| 【発明の名称】 |
ハイブリッド車両の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】田端 淳
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| 【要約】 |
【課題】自立発電型の電源から電力の供給をうける電動機と熱機関とを駆動力源として備える車両において、車両全体としてエネルギ効率の高い条件下で運転すること。
【解決手段】制御ユニット60はアクセル開度θから要求トルクTreqを算出し、要求トルクTreqを出力する駆動力源としてエンジン効率Enefが駆動用モータ効率Mgefよりも高いか否かを判定する。制御ユニット60はエンジン10のエネルギ効率Enefが駆動用モータ20のエネルギ効率Mgefよりも高いと判定した場合にはスロットルバルブ13の開度制御と共にインジェクタを介して要求される燃料量をエンジン10に供給する。制御ユニット60は、スロットルバルブ13のバルブ開度制御を実行した後、トランスミッションECU620を介してCVT40の変速比を変更する制御を実行する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】燃料の燃焼により駆動力を発生させる熱機関と自発電源からの電力を消費して駆動力を発生させる電動機とを駆動力源として備えると共に、駆動力源として熱機関が用いられる場合には熱機関を燃費が最適となる運転領域にて運転させるハイブリッド車両の制御装置であって、前記車両に要求される要求出力を算出する要求出力算出手段と、前記要求出力をよりエネルギ効率良く生成することができる駆動力源を前記熱機関および前記電動機の一方ないしは両者の組み合わせから選択して前記要求出力を出力させる駆動力源制御手段とを備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項2】請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記駆動力源制御手段は、前記熱機関を駆動力源として選択した場合には、前記熱機関を前記燃費が最適となる運転領域にて運転させることによって前記要求出力を出力させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項3】請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記駆動力源制御手段は、前記電動機を駆動力源として選択した場合には、前記要求出力を前記電動機によって出力させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項4】請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記駆動力源制御手段は、前記熱機関および前記電動機の組み合わせを駆動力源として選択した場合には、前記熱機関を前記燃費が最適となる運転領域にて運転させて前記熱機関および前記電動機によって前記要求出力を出力させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項5】請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置はさらに、前記車両の車速に依存して、前記熱機関を任意の運転領域にて運転可能にする動力伝達手段を備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項6】燃料の燃焼により駆動力を発生させる熱機関と自発電源からの電力を消費して駆動力を発生させる電動機とを駆動力源として備えると共に、駆動力源として熱機関が用いられる場合には熱機関を燃費が最適となる運転領域にて運転させるハイブリッド車両の制御装置であって、前記車両に要求される要求トルクを算出する要求トルク算出手段と、前記燃費が最適となる運転領域における前記熱機関の現トルクと前記要求トルクとのトルク差を求めるトルク差算出手段と、前記算出されたトルク差を最も高いエネルギ効率にて生成することができる駆動力源を前記熱機関または前記電動機の一方ないしは両者の組み合わせから選択する駆動力源選択手段と、前記駆動力源選択手段によって、前記熱機関が駆動力源として選択された場合には、前記熱機関を前記燃費が最適となる運転領域にて運転させることによって前記トルク差を出力させる駆動力源制御手段とを備えるハイブリッド車両の制御装置。 【請求項7】請求項6に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記駆動力源制御手段は、前記駆動力源選択手段によって、前記電動機が駆動力源として選択された場合には、前記トルク差を前記電動機によって出力させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項8】請求項6に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記駆動力源制御手段は、前記駆動力源選択手段によって、前記熱機関および前記電動機の組み合わせが駆動力源として選択された場合には、前記熱機関を前記燃費が最適となる運転領域にて運転させて前記要求トルクよりも小さい燃費優先トルクを生成させると共に、前記要求トルクと前記燃費優先トルクとの不足トルク差を前記電動機によって出力させることによって前記トルク差を出力させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項9】請求項8に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記燃費優先トルクは、前記要求トルクに最も近く、前記燃費が最適となる運転領域にて前記熱機関が出力可能なトルクであることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項10】請求項6、請求項8および請求項9のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置はさらに、変速比を変更することにより前記熱機関の機関回転速度を減速して伝達する変速装置と、前記要求トルクまたは前記燃費優先トルク出力時における前記熱機関の機関回転速度を前記車両の現車速に整合させるよう変速装置の変速比を制御する変速装置制御手段とを備えるハイブリッド車両の制御装置。 