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【発明の名称】 可逆型燃料電池搭載自動車とその燃料補給装置、およびその燃料補給方法
【発明者】 【氏名】多井 勉

【要約】 【課題】本発明は、燃料補給という観点から、より利便性の高い燃料電池搭載自動車を提供することを課題とする。

【解決手段】本発明の手段は、燃料電池として機能し且つ水電解装置として機能する可逆型燃料電池と、該可逆型燃料電池へ供給するための水素を貯蔵する水素貯蔵装置とを備えたことを特徴とする可逆型燃料電池搭載自動車によるものであり、また、該可逆型燃料電池搭載自動車に対して、外部電力を供給する電力供給手段と、該可逆型燃料電池に水を供給する水供給手段と、該可逆型燃料電池より発生した水素を精製する水素精製手段とを備えたことを特徴とする可逆型燃料電池搭載自動車の燃料補給装置にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料電池として機能し且つ水電解装置として機能する可逆型燃料電池と、該可逆型燃料電池へ供給するための水素を貯蔵する水素貯蔵装置とを備えたことを特徴とする可逆型燃料電池搭載自動車。
【請求項2】 前記可逆型燃料電池に対して外部電力を供給するための電力接続手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の可逆型燃料電池搭載自動車。
【請求項3】 外部より供給された水を前記可逆型燃料電池へ供給し、該可逆型燃料電池より発生させた酸素とともに該水を排出させるべく構成された水循環手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の可逆型燃料電池搭載自動車。
【請求項4】 前記可逆型燃料電池より発生させた水素を前記水素貯蔵装置へ貯蔵する前に、外部装置を経由させることが可能な水素授受手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の可逆型燃料電池搭載自動車。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の可逆型燃料電池搭載自動車に対して、外部電力を供給する電力供給手段と、該可逆型燃料電池に水を供給する水供給手段と、該可逆型燃料電池より発生した水素を精製する水素精製手段とを備えたことを特徴とする可逆型燃料電池搭載自動車の燃料補給装置。
【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の可逆型燃料電池搭載自動車に対し、外部電力を供給することによって該可逆型燃料電池を水電解装置として機能させ、該可逆型燃料電池より発生した水素を前記水素貯蔵装置へ貯蔵することを特徴とする可逆型燃料電池搭載自動車の燃料補給方法。
【請求項7】 前記可逆型燃料電池を水電解装置として機能させる際に、前記可逆型燃料電池に対して外部より水を供給し、該可逆型燃料電池において電気分解させ、発生した酸素とともに余剰の水を外部へ排出させることを特徴とする請求項6記載の可逆型燃料電池搭載自動車の燃料補給方法。
【請求項8】 前記可逆型燃料電池を水電解装置として機能させる際に、前記可逆型燃料電池より発生した水素を外部に設けた水素精製手段によって精製しつつ前記水素貯蔵装置へ貯蔵することを特徴とする請求項6又は7記載の可逆型燃料電池搭載自動車の燃料補給方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池搭載自動車に関し、特に、該燃料電池が、水の電気分解と発電との両方を行うことが可能な可逆型燃料電池搭載自動車と、その燃料補給装置、および燃料補給方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来、燃料電池搭載自動車としては、例えば図3に示したように、燃料電池101と、該燃料電池へ供給するための燃料である水素等を貯めた水素貯蔵装置102と、燃料電池より発生させた電力を制御するパワーコントロールユニット103と、該電力によってホイールを駆動させるモーター104、および発生した余剰の電力を貯える2次電池105等を具備して構成されたものが知られている。
【0003】かかる燃料電池搭載自動車100は、走行に際して、水素貯蔵装置102に貯めた水素を燃料電池101に供給し、該燃料電池101を作動させて電流を発生させ、パワーコントロールユニット103で運転者の操作に合わせた電流をモーター104に流すことによってホイールを駆動させるものである。
