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【発明の名称】 電気自動車用ジャンクションボックス
【発明者】 【氏名】安藤 誠二

【氏名】今泉 克洋

【要約】 【課題】パワーヘッド側の高電圧ラインあるいはユニットの点検または修理等を行う際、パワーヘッド側への高電圧の供給を遮断し、且つ、パワーコンバータ側には高電圧を供給する事が可能であり、また、高電圧ラインに絶縁劣化が認められる場合、絶縁劣化部位を容易に特定することができる電気自動車用ジャンクションボックスを提供すること。

【解決手段】パワーコンバータ3のみに電源を供給する第2の高電圧遮断スイッチ9bを設ける。また、パワーヘッド2及びパワーコンバータ3へ高電圧直流電流を供給する高電圧回路の絶縁劣化を検出する絶縁劣化センサ15を、第1の高電圧遮断スイッチ9a及び第2の高電圧遮断スイッチ9bの上流に設定することとした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 パワーヘッド及びパワーコンバータへの高電圧直流電流の供給をオン/オフするための第1の高電圧遮断スイッチを含んで構成され、バッテリ、前記パワーヘッド、及び前記パワーコンバータとを接続するための電気自動車用ジャンクションボックスにおいて、前記パワーコンバータのみへの高電圧直流電流の供給をオン/オフするための第2の高電圧遮断スイッチを含み、前記第2の高電圧遮断スイッチは、前記第1の高電圧遮断スイッチがオフの時だけ前記パワーコンバータへの高電圧直流電流の供給をオンとすることを特徴とした電気自動車用ジャンクションボックス。
【請求項2】 前記第1の高電圧遮断スイッチ及び前記第2の高電圧遮断スイッチの操作レバーを取り外し可能な構成としたことを特徴とした請求項1に記載の電気自動車用ジャンクションボックス。
【請求項3】 前記第1の高電圧遮断スイッチ及び前記第2の高電圧遮断スイッチの操作レバーを共有し、それぞれ差し替えて使うことを特徴とした請求項2に記載の電気自動車用ジャンクションボックス。
【請求項4】 前記第1の高電圧遮断スイッチは、前記第2の高電圧遮断スイッチがオフの時だけ前記パワーヘッド及びパワーコンバータへの高電圧直流電流の供給をオンとすることを特徴とした請求項1に記載の電気自動車用ジャンクションボックス。
【請求項5】 前記パワーヘッド及びパワーコンバータへ高電圧直流電流を供給する高電圧回路の絶縁劣化を検出する絶縁劣化センサを、前記第1の高電圧遮断スイッチ及び前記第2の高電圧遮断スイッチの上流に設置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気自動車用ジャンクションボックス。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気を動力源として走行する電気自動車に使用され、高電圧バッテリからの高電圧直流電流をパワーヘッド及びパワーコンバータに分配、供給するジャンクションボックスの内部構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の電気自動車用ジャンクションボックスとしては、例えば日産自動車株式会社発行の「新型車解説書 NISSANハイパーミニ EA0型車(資料コードF053917)のB−19頁」に示すものが知られている。図5はこの従来の電気自動車用ジャンクションボックスを含む高電圧回路のシステム構成図を簡単に示したものである。01はバッテリであり、後述するパワーヘッド02及びパワーコンバータ03に高電圧直流電流を供給している。02はパワーヘッドであり、バッテリ01の直流電力を三相交流電力に変換し、駆動用モータ04に供給すると共に、駆動用モータ04の発生トルクを制御する。駆動用モータ04で発生する駆動力は減速機05、ドライブシャフト06を介してタイヤ07に伝達される。03はパワーコンバータであり、コンバージョンボックス03a、DC/DCコンバータ03b、A/Cインバータ03cで構成される。コンバージョンボックス03aは、図示しない充電ポートからの高周波交流電力を直流電力に変換する。DC/DCコンバータ03bは、高電圧直流電圧を12V直流電圧に変換し、図示しない12Vバッテリや車両電装品の電源として供給する。A/Cインバータ03cは、図示しないエアコン用電動コンプレッサ駆動用として使用される。パワーヘッド02及びパワーコンバータ03は、ジャンクションボックス08を介してバッテリ01と接続されている。ジャンクションボックス08は、高電圧遮断スイッチ09及び操作レバー010、絶縁劣化センサ011で構成されている。