中温度かつ路面μ推定値が中μ値の場合、雪道の可能性無しで燃費走行可能と推定でき、バッテリ温度に関係なく制御モードを燃費モードとする。また、下限電力残量をバッテリ温度が高温度時には30%、バッテリ温度が中温度時には40%に設定して、強制充電の頻度を若干多くする。大気温度が中温度かつ路面μ推定値が低μ値の場合、砂利道等の低μ路不安定走行と推定でき、バッテリ温度に関係なく制御モードを低μ路走行モードとする。また、下限電力残量を50%に設定して、強制充電の頻度を多くする。 【0042】大気温度が低温度かつ路面μ推定値が高μ値の場合、除雪により高μ路安定走行が可能と推定でき、バッテリ温度が中高温度の時には制御モードを燃費モードとする。しかし、大気温度が低温度かつ路面μ推定値が高μ値の場合でも、バッテリ温度が低温度の時には、近い将来に雪道を走行する可能性が高いので制御モードを強制充電モードとし、バッテリ温度を上昇させておく。また、バッテリ性能を上昇させるために、下限電力残量をバッテリ温度が高温度時には50%、バッテリ温度が中温度時には60%、バッテリ温度が低温度時には70%に設定して、強制充電の頻度を多くする。大気温度が低温度かつ路面μ推定値が中μ値の場合、近い将来に雪道による低μ路不安定の可能性が高いと推定でき、バッテリ温度に関係なく制御モードを低μ路走行モードとする。また、バッテリ性能を上昇させるために、下限電力残量をバッテリ温度が高温度時には50%、バッテリ温度が中温度時には60%、バッテリ温度が低温度時には70%に設定して、強制充電の頻度を多くする。大気温度が低温度かつ路面μ推定値が低μ値の場合、雪道による低μ路不安定走行と推定でき、バッテリ温度に関係なく制御モードを低μ路走行モードとする。また、バッテリ性能を上昇させるために、下限電力残量をバッテリ温度が高温度時には50%、バッテリ温度が中温度時には60%、バッテリ温度が低温度時には70%に設定して、強制充電の頻度を多くする。 【0043】制御モード切替部63は、目標駆動力設定部61からの目標駆動力TDおよび制御モード判定部62からの制御モードCMが入力され、切り替えた制御部64,65,66に目標駆動力TDを出力する。制御モード切替部63は、制御モードCMに基づいて、燃費モード制御部64、低μ路走行モード制御部65および強制充電モード制御部66のいずれかに切り替える。そして、制御モード切替部63は、切り替えた制御部64,65,66に目標駆動力TDを出力する。 【0044】燃費モード制御部64は、制御モード切替部63からの目標駆動力TDが入力され、エンジン駆動信号設定部67にエンジン駆動力TEDおよびモータ要求トルク信号設定部68にモータ駆動力TMDを出力する。燃費モード制御部64は、ROM等の記憶手段を備え、予め実験値または設計値に基づいて設定した目標駆動力TDおよび車体速度とエンジン3の燃料消費効率が高効率になるように設定された駆動力配分比との対応するテーブルを記憶している。なお、車体速度は、路面μ推定部60で算出したものを用いる。そして、燃費モード制御部64は、目標駆動力TDおよび車体速度をアドレスとして対応する駆動力配分比を読み出す。さらに、燃費モード制御部64は、読み出した駆動力配分比と目標駆動力TDに基づいて、エンジン駆動力TEDとモータ駆動力TMDを算出する。 【0045】なお、燃費モードでは、エンジン3の燃料消費効率の低効率領域では、モータ5による駆動でアシストし、燃費の向上を図る。特に、エンジン3の燃料消費効率が最も低下する低アクセル開度発進時には、エンジン3をアイドル停止またはアイドルニュートラル運転させ、モータ5のみによる発進を行わせるために、モータ5側の駆動力配分を100%とする。 【0046】低μ路走行モード制御部65は、制御モード切替部63からの目標駆動力TDが入力され、エンジン駆動信号設定部67にエンジン駆動力TEDおよびモータ要求トルク信号設定部68にモータ駆動力TMDを出力する。低μ路走行制御部65は、ROM等の記憶手段を備え、予め実験値または設計値に基づいて設定した路面μ推定値Rμ、目標駆動力TDおよび車体速度と前後輪2,2,4,4の駆動力限界値を越えないように設定された駆動力配分比との対応するテーブルを記憶している。なお、路面μ推定値Rμと車体速度は、路面μ推定部60で算出したものを用いる。そして、低μ路走行モード制御部65は、路面μ推定値Rμ、目標駆動力TDおよび車体速度をアドレスとして対応する駆動力配分比を読み出す。さらに、低μ路走行モード制御部65は、読み出した駆動力配分比と目標駆動力TDに基づいて、エンジン駆動力TEDとモータ駆動力TMDを算出する。 【0047】低μ路走行モードは、モータ5による駆動でアシストし、四輪駆動走行により低μ路の走行安定性を向上させる。ちなみに、低μ路走行モードでは、目標駆動力TDとしてスリップ時の伝達駆動力が設定されている場合がある。 【0048】強制充電モード制御部66は、制御モード切替部63からの目標駆動力TDが入力され、エンジン駆動信号設定部67にエンジン駆動力TEDおよびモータ要求トルク信号設定部68にモータ駆動力TMD(負値)を出力する。