【0004】このような従来の燃料電池搭載自動車は、上述したように、水素等の燃料を燃料電池に供給してエネルギーを発生させるものであるため、通常のガソリン自動車がガソリンスタンドにてガソリンを補給する如く、必要に応じて水素補給施設にて水素を補給する必要がある。従って、このような燃料電池搭載自動車の普及にあたっては、従来の自動車と同様に、随所に燃料補給施設を設置しなければならない。
【0005】そこで、本発明は、燃料補給という観点から、より利便性の高い燃料電池搭載自動車を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、燃料電池がその逆反応により燃料である水素を発生させることが可能であることに着目し、以下の発明を完成させるに至った。
【0007】即ち、本発明は、燃料電池として機能し且つ水電解装置として機能する可逆型燃料電池と、該可逆型燃料電池へ供給するための水素を貯蔵する水素貯蔵装置とを備えたことを特徴とする可逆型燃料電池搭載自動車にある。
【0008】かかる構成により、走行時には可逆型燃料電池を従来の燃料電池と同様に機能させることによって電力を発生させ、該電力でモータ等の駆動装置を作動させることができるとともに、停止時には可逆型燃料電池を水電解装置として機能させることにより、燃料である水素を発生させることが可能となる。
【0009】また、前記可逆型燃料電池搭載自動車には、前記可逆型燃料電池に対して外部電力を供給するための電力接続手段が備えられていることが好ましく、例えばガレージ等に設けた電力供給手段に接続することにより、車の不使用時間を利用して効率的に燃料補給を行うことが可能となる。
【0010】さらに、前記可逆型燃料電池搭載自動車には、外部より供給された水を前記可逆型燃料電池へ供給し、該可逆型燃料電池より発生させた酸素とともに該水を排出させるべく構成された水循環手段を備えていることが好ましく、あるいは、前記可逆型燃料電池より発生させた水素を前記水素貯蔵装置へ貯蔵する前に、外部装置を経由させることが可能な水素授受手段を備えていることが好ましい。
【0011】斯かる水循環手段を備えたことにより、水電解に必要な水が供給可能となるとともに可逆型燃料電池の温度を制御することが可能となる。また、前記水素授受手段を介して発生した水素を取り出すことにより、外部装置によって水素を精製することが可能となる。
【0012】また、本発明の手段は、前記可逆型燃料電池搭載自動車に対して、外部電力を供給する電力供給手段と、該可逆型燃料電池に水を供給する水供給手段と、該可逆型燃料電池より発生した水素を精製する水素精製手段とを備えたことを特徴とする可逆型燃料電池搭載自動車の燃料補給装置にある。
【0013】また、本発明の手段は、燃料電池として機能し且つ水電解装置として機能する可逆型燃料電池と、該可逆型燃料電池へ供給するための水素を貯蔵する水素貯蔵装置と、該可逆型燃料電池で発生させた電力で作動する駆動装置とを備えた可逆型燃料電池搭載自動車に対し、外部電力を供給することによって該可逆型燃料電池を水電解装置として機能させ、該可逆型燃料電池より発生した水素を前記水素貯蔵装置へ貯蔵することを特徴とする可逆型燃料電池搭載自動車の燃料補給方法にある。
【0014】斯かる方法によれば、水素を燃料として補給することなく、比較的入手容易な電力を供給することにより、該自動車の燃料補給を行うことが可能となる。
【0015】また、自動車を使用することが少ない夜間を利用して水電解を行うことにより、安価な夜間電力を有効利用することができ、燃料費を節減することが可能となる。
【0016】前記燃料補給方法においては、前記可逆型燃料電池を水電解装置として機能させる際に、前記可逆型燃料電池に対して外部より水を供給し、該可逆型燃料電池において電気分解させ、発生した酸素とともに余剰の水を外部へ排出させることが好ましく、これによって、可逆型燃料電池における水電解を効率良く行うことが可能となる。
【0017】さらに、前記燃料補給方法においては、前記可逆型燃料電池を水電解装置として機能させる際に、前記可逆型燃料電池より前記発生した水素を外部に設けた水素精製装置によって精製しつつ前記水素貯蔵装置へ貯蔵することが好ましく、これによって純度の高い水素を貯蔵することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】本発明に係る可逆型燃料電池搭載自動車の一実施形態は、図1および図2に示したように、走行時には燃料電池として機能し、且つ停止時には水電解装置としても機能する可逆型燃料電池10と、該可逆型燃料電池へ供給するための水素を貯蔵する水素貯蔵装置11と、該可逆型燃料電池で発生させた電力を制御するパワーコントロールユニット12と、該電力で作動するモーター13と、該可逆型燃料電池10で発生した余剰の電力を貯える2次電池14とを具備して構成される。