【請求項11】請求項6ないし請求項10のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記自発電源は、燃料電池用燃料を消費して発電する燃料電池であることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項12】請求項11に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記エネルギ効率は、前記熱機関については、前記燃料が生成可能な熱量に関する燃料効率、前記生成された熱量をトルクに変換する際の効率である熱機関効率、および前記熱機関の作動に伴う駆動効率を含み、前記電動機については、前記燃料電池用燃料から生成可能な電力量に関する燃料効率、前記電力をトルクに変換する際の効率である電動機効率、および前記電動機の作動に伴う駆動効率を含むことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項13】燃焼用燃料を消費して駆動力を発生させる熱機関と燃料電池からの電力を消費して駆動力を発生させる電動機とを駆動力源として備えるハイブリッド車両の制御方法において、前記車両に要求される要求トルクを算出し、前記熱機関の運転時には、前記熱機関を、前記熱機関の機関回転数および出力トルクの特性線として表される熱機関の燃料消費が最適となる最適燃費曲線上にて前記熱機関を運転し、前記最適燃費曲線上の第1の運転ポイントにおける前記熱機関の現トルクと前記要求トルクとのトルク差を求め、前記算出したトルク差を最も高いエネルギ効率にて生成することができる駆動力源を前記熱機関および前記電動機の一方または両者の組み合わせから選択し、前記熱機関を駆動力源として選択した場合には、前記要求トルクに対応する前記最適燃費曲線上の第2の運転ポイントにて前記熱機関を運転させることによって前記トルク差を出力させるハイブリッド車両の制御方法。 【請求項14】請求項13に記載のハイブリッド車両の制御方法において、前記電動機を駆動力源として選択した場合には、前記トルク差を前記電動機によって出力させることを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。 【請求項15】請求項13に記載のハイブリッド車両の制御方法において、前記熱機関および前記電動機の組み合わせを駆動力源として選択した場合には、前記要求トルクよりも小さい燃費優先トルクに対応する前記最適燃費曲線上の第3の運転ポイントにて前記熱機関を運転させることによって前記燃費優先トルクを出力させると共に、前記要求トルクと前記燃費優先トルクとの不足トルク差を前記電動機によって出力させることによって前記トルク差を出力させることを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、熱機関および電動機を駆動力源として備えるハイブリッド車両における駆動力源の制御技術に関する。 【0002】 【従来の技術】駆動力源として内燃機関(熱機関)と電動機とを備えているハイブリッド車両が実用化されている。一般的に、電動機は車両要求トルクの小さな領域における効率が高く、内燃機関は車両要求トルクの大きな領域における効率が高いという特性を有している。したがって、ハイブリッド車両は、通常、車両に要求される車両要求トルクに応じて内燃機関、電動機、または、内燃機関および電動機を駆動力源として選択し、選択した駆動力源に車両要求トルクを出力させて走行している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のハイブリッド車両では、内燃機関の運転領域にて要求トルクが増大した場合には、内燃機関と電動機とを運転させることで要求トルクが出力されていた。また、従来のハイブリッド車両は、電動機用の電源として二次電池を用いており、内燃機関を用いた二次電池の充電を前提とした駆動力源の運転制御が行われていた。 【0004】したがって、燃料電池等の自立発電型の電源を使用する場合には、従来の駆動力源の運転制御は最適でない場合があるという問題があった。また、駆動力源としての内燃機関および電動機をそれぞれエネルギ効率の高い条件下で運転することができず、車両全体として高いエネルギ効率を実現できないという問題が発生する可能性があった。 【0005】本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、自立発電型の電源から電力の供給をうける電動機と熱機関とを駆動力源として備える車両において、電動機および熱機関をそれぞれ高いエネルギ効率にて運転させることを目的とする。また、車両全体としてエネルギ効率の高い条件下で運転することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上記課題を解決するために本発明の第1の態様は、燃料の燃焼により駆動力を発生させる熱機関と自発電源からの電力を消費して駆動力を発生させる電動機とを駆動力源として備えると共に、駆動力源として熱機関が用いられる場合には熱機関を燃費が最適となる運転領域にて運転させるハイブリッド車両の制御装置を提供する。本発明の第1の態様に係るハイブリッド車両の制御装置は、前記車両に要求される要求出力を算出する要求出力算出手段と、前記要求出力をよりエネルギ効率良く生成することができる駆動力源を前記熱機関および前記電動機の一方ないしは両者の組み合わせから選択して前記要求出力を出力させる駆動力源制御手段とを備えることを特徴とする。 【0007】本発明の第1の態様に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、要求されている出力をエネルギ効率の高い駆動力源によって出力するので、車両全体としてエネルギ効率の高い条件下で車両を運転することができる。 【0008】本発明の第1の態様に係るハイブリッド車両の制御装置において、前記駆動力源制御手段は、前記熱機関を駆動力源として選択した場合には、前記熱機関を前記燃費が最適となる運転領域にて運転させることによって前記要求出力を出力させても良い。かかる場合には、熱機関の燃料消費を抑制しつつ車両のエネルギ効率を向上させることができる。また、前記駆動力源制御手段は、前記電動機を駆動力源として選択した場合には、前記要求出力を前記電動機によって出力させても良い。かかる場合には、エネルギ効率の高い電動機によって要求出力を出力することができる。 【0009】本発明の第1の態様に係るハイブリッド車両の制御装置において、前記駆動力源制御手段は、前記熱機関および前記電動機の組み合わせを駆動力源として選択した場合には、前記熱機関を前記燃費が最適となる運転領域にて運転させて前記熱機関および前記電動機によって前記要求出力を出力させても良い。かかる場合には、熱機関と電動機をエネルギ効率良く運転させることができる。 【0010】本発明の第1の態様に係るハイブリッド車両の制御装置はさらに、前記車両の車速に依存して、前記熱機関を任意の運転領域にて運転可能にする動力伝達手段を備えても良い。かかる場合には、熱機関を任意の運転領域にて運転させることが可能となるので、熱機関を燃費が最適となる運転領域にて運転させることができる。 【0011】本発明の第2の態様は、燃料の燃焼により駆動力を発生させる熱機関と自発電源からの電力を消費して駆動力を発生させる電動機とを駆動力源として備えると共に、駆動力源として熱機関が用いられる場合には熱機関を燃費が最適となる運転領域にて運転させるハイブリッド車両の制御装置を提供する。