| 【発明の名称】 |
鉄道車両の主回路システムの故障検出装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 歩
【氏名】鈴村 勲
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| 【要約】 |
【課題】入力される指令値とは関係なく、実際の車両の状態と出力値との比較から故障を検出する。
【解決手段】主回路制御装置4の故障判定手段4Dは、車両の加速度が0.3m/s2以上である「加速中」と判断されているにもかかわらず、主電動機6へ流れる電流の電流値が100A未満であるときには異常であると判定する。主電動機6へ流れる電流の電流値が100A未満の状態が10秒以上継続した場合に、異常としてカウンタを1だけ加算する。異常が連続して3回起こり、カウンタが3以上になると、故障であると判定して、報知手段4Hによって、故障表示灯5bを点灯させたり、モニター手段5cのディスプレイに故障表示をさせたりして、乗務員・保守員などの注意を喚起する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一編成内に少なくとも2ユニット以上の主変換装置を有する鉄道車両の主回路システムの故障検出装置において、車両の速度を検出する速度検出手段と、この速度検出手段からの速度信号に基づき車両の加速度を検出する加速度検出手段と、前記主変換装置から主電動機へ流れる電流を検出する電流検出手段と、前記加速度検出手段及び電流検出手段よりの信号を受け、前記車両の加速度と主電動機へ流れる電流との関係に基づき主回路システムが異常又は故障であるか否かを判定する判定手段とを備えていることを特徴とする鉄道車両の主回路システムの故障検出装置。 【請求項2】 前記判定手段は、前記加速度検出手段よりの信号に基づき加速中であると判断した場合においてのみ、前記主回路システムが異常であるか否かを判定をするものであり、加速中において前記主電動機へ流れる電流の電流値が設定値未満であるときに主回路システムが異常であると判定するものである請求項1記載の鉄道車両の主回路システムの故障検出装置。 【請求項3】 さらに、前記判定手段よりの信号を受け、前記異常が継続して発生している時間を計測するタイマー手段と、このタイマー手段よりの信号を受け、前記異常が継続して発生している時間が設定時間以上になる場合にカウンタを1だけ増加させるカウント手段とを備え、前記判定手段は、このカウント手段よりの信号を受け、前記カウンタが設定値以上になった場合に、故障であると判定するものである請求項2記載の鉄道車両の主回路システムの故障検出装置。 【請求項4】 前記判定手段は、前記加速度検出手段よりの信号に基づく加速中であるか否かの判断に先だって、停車中であるか否かの判断をし、停止中であると判断した場合においてのみ、その後、加速中であるか否かの判断をするものである請求項2又は3記載の鉄道車両の主回路システムの故障検出装置。 【請求項5】 さらに、前記加速度検出手段及びタイマー手段よりの信号を受け、前記車両の加速度と主電動機へ流れる電流との関係に基づき異常でないと判定した場合に、前記カウンタをリセットするリセット手段を有する請求項3又は4記載の鉄道車両の主回路システムの故障検出装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、鉄道車両の主回路システムの故障検出装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、鉄道車両の主回路システムの故障を検出する手法として、主回路制御装置への入力値と出力値を比較して故障を検出する方法が知られている。 【0003】すなわち、運転台から力行指令が主回路システムの主回路制御装置に入力された場合に、その力行指令に対応する電流や電圧が、主回路制御装置から主電動機へ出力されているかどうかを検出し、その力行指令に対応する電流や電圧が出力されていれば正常であると判断するが、出力されていなければ異常であると判断し、何らかの故障が発生していると考えることができる。よって、例えば、力行指令が入力されたにもかかわらず、主電動機へ流れる電流や電圧が0(零)のままであれば、故障であると判断される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の方法は、あくまで主回路制御装置への入力値と出力値との比較を行って判断しているだけであるので、そのような比較をするための入力がない場合、例えば、運転台から指令された力行指令を伝送するための配線が断線した場合や力行指令を受信するための素子が故障することによって力行指令が主回路制御装置に入力されなかった場合などにおいては、主回路制御装置に実際に力行指令がないために入力がないのか、それとも実際には力行指令があるものの何らかの不具合によって主回路制御装置に入力がないのかを判断することはできない。