| 【発明の名称】 |
動力出力装置およびこれを搭載する自動車 |
| 【発明者】 |
【氏名】近藤 宏一
【氏名】多賀 豊
【氏名】小嶋 昌洋
【氏名】畑 祐志
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| 【要約】 |
【課題】装置の連続的な使用に耐え得ると共にエネルギ効率を向上させ、二つの駆動軸により適切なトルクを出力する。
【解決手段】エンジン22からの動力をキャリア入力して定トルク比に分割するプラネタリギヤ31のサンギヤ軸33にモータMG1、リングギヤ軸37にモータMG2を取り付け、リングギヤ軸37を前輪の前軸50に連結すると共に後輪の後軸60にモータMG3を取り付ける。エンジン22からの動力を二次電池70の充放電なしに前軸50と後軸60に所望のトルク比として出力したり、エンジン22からの動力と二次電池70の充放電電力とを用いて所望の動力を前軸50と後軸60とに所望のトルク比として出力するようモータMG1,MG2,MG3を駆動制御する。この結果、装置のエネルギ効率を向上させると共に二つ駆動軸により適切なトルクを出力することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1駆動軸を含む複数の駆動軸に動力を出力可能な動力出力装置であって、出力軸を有する内燃機関と、前記内燃機関の出力軸と前記第1駆動軸と動力分割統合軸の三つの回転軸に接続され、該三つの回転軸のうちのいずれかの回転軸から動力が入力されたときには該動力を所定のトルク比で他の二つの回転軸に分割すると共に該三つの回転軸のうちのいずれか二つの回転軸から動力が入力されたときには該入力された動力を統合して他の回転軸に出力する動力分割統合手段と、前記動力分割統合軸に連結された発電可能な分割統合用電動駆動手段と、前記第1駆動軸に連結された発電可能な第1電動駆動手段と、前記第1駆動軸とは異なる少なくとも一つの他の駆動軸に連結された発電可能な第2電動駆動手段と、前記内燃機関からの動力がトルク変換されて前記第1駆動軸と前記他の駆動軸に出力されるよう前記分割統合用電動駆動手段と前記第1電動駆動手段と前記第2電動駆動手段とを駆動制御する駆動制御手段とを備える動力出力装置。 【請求項2】 前記駆動制御手段は、前記分割統合用電動駆動手段と前記第1電動駆動手段と前記第2電動駆動手段のうちの一つまたは二つの電動駆動手段により発電された電力が他の電動駆動手段により消費されるよう該三つの電動駆動手段を駆動制御する手段である請求項1記載の動力出力装置。 【請求項3】 前記第1駆動軸および前記他の駆動軸に要求される要求動力に基づいて前記内燃機関を運転制御する内燃機関運転制御手段を備える請求項1または2記載の動力出力装置。 【請求項4】 第1駆動軸を含む複数の駆動軸に動力を出力可能な動力出力装置であって、出力軸を有する内燃機関と、前記内燃機関の出力軸と前記第1駆動軸と動力分割統合軸の三つの回転軸に接続され、該三つの回転軸のうちのいずれかの回転軸から動力が入力されたときには該動力を所定のトルク比で他の二つの回転軸に分割すると共に該三つの回転軸のうちのいずれか二つの回転軸から動力が入力されたときには該入力された動力を統合して他の回転軸に出力する動力分割統合手段と、前記動力分割統合軸に連結された発電可能な分割統合用電動駆動手段と、前記第1駆動軸に連結された発電可能な第1電動駆動手段と、前記第1駆動軸とは異なる少なくとも一つの他の駆動軸に連結された発電可能な第2電動駆動手段と、前記分割統合用電動駆動手段と前記第1電動駆動手段と前記第2電動駆動手段のいずれの電動駆動手段とも電力のやり取りが可能な二次電池と、前記内燃機関からの動力と前記二次電池の充放電電力とを用いて前記第1駆動軸と前記他の駆動軸に動力が出力されるよう前記分割統合用電動駆動手段と前記第1電動駆動手段と前記第2電動駆動手段とを駆動制御する駆動制御手段とを備える動力出力装置。 【請求項5】 請求項4記載の動力出力装置であって、前記二次電池の状態を検出する電池状態検出手段と、該検出された二次電池の状態と前記第1駆動軸および前記他の駆動軸に要求される要求動力とに基づいて前記内燃機関を運転制御する内燃機関運転制御手段とを備える動力出力装置。 【請求項6】 前記駆動制御手段は、前記第1駆動軸のトルクと前記他の駆動軸のトルクの比である駆動軸トルク比が目標トルク比となるよう前記三つの電動駆動手段を駆動制御する手段である請求項1ないし5いずれか記載の動力出力装置。 【請求項7】 前記動力分割統合手段は、前記内燃機関の出力軸と前記動力分割統合軸とを連結すると共に前記第1駆動軸との接続を解除する連結解除手段を備える請求項1ないし6いずれか記載の動力出力装置。 【請求項8】 前記要求動力が制動動力のとき、前記駆動制御手段による制御に拘わらず、前記第1電動駆動手段および/または前記第2電動駆動手段を回生制御すると共に該第1電動駆動手段および/または該第2電動駆動手段からの電力が消費されるよう前記分割統合用電動駆動手段を力行制御し、前記内燃機関運転制御手段による制御に拘わらず、該三つの電動駆動手段の駆動制御に伴って入力される動力が前記内燃機関で消費されるよう該内燃機関を運転制御する制動時制御手段を備える請求項3もしくは請求項3に係る請求項6または7記載の動力出力装置。 【請求項9】 前記要求動力が制動動力で前記二次電池が充電不可の状態のとき、前記駆動制御手段による制御に拘わらず、前記第1電動駆動手段および/または前記第2電動駆動手段を回生制御すると共に該第1電動駆動手段および/または該第2電動駆動手段からの電力が消費されるよう前記分割統合用電動駆動手段を力行制御し、前記内燃機関運転制御手段による制御に拘わらず、該三つの電動駆動手段の駆動制御に伴って入力される動力が前記内燃機関で消費されるよう該内燃機関を運転制御する制動時制御手段を備える請求項5もしくは請求項5に係る請求項6または7記載の動力出力装置。 【請求項10】 請求項1ないし9いずれか記載の動力出力装置を搭載する自動車であって、前記第1駆動軸は、車両前輪に連結された前軸に連結されており、前記他の駆動軸は、車両後輪に連結された後軸に連結されてなる自動車。 【請求項11】 請求項1ないし9いずれか記載の動力出力装置を搭載する自動車であって、前記第1駆動軸は、車両後輪に連結された後軸に連結されており、前記他の駆動軸は、車両後輪以外の車両前輪に連結された前軸を含む車両輪に連結された軸に連結されてなる自動車。 【請求項12】 請求項3または請求項5に係る動力出力装置を搭載する請求項10または11記載の自動車であって、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、操作者による走行要求を入力する走行要求入力手段と、該入力された走行要求と前記走行状態検出手段に検出された走行状態とに基づいて前記要求動力を設定する要求動力設定手段とを備える自動車。 【請求項13】 前記走行状態検出手段により検出された前記車両の走行状態に基づいて前記目標トルク比を設定する目標トルク比設定手段を備える請求項6に係る動力出力装置を搭載する請求項12記載の自動車。 【請求項14】 前記目標トルク比設定手段は、前記走行状態検出手段により車両の発進状態が検出されたとき、前記目標トルク比が1:9〜9:1の範囲で予め設定された発進時トルク比となるよう設定する手段である請求項13記載の自動車。 【請求項15】 前記目標トルク比設定手段は、前記走行状態検出手段により所定の安定走行状態を検出したとき、前記目標トルク比が1:0または0:1となるよう設定する手段である請求項13または14記載の自動車。 【請求項16】 前記目標トルク比設定手段は、前記要求動力設定手段により所定の動力以上の要求動力が設定されたとき、前記目標トルク比が1:9〜9:1の範囲で予め設定された大動力時トルク比となるよう設定する手段である請求項13ないし15いずれか記載の自動車。 【請求項17】 前記目標トルク比設定手段は、前記走行状態検出手段により検出された車両の走行状態と前記要求動力設定手段により設定された要求動力とに基づいて前記目標トルク比を前記駆動軸トルク比が1:9〜9:1の範囲で設定される4輪駆動用トルク比と前記駆動軸トルク比が1:0または0:1として設定される2輪駆動用トルク比のいずれかに設定する手段である請求項13記載の自動車。 【請求項18】 前記目標トルク比設定手段は、前記目標トルク比に前記4輪駆動用トルク比と前記2輪駆動用トルク比のいずれを設定するかを判定する判定マップを用いて該目標トルク比を設定する手段である請求項17記載の自動車。 【請求項19】 請求項18記載の自動車であって、道路に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、現在の車両の位置および走行方向を検出する位置方向検出手段とを備え、前記目標トルク比設定手段は、前記判定マップを複数有し、前記位置方向検出手段により検出された車両の位置および走行方向と前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて前記複数の判定マップから一つを選択して前記目標トルク比を設定する手段である自動車。 【請求項20】 請求項19記載の自動車であって、前記位置方向検出手段により検出された車両の位置および走行方向と前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて車両が平坦路か山岳路,比較的緩やかなコーナー路,連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路などに分類された走行路のうちのいずれの走行路を走行しているかを判定する走行路判定手段を備え、前記目標トルク比設定手段は、前記2輪駆動用トルク比と前記4輪駆動用トルク比との領域境界が異なる複数の判定マップを前記分類された走行路に関連付けて記憶し、前記走行路判定手段により走行路が判定されたとき、該判定された走行路に関係付けられた判定マップを選択して前記目標トルク比を設定する手段である自動車。 【請求項21】 請求項18記載の自動車であって、道路に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、現在の車両の位置および走行方向を検出する位置方向検出手段とを備え、前記目標トルク比設定手段は、前記位置方向検出手段により検出された車両の位置および走行方向と前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて前記判定マップを補正して前記目標トルク比を設定する手段である自動車。 【請求項22】 請求項21記載の自動車であって、前記位置方向検出手段により検出された車両の位置および走行方向と前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて車両が平坦路か山岳路,比較的緩やかなコーナー路,連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路などに分類された走行路のうちのいずれの走行路を走行しているかを判定する走行路判定手段を備え、前記目標トルク比設定手段は、前記走行路判定手段により走行路が判定されたとき、該判定された走行路に基づいて前記判定マップの前記2輪駆動用トルク比と前記4輪駆動用トルク比の領域境界を補正して前記目標トルク比を設定する手段である自動車。 【請求項23】 前記目標トルク比設定手段は、前記走行路判定手段により走行路として山岳路,連続カーブ路,登坂路,降坂路が判定されたとき、前記判定マップを前記4輪駆動用トルク比の領域が大きくなるよう前記領域境界を補正して前記目標トルク比を設定する手段である請求項22記載の自動車。 【請求項24】 請求項18記載の自動車であって、道路に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、現在の車両の位置および走行方向を検出する位置方向検出手段と、前記位置方向検出手段により検出された車両の位置および走行方向と前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて車両が平坦路か山岳路,比較的緩やかなコーナー路,連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路などに分類された走行路のうちのいずれの走行路を走行しているかを判定する走行路判定手段とを備え、前記目標トルク比設定手段は、前記走行路判定手段により走行路として比較的緩やかなコーナー路,連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路のいずれかが判定されたとき、前記判定マップに拘わらず、判定されたときの目標トルク比を保持する手段である自動車。 