【0020】また、該可逆型燃料電池搭載自動車1は、前記可逆型燃料電池10を水電解装置として機能させるために、外部電源より電力を可逆型燃料電池10へ供給するための端子21および電気配線等(図示せず)を備え、且つ外部より供給された水を可逆型燃料電池10へ供給し、且つ該可逆型燃料電池10より排出すべく構成された水供給口22、水排出口23および水配管等(図示せず)を備えている。
【0021】さらに、該可逆型燃料電池搭載自動車1は、前記可逆型燃料電池10を水電解装置として機能させた際に発生した水素を、車外に設けた任意の装置を経由させて前記水素貯蔵装置へ流通させることが可能な水素取出口24、水素取入口25および水素配管等(図示せず)を備えている。
【0022】ここで、本発明に係る可逆型燃料電池搭載自動車1に搭載された可逆型燃料電池10の構造および機能について、詳細に説明する。
【0023】図3、4は、該可逆型燃料電池10の概略図において、水電解装置と燃料電池という2つの機能をそれぞれ表したものである。該可型燃料電池10は、イオン交換膜10aと、その両側にそれぞれ位置する酸素発生・酸素還元用電極触媒10b及び水素発生・水素酸化用電極触媒10cと、該酸素発生・酸素還元用電極触媒10bの外側に位置する給電・集電体10dと、該水素発生・水素酸化用電極触媒10cの外側に位置する給電・集電体10eと、該給電・集電体10d及び10eの外側にそれぞれ位置する電極板10f、10gとを備える。
【0024】ここで、イオン交換膜10aは、例えば、スルホン酸基を持つフッ素樹脂である固体高分子電解質膜、ナフィオン115(デュポン社製)などが用いられる。また、酸素発生・酸素還元用電極触媒10bは、例えば、白金と二酸化イリジウムとの混合触媒が用いられ、一方、水素発生・水素酸化用電極触媒10cとしては、好ましくは白金触媒が用いられる。
【0025】電極触媒10bとしては、白金と二酸化イリジウムとの混合触媒を使用することが好ましく、該二酸化イリジウムの作用によって、過電圧を上げることなく酸素を発生させることができる。一方、電極触媒10cとしては、水素発生の過電圧が小さいため、白金を用いることが好ましい。
【0026】また、陽極側の給電・集電体10dでは、発生した酸素による酸化腐食が生ずるため、該給電・集電体10dを炭素材料で形成することはできず、したがって、チタン製マイクロメッシュやチタン繊維焼結体やチタン粉末焼結体などに白金メッキを行ったものを用いることが好ましい。一方、陰極側の給電・集電体10eでは、発生した水素による水素脆性を考慮して、チタンではなく多孔質カーボンやステンレス鋼繊維焼結体やステンレス鋼粉末焼結体などに白金メッキを行ったものを用いることが好ましい。
【0027】さらに、電極10f及び10gは、発生した酸素による酸化腐食を防止するためにチタン板が用いられる。
【0028】次に、該可逆型燃料電池10の機能について説明する。
【0029】まず始めに、該可逆型燃料電池10が水電解装置として作動する場合について、図3を参照しつつ説明する。交流電力から電力Aが整流器によって直流に変換され、その直流電力が電極板に印加されると、電極板10fは陽極、電極板10gは陰極として機能する。さらに、給電・集電体10d及び10eは、電極触媒10b及び10cに電流を供給する給電体として機能する。
【0030】そして、陽極側の給電体10dに水を供給することにより、電極触媒10bにおいては、H2O→1/2O2+2H++2e-のように反応し、酸素が発生する。また、かかる反応によって生じたプロトン(H+)は、イオン交換樹脂10aを介して陰極側へ移動し、電極板10gから給電体10eを介して伝達された電子と、2H++2e-→H2のように反応して水素が発生する。
【0031】尚、前記イオン交換膜10aと、酸素発生・酸素還元用電極触媒10bと、水素発生・水素酸化用電極触媒10cと、給電・集電体10d及び10eと、電極板10f及び10gとからなる積層体を一つのセルとして、このセルを複数個積層することも可能である。可逆型燃料電池10を、このような複数個のセルの積層体として構成した場合には、電極10f及び10gは、複極電極板として作用する。