本発明の第2の態様に係るハイブリッド車両の制御装置は、前記車両に要求される要求トルクを算出する要求トルク算出手段と、前記燃費が最適となる運転領域における前記熱機関の現トルクと前記要求トルクとのトルク差を求めるトルク差算出手段と、前記算出されたトルク差を最も高いエネルギ効率にて生成することができる駆動力源を前記熱機関および前記電動機の一方ないしは両者の組み合わせから選択する駆動力源選択手段と、前記駆動力源選択手段によって、前記熱機関が駆動力源として選択された場合には、前記熱機関を前記燃費が最適となる運転領域にて運転させることによって前記トルク差を出力させる駆動力源制御手段とを備えることを特徴とする。 【0012】本発明の第2の態様に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、要求されているトルクをエネルギ効率の高い駆動力源によって出力し、駆動力源として選択された場合には、熱機関を燃費が最適となる運転領域にて運転させるので、車両全体としてエネルギ効率の高い条件下で車両を運転することができる。 【0013】本発明の第2の態様に係るハイブリッド車両の制御装置において、前記駆動力源制御手段は、前記駆動力源選択手段によって、前記電動機が駆動力源として選択された場合には、前記トルク差を前記電動機によって出力させても良い。かかる構成を備えることにより、電動機のエネルギ効率が高い場合には、電動機によってトルク差を出力することが可能となり、車両全体としてのエネルギ効率を向上させることができる。 【0014】本発明の第2の態様に係るハイブリッド車両の制御装置において、前記駆動力源制御手段は、前記駆動力源選択手段によって、前記熱機関および前記電動機の組み合わせが駆動力源として選択された場合には、前記熱機関を前記燃費が最適となる運転領域にて運転させて前記要求トルクよりも小さい燃費優先トルクを生成させると共に、前記要求トルクと前記燃費優先トルクとの不足トルク差を前記電動機によって出力させることによって前記トルク差を出力させても良い。かかる構成を備えることにより、熱機関を燃費が最適となる運転領域にて運転して燃費優先トルクを出力することができると共に、電動機によって不足トルク差を補って、車両全体のエネルギ効率を向上させつつ要求トルクを出力することができる。 【0015】本発明の第2の態様に係るハイブリッド車両の制御装置において、前記燃費優先トルクは、前記要求トルクに最も近く、前記燃費が最適となる運転領域にて前記熱機関が出力可能なトルクであっても良い。かかる構成を備える場合には、熱機関によって要求トルクの大部分を出力することができる。 【0016】本発明の第2の態様に係るハイブリッド車両の制御装置はさらに、変速比を変更することにより前記熱機関の機関回転速度を減速する変速装置と、前記要求トルクまたは前記燃費優先トルク出力時における前記熱機関の機関回転速度を前記車両の現車速に整合させるよう変速装置の変速比を制御する変速装置制御手段とを備えても良い。かかる構成を備えることにより、熱機関を燃費が最適となる運転領域において運転させる結果として生じる機関回転速度の変動にかかわらず車両の速度を現車速に維持することができる。 【0017】本発明の第2の態様に係るハイブリッド車両の制御装置において、前記自発電源は、燃料電池用燃料を消費して発電する燃料電池であっても良い。 【0018】本発明の第2の態様に係るハイブリッド車両の制御装置において、前記エネルギ効率は、前記熱機関については、前記燃料が生成可能な熱量に関する燃料効率、前記生成された熱量をトルクに変換する際の効率である熱機関効率、および前記熱機関の作動に伴う駆動効率を含み、前記電動機については、前記燃料電池用燃料から生成可能な電力量に関する燃料効率、前記電力をトルクに変換する際の効率である電動機効率、および前記電動機の作動に伴う駆動効率を含んでも良い。 【0019】本発明の第3の態様は、燃焼用燃料を消費して駆動力を発生させる熱機関と燃料電池からの電力を消費して駆動力を発生させる電動機とを駆動力源として備えるハイブリッド車両の制御方法を提供する。本発明の第3の態様に係るハイブリッド車両の制御方法において、前記車両に要求される要求トルクを算出し、前記熱機関の運転時には、前記熱機関を、前記熱機関の機関回転数および出力トルクの特性線として表される熱機関の燃料消費が最適となる最適燃費曲線上にて前記熱機関を運転し、前記最適燃費曲線上の第1の運転ポイントにおける前記熱機関の現トルクと前記要求トルクとのトルク差を求め、前記算出したトルク差を最も高いエネルギ効率にて生成することができる駆動力源を前記熱機関および前記電動機の一方または両者の組み合わせから選択し、前記熱機関を駆動力源として選択した場合には、前記要求トルクに対応する前記最適燃費曲線上の第2の運転ポイントにて前記熱機関を運転させることによって前記トルク差を出力させることを特徴とする。 【0020】本発明の第3の態様に係るハイブリッド車両の制御方法によれば、本発明の第1および第2の態様に係るハイブリッド車両の制御装置と同様な作用効果を得ることができる。 【0021】本発明の第3の態様に係るハイブリッド車両の制御方法において、前記電動機を駆動力源として選択した場合には、前記トルク差を前記電動機によって出力させても良い。 【0022】本発明の第3の態様に係るハイブリッド車両の制御方法において、前記熱機関および前記電動機の組み合わせを駆動力源として選択した場合には、前記要求トルクよりも小さい燃費優先トルクに対応する前記最適燃費曲線上の第3の運転ポイントにて前記熱機関を運転させることによって前記燃費優先トルクを出力させると共に、前記要求トルクと前記燃費優先トルクとの不足トルク差を前記電動機によって出力させることによって前記トルク差を出力させても良い。 【0023】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係るハイブリッド車両の制御装置について図面を参照しつつ実施例に基づいて説明する。 【0024】図1を参照して本実施例に係るハイブリッド車両の制御装置が用いられ得る車両の概略構成について説明する。図1は本実施例に係るハイブリッド車両の制御装置を適用可能な車両の概略構成を示すブロック図である。 【0025】車両は、動力源としてのエンジン(燃機関)10および駆動用モータ(電動機)20と、エンジン10および駆動用モータ20の出力を機械的に合成分配する遊星歯車装置30と、最大減速比と最小減速比の間で減速比を無段階に変更可能な無段変速装置(CVT)40とを備えている。エンジン10はクランクシャフト(出力軸)11、ダンパ18および第1クラッチC1を介して遊星歯車装置30の動力入力軸と接続されており、駆動用モータ20はロータ21を介して遊星歯車装置30の動力入力軸と接続されている。遊星歯車装置30の駆動力出力軸はCVT40の動力入力軸と接続されており、CVT40の動力出力軸はドライブシャフト50と接続されている。