【請求項25】 請求項18記載の自動車であって、道路に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、現在の車両の位置および走行方向を検出する位置方向検出手段と、前記位置方向検出手段により検出された車両の位置および走行方向と前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて車両が平坦路か山岳路,比較的緩やかなコーナー路,連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路などに分類された走行路のうちのいずれの走行路を走行しているかを判定する走行路判定手段とを備え、前記目標トルク比設定手段は、前記走行路判定手段により走行路として山岳路,連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路のいずれかが判定されたとき、前記判定マップに拘わらず、前記4輪駆動用トルク比を前記目標トルク比に設定する手段である自動車。 【請求項26】 請求項5に係る動力出力装置を搭載する請求項13ないし18いずれか記載の自動車であって、道路に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、現在の車両の位置および走行方向を検出する位置方向検出手段と、前記位置方向検出手段により検出された車両の位置および走行方向と前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて所定時間後および/または所定距離後の所定範囲の車両の走行路が前記二次電池の充電または放電を伴う充放電走行路であるか否かを判定する充放電走行路判定手段と、該充放電走行路が判定されたとき、前記所定範囲の走行に伴う充電または放電が可能なように前記二次電池の状態を前記所定時間および/または前記所定距離の範囲で調整する二次電池状態調整手段とを備える自動車。 【請求項27】 前記二次電池状態調整手段は、前記充放電走行路が前記二次電池の充電を伴う走行路として判定されたとき、前記所定時間および/または前記所定距離の範囲の走行の際に前記4輪駆動用トルク比の領域の割合が多くなるよう前記目標トルク比設定手段により用いられる前記判定マップを補正する手段である請求項18に係る請求項26記載の自動車。 【請求項28】 前記二次電池状態調整手段は、前記充放電走行路が前記二次電池の放電を伴う走行路として判定されたとき、前記所定時間および/または前記所定距離の範囲の走行の際に前記2輪駆動用トルク比の領域の割合が多くなるよう前記目標トルク比設定手段により用いられる前記判定マップを補正する手段である請求項18に係る請求項26記載の自動車。 【請求項29】 請求項3または請求項5に係る動力出力装置を搭載する請求項10ないし28いずれか記載の自動車であって、前輪および/または後輪のスリップを検出するスリップ検出手段と、該スリップが検出されたとき、前記駆動制御手段および前記内燃機関運転制御手段による制御に拘わらず、該スリップした輪に連結された軸に連結された電動駆動手段からのトルクを所定トルクだけ小さくして該電動駆動手段を駆動制御すると共に該トルク変更に係る該電動駆動手段のトルク変更に伴う動力変動に相当する動力だけ前記内燃機関からの動力が小さくなるよう前記内燃機関を運転制御するスリップ時制御手段とを備える自動車。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、動力出力装置およびこれを搭載する自動車に関し、詳しくは、第1駆動軸と他の駆動軸の二つ駆動軸に動力を出力可能な動力出力装置およびこれを搭載する自動車に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種の動力出力装置としては、前輪に連結された前軸と後輪に連結された後軸とに各々取り付けられた電動機を有し4輪駆動自動車を構成するものや、4輪の各回転軸に各々取り付けられた電動機を有し4輪駆動自動車を構成するものなどが提案されている。これらの動力出力装置では、二次電池に充電された電力を用いて電動機を駆動したり、内燃機関からの動力を発電機で発電して得られる電力を用いて電動機を駆動している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、二次電池に充電された電力を用いて電動機を駆動するタイプの動力出力装置では、二次電池の充電に時間を要し、長時間の連続的な使用に不適であり、内燃機関の動力による発電電力を用いて電動機を駆動する動力出力装置では、発電効率と電動機の効率とを考慮するためにエネルギ効率が低下する場合が多い。特に発電電力を用いて二次電池を充電し、二次電池に蓄えられた電力を用いて電動機を駆動する場合には、二次電池の充放電効率も作用するから、更にエネルギ効率は低下してしまう。 【0004】本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車は、連続的な使用に耐え得ることを目的の一つとする。また、本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車は、エネルギ効率の向上を目的の一つとする。さらに、本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車は、第1駆動軸と第2駆動軸により適切なトルクを出力することを目的の一つとする。また、本発明の自動車は、走行路の状態に応じたトルクを前輪と後輪とに出力することを目的の一つとする。 【0005】なお、出願人は、これらの目的の一部を解決するものとして、内燃機関の出力軸と回転軸と第1駆動軸の三つの軸にキャリア軸,サンギヤ軸,リングギヤ軸が各々接続されたプラネタリギヤと、回転軸に連結された第1電動機と、第1駆動軸に連結された第2電動機と、第2駆動軸に連結された第3電動機とを備え、第1駆動軸と前輪が連結された前軸とを連結すると共に第2駆動軸と後輪が連結された後軸とを連結してなる4輪駆動の自動車を提案している(特願平8−148678号)。 【0006】 【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。 【0007】本発明の第1の動力出力装置は、第1駆動軸と他の駆動軸の二つ駆動軸に動力を出力可能な動力出力装置であって、出力軸を有する内燃機関と、前記内燃機関の出力軸と前記第1駆動軸と動力分割統合軸の三つの回転軸に接続され、該三つの回転軸のうちのいずれかの回転軸から動力が入力されたときには該動力を所定のトルク比で他の二つの回転軸に分割すると共に該三つの回転軸のうちのいずれか二つの回転軸から動力が入力されたときには該入力された動力を統合して他の回転軸に出力する動力分割統合手段と、前記動力分割統合軸に連結された発電可能な分割統合用電動駆動手段と、前記第1駆動軸に連結された発電可能な第1電動駆動手段と、前記他の駆動軸に連結された発電可能な第2電動駆動手段と、前記内燃機関からの動力がトルク変換されて前記第1駆動軸と前記他の駆動軸に出力されるよう前記分割統合用電動駆動手段と前記第1電動駆動手段と前記第2電動駆動手段とを駆動制御する駆動制御手段とを備えることを要旨とする。 【0008】この本発明の第1の動力出力装置では、駆動制御手段による分割統合用電動駆動手段と第1電動駆動手段と第2電動駆動手段の駆動制御により、内燃機関からの動力をトルク変換して第1駆動軸と少なくとも一つの他の駆動軸に出力することができる。内燃機関の出力軸と第1駆動軸と動力分割統合軸の三つの回転軸に接続された動力分割統合手段は、この三つの回転軸のうちのいずれかの回転軸から動力が入力されたときにはその動力を所定のトルク比で他の二つの回転軸に分割すると共に三つの回転軸のうちのいずれか二つの回転軸から動力が入力されたときには入力された動力を統合して他の回転軸に出力するものであるから、内燃機関からの動力を所定のトルク比で第1駆動軸と動力分割統合軸に分割することができる。したがって、内燃機関からの動力のうちの一部が第1駆動軸に直接出力されるから、内燃機関からの動力をすべて電力に変換してから電動機に供給するものに比して装置のエネルギ効率を向上させることができる。動力分割統合手段による動力の分割の際、内燃機関の出力軸の回転数と第1駆動軸の回転数を独立なものとすることができるから、内燃機関を効率のよい運転ポイントで運転することができる。この結果、装置のエネルギ効率を更に向上させることができる。ここで、「少なくとも一つの他の駆動軸」には、一つの駆動軸の他、二つ以上の複数の駆動軸も含まれる。「第2電動駆動手段」は、他の駆動軸が一つの駆動軸の場合にはこの駆動軸に連結された一つまたは二つ以上の電動機などの電動駆動機器の意であり、他の駆動軸が二つ以上の駆動軸の場合には各々の駆動軸に連結された一つまたは二つ以上の電動機などの複数の電動駆動機器の意である。 【0009】こうした本発明の第1の動力出力装置において、前記駆動制御手段は、前記分割統合用電動駆動手段と前記第1電動駆動手段と前記第2電動駆動手段のうちの一つまたは二つの電動駆動手段により発電された電力が他の電動駆動手段により消費されるよう該三つの電動駆動手段を駆動制御する手段であるものとすることもできる。 【0010】また、本発明の第1の動力出力装置において、前記第1駆動軸および前記他の駆動軸に要求される要求動力に基づいて前記内燃機関を運転制御する内燃機関運転制御手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関を要求動力に応じて運転制御することができる。 【0011】本発明の第2の動力出力装置は、第1駆動軸と他の駆動軸の二つ駆動軸に動力を出力可能な動力出力装置であって、出力軸を有する内燃機関と、前記内燃機関の出力軸と前記第1駆動軸と動力分割統合軸の三つの回転軸に接続され、該三つの回転軸のうちのいずれかの回転軸から動力が入力されたときには該動力を所定のトルク比で他の二つの回転軸に分割すると共に該三つの回転軸のうちのいずれか二つの回転軸から動力が入力されたときには該入力された動力を統合して他の回転軸に出力する動力分割統合手段と、前記動力分割統合軸に連結された発電可能な分割統合用電動駆動手段と、前記第1駆動軸に連結された発電可能な第1電動駆動手段と、前記第1駆動軸とは異なる少なくとも一つの他の駆動軸に連結された発電可能な第2電動駆動手段と、前記分割統合用電動駆動手段と前記第1電動駆動手段と前記第2電動駆動手段の三つの電動駆動手段と各々電力のやり取りが可能な二次電池と、前記内燃機関からの動力と前記二次電池の充放電電力とを用いて前記第1駆動軸と前記他の駆動軸に動力が出力されるよう前記分割統合用電動駆動手段と前記第1電動駆動手段と前記第2電動駆動手段とを駆動制御する駆動制御手段とを備えることを要旨とする。 【0012】この本発明の第2の動力出力装置では、駆動制御手段による分割統合用電動駆動手段と第1電動駆動手段と第2電動駆動手段の駆動制御により、内燃機関からの動力二次電池の充放電電力とを用いて第1駆動軸と他の駆動軸に動力を出力することができる。内燃機関の出力軸と第1駆動軸と動力分割統合軸の三つの回転軸に接続された動力分割統合手段は、この三つの回転軸のうちのいずれかの回転軸から動力が入力されたときにはその動力を所定のトルク比で他の二つの回転軸に分割すると共に三つの回転軸のうちのいずれか二つの回転軸から動力が入力されたときには入力された動力を統合して他の回転軸に出力するものであるから、内燃機関からの動力を所定のトルク比で第1駆動軸と動力分割統合軸に分割することができる。したがって、内燃機関からの動力のうちの一部が第1駆動軸に直接出力されるから、内燃機関からの動力をすべて電力に変換してから電動機に供給するものに比して装置のエネルギ効率を向上させることができる。動力分割統合手段による動力の分割の際、内燃機関の出力軸の回転数と第1駆動軸の回転数を独立なものとすることができるから、内燃機関を効率のよい運転ポイントで運転することができる。この結果、装置のエネルギ効率を更に向上させることができる。さらに、二次電池の充放電電力を用いるから、内燃機関からの動力より大きな動力を第1駆動軸や他の駆動軸に出力したり、内燃機関からの動力より小さな動力を第1駆動軸や他の駆動軸に出力することができる。この結果、第1駆動軸や他の駆動軸に出力可能な動力の範囲を大きくすることができる。ここで、「少なくとも一つの他の駆動軸」と「第2電動駆動手段」の意味は前述の本発明の第1の動力出力装置における意味と同様である。 【0013】こうした本発明の第2の動力出力装置において、前記二次電池の状態を検出する電池状態検出手段と、該検出された二次電池の状態と前記第1駆動軸および前記他の駆動軸に要求される要求動力とに基づいて前記内燃機関を運転制御する内燃機関運転制御手段とを備えるものとすることもできる。こうすれば、二次電池の状態を所望の状態にすることができる。 