つまり、主回路制御装置は、その状況が正常であるか否かを判断することができない。 【0005】同様に、主回路システムに主電源(電車線)から電力が供給されなかった場合には、電車線電圧が停電したために供給されないのか、それとも電車線と主回路システムとの間における配線の断線やメインフューズの溶断によって供給されないのかを、判断することはできない。このように、主回路制御装置への入力値と出力値との比較を単に行うだけでは、故障を検出することができない場合がある。 【0006】また、主回路制御装置から主電動機へ出力される電流や電圧の設計最大値を予め計算しておき、その上で、車両の運行中に前記出力される電流や電圧を監視し、設計最大値を超えるような値になった場合に、何らかの異常があったと判断することも行われていたが、前述した場合と同様に、故障を検出することができない場合がある。 【0007】この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、入力される指令値とは関係なく、実際の車両の状態と主回路制御装置からの出力値との比較から故障を検出することが可能である鉄道車両の主回路システムの故障検出装置を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1の発明は、一編成内に少なくとも2ユニット以上の主変換装置を有する鉄道車両の主回路システムの故障検出装置において、車両の速度を検出する速度検出手段と、この速度検出手段からの速度信号に基づき車両の加速度を検出する加速度検出手段と、前記主変換装置から主電動機へ流れる電流を検出する電流検出手段と、前記加速度検出手段及び電流検出手段よりの信号を受け、前記車両の加速度と主電動機へ流れる電流との関係に基づき主回路システムが異常又は故障であるか否かを判定する判定手段とを備えているものである。ここで、「一編成内に少なくとも2ユニット以上の主変換装置を有する」とは、主変換装置による車輪の制御の態様に関係なく、一編成内に少なくとも2ユニット以上の主変換装置が含まれていればよいことを意味する。よって、例えば、1つの主変換装置で1つの車輪を制御するために1つの車両に4つの主変換装置が設けられている場合であっても、1つの主変換装置で8つの車輪を制御するために2つの車両に対して1つの主変換装置が設けられている場合であっても、一編成内に少なくとも2ユニット以上の主変換装置が含まれていれば、請求項1の発明の対象となる。 【0009】請求項1の発明のようにすれば、速度検出手段にて車両の速度が検出され、その車両の速度から、加速度検出手段によって車両の加速度が検出される。一方、電流検出手段によって、主変換装置から主電動機へ流れる電流が検出される。それから、判定手段によって、加速度と主電動機へ流れる電流との関係に基づき主回路システムが異常であるか否かが判定される。すなわち、車両(列車)が所定の加速度を得るためには、それに見合う電流が主電動機に流れているはずであるから(経験的に確認されている)、そのような電流が流れていない場合には、正常でなく、何らかの問題が発生している異常な状況であると、判定手段が判定する。 【0010】このように、入力される指令値とは関係なく、実際の車両の状態(加速度)とそれに対応する出力値(主電動機への電流の電流値)とを比較することによって、それらが本来予想される対応関係にない場合には、主回路システムが異常であると判定される。 【0011】この場合には、請求項2に記載のように、前記判定手段が、前記加速度検出手段よりの信号に基づき加速中であると判断した場合においてのみ、前記主回路システムが異常であるか否かを判定するものであり、加速中において前記主電動機へ流れる電流の電流値が設定値未満であるときに主回路システムが異常であると判定するように構成することができる。なお、前記加速度検出手段よりの信号にて「加速中」であると判定される場合には、車両は力行中であると判断される。また、「加速中」と判定するための加速度のしきい値(設定値)は、車両の性能を考慮して適宜決定される。 【0012】請求項2の発明のようにすれば、加速中において、主電動機へ流れる電流が設定値未満であるときには、主電動機に加速に必要な電流が流れておらず、加速するはずがないのに加速しているので、異常であると判定される。