ドライブシャフト50はディファレンシャルギヤ(ファイナルギヤを含む)51および車軸52を介して車輪53と接続されている。 【0026】エンジン10は、例えば、ガソリンを燃料とする一般的なガソリンエンジンであり、制御ユニット60によってその運転状態が制御される。エンジン10には発生した出力を外部に出力するクランクシャフト11、制御ユニット60からの指令に基づき、所定量の燃料を噴射するインジェクタ、所定のタイミングにて点火プラグを介して電気火花を生成させるイグナイタ(共に図示せず)等が備えられている。また、本実施例に係るエンジン10は、アクセルペダル12と機械的にリンクレスな電子制御式スロットルバルブ13を備えており、アクセルペダル12の踏み込み量とは独立してスロットル開度を制御することができる。クランクシャフト11にはエンジン10の回転数を検出するためのエンジン回転数センサ70(図3参照)が配置されている。エンジン10の周りには、パワーステアリング用油圧ポンプ、空調装置用の冷媒を循環させるためのエアコンディショナー(A/C)コンプレッサ等の補機14が配置されている。補機14はタイミングベルト15、電磁式クラッチ16を介してクランクシャフト11に連結されており、エンジン10の運転中は、クランクシャフト11から出力される駆動力がタイミングベルト15を介して伝達されることによって駆動される。 【0027】エンジン10の周囲には、さらに補機駆動用モータ17が配置されている。補機駆動用モータ17は、タイミングベルト15を介して補機14と結合されている。補機駆動用モータ17は、制御ユニット60からの指令に基づいてエンジン10の停止中にタイミングベルト15を介して補機14を駆動する。かかる場合には、制御ユニット60からの指令により電磁式クラッチ16はオフ(解放)され、補機駆動用モータ17とエンジン10との結合を遮断して補機駆動用モータ17の負荷が軽減される。補機駆動用モータ17は、エンジン10によって駆動されて発電機としても機能すると共に、エンジン10を始動させる際のスタータモータとしても機能する。 【0028】駆動用モータ20は、モータによる駆動力が要求される場合には電気エネルギを機械エネルギに変換するモータとして機能し、回生時、充電走行時等には機械エネルギを電気エネルギとして変換するジェネレータとして機能する三相の同期モータである。駆動用モータ20は、外周面に複数個の永久磁石を有するロータ21と、回転磁界を形成するための三相コイルが巻回されたステータ22とを備える。駆動用モータ20はロータ22に備えられた永久磁石による磁界とステータ22の三相コイルによって形成される磁界との相互作用によって回転する。ロータ22が外力によって駆動される場合には、これら磁界の相互作用によって三相コイルの両端に起電力が生成される。回転軸23には駆動用モータ20の回転数を検出するためのレゾルバ71(図3参照)が配置されている。 【0029】駆動用モータ20および補機駆動用モータ17の電源としては、燃料電池200、バッテリ(二次電池)210が備えられている。本実施例では、基本的に燃料電池200が各モータ17、20の主電源として用いられる。バッテリ210は、例えば、燃料電池200の運転状態が安定するまでの期間等の燃料電池200が十分な電力を供給できない時期に補助電源として機能すると共に、制御ユニット60、その他の電装部品に対する主電源として機能する。 【0030】各モータ17、20と各電源200、210との間にはインバータ220、230および切替スイッチ240が配置されている。インバータ220、230は制御ユニット60と信号線を介して接続されており、制御ユニット60からの指令に基づいて各モータ17、20に対して制御電流を供給する。切替スイッチ240は、各モータ17、20と各電源200、210との接続状態を任意に切り換えるためのスイッチであり、切替スイッチ240は各モータ17、20のステータ21に接続されている。 【0031】図2を参照して切替スイッチ240の切替動作について説明する。図2は切替スイッチ240の切替動作を模式的に示す説明図である。切替スイッチ240は、燃料電池200またはバッテリ210を補機駆動用モータ17に対して選択的に連結する状態、補機駆動用モータ17に対していずれの電源200、210をも連結しない状態を取り得る。また、切替スイッチ240は、燃料電池200またはバッテリ210を駆動用モータ20に対して選択的に連結する状態、駆動用モータ20に対していずれの電源200、210をも連結しない状態を取り得る。したがって、各モータ17,20に対して同時にいずれかの電源200、210から電力を供給できると共に、各モータ17,20のいずれかに対してのみいずれかの電源200、210から電力を供給することができる。また、補機駆動用モータ17に対して電源210を連結すると共に補機駆動用モータ17をジェネレータとして作用させることによって電源210に蓄電することも可能である。 【0032】遊星歯車装置30は、駆動用モータ20と共に電気式トルクコンバータを実現する。すなわち、本実施例では一般的な流体式トルクコンバータに代えて駆動用モータ20と遊星歯車装置30との動作を電気的および機械的に制御することによってトルクコンバータの機能を実現している。遊星歯車装置30は、ダブルプラネタリ型の第1遊星歯車装置31とシンプルプラネタリ型の第2遊星歯車装置32とを相互に近接して並列配置して備えている。第1および第2遊星歯車装置31,32は、共通のリングギヤRおよびキャリアCを有すると共に、第1遊星歯車装置31の外側ピニオンギヤと第2遊星歯車装置32のピニオンギヤとが一体化された共通ピニオンギヤP1を有するラビニョ型の遊星歯車装置である。 【0033】第1遊星歯車装置31の第1サンギヤS1は、駆動用モータ20のロータ21と直接連結され、第2遊星歯車装置32の第2サンギヤS2は、第1クラッチC1、ダンパ18を介してクランクシャフト11の他端と結合されている。第1サンギヤS1と第2サンギヤS2とは、第2クラッチC2を介して連結可能であり、第2クラッチC2を継合状態とすることにより第1サンギヤS1はエンジン10のクランクシャフト11と連結される。リングギヤRは、CVT40の入力側プーリ41の軸と連結されていると共に、自転可能な共通ピニオンギヤP1を介して第2サンギヤS2と相互に噛み合っている。キャリアCは、ブレーキBを介してハウジングに対して固定されると共に、自転可能な共通ピニオンギヤP1を介してリングギヤRと噛み合うと共に自転可能な独立ピニオンギヤP2を介して第1サンギヤS1と噛み合っている。 【0034】第1クラッチC1、第2クラッチC2およびブレーキBは、相互に重ね合わされた複数枚のクラッチ板が油圧アクチュエータによって押圧されることにより継合し、押圧の解除により解放する多板式の油圧式クラッチである。 【0035】CVT40は、入力側プーリ41、出力側プーリ42、および両プーリ41、42に架装されているスチールベルト43とを備えている。