【0014】本発明の第1または第2の動力出力装置において、前記駆動制御手段は、前記第1駆動軸のトルクと前記他の駆動軸のトルクの比である駆動軸トルク比が目標トルク比となるよう前記三つの電動駆動手段を駆動制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、目標トルク比の動力を第1駆動軸と他の駆動軸とに出力することができる。 【0015】また、本発明の第1または第2の動力出力装置において、前記動力分割統合手段は、前記内燃機関の出力軸と前記動力分割統合軸とを連結すると共に前記第1駆動軸との接続を解除する連結解除手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、必要に応じて第1駆動軸を内燃機関の出力軸および動力分割統合軸と切り離すことができる。 【0016】内燃機関運転制御手段を備える態様の本発明の第1の動力出力装置において、前記要求動力が制動動力のとき、前記駆動制御手段による制御に拘わらず、前記第1電動駆動手段および/または前記第2電動駆動手段を回生制御すると共に該第1電動駆動手段および/または該第2電動駆動手段からの電力が消費されるよう前記分割統合用電動駆動手段を力行制御し、前記内燃機関運転制御手段による制御に拘わらず、該三つの電動駆動手段の駆動制御に伴って入力される動力が前記内燃機関で消費されるよう該内燃機関を運転制御する制動時制御手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、第1駆動軸や他の駆動軸に制動動力を出力することができる。 【0017】また、内燃機関運転制御手段を備える態様の本発明の第2の動力出力装置において、前記要求動力が制動動力で前記二次電池が充電不可の状態のとき、前記駆動制御手段による制御に拘わらず、前記第1電動駆動手段および/または前記第2電動駆動手段を回生制御すると共に該第1電動駆動手段および/または該第2電動駆動手段からの電力が消費されるよう前記分割統合用電動駆動手段を力行制御し、前記内燃機関運転制御手段による制御に拘わらず、該三つの電動駆動手段の駆動制御に伴って入力される動力が前記内燃機関で消費されるよう該内燃機関を運転制御する制動時制御手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、二次電池の充電を行なうことなく第1駆動軸や他の駆動軸に制動動力を出力することができる。 【0018】本発明の第1の自動車は、各種態様を含め本発明の第1または第2の動力出力装置のいずれかを搭載する自動車であって、前記第1駆動軸は、車両前輪に連結された前軸に連結されており、前記他の駆動軸は、車両後輪に連結された後軸に連結されてなることを要旨とする。 【0019】この本発明の第1の自動車では、各種態様を含め本発明の第1または第2の動力出力装置のいずれかを搭載するから、本発明の第1または第2の動力出力装置が奏する効果、即ち内燃機関からの動力のうちの一部が前軸に連結された第1駆動軸に直接出力されることに基づく装置のエネルギ効率の向上を図ることができる効果や内燃機関の出力軸の回転数と第1駆動軸の回転数が独立なことに基づく内燃機関を効率のよい運転ポイントで運転することができる効果,二次電池を備える本発明の第2の動力出力装置を備える態様では二次電池の充放電電力を用いることに基づく前軸に連結された第1駆動軸や後軸に連結された他の駆動軸に出力可能な動力の範囲を大きくすることができる効果を奏することができる。ここで、「他の駆動軸」が一つの駆動軸の場合には、「他の駆動軸に連結された発電可能な第2電動駆動手段」は、後軸に連結された他の駆動軸に連結されておればよいから、他の駆動軸の取り付けられた電動機などの電動駆動機器が含まれる他、後軸に取り付けられた一つまたは二つ以上の電動機などの電動駆動機器、即ち後軸に取り付けられた二つの後輪を直接駆動する二つの電動機などの電動駆動機器も含まれる。第2電動駆動手段が後軸に直接取り付けられている場合には他の駆動軸は後軸に一致するものとなる。「他の駆動軸」が二つ以上の駆動軸の場合には、車両としては前軸の他に二つ以上の後軸を有するものが該当し、この場合の「後輪」は前輪以外のすべての輪を意味する。例えば牽引車両などが該当する。こうした「他の駆動軸」が二つ以上の駆動軸の場合の「他の駆動軸に連結された発電可能な第2電動駆動手段」は、二つ以上の後軸に各々連結された他の駆動軸に連結されておればよいから、二つ以上の駆動軸の取り付けられた二つ以上の電動機などの電動駆動機器が含まれる他、各々の後軸に取り付けられた一つまたは二つ以上の電動機などの電動駆動機器も含まれる。 【0020】本発明の第2の自動車は、各種態様を含め本発明の第1または第2の動力出力装置のいずれかを搭載する自動車であって、前記第1駆動軸は、車両後輪に連結された後軸に連結されており、前記他の駆動軸は、車両後輪以外の車両前輪に連結された前軸を含む車両輪に連結された軸に連結されてなることを要旨とする。 【0021】この本発明の第2の自動車では、各種態様を含め本発明の第1または第2の動力出力装置のいずれかを搭載するから、本発明の第1または第2の動力出力装置が奏する効果、即ち内燃機関からの動力のうちの一部が後軸に連結された第1駆動軸に直接出力されることに基づく装置のエネルギ効率の向上を図ることができる効果や内燃機関の出力軸の回転数と第1駆動軸の回転数が独立なことに基づく内燃機関を効率のよい運転ポイントで運転することができる効果,二次電池を備える本発明の第2の動力出力装置を備える態様では二次電池の充放電電力を用いることに基づく後軸に連結された第1駆動軸や前軸を含む他の軸に連結された他の駆動軸に出力可能な動力の範囲を大きくすることができる効果を奏することができる。ここで、「他の駆動軸」が一つの駆動輪の場合には「車両輪に連結された軸」は「車両前輪に連結された前軸」となり、「他の駆動軸」が二つ以上の場合には「車両前輪に連結された軸」は「車両前輪に連結された前軸」と前軸および後軸以外の他の車両輪に連結された軸が含まれる。例えば、牽引車両における牽引される車両の輪の軸などが該当する。「他の駆動軸」が一つの駆動軸の場合には、「他の駆動軸に連結された発電可能な第2電動駆動手段」は、前軸に連結された他の駆動軸に連結されておればよいから、他の駆動軸の取り付けられた電動機などの電動駆動機器が含まれる他、前軸に取り付けられた一つまたは二つ以上の電動機などの電動駆動機器、即ち前軸に取り付けられた二つの前輪を直接駆動する二つの電動機などの電動駆動機器も含まれる。第2電動駆動手段が前軸に直接取り付けられている場合には他の駆動軸は前軸に一致するものとなる。「他の駆動軸」が二つ以上の駆動軸の場合における「他の駆動軸に連結された発電可能な第2電動駆動手段」も同様である。 【0022】内燃機関運転制御手段を備える態様の動力出力装置を搭載する本発明の第1または第2の自動車において、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、操作者による走行要求を入力する走行要求入力手段と、該入力された走行要求と前記走行状態検出手段に検出された走行状態とに基づいて前記要求動力を設定する要求動力設定手段とを備えるものとすることもできる。こうすれば、操作者の走行要求に応じた動力を前軸および後軸に出力することができる。 【0023】内燃機関運転制御手段を備えると共に駆動制御手段が第1駆動軸と他の駆動軸とのトルク比が目標トルク比となるよう三つの電動駆動手段を駆動制御する態様の動力出力装置を搭載し、要求動力設定手段を備える態様の本発明の第1または第2の自動車において、前記走行状態検出手段により検出された前記車両の走行状態に基づいて前記目標トルク比を設定する目標トルク比設定手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、前軸と後軸へのトルクをより適切なものとすることができる。 【0024】目標トルク比設定手段を備える態様の本発明の第1または第2の自動車において、前記目標トルク比設定手段は、前記走行状態検出手段により車両の発進状態が検出されたとき、前記目標トルク比が1:9〜9:1の範囲で予め設定された発進時トルク比となるよう設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、発進をよりスムースに行なうことができる。 【0025】目標トルク比設定手段を備える態様の本発明の第1または第2の自動車において、前記目標トルク比設定手段は、前記走行状態検出手段により所定の安定走行状態を検出したとき、前記目標トルク比が1:0または0:1となるよう設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、2輪駆動により駆動することができる。 【0026】目標トルク比設定手段を備える態様の本発明の第1または第2の自動車において、前記目標トルク比設定手段は、前記要求動力設定手段により所定の動力以上の要求動力が設定されたとき、前記目標トルク比が1:9〜9:1の範囲で予め設定された大動力時トルク比となるよう設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、大きな動力の出力を前軸と後軸とに分割して出力することができる。 【0027】目標トルク比設定手段を備える態様の本発明の第1または第2の自動車において、前記目標トルク比設定手段は、前記走行状態検出手段により検出された車両の走行状態と前記要求動力設定手段により設定された要求動力とに基づいて前記目標トルク比を前記駆動軸トルク比が1:9〜9:1の範囲で設定される4輪駆動用トルク比と前記駆動軸トルク比が1:0または0:1として設定される2輪駆動用トルク比のいずれかに設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、要求動力に基づいて2輪駆動と4輪駆動とを切り換えることができる。 【0028】2輪駆動と4輪駆動とを切り換える態様の本発明の第1または第2の自動車において、前記目標トルク比設定手段は、前記目標トルク比に前記4輪駆動用トルク比と前記2輪駆動用トルク比のいずれを設定するかを判定する判定マップを用いて該目標トルク比を設定する手段であるものとすることもできる。 【0029】この判定マップを用いて2輪駆動と4輪駆動とを切り換える態様の本発明の第1または第2の自動車において、道路に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、現在の車両の位置および走行方向を検出する位置方向検出手段とを備え、前記目標トルク比設定手段は、前記判定マップを複数有し、前記位置方向検出手段により検出された車両の位置および走行方向と前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて前記複数の判定マップから一つを選択して前記目標トルク比を設定する手段であるものとすることもできる。この態様の本発明の第1または第2の自動車において、前記位置方向検出手段により検出された車両の位置および走行方向と前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて車両が平坦路か山岳路,比較的緩やかなコーナー路,連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路などに分類された走行路のうちのいずれの走行路を走行しているかを判定する走行路判定手段を備え、前記目標トルク比設定手段は、前記2輪駆動用トルク比と前記4輪駆動用トルク比との領域境界が異なる複数の判定マップを前記分類された走行路に関連付けて記憶し、前記走行路判定手段により走行路が判定されたとき、該判定された走行路に関係付けられた判定マップを選択して前記目標トルク比を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、走行路に応じて2輪駆動と4輪駆動とを切り換えることができる。 【0030】判定マップを用いて2輪駆動と4輪駆動とを切り換える態様の本発明の第1または第2の自動車において、道路に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、現在の車両の位置および走行方向を検出する位置方向検出手段とを備え、前記目標トルク比設定手段は、前記位置方向検出手段により検出された車両の位置および走行方向と前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて前記判定マップを補正して前記目標トルク比を設定する手段であるものとすることもできる。