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【発明の名称】 ハイブリッド車両の充電制御装置
【発明者】 【氏名】山本 和久

【要約】 【課題】ハイブリッド車両において、エンジンでモータ・ジェネレータを駆動して発電を行う際の燃料消費量を効果的に削減する。

【解決手段】発電コスト算出手段M1でモータ・ジェネレータMの発電コストを算出し、比較手段M2で前記発電コストを予め設定した閾値と比較し、発電コストが閾値未満のときに発電許可手段M3がモータ・ジェネレータMの発電を許可するので、モータ・ジェネレータMを駆動するエンジンEの燃料消費量を最小限に抑えながら、モータ・ジェネレータMの発電電力で蓄電手段を充電することができる。しかも現在のエンジン回転数におけるエンジンEの最小燃料消費量と、現在のエンジン回転数においてエンジンEのみで走行した場合の燃料消費量と、エンジンEの余裕トルクによる発電量とからモータ・ジェネレータMの発電コストを算出するので、正確な発電コストを算出することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン(E)およびモータ・ジェネレータ(M)を備え、エンジン(E)を駆動源として走行しているときに、エンジン(E)の出力トルクから走行に必要な駆動トルクを差し引いた余裕トルクでモータ・ジェネレータ(M)を駆動し、その発電電力で蓄電手段(34)を充電するハイブリッド車両において、モータ・ジェネレータ(M)の発電コスト(COSTgen)を算出する発電コスト算出手段(M1)と、発電コスト(COSTgen)を予め設定した閾値(COSTref)と比較する比較手段(M2)と、発電コスト(COSTgen)が閾値(COSTref)未満のときにモータ・ジェネレータ(M)の発電を許可する発電許可手段(M3)と、を備えたことを特徴とするハイブリッド車両の充電制御装置。
【請求項2】 モータ・ジェネレータ(M)の発電コスト(COSTgen)は、現在のエンジン回転数におけるエンジン(E)の最小燃料消費量と、現在のエンジン回転数においてエンジン(E)のみで走行した場合の燃料消費量と、前記余裕トルクによるモータ・ジェネレータ(M)の発電量と、から算出されることを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド車両の充電制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンおよびモータ・ジェネレータを備え、エンジンを駆動源として走行しているときに、エンジンの出力トルクから走行に必要な駆動トルクを差し引いた余裕トルクでモータ・ジェネレータを駆動し、その発電電力で蓄電手段を充電するハイブリッド車両に関する。
【0002】
【従来の技術】かかるハイブリッド車両は、特開平9−37410号公報により公知である。エンジン駆動時の余裕トルクでモータ・ジェネレータを駆動して蓄電手段を充電する場合、エンジンおよびモータ・ジェネレータを同時に制御するとエンジンの制御が非常に難しくなるため、このものではエンジンの運転点(回転数NeおよびトルクTe)を固定して制御の容易化を図っている。その内容を図8を参照して説明すると、■エンジンの運転点を、エンジンの燃料消費量、排気ガス量等の物理量が最良になる運転点(Ne* ,Te* )に定常的に固定する。
■車速V1のときにトランスミッションのレシオをi1とすることで、エンジン回転数Ne* での運転を実現する。このとき、モータ・ジェネレータの発電量Pice* −PL1は、エンジン回転数がNe* に固定されているので、エンジントルクの差分Te* −TeL1に相当する。
■車速V2のときにトランスミッションのレシオをi2とすることで、エンジン回転数Ne* での運転を実現する。このとき、モータ・ジェネレータの発電量Pice* −PL2は、エンジン回転数がNe* に固定されているので、エンジントルクの差分Te* −TeL2に相当する。
【0003】以上のことから、モータ・ジェネレータの発電量を制御することで、エンジンを最良の運転点(Ne* ,Te* )で定常運転しながら、車速の変化による瞬間必要トルクの変化に対応することができ、瞬間必要トルクの変化に応じたエンジンの制御が不要になる。