入力側プーリ41および出力側プーリ42にはそれぞれ図示しない油圧アクチュエータが備えられており、車両の運転状態に応じて油圧アクチュエータによってスチールベルト43が架けられる外周径が変更される。このように、各プーリ41、42の溝幅が変更されることによりプーリ比が変更され、所望の減速比が実現される。入力側プーリ41の軸は前述のようにリングギヤRと接続され、共通ピニオンギヤP1および独立ピニオンギヤP2を介して第1サンギヤS1と、共通ピニオンギヤP1を介して第2サンギヤS2と接続されている。出力側プーリ42の軸はドライブシャフト50に連結されており、出力側プーリ42から出力された駆動力は、ドライブシャフト50、ディファレンシャルギヤ51、車軸52を介して車輪53に伝達される。 【0036】次に図3を参照して本実施例に係るハイブリッド車両の制御装置の制御回路構成について説明する。図3は本実施例に係るハイブリッド車両の制御装置の制御回路構成を示すブロック図である。制御ユニット60は、ハイブリッドECU(電子制御ユニット)600、エンジンECU610、トランスミッションECU620を備えている。各ECU600、610および620には図示しないCPU、ROM、RAM等が備えられている。なお、これらECUは例示であり、例えば、ブレーキECU等がハイブリッドECU600とは別に備えられ得る。 【0037】ハイブリッドECU600は、制御ユニット60の中核をなすECUであり、エンジンECU610およびトランスミッションECU620と双方向通信可能に信号線を介して接続されている。ハイブリッドECU600には、エンジン10のクランクシャフト11の回転数を検出するエンジン回転数センサ70、駆動用モータ20の回転数を検出するレゾルバ71、車両の車速を検出する車速センサ72、シフトポジションを検出するシフトポジションセンサ73、アクセル踏み込み量をアクセル開度として検出するアクセル開度センサ74、スロットル開度を検出するスロットル開度センサ75が信号線を介して接続されている。さらに、ハイブリッドECU600には、燃料電池200の燃料であるメタノールの残量を検出するメタノール残量センサ76、バッテリ210の充電率を検出するSOCセンサ77がそれぞれ信号線を介して接続されているメタノール残量センサ76はメタノールタンク110に配置されており、燃料電池200は改質装置(図示しない)メタノール配管を介してメタノールタンク110と接続されている。 【0038】ハイブリッドECU600にはこの他にも図4に示すように種々のセンサが信号線を介して入力ポート側に接続され、種々の制御回路が信号線を介して出力ポート側に接続されている。 【0039】ハイブリッドECU600は、ROM内にエンジン10と駆動用モータ20との運転切替を決定するためのマップ、エンジン10と駆動用モータ20のエネルギ効率マップ、アクセル開度からスロットル開度を求めるマップ等を格納している。 【0040】エンジンECU610は、ハイブリッドECU600からの要求に基づいてインジェクタを制御して要求燃料噴射量を実現し、点火タイミング、スロットルバルブ開度等を制御してエンジン10の運転状態を制御する。また、駆動用モータ20のみによる車両走行時(以下、「EV走行時」という)には、ハイブリッドECU600からの要求に従って、エンジン10に対する燃料噴射を停止してエンジン10の運転を停止させる。 【0041】トランスミッションECU620は、ハイブリッドECU600からの要求に従って油圧アクチュエータを介して各クラッチC1、C2およびブレーキBの継合状態を制御し、また、入力側プーリ41、出力側プーリ42の溝幅を制御することによりプーリ比を変更し、エンジン10の回転速度(回転数)を適切に減速して車輪に伝達する。 【0042】ハイブリッドECU600は、エンジン停止中にはインバータ220、230、切替スイッチ240を介して補機駆動用モータ17を制御し、エンジン10停止時における補機14の駆動を実現する。ハイブリッドECU600は、エンジン停止状態からエンジン10の運転を再開させる際には、補機駆動用モータ17を駆動してエンジン回転数を始動回転数まで上昇させ、エンジンECU610に対して燃料噴射制御および点火制御を要求する。 【0043】次に、上記構成を備えるハイブリッド車両の制御装置によって実行されるハイブリッド車両の基本的な走行動作について図5〜図8を参照して説明する。図5は車速、出力トルク(アクセル開度)およびシフトポジションに基づいて車両前進時にエンジン10および駆動用モータ20のいずれを駆動力源とするかを決定するために用いられるマップを示す説明図である。図6は車速、出力トルク(アクセル開度)およびシフトポジションに基づいて車両後進時にエンジン10および駆動用モータ20のいずれを駆動力源とするかを決定するために用いられるマップを示す説明図である。図7は各クラッチC1、C2、ブレーキBの継合状態、および遊星歯車装置30の変速状態との関係を示す説明図であり、駆動力源、シフトポジション(図8参照)などにより場合分けしている。図8はシフトレバーポジション配置の一例を示す説明図である。 【0044】なお、図5および図6に示すマップは、車両要求トルクを出力する駆動力源を決定するために用いられるマップの一例に過ぎない。また、エンジン10による走行域において、加速が必要な場合にはエンジン10または駆動用モータ20によって必要な出力がアシストされ得る。この詳細な制御については後述する。 【0045】イグニッションポジションが車両始動位置(STA)にあるとき、ハイブリッドECU600は、車速センサ72およびアクセル開度センサ74からそれぞれ車速vおよびアクセル開度θを取得する。ハイブリッドECU600は取得した車速vおよびアクセル開度θに基づいて図5または図6のマップからエンジン10および駆動用モータ20のいずれを駆動力源として用いるか決定する。車速0からの0発進時には、通常、車速vおよびアクセル開度θの交点はEV走行域に存在するので、ハイブリッドECU600は駆動用モータ20を駆動力源として決定する。 【0046】駆動用モータ20が駆動力源として選択され、シフトポジションがD、M、Bを取る車両前進時には、トランスミッションECU620は、第1および第2クラッチC1、C2を共に解放するとともにブレーキBを係合させることにより低速前進モード「1st」を確立する。ハイブリッドECU600は、インバータ220を制御してアクセル開度θおよび車速vから求めた要求トルクを駆動用モータ20に出力させる。あるいは、燃料電池200の運転状態が不安定な場合には、切替スイッチ240を制御してインバータ230からの電力供給線と駆動用モータ20のステータ22とを接続させる。ハイブリッドECU600は、インバータ230を制御してアクセル開度θおよび車速vから求めた要求トルクを駆動用モータ20に出力させて、車両を発進させる。車両発進後、EV走行域内で車速が上昇するに連れ、ハイブリッドECU600は最適な変速比を逐次算出し、トランスミッションECU620を介して、算出した変速比を実現する。