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【発明の名称】 リニアモータ式搬送装置
【発明者】 【氏名】久徳 千三

【氏名】村田 正直

【氏名】新谷 勉

【氏名】大西 寿

【要約】 【課題】搬送経路に分岐部を設けるに当たり、分岐部通過中にローラがリニアモータ2次側を横切る際の段差の影響を無くす。

【解決手段】搬送経路を構成する軌道2と、軌道2に沿って走行する搬送台車3と、搬送台車3に設けられたリニアモータ1次側15Aと、軌道2に設けられたリニアモータ2次側15Bと、搬送台車3に設けられ、リニアモータ2次側15Bの側方に確保された軌道上の転動面4を転動するローラ8とを備えたリニアモータ式搬送装置101において、搬送経路に分岐部を設けると共に、該分岐部の軌道上に、前記ローラ8が分岐部を通過中にリニアモータ2次側15Bを横切る際の段差を覆う板材108を設け、該板材108を、リニアモータ1次側15Aと2次側15Bとの間の電磁気的作用を阻害しない材料で構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 搬送経路を構成する軌道と、該軌道に沿って走行する搬送台車と、該搬送台車に設けられたリニアモータ1次側と、前記軌道に設けられて前記リニアモータ1次側と共にリニアモータを構成するリニアモータ2次側と、前記搬送台車に設けられ、前記リニアモータ2次側の側方に確保された軌道上の転動面を転動するローラと、を備えたリニアモータ式搬送装置において、前記搬送経路に分岐部を設けると共に、該分岐部の軌道上に、前記ローラが分岐部を通過中に前記リニアモータ2次側を横切る際の段差を覆う板材を設けると共に、該板材を、前記リニアモータ1次側とリニアモータ2次側との間の電磁気的作用を阻害しない材料で構成したことを特徴とするリニアモータ式搬送装置。
【請求項2】 前記ローラが前記板材の上を転動する際の通過方向に対し、当該板材の継ぎ目を斜めに設定したことを特徴とする請求項1記載のリニアモータ式搬送装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体製造工場や病院等で利用されるリニアモータ式搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図5は従来の床設置型リニアモータ式搬送装置の一例を示す断面図である。このリニアモータ式搬送装置1は、搬送経路を構成する軌道2と、この軌道2に沿って走行する搬送台車3と、搬送台車3に走行駆動力を与えるリニアモータ15とを備えている。
【0003】軌道2は、上面を搬送台車3の走行面4とする底壁2aと、搬送台車3の進行方向左右の動きを規制する一対の側壁2b、2bとを有する断面U字形をなしており、底壁2aの幅方向中央の凹部5には、マグネットよりなるリニアモータ2次側15Bが、バックプレート16を介して配置されている。また、軌道2の内面には、長手方向に沿って給電線12が敷設されている。
【0004】搬送台車3のフレーム7には、軌道2の走行面(転動面)4を転動する走行ローラ8と、同じ走行面4を転動するエンコーダローラ9と、軌道2の左右の側壁2b、2bに接して搬送台車3の走行をガイドするガイドローラ10と、給電線12からの電力を非接触で受電する受電部11と、該受電部11からの電力の供給を受けてリニアモータ2次側15Bと協同して走行駆動力を発生するリニアモータ1次側15Aとが設けられている。なお、走行ローラ8とガイドローラ10は、いずれも搬送台車3の前部と後部の左右両側にそれぞれ設けられている。
【0005】この搬送装置1では、受電部11で得られた電力によって、リニアモータ15を制御することにより、搬送台車3が走行するための推力が得られる。その際、走行ローラ8は、軌道2上に確保された走行面4を転動することにより、リニアモータ1次側15Aとリニアモータ2次側15B間のギャップを確保し、ガイドローラ10は、軌道2の側壁2bに転接することにより、搬送台車3の姿勢を制御する。また、搬送台車3の速度は、エンコーダローラ9で得たデータにより換算される。
【0006】図6は従来の天井設置型リニアモータ式搬送装置の一例を示す。このリニアモータ式搬送装置21は、搬送経路を構成する軌道22と、この軌道22に沿って走行する搬送台車23と、搬送台車23に走行駆動力を与えるリニアモータ35とを備えている。