【0004】また特開平9−98516号公報に記載されたものは、エンジンを動力源として走行する場合の燃料消費量、排気ガス量等の物理量と、モータ・ジェネレータを動力源として走行する場合に必要な電気エネルギーをエンジンでモータ・ジェネレータを駆動して蓄電手段に充電する際の燃料消費量、排気ガス量等の物理量とを考慮した上で、エンジンを使用して走行するかモータ・ジェネレータを使用して走行するかを決定している。更に、充電時における蓄電手段およびモータ・ジェネレータのエネルギー変換効率を考慮した燃料消費量、排気ガス量等の物理量のシステム全体の効率に基づいて、充電時のエンジンの出力トルクを設定している。
【0005】また特開平11−229916号公報に記載されたものは、モータ・ジェネレータにより蓄電手段に蓄えられた電力を使用して走行すると仮定した場合の燃料消費量を、蓄電手段に充電した際の燃料消費量を含めて評価するとともに、エンジンの出力トルクで走行すると仮定した場合の燃料消費量を評価し、これらの評価結果に基づいてモータ・ジェネレータを使用するかエンジンを使用するかを選択している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記特開平9−37410号公報に記載されたものは、エンジンの運転点を固定してモータ・ジェネレータの発電量を変化させることで、瞬間必要トルクの変化に応じたエンジン制御を不要にしているが、瞬間必要トルクの変化に応じた発電効率の変化については言及していない。即ち、車速がV1からV2に変化したときにレシオをi1からi2に変化させてエンジンの運転点を固定しているが、レシオがi1からi2に変化することで瞬間必要動力線(走行抵抗線)が変化する。これにより車速V1でエンジンの出力トルクで走行すると仮定した場合の運転点(Ne* ,TeL1)と、車速V2でエンジンの出力トルクで走行すると仮定した場合の運転点(Ne* ,TeL2)との違いが発生するが、この運転点の変化によりエンジン効率(いわゆるBSFC)もまたBSFCL1からBSFCL2へと変化する。
【0007】一般にエンジンの効率は低回転高負荷運転時に高くなるが、この場合エンジン効率は運転点が最良の運転点(Ne* ,Te* )に近い車速V2の方が良くなる(BSFCL1<BSFCL2)。従って、余裕トルクによる発電のメリットであるエンジンの効率の差が車速V1に比べて車速V2で小さくなるとともに、車速V2では発電容量もTeL2−TeL1だけ小さくなる。以上のように、余裕トルクによる発電のメリットはエンジン効率を向上して燃料消費量を節減することにあるが、走行点の変化によりエンジン効率の向上幅が減少し、また発電容量も減少する場合があり、必ずしも常に効率の高い発電が行えるわけではない。
【0008】また上記特開平9−98516号公報に記載されたものは、瞬間必要トルクを発生させるためにエンジンおよびモータ・ジェネレータの何れを使用した方が効率が良いかを判定するものであり、如何に少ない燃料消費量で電気エネルギーを作るかという観点からなされたものではない。従って、ある状態での瞬間必要トルクを得るためにモータ・ジェネレータを使用した方が燃料消費量が少ないと判定されても、その場合の発電コスト(発電に要した燃料消費量を発電量を除算した値)が必ずしも良い値であるという保証はない。つまり充電時における蓄電手段およびモータ・ジェネレータのエネルギー変換効率とを考慮した燃料消費量、排気ガス量等の物理量のシステム全体の効率に基づいて充電時のエンジンの出力トルクを設定しているが、この考え方では、初めに必要電気エネルギー(発電量)を設定しており、エンジンのここでの必要仕事は必要電気エネルギーと各種効率によるロスエネルギーとの和であるために、必ずしもエンジン効率の最も良い運転点とはならない。
【0009】また上記特開平11−229916号公報に記載されたものは、エンジンを動力源として走行する場合の燃料消費量とモータ・ジェネレータを動力源として走行する場合の燃料消費量とを評価し、エンジンを使用するかモータ・ジェネレータを使用するかを判定しているが、モータ・ジェネレータを動力源として走行する場合の燃料消費量は、蓄電手段を充電した際の燃料消費量を含めての評価であって、充電に際し燃料消費量を評価して充電を行うか否かの判定を行っているわけではない。そのために、モータ・ジェネレータを動力源とする場合において、発電効率が悪いときに充電した場合の燃料消費量とエンジンを動力源とする場合の燃料消費量とを比較することになりかねず、必ずしも燃料消費量を節減できるわけではない。
【0010】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、エンジンおよびモータ・ジェネレータを備えたハイブリッド車両において、エンジンでモータ・ジェネレータを駆動して発電を行う際に燃料消費量を効果的に節減することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明では図7のクレーム対応図に示した構成を採用している。