なお、本実施例においては、車両停止時には駆動用モータ20によって前進方向のクリープトルクを発生させている。なお、燃料電池200の燃料不足やバッテリ210の蓄電量SOCの低下などで十分な電力を駆動用モータ20に供給できない場合には、エンジン10によって補機駆動用モータ17を駆動して発電機として機能させて、発生した電力をバッテリ210に蓄電し、駆動用モータ20を作動させる。 【0047】低速前進モード「1st」における変速比は、1/ρ1(ρ1は第1遊星歯車装置31のギヤ比(=第1サンギヤS1の歯数/リングギヤRの歯数))と比較的大きく、大きなトルク増幅が得られるため、CVT40の大きな変速比と相まって、実用上満足できるクリープトルクや発進性能が得られる。本実施例ではρ1<ρ2であり、上記変速比1/ρ1は、第1クラッチC1を係合させてエンジン10を使って後進走行する場合の変速比の絶対値|1/ρ2|よりも大きく、大きなトルク増幅作用が得られる。 【0048】低速前進モード「1st」からエンジン10による高速前進モード「2nd」への移行に際しては、ハイブリッドECU600は、例えば、トランスミッションECU620を介して第2クラッチC2を継合させながらブレーキBを解放して遊星歯車装置30を一体回転させるとともに、エンジン10の回転数が第2サンギヤS2と同期した後に第1クラッチC1を継合させ、その後に駆動用モータ20への電力供給を停止して無負荷状態にする。 【0049】トランスミッションECU620は、第1および第2クラッチC1、C2を共に継合させるとともにブレーキBを解放することにより、エンジン10および駆動用モータ20の両方を駆動力源として走行する変速比が1のアシストモード「2nd(アシスト)」を確立する。トランスミッションECU620は、第1クラッチC1およびブレーキBを解放するとともに第2クラッチC2を継合させて、駆動用モータ20を回生制御して充電しながら制動力を発生させる変速比が1の回生制動モード「2nd(回生)」を確立する。 【0050】駆動用モータ20が駆動力源として選択され、シフトポジションがRポジションを取る車両後進時には、トランスミッションECU620は、第1および第2クラッチC1、C2を共に解放するとともにブレーキBを継合させることにより低速後進モード「低速(モータ)」を確立する。ハイブリッドECU600は、低速後進モードでは、駆動用モータ20に逆回転のトルクを発生させることにより、車両停止時には後進方向のクリープトルクを発生させる。ハイブリッドECU600は、アクセル踏み込み量の増大と共に駆動用モータ20の逆回転トルクを増大させて車両を後方へ発進させる。この時の変速比は1/ρ1で比較的大きく、大きなトルク増幅が得られるためCVT40の大きな変速比と相まって、実用上満足できるクリープトルクや発進性能が得られる。 【0051】この低速後進モード「低速(モータ)」からエンジン10による高速後進モード「高速」への移行に際しては、ハイブリッドECU600は、エンジン10を始動させ、トランスミッションECU620を介して第1クラッチC1を継合させた後に駆動用モータ20への電力供給を停止して無負荷状態にする。 【0052】EV走行時には補機14は補機駆動用モータ17によって駆動されている。ハイブリッドECU600は、電磁式クラッチ16を解放させてエンジン10を補機駆動系から遮断し、切替スイッチ240を制御してインバータ220からの電力供給線と補機駆動用モータ17の電力入力線とを接続する。必要に応じてバッテリ210が電源として用いられる点は駆動用モータ20の場合と同様である。 【0053】車速vまたはアクセル開度θのいずれか一方がEV走行域を外れると、すなわち、エンジン走行域に入るとハイブリッドECU600は駆動用モータ20からエンジン10への駆動力源の切り換えを決定する。この決定と共にハイブリッドECU600は、補機駆動用モータ17を一旦停止させて電磁式クラッチ16をオン(継合)してクランクシャフト11と補機駆動用モータ17とをタイミングベルト15を介して連結する。 【0054】ハイブリッドECU600は、補機駆動用モータ17を駆動してエンジン回転数を始動時回転数まで上昇させ、エンジンECU610に対して始動制御を要求する。エンジンECU610は要求に応じてインジェクタ、イグナイタ(図示せず)等を制御してエンジン10の爆発燃焼を開始させる。 【0055】エンジン10が駆動力源として選択され、シフトポジションがD、M、Bポジションを取る車両前進時には、トランスミッションECU620は、第1および第2クラッチC1、C2を共に継合させるとともにブレーキBを解放することにより、変速比が1の高速前進モード「2nd」を確立する。なお、EV走行域からの移行時には、エンジン10の回転数が遊星歯車装置30の回転数と同期したところで第1クラッチC1が継合される。 【0056】また、トランスミッションECU620は、第1クラッチC1をスリップ継合させ、第2クラッチC2を継合させるとともにブレーキBを解放することにより、エンジン発進が可能なエンジン低速前進モード「2nd(低速)」を確立する。エンジン低速前進モードにて車両が発進した場合には、トランスミッションECU620は、車速の増加に伴って第1クラッチを徐々に完全継合状態とする。 【0057】エンジン10が駆動力源として選択され、シフトポジションがRポジションを取る車両後進時には、トランスミッションECU620は、第1クラッチC1およびブレーキBを継合させるとともに第2クラッチC2を解放することにより、変速比が1/ρ2(ρ2は、第2遊星歯車装置32のギヤ比(=第2サンギヤS2の歯数/リングギヤRの歯数))の高速後進モード「高速」を確立する。 【0058】また、前進時と同様に、第1クラッチC1をスリップ継合させれば、エンジン発進が可能なエンジン低速後進モード「低速(エンジン)」が確立され得る。さらに、トランスミッションECU620は、シフトポジションがNポジションを取る場合には、第1および第2クラッチC1、C2を共に解放するとともにブレーキBを継合させることにより、エンジン10から遊星歯車装置30への動力伝達を遮断する。 【0059】ハイブリッドECU600は、エンジン走行時には、エンジンECU610に対してアクセル開度θおよび車速vから求めた車両要求トルクの出力を要求する。エンジンECU610は、ハイブリッドECU600からの要求に基づいて、インジェクタ、イグナイタ(図示せず)等を制御してエンジン10の運転状態を制御する。 【0060】なお、本実施例に係るハイブリッド車両の制御装置は、エンジン10を図9に示した最適燃費曲線L1上の運転ポイントにて運転させる。図9は本実施例においてエンジン10の運転ポイントを決定するために用いられる燃費優先領域(最適燃費曲線L1)のマップを示す説明図である。図9において最適燃費曲線L1は、トルクおよびエンジン回転数とをパラメータとする特性線であり、燃費が等しくなるポイントを結んで示す等燃費曲線L2およびエンジン10の出力が等しくなるポイントを結んで示す等出力曲線L3とから決定される。 