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【発明の名称】 非接触給電装置
【発明者】 【氏名】上松 辰哉

【氏名】高三 正己

【氏名】近藤 直

【氏名】森田 勝幸

【要約】 【課題】コイルの巻回作業や配線接続作業を複雑化することなく、給電線のインダクタンスを小さくすることのできる非接触給電装置を提供する。

【解決手段】所定の軌道に対して支持材11、12によって支持された上下2本の給電線13、14を備えると共に、上記軌道を移動する移動体に設けられた受電ユニット15を備えている。受電ユニット15は、E型断面形状の受電コア16と、その中央脚部16aの付け根部分に集中して巻回されたコイル17とを備えている。コイル17は、受電コア16の中央脚部16aに対して挿入可能なボビン18の周囲に巻回されている。中央脚部16aと外側脚部16b、16cとの間隔は、コイル17の厚さにほぼ等しい程度にまで狭められており、その各間隙内に2本の給電線13、14のそれぞれが位置している。矢印A方向から見ると給電線13、14とコイル17との重なりがなく、かつ、矢印B方向から見ると給電線13、14とコイル17とが重なっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の軌道に沿って配置された、往路及び復路からなる給電線と、前記軌道を移動する移動体に設けられ、該移動体に前記給電線から非接触で電力供給を受けるための受電ユニットとを備える非接触給電装置において、前記受電ユニットが、E型の断面形状を有する受電コアと、該受電コアを構成する中央脚部又は外側脚部の付け根部分に集中して巻回されたコイルとを備え、前記往路及び復路の給電線のそれぞれが、前記受電コアの中央脚部と外側脚部との各間隙内に位置し、前記受電コアの外側脚部側から見て前記給電線と前記コイルとの重なりがなく、かつ、前記受電コアの開放部側から見て前記給電線と前記コイルとが少なくとも一部重なっている、ことを特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】 前記コイルは、前記受電コアの中央脚部又は外側脚部に対して挿入可能なボビンの周囲に巻回され、該コイルの巻回されたボビンが前記受電コアの中央脚部又は外側脚部の付け根部分に挿着されていることを特徴とする請求項1記載の非接触給電装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定の軌道に沿って移動する自走式の移動体(例えば搬送台車等)に対し、その外部から電磁誘導を利用して非接触の給電を行う非接触給電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は、従来の非接触給電装置の一例の断面図である。同図に示す装置は、所定の軌道に対して支持材1、2によって支持された上下2本(往路と復路)の給電線3、4を備えると共に、上記軌道を移動する不図示の移動体に設けられた受電ユニット5を備えている。
【0003】受電ユニット5は、給電線3、4から上記移動体に非接触で電力供給を受けるためのものであり、フェライト等の磁性材料でできたE型断面形状の受電コア6と、この受電コア6の中央脚部6aのほぼ全長に渡って巻回されたコイル7とを備えている。なお、コイル7は、受電コア6の中央脚部6aに対して挿入可能なボビン8の周囲に巻回され、このようにコイル7の巻回されたボビン8が上記中央脚部6aに挿着されている。
【0004】2本の給電線3、4のそれぞれは、受電コア6を構成する中央脚部6aとその上下の外側脚部6b、6cとの各間隙内の略中央に位置している。このような構成において、不図示の高周波電源により給電線3、4に高周波電流を流すと、それに伴い、磁気抵抗の低い受電コア6が磁路となって磁束Φを生じ、それに応じた誘導起電力がコイル7に生じることにより、移動体に対して非接触の給電が行われる。
【0005】しかし、図4に示した構成では、受電コア6の中央脚部6aのほぼ全長に渡ってコイル7が巻回されているため、どうしても2本の給電線3、4の間隔を、中央脚部6aの厚さとコイル7の厚さとを合計した分よりも狭くすることができず、その結果、給電線3、4の間隔が広い分だけそのインダクタンスが大きくなってしまう。
【0006】このように給電線3、4のインダクタンスが大きいと、給電線3、4に高周波電流を流すための高周波電源の出力端子間電圧が高くなってしまい、その結果、上記出力端子間の絶縁破壊電圧により給電線3、4の敷設距離が短く制限されてしまう等、様々な問題が生じてくる。
【0007】そこで、給電線3、4のインダクタンスを小さくするための対策として、例えば図5に示すような構成を採用したものも提案されている(特開平8−126107号公報参照)。すなわち、図4ではコイル7を受電コア6の中央脚部6aに巻回していたのに対し、図5では中央脚部6aとその上下の外側脚部6b、6cとを結ぶ各橋部6d、6eに、それぞれコイル71 、72 を巻回する構成としてある。このようにコイル71 、72 を中央脚部6a以外の箇所に巻回する構成としたことにより、中央脚部6aと2本の給電線3、4との間からコイルが排除され、その分だけ、給電線3、4の間隔を狭めることができ、その結果、給電線3、4のインダクタンスを小さくすることが可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図5に示した構成によれば、確かに給電線3、4のインダクタンスを小さくすることは可能であるが、以下のような問題が生じる。第1に、別々のコイル71 、72 をそれぞれ別々の橋部6d、6eに巻回する必要があり、すなわち、コイルの巻回場所が2箇所に分割されることになるため、コイルの巻回作業と配線接続作業の工数が増加し、作業性が著しく悪化してしまう。