よって、入力される指令値とは関係なく、加速度と主電動機へ流れる電流との関係から、主回路システムが異常であることが検出される。 【0013】請求項3に記載のように、さらに、前記判定手段よりの信号を受け、前記異常が継続して発生している時間を計測するタイマー手段と、このタイマー手段よりの信号を受け、前記異常が継続して発生している時間が設定時間以上になる場合にカウンタを1だけ増加させるカウント手段とを備え、前記判定手段は、このカウント手段よりの信号を受け、前記カウンタが設定値以上になった場合に、故障であると判定することが望ましい。なお、前記タイマー手段についての設定時間やカウント手段についての設定値(設定回数)は、運用される路線状況及び、運行パターンを考慮して適宜決定する必要がある。ここで、タイマー手段及びカウント手段を設けている理由は、例えば車両が下り勾配を走行したときなどにおいては、主電動機に電流が流れていない状態が生ずるにもかかわらず、車両が加速する場合も考えられるので、このような状態を異常(故障)であると誤検出させないためである。 【0014】請求項3の発明のようにすれば、判定手段によって正常でない、すなわち異常であると判定された場合に、同じような異常な状況が継続して発生している時間が、タイマー手段によって計測され、その計測時間(異常が継続して発生している時間)が設定時間以上になると、主回路システムが異常であるとされ、カウント手段によってカウンタが1だけ加算され、カウンタを1だけ増加させる。 【0015】そして、これだけで故障と判定するのではなく、上述したような異常であると考えられる状況が連続して繰り返して発生し、カウンタが設定値以上になるまで増加した場合に、初めて、主回路システムに故障が発生していると判定される。そして、その故障情報が、例えば運転台に設けられた故障表示灯や、モニター装置を利用して、乗務員・保守員などに知らされ、それらの注意が喚起される。 【0016】その場合、請求項4に記載のように、前記判定手段は、前記加速度検出手段よりの信号にて加速中であるか否かの判定に先だって、停車中であるか否かの判定をし、停止中であると判定した場合においてのみ、その後、加速中であるか否かの判定をすることが望ましい。 【0017】請求項4の発明のようにすれば、駅などに停車した後、発車すると、加速のために運転台から力行指令が出されるので、その力行指令ごとに、加速中であるか否かの判定が行われることになる。よって、加速中であるか否かの判断がむやみに行われることがなくなり、停車後の加速時(力行指令時)という同一の条件の下で異常の判定が行われる。 【0018】また、請求項5に記載のように、さらに、前記加速度検出手段及びタイマー手段よりの信号を受け、前記加速度と主電動機へ流れる電流との関係に基づき異常でないと判定した場合に、前記カウンタをリセットするリセット手段を有することが望ましい。 【0019】請求項5の発明のようにすれば、一旦異常な状態が発生した後であっても、何らかの原因にて正常な状態に復帰すると、もはや異常な状態の発生回数をカウントして故障を検出する必要がなくなるので、リセット手段によって、カウンタがリセットされ、初期状態に戻され、故障であると誤検出することがなくなる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面に沿って説明する。 【0021】図1は主回路システムの概略構成を示す図である。 【0022】鉄道車両の主回路システムは、図1に示すように構成され、電車線100から供給される電力が、集電機能をもつ集電装置1(パンタグラフ)から、主フューズ装置2を経て、主変換装置であるインバータ装置3,3に取り込まれる。このインバータ装置3は主回路制御装置4によって制御され、主回路制御装置4は、運転台5の主幹制御器5a(マスターコントローラ)からの運転指令(力行指令、ブレーキ指令)を受け、それに応じた電力を主電動機6に対して供給するようにインバータ装置3を制御するものであり、鉄道車両の走行特性の基本となる主電動機6の回転速度、トルク等の制御を行う。 【0023】そして、通常、運転台5の運転士からの力行指令が主回路制御装置4に入力されると、主回路制御装置4からの信号によって、インバータ装置3が作動し、力行指令の指令値に応じた電流を主電動機6へ供給し、これによって主電動機6が回転し、鉄道車両は走行を開始するようになっている。 【0024】また、鉄道車両の車輪(図示せず)には速度発電機7が関連づけられている。