【0061】ハイブリッドECU600は、車速vおよびアクセル開度θに基づいて最適な変速比を算出し、トランスミッションECU620を介して、算出した変速比を実現する。なお、エンジン走行時であっても車両要求トルクの増大が要求された場合には、後述する制御処理が実行される。 【0062】エンジン走行時には、補機14はエンジン10の駆動力によって駆動される。すなわち、クランクシャフト11から出力された駆動力はタイミングベルト15を介して補機14に伝達される。 【0063】続いて、エンジン10走行時における車両加速時に実行される本実施例に係るハイブリッド車両の制御装置における駆動力源制御処理について図10および図11を参照して説明する。図10は本実施例に係るハイブリッド車両の制御装置において実行される駆動力源制御処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図11はアクセル開度から要求トルクを求めるために用いられるマップを示す説明図である。 【0064】ハイブリッドECU600は、アクセル開度センサ74によって検出されたアクセル開度θを取得する(ステップS100)。ハイブリッドECU600は、検出したアクセル開度θを用いて図11に示すマップを用いてアクセル開度θから要求トルクTreqを算出する(ステップS110)。なお、本実施例では、説明を容易にするためにアクセル開度θのみに基づいて要求トルクTreqを算出するが、この他にも補機14を駆動するために要求されるトルク、補機駆動用モータ17を駆動して発電するために要求されるトルク等が要求トルクTreqに反映され得る。 【0065】ハイブリッドECU600は、駆動用モータ20が正常に作動可能な状態であるか否かを判定し(ステップS120)、駆動用モータ20が正常に作動可能な状態にあると判定した場合には(ステップS120:Yes)、燃料電池用燃料であるメタノール残量Fremをメタノール残量センサ76から取得し、取得したメタノール残量Fremが所定値Fref以上であるか否かを判定する(ステップS130)。 【0066】ハイブリッドECU600は、メタノール残量Frem≧Frefであると判定した場合には(ステップS130:Yes)、要求トルクTreqと現トルクTcurとのトルク差ΔTが駆動用モータ20によって出力可能な最大トルクTmgmax以下であるか否かを判定する(ステップS140)。トルク差ΔTが駆動用モータ20によって出力可能な最大トルクTmgmaxを超えている場合には、駆動用モータ20のみによって要求トルクTreqを出力することは不可能だからである。なお、かかる場合には、後述するようにエンジン10を作動させることによって駆動用モータ20を利用することができる。 【0067】ハイブリッドECU600は、トルク差ΔTが駆動用モータ20によって出力可能な最大トルクTmgmax以下であると判定した場合には(ステップS140:Yes)、要求トルクTreqを出力する駆動力源としてエンジン効率Enefが駆動用モータ効率Mgefよりも高いか否かを判定する(ステップS150)。すなわち、要求トルクTreqと現トルクTcurとのトルク差を、エンジン10、駆動用モータ20のいずれによって出力する場合のエネルギ効率が最良となるかを判定する。このことは、車両全体としてのエネルギ効率の向上にも寄与する。 【0068】かかる判定処理の詳細について図12を参照して説明する。図12はトルクに対するエンジン10および駆動用モータ20のエネルギ効率を示す説明図である。図12において、エンジン10のエネルギ効率Enefはエネルギ効率曲線L10によって、駆動用モータ20のエネルギ効率Mgefはエネルギ効率曲線L20によって示す。 【0069】エンジン10のエネルギ効率Enefは、例えば、以下の式(1)によって定義され得る。 Enef=燃料効率×エンジン効率×駆動効率 (1) ここで、燃料効率は、例えば、所定量のガソリン燃料が燃焼することにより生成することのできる熱量である。エンジン効率は、例えば、ガソリン燃料の燃焼により発生した熱をトルク(出力)として取り出し得る変換効率である。駆動効率は、例えば、ガソリンタンク内のガソリン燃料をポンプで汲み上げ、インジェクタでエンジンのシリンダ内に噴射する際に要した電力(損失)を考慮した効率である。 【0070】駆動用モータ20のエネルギ効率Mgefは、例えば、以下の式(2)によって定義され得る。 Mgef=燃料効率×モータ効率×駆動効率 (2) ここで、燃料効率は、例えば、所定量のメタノール燃料から生成することのできる電力量である。駆動効率は、メタノール燃料から生成された電力をモータ駆動用の電力に変換する効率、すなわち、インバータ効率および送電効率である。モータ効率は、例えば、変換された電力をトルク(出力)として取り出し得る割合(効率)である。 【0071】駆動用モータ20が出力可能な最大トルクはTmgmaxであるとする。したがって、要求トルクが駆動用モータ20の最大トルクTmgmax以下の領域では、メタノール燃料の残量不足等といった例外を除いて原則として駆動用モータ20が駆動力源として用いられる。 【0072】現在、エンジン10が出力している現トルクTcurの値がAであるとし、要求トルクTreqに対応する第1例の値がB、第2例の値がCであるとする。要求トルクTreqが第1の値Bを取る場合、B点におけるエンジン10のエネルギ効率Enefと現トルクTcurと要求トルクTreqとのトルク差ΔT1を出力する際の駆動用モータ20のエネルギ効率Mgefとを比較すると、駆動用モータ20を駆動力源とした場合のエネルギ効率の方が高くなる。したがって、ハイブリッドECU600は、駆動力源として駆動用モータ20を選択する。 【0073】一方、要求トルクTreqが第2の値Cを取る場合、C点におけるエンジン10のエネルギ効率Enefと現トルクTcurと要求トルクTreqとのトルク差ΔT2を出力する際の駆動用モータ20のエネルギ効率Mgefとを比較すると、エンジン10を駆動力源とした場合のエネルギ効率の方が高くなる。したがって、ハイブリッドECU600は、駆動力源としてエンジン10を選択する。また、駆動用モータ20によって出力可能な最大トルクTmgmaxを超える要求トルクTreqの変動が生じた場合にもエンジン10によってトルク差ΔTを出力する。 【0074】図10に戻って説明を続ける。ハイブリッドECU600は、演算の結果、エンジン10のエネルギ効率Enefが駆動用モータ20のエネルギ効率Mgefよりも高いと判定した場合には(ステップS150)、図13に示すマップから要求トルクに対応する目標スロットルバルブ開度θstを求め、スロットルバルブ開度θs=目標スロットルバルブ開度θstとする(ステップS160)。ハイブリッドECU600は、スロットルバルブ13の開度制御と共にインジェクタを介して要求される燃料量をエンジン10に供給する。なお、要求トルクには、補機負荷駆動トルクを加えても良い。 