【0012】即ち、請求項1に記載された発明によれば、エンジンおよびモータ・ジェネレータを備え、エンジンを駆動源として走行しているときに、エンジンの出力トルクから走行に必要な駆動トルクを差し引いた余裕トルクでモータ・ジェネレータを駆動し、その発電電力で蓄電手段を充電するハイブリッド車両において、モータ・ジェネレータの発電コストを算出する発電コスト算出手段と、発電コストを予め設定した閾値と比較する比較手段と、発電コストが閾値未満のときにモータ・ジェネレータの発電を許可する発電許可手段とを備えたことを特徴とするハイブリッド車両の充電制御装置が提案される。
【0013】上記構成によれば、発電コスト算出手段でモータ・ジェネレータの発電コストを算出し、比較手段で前記発電コストを予め設定した閾値と比較し、その結果、発電コストが閾値未満のときに発電許可手段がモータ・ジェネレータの発電を許可するので、モータ・ジェネレータを駆動するエンジンの燃料消費量(つまり発電コスト)を最小限に抑えながら、モータ・ジェネレータの発電電力で蓄電手段を充電することができる。
【0014】また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、モータ・ジェネレータの発電コストは、現在のエンジン回転数におけるエンジンの最小燃料消費量と、現在のエンジン回転数においてエンジンのみで走行した場合の燃料消費量と、前記余裕トルクによるモータ・ジェネレータの発電量とから算出されることを特徴とするハイブリッド車両の充電制御装置が提案される。
【0015】上記構成によれば、現在のエンジン回転数におけるエンジンの最小燃料消費量と、現在のエンジン回転数においてエンジンのみで走行した場合の燃料消費量と、エンジンの余裕トルクによる発電量とからモータ・ジェネレータの発電コストを算出するので、正確な発電コストを算出することができる。
【0016】尚、実施例のバッテリ34は本発明の蓄電手段に対応する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0018】図1〜図7は本発明の一実施例を示すもので、図1はハイブリッド車両の動力伝達系のスケルトン図、図2はエンジンの運転点による発電コストの変化を説明する図、図3は発電走行時の発電可能領域判定ルーチンのフローチャート、図4は車両の走行モード選択ルーチンのフローチャート、図5はエンジンの運転点と発電容量との関係を示す図、図6はモータ・ジェネレータの発電効率を示す図、図7はクレーム対応図である。
【0019】図1に示すように、ハイブリッド車両の動力伝達系は、エンジンEと、前後進切替用の遊星歯車機構Pと、ベルト式無段変速機Cと、モータ・ジェネレータMと、ディファレンシャルギヤDとを備える。エンジンEのクランク軸11は油圧ポンプ12を介してトルクコンバータ13の入力側に接続され、トルクコンバータ13の出力側は遊星歯車機構Pのサンギヤ軸14に接続される。遊星歯車機構Pはプラネタリキャリヤ15と、サンギヤ16と、リングギヤ17と、ピニオン18…とを備えており、サンギヤ16はサンギヤ軸14に固定され、リングギヤ17はベルト式無段変速機Cの入力軸19に固定される。そしてサンギヤ軸14はフォワードクラッチ20を介してプラネタリキャリヤ15に結合可能であり、プラネタリキャリヤ15はリバースブレーキ21を介してケーシング22に結合可能である。
【0020】ベルト式無段変速機Cは入力軸19に支持されたドライブプーリ23と、出力軸24に支持されたドリブンプーリ25と、両プーリ23,25に巻き掛けられた無端ベルト26とから構成され、両プーリ23,25の一方の有効半径を増加させて他方の有効半径を減少させることにより変速比を無段階に変化させることができる。ベルト式無段変速機Cの出力軸24にはクラッチ27を介してファイナル軸28が接続されており、ファイナル軸28に設けた第1ギヤ29がモータ・ジェネレータMに設けた第2ギヤ30に噛合するとともに、ファイナル軸28に設けた第3ギヤ31がディファレンシャルギヤDに設けた第4ギヤ32に噛合する。そしてディファレンシャルギヤDから延びるドライブ軸33に駆動輪Wに接続される。
【0021】本発明の蓄電手段を構成するバッテリ34はPDU(パワー・ドライブ・ユニット)35を介してモータ・ジェネレータMに接続されており、モータ・ジェネレータMの出力トルクおよび発電量は電子制御ユニット36によりPDU35を介して制御される。