この速度発電機7は、車輪の回転に応じた誘導電圧を誘起するもので、速度を検出する速度センサとして用いられ、速度情報(速度信号)が主回路制御装置4に送られる。そして、主回路制御装置4は、その速度情報(速度信号)を処理して、車両の停止を検出する停止検出手段4Aと、速度発電機7からの信号に基づき車両の加速度を検出する加速度検出手段4Bを備える。なお、鉄道車両の加速度は、主電動機6に回転数センサ(図示せず)を取り付け、それを用いて検出した回転数情報を主回路制御装置4に送り、それによって加速度を算出するようにすることもできる。 【0025】また、主電動機6に供給される電流は、主電動機用電流検出器8(電流検出手段)によって検出される。また、前記電流検出器8は、2つの主電動機6毎に、すなわち台車ごとに設けられている。前記電流検出器8にて検出される電流情報(電流信号)は主回路制御装置4に送られる。 【0026】そして、主回路制御装置4は、前記電流検出器8よりの信号を受け、主電動機6へ流れる電流を検出する電流検出手段4Cを備える。 【0027】また、主回路制御装置4は、さらに、前記停止検出手段4A、加速度検出手段4B及び電流検出手段4Cよりの信号を受け、車両が停止するごとに加速度と主電動機6へ流れる電流(電流値)との関係に基づき主回路システムが異常であるか否かを判定し、その異常な状況が連続して発生した回数に基づき故障であるか否かを判定する故障判定手段4Dを備える。この故障判定手段4Dは、例えば、加速度が0.3m/s2以上である場合に「加速中」であると判定し、「加速中」と判断されているにもかかわらず、主電動機6への電流値が100A未満であるときには、正常ではない、すなわち異常であると判定する。そして、故障判定手段4Dによる異常の検出が連続して起こり、そのカウント回数(カウンタC)が設定値(例えば3回)以上になると、該当する主回路システムにて何らかの故障が発生していると判定する。 【0028】そのために、主回路制御装置4は、さらに、故障判定手段4Dよりの信号を受け、異常が発生している時間を計測するタイマー手段4Eと、このタイマー手段4Eよりの信号を受け異常が発生している時間が設定時間以上である場合にカウンタCを1だけ増加するカウント手段4Fと備え、このカウント手段4Fよりの信号を受け、カウンタCが設定値以上になった場合に、故障であると判定する。故障であると判定されると、報知手段4Fによって故障であることが報知される。この報知は、運転台5の故障表示灯5bを点灯したり、あるいはモニター手段5c(図3参照)のディスプレイに表示したりして実行する。 【0029】つまり、加速中であるにもかかわらず電流が流れていない場合には、計測開始信号がタイマー手段4Eに送られ、電流が流れていない時間(信号が送られてくる時間)が計測され、その時間が設定時間以上になると、異常が発生したものと考え、信号がカウント手段4Fに送られ、異常発生回数としてのカウンタCを1だけ加算する。具体的には、例えば、「加速中」と判断されているにもかかわらず、主電動機6へ流れる電流の電流値が100A未満の状態が10秒以上継続した場合に、何らかの異常が発生しているものと判断し、カウント手段4Fにてカウントされ、その結果としてのカウンタCが、故障判定手段4Dに知らされる。 【0030】異常を検出した後も、前述した判断は、停止検出手段4Aにて車両が停止するごとに繰り返され、加速度検出手段4B及びタイマー手段4Eよりの信号を受けるリセット手段4Gにおいて、正常、すなわち加速度が0.3m/s2以上で主電動機6へ流れる電流の電流値が100A以上となった場合や10秒以上継続しなくなった場合には正常な状態に復帰したものと判断し、故障であることを報知する必要がなくなるので、カウント手段4Fにリセット信号が送られ、カウンタCがリセットされ、初期値0に戻される。 【0031】そして、故障判定手段4Dによる異常の検出が連続して起こり、その回数(カウンタC)が設定値(例えば3回)以上になると、該当する主回路システムにて何らかの故障が発生していると判断される。すなわち、異常が1回生じただけでは故障と判定せずに、連続して設定回数だけ生じたときに、故障と判定するようになっている。つまり、異常な状態が1回発生しただけでは、故障とは判定せず、異常な状態が繰り返して起こり、その起こる回数(カウンタ)が設定値以上になったときに初めて故障であると判定することで、誤検出が生ずるのを回避しているのである。 【0032】そして、故障であると判定された場合には、故障判定手段4Dから報知手段4Hに報知信号が送られ、この報知手段4Hが、故障表示灯5bを点灯させたり、モニター手段5cのディスプレイに故障表示をさせたりして、乗務員・保守員などの注意を喚起することになる。