【0007】軌道22は、天井壁22aと、搬送台車3の進行方向左右の動きを規制する一対の側壁22b、22bとを有する断面略逆U字形をなしており、側壁22b、22bの下端には、上面を搬送台車23の走行面26とする左右の底壁22c、22cが、両者間に溝部22dを確保した状態で設けられている。天井壁22aの幅方向中央の凹部25には、マグネットよりなるリニアモータ2次側35Bがバックプレート36を介して配置され、リニアモータ2次側35Bに隣接した天井壁22aの下面には、後述のエンコーダローラ29の転動面24が確保されている。また、軌道22の内面には、長手方向に沿って給電線32が敷設されている。
【0008】搬送台車23のフレーム27は、軌道22の左右底壁22c、22c間の溝部22dから軌道22の内部に挿入されており、その軌道22の内部に挿入されたフレーム部分には、軌道22の走行面26を転動する走行ローラ28と、天井壁22aに確保された転動面24を転動するエンコーダローラ29と、軌道22の左右の側壁22b、22bに接して搬送台車23の走行をガイドするガイドローラ30と、給電線32からの電力を非接触で受電する受電部31と、該受電部31からの電力の供給を受けてリニアモータ2次側35Bと協同して走行駆動力を発生するリニアモータ1次側35Aとが設けられている。
【0009】この搬送装置21では、受電部31で得られた電力によって、リニアモータ35を制御することにより、搬送台車23が走行するための推力が得られる。その際、走行ローラ28は、軌道22上に確保された走行面26を転動することにより、リニアモータ1次側35Aとリニアモータ2次側35B間のギャップを確保し、ガイドローラ30は、軌道22の側壁22bに転接することにより、搬送台車23の姿勢を制御する。また、搬送台車23の速度は、エンコーダローラ29で得たデータにより換算される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の2つのタイプのリニアモータ式搬送装置1、21は、大略上述のように構成されているが、搬送経路の途中にY字形の分岐部を設けようとする場合、次のような問題が発生することが分かった。
【0011】床設置型のリニアモータ式搬送装置の場合を例にとって説明する。図7は床設置型のリニアモータ式搬送装置の搬送経路に分岐部を設けようとした場合の分岐部分の軌道の平面図である。搬送台車3は、あるときは本軌道2Lを走行し、あるときは分岐軌道2Rを走行するように制御される。
【0012】図7において、符号L1で示す線は、本軌道2Lを走行するときの走行ローラ8の通過ライン、L2で示す線は、分岐軌道2Rを走行するときの走行ローラ8の通過ラインを示している。走行ローラ8の転動する走行面4は、リニアモータ2次側15Bであるマグネットの両側に確保されており、走行面4上を転動する走行ローラ8は、この分岐部を通過する際に、通過ラインL1、L2を見れば分かるように、リニアモータ2次側15Bを横切ることになる。リニアモータ2次側15Bは本来の走行面ではないので、通過する際には段差(凹凸)を乗り越えなくてはならず、従って、通過中に大きな振動が発生するおそれがあることが分かった。また、エンコーダローラ9もほぼ同様の通過ラインを走行するので、段差を乗り越える際に、検出の乱れが発生するおそれがあることが分かった。
【0013】以上においては、例として床設置型のリニアモータ式搬送装置の場合を説明したが、図6の天井設置型のリニアモータ式搬送装置21の場合も、エンコーダローラ29が分岐部を通過する際に同様の問題が発生することが分かった。
【0014】本発明は、上記事情を考慮し、搬送経路に分岐部を設けるに当たり、分岐部通過中にローラがリニアモータ2次側を横切る際の段差の影響を無くしたリニアモータ式搬送装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、搬送経路を構成する軌道と、該軌道に沿って走行する搬送台車と、該搬送台車に設けられたリニアモータ1次側と、前記軌道に設けられて前記リニアモータ1次側と共にリニアモータを構成するリニアモータ2次側と、前記搬送台車に設けられ、前記リニアモータ2次側の側方に確保された軌道上の転動面を転動するローラと、を備えたリニアモータ式搬送装置において、前記搬送経路に分岐部を設けると共に、該分岐部の軌道上に、前記ローラが分岐部を通過中に前記リニアモータ2次側を横切る際の段差を覆う板材を設けると共に、該板材を、前記リニアモータ1次側とリニアモータ2次側との間の電磁気的作用を阻害しない材料で構成したことを特徴とする。
