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【発明の名称】 電気車の制御装置
【発明者】 【氏名】安藤 武

【要約】 【課題】別電源を設けることなく、電源側に含まれる特定周波数の交流電流成分を安定に抑制するに好適な電気車の制御装置を提供することにある。

【解決手段】電気車の外部から給電される交流成分を含む直流電源1に並列接続されたリアクトル4とコンデンサ5の直列体からなるフィルタ回路と、コンデンサに直流側が接続され、電気車内の交流電源を生成するインバータ8を備えた電気車において、コンデンサに直流側が接続され、その直流を交流に変換してその交流側に接続された負荷インピーダンス7に電流を出力するコンバータ6を設け、フィルタ回路に流れる特定周波数の交流電流成分が小さくなるようにコンバータの交流側の出力電圧を直流電源に重畳する特定周波数の半分の周波数により制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気車の外部から給電される直流電源に並列接続されたリアクトルとコンデンサの直列体からなるフィルタ回路と、前記コンデンサに直流側が接続され、電気車内の交流電源を生成するインバータを備えた電気車において、前記コンデンサに直流側が接続され、その直流を交流に変換してその交流側に接続された負荷インピーダンスに電流を出力するコンバータを設け、前記直流電源に重畳する特定周波数の交流電圧の大きさと位相を前記リアクトルの両端で合わせるように前記コンバータを制御することを特徴とする電気車の制御装置。
【請求項2】 電気車の外部から給電される直流電源に並列接続されたリアクトルとコンデンサの直列体からなるフィルタ回路と、前記コンデンサに直流側が接続され、電気車内の交流電源を生成するインバータを備えた電気車において、前記コンデンサに直流側が接続され、その直流を交流に変換してその交流側に接続された負荷インピーダンスに電流を出力するコンバータを設け、前記フィルタ回路に流れる特定周波数の交流電流成分が小さくなるように前記コンバータの交流側の出力電圧を前記直流電源に重畳する特定周波数の半分の周波数により制御することを特徴とする電気車の制御装置。
【請求項3】 電気車に給電される直流電源に並列接続されたリアクトルとコンデンサの直列体からなるフィルタ回路と、直流側が前記コンデンサに並列に接続され、電気車内の交流電源を生成するインバータを備えた電気車の制御装置において、前記コンデンサに直流側が接続され、その直流を交流に変換してその交流側に接続された負荷インピーダンスに電流を出力するコンバータと、前記直流電源及び前記コンデンサに重畳する特定周波数の交流電圧成分を夫々検出する電圧検出手段と、該各電圧検出手段の出力の差分が小さくなるように前記コンバータを制御する手段とを備えたことを特徴とする電気車の制御装置。
【請求項4】 請求項3において、前記直流電源に重畳する前記特定周波数の交流電圧成分の位相を検出する手段と、前記負荷インピーダンスに応じて所定の位相を発生する手段と、前記検出した位相と前記所定の位相を基準として前記特定周波数の半分の周波数信号を生成する手段と、該生成した周波数信号と前記各電圧検出手段の出力の差分とからその差分が小さくなるように前記コンバータの交流出力電圧を制御する手段を備えたことを特徴とする電気車の制御装置。
【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかにおいて、前記電気車の運転開始時に前記コンバータを動作させた後に前記インバータを動作させることを特徴とする電気車の制御装置。
【請求項6】 請求項1から請求項4のいずれかにおいて、前記電気車の運転終了時に前記インバータの動作を停止させた後に前記コンバータの動作を停止させることを特徴とする電気車の制御装置。