この態様の本発明の第1または第2の自動車において、前記位置方向検出手段により検出された車両の位置および走行方向と前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて車両が平坦路か山岳路,比較的緩やかなコーナー路,連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路などに分類された走行路のうちのいずれの走行路を走行しているかを判定する走行路判定手段を備え、前記目標トルク比設定手段は、前記走行路判定手段により走行路が判定されたとき、該判定された走行路に基づいて前記判定マップの前記2輪駆動用トルク比と前記4輪駆動用トルク比の領域境界を補正して前記目標トルク比を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、走行路に応じて2輪駆動と4輪駆動とを切り換えることができる。 【0031】この走行路に基づいて判定マップを補正する態様の本発明の第1または第2の自動車において、前記目標トルク比設定手段は、前記走行路判定手段により走行路として山岳路,連続カーブ路,登坂路,降坂路が判定されたとき、前記判定マップを前記4輪駆動用トルク比の領域が大きくなるよう前記領域境界を補正して前記目標トルク比を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、山岳路,連続カーブ路,登坂路,降坂路での4輪駆動による走行の比率を多くすることができる。 【0032】判定マップを用いて2輪駆動と4輪駆動とを切り換える態様の本発明の第1または第2の自動車において、道路に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、現在の車両の位置および走行方向を検出する位置方向検出手段と、前記位置方向検出手段により検出された車両の位置および走行方向と前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて車両が平坦路か山岳路,比較的緩やかなコーナー路,連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路などに分類された走行路のうちのいずれの走行路を走行しているかを判定する走行路判定手段とを備え、前記目標トルク比設定手段は、前記走行路判定手段により走行路として比較的緩やかなコーナー路,連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路のいずれかが判定されたとき、前記判定マップに拘わらず、判定されたときの目標トルク比を保持する手段であるものとすることもできる。こうすれば、比較的緩やかなコーナー路,連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路を走行している最中における2輪駆動と4輪駆動との切り換えを停止することができる。 【0033】また、判定マップを用いて2輪駆動と4輪駆動とを切り換える態様の本発明の第1または第2の自動車において、道路に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、現在の車両の位置および走行方向を検出する位置方向検出手段と、前記位置方向検出手段により検出された車両の位置および走行方向と前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて車両が平坦路か山岳路,比較的緩やかなコーナー路,連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路などに分類された走行路のうちのいずれの走行路を走行しているかを判定する走行路判定手段とを備え、前記目標トルク比設定手段は、前記走行路判定手段により走行路として山岳路,連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路のいずれかが判定されたとき、前記判定マップに拘わらず、前記4輪駆動用トルク比を前記目標トルク比に設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、山岳路,連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路を4輪駆動により走行することができる。 【0034】二次電池を備える態様の動力出力装置を搭載すると共に目標トルク比設定手段を備える態様の本発明の第1または第2の自動車において、道路に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、現在の車両の位置および走行方向を検出する位置方向検出手段と、前記位置方向検出手段により検出された車両の位置および走行方向と前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて所定時間後および/または所定距離後の所定範囲の車両の走行路が前記二次電池の充電または放電を伴う充放電走行路であるか否かを判定する充放電走行路判定手段と、該充放電走行路が判定されたとき、前記所定範囲の走行に伴う充電または放電が可能なように前記二次電池の状態を前記所定時間および/または前記所定距離の範囲で調整する二次電池状態調整手段とを備えるものとすることもできる。こうすれば、走行に伴う二次電池の充放電をスムースに行なうから、より適切な走行を行なうことができると共にエネルギ効率を向上させることができる。 【0035】二次電池状態調整手段を備えると共に判定マップを用いて2輪駆動と4輪駆動とを切り換える態様の本発明の第1または第2の自動車において、前記二次電池状態調整手段は、前記充放電走行路が前記二次電池の充電を伴う走行路として判定されたとき、前記所定時間および/または前記所定距離の範囲の走行の際に前記4輪駆動用トルク比の領域の割合が多くなるよう前記目標トルク比設定手段により用いられる前記判定マップを補正する手段であるものとすることもできる。こうすれば、4輪駆動の割合を多くして二次電池の放電を促進することができる。また、二次電池状態調整手段を備えると共に判定マップを用いて2輪駆動と4輪駆動とを切り換える態様の本発明の第1または第2の自動車において、前記二次電池状態調整手段は、前記充放電走行路が前記二次電池の放電を伴う走行路として判定されたとき、前記所定時間および/または前記所定距離の範囲の走行の際に前記2輪駆動用トルク比の領域の割合が多くなるよう前記目標トルク設定手段により用いられる前記判定マップを補正する手段であるものとすることもできる。こうすれば、2輪駆動の割合を多くして二次電池の充電を促進することができる。 【0036】内燃機関運転制御手段を備える態様の動力出力装置を搭載する本発明の第1または第2の自動車において、前輪および/または後輪のスリップを検出するスリップ検出手段と、該スリップが検出されたとき、前記駆動制御手段および前記内燃機関運転制御手段による制御に拘わらず、該スリップした輪に連結された軸に連結された電動駆動手段からのトルクを所定トルクだけ小さくして該電動駆動手段を駆動制御すると共に該トルク変更に係る該電動駆動手段のトルク変更に伴う動力変動に相当する動力だけ前記内燃機関からの動力が小さくなるよう前記内燃機関を運転制御するスリップ時制御手段とを備えるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関からの動力をトルク変換して前軸と後軸とに出力しながら、スリップした軸へのトルクを小さくすることができる。 【0037】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車は、図示するように、主にエンジン22と、エンジン22のクランクシャフト24に連結されエンジン22からの動力を定トルク比でサンギヤ軸33とリングギヤ軸37に分割可能なギヤユニット30と、ギヤユニット30のサンギヤ軸33に連結された発電可能なモータMG1と、リングギヤ軸37に連結されると共に前輪54,56の前軸50に連結された発電可能なモータMG2と、後輪64,66の後軸60に連結された発電可能なモータMG3と、モータMG1,MG2,MG3の各々と電力のやり取りが可能な二次電池70と、これら全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット(以下、ハイブリッドECUという)80とを備える。 【0038】エンジン22は、ガソリンで駆動する内燃機関として構成されており、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)28により運転制御される。エンジンECU28によるエンジン22の運転制御は、ハイブリッドECU80から入力されるエンジン出力目標値Pe*に基づいてエンジン22からエンジン出力目標値Pe*を出力可能な運転ポイントのうち最も効率の良い運転ポイントでエンジン22が運転されるよう燃料噴射量の制御や吸入空気量の制御を行なうことによりなされる。 【0039】ギヤユニット30は、サンギヤ32とリングギヤ36とその間に複数設けられたプラネタリピニオンギヤ34とからなるプラネタリギヤ31を中心として構成されている。プラネタリギヤ31のプラネタリピニオンギヤ34を連結するキャリア35にはダンパ26を介してエンジン22のクランクシャフト24が接続されており、サンギヤ32にはサンギヤ軸33を介してモータMG1が接続されている。リングギヤ36は、クラッチC1やクラッチC2の係合状態によりキャリア35やリングギヤ軸37に接続されるようになっている。リングギヤ軸37には、モータMG2の回転軸40に設けられたギヤ42とベルト44により連結されたギヤ38が取り付けられている。モータMG2の回転軸40はギヤ46とディファレンシャルギヤ52とを介して前軸50に接続されているから、リングギヤ軸37は前輪54,56の前軸50に連結されていることになる。 【0040】モータMG1,MG2,MG3は、いずれも永久磁石が外周面に貼り付けられたロータと三相コイルが巻き付けられたステータとを備えるPM型の同期発電電動機として構成されており、二次電池70の端子に接続された電力ラインL1,L2を正極母線および負極母線とするインバータ回路72,74,76が各々備える6つのスイッチング素子のスイッチングにより生成される擬似的な三相電流が三相コイルに印加されることにより駆動する。なお、インバータ回路72,74,76の各スイッチング素子のスイッチング制御、即ちモータMG1,MG2,MG3の駆動制御はモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)78により行なわれる。モータECU78によるモータMG1,MG2,MG3の駆動制御は、ハイブリッドECU80から入力されるモータMG1,MG2,MG3のトルク指令Tm1*,Tm2*,Tm3*に基づいてモータMG1,MG2,MG3からトルク指令Tm1*,Tm2*,Tm3*に相当するトルクが出力されるようインバータ回路72,74,76のスイッチング素子をスイッチング制御することにより行なわれる。 【0041】二次電池70は、例えばニッケル水素電池やリチウムイオン電池などのように充放電可能な単電池を複数直列に接続してなる組電池として構成されており、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)71により管理されている。バッテリECU71による二次電池70の管理としては、二次電池70の出力端子に接続された図示しない電流センサや電圧センサにより検出される充放電電流や端子間電圧に基づいて行なわれる残容量SOCの演算や、同じく電流センサや電圧センサにより検出される充放電電流や端子間電圧に基づいて行なわれる単電池の均等化、二次電池70に取り付けられた図示しない温度センサにより検出される電池温度に基づいて行なわれる冷却管理などが含まれる。 【0042】ハイブリッドECU80は、図示しないがCPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートなどを備える。ハイブリッドECU80の通信ポートは、エンジンECU28やバッテリECU71,モータECU78の通信ポートと接続されており、エンジンECU28やバッテリECU71,モータECU78と種々のデータのやり取りが可能となっている。また、ハイブリッドECU80には、車速センサ81からの車速Vやイグニッションスイッチ82からのイグニッション信号,シフトレバー83のポジションを検出するシフトポジションセンサ84からのシフトポジションSP,アクセルペダル85のポジション(踏み込み量)を検出するアクセルペダルポジションセンサ86からのアクセルペダルポジションAP,ブレーキペダル87のポジション(踏み込み量)を検出するブレーキペダルポジションセンサ88からのブレーキペダルポジションBP,前輪54,56や後輪64,66の各々に取り付けられた車輪速センサ55,57,65,67からの各車輪の車輪速Vw1〜Vw4などが入力ポートを介して入力されている。