【0009】第2に、図4に示したようなボビン8を単純に橋部6d、6eに挿着することは不可能であるため、そのようなボビンを使用することができなくなり、よって、コイルの巻回作業の自動化が非常に困難になってしまう。本発明は、上記従来の問題点に鑑み、コイルの巻回作業や配線接続作業を複雑化することなく、給電線のインダクタンスを小さくすることのできる非接触給電装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するため、以下のように構成する。すなわち、本発明は、所定の軌道に沿って配置された、往路及び復路からなる給電線と、上記軌道を移動する移動体に設けられ、この移動体に上記給電線から非接触で電力供給を受けるための受電ユニットとを備える非接触給電装置において、上記受電ユニットが、E型の断面形状を有する受電コアと、この受電コアを構成する中央脚部(又は外側脚部)の付け根部分に集中して巻回されたコイルとを備え、上記往路及び復路の給電線のそれぞれが、上記受電コアの中央脚部と外側脚部との各間隙内に位置し、上記受電コアの外側脚部側から見て上記給電線と上記コイルとの重なりがなく、かつ、上記受電コアの開放部側から見て上記給電線と上記コイルとが少なくとも一部重なっている、ことを特徴とするものである。
【0011】このような構成としたことにより、実質的に、受電コアの脚部はコイルの取り付け箇所よりも長く突出した構造となり、そのコイルよりも突出した脚部間に給電線が配置されることになる。すなわち、給電線間にはコイルが存在しないため、その分だけ、給電線の間隔を狭めることが可能となる。
【0012】この場合、給電線とコイルとは、受電コアの開放部側から見て、少なくとも一部が互いに重なり合っていればよく、これだけでも、その重なり合っている分だけ給電線の間隔が狭くなっている。勿論、全部重なり合うようにすることで、給電線の間隔を最も狭めることが可能となる。
【0013】このように給電線の間隔を狭めることができるため、そのインダクタンスを極力小さくすることが可能となり、その結果、給電線に高周波電流を流すための高周波電源の出力端子間電圧を低く抑えて、給電線の敷設距離を長くすることも可能となる。
【0014】しかも、図5に示したように受電コアの橋部にコイルを巻回するのではなく、脚部(中央脚部又は外側脚部)にコイルを巻回する構成であるため、脚部に対して挿入可能なボビンを利用することが可能となる。そして、コイルを巻回するには、そのようなボビンに予めコイルを巻回しておいて、それを受電コアの脚部に挿着するだけで済むため、巻回行程と組み付け行程の自動化が容易になる。勿論、そのようなボビンを使用しない構成も本発明の範囲内である。
【0015】また、コイルの巻回場所は、受電コアの中央脚部でも外側脚部でもよいが、前者であれば、コイルを1箇所にまとめて巻回することができるので、コイルの巻回や配線接続を行う上での作業性が一層高まる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
〔本発明の一実施の形態〕図1は、本発明の一実施の形態に係る非接触給電装置の断面図である。
【0017】この装置は、基本的には図4に示したものと同様、所定の軌道に対して支持材11、12によって支持された上下2本(往路と復路)の給電線13、14を備えると共に、上記軌道を移動する不図示の移動体に設けられた受電ユニット15を備えている。
【0018】受電ユニット15は、フェライトやケイ素鋼等の磁性材料でできたE型断面形状の受電コア16と、この受電コア16の中央脚部16aの付け根部分に集中して巻回されたコイル17とを備えている。コイル17は、受電コア16の中央脚部16aに対して挿入可能なボビン18の周囲に巻回され、このようにコイル17の巻回されたボビン18が中央脚部16aの付け根部分に挿着されている。
【0019】受電コア16における中央脚部16aとその上下の外側脚部16b、16cとの間隔は、コイル17の厚さにほぼ等しい程度にまで狭められており、このように間隔の狭められた中央脚部16aと外側脚部16b、16cとの各間隙内に2本の給電線13、14のそれぞれが位置している。
【0020】ここで、給電線13、14とコイル17との位置関係は、受電コア16の外側脚部16c側から見て(すなわち矢印A方向から見て)、給電線13、14とコイル17との重なりが全くなく、かつ、受電コア16の開放部側から見て(すなわち矢印B方向から見て)、給電線13、14の全体がコイル17と完全に重なるような位置関係にある。
【0021】以上のような構成においても、その非接触給電の原理は図4に示したものと同様である。すなわち、不図示の高周波電源により給電線13、14に高周波電流を流すと、それに伴い、磁気抵抗の低い受電コア16が磁路となって磁束Φを生じ、それに応じた誘導起電力がコイル17に生じることにより、移動体の駆動源である走行モータ等に非接触の給電が行われる。