【請求項7】 外部から電気車へ電力供給される電源として直流電源と交流電源を切替える手段を設け、前記直流電源と前記交流電源の両方で走行可能な交直両用電気車であって、前記切替手段を介して接続され、前記交流電源を変圧する変圧器と、該変圧器の2次巻線に交流側が接続された交流を直流に変換するコンバータと、該コンバータの直流側両端に接続されたフィルタコンデンサと、該フィルタコンデンサの両端に接続された直流を交流に変換するインバータと、前記切替手段を介して前記直流電源と前記コンデンサの正極側間に接続されたリアクトルと、前記切替手段を直流電源側に切替えた際に前記フィルタコンデンサの負極側と直流電源の負極側を電気的に接続する手段とを備えた交直両用の電気車の制御装置において、前記切替手段を直流電源側に切替えて電気車を直流電源で走行させる際に、前記コンバータの交流側に接続された前記変圧器の2次巻線を少なくとも負荷インピーダンスとして、前記フィルタ回路に流れる特定周波数の交流電流成分が小さくなるように前記コンバータの交流出力電圧を制御する手段を備えたこと特徴とする電気車の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直流電源軌道を走行させる電気車の制御装置に係り、特に、直流電源に重畳する特定の交流成分が電気車に流れ込むことによって発生する誘導障害を抑制する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】電気車が走行する軌道に設置された信号機や踏切など各種の保安装置には、例えば50Hz、60Hzといった交流成分が用いられている。電気車より電源側に流れ出るこれらの交流電流成分は保安装置を誤動作させる恐れがあるため、できるだけ小さくすることが望ましい。このため、電気車ではフィルタリアクトルとフィルタコンデンサからなるフィルタ回路を設けて50Hz、60Hz成分を制限している。しかしながら、電源にこれらの交流成分が含まれている場合には、フィルタ回路のインピーダンスで決まる交流成分が流れることを避けることはできない。そこで、特開昭60−141101号公報には、直流電源に流れる電流の保安装置で用いられる特定の周波数成分を検出し、その値が小さくなるようにフィルタ回路のリアクトルに磁気的に結合した2次巻線に特定の周波数成分を流すことが記載されている。また、特開平12−92862号公報には、高調波抑制用インバータを電源に並列に追加することが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の特開昭60−141101号公報に記載のものは、2次巻線に特定の周波数成分を流すための電力変換器の直流電源としてバッテリなど別電源を用いるとしている。しかしながら、電気車においてバッテリを電源とすることは実用的ではない、という課題があった。また、フィルタ回路のリアクトルに磁気的に結合した2次巻線を設ける必要があり、本装置を従来の制御装置に追加する場合には、フィルタ回路のリアクトルをそのまま用いることができない、という課題があった。また、特開平12−92862号公報に記載のものは、高調波抑制用インバータが電源に直接つながっているため、このインバータのスイッチングに起因する高調波が電源側に流れ出してしまう、という課題があった。また、帰線の高調波電流を検出してこれをPI制御する形となっており、抑制したい高調波の周波数に比べてさらに速い応答が必要であることから、制御のゲインが大きくなり、安定な制御が難しい、という課題があった。
【0004】本発明の課題は、別電源を設けることなく、電源側に含まれる特定周波数の交流電流成分を安定に抑制するに好適な電気車の制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、交流成分を含む直流電源に接続され、リアクトルとコンデンサを含むフィルタ回路と、前記コンデンサに並列に接続され、コンデンサに蓄えられたエネルギーを単相交流に変換するコンバータと、前記単相交流を流す負荷インピーダンスを備えた電気車の制御装置であって、前記直流電源側に流れる特定周波数の交流電流成分が小さくなるように前記特定周波数の交流成分の半分の周波数の交流電流を前記負荷インピーダンスに流すように前記コンバータを制御する手段を有する。
【0006】コンバータの交流側に小さくしたい特定周波数成分の半分の周波数の交流を負荷インピーダンスに流すことにより、コンバータのコンデンサ側には、直流分に加えて倍の周波数成分つまり小さくしたい特定周波数成分の交流分が流れる。このコンデンサ側に流れる交流成分の大きさおよび位相はコンバータを制御することによって調整することができる。その結果、コンデンサ電圧の特定周波数成分の位相と大きさが電源の特定周波数成分の位相と大きさに等しくなるようにすることにより、電気車から電源側に流れる特定周波数成分を小さくする(理想的には0)ことができる。また、電源が交流と直流の両方で走行可能な交直両用電気車の場合には、直流区間においては、利用されないコンバータおよびフィルタコンデンサ充電用抵抗を上述のコンバータおよび負荷インピーダンスとして用いることにより、別に機器を付加することなく、特定周波数成分を抑制することができる。