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【発明の名称】 電動カート
【発明者】 【氏名】森宗 伸一朗

【要約】 【課題】旋回をより安全に行い得るようにする。

【解決手段】走行中の電動カートにおいて、環状ハンドルが操作されることにより操舵量センサ85が第1設定操舵量を検出するとともに、速度センサ86が第1設定速度より速い速度を検出したときは、CPU81からの制御信号によって電動モータ71の回転数が抑えられ、これによって電動カートは強制的に第1設定速度に減速され、運転者に大きな遠心力の加わることが防止されるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バッテリーからの電力供給による電動モータの駆動により走行するとともに、操舵装置の操作による操舵輪の変位で旋回する電動カートにおいて、上記操舵装置の操舵量を検出する操舵量センサと、走行速度を検出する速度センサと、上記操舵量に応じて走行速度を制御する制御手段とが設けられ、上記制御手段は、操舵量センサが第1設定操舵量を検出した状態で上記速度センサの検出値が予め設定された第1設定速度より速いときは第1設定速度に減速する制御信号を電動モータに向けて出力するとともに、操舵量センサが第1設定操舵量より大きい第2設定操舵量を検出した状態で、上記速度センサの検出値が第1設定速度より遅い予め設定された第2設定速度より速いときは第2設定速度に減速する制御信号を電動モータに向けて出力するように構成されていることを特徴とする電動カート。
【請求項2】 上記第2設定操舵量は、いずれかの車輪の接地点が旋回中心となる操舵量であり、上記第2設定速度は、0.3km/h〜0.7km/hであることを特徴とする請求項1記載の電動カート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安全にコーナーを曲がることができる電動カートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高齢者や身体障害者等の歩行が困難な人達を対象とした、自動走行可能な車椅子として使用される電動カートが知られている。この電動カートは、車体の前方に設けられた一輪または二輪の操舵輪と、同後方に設けられた二輪の駆動輪と、上記操作輪を操舵するハンドルと、ハンドルの近傍に設けられたアクセルレバーと、車体に装着された電動モータおよびバッテリーと、車体に固定された一人用の運転席とを備えて構成され、運転者は運転席に着座してアクセルレバーを操作しながら操作パネルの計器類を視認しつつハンドル操作を行うことにより、道路や通路を自在に走行させ得るようになっている。
【0003】かかる電動カートの中には、コーナーを曲がったり、道路をUターンするとき等の旋回時にアクセルレバーの操作とは独立して減速が行われるように構成されたものがある。旋回時に電動カートの速度を強制的に落とすことにより、運転者が遠心力で電動カートから振り落とされるような不都合が回避される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電動カートの旋回時に上記のような強制減速構造によって所定の速度に強制的に減速されても、旋回半径が異なれば運転者に加わる遠心力は異なり、特に内輪側の後輪の接地点が旋回中心になるような急旋回を行うときには、たとえ車体の幅方向の中央部の速度が所定の減速速度になっていても、外輪側の速度は略2倍になっているため、大きな遠心力が作用して運転者が振り落とされかねないという不都合が存在する。
【0005】本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、旋回をより安全に行い得る電動カートを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、バッテリーからの電力供給による電動モータの駆動により走行するとともに、操舵装置の操作による操舵輪の変位で旋回する電動カートにおいて、上記操舵装置の操舵量を検出する操舵量センサと、走行速度を検出する速度センサと、上記操舵量に応じて走行速度を制御する制御手段とが設けられ、上記制御手段は、操舵量センサが第1設定操舵量を検出した状態で上記速度センサの検出値が予め設定された第1設定速度より速いときは第1設定速度に減速する制御信号を電動モータに向けて出力するとともに、操舵量センサが第1設定操舵量より大きい第2設定操舵量を検出した状態で、上記速度センサの検出値が第1設定速度より遅い予め設定された第2設定速度より速いときは第2設定速度に減速する制御信号を電動モータに向けて出力するように構成されていることを特徴とするものである。