さらに、ハイブリッドECU80からは、クラッチC1,C2への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。この他、ハイブリッドECU80は、車両の位置情報を検出するためのGPSアンテナ92と地図情報を記憶するDVD装置94とを備えるナビゲーションシステム90と通信可能に接続されている。 【0043】次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作について説明する。図2は、実施例のハイブリッド自動車20のハイブリッドECU80により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば100msec毎)に繰り返し実行される。 【0044】駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッドECU80の図示しないCPUは、まず、車速センサ81により検出される車速Vやアクセルペダルポジションセンサ86により検出されるアクセルペダルポジションAP,ブレーキペダルポジションセンサ88により検出されるブレーキペダルポジションBP,バッテリECU71により演算されるバッテリSOCなどを入力ポートや通信ポートを介して読み込む処理を実行する(ステップS100)。ここで、車速Vについては車速センサ81により検出されるものを用いたが、車輪速センサ55,57,65,67により検出される車輪速Vw1〜Vw4から算出するものとしてもよい。 【0045】次に、読み込んだアクセルペダルポジションAPやブレーキペダルポジションBP,車速Vに基づいて車両の駆動軸に要求されるトルクとしての駆動軸要求トルクTd*と車両の駆動軸に要求される動力としての駆動軸要求パワーPd*を計算する(ステップS102)。実施例では、アクセルペダルポジションAPとブレーキペダルポジションBPと車速Vと駆動軸要求トルクTd*との関係を予め定めてマップとしてハイブリッドECU80の図示しないROMに記憶しておき、アクセルペダルポジションAPやブレーキペダルポジションBP,車速Vの入力に対してマップから対応する駆動軸要求トルクTd*を導出し、この導出された駆動軸要求トルクTd*に車速Vから比例的に得られる前軸50の回転数N1(N1=r・V)を乗じて駆動軸要求パワーPd*を算出するものとした。アクセルペダルポジションAPとブレーキペダルポジションBPと車速Vと要求トルクT*との関係の一例を示すマップを図3に示す。なお、実施例では、アクセルペダル85が踏み込まれたときに駆動軸要求パワーPd*が正の値となり、ブレーキペダル87が踏み込まれたときに駆動軸要求パワーPd*が負の値となるよう正負を定めた。 【0046】こうして駆動軸要求トルクTd*と駆動軸要求パワーPd*とが求められると、求めた駆動軸要求パワーPd*と車速VとバッテリSOCとに基づいて運転モードを設定する(ステップS104)。運転モードの設定は、基本的には、図4に例示する運転モード設定ルーチンにより行なわれる。簡単に説明すると、駆動軸要求パワーPd*が負の値のときに制動駆動モードを設定し(ステップS120,S122)、駆動軸要求パワーPd*が正の値で車速Vが比較的遅い速度Vs以下のときに電動機駆動モードを設定し(ステップS124,S126)、車速Vが速度Vsより大きくバッテリSOCが閾値Sh以上のときには放電駆動モードに設定し(ステップS128,S130)、バッテリSOCが閾値Sl未満のときには充電駆動モードを設定し(ステップS132,S134)、それ以外のときには通常駆動モードを設定する(ステップS136)。ここで、閾値Shは二次電池70の通常運転時における残容量(SOC)の上限値として設定されるものであり、例えば70%や80%などの値が用いられる。また、閾値Slは、二次電池70の通常運転時における残容量(SOC)の下限値として設定されるものであり、例えば40%や30%などの値が用いられる。なお、この運転モードの設定は、実施例における基本的な設定の一例であり、運転条件により例外的に変更される場合がある。例えば、バッテリSOCは閾値Sl未満であるが、駆動軸要求パワーPd*が大きくてエンジン22の最大出力やその近傍に相当するときには、充電駆動モードを設定せずに通常駆動モードを設定する場合や、バッテリSOCが10%未満のときのようにモータMG2やモータMG3に十分な電力の供給が行なうことができないときには、車速Vが速度Vs以下でも電動機駆動モードを設定せずに通常駆動モードや充電駆動モードを設定する場合などである。また、こうした運転モードの設定の手法については実施例の設定に限定されるものではない。 【0047】こうして運転モードが設定されると、設定された運転モードに応じた処理(ステップS106〜S116)、即ち通常運転モードのときには通常駆動制御(ステップS108)、電動機駆動モードのときには電動機駆動制御(ステップS110)、充電駆動モードのときには充電駆動制御(ステップS112)、放電駆動モードのときには放電駆動制御(ステップS114)、制動駆動モードのときには制動駆動制御(ステップS116)を行なって本ルーチンを終了する。以下に各駆動制御について説明する。 【0048】通常駆動制御は、図5に例示する通常駆動制御ルーチンに基づいて行なわれる。このルーチンが実行されると、ハイブリッドECU80のCPUは、まず、クラッチC1を非係合とすると共にクラッチC2を係合する処理を実行する(ステップS140)。このクラッチ状態は、プラネタリギヤ31を通常に動作させると共にリングギヤ36の出力をリングギヤ軸37を介して前輪54,56へ出力可能な状態とする。続いて、駆動軸要求パワーPd*にエンジン22の出力に対するトルク変換の効率ηeの逆数ηtを乗じてエンジン出力目標値Pe*を設定する(ステップS142)。実施例では、エンジン出力目標値Pe*が設定されると、エンジン22からエンジン出力目標値Pe*を出力可能な運転ポイント(トルクと回転数とにより定まるポイント)のうち最もエンジン効率の高い運転ポイントが選択され、その運転ポイントにおけるトルクがエンジン目標トルクTe*として設定されると共にその運転ポイントにおける回転数がエンジン目標回転数Ne*として設定される。 【0049】次に、駆動軸要求トルクTd*と車速Vとに基づいて駆動パターンDPを設定する(ステップS144)。駆動パターンDPとしては、前軸50にのみ動力を出力して後軸60に動力を出力しない2輪駆動パターンと前軸50と後軸60とに動力を出力する4輪駆動パターンとがあり、実施例では、図6に例示する駆動軸要求トルクTd*と車速Vとにより駆動パターンDPを設定する駆動パターン判定マップによりいずれかを選択して設定するものとした。 【0050】駆動パターンDPとして4輪駆動パターンが設定されたときには(ステップS146)、駆動軸要求トルクTd*と車速Vとに基づいて前軸50の前輪トルクT1と後軸60の後輪トルクT2の比としての前後輪トルク比DT(T2/T1)を設定する(ステップS148)。実施例では、前後輪トルク比DTの設定は、例えば図7に例示するように車速Vが大きくなるに従って前後輪トルク比DTを小さくする傾向と図8に例示するように駆動軸要求トルクTd*が大きくなるに従って前後輪トルク比DTが大きくなる傾向として車速Vと駆動軸要求トルクTd*と前後輪トルク比DTとの関係を予め3元マップとしてハイブリッドECU80のROMに記憶しておき、駆動軸要求トルクTd*と車速Vとが与えられるとマップから対応する前後輪トルク比DTを導出して設定するものとした。なお、実施例では、駆動軸要求トルクTd*や車速Vにより前後輪トルク比DTを変更するものとしたが、前後輪トルク比DTを値1、即ち前輪トルクT1:後輪トルクT2=1:1として固定してもかまわない。 【0051】次に、プラネタリギヤ31のギヤ比ρ(サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)とエンジン目標回転数Ne*と車速Vとに基づいてモータMG1の目標回転数Nm1*を設定する(ステップS150)。ステップS142のエンジン出力目標値Pe*の設定のときに説明したように、エンジン出力目標値Pe*を設定すると、エンジン22からエンジン出力目標値Pe*が効率よく出力されるエンジン22の運転ポイントとしてエンジン目標トルクTe*とエンジン目標回転数Ne*とが設定される。一方、前軸50の回転数N1は前述したように車速Vを用いてN1=r・Vとして求めることができ、この回転数N1からリングギヤ36の回転数Nrは一義的に定まる。回転数比G1を前軸50の回転数N1に対するモータMG2の回転軸40の回転数Nm2(G1=Nm2/N1)とすると共に回転数比G2をモータMG2の回転軸40の回転数Nm2に対するリングギヤ軸37の回転数Nr(G2=Nr/Nm2)とすれば、リングギヤ36の回転数NrはNr=r・V・G1・G2として求めることができる。プラネタリギヤ31は、そのギヤ比ρによりサンギヤ32の回転数Nsとキャリア35の回転数Ncとリングギヤ36の回転数Nrとが比例的に計算できる。キャリア35にはエンジン22のクランクシャフト24が接続されているから、キャリア35の回転数Ncはエンジン目標回転数Ne*となり、リングギヤ36には前軸50が接続されているから、リングギヤ36の回転数Nrはr・V・G1・G2となり、サンギヤ32の回転数Nsはこの二つの回転数Nc,Nrから次式(1)により定まる。実施例では、この式(1)の回転数Nrにr・V・G1・G2を入力すると共に回転数Ncにエンジン目標回転数Ne*を入力して計算される回転数NsをモータMG1の目標回転数Nm1*として設定するのである(式(2)参照)。機構学で用いられる共線図を用いて回転数Nsと回転数Ncと回転数Nrとの関係を示したもの図9に示す。なお、図にはトルクTcがキャリア35に入力されたときに、トルクTcがサンギヤ32とリングギヤ36に分配される様子(トルクTcsとトルクTcr)も示した。 【0052】 【数1】
【0053】モータMG1の目標回転数Nm1*を設定すると、続いて、プラネタリギヤ31のギヤ比ρとエンジン目標トルクTe*と前後輪トルク比DTとに基づいてモータトルク指令値Tm1*,Tm2*,Tm3*を設定する(ステップS152)。モータMG1のトルク指令値Tm1*は、エンジン目標トルクTe*がキャリア35に入力されたときにサンギヤ32に分配されるトルクTcsに釣り合うように設定すればよいから、図9の共線図におけるトルクTcにエンジン目標トルクTe*を入力した際のトルクTcsの正負を入れ換えたものとして次式(3)により計算される。回転数比G1=Nm2/N1,G2=Nr/Nm2は各々の回転軸のトルク比G1=T1/Tm,G2=Tm/Tr(Tmは回転軸40のトルク)として用いることができるから、エンジン22からの動力のうちリングギヤ軸37に直接出力されるトルクTcrを考慮しながら駆動軸要求トルクTd*が前後輪トルク比DTで前軸50と後軸60とに出力されるようモータMG2のトルク指令値Tm2*を式(4)により求めることができる。また、後軸60の回転数N2に対するモータMG3の回転数Nm3の回転数比G3(G3=Nm3/N2=T2/Tm3)を用いれば、前後輪トルク比DTを用いて配分される後軸60のトルクT2を回転数比G3で割ったものとして式(5)によりモータMG3のトルク指令値Tm3*を計算することができる。 【0054】 【数2】
【0055】こうして求めたエンジン出力目標値Pe*やモータMG1,MG2,MG3のトルク指令値Tm1*,Tm2*,Tm3*およびモータMG1の目標回転数Nm1*をエンジンECU28やモータECU78に通信により出力して(ステップS159)、本ルーチンを終了する。モータMG1,MG2,MG3のトルク指令値Tm1*,Tm2*,Tm3*およびモータMG1の目標回転数Nm1*を受け取ったモータECU78は、モータMG1が目標回転数Nm1*で駆動するようにトルク指令値Tm1*を用いながらモータMG1を回転数制御すると共にモータMG2およびモータMG3からトルク指令値Tm2*およびトルク指令値Tm3*に相当するトルクが各々出力されるようにモータMG2およびモータMG3を駆動制御する。また、エンジン出力目標値Pe*を受け取ったエンジンECU28は、エンジン22がエンジン出力目標値Pe*に設定された運転ポイント、即ちエンジン目標トルクTe*とエンジン目標回転数Ne*とにより設定される運転ポイントで運転されるようエンジン22の運転制御を行なう。 【0056】一方、ステップS144で駆動パターンDPに2輪駆動パターンが設定されたときには、ステップS150の処理と同様の処理によりモータMG1の目標回転数Nm1*を設定し(ステップS154)、プラネタリギヤ31のギヤ比ρに基づいてモータトルク指令値Tm1*,Tm2*を設定する(ステップS156)。モータMG1のトルク指令値Tm1*については4輪駆動パターンのときと同様に式(3)により計算して設定される。モータMG2のトルク指令値Tm2*は、2輪駆動の前後輪トルク比DTの値0を式(4)に代入して得られる式(6)により計算されて設定される。 【0057】 【数3】