また、コンバータは、リアクトルとコンデンサの直列体からなるフィルタ回路のコンデンサ側に接続されるため、コンバータのスイッチングに起因する周波数の高い高調波がリアクトルにより電源側に流れ出すのを抑えることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態の基本構成を示す。図1において、1は交流成分を含む直流電源であり、直流1500Vに対して例えば数V程度といった小さな50Hzあるいは60Hz成分が重畳されている。この成分は商用周波の3相交流を整流して直流電源をつくる際に3相交流に不平衡が存在することなどにより発生する。2はパンタグラフなどの集電装置、3はフィルタ回路であり、ここではフィルタリアクトル4とフィルタコンデンサ5とからなる。6はコンバータであり、フィルタコンデンサ5に並列に接続され、直流を単相交流に変換する。7は負荷インピーダンスであり、コンバータ6の交流出力側に接続され、交流電流を流す。8は電力変換器、9は負荷であり、例えば電源からの直流を可変電圧可変周波数の3相交流に変換するインバータと電気車を駆動する誘導電動機、あるいは、補助電源用インバータと電気車内で使われる空調装置、電灯などの負荷を表す。10は車輪、11はレールであり、集電装置2より取り込んだ電流は車輪10を介してレール11に流れ、電源に戻る。
【0008】次に、図1の回路により電源側に流れる50Hz、60Hzといった特定周波数成分電流を抑制する原理について説明する。抑制したい(角)周波数成分をωとする。例えば50Hz成分を抑制したい場合には、ω=2π×50(rad/s)となる。図1に示すように、直流電源電圧をVd、電源から流れ込む電流をId、フィルタコンデンサ電圧をEcf、フィルタコンデンサ5からコンバータ6に流れ込む電流をIcon、コンバータの出力電圧をVs、負荷インピーダンスを流れる電流をIsとする。このときパンタ点電圧Vdは直流分をV1とし、ω以外の交流成分を無視すると、下式のように表すことができる。
Vd=V1+asin(ωt+β) (数1)
ここで、aはω成分の振幅、βはω成分の位相を表す。電源電圧のω成分の位相を基準にとってβ=0とおいても構わないので、これ以降の説明ではβ=0とする。コンバータ6と電力変換器8を動作させないとすると、(数1)のω成分電圧とフィルタリアクトル4、フィルタコンデンサ5のインピーダンスで定まるω成分電流が流れることになる。このω成分電流を流さないようにするためには、(数2)に示すように、フィルタコンデンサ電圧Ecfのω成分電圧がパンタ点電圧と同じ振幅および位相となるようにコンバータ入力電流Iconのω成分を制御すればよい。V2はフィルタコンデンサ電圧の直流分を表す。
Ecf=V2+asinωt (数2)
このようにすることでフィルタリアクトル4にかかる電圧Vd−Ecfのω成分が0となり、電源から流れ込む電流Idのω成分を0とできる。
【0009】次に、コンバータ入力電流Iconとコンバータの交流側出力電流、電圧の関係について説明する。負荷インピーダンス7としては、抵抗、コンデンサ、リアクトルあるいはその組み合わせなどが考えられるが、ここでは簡単のため抵抗分のみであるとする。コンバータ6の出力電圧Vsを(数3)に示すようにω/2の交流とする。Vおよびαは出力電圧Vsの振幅、位相を表す。ここで、位相αは負荷インピーダンス7の力率あるいは電力変換器8などの別の機器から発生するω成分の位相に応じて設定する値である。
Vs=Vsin((ωt+α)/2) (数3)
負荷インピーダンス7を抵抗Rとすると、負荷電流Isは電圧Vsと位相が一致し、(数4)となる。
Is=(V/R)sin((ωt+α)/2) (数4)
コンバータ6の入力と出力の電力が等しいという関係より、コンバータ入力電流Iconは(数5)のように直流分とω成分となる。
Icon=Vsin((ωt+α)/2)
×(V/R)sin((ωt+α)/2)/Ecf =(V2/2RV2)(1−cos(ωt+α)) (数5)
ここで、直流分に比べてω成分の大きさは十分小さいため、Ecf≒V2とした。Iconはフィルタコンデンサ5に流れるので、フィルタコンデンサ電圧のω成分の位相はIconが積分されてsin(ωt+α)のようになる。したがって、抵抗負荷でω成分が電源電圧以外からは発生していない場合には位相αを0とし、コンバータ6の出力電圧Vを制御してフィルタコンデンサ電圧のω成分の振幅が一致するようにすることにより、電源からの電流Idのω成分を小さくすることができる。このとき、コンバータ6の直流電源はフィルタコンデンサ5となり、別に電源を設ける必要はない。