【0007】この発明によれば、走行中の電動カートにおいて、操舵装置が操作されることにより操舵量センサが第1設定操舵量を検出するとともに、速度センサが第1設定速度より速い速度を検出したときは、制御手段からの制御信号によって電動モータの回転数が抑えられ、これによって電動カートは強制的に第1設定速度に減速されるため、運転者に大きな遠心力のかかることが防止される。
【0008】さらに操舵装置が操作されることにより操舵量センサが第1設定操舵量より大きい第2設定操舵量を検出するとともに、速度センサが第1設定速度よりも速い第2設定速度を検出すると、制御手段からの制御信号によって電動モータの回転数がさらに抑えられて電動カートの速度は第2設定速度になるため、旋回半径が小さくなることによる遠心力の増加が有効に抑えられ、運転者に大きな遠心力の加わることが防止される。
【0009】このように、旋回時の電動カートの速度を、操舵量および走行速度の双方について2段階で制御するようにしたため、従来のように1段階で制御する場合に比較して適正な速度を確保しながら運転者が遠心力により振り落とされるような不都合が確実に防止される。
【0010】なお、予め設定される第1設定操舵量と第2設定操舵量とを同一の値として設定してもよい。この場合は、設定操舵量に操舵された状態で検出された走行速度が第1設定速度を越えているか否か、第2設定速度を越えているか否かが判別され、速度のみが2段階で制御される。従って、実際の操舵量が設定操舵量になった状態で走行速度が第1設定速度より速いときはまず第1設定速度まで落とされ、引き続き段階的に第2設定速度に減速される。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記第2設定操舵量は、いずれかの車輪の接地点が旋回中心となる操舵量であり、上記第2設定速度は、0.3km/h〜0.7km/hであることを特徴とするものである。
【0012】この発明によれば、操舵量が、いずれかの車輪の接地点が旋回中心となるような操舵量であるときは、電動カートが最小旋回半径に設定されたときに相当し、同一速度のときは最も大きな遠心力が運転者に加わるときであり、このような状況で走行速度が第2設定速度、すなわち0.3km/h〜0.7km/hの範囲内のいずれかの速度を越えるときは、この第2設定速度にまで減速されるため、運転者が遠心力で電動カートから振り落とされるような不都合は生じない。
【0013】そして、第2設定速度が、0.3km/h〜0.7km/hの範囲内のいずれかの速度に設定されるのは、0.7km/hを越えると、相当大きな遠心力が発生し、これによって運転者が振り落とされる可能性が大きくなるからであり、0.3km/h未満であると、運転者を振り落とす可能性はほとんど存在しないが、あまりにも低速であることから電動カートの目的地に向かった速やかな前進が阻害されるからである。
【0014】
【発明の実施の形態】図1および図2は、本発明に係る電動カートの一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、図1は、リアカバーが車体後部に被された状態、図2は、リアカバーが車体後部から外された状態をそれぞれ示している。これらの図に示すように、電動カート1は、骨格としてのシャーシ2と、このシャーシ2の前部に設けられた操舵機構3と、電動カート1の走行速度を調節するアクセルレバー4と、上記シャーシ2の後部に設けられた着座席としてのシート5と、上記操舵機構3に付設された操作パネル6と、電動カート1を走行させる駆動手段7と、操作パネル6の裏面側に設けられた制御装置8とを備えた基本構成を有している。上記制御装置8は、電動カート1の旋回速度を制御するものである。
【0015】上記シャーシ2の前方部分には幅方向一対の操舵輪W1が設けられているとともに、後方部分には同一対の駆動輪W2が設けられ、電動カート1は、駆動手段7による各駆動輪W2の回転駆動で走行するとともに、操舵機構3の操作による各操舵輪W1の変向によって旋回するようになっている。
【0016】上記シャーシ2には、その上面部に金属板を所定の形状に成形処理して形成したフロア21が敷設され、このフロア21の前方上部にフロントカバー22が設けられているとともに、後方上面に箱型のリアカバー23が設けられている。フロントカバー22の前面中央部にはヘッドライト24が設けられているとともに、フロントカバー22の幅方向両側部の泥除け25上にはウインカー26が設けられている。