【0075】上記ステップS120にて駆動用モータ20に異常が発生していると判定された場合(ステップS120:No)、およびステップS130にてメタノール残量Frem<Frefであると判定された場合(ステップS130:No)には、駆動用モータ20を運転することができないので、ハイブリッドECU600は、ステップS160の処理を実行する。また、ステップS140にてトルク差ΔTが駆動用モータ20によって出力可能な最大トルクTmgmaxよりも大きいと判定された場合には(ステップS140:No)、駆動用モータ20のみによっては要求トルクTreqを出力できないので、ハイブリッドECU600は、ステップS160の処理を実行する。 【0076】ハイブリッドECU600は、スロットルバルブ13のバルブ開度制御を実行した後、トランスミッションECU620を介してCVT40の変速比を変更する制御を実行して(ステップS170)、本処理ルーチンを終了する。図9から明らかなように、最適燃費曲線L1上の運転ポイントをエンジン10の運転ポイントとして選択する場合には、トルクが決定されるとエンジン回転数は一義的に決定されてしまい、トルクが増大すればエンジン回転数も増加する。したがって、制御開始直後の車両速度を現車両速度に整合させる必要があるので、CVTの変速比を制御してエンジン回転数(エンジン回転速度)を現在の車速まで減速する。 【0077】ハイブリッドECU600は、ステップS140にて駆動用モータ20のエネルギ効率Mgefがエンジン10のエネルギ効率Enef以上であると判定した場合には(ステップS150:No)、駆動用モータ20に対する制御電流量を増大させて、駆動用モータ20によって要求トルクTreqと現トルクTcurとのトルク差ΔTを出力させて(ステップS180)、本処理ルーチンを終了する。 【0078】以上説明したように、本実施例に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、車両の要求トルクTreqと現トルクTcurとのトルク差ΔTをエンジン10または駆動用モータ20のうちエネルギ効率の高い駆動力源によって出力するので、エンジン10および駆動用モータ20をそれぞれエネルギ効率の高い状態にて運転することができる。したがって、エンジン10の燃料消費量および燃料電池200の燃料消費量を低減することが可能となり、車両全体としてのエネルギ効率を向上することができる。 【0079】また、二次電池を駆動用モータの電源として用いていた従来のハイブリッド車両では、エンジンの出力によって発電機を作動させて二次電池を充電する必要があったが、本実施例に係るハイブリッド車両の制御装置は、駆動用モータ20の電源として燃料電池200を用いるので、二次電池の充電を考慮することなくエンジン10を最も効率の良い運転ポイントにて運転することができる。従来のハイブリッド車両では、たとえ、エンジンを最適燃費曲線上の運転ポイントにて運転可能であったとしても、エンジンのエネルギ効率までは考慮されておらず、エンジンの燃料消費量は最適値までは低減されているとはいえなかった。これに対して、本実施例に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、エンジン10を最適燃費曲線L1上の運転ポイントで運転させることができるのみならず、最適燃費曲線L1上の運転ポイントの中で最もエンジン10のエネルギ効率の高い運転ポイントにて運転させることができる。 【0080】以上、実施例に基づき本発明に係るハイブリッド車両の制御装置を説明してきたが、上記した実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。 【0081】例えば、上記実施例では、エンジン10および駆動用モータ20のいずれか一方のみを要求トルクTreqと現トルクTcurとのトルク差ΔTを出力するための駆動力源として用いているが、エンジン10および駆動用モータ20の双方を駆動力源として用いてトルク差ΔTを出力しても良い。図12から理解されるように、エンジン10のエネルギ効率Enefは、トルクが大きくなるに連れて高くなる。したがって、例えば、図9においてエンジン10の運転ポイントをPaに維持したまま要求トルクTreqと現トルクTcurとのトルク差ΔTを駆動用モータ20にて出力させず、エンジン10の運転ポイントをPbに変更した後に、駆動用モータ20によって不足するトルク差を出力するようにしたほうが、車両全体としてのエネルギ効率も最良となる場合がある。 【0082】また、要求トルクTreqが図12に2点差線で示す値B’を取る場合には、要求トルクTreqと現トルクTcurとのトルク差ΔTが駆動用モータ20の最大トルクTmgmaxを超える。このような場合にも、エンジン10によってトルク差ΔTの一部を出力して、残りのトルク差ΔTを駆動用モータ20によって出力させることもできる。例えば、駆動用モータ20のエネルギ効率Mgefの方がエンジン10のエネルギ効率Enefよりも高い車両走行領域においては、エンジン10によってA’のトルクを出力して、要求トルクTreqであるB’とのトルク差ΔTを駆動用モータ20の最大トルクTmgmaxとして、駆動用モータ20によって最大トルクTmgmaxを出力させることにより、車両全体のエネルギ効率を向上させることができる。 【0083】上記実施例ではエンジン10を最適燃費曲線L1上の運転ポイントにて運転させているが、例えば、最適燃費曲線に対して90%の燃費曲線上を運転させても良い。かかる場合であっても、エネルギ効率を考慮することにより、エネルギ効率を考慮せずエンジン10を最適燃費曲線上の運転ポイントにて運転させる場合と比較してエネルギ効率が高くなり得る。 【0084】また、上記実施例におけるエンジン10のエネルギ効率Enefおよび駆動用モータ20のエネルギ効率Mgefを定義するパラメータは一例に過ぎず、この他のパラメータを用いて各エネルギ効率Enef、Mgefを定義しても良い。 【0085】上記実施例では、燃料電池200の燃料としてメタノールを用いて説明したが、この他のアルコール、炭化水素、エーテル、アルデヒドなど水素原子を含有する所定の原料を用いることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年10月10日(2000.10.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096817 【弁理士】 【氏名又は名称】五十嵐 孝雄 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−118903(P2002−118903A) |
| 【公開日】 |
平成14年4月19日(2002.4.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−308849(P2000−308849) |
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