【0022】従って、フォワードクラッチ20を締結して遊星歯車機構Pをロックした状態では、エンジンのクランク軸11の回転はトルクコンバータ13→サンギヤ軸14→プラネタリキャリヤ15→ピニオン18…→リングギヤ17→入力軸19→ドライブプーリ23→無端ベルト26→ドリブンプーリ25→出力軸24→クラッチ27→第3ギヤ31→第4ギヤ32→ディファレンシャルギヤD→ドライブ軸33を経て駆動輪Wに伝達され、車両を前進走行させる。
【0023】一方、リバースブレーキ21を締結した状態では、エンジンのクランク軸11の回転はトルクコンバータ13→サンギヤ軸14→サンギヤ16→ピニオン18…→リングギヤ17→入力軸19→ドライブプーリ23→無端ベルト26→ドリブンプーリ25→出力軸24→クラッチ27→第3ギヤ31→第4ギヤ32→ディファレンシャルギヤD→ドライブ軸33を経て駆動輪Wに逆回転となって伝達され、車両を後進走行させる。
【0024】上記何れの場合にも、バッテリ34に蓄電された電力でモータ・ジェネレータMをモータとして機能させれば、その出力トルクでエンジンEの出力トルクをアシストすることができ、またエンジンEの出力トルクでモータ・ジェネレータMをジェネレータとして機能させれば、その発電電力でバッテリ34を充電することができる。また車両の減速時にクラッチ27を締結解除して駆動輪WとエンジンEとの接続を絶ち、駆動輪Wの回転をモータ・ジェネレータMに伝達して回生制動を行うことにより、モータ・ジェネレータMの発電電力でバッテリ34を充電することができる。またクラッチ27を締結解除した状態でモータ・ジェネレータMをモータとして機能させれば、エンジンEの出力トルクによらずに車両を前後進させることができる。
【0025】次に、モータ・ジェネレータMによる発電コストの算出手法を図2を参照して説明する。
【0026】エンジンEがエンジン回転数Ne1の運転点1で運転されているとき、エンジンEのみで走行する場合の燃料消費量GF1eは、そのときのエンジントルクTe1、エンジン回転数Ne1、エンジン効率η1および単位変換係数716.2を用いて、GF1e=Te1×Ne1×η1÷716.2で与えられる。
【0027】またエンジン回転数Ne1においてエンジンEの最も良い運転状態での走行時に、余裕トルクでモータ・ジェネレータMを駆動して発電する場合の燃料消費量GF1mは、そのときのエンジントルクTeηmax1、エンジン回転数Ne1、エンジン効率ηmax1および単位変換係数716.2を用いて、GF1m=Teηmax1×Ne1×ηmax1÷716.2で与えられる。
【0028】従って、発電のための燃料消費量は、GF1m−GF1e=(Teηmax1×ηmax1−Te1×η1)×N1÷716.2で与えられる。
【0029】また発電量Egen1は、モータ・ジェネレータMの発電効率をηgen1として、Egen1=ηgen1×(Teηmax1−Te1)×Ne1÷716.2で与えられる。
【0030】以上のことから、単位発電量当たりの燃料消費量、つまり発電コストCOST1は、上記2つの燃料消費量の差GF1m−GF1eを発電量Egen1で除算することにより、COST1=(Teηmax1×ηmax1−Te1×η1)÷{ηgen1×(Teηmax1−Te1)}
で与えられる。
【0031】またエンジンEがエンジン回転数Ne2の運転点2で運転されているとき、エンジンEのみで走行する場合の燃料消費量GF2eは、そのときのエンジントルクTe2、エンジン回転数Ne2、エンジン効率η2および単位変換係数716.2を用いて、GF2e=Te2×Ne2×η2÷716.2で与えられる。
【0032】またエンジン回転数Ne2においてエンジンEの最も良い運転状態での走行時に余裕トルクでモータ・ジェネレータMを駆動して発電する場合の燃料消費量GF2mは、そのときのエンジントルクTeηmax2、エンジン回転数Ne2、エンジン効率ηmax2および単位変換係数716.2を用いて、GF2m=Teηmax2×Ne2×ηmax2÷716.2で与えられる。
【0033】従って、発電のための燃料消費量は、GF2m−GF2e=(Teηmax2×ηmax2−Te2×η2)×N2÷716.2で与えられる。
【0034】また発電量Egen2は、モータ・ジェネレータMの発電効率をηgen2として、Egen2=ηgen2×(Teηmax2−Te1)×Ne2÷716.2で与えられる。
【0035】以上のことから、単位発電量当たりの燃料消費量、つまり発電コストCOST2は、上記2つの燃料消費量の差GF2m−GF2eを発電量Egen2で除算することにより、COST2=(Teηmax2×ηmax2−Te2×η2)÷{ηgen2×(Teηmax2−Te2)}
で与えられる。