【0017】上記操舵機構3は、フロントカバー22の中央部を貫通してフロア21の前方位置に立設されている。また、上記駆動手段7は、リアカバー23内でフロア21を介してシャーシ2に支持されている。リアカバー23は、フロア21に対してねじ止めその他で着脱可能に取り付けられ、所定の操作で、図2に示すように、フロア21の後部から取り外し得るようになっている。
【0018】上記シート5は、シャーシ2の後端部が上方に向けて折り返された部分に支持板を介して取り付けられている。かかるシート5は、着座席であるシートボトム51と、このシートボトム51の後端部に結合された背凭れとしてのシートバック52と、このシートバック52の両側縁部の上下方向中間位置から前方に向けて突設された幅方向一対の肘当てであるアームレスト53とからなっている。
【0019】上記駆動手段7は、図2に示すように、リアカバー23内の所定のフレームに支持された電動モータ71と、同電動モータ71に電力を供給するバッテリー72と、バッテリー72からの電力を調節するための各種の電気部品が配線された配線ボックス73と、上記電動モータ71の駆動回転を減速して駆動輪W2に伝達する減速機とを備えて構成されている。そして、バッテリー72からの上記アクセルレバー4の操作量に応じた電力供給による電動モータ71の駆動は、減速機を介して駆動輪W2の回転駆動に伝達され、これによって電動カート1が走行するようになっている。
【0020】従って、シートボトム51に着座した運転者がアクセルレバー4を操作しながらハンドル操作を行うことにより、電動カート1がアクセルレバー4の操作量に応じた速度で走行することになる。
【0021】上記操舵機構3は、車体の前端部でシャーシ2に自軸心回りに回動自在に立設されたステアリングロッド31と、このステアリングロッド31の上端部に一体に接続された環状ハンドル32と、ステアリングロッド31の下端部に連結された図略の操舵構造とを備えて構成されている。ステアリングロッド31は、上端部がシートボトム51に着座した状態の運転者の略肘の高さになるように上下寸法が設定されている。そして、環状ハンドル32の操作によるステアリングロッド31の自軸心回りの正逆回動によって左右の操舵輪W1が向きを変え、これによって電動カート1が環状ハンドル32の操作方向に向けて旋回するようになっている。
【0022】上記各環状ハンドル32は、平面視で略楕円状に形状設定され、操舵輪W1が前方に向いた状態でシート5側に幅方向に延びるように略直状に形成された把持部33を有しているとともに、把持部33の反対側(すなわち前方側)に中央部が上方に膨出して形成された円弧状のパネル装着部34を備えている。
【0023】上記把持部33は、長さ寸法がシートボトム51の幅寸法より若干短めに寸法設定されているとともに、把持した状態で親指と人差指の各先端が当接し得る径寸法に設定され、シートボトム51に着座した運転者が手を前に延ばすことにより把持部33を無理なく把持し得るようになっている。
【0024】上記パネル装着部34は、操作パネル6を装着するためのものであり、前方に向かって高さ寸法が漸増するように前上がりに傾斜している。この傾斜に沿って操作パネル6をパネル装着部34に装着することによって操作パネル6のパネル面を運転者の視線に対向させ、これによってパネル面に設けられた各種の計器類を視認し易い状態にしている。
【0025】上記アクセルレバー4は、ステアリングロッド31と平行に上下方向に延びる幅方向一対のアクセルロッド41と、これらアクセルロッド41の頂部間に架設された環状ハンドル32内で把持部33と平行に幅方向に延びる操作部42とを備えて構成されている。各アクセルロッド41は、側面視でL字形状に設定され、下部の前方に向かって延びる部分の先端がステアリングロッド31と一体の幅方向に延びる回動軸43回りに回動自在に軸支され、図略の付勢手段の付勢力で把持部33から離間する方向に付勢されている。
【0026】従って、運転者が操作部42から手を離した状態では、アクセルレバー4は、付勢手段の付勢力によって、回動軸43回りに反時計方向に回動してゼロ速度域に位置設定される一方、運転者が操作部42を手前に向けて操作することにより、アクセルレバー4は、回動軸43回りに時計方向に回動し、最大操作量で最大速度域に設定されて操作部42が把持部33と一体化する。
【0027】また、アクセルレバー4の適所には、アクセルレバー4の操作量を検出する図略の回動センサが設けられている。この回動センサは、回動軸43の回動量に基づいてアクセルレバー4の操作量を検出するようになっており、操作量が「0」のときにはバッテリー72からの電動モータ71に対する電力供給が停止されるとともに、図略のブレーキが作動して電動カート1の走行を強制的に停止させるようになされている。