【0058】そして、モータMG3のトルク指令値Tm3*に値0を設定し(ステップS158)、設定したエンジン出力目標値Pe*やモータMG1,MG2,MG3のトルク指令値Tm1*,Tm2*,Tm3*およびモータMG1の目標回転数Nm1*をエンジンECU28やモータECU78に通信により出力して(ステップS159)、本ルーチンを終了する。 【0059】こうした通常駆動制御では、駆動軸要求パワーPd*にトルク変換の効率ηeの逆数ηtを乗じて得られるエンジン出力目標値Pe*がエンジン22から出力されるようエンジン22を運転制御すると共に、4輪駆動パターンのときには駆動軸要求パワーPd*が前後輪トルク比DTによりトルク配分された動力として前軸50と後軸60とに出力され、2輪駆動パターンのときには駆動軸要求パワーPd*が前軸50に出力されるようモータMG1,MG2,MG3を駆動制御することにより、エンジン22から出力される動力を二次電池70の充放電を伴うことなくトルク変換して前軸50や後軸60に出力することができる。なお、実際上、経年使用による効率ηeの変更や外乱などにより二次電池70の若干の充放電を伴うこともあるが、基本的には二次電池70の充放電は行なわれない。しかも、駆動軸要求トルクTd*や車速Vにより4輪駆動パターンと2輪駆動パターンとを切り換えて出力するから、走行状態に応じた動力をより適切に出力することができる。更に、4輪駆動パターンのときには、駆動軸要求トルクTd*と車速Vとに基づいて前後輪トルク比DTを設定するから、より適切なトルク配分による動力の出力を行なうことができる。 【0060】電動機駆動モードが設定された際の電動機駆動制御は、実施例では図10に例示する電動機駆動制御ルーチンに基づいて行なわれる。このルーチンが実行されると、ハイブリッドECU80のCPUは、まず、クラッチC1を係合とすると共にクラッチC2を非係合とする処理を実行する(ステップS160)。このクラッチの設定により、プラネタリピニオンギヤ34とリングギヤ36とが接続された状態、即ちエンジン22のクランクシャフト24がモータMG1に直接接続された状態となり、リングギヤ軸37はプラネタリギヤ31から切り離された状態、即ち前軸50にギヤ接続されたモータMG2の回転軸40とプラネタリギヤ31との接続が解除された状態となる。続いてエンジン出力目標値Pe*に値0を設定し(ステップS162)、駆動軸要求トルクTd*と車速Vとに基づいて駆動パターンDPを設定する(ステップS164)。駆動パターンDPの設定は、図6に例示する駆動軸要求トルクTd*と車速Vと駆動パターンDPとの関係を示す駆動パターン判定マップと同様な判定マップを用いて行なわれる。なお、図6の駆動パターン判定マップを用いて駆動パターンDPを設定する場合、図4の運転モード設定ルーチンを用いて説明したように、電動機駆動モードは車速Vが比較的遅い速度Vs以下のときに設定されるから、ほとんどの状態で4輪駆動パターンが設定されることになる。 【0061】駆動パターンDPで4輪駆動パターンが設定されたときには(ステップS166)、図5の通常駆動制御ルーチンのステップS148の処理と同様な処理、即ち図7の車速Vの変化に対する前後輪トルク比DTの変化の傾向や図8の駆動軸要求トルクTd*の変化に対する前後輪トルク比DTの変化の傾向を用いて前後輪トルク比DTを設定する(ステップS168)。なお、車速Vが比較的遅い速度Vs以下であることを考慮して前後輪トルク比DTを値1に固定するものとしてもよい。そして、駆動軸要求トルクTd*と前後輪トルク比DTとに基づいてモータMG2のトルク指令値Tm2*とモータMG3のトルク指令値Tm3*とを設定すると共にモータMG1のトルク指令値Tm1*に値0を設定する(ステップS170)。モータMG2のトルク指令値Tm2*は、リングギヤ軸37がプラネタリギヤ31から切り離されることに基づいて式(4)からプラネタリギヤ31に関する項を取り除いた次式(7)により計算され、モータMG3のトルク指令値Tm3*はプラネタリギヤ31には無関係だから、上述の次式(5)により計算される。 【0062】 【数4】
【0063】そして、設定したエンジン出力目標値Pe*やモータトルク指令値Tm1*,Tm2*,Tm3*をエンジンECU28やモータECU78に通信により出力して(ステップS176)、本ルーチンを終了する。値0のエンジン出力目標値Pe*を受け取ったエンジンECU28によるエンジン22の運転制御としては、エンジン22をアイドリング運転するものとしてもよいし、エンジン22の運転を停止するものとしてもよい。値0のトルク指令値Tm1*を受け取ったモータECU78によるモータMG1の制御は、モータMG1からトルクを出力しなければよいから何ら制御しないものとしてもよい。もとより、モータMG2,MG3のトルク指令値Tm2*,Tm3*を受け取ったモータECU78によるモータMG2,MG3の駆動制御は、モータMG2から設定したトルク指令値Tm2*に相当するトルクが出力されると共にモータMG3から設定したトルク指令値Tm3*に相当するトルクが出力されるように行なわれる。なお、モータMG2やモータMG3の駆動に必要な電力は、二次電池70の放電により賄われる。 【0064】ステップS164の処理で駆動パターンDPに2輪駆動パターンが設定されたときには、前軸50に駆動軸要求トルクTd*が出力されるようモータMG2のトルク指令値Tm2*を設定すると共に(ステップS172)、モータMG1のトルク指令値Tm1*とモータMG3のトルク指令値Tm3*に値0を設定する(ステップS174)。ここで、モータMG2のトルク指令値Tm2*は、式(6)からプラネタリギヤ31に関する項を取り除いたTm2*=Td*/G1により計算される。 【0065】そして、設定したエンジン出力目標値Pe*やモータトルク指令値Tm1*,Tm2*,Tm3*をエンジンECU28やモータECU78に通信により出力して(ステップS176)、本ルーチンを終了する。 【0066】こうした電動機駆動制御では、二次電池70からの放電電力を用いて駆動軸要求トルクTd*が前軸50または後軸60に出力される。このとき、クラッチC2が非係合とされるから、ハイブリッド自動車20は、二次電池70からの電力を用いてモータ駆動する4輪駆動可能な電気自動車と同様な構成となる。実施例では、クラッチC2を非係合としたが、クラッチC2を係合の状態のまま電動機駆動制御を行なうものとしてもよい。この場合、エンジン22の運転を停止するときには、キャリア35の回転数Ncが値0の状態でサンギヤ軸33を連れ回して駆動することになり、エンジン22をアイドリング運転する場合には、キャリア35の回転数Ncをアイドル回転数とした状態でサンギヤ軸33を連れ回して駆動することになる。実施例では、駆動軸要求トルクTd*と車速Vとにより駆動パターンDPを設定するものとしたが、電動機駆動モードは車速Vが比較的遅い速度Vs以下のときに設定されるから、駆動パターンDPを4輪駆動パターンに固定するものとしてもよい。実施例では、エンジン出力目標値Pe*とモータMG1のトルク指令値Tm1*に値0を設定したが、エンジン出力目標値Pe*に所定値あるいは駆動軸要求パワーPd*に相当する値を設定すると共にモータMG1のトルク指令値Tm1*にエンジン出力目標値Pe*の運転ポイントとしてのエンジン目標トルクTe*を設定するものとしてもよい。この場合、エンジン22から動力はモータMG1によって電力に変換され、モータMG2やモータMG3への電力供給に用いられたり、二次電池70の充電電力として用いられる。 【0067】充電駆動モードが設定された際の充電駆動制御は、実施例では図11に例示する充電駆動制御ルーチンに基づいて行なわれる。このルーチンが実行されると、ハイブリッドECU80のCPUは、まず、クラッチC1を非係合とすると共にクラッチC2を係合する処理を実行する(ステップS180)。このクラッチ状態は、プラネタリギヤ31を通常に動作させると共にリングギヤ36の出力をリングギヤ軸37を介して前輪54,56へ出力可能な状態とする。続いて、二次電池70を充電する充電電力Pbiを設定する(ステップS181)。ここで、充電電力Pbiは二次電池70の容量や性能によって定められるものである。そして、駆動軸要求パワーPd*と充電電力Pbiとの和にエンジン22の出力に対するトルク変換の効率ηeの逆数ηtを乗じてエンジン出力目標値Pe*を設定する(ステップS182)。エンジン出力目標値Pe*を設定したら、図5の通常駆動制御ルーチンのステップS144〜S159の処理と同一の処理のステップS184〜S199の処理を実行して本ルーチンを終了する。 【0068】図5の通常駆動制御ルーチンのステップS144〜S159では、駆動軸要求トルクTd*に相当するトルクが4輪駆動パターンのときには前後輪トルク比DTを設定して前軸50と後軸60に、2輪駆動パターンのときには前軸50に出力されるよう制御するから、図11の充電駆動制御ルーチンのステップS184〜ステップS199の処理でも同様に駆動軸要求トルクTd*に相当するトルクが4輪駆動パターンのときには前後輪トルク比DTを設定して前軸50と後軸60に、2輪駆動パターンのときには前軸50に出力される。駆動軸要求パワーPd*は、駆動軸要求トルクTd*に車速Vから比例的に得られる前軸50の回転数N1(N1=r・V)を乗じて計算されるから、駆動軸要求パワーPd*と充電電力Pbiとの和に効率ηeの逆数ηtを乗じて得られるエンジン出力目標値Pe*をエンジン22から出力すれば出力過剰となり、この過剰分により二次電池70が充電される。 【0069】こうした充電駆動制御では、駆動軸要求パワーPd*より大きなパワーにトルク変換の効率ηeの逆数ηtを乗じて得られるエンジン出力目標値Pe*がエンジン22から出力されるようエンジン22を運転制御すると共に、4輪駆動パターンのときには駆動軸要求パワーPd*が前後輪トルク比DTをもって前軸50と後軸60に出力され、2輪駆動パターンのときには駆動軸要求パワーPd*が前軸50に出力されるようモータMG1,MG2,MG3を駆動制御することにより、エンジン22から出力される動力により二次電池70の充電しながら駆動軸要求パワーPd*に相当する動力を前軸50または後軸60に出力することができる。前述したように、経年使用による効率ηeの変更や外乱などにより二次電池70の充電電力Pbiは設定したものとならない場合も生じるが、基本的には二次電池70を充電電力Pbiまたはその近傍の電力により充電することができる。しかも、駆動軸要求トルクTd*や車速Vにより4輪駆動パターンと2輪駆動パターンとを切り換えて出力するから、より適切に動力を出力することができる。更に、4輪駆動パターンのときには、駆動軸要求トルクTd*と車速Vとに基づいて前後輪トルク比DTを設定するから、より適切なトルク配分による動力の出力を行なうことができる。 【0070】実施例の充電駆動制御では、二次電池70を充電する充電電力Pbiを設定すると共に駆動軸要求パワーPd*に充電電力Pbiを加えてエンジン出力目標値Pe*を設定することにより、エンジン22からの動力の一部を用いて二次電池70を充電するものとしたが、駆動軸要求パワーPd*にトルク変換の効率ηeの逆数ηtを乗じて得られるエンジン出力目標値Pe*に値1より大きな係数を乗じたり、エンジン出力目標値Pe*に所定値を加えたりしてエンジン出力目標値Pe*を補正することにより、エンジン22からの動力の一部を用いて二次電池70を充電するものとしてもよい。係数を乗じる場合には二次電池70の充電電力は変動することになり、所定値を加える場合には二次電池70の充電電力はほぼ一定となる。また、駆動軸要求パワーPd*と充電電力Pbiとの和に効率ηeの逆数ηtを乗じて得られるエンジン出力目標値Pe*がエンジン22から出力不能なほど大きなパワーのときには、エンジン出力目標値Pe*をエンジン22からの最大出力に制限するものとしてもよい。 【0071】放電駆動モードが設定された際の充電駆動制御は、実施例では図12に例示する放電駆動制御ルーチンに基づいて行なわれる。このルーチンが実行されると、ハイブリッドECU80のCPUは、まず、クラッチC1を非係合とすると共にクラッチC2を係合する処理を実行し(ステップS200)、二次電池70からの放電電力Pboを設定する(ステップS201)。ここで、放電電力Pboは二次電池70の容量や性能によって定められるものである。続いて、駆動軸要求パワーPd*から放電電力Pboを減じたものにエンジン22の出力に対するトルク変換の効率ηeの逆数ηtを乗じてエンジン出力目標値Pe*を設定する(ステップS202)。