【0036】さて、発電コストCOSTを小さくするには、発電コストCOSTの式の分母を大きくし、分子を小さくすれば良い。分母を大きくするには、ηgenを大きくTeηmax−Teを大きくすれば良く、また分子を小さくするには、Teηmax×ηmaxを小さくTe×ηを大きくすれば良い。
【0037】分母のTeηmax−Teが大きいのは運転点1であり、Teηmax−TeはエンジンEの余裕トルク、つまり発電トルクであるため、これが大きいということはモータ・ジェネレータMを最大発電容量の近傍で運転することになる。このことは、モータ・ジェネレータMの発電効率ηgenが高くなることであり(図6参照)、発電コストCOSTを小さくする要因として好適に作用していることが分かる。一方、分子のTeηmaxを固定して考えると、発電コストCOSTを小さくするにはηmaxを小さく、ηを大きくすれば良いことになり、運転点1は運転点2よりも都合が良い。
【0038】従って、運転点1でのコストCOST1は運転点2でのコストCOST2よりも小さくなり、エンジンEの余裕トルクを用いて発電を行う場合には、運転点1で発電するよりも運転点2で発電する方がコストが小さくなることが分かる。
【0039】次に、本発明の実施例の作用を図3および図4のフローチャート、並びに図5のグラフに基づいて説明する。
【0040】先ず、図3の発電可能領域判定ルーチンにおいて、ステップS1で電子制御ユニット36にエンジンEの運転状態や車両の走行状態を示す各種のパラメータ、例えば車速、走行抵抗、ベルト式無段変速機Cのレシオ、エンジン回転数、エンジントルク等を読み込み、ステップS2で前記読み込んだ情報に基づいて現時点での車両の走行に必要な動力Pneedを算出する。続くステップS3で前記読み込んだ情報と電子制御ユニット36に予め記憶したエンジンデータとに基づいて、現時点での車両の走行をエンジンEのみで行った場合の必要燃料消費量GFneedを算出する。続くステップS4で前記読み込んだ情報に基づいて現時点での車両の走行をエンジンEで行った場合のエンジン回転数を算出し、このエンジン回転数と予め電子制御ユニット36に記憶したエンジンデータとからエンジン効率が最も良くなる運転点を検索し、その運転点でのエンジンの最良効率運転時の動力Pηmaxを算出する。
【0041】続くステップS5で前記検索したエンジン効率が最も良くなる運転点でのエンジンに関する運転情報と予め制御装置に記憶したエンジンデータとからエンジン効率が最も良くなる運転点での燃料消費量GFηmaxを算出する。続くステップS6で発電走行を行う場合の目標発電量Pgenを、Pgen=(Pηmax−Pneed)×ηgenで算出する。続くステップS7でモータ・ジェネレータMを発電運転して発電を行った際の発電時燃料消費量GFgenを、GFgen=GFηmax−GFneedで算出する。続くステップS8で、前記ステップS6で算出した目標発電量Pgenと前記ステップS7で算出した発電時燃料消費量GFgenとから単位発電量当たりの燃料消費量、つまり発電コストCOSTgenを、COSTgen=GFgen/Pgenで算出する。
【0042】続くステップS9で予め設定した発電コストの閾値COSTrefを読み込み、ステップS10で発電コストCOSTgenを発電コストの閾値COSTrefと比較し、COSTgen<COSTrefが成立するとき、つまり発電コストが小さいときには、ステップS11で発電可能領域であると判定してFlgGenOkを「1」にセットする。一方、COSTgen<COSTrefが成立しないとき、つまり発電コストが大きいときには、ステップS12で発電不可能領域であると判定してFlgGenOkを「0」にリセットする。
【0043】次に、図4の走行モード選択ルーチンにおいて、ステップS21でバッテリ34の充電量を所定値と比較し、充電量が所定値以上であってそれ以上の充電が不可能である場合には、ステップS22で現在の車両の走行状態によりモータ・ジェネレータMによる走行が可能か否かを判定し、可能であればステップS23でモータ・ジェネレータMによる走行を行い、不可能であればステップS24でエンジンEによる走行を行う。
【0044】モータ・ジェネレータMによる走行が可能であるか否かは、モータ・ジェネレータMの出力トルク、モータ・ジェネレータMによる走行で消費されると推定される燃料消費量とエンジンEによる走行で消費されると推定される燃料消費量との関係、モータ・ジェネレータMの故障の有無、エンジンEの故障の有無等により判定される。即ち、図示はしないが、現在の車両の走行状態が要求する出力が、モータ・ジェネレータMの最大出力を上回っている場合にはモータ・ジェネレータMによる走行が不可能であると判定し、またモータ・ジェネレータMによる走行で消費されると推定される燃料消費量がエンジンEによる走行で消費されると推定される燃料消費量よりも大きい場合にはモータ・ジェネレータMによる走行が不可能であると判定し、更にモータ・ジェネレータMの故障が検知されている場合にはモータ・ジェネレータによる走行が不可能であると判定する。