【0028】一方、回動センサがアクセルレバー4の操作を検出すると、その操作量に応じて電動モータ71に対するバッテリー72からの電力供給量を増加させるように構成されており、これによって運転者は電動カート1の走行速度を任意に調節し得るようになっている。
【0029】上記操作パネル6は、環状ハンドル32の前方位置に斜めに形成されたパネル装着部34に取り付けられて形成され、運転者の目視方向に対向することによって各種の操作ボタンの操作が行い易くなっているとともに、各種の計器類を視認し易くなっている。
【0030】かかる操作パネル6には、その前縁部から後方に向かって斜め上方に延びるように突出した円弧状の日除け板60(図3)が設けられ、この日除け板60で直射日光が操作パネル6の表面を照射するのを防止し、これによって操作パネル6表面の計器類を視認し易くしている。
【0031】図3は、操作パネル6における操作ボタンおよび計器類の配置レイアウトの一実施形態を示す平面図である。この図に示すように、操作パネル6には、上部の三角形状の領域に計器類を配列した表示ゾーン6aが設定されているとともに、この表示ゾーン6aの下部の領域に操作ボタン類を配設した操作ゾーン6bが設定されている。
【0032】表示ゾーン6aには、左方位置にバッテリー72の蓄電量の残量を表示する、LED(発光ダイオード)からなる4つの残量表示灯(バッテリー残量計)61が配設されている。これらの残量表示灯61は、右のものから左のものに向けて縦寸法が漸減するように形状設定されている。そして、右端の残量表示灯61が点灯しているときは、蓄電量が所定の高レベル以上であることを示し、点灯が左の残量表示灯61に移るに従って蓄電量が順次減少した所定の範囲内のものになっていることを表示する。そして、充電が必要であるまで蓄電量が低下したときは、左端の残量表示灯61が点灯するようになっている。
【0033】また、この残量表示灯61は、後述するターンボタン67の操作に応じて電動カート1の旋回方向に向けて逆側のものから順次所定の短い時間差で点滅し、この点滅が一巡した後にターンボタン67の操作が継続されている限りこの一巡が繰り返されるようになされている。そして残量表示灯61の点滅に同期してウインカー26も点滅するようになっている。
【0034】また、表示ゾーン6aには、残量表示灯61に隣接してLEDからなる走行距離計62が設けられている。
【0035】上記操作ゾーン6bは、さらに上下に二分されて上方位置に停車時操作ゾーン6cが設定されているとともに、下方位置に走行時操作ゾーン6dが設定されている。停車時操作ゾーン6cは、電動カート1が停車している状態で操作する操作スイッチ等が設けられている領域であり、走行時操作ゾーン6dは、電動カート1が走行しているときに操作する操作ボタンが設けられている領域である。
【0036】そして、停車時操作ゾーン6cには、その中央位置に前後進切換えスイッチ63が設けられているとともに、右側部に電源スイッチ64が、左側部に最高速度設定スイッチ(最高速度設定器)65がそれぞれ設けられている。
【0037】上記前後進切換えスイッチ63は、前方に向けて操作することにより前進モードになる一方、後方に向けて操作することにより後進モードになるようになされている。従って、電源スイッチ64オンした状態で前後進切換えスイッチ63を「前進」に操作することにより、アクセルレバー4の操作で電動カート1は前進する一方、同「後進」に操作することにより、アクセルレバー4の操作で電動カート1は後進することになる。
【0038】かかる前後進切換えスイッチ63の右側には、前後方向に向けて並設されたLEDからなる前後進表示灯63a(前進表示灯63bおよび後進表示灯63c)が設けられている。前進表示灯63bは、前後進切換えスイッチ63が前進側に操作された状態で点灯するものであり、後進表示灯63cは、前後進切換えスイッチ63が後進側に向けて操作された状態で点灯するものである。
【0039】上記電源スイッチ64は、キー孔64aに所定のキーを差し込んで回動操作を行う方式のものが採用されている。「切」の状態に設定されたキー孔64aにキーを挿し込んで「入」に向けて操作することによりバッテリー72(図1)からの電力が電動モータ71に供給可能な状態とされ、さらにランプ点灯の図柄の方向に操作することによってヘッドライト24が点灯するようになっている。