【0010】図2に、コンバータ6の一例として単相2レベルPWMコンバータの例を示す。61〜64はスイッチング素子であり、スイッチング素子61,62および63,64を直列接続してその両端をフィルタコンデンサ5つまり直流側に接続し、スイッチング素子61,62および63,64の接続点を負荷インピーダンス7つまり交流側に接続する。変調波をPWM変調することにより、必要な電圧を発生させることができる。勿論、コンバータ6は3レベルコンバータなどマルチレベルコンバータでも構わない。この場合には、フィルタコンデンサ5は複数のコンデンサを直列接続した形となる。
【0011】図3は、本実施形態のω成分を抑制するコンバータの制御装置を示す。21はコンバータ制御器であり、パンタ点電圧Vdおよびフィルタコンデンサ電圧Ecfを入力し、コンバータ電圧指令Vsを出力し、コンバータの出力電圧を制御する。以下、コンバータ制御器21の構成と動作を説明する。22、23はバンドパスフィルタであり、パンタ点電圧Vdおよびフィルタコンデンサ電圧Ecfのω成分を出力する。24、25は絶対値発生器であり、バンドパスフィルタ22、23の出力の絶対値を出力する。26は減算器であり、絶対値発生器24,25の差を出力する。27はローパスフィルタであり、減算器26の直流分を出力する。つまり、ローパスフィルタ27の出力は、パンタ点電圧Vdのω成分の振幅の方が大きい場合には、正の値、フィルタコンデンサ電圧Ecfのω成分の振幅の方が大きい場合には、負の値を出力する。28はPI制御器であり、ローパスフィルタ27の出力が0となるようにコンバータ出力電圧の振幅指令値Vを出力する。一方、29は位相検出器であり、バンドパスフィルタ22で出力されるパンタ点電圧Vdのω成分の位相β(=0)を出力する。32は位相α発生器であり、負荷インピーダンスの力率などに応じて所定の位相αを発生する。33は加算器であり、位相検出器29と位相α発生器32の出力を加算する。30はω/2正弦波発生器であり、パンタ点電圧Vdのω成分sin(ωt+β)に対してsin(ωt+α+β)/2を発生する。負荷インピーダンス7が抵抗負荷の場合には、α=0を位相α発生器32から出力すればよい。31は乗算器であり、コンバータ出力電圧の指令値Vsを出力する。コンバータ6が単相PWMコンバータの場合には、この出力電圧指令値Vsを変調波としてPWM制御を行うことにより、必要な電圧を発生させることができる。このようにコンバータ出力電圧Vsを制御することにより、上述したようにフィルタコンデンサ電圧Ecfのω成分電圧がパンタ点電圧Vdと同じ振幅および位相となり、電源側に流れるω成分電流を減らすことができる。
【0012】図4に、図3のコンバータ制御を行った場合の動作をシミュレーションした結果を示す。図4は、コンバータの動作条件および電源に含まれる50Hz成分の大きさを変化させた場合の電源側に流れる電流Idと負荷インピーダンス7を流れる電流Isの時間変化を示したものである。シミュレーションの条件としては、直流電源電圧を750V、フィルタリアクトルを8mH、フィルタコンデンサを10000μF、負荷インピーダンスを抵抗5Ωとした。また、簡単のため、コンバータ6は出力電圧指令値をそのまま出力する理想的なコンバータであるとした。電源に含まれる50Hz成分は時間0〜1.2sの間は振幅1.4Vとし、1.2s以降は半分の0.7Vになるとした。コンバータ6は時間0〜0.3sの間は動作していないとし、0.3s以降コンバータ制御器21の指令電圧を出力するとした。次に、時間順に動作を説明する。まず0〜0.3sの間においては、コンバータは動作しておらず、波形を見ると、Isは0となっており、Idとして振幅約0.5A程度の50Hz電流が流れている。この電流は電源に含まれる振幅1.4Vの50Hz成分電圧とフィルタリアクトル4、フィルタコンデンサ5のインピーダンスによって定まる電流である。0.3sにおいてコンバータ6が動作を開始すると、Isとして50Hzの半分の25Hzの電流が流れ始める。これに伴い、Idとしては直流分が流れるとともに50Hz成分がほとんど0になるように制御されていることがわかる。次に、時間1.2sにおいて電源に含まれる50Hz成分電圧が1.4Vから0.7Vに変化したときにもその変化を検出して速やかにコンバータ出力電圧を制御し、Idの50Hz成分を抑制している。このように、図3に示したようなコンバータ制御器21を用いることにより、電源に含まれる50Hz成分が変化しても常に50Hz成分が抑制されるように制御できる。