図5において、操作レバー010を高電圧遮断スイッチ09に差し込み、高電圧遮断スイッチ09をオンにすることにより、パワーヘッド02、及びパワーコンバータ03への高電圧の供給を開始し、操作レバー010を引き抜き、高電圧遮断スイッチ09をオフすることにより供給を遮断する事ができる。また、パワーヘッド02、及びパワーコンバータ03内での絶縁劣化を絶縁劣化センサ011にて監視している。絶縁劣化センサ011は高電圧回路のプラス−マイナス間の抵抗を計測しており、絶縁劣化が発生している場合は、計測値が所定の値よりも小さくなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】パワーヘッド02側を点検、または修理等を行う際、パワーヘッド02に高電圧を掛けたまま作業を行うと危険を伴う可能性があるため、高電圧遮断スイッチ09をオフし、高電圧を遮断してから作業を行う必要がある。しかし、高電圧遮断スイッチ09をオフしてしまうとパワーコンバータ03への高電圧も遮断されてしまうため、例えば、パワーヘッド02側の高電圧ラインの点検を行いつつ、一方で他の人がDC/DCコンバータ03bの下流に接続されているコントロールユニット群の入出力信号の確認を行う等、パワーヘッド02側の作業とパワーコンバータ03側の作業を並行して行う事ができず、作業効率が悪かった。また、パワーヘッド02又はパワーコンバータ03に対して、独立して高電圧を供給する事が出来なかったため、絶縁劣化センサ011により絶縁劣化が検知された場合、絶縁劣化がパワーヘッド02、パワーコンバータ03のどちらで発生しているかを特定する事が困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、パワーヘッド側の例えば高電圧ライン等の点検または修理を行う際、パワーヘッド側への高電圧の供給を遮断し、且つ、パワーコンバータ側には高電圧を供給する事が可能であり、また、高電圧ラインに絶縁劣化が認められる場合、絶縁劣化部位を容易に特定することができることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載の発明は、パワーヘッド及びパワーコンバータへの高電圧直流電流の供給をオン/オフするための第1の高電圧遮断スイッチを含んで構成され、バッテリ、前記パワーヘッド及びパワーコンバータとを接続するための電気自動車用ジャンクションボックスにおいて、前記パワーコンバータのみへの高電圧直流電流の供給をオン/オフするための第2の高電圧遮断スイッチを含み、前記第2の高電圧遮断スイッチは、前記第1の高電圧遮断スイッチがオフの時だけ前記パワーコンバータへの高電圧直流電流の供給をオンとする様に構成されている。また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載された電気自動車用ジャンクションボックスにおいて、第1の高電圧遮断スイッチ及び第2の高電圧遮断スイッチの操作レバーを取り外し可能な構成としたものである。
【0006】また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載された電気自動車用ジャンクションボックスにおいて、第1の高電圧遮断スイッチ及び前記第2の高電圧遮断スイッチの操作レバーを共有し、それぞれ差し替えて使う様に構成したものである。また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載された電気自動車用ジャンクションボックスにおいて、第1の高電圧遮断スイッチは、第2の高電圧遮断スイッチがオフの時だけパワーヘッド及びパワーコンバータへの高電圧直流電流の供給をオンとする構成としたものである。また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載された電気自動車用ジャンクションボックスにおいて、パワーヘッド及びパワーコンバータへ高電圧直流電流を供給する高電圧回路の絶縁劣化を検出する絶縁劣化センサを、第1及び第2の高電圧遮断スイッチの上流に設定する様に構成したものである。
【0007】
【作用】請求項1に記載の発明では、パワーコンバータ側のみに高電圧直流電流を供給することができる第2の高電圧遮断スイッチを設けたことにより、パワーヘッド側への高電圧直流電流を遮断すると共に、パワーコンバータ側へは高電圧直流電流を供給する事ができる。また、第1の高電圧遮断スイッチがオフの時だけ第2の高電圧遮断スイッチがオンとするように構成したため、不用意に第2の高電圧遮断スイッチがオンする事が避けられる。請求項2に記載の発明では、第1の高電圧遮断スイッチ及び第2の高電圧遮断スイッチの操作レバーを取り外し可能な構成としたため、各高電圧遮断スイッチのオン/オフの状態を作業者が容易に識別できるようになる。