強制充電モード制御部66は、バッテリ電力残量SOC等に基づいて、バッテリ9への目標充電量を算出する。なお、バッテリ電力残量SOCは、制御モード判定部62で算出したものを用いる。そして、強制充電モード制御部66は、モータ5がジェネレータとして機能する場合にはモータ5が走行エネルギを消費するので、バッテリ9への目標充電量からモータ駆動力TMDを負値として算出する。さらに、強制充電モード制御部66は、モータ駆動力TMDの絶対値を目標駆動力TDに加算し、この加算値をエンジン駆動力TEDに設定する。 【0049】なお、強制充電モードでは、モータ5で消費される走行エネルギがエンジン3で負担されかつ燃料消費効率が低効率領域でもエンジン3を使用しなければならないので、燃費は低下する。 【0050】エンジン駆動信号設定部67は、各モード制御部64,65,66からのエンジン駆動力TEDが入力され、DBWドライバ25にエンジン駆動信号EDを出力する。エンジン駆動信号設定部67は、エンジン駆動力TEDに基づいてスロットル弁26の開度を算出する。さらに、エンジン駆動信号設定部67は、この算出した開度に基づいて、DBWドライバ25のモータの回転数や回転方向を設定し、エンジン駆動信号EDとする。 【0051】モータ要求トルク信号設定部68は、各モード制御部64,65,66からのモータ駆動力TMDが入力され、モータドライバ15にモータ要求トルク信号MTを出力する。モータ要求トルク信号設定部68は、モータ駆動力TMDに基づいて、モータ5の回転数や回転方向を設定する。さらに、モータ要求トルク信号設定部68は、このモータ5の回転数や回転方向に基づいて、モータドライバ15を制御するモータ要求トルク信号MTを設定する。 【0052】最後に、図1乃至図4を参照して、制御装置6による動作について説明する。特に、制御モード判定部62の動作は、図3の判定時のフローチャートに沿って説明する。 【0053】制御装置6は、車両1に配設された各種センサから12,13,14,16,17,18,23,24等から検出した値を信号として取り込む。そして、路面μ推定部60が、車輪回転数信号WSや加速度信号WA等に基づいて、各輪2,2,4,4の車輪車速およびスリップ率、車体速度、路面μ推定値Rμを算出する。 【0054】続いて、目標駆動力設定部61が、アクセル開度信号AOや車体速度等に基づいて目標駆動力TDを設定する。なお、車両1がスリップしている場合、目標駆動力設定部61は、スリップ時に可能な伝達駆動力を目標駆動力TDに設定する。 【0055】また、制御モード判定部62が、バッテリ電圧信号BVやバッテリ電流信号BCに基づいて、バッテリ電力残量SOCを算出する。そして、制御モード判定部62は、大気温度信号AT、路面μ推定値Rμおよびバッテリ温度信号BTに基づいて、制御モード判定マトリクス62aに従ったテーブルから下限電力残量を選択する。続いて、制御モード判定部62は、選択した下限電力残量と算出したバッテリ電力残量SOCを比較する(S1)。 【0056】バッテリ電力残量SOCが下限電力残量以上の場合、制御モード判定部62は、大気温度信号AT、路面μ推定値Rμおよびバッテリ温度信号BTに基づいて、制御モード判定マトリクス62aに従ったテーブルから制御モードCMとして燃費モード、低μ路走行モードまたは強制充電モードを判定する(S2)。一方、バッテリ電力残量SOCが下限電力残量未満の場合、制御モード判定部62は、制御モードCMを強制充電モードとする(S3)。そして、制御モード判定部62は、判定した制御モードCMを制御モード切替部63に出力する。 【0057】続いて、制御モード切替部63が、制御モードCMに基づいて、燃費モード制御部64、低μ路走行モード制御部65または強制充電モード制御部66に切り替える。そして、燃費モード制御部64が、目標駆動力TDや車体速度等に基づいて燃費を重視した駆動力配分比を選択し、この駆動力配分比によりエンジン駆動力TEDとモータ駆動力TMDを算出する。また、低μ路走行モード制御部65が、路面μ推定値Rμ、目標駆動力TDや車体速度等に基づいて走行安定性を重視した駆動力配分比を選択し、この駆動力配分比によりエンジン駆動力TEDとモータ駆動力TMDを算出する。また、強制充電モード制御部66は、バッテリ電力残量SOC等に基づいてバッテリ9への充電量を算出し、この充電量によりエンジン駆動力TEDとモータ駆動力TMD(負値)を算出する。 【0058】最後に、エンジン駆動信号設定部67が、エンジン駆動力TEDに基づいてエンジン駆動信号EDを設定し、このエンジン駆動信号EDをDBWドライバ25に出力する。一方、モータ要求トルク信号設定部68が、モータ駆動力TMDに基づいてモータ要求トルクMTを設定し、このモータ要求トルク信号MTをモータドライバ15に出力する。 【0059】すると、DBWドライバ25によってエンジン駆動信号EDに基づいてスロットル弁26の開度が調整され、エンジン3の駆動力が制御される。