【0016】この搬送装置では、走行ローラやエンコーダローラ等のローラが、軌道上に配置したリニアモータ2次側を横切る部分に板材を張り付けて段差を覆ったので、振動を発生せずに分岐部を通過することができる。従って、エンコーダローラがリニアモータ2次側を横切る場合には、検出の乱れを防ぐことができる。
【0017】なお、板材は分岐部の全面に張ってもよいし、ローラが転動する面のみに張ってもよい。また、板材は、非磁性体のものが好ましいが、リニアモータの特性に不具合が起きない程度であれば、磁性金属のものでも可である。例えば、アルマイト処理されたアルミ板、薄いステンレス板、鉄板等が採用可能である。
【0018】請求項2の発明は、請求項1において、前記ローラが前記板材の上を転動する際の通過方向に対し、当該板材の継ぎ目を斜めに設定したことを特徴とする。
【0019】前記の板材を繋ぐときには、このようにローラが転動する際の通過方向に対して板材の継ぎ目を斜めに設定するのが好ましい。つまり、ローラの通過する部分については、板材を斜め切りして繋ぐのがよい。そうすると、継ぎ目を通過する際にローラの一部がどちらかの板材に乗っていることになり、継ぎ目でのローラの落ち込みによる影響が少なくなって、振動の発生を防止できる。
【0020】また、板材の継ぎ目は、軌道の継ぎ目と異なる位置に設定するのが望ましい。そうすれば、経年変化で軌道の継ぎ目に段差が生じた場合にも、その段差の影響を板材でカバーすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は第1実施形態として示す床設置型リニアモータ式搬送装置101の断面図である。この搬送装置101は、図5に示したリニアモータ式搬送装置1に新たに、搬送方向を分岐するための手段と、分岐部を設けたが故にローラがリニアモータ2次側を通過するときの問題を解消するための手段(板材)を設けたことを特徴としており、それ以外の点は図5のものと同じであるから、同一構成要素には同符号を付して説明の重複を避け、主に特徴点のみを新たな符号を付して説明する。
【0022】この搬送装置101では、搬送経路の途中にY字形の分岐部を設けている。図2は分岐部における軌道の走行面の平面図である。搬送台車3は、あるときは本軌道2Lを走行し、あるときは分岐軌道2Rを走行する。この図において、L1は本軌道2Lを走行するときの走行ローラ8の通過ライン、L2は分岐軌道2Rを走行するときの走行ローラ8の通過ラインである。
【0023】この分岐部においては、本軌道2L及び分岐軌道2Rの外側の側壁に分岐ガイドが設けられている。図2では図示しないが、図1では説明の便宜上、実際とは違うが、両側に分岐ガイド102L、102Rを設けた例を図示してある。
【0024】搬送台車3のフレーム7には、前記分岐ガイドによってガイドされる分岐用ローラ103L、103Rが設けられている。これら分岐用ローラ103L、103Rは、図2に示す本軌道2Lと分岐軌道2Rの間で進路を変更する場合に、分岐部に進入する手前で、移動桿105によって選択的に左右のいずれかに移動ささせられる。そして、その状態で分岐部に搬送台車3が進入することで、移動した分岐ローラ103L、103Rが、本軌道2L側または分岐軌道2R側の分岐ガイド102L、102Rにガイドされ、それによって、進路を選択できるようになっている。なお、移動桿105は、フレーム7上に設置された駆動部106によって駆動される。
【0025】また、前述したように、分岐部を搬送台車3が通過する際に、走行ローラ8及びエンコーダローラ9が、リニアモータ2次側15Bを横切るときの問題を解消するために、分岐部の軌道2L、2R上には、リニアモータ2次側15Bによる段差を覆う板材108が張り付けられている。但し、その板材108は、リニアモータ1次側15Aとリニアモータ2次側15Bとの間の電磁気的作用を阻害しない材料で構成してある。
【0026】この搬送装置101では、搬送台車3を本軌道2Lに走行させる場合には、分岐部に入る手前で、左側の分岐用ローラ103Lを、本軌道2L側の分岐ガイド102Lに入るように左に移動させる。そして、その状態で、搬送台車3を分岐部に進入させる。そうすると、本軌道2L側の分岐ガイド102Lに左側の分岐ローラ103Lがガイドされて、搬送台車3が本軌道2Lに進路をとる。