【0008】請求項3に記載の発明では、第1の高電圧遮断スイッチ及び第2の高電圧遮断スイッチの操作レバーを共有することにより、必然的に第1の高電圧遮断スイッチをオフしてから第2の高電圧遮断スイッチをオンすることになり、また、逆に第2の高電圧遮断スイッチをオフしてから第1の高電圧遮断スイッチをオンすることになる。さらに、操作レバーが一つで済む。請求項4に記載の発明では、第2の高電圧遮断スイッチがオフの時だけ第1の高電圧遮断スイッチがオンとするように構成したため、不用意に第1の高電圧遮断スイッチがオンする事が避けられる。請求項5に記載の発明では、絶縁劣化センサを第1の高電圧遮断スイッチ及び第2の高電圧遮断スイッチの上流に設置したため、第1の高電圧遮断スイッチがオンの状態で絶縁劣化センサが絶縁劣化を検知した際、第1の高電圧遮断スイッチをオフし、第2の高電圧遮断スイッチをオンにした時にも絶縁劣化を検知し続けていた場合には、パワーコンバータ側に絶縁劣化が生じている事が識別できる。
【0009】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の発明によれば、パワーヘッド及びパワーコンバータ双方への高電圧直流電流の供給をオン/オフする第1の高電圧遮断スイッチの他に、パワーコンバータのみへの高電圧直流電流の供給をオン/オフする第2の高電圧遮断スイッチを設け、第2の高電圧遮断スイッチは、第1の高電圧遮断スイッチがオフの時だけオンとなる様に構成することにより、パワーヘッド側の点検や修理等を行う際に、パワーヘッド側への高電圧直流電流の供給を遮断し、且つ、パワーコンバータ側への高電圧直流電流の供給を行う事ができるようになり、パワーヘッド側の点検を行いつつ、パワーコンバータ側の点検や充電を行う等、作業の効率を上げる事が可能となる。また、請求項2記載の発明によれば、両高電圧遮断スイッチの操作レバーを取り外し可能な構成としたため、各高電圧遮断スイッチの状態が目視で容易に識別できるようになり、誤操作が防止でき、安全な作業が可能となる。
【0010】また、請求項3記載の発明によれば、請求項2に記載の効果に加え、操作レバーを共有する事によりコスト低減の効果が得られる。また、請求項4記載の発明によれば、第1の高電圧遮断スイッチ及び第2の高電圧遮断スイッチにおいて、双方同時にオンする事ができない構成としたため、不用意にスイッチをオンする事が避けられ、安全に作業を行う事が可能となる。また、請求項5記載に記載の発明によれば、絶縁劣化センサを、第1の高電圧遮断スイッチ及び第2の高電圧遮断スイッチよりも上流に設置し、絶縁劣化センサが絶縁劣化を検知した際、第1の高電圧遮断スイッチの状態及び第2の高電圧遮断スイッチの状態を適宜切換える事により、パワーヘッド側あるいはパワーコンバータ側のどちらに絶縁劣化が発生しているかを識別する事が可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の実施の形態により本発明が限定されるものではない。
<実施の形態1>図1は本発明の実施の形態1を示すシステム構成図である。1はバッテリであり、後述するパワーヘッド2及びパワーコンバータ3に高電圧直流電流を供給している。2はパワーヘッドであり、バッテリ1の直流電力を三相交流電力に変換し、駆動用モータ4に供給すると共に、駆動用モータ4の発生トルクを制御する。駆動用モータ4で発生する駆動力は減速機5、ドライブシャフト6を介してタイヤ7に伝達される。
【0012】3はパワーコンバータであり、コンバージョンボックス3a、DC/DCコンバータ3b、A/Cインバータ3cで構成される。コンバージョンボックス3aは、図示しない充電ポートからの高周波交流電力を直流電力に変換する。DC/DCコンバータ3bは、高電圧直流電圧を12V直流電圧に変換し、図示しない12Vバッテリや車両電装品の電源として供給する。A/Cインバータ3cは、図示しないエアコン用電動コンプレッサ駆動用として使用される。パワーヘッド2及びパワーコンバータ3は、ジャンクションボックス8を介してバッテリ1と接続されている。
【0013】図1に示すとおり、バッテリ1からの高電圧ラインには、ジャンクションボックス8を介して、パワーヘッド2及びパワーコンバータ3が接続されている。また、ジャンクションボックス8の内部において、バッテリ1からの高電圧直流電流の供給経路には、パワーヘッド2及びパワーコンバータ3への供給をオン/オフする第1の高電圧遮断スイッチ9aと、パワーコンバータ3のみに供給する第2の高電圧遮断スイッチ9bとが接続されている。