【0013】図5は、本発明の他の実施形態を示す。図5では、電源1が直流の場合と交流の場合の両方の区間を走行することができる電気車の構成を示す。12は切替スイッチであり、直流区間を走行する場合にはDC側、交流区間を走行する場合にはAC側に切り替える。13は変圧器であり、交流区間を走行する場合に交流電源電圧を変圧する。14は接触器、15は抵抗器であり、交流区間においてフィルタコンデンサ5を充電する際に接触器14を開いて抵抗器15を介して充電する働きをする。コンバータ6は交流区間においては、変圧器13より入力される交流を直流に変換する。一方、直流区間においては、図1、図3と同様にコンバータ6をω/2の交流電圧を発生させ、変圧器13の2次巻線と抵抗器15を負荷インピーダンスとして利用する。このとき接触器14は開いた状態としておく。通常は変圧器13の2次巻線のインピーダンスωL/2に比べて抵抗器15の抵抗値は十分大きい値となるので、この場合、負荷インピーダンスは抵抗負荷とみなすことができ、図3と同様、コンバータの出力電圧を制御することにより、直流電源側に流れるω成分を減らすことができる。なお、交流区間においてフィルタコンデンサ5を充電する抵抗器15を用いないときは、変圧器13の2次巻線が負荷インピーダンスとなる。さらに、本実施形態の交直両用電気車においては、直流区間では通常は利用されないコンバータ6、抵抗器15を用いることにより、別に機器を追加することなく、電源側に流れるω成分を減らすことができるという効果がある。一方、直流専用電気車の場合には、電源側に流れるω成分を減らすためのコンバータ6はω成分を打ち消すだけの小さな電流を流すだけで済み、交流電気車用のコンバータと比べて電流容量をはるかに小さくできるので、追加する機器の大きさも小さくてすむ。また、負荷インピーダンスとしてコンデンサ、リアクトルあるいはその組み合わせを用いることができ、このときには、負荷の力率に応じてコンバータの出力電圧の位相αをω/2正弦波発生器30で調整する。この場合には、負荷インピーダンスにおける電力の損失が発生しないという効果がある。
【0014】以上の説明は、電源側にω成分が含まれている場合について述べたが、電力変換器8がω成分を発生した場合にも同様に電源側にω成分が流れ出さないように制御することができる。ω成分として50Hz,60Hzなどを例に説明してきたが、周波数はこの値に限らなくても同様の効果があることは言うまでもない。また、電気車を駆動用インバータ,補助電源用インバータなどの電力変換器8とは別にω成分を抑制するためのコンバータ6を用いることで、電力変換器8が動作していない場合や動作開始時、停止時といった過渡状態においてもコンバータ6を常に動作させることによりω成分を抑制できる。したがって、電気車の運転開始時には、まず最初にコンバータ6を動作させ、その後電力変換器8を動作させるとよい。また、電気車の運転終了時には、電力変換器8の動作を停止したあとコンバータ6の動作を停止させる。このように動作させることにより、電気車の運転中は常にω成分を抑制することができる。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、電気車の運転中常に電源側に流れ出る特定周波数成分(高調波成分)を小さくすることができる。また、交直両用電気車の場合には、別に機器を付加することなく、電源側に流れ出る特定周波数成分(高調波成分)を小さくすることができる。また、直流専用電気車の場合でも付加する機器の電流容量が小さくて済み、また、負荷インピーダンスで発生する損失を小さくできる。また、コンバータは、リアクトルとコンデンサの直列体からなるフィルタ回路のコンデンサ側に接続されるため、コンバータのスイッチングに起因する周波数の高い高調波がフィルタリアクトルにより電源側に流れ出すのを抑えることができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成12年9月28日(2000.9.28)
【代理人】 【識別番号】100099302
【弁理士】
【氏名又は名称】笹岡 茂 (外1名)
【公開番号】 特開2002−112405(P2002−112405A)
【公開日】 平成14年4月12日(2002.4.12)
【出願番号】 特願2000−295703(P2000−295703)