【0022】このような本実施の形態によれば、給電線13、14間にはコイル17が存在しないため、その分だけ、給電線13、14の間隔を大幅に狭めることができる。このように給電線13、14の間隔を狭めることができるため、そのインダクタンスを極力小さくすることができ、その結果、給電線13、14に高周波電流を流すための高周波電源の出力端子間電圧を低く抑えて、給電線1本当たりの敷設距離を長くすることもできる。
【0023】しかも、中央脚部16aに対して挿入可能なボビン18を利用可能であるため、コイル17を巻回するには、そのようなボビン18に予めコイル17を巻回しておいて、それを受電コア16の中央脚部16aに挿着するだけで済む。従って、巻回行程と組み付け行程の自動化を容易に実現することができる。
【0024】また、図5に示したもののようにコイルの巻回場所を2箇所に分割するのではなく、コイル17を中央脚部16aの付け根部分の1箇所にまとめて巻回することができるので、コイル17の巻回や配線接続を行う上での作業性を一層高めることができる。
【0025】なお、一般にE型の受電コアの各脚部間には漏れ磁束が生じるが、このような漏れ磁束は脚部先端に多く発生する。すると、図4に示したように中央脚部6aの全長に渡ってコイル7を巻回した構成においては、そのような漏れ磁束Φ′をコイル7で有効に拾うことができず、無駄になってしまう。その点、図1に示したように中央脚部16aの付け根部分にコイル17を集中させた構成においては、その漏れ磁束Φ′の分も有効にコイル17に鎖交させることができ、その分、より大きな受電電圧を得ることができる。
【0026】また、受電コア16の脚部の間隔が狭くなるので、磁路エアギャップが小さくなり、受電コア16の磁束密度が大きくなって、その結果、より大きな受電電圧を得ることができる。
〔その他の実施の形態〕本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、請求項1に記載した範囲内において、種々の構成を採用可能である。例えば、以下のような構成変更も可能である。
【0027】(1)上記実施の形態では、受電コア16の開放部側から見て、給電線13、14とコイル17とが全部重なるような位置関係としたが、本発明においては必ずしもこれに限定されるものではない。すなわち、給電線13、14とコイル17との位置関係は、図2に示すように、受電コア16の外側脚部16c側から見て(すなわち矢印A方向から見て)、給電線13、14とコイル17との重なりがなく、かつ、受電コア16の開放部側から見て(すなわち矢印B方向から見て)、給電線13、14とコイル17とが少なくとも一部重なるような位置関係にあればよい。
【0028】(2)上記実施の形態では、受電コア16の中央脚部16aにコイル17を巻回したが、それに代えて、図3に示すように外側脚部16b、16cのそれぞれにコイル171 、172 を巻回する構成としてもよい。勿論、この構成においても、外側脚部16b、16cのそれぞれに挿入可能なボビンを利用することも可能である。
【0029】(3)受電コア16は、その全体を同一の磁性材料で構成する必要もなく、例えば、中央脚部16aだけをアモルファス磁性体のような飽和磁束密度の高い磁性材料で構成することも可能であり、このようにすることで中央脚部16aの厚さを狭めることができ、それに伴い、給電線13、14の間隔を一段と狭くすることができる。
【0030】(4)以上では、軌道に沿って移動体を搬送するためのその搬送形態については、特に詳しくは説明しなかったが、モノレール形式等、様々な搬送形態のものに対して本発明を適用可能である。また、そのような搬送形態を有する搬送システムとしては、工場や倉庫等で製品や部品を搬送するのに利用される無人走行の搬送台車システム等、様々な搬送システムに本発明を適用可能である。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、給電線間からコイルを排除することができるため、その分、給電線の間隔を大幅に狭めることができる。そのため、給電線のインダクタンスを極力小さくすることができ、その結果、給電線の長距離化を図ることもできる。
【0032】しかも、受電コアの脚部に対して挿入可能なボビンを利用することができるので、巻回行程と組み付け行程の自動化を容易に行うことができる。また、コイルの巻回場所を分割せずに1箇所にまとめることも可能なので、コイルの巻回や配線接続を行う上での作業性を一層高めることができる。
【0033】更には、受電コアにおける漏れ磁束や磁路エアギャップに対しても有効であるため、より大きな受電電圧を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
【出願日】 平成12年11月8日(2000.11.8)
【代理人】 【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
【公開番号】 特開2002−152901(P2002−152901A)
【公開日】 平成14年5月24日(2002.5.24)
【出願番号】 特願2000−340321(P2000−340321)