【0014】バッテリ1からパワーヘッド2及びパワーコンバータ3に高電圧直流電流を供給する経路としては、充電抵抗リレー10、充電抵抗11を介して高電圧直流電流を供給する第1の経路と、メインリレー12を介して供給する第2の経路がある。第1の経路は、図示しないキースイッチがオンになった直後に使用される。キースイッチオン直後の過大電流からシステムを保護するため、充電抵抗リレー10及びメインリレー13をオンし、充電抵抗11を通じてパワーヘッド2及びパワーコンバータ3に高電圧直流電流を供給する。同時に、パワーヘッド2の内部に設置されている図示しないコンデンサを充電している。このコンデンサは、パワーヘッド2への電力供給の安定性向上を目的として設置されている。コンデンサの充電完了後、つまり、キースイッチオンから所定時間経過後、メインリレー12をオン、充電抵抗リレー10をオフする事により第2の経路となり、高電圧直流電流を直接パワーヘッド2及びパワーコンバータ3に供給する。充電抵抗リレー10、メインリレー12及びメインリレー13は、図示しないコントロールユニットがキースイッチのオン/オフ状態を識別して制御している。
【0015】図2は車両が通常運行に使用されている状態を示している。操作レバー14は第1の高電圧遮断スイッチ9aに取り付けられており、第2の高電圧遮断スイッチ9bには取り付けられていない。その結果、第1の高電圧遮断スイッチ9aがオン、第2の高電圧遮断スイッチ9bはオフとなっている。この時、高電圧直流電流は太線で示す様に、第1の高電圧遮断スイッチ9aを介してパワーヘッド2、およびパワーコンバータ3に供給されるため、通常運行が可能となる。
【0016】一方、図3はパワーヘッド2の点検や修理等を行うときの状態である。操作レバー14は第2の高電圧遮断スイッチ9bに取り付けられており、第1の高電圧遮断スイッチ9aには取り付けられていない。その結果、第1の高電圧遮断スイッチ9aがオフ、第2の高電圧遮断スイッチ9bがオンとなっている。この場合、高電圧直流電流は太線で示す様に、第2の高電圧遮断スイッチ9bを介してパワーコンバータ3のみに供給され、パワーヘッド2の点検や修理等を行っている時でもパワーコンバータ3に高電圧直流電流を供給する事が可能となる。
【0017】また、絶縁劣化センサ15は第1の高電圧遮断スイッチ9a及び第2の高電圧遮断スイッチ9bと、充電抵抗リレー10、メインリレー12及びメインリレー13との間に設置されており、パワーヘッド2及びパワーコンバータ3の絶縁劣化を監視している。絶縁劣化センサ15は高電圧回路のプラス−マイナス間の抵抗を計測しており、絶縁劣化が発生している場合は、計測値が所定の値よりも小さくなる。図2の状態で絶縁劣化センサ15により絶縁劣化が検知された場合、高電圧直流電流が供給されているパワーヘッド2、パワーコンバータ3のいずれかで絶縁劣化が発生していることになるが、どちらで発生しているかを判別する事は出来ない。このとき、操作レバー14を入替えて図3の状態とし、この状態でも絶縁劣化が検知され続けた場合は、パワーコンバータ3に絶縁劣化が発生している事が特定できる。逆に、絶縁劣化が検知されなくなった場合は、パワーヘッド2に絶縁劣化が発生している事が特定できる。
【0018】<実施の形態2>図4は本発明の実施の形態2を示すシステム構成図である。なお、実施の形態1と同じものには同一の符号を付してその説明は省略する。本実施の形態では、実施の形態1における高電圧遮断スイッチの形態を変えたものであり、プラス側とマイナス側が連動して切換え可能な形態となっている。スイッチ9cを端子16側に倒すとスイッチ9dも連動して端子17側に倒れる。その結果、パワーヘッド2及びパワーコンバータ3に高電圧直流電流が供給され、通常運行が可能となる。逆にスイッチ9cを端子18側に倒すとスイッチ9dはオープン状態になり、パワーヘッド2のアース回路がオープンになると共にパワーコンバータ3のみに高電圧直流電流が供給される。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成12年9月28日(2000.9.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−112401(P2002−112401A)
【公開日】 平成14年4月12日(2002.4.12)
【出願番号】 特願2000−296375(P2000−296375)