一方、モータドライバ15によってモータ要求トルク信号MTに基づいてモータ5の回転数および回転方向が調整され、モータ5の駆動力が制御される。また、モータドライバ15によってモータ要求トルク信号MTに基づいてモータ5が制御され、モータ5による充電が制御される。なお、車両1が減速時には、モータ5により回生充電される。 【0060】この制御装置6によれば、制御モード判定マトリクス62aに従って制御モードを切り替えることによって、燃費性、走行安定性およびバッテリ性能を考慮してエンジン駆動力とモータ駆動力を設定することができる。そのために、制御装置6は、路面状態をより正確に推定するために、制御モードを判定するパラメータとして路面μ推定値に大気温度を加味した。さらに、制御装置6は、バッテリ9の性能をより正確に推定するために、制御モードを判定するパラメータとしてバッテリ温度を用いた。そして、この制御装置6では、大気温度が低温度の場合にバッテリ温度に応じて強制充電の頻度を多くし、バッテリ9の性能を向上させると共に大気温度が常温度時の燃費性を向上させる。また、この制御装置6では、大気温度が高温度の場合には路面μ推定値に応じて強制充電の頻度を少なくし、燃費性を向上させる。さらに、この制御装置6では、大気温度が常温時には出来る限り燃費性を重視し、大気温度が低温度時には雪道になることを考慮して走行安定性を重視する。 【0061】以上、本発明は、前記の実施の形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。例えば、制御モード判定マトリクス62aにおける大気温度の範囲、路面μ推定値の範囲およびバッテリ温度の範囲を前記した各数値に設定したが、この数値に限定されることなく、気候の地域性、バッテリ性能等を考慮して適宜設定してよい。また、制御モード判定マトリクス62aにおける大気温度の範囲、路面μ推定値の範囲およびバッテリ温度の範囲を高、中、低の3つの範囲に設定したが、高と低の2つの範囲、あるいは4つの範囲、5つの範囲とより詳細に範囲設定してもよい。また、制御モードを燃費モード、低μ路走行モードおよび強制充電モード等としたが、他の制御モードを追加してもよいし、駆動力配分をリニアに変える制御モード等としてもよい。また、蓄電手段温度検出手段や大気温度検出手段をサーミスタによる温度センサで構成したが、他の温度検出手段で構成してもよい。また、バッテリ電力残量をバッテリ9に充電可能な電力容量に対するバッテリ9に充電されている電力の割合(0〜100%)としたが、バッテリ9に充電されている電力量としてもよい。 【0062】 【発明の効果】本発明の請求項1に係る前後輪駆動車両の制御装置は、制御モード切替手段で制御モードを切り替える際のパラメータとして大気温度を用いることによって、道路状況をより正確に推定することができる。また、この制御装置は、制御モード切替手段で制御モードを切り替える際のパラメータとして蓄電手段の温度を用いることによって、蓄電手段の性能をより正確に推定することができる。そのため、この制御装置では、強制充電の頻度を道路状況やバッテリ性能に対応して木目細かく設定できる。さらに、この制御装置では、道路状況やバッテリ性能に対応して出来る限り燃費を重視した駆動力配分とすることができる。その結果、この制御装置では、バッテリ性能や走行安定性を維持しつつ、燃費性を向上させることができる。 【0063】本発明の請求項2に係る前後輪駆動車両の制御装置は、大気温度が第1所定大気温度以下の低温度の場合には、蓄電手段から電力を供給する性能が低下する可能性が高いと推定できるので、蓄電手段の温度に応じて下限電力残量を高い値に設定することができる。その結果、強制充電の頻度が多くなり、蓄電手段の電力残量が増加すると共に蓄電手段の温度が上昇する。 【0064】本発明の請求項3に係る前後輪駆動車両の制御装置は、大気温度が第2所定大気温度以上の常温度の場合には、蓄電手段の性能が低下する可能性が低くかつ雪道による低μ路になる可能性がないと推定できるので、路面μ推定値に応じて下限電力残量を低い値に設定することができる。その結果、強制充電の頻度が少なくなり、路面μ推定値が低μ値でなければ燃費の向上を図ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年11月8日(2000.11.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064414 【弁理士】 【氏名又は名称】磯野 道造
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| 【公開番号】 |
特開2002−152909(P2002−152909A) |
| 【公開日】 |
平成14年5月24日(2002.5.24) |
| 【出願番号】 |
特願2000−339894(P2000−339894) |
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