【0027】反対に、搬送台車3を分岐軌道2Rに走行させる場合には、分岐部に入る手前で、右側の分岐用ローラ103Rを、分岐軌道2R側の分岐ガイド102Rに入るように右に移動させる。そして、その状態で、搬送台車3を分岐部に進入させる。そうすると、分岐軌道2R側の分岐ガイド102Rに右側の分岐ローラ103Rがガイドされて、搬送台車3が分岐軌道2Rに進路をとる。
【0028】このように分岐部を通過する際に、走行ローラ8やエンコーダローラ9がリニアモータ2次側15Bによる段差を横切ることになるが、その段差は板材108を張り付けることで覆われているので、ローラ8、9は、板材108の面上を転動することで、振動を発生せずに分岐部を通過することができる。従って、振動の発生を防止できる上、エンコーダローラ9による検出の乱れを防ぐことができる。
【0029】なお、板材108を繋ぐ場合には、図2に示すように、継ぎ目108Tのうち少なくともローラ8、9が転動する部分108Taを、ローラ8、9が通過する方向(通過ラインL2を参照)に対して斜めに設定するのが好ましい。つまり、ローラ8、9の通過する部分については、板材108を斜め切りして繋ぐのがよい。そうすると、図3(a)に示すように、継ぎ目108T(108Ta)を通過する際にローラ8の一部がどちらかの板材108に乗っている状態が作られ、継ぎ目108Tでのローラ8の落ち込みによる影響が少なくなり、継ぎ目108Tを通過する時の振動の発生を防止することができる。図3(b)は比較のために、板材108を垂直切りして繋いだ場合の継ぎ目108Tbを示すが、このように垂直切りして繋ぐと、ローラ8が一瞬、継ぎ目108Tbに落ち込んでしまうことから、好ましくないと言える。
【0030】図4は本発明の第2実施形態として示す天井設置型リニアモータ式搬送装置121の断面図である。この搬送装置121は、図6に示したリニアモータ式搬送装置21に新たに、搬送方向を分岐するための手段と、分岐部を設けたが故にローラがリニアモータ2次側を通過するときの問題を解消するための手段(板材)を設けたことを特徴としており、それ以外の点は図6のものと同じであるから、同一構成要素には同符号を付して説明の重複を避け、主に特徴点のみを新たな符号を付して説明する。
【0031】この搬送装置121も、搬送経路の途中にY字形の分岐部を設けており、搬送台車23のフレーム27には、軌道22に設けられた分岐ガイド102L、102Rによってガイドされる分岐用ローラ103L、103Rが設けられている。分岐ガイド102L、102Rや分岐ローラ103L、103Rの構成・作用は前記第1実施形態の場合と同様であるから説明は省略する。
【0032】また、分岐部を搬送台車23が通過する際にエンコーダローラ29が、リニアモータ2次側35Bを横切るときの問題を解消するために、分岐部の軌道22上にはリニアモータ2次側35Bによる段差を覆う板材108が張り付けられている。従って、分岐部を搬送台車23が通過する際に、エンコーダローラ29は、板材108の面上を転動することで、振動を発生せずに分岐部を通過することができ、検出の乱れを防ぐことができる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明によれば、搬送経路の分岐部を通過する際に、搬送台車上のローラが軌道上に配置したリニアモータ2次側を横切る部分に板材を張り付けて、リニアモータ2次側による段差を覆ったので、振動を発生することなく、搬送台車が分岐部を通過することができる。従って、エンコーダローラがリニアモータ2次側を横切る場合には、エンコーダローラによる検出の乱れを防ぐことができる。
【0034】また、請求項2の発明によれば、前記の板材の継ぎ目をローラの通過方向に対して斜めに設定したので、継ぎ目をローラが通過するときの落ち込みを防止して振動の発生を抑えることができる。
【出願人】 【識別番号】000002059
【氏名又は名称】神鋼電機株式会社
【出願日】 平成12年10月3日(2000.10.3)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外6名)
【公開番号】 特開2002−118906(P2002−118906A)
【公開日】 平成14年4月19日(2002.4.19)
【出願番号】 特願2000−304215(P2000−304215)