エンジン出力目標値Pe*を設定すると、図5の通常駆動制御ルーチンのステップS144〜S159の処理と同一の処理のステップS204〜S219の処理を実行して本ルーチンを終了する。 【0072】図11の充電駆動制御ルーチンを用いて説明したのと同様の理由により、駆動軸要求パワーPd*から放電電力Pboを減じたものに効率ηeの逆数ηtを乗じて得られるエンジン出力目標値Pe*をエンジン22から出力すれば出力不足となり、この出力不足分が二次電池70からの放電電力により賄われる。 【0073】こうした放電駆動制御では、駆動軸要求パワーPd*より小さなパワーにトルク変換の効率ηeの逆数ηtを乗じて得られるエンジン出力目標値Pe*がエンジン22から出力されるようエンジン22を運転制御すると共に、4輪駆動パターンのときには駆動軸要求パワーPd*が前後輪トルク比DTをもって前軸50と後軸60とに出力され、2輪駆動パターンのときには駆動軸要求パワーPd*が前軸50に出力されるようモータMG1,MG2,MG3を駆動制御することにより、エンジン22から出力される動力と二次電池70からの放電電力を用いて駆動軸要求パワーPd*に相当する動力を前軸50または後軸60に出力することができる。経年使用による効率ηeの変更や外乱などにより、充電駆動制御と同様に、二次電池70の放電電力Pboは設定したものとならない場合も生じるが、基本的には二次電池70から放電電力Pboまたはその近傍の電力が放電される。しかも、駆動軸要求トルクTd*や車速Vにより4輪駆動パターンと2輪駆動パターンとを切り換えて出力するから、より適切に動力を出力することができる。更に、4輪駆動パターンのときには、駆動軸要求トルクTd*と車速Vとに基づいて前後輪トルク比DTを設定するから、より適切なトルク配分による動力の出力を行なうことができる。 【0074】制動駆動モードが設定された際の制動駆動制御は、実施例では図13に例示する制動駆動制御ルーチンに基づいて行なわれる。このルーチンが実行されると、ハイブリッドECU80のCPUは、まず、バッテリSOCを読み込み(ステップS220)、バッテリSOCが100%であるか否かを判定する(ステップS222)。 【0075】バッテリSOCが100%のときには、クラッチC1を非係合とすると共にクラッチC2を係合とし(ステップS224)、エンジン出力目標値Pe*に値0を設定する(ステップS226)。そして、前後輪トルク比DTに制動用トルク比DTsを設定する(ステップS228)。ここで、制動用トルク比DTsは、制動時に最適なトルク配分として設定されるものであり、車両の形状や重量などにより定められる。なお、実施例では、制動用トルク比DTsを制動時に最適なトルク配分として設定するものとしたが、如何なる値に設定してもよい。 【0076】続いて、設定した前後輪トルク比DTと駆動軸要求トルクTd*とに基づいてモータMG2,MG3のトルク指令値Tm2*,Tm3*を設定する(ステップS230)。モータMG3のトルク指令値Tm3*については、前述した式(5)により計算できる。モータMG2のトルク指令値Tm2*は、エンジン22によるエンジンブレーキとモータMG1によるクランクシャフト24の回転との作用によりプラネタリギヤ31のキャリア35に入力されるトルクTcが定まれらなければ正確に計算することができない。実施例では、前後輪トルク比DTを制動用トルク比DTsとした際の車速Vと駆動軸要求トルクTd*とキャリア35に入力されるトルクTcとの関係を予め求めてハイブリッドECU80のROMにマップとして記憶しておき、車速Vと駆動軸要求トルクTd*とが与えられると記憶したマップから対応するトルクTcを導出するものとし、この導出したキャリア35のトルクTcを用いてトルク指令値Tm2*を式(8)により算出するものとした。 【0077】 【数5】
【0078】次に、モータMG2とモータMG3とにより回生される電力Pgを計算する(ステップS232)。モータMG2により回生される電力P2は、モータMG2のトルク指令値Tm2*とモータMG2の回転軸40の回転数Nm2との積に発電効率η2を乗じたものとして式(9)により計算することができる。また、モータMG3により回生される電力P3は、モータMG3のトルク指令値Tm3*とモータMG3の回転数Nm3の積に発電効率η3を乗じたものとして式(10)により計算することができる。なお、式(10)では、前軸50の回転数N1と車速Vとの関係(N1=r・V)をそのまま後軸60の回転数N2と車速Vのと関係(N2=r・V)として用いた。したがって、電力Pgは、式(11)に示すように、電力P2と電力P3との和として計算することができる。 【0079】 【数6】
【0080】そして、発電電力Pgに基づいてモータMG1のトルク指令値Tm1*を設定する(ステップS234)。このとき、モータMG1により消費される電力が発電電力Pgとなるようにトルク指令値Tm1*を設定する。したがって、発電電力PgにモータMG1の効率η1を乗じたものがトルク指令値Tm1*とサンギヤ32の回転数Nsとの積に等しくなればよいから、トルク指令値Tm1*は、次式(12)により計算される。 【0081】 【数7】
【0082】こうして設定されたエンジン出力目標値Pe*やモータトルク指令値Tm1*,Tm2*,Tm3*をエンジンECU28やモータECU78に通信により出力して(ステップS246)、本ルーチンを終了する。値0のエンジン出力目標値Pe*を受け取ったエンジンECU28は燃料噴射量をカットしてエンジン22からの出力制限を行なうが、エンジン22はリングギヤ軸37の回転数Nrとサンギヤ軸33の回転数Nsとにより定まるキャリア35の回転数Ncで回転し、いわゆるエンジンブレーキを作用している状態となる。こうしたステップS224〜S234までの処理により設定されたエンジン出力目標値Pe*に基づいてエンジン22を運転制御すると共にモータトルク指令値Tm1*,Tm2*,Tm3*に基づいてモータMG1,MG2,MG3を駆動制御することにより、二次電池70の充放電を伴うことなくモータMG2,MG3により発電された電力をモータMG1で消費しながら駆動軸要求トルクTd*に相当する制動力を出力することができる。なお、こうした処理は、車両が長い降り坂を走行している最中に二次電池70が満充電された後にも適用することができる。 【0083】一方、ステップS222の処理でバッテリSOCが100%未満であると判定されたときには、クラッチC1とクラッチC2とを共に非係合として(ステップS236)、リングギヤ36とリングギヤ軸37との接続、即ちプラネタリギヤ31と前軸50との接続を解除し、エンジン出力目標値Pe*に値0を設定する(ステップS238)。続いて、前後輪トルク比DTに制動用トルク比DTsを設定し(ステップS240)、設定した前後輪トルク比DTと駆動軸要求トルクTd*とに基づいてモータMG2,MG3のトルク指令値Tm2*,Tm3*を設定する(ステップS242)。モータMG2のトルク指令値Tm2*は、リングギヤ軸37がプラネタリギヤ31から切り離されているから、上述の式(7)により計算することができる。モータMG3のトルク指令値Tm3*は、他の処理と同様に式(5)により計算することができる。 【0084】そして、モータMG1のトルク指令値Tm1*に値0を設定し(ステップS244)、設定したエンジン出力目標値Pe*やモータトルク指令値Tm1*,Tm2*,Tm3*をエンジンECU28やモータECU78に通信により出力して(ステップS246)、本ルーチンを終了する。こうした処理では、モータMG2とモータMG3により回生された電力は二次電池70に蓄えられるが、リングギヤ軸37をプラネタリギヤ31から切り離すことにより、エンジン22を連れ回したり、モータMG1のロータ(サンギヤ軸33)を連れ回すことがないから、より多くの電力を回生することができると共にその電力を二次電池70に蓄えることができる。 【0085】こうした制動駆動制御では、二次電池70の残容量としてのバッテリSOCに基づいて制動を行なうことができる。即ちバッテリSOCが100%のときには、モータMG2やモータMG3の回生制御により生じる電力をモータMG1で丁度消費するようにモータMG1,MG2,MG3を駆動制御することにより、二次電池70の充放電を伴うことなく制動力を出力することができる。また、バッテリSOCが100%未満のときには、リングギヤ軸37をプラネタリギヤ31から切り離してモータMG2とモータMG3の回生制御により得られる電力を大きくし、それを二次電池70に充電することができる。実施例では、バッテリSOCが100%未満のときに二次電池70の充電を伴う処理(ステップS236〜S244)を実行するものとしたが、バッテリSOCが100%より小さな値未満のときに二次電池70の充電を伴う処理を実行するものとしてもよい。また、実施例では、二次電池70の充電を伴う処理として、クラッチC1,C2を共に非係合としたが、クラッチC1を非係合とすると共にクラッチC2を係合するものとしてもよい。この場合、エンジン22やサンギヤ軸33を連れ回すことになる。 【0086】以上、実施例のハイブリッド自動車20における基本的な駆動制御について説明した。実施例のハイブリッド自動車20は、こうした基本的な駆動制御に加えて、通常駆動制御時に大きくアクセルペダル85が踏み込まれたときの大トルク出力制御や、ナビゲーションシステム90からの走行路に関する情報に基づく制御や前輪54,56や後輪64,66のいずれかがスリップしたときの制御など種々の制御が行なわれる。以下にこれらの制御について説明する。 【0087】図14は、通常駆動制御の2輪駆動パターンで駆動制御されている際にアクセルペダル85が大きく踏み込まれたときに短時間(例えば、5秒間や10秒間)に限って図5の通常駆動制御ルーチンに代えてハイブリッドECU80により実行される大トルク出力制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンが実行されると、ハイブリッドECU80のCPUは、まず、運転モードを通常駆動モードに固定する処理を実行する(ステップS250)。これにより図2の駆動制御ルーチンにおける運転モードの設定に拘わらず、通常駆動モードが設定され、通常駆動制御が実行されることになる。ただし、短時間に限ってこのルーチンが通常駆動制御ルーチンに代わって実行される。 【0088】次に、アクセルペダル85が踏み込まれる前の駆動軸要求トルクTd*を用いて通常駆動制御ルーチンの2輪駆動パターンによるエンジン出力目標値Pe*,モータMG1,MG2の設定処理を実行する(ステップS252)。具体的には、図5の通常駆動制御ルーチンのステップS142,S144,S154,S156の処理を実行する。続いて、アクセルペダル85が踏み込まれる前の駆動軸要求トルクTd*を2輪駆動時要求トルクTd2として設定し(ステップS254)、モータMG3のトルク指令値Tm3*を、アクセルペダル85が踏み込まれた後の駆動軸要求トルクTd*から2輪駆動時要求トルクTd2を減じた値として設定する(ステップS256)。そして、設定したエンジン出力目標値Pe*やモータトルク指令値Tm1*,Tm2*,Tm3*をエンジンECU28やモータECU78に通信により出力して(ステップS258)、本ルーチンを終了する。こうした処理では、通常駆動制御ルーチンの2輪駆動パターンによる2輪駆動の制御に加えてアクセルペダル85が踏み込まれる前後の駆動軸要求トルクTd*の差をモータMG3から出力する。この際、モータMG3に供給される電力は二次電池70からの放電により賄われる。短時間に限ってこうした大トルク出力制御を行なうことにより、エンジン22やモータMG1,MG2の制御の変更を伴わずに瞬時に要求されるトルクを出力することができる。 【0089】実施例では、大トルク出力制御を、通常駆動制御の2輪駆動パターンで駆動制御されている際にアクセルペダル85が大きく踏み込まれたときに短時間に限って実行するものとしたが、電動機駆動制御や充電駆動制御,放電駆動制御の2輪駆動パターンで駆動制御されている際にアクセルペダル85が大きく踏み込まれたときに実行するものとしてもよい。これらの場合でも、エンジン22やモータMG1,MG2の制御の変更を伴わずに瞬時に要求されるトルクを出力することができる。 【0090】図15は、ナビゲーションシステム90からの走行路に関する情報に基づいて駆動パターンを変更する際にハイブリッドECU80により実行される駆動パターン変更処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、いずれの運転モードが設定されているときでも実行される。本ルーチンが実行されると、ハイブリッドECU80のCPUは、まず、ナビゲーションシステム90から現在車両が走行している走行路の種類を読み込む処理を実行する(ステップS260)。