【0032】続いて、該可逆型燃料電池10が燃料電池として機能する場合について、図4を参照しつつ、水電解装置の作動と異なる点を中心に説明する。この可逆型燃料電池10が燃料電池として作動する際も、水電解装置として作用する際と同様に、電極板10fが陽極となり、電極板10gが陰極となる。即ち、陽極側の給電体10dに酸素(空気)を供給し、一方、陰極側の給電体10eに水素を供給することにより、水電解装置の場合とは逆の反応、すなわち、陽極では、1/2O2+2H++2e-→H2O、陰極では、H2→2H++2e-の反応が起こる。
【0033】白金と二酸化イリジウムとの混合触媒からなる電極触媒10bは、白金の作用によって発生電圧を下げることなく、酸素とプロトンと電子とを反応させて、水を発生させる。また、白金からなる電極触媒10cは、発電電圧を下げることなくプロトンを発生させる。
【0034】さらに、給電・集電体10d及び10eは、電極触媒10b及び10cから電流を取り出す集電体として機能することにより、電極板10f、10gには電位差が生じ、これが起電力となって電力が発生する。
【0035】斯かる構造と機能を有する可逆型燃料電池が搭載された可逆型燃料電池搭載自動車1の使用方法を説明すると、まず走行時には、図1に示したように、該可逆型燃料電池10は燃料電池として機能させ、供給された水素および空気(酸素)によって発電し、発生した電力によってモーター13を駆動させて走行する。そして、非走行時、即ち停車している際には、図2に示したように、駐車場所等に設置された燃料補給装置60によって、外部から電力Aと水Bとを供給することにより、前記可逆型燃料電池10を水電解装置として機能させ、発生させた水素ガスを前記水素貯蔵装置11に貯蔵する。
【0036】ここで、前記燃料補給装置60としては、交流電源31と、該交流電源31より供給された電流を直流に変換するための整流器32とを備えた電力供給装置30、水を供給および循環させるための循環水ポンプ41と、酸素分離タンク42と、イオン交換樹脂充填槽(図示せず)とを備え、且つ市水と接続された水供給装置40、水素と水とを分離する水素分離タンク51および除湿器52とを備えた水素精製装置50などから構成されている。
【0037】停車の際の燃料補給時には、前記電力供給装置30より整流器32、端子21を介して可逆型燃料電池10に電力Aを供給し、また、市水より、好ましくはイオン交換樹脂充填槽を通して得た水B、又は前記水供給装置40に貯められた水Bを、水供給口23を介して可逆型燃料電池10に供給する。そして、可逆型燃料電池10を上述したように水電解装置として機能させ、水素および酸素を発生させる。このうち、発生した酸素は余剰の水とともに前記水排出口22を介して前記水供給装置40へ戻し、酸素分離タンク42において酸素と分離する。また、発生した水素については、前記水素取出口24を介して水素精製装置50へ送り、水素分離タンク51によって水を分離した後、除湿器52によって純度の高い水素として精製した後、水素取入口25を介して車内に戻し、水素貯蔵装置11に貯蔵する。
【0038】斯かる可逆型燃料電池搭載自動車1および燃料補給装置60を使用することにより、自動車を使用しない停車時間と、その間利用されない燃料電池とを有効に使用することができるため、効率的に燃料補給を行うことが可能となる。
【0039】また、水素を調達することと比較すると、水と電力の調達は極めて容易であるため、いかなる場所においてもこのような燃料補給装置を設けることができ、燃料電池搭載自動車の普及に効果的なものとなる。
【0040】尚、上記実施例においては、燃料補給装置が定置型である場合について説明したが、燃料補給装置のいずれか一構成要素、あるいは交流電源と市水との接続部以降の全ての構成要素を、移動可能な燃料補給装置として構成し、本発明に係る可逆型燃料電池搭載自動車に搭載してもよい。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る可逆型燃料電池搭載自動車あるいはその燃料補給装置および方法によると、燃料電池搭載自動車を使用しない時間帯や自動車に搭載された燃料電池を有効に活用することができ、斯かる燃料電池搭載自動車の利便性を高めることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000192590
【氏名又は名称】神鋼パンテツク株式会社
【出願日】 平成12年10月27日(2000.10.27)
【代理人】 【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇 (外1名)
【公開番号】 特開2002−135911(P2002−135911A)
【公開日】 平成14年5月10日(2002.5.10)
【出願番号】 特願2000−328058(P2000−328058)