また、同時に主回路制御装置4内の記憶手段(図示せず)に故障時の機器状態を記録するようにすることもできる。 【0033】続いて、前記主回路制御装置4による制御の流れを、図2に沿って説明する。なお、この主回路制御装置4が、後述するように、入力される指令値とは関係なく、実際の車両の状態(車両の加速度)とそれに対応する出力値(電動機へ流れる電流の電流値)との比較から、故障を検出する故障検出装置として機能するように構成されている。 【0034】車両の運行開始によりスタートすると、まず、カウント手段4FにおいてカウントされているカウンタCがリセットされ(ステップS1)、カウンタC=0とされ、タイマー手段4Eによる計測時間tもリセットされ(ステップS2)、計測時間t=0とされ、初期状態とされる。 【0035】それから、停止検出手段4Aにより、速度発電機7からの信号に基づき車両が停止中であるか否かが判断され(ステップS3)、停止中であると判断されるまで、ステップS3の判断が繰り返される。この停止中であるか否かの判断は、車両の速度vが5km/h未満の場合には停止中であり、車両の速度vが5km/h以上の場合には走行中であるとされる。また、停車中であるか否かの判断を行うのは、例えば駅などの停車したことを基準として、その後の力行指令による加速状況により異常又は故障であるか否かを判断するためにである。 【0036】車両が停止中であると判定されると、続いて、加速度検出手段4Bにより車両が加速中である否かが判断され(ステップS4)、停止中が継続している場合には、加速中であると判断されるまで、ステップS4の判断が繰り返される。この加速中であるか否かの判断は、加速度αが0.3m/s2であれば加速中であり、加速度αが0.3m/s2未満であれば加速中でないとされる。 【0037】加速中であれば、さらに、電流検出手段4Cにより主電動機6に電流が流れているか否かが判断される(ステップS5)。ここで、電流が流れているか否かのしきい値は100Aとし、電流値Iが100A以上であれば電流が流れていると判断し、電流値Iが100A未満であれば電流が流れていないと判断する。 【0038】主電動機6に電流が流れていれば、以前の状態に関係なく、現在は正常であると判断されるので、ステップS1に戻り、リセット手段4Gによりカウント手段4FによるカウンタCをリセットし、初期状態に戻される一方、電流が流れていなければ、故障である可能性があるので、タイマー手段4Eによる計測が10秒以上継続しているか否か、すなわち計測時間tが10秒以上であるか否かを判定する(ステップS6)。 【0039】計測時間tが10秒以上である場合には、加速中であるにもかかわらず必要な電流量が主電動機6に流れていないと判断されるので、主回路システムが異常又は故障と考えられる事態であり、カウント手段4FにおいてカウンタCを1だけ加算してC+1とする(ステップS7)一方、計測時間tが10秒以上でない場合には、異常又は故障ではないと考えられるので、ステップS2に戻り、計測時間tがリセットされ、t=0とされる。 【0040】また、異常又は故障がある場合だけでなく、例えば下り坂などを運行している場合にも、加速中であるにもかかわらず必要な電流量が流れていないと判断され、ステップS7でカウンタCが1だけ増加することになるが、カウンタCがC+1とされた後には、ステップS2に戻るので、次に停車するまでカウンタCが増加することはない。また、下り坂などを運行している場合に電流が流れないのは正常な状態であるから、一旦停車した後(ステップS3)、ステップS5で主電動機6に電流が流れているか否かが判定される際に、電流が流れていると判定され、ステップS1に戻ることになる。それによって、カウンタCがリセットされ、C=0となり、下り坂などを運行している場合には、結果としてカウントされないことになる。従って、車両が停止する駅が下り坂の途中に2つある場合などの特殊な場合を除き、通常は、下り坂などを運行していることを原因として、加速中であるにもかかわらず必要な電流量が流れていないとして、故障の判定のためのカウンタCに影響を与えることはない。 【0041】そして、ステップ7の後、3回以上異常と考えられる事態が連続して発生したか否か(すなわちカウンタCが3以上であるか否か)を判定し(ステップS8)、カウンタCが3以上である場合には、駅などで3回停車し、その停止後の3回の力行においていずれも、異常と考えられる事態が発生していると判断されたのであるから、故障以外の原因で異常と判定される場合(例えば、前述したしたところの下り坂などを原因として、加速中であるにもかかわらず必要な電流量が流れていない場合)は考えられず、報知手段4Hにより、故障表示灯5bを点灯させたり、モニター手段5cのディスプレイに故障表示をさせたりすることにより、外部に故障であることを出力し(ステップS9)、乗務員、保守員などの注意を喚起して、終了する。