【0045】前記ステップS21でバッテリ34の充電量が所定値未満であってそれ以上の充電が可能であれば、ステップS25で前記図3のフローチャートで判定した発電可能領域であるか否か(つまり発電コストCOSTgenが発電コストの閾値COSTrefよりも低いか否か)を判定し、発電可能領域でなければ前記ステップS24に移行してエンジンEによる走行を行う。前記ステップS24で発電可能領域であるとき、ステップS26で発電コストCOSTgen以外の条件で発電走行が可能であるか否かを判定する。
【0046】他の条件としては、モータ・ジェネレータMの故障判断、減速判断、車両停止判断等があり、モータ・ジェネレータMが故障しているときには発電を行うことができないためにステップS24でエンジンEによる走行を行う。また車両の減速時にはエンジンEはフュエルカットしてモータ・ジェネレータMによる減速回生発電を行う場合があり、このような場合にエンジンEによる発電を行うとかえって燃料消費量を増加させることになるので発電運転は行わない。また車両の停止時に発電運転を行うとドライバーにとって不快な騒音や振動が発生する場合があるので発電運転は行わない。
【0047】そして前記ステップS26で発電走行が可能であれば、ステップS27でエンジンEによる走行を行いながら、エンジンEの余裕トルクでモータ・ジェネレータMに発電を行わせてバッテリ34を充電する。モータ・ジェネレータMの発電制御は、現在の車両の走行状態を実現しているエンジン回転数でモータ・ジェネレータMを駆動し、図5に示す余裕トルクPgenによりモータ・ジェネレータMを発電運転すべくエンジンEおよびモータ・ジェネレータMの運転を制御する。
【0048】以上のように、モータ・ジェネレータMの発電コストCOSTgenを予め設定した閾値COSTrefと比較した結果、発電コストコストCOSTgenが閾値COSTref未満のときにモータ・ジェネレータMの発電を許可するので、モータ・ジェネレータMを駆動するエンジンEの燃料消費量を最小限に抑えながら、モータ・ジェネレータMの発電電力でバッテリ34を充電することができ、燃料消費量の節減に寄与することができる。また現在のエンジン回転数においてモータ・ジェネレータMに発電を行わせる場合と行わせない場合との燃料消費量の差を、発電を行った場合のモータ・ジェネレータMの発電量で除算して発電コストCOSTgenを算出するので、正確な発電コストCOSTgenを算出することができる。
【0049】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0050】例えば、実施例では蓄電手段としてバッテリ34を例示したが、バッテリ34に代えてキャパシタを採用することができる。
【0051】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明によれば、発電コスト算出手段でモータ・ジェネレータの発電コストを算出し、比較手段で前記発電コストを予め設定した閾値と比較し、その結果、発電コストが閾値未満のときに発電許可手段がモータ・ジェネレータの発電を許可するので、モータ・ジェネレータを駆動するエンジンの燃料消費量(つまり発電コスト)を最小限に抑えながら、モータ・ジェネレータの発電電力で蓄電手段を充電することができる。
【0052】また請求項2に記載された発明によれば、現在のエンジン回転数におけるエンジンの最小燃料消費量と、現在のエンジン回転数においてエンジンのみで走行した場合の燃料消費量と、エンジンの余裕トルクによる発電量とからモータ・ジェネレータの発電コストを算出するので、正確な発電コストを算出することができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成12年10月26日(2000.10.26)
【代理人】 【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健 (外1名)
【公開番号】 特開2002−135909(P2002−135909A)
【公開日】 平成14年5月10日(2002.5.10)
【出願番号】 特願2000−327572(P2000−327572)