【0040】上記最高速度設定スイッチ65は、最高速度を設定するためのものであり、クリック感を与えながら回動するダイヤル方式のものが採用されている。かかる最高速度設定スイッチ65は、円形のスイッチ本体65aと、このスイッチ本体65aに径方向に向けて横断するように一体に付設された摘みバー65bとを有している。一方、停車時操作ゾーン6cにはスイッチ本体65aの周面に沿うように目盛りが設けられ、摘みバー65bの先端をいずれかの目盛りに合わせることによって、アクセルレバー4を最高速度位置にまで操作した状態でその目盛りに対応した最高速度が得られるようになっている。
【0041】上記走行時操作ゾーン6dには、中央位置にホーンボタン66が設けられているとともに、このホーンボタン66の左右にそれぞれターンボタン67(左ターンボタン67aおよび右ターンボタン67b)が設けられている。ホーンボタン66は、電動カート1の適所に設けられた図略の警笛を吹鳴させるものであり、ターンボタン67は、上記ウインカー26を点滅させるものである。左ターンボタン67aがプッシュされたときは、左のウインカー26が点滅する一方、右ターンボタン67bがプッシュされたときは右のウインカー26が点滅することになる。また、ターンボタン67が操作されたときは、合わせて残量表示灯61が点滅することについては先に説明した通りである。
【0042】さらに、走行時操作ゾーン6dの右側部であって電源スイッチ64に隣接した位置にはマナースイッチ68が設けられている一方、フロントカバー22内には図略のブザーが設けられている。そして、マナースイッチ68がオンされた状態で、かつ、前後進切換えスイッチ63が「後進」に操作されるとブザーが吹鳴して電動カート1の後進が警報されるのに対し、マナースイッチ68がオフされた状態では、たとえ電動カート1が後進してもブザーが鳴らないようになっている。
【0043】かかるマナースイッチ68を設けることにより、電動カート1の走行場所が病院内や各種の公共的な建物の中などである場合、マナースイッチ68をオフにすることにより電動カート1を後進させてもブザーが鳴らない。従って、電動カート1を後進させる都度ブザーが吹鳴し、これが室内に反響して騒音になり、周りに不愉快な思いを起させて不興を買うような従来の不都合が解消される。
【0044】図4は、制御装置8による旋回時の速度制御の一実施形態を示すブロック図である。制御装置8は、いわゆるマイクロコンピュータによって構成され、各種のスイッチ類からのオン・オフ情報や各種のセンサーからの検出信号に基づいて所定の判別を行い、電動モータ71が予め設定された所定の回転数で回転するように制御信号を出力するものである。かかる制御装置8は、中央演算処理装置(Central Processing Unit)であるCPU81と、このCPU81に付設された外部記憶装置であるRAM(Random AccessMemory)82およびROM(Read Only Memory)83とを備えて構成されている。
【0045】上記RAM82は、データの読み書きを自在に行うことができる外部記憶装置であり、各種の検出値や所定の演算処理結果等が入力されるとともに、必要に応じて中間処理や演算結果の各種の値が出力される。また、上記ROM83は、読み取り専用の外部記憶装置であり、速度制御のための演算処理や判別処理を行うためのプログラムが予め記憶されている。
【0046】そして、電源スイッチ64のオン操作で電動モータ71に電力が供給され得る状態になると、ROM83のプログラムがCPU80に読み込まれて制御装置8は制御可能状態となり、CPU80は、上記プログラムに従って必要に応じて電動モータ71に向けて制御信号を出力し、カーブを曲がるときに所定の条件が満足されると電動モータ71の回転数の減少で電動カート1は減速されるようになっている。
【0047】制御装置8が上記のような制御を行うために、電動カート1の適所には各種のセンサが設けられている。かかるセンサとしては、まず、電源スイッチ64を挙げることができる。すなわち、電源スイッチ64がオンされると、このことがCPU81に入力される。
【0048】また、アクセルレバー4の適所には、アクセルレバー4の操作量を検出するためのアクセルレバーセンサ84が設けられているとともに、ステアリングロッド31の近傍には環状ハンドル32の回動操作量を検出するための操舵量センサ85が設けられている。さらに、駆動輪W2の車軸の近傍には、左右の駆動輪W2の回転数を検出するとともに、これら左右の回転数の平均値で電動カート1の走行速度を検出する速度センサ86が設けられている。これら各センサ84,85,86からの検出信号は逐一CPU81に入力され、CPU81からはこれらの検出信号に基づく制御信号が電動モータ71の回転数を制御するために出力される。