一方、3回以上連続して発生していない場合には、ステップS2に戻り、計測時間tがリセットされ、前述した処理を繰り返すことになる。 【0042】なお、故障と判定された時点で、いきなり故障表示灯5bを点灯させたり、モニター手段5cのディスプレイに故障表示をさせたりするだけでなく、故障と判定する前の異常な状態が発生している状況を、例えばカウンタCを表示したりするなどして報知するようにしてもよい。 【0043】前記実施の形態においては、タイマー手段4E及びカウント手段4Fを用いて、下り坂などを運行している場合などのように、加速中であるにもかかわらず必要な電流量が流れていないと判断される正常な場合に、異常又は故障と判定するのを防止するようにしているが、本発明はそれに限定されるものではなく、例えば、車両の加速度と主電動機への電流との関係に基づき異常又は故障であるか否かを判定し、異常又は故障であると判定された場合には、とりあえず、乗務員などの注意を喚起するようにし、その後の処理は乗務員などに任せるようにし、故障検出装置における処理の簡単化を図ることもできる。 【0044】また、本発明は、VVVFインバータ装置4を搭載した車両に限定されるものではなく、抵抗制御方式・チョッパー制御方式など、電動機を動力とするすべての電車や機関車において適用することができる。 【0045】 【発明の効果】この発明は、以上に説明したように実施され、以下に述べるような効果を奏する。 【0046】請求項1の発明は、車両の加速度と主電動機への電流との関係に基づき異常又は故障であるか否かを判定するようにしているので、入力される指令値とは関係なく、実際の車両の状態を示す加速度と出力値である主電動機への電流との比較から、主回路システムの異常又は故障を検出することができる。 【0047】よって、従来検出が不可能、もしくは、検出するために新たな検出回路の追加が必要であった主回路システムの異常又は故障を、ハード的な特別な故障検出機構を設けなくとも、従来の主回路システムに必要な構成部品のみで検出が可能となり、低コストでありながら、正確に主回路システムの異常又は故障を検出し、乗務員・保守員などにその情報を提供することを簡単に実現することが可能となる。 【0048】請求項2の発明は、加速中において主電動機への電流の電流値が設定値未満であるときに、異常であると判定するようにしているので、入力される指令値とは関係なく、異常を簡単に検出することができる。 【0049】請求項3の発明は、異常な状況が設定時間以上継続する事態の発生回数をカウントし、その数が設定値以上になった場合に、故障であると判定するようにしているので、誤検出を回避して、確実に主回路システムの故障を検出することができる。 【0050】請求項4の発明は、加速中であるか否かの判定に先だって、停車中であるか否かの判定をするようにしているので、加速中であるか否かの判定をむやみに行うということがなくなり、駅などに停車した後、運転台から力行指令が出されるごとに、加速中であるか否かの判定を行うことができる。 【0051】請求項5の発明は、車両の加速度と主電動機への電流の電流値との関係に基づき異常でないと判定されれば、カウンタをリセットするようにしているので、異常の発生後であっても、正常な状態に復帰すれば、故障であると、誤って判定されることはない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000974 【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年9月20日(2000.9.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085291 【弁理士】 【氏名又は名称】鳥巣 実
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| 【公開番号】 |
特開2002−101502(P2002−101502A) |
| 【公開日】 |
平成14年4月5日(2002.4.5) |
| 【出願番号】 |
特願2000−284737(P2000−284737) |
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