【0049】なお、速度センサ86が、左右の駆動輪W2の回転数の平均値に基づいて電動カート1の走行速度を検出するようにしているのは、電動カート1が旋回するとき、内輪の回転数と外輪の回転数とが異なることから、いずれか一方の駆動輪W2の回転数のみからでは電動カート1を代表した走行速度を得ることができないからである。
【0050】一方、バッテリー72からの電力を電動モータ71に供給する電力供給回路には、電動モータ71と直列で電力量調節回路74が設けられている。電力量調節回路74は、抵抗器やコンデンサー等の電気部品を組み合わせることにより形成されており、CPU81からの制御信号が指示する所定の電力を電動モータ71に供給するようになっている。
【0051】そして、本発明においては、電動カート1が旋回するときに操舵量センサ85が検出した環状ハンドル32の操舵量(具体的には環状ハンドル32のステアリングロッド31回りの回動角度)および速度センサ86が検出した電動カート1の走行速度に基づいてCPU81が所定の判断を行い、操舵量θが第1段階の量(第1設定操舵量θ1)(θ=θ1)になったときは走行速度Vをそれに見合った速度(第1設定速度V1)に減速するとともに、操舵量θが第1設定操舵量θ1より大きい第2段階の量(第2設定操舵量θ2)(θ=θ2)になったときは、この第2設定操舵量θ2に見合った速度(第2設定速度V2)にまで減速するような制御信号がCPU81から電力量調節回路74に向けて出力され、これによって電動カート1が安全な速度で旋回するようにしている。
【0052】そして、ROM83には、上記第1設定操舵量θ1、第2設定操舵量θ2、第1設定速度V1および第2設定速度V2が予め記憶されており、電源スイッチ64がオンされる都度、これらの値がCPU81に呼び出されて速度制御に利用されることになる。
【0053】このような制御を行うために、CPU81には、操舵量判別部81a、速度判別部81bおよび速度設定部81cが設けられている。上記操舵量判別部81aは、操舵量センサ85が検出した操舵量θと、第1および第2設定操舵量θ1,θ2との比較演算を行い、この演算結果に基づいて操舵量θがいずれの設定操舵量を越えているかを判別する働きをするものである。
【0054】上記速度判別部81bは、速度センサ86が検出した走行速度Vと、第1および第2設定速度V1,V2との比較演算を行い、この演算結果に基づいて走行速度Vがいずれの設定速度を越えているかを判別する働きをするものである。
【0055】上記速度設定部81cは、操舵量判別部81aおよび速度判別部81bの判別結果に基づいて旋回中の電動カート1の走行速度を設定するものであり、設定された速度が制御信号として電力量調節回路74に向けて出力され、これによって電動モータ71が第1設定速度V1または第2設定速度V2に見合う回転数にまで落とされるのである。
【0056】具体的には、操舵量θが第1設定操舵量θ1に満たないとき(θ<θ1)は、現状の走行速度がそのまま設定され、電動カート1は、アクセルレバー4の操作量に応じた速度で走行する通常の運転操作が行われることになる。
【0057】操舵量θが第1設定操舵量θ1以上でかつ第2設定操舵量θ2未満であるとき(θ1≦θ<θ2)は、走行速度Vが第1設定速度V1を越えているか否かが比較され、越えているとき(V>V1)には走行速度を第1設定速度V1にまで落とす制御信号が電力量調節回路74に向けて出力され、これによって電動カート1は第1設定速度V1で旋回することになる一方、越えていないときには、そのままの走行速度が継続されることになる。
【0058】操舵量θが第2設定操舵量θ2以上のとき(θ≧θ2)は、走行速度Vが第2設定速度V2を越えているか否かが比較され、越えているとき(V>V2)には走行速度を第2設定速度V2にまで落とす制御信号が電力量調節回路74に向けて出力され、これによって電動カート1は第2設定速度V2で旋回することになる一方、越えていないときには、そのままの走行速度が継続されることになる。
【0059】そして、本実施形態においては、第1設定操舵量θ1は、最大操舵量の略半分の値が採用されているとともに、第2設定操舵量θ2は、操舵輪W1の接地点が旋回中心となるような操舵量(すなわち、最大操舵量より若干小さめの操舵量)の値が採用されている。かかる値が第2設定操舵量θ2として採用されているのは、この値のときに電動カート1は、略最小旋回半径に設定された状態になっているからである。
【0060】また、第2設定操舵量θ2に対応した第2設定速度V2は、0.3km/h〜0.7km/hの範囲内の値に設定されている。かかる値が採用されるのは、0.7km/hを越えると、相当大きな遠心力が発生し、これによって運転者が振り落とされる可能性が大きくなるからであり、0.3km/h未満であると、運転者を振り落とす可能性はほとんど存在せず、安全対策上これより低速にする必要がないからであるとともに、あまりにも低速であることから電動カートの目的地に向かった速やかな前進が阻害されるからである。
【0061】本発明の電動カート1は、以上詳述したように、走行中の電動カート1において、環状ハンドル32が操作されることにより操舵量センサ85が第1設定操舵量θ1を検出するとともに、速度センサ86が第1設定速度V1より速い速度を検出したときは、CPU81からの制御信号によって電動モータ71の回転数が抑えられ、これによって電動カート1は強制的に第1設定速度V1に減速されるため、運転者に大きな遠心力のかかることが防止される。
【0062】さらに環状ハンドル32が操作されることにより操舵量センサ85が第1設定操舵量θ1より大きい第2設定操舵量θ2を検出するとともに、速度センサ86が第1設定速度V1よりも速い第2設定速度V2を検出すると、CPU81からの制御信号によって電動モータ71の回転数がさらに抑えられて電動カート1の速度は第2設定速度V2になるため、旋回半径が小さくなることによる遠心力の増加が有効に抑えられ、運転者に大きな遠心力のかかることが防止される。
【0063】このように、旋回時の電動カート1の速度を、操舵量および走行速度の双方について2段階で制御するようにしたため、従来のように1段階で制御する場合に比較して適正な速度を確保しながら運転者が遠心力により振り落とされるような不都合が確実に防止される。
【0064】本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0065】(1)上記の実施形態においては、電動カート1は、操舵輪W1および駆動輪W2がそれぞれ2輪設けらた四輪車が適用されているが、本発明は、電動カート1が四輪車であることに限定されるものではなく、操舵輪または駆動輪が2輪である、いわゆる三輪車に適用してもよい。
【0066】(2)上記の実施形態においては、運転者が把持して操作するハンドルとして環状ハンドル32が適用されているが、本発明は、ハンドルが環状ハンドル32であることに限定されるものではなく、自転車のハンドルのような、いわゆるバーハンドルであってもよい。但し、バーハンドルを採用する場合、ハンドルの把持部分を互いに対向する方向に折り曲げた構造にすることが好ましい。
【0067】(3)上記の実施形態においては、第1設定操舵量θ1と第2設定操舵量θ2とにそれぞれ異なった値が設定されているが、本発明は、第1設定操舵量θ1および第2設定操舵量θ2に異なった値を設定することに限定されるものではなく、同一の値を設定してもよい。但し、この場合は、操舵量θが設定操作量に到達した後、まず所定時間(例えば数秒)だけ電動カート1を第1設定速度V1で走行させ、所定時間の経過後に第2設定速度V2に減速するようにすればよい。
【0068】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、旋回時の電動カートの速度を、操舵量および走行速度の双方について2段階で制御するようにしたため、従来のように1段階で制御する場合に比較して適正な速度を確保しながら運転者が遠心力により振り落とされるような不都合を確実に防止することができる。
【0069】請求項2記載の発明によれば、第2設定操舵量をいずれかの車輪の接地点が旋回中心となる操舵量を採用するとともに、第2設定速度として0.3km/h〜0.7km/hの範囲内の値を設定するようにしたため、電動カートが最小旋回半径に設定されて最も大きな遠心力が運転者に加わるときであっても、運転者が遠心力で電動カートから振り落とされるような不都合を確実に防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000175261
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
【出願日】 平成12年9月11日(2000.9.11)
【代理人】 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司 (外2名)
【公開番号】 特開2002−95115(P2002−95115A)
【公開日】 平成14年3月29日(2002.3.29)
【出願番号】 特願2000−274973(P2000−274973)