実施例のナビゲーションシステム90のDVD装置94に記憶されている地図情報には各道路の走行路の種類、例えば平坦路や山岳路,比較的緩やかなコーナー路,連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路などの種類が道路情報の一つとして含まれている。 【0091】そして、現在車両が走行している走行路が比較的緩やかなコーナー路のときには2輪駆動パターンを設定し(ステップS262,S264)、連続したカーブを有する連続カーブ路や登坂路,降坂路のいずれかのときには4輪駆動パターンを設定し(ステップS266〜S270)、山岳路のときには4輪駆動パターンの領域が大きな山岳路用判定マップを設定し(ステップS272,S274)、これら以外のときには、通常の駆動パターン判定マップを設定して(ステップS276)、本ルーチンを終了する。このルーチンで設定された駆動パターンは、図5の通常駆動制御ルーチンのステップS144や図10の電動機駆動制御ルーチンのステップS164,図11の充電駆動制御ルーチンのステップS184,図12の放電駆動制御ルーチンのステップS204における駆動パターンの設定に拘わらず、用いられる。こうした処理により、比較的緩やかなコーナー路や連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路を車両で走行している最中に2輪駆動パターンと4輪駆動パターンとが切り換えられるのを防止することができる。この結果、走行中に路面に作用するトルクの大きな変動を生じさせることがない。また、山岳路用判定マップが設定されたときには、上述の各駆動制御ルーチンの駆動パターンの設定の際に用いる駆動パターン判定マップに代えて用いられる。図16に山岳路用判定マップの一例を示す。図16の山岳路用判定マップを図6に例示した通常の駆動パターン判定マップと比較すると解るように、山岳路用判定マップでは、4輪駆動パターンが多く設定されるようになっており、山岳路における走行をより適切なものにすることができる。 【0092】実施例の駆動パターン変更制御では、車両の走行路が比較的緩やかなコーナー路のときには2輪駆動パターンを設定し、連続したカーブを有する連続カーブ路や登坂路,降坂路のいずれかのときには4輪駆動パターンを設定したが、2輪駆動パターンと4輪駆動パターンとの切り換えを抑制する効果をより大きく期待するものとすれば、比較的緩やかなコーナー路や連続したカーブを有する連続カーブ路,登坂路,降坂路のいずれかのときには現状の駆動パターンを保持するものとしてもよい。また、比較的緩やかなコーナー路のときには2輪駆動パターンの領域が大きなコーナー路用判定マップを設定するものとしたり、連続したカーブを有する連続カーブ路や登坂路,降坂路のいずれかのときには山岳路用判定マップと同様に4輪駆動パターンの領域が大きな連続カーブ路用判定マップや登坂路用判定マップ,降坂路用判定マップをそれぞれ設定するものとしてもよい。さらに、比較的緩やかなコーナー路のときには2輪駆動パターンの領域が大きくなるよう通常の駆動パターン判定マップの領域境界を補正するものとしたり、連続したカーブを有する連続カーブ路や登坂路,降坂路のいずれかのときには4輪駆動パターンの領域が大きくなるよう通常の駆動パターン判定マップの領域境界を補正するものとしてもよい。また、実施例の駆動パターン変更制御では、車両の走行路が山岳路のときには、4輪駆動パターンの領域が大きな山岳路用判定マップを設定したが、4輪駆動パターンを設定するものとしたり、4輪駆動パターンの領域が大きくなるよう通常の駆動パターン判定マップの領域境界を補正するものとしてもよい。 【0093】実施例の駆動パターン変更制御では、走行路の種類として平坦路,山岳路,比較的緩やかなコーナー路,連続したカーブを有する連続カーブ路や登坂路,降坂路を例示したが、走行路の種類はこれらに限られず、如何なる種類を用いるものとしてもよい。 【0094】図17は、ナビゲーションシステム90からの走行予定の走行ブロックの情報に基づいて二次電池70の残容量(SOC)を調整する際にハイブリッドECU80により実行されるSOC調整制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、いずれの運転モードが設定されているときでも実行される。本ルーチンが実行されると、ハイブリッドECU80のCPUは、まず、ナビゲーションシステム90から走行予定の経路における走行ブロックの種類を読み込む処理を実行する(ステップS280)。実施例のナビゲーションシステム90のDVD装置94に記憶されている地図情報には各道路の走行路の種類に基づいて同一の種類の走行路が多く含まれるブロック毎に設定された走行ブロックの種類、例えば走行に伴って二次電池70の充電が予測される充電走行ブロックや走行に伴って二次電池70の放電が予測される放電走行ブロックなどの種類が道路情報の一つとして含まれている。なお、充電走行ブロックとしては山岳路のうち降り坂の領域が多い走行ブロックや長い連続した降り坂の走行ブロックあるいは郊外の走行ブロックに設定され、放電走行ブロックとしては山岳路のうち登り坂の領域が多い走行ブロックや長い連続した登り坂の走行ブロックあるいは都心部の走行ブロックに設定されている。 【0095】走行ブロックの種類を読み込むと、次の走行ブロックの種類を判定する(ステップS282)。次の走行ブロックが充電走行ブロックのときには、バッテリSOCが第1の所定値(例えば、30%や40%など)になるまで運転モードを放電駆動モードに設定すると共に(ステップS284)、4輪駆動パターンの領域が大きな放電用駆動パターン判定マップを設定して(ステップS286)、本ルーチンを終了する。運転モードを放電駆動モードに設定することにより、図2の駆動制御ルーチンにおける運転モードの設定に拘わらず、放電駆動モードが設定されて図12の放電駆動制御ルーチンが実行される。また、放電用駆動パターン判定マップを設定することにより、図12の放電駆動制御ルーチンのステップS204の処理では通常の駆動パターン判定マップに代えて放電用駆動パターン判定マップを用いて駆動パターンが設定される。したがって、充電走行ブロックを走行するまでに二次電池70の残容量(SOC)を小さくすることにより、充電走行ブロックで二次電池70に十分な電力を充電することができる。 【0096】一方、次の走行ブロックが放電走行ブロックのときには、バッテリSOCが第2の所定値(例えば、70%や80%など)になるまで運転モードを充電駆動モードに設定すると共に(ステップS294)、2輪駆動パターンの領域が大きな充電用駆動パターン判定マップを設定して(ステップS296)、本ルーチンを終了する。運転モードを充電駆動モードに設定することにより、図2の駆動制御ルーチンにおける運転モードの設定に拘わらず、充電駆動モードが設定されて図11の充電駆動制御ルーチンが実行される。また、充電用駆動パターン判定マップを設定することにより、図11の充電駆動制御ルーチンのステップS184の処理では通常の駆動パターン判定マップに代えて充電用駆動パターン判定マップを用いて駆動パターンが設定される。したがって、放電走行ブロックを走行するまでに二次電池70の残容量(SOC)を大きくすることにより、放電走行ブロックで二次電池70から放電される電力を十分に活用することができる。 【0097】こうしたSOC調整制御では、走行に伴う二次電池70の充放電を予測して二次電池70の残容量(SOC)を調整するから、走行路により適切な状態で走行することができると共にエネルギ効率をより高くすることができる。 【0098】実施例のSOC調整制御では、次の走行ブロックが充電走行ブロックのときには、運転モードを放電駆動モードに設定したが、二次電池70からの放電を伴う運転モードであればよいから、電動機駆動モードを設定するものとしてもよい。 【0099】実施例のSCO調整制御では、次の走行ブロックの種類に応じて二次電池70の残容量(SOC)の調整を行なったが、二つ以上の走行ブロックの種類と走行距離に基づいて二次電池70の残容量(SOC)を調整してもよい。また、実施例のSOC調整制御では、各道路の走行路の種類に基づいて同一の種類の走行路が多く含まれるブロック毎に設定された走行ブロックの種類に基づいて二次電池70の残容量(SOC)を調整したが、現在の走行位置からみて所定時間経過後の所定範囲や所定距離走行後の所定範囲の走行路の種類に基づいて二次電池70の残容量(SOC)を調整するものとしてもよい。 【0100】実施例のSOC調整制御では、次の走行ブロックが充電走行ブロックのときには4輪駆動パターンの領域が大きな放電用駆動パターン判定マップを設定し、次の走行ブロックが放電走行ブロックのときには2輪駆動パターンの領域が大きな充電用駆動パターン判定マップを設定したが、次の走行ブロックが充電走行ブロックのときには4輪駆動パターンを駆動パターンとして設定し、次の走行ブロックが放電走行ブロックのときには2輪駆動パターンを駆動パターンとして設定するものとしてもよい。また、次の走行ブロックが充電走行ブロックのときでも放電走行ブロックのときでも通常の駆動パターン判定マップを用いて駆動パターンを設定するものとしても差し支えない。 【0101】図18は、二次電池70の残容量(SOC)が小さくて二次電池70からの放電が制限されている状態における発進時にハイブリッドECU80により実行されるバッテリ出力制限時発進制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。発進時は、図4の運転モード設定ルーチンによれば、通常、車速Vが比較的遅い速度Vs以下となるから、電動機駆動モードにより行なわれるが、二次電池70の残容量(SOC)が小さくて二次電池70からの放電が制限されているときには、電動機駆動モードにより発進することができない。図18のバッテリ出力制限時発進制御ルーチンは、こうした状態のときに実行される。 【0102】このルーチンは、図5の通常駆動制御ルーチンのステップS144に代えて前後輪トルク比DTに発進時トルク比DT1を設定する処理を用いて通常駆動制御の4輪駆動パターンの処理と同一である。したがって、前後輪トルク比DTの設定の処理(ステップS304)以外の処理についての説明は重複するから省略する。バッテリ出力制限時発進制御ルーチンのステップS304で前後輪トルク比DTに設定される発進時トルク比DT1は、発進時に最適なトルク配分として設定されるものであり、車両の形状や重量などにより定められる。なお、実施例では、発進時トルク比DT1を発進時に最適なトルク配分として設定するものとしたが、如何なる値に設定してもよい。 【0103】こうしたバッテリ出力制限時発進制御により、二次電池70からの放電が制限されているときでも車両の発進を行なうことができる。なお、実施例のバッテリ出力制限時発進制御では、通常駆動制御の4輪駆動パターンの処理と同一の処理を実行するものとしたが、充電駆動制御の4輪駆動パターンの処理と同一の処理を実行するものとしてもよい。実施例のバッテリ出力制限時発進制御では、通常駆動制御の4輪駆動パターンの処理と同一の処理を実行するものとしたが、電動駆動制御と同様の処理とモータMG1による発電処理とを組み合わせるものとしてもよい。即ち、クラッチC1を係合すると共にクラッチC2を非係合としてモータMG2,MG3のトルク指令値Tm2*,Tm3*を式(7)および式(5)により計算される値を設定してモータMG2,MG3を駆動制御する一方、エンジン出力目標値Pe*に駆動軸要求パワーPd*に相当する値あるいはそれより大きな値を設定すると共にモータMG1のトルク指令値Tm1*にエンジン出力目標値Pe*の運転ポイントとしてのエンジン目標トルクTe*を設定してエンジン22から出力される動力を用いて発電し、得られる発電電力をモータMG2,MG3に供給するのである。このとき、エンジン出力目標値Pe*に駆動軸要求パワーPd*に相当する値を設定すれば、二次電池70の充放電を伴うことなく駆動軸要求トルクTd*を前後輪トルク比DTをもって前軸50と後軸60とに出力することができ、エンジン出力目標値Pe*に駆動軸要求パワーPd*より大きな値を設定すれば、二次電池70を充電しながら駆動軸要求トルクTd*を前後輪トルク比DTをもって前軸50と後軸60とに出力することができる。 【0104】図19は、バッテリ出力制限時発進制御を実行しているときに前輪54,56の一方または双方がスリップ(空転)したときの制御としてハイブリッドECU80により実行されるスリップ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンが実行されると、ハイブリッドECU80のCPUは、まず、車輪速センサ55,57,65,67により検出される車輪速Vw1〜Vw4を読み込む処理を実行する(ステップS310)。そして、読み込んだ車輪速Vw1〜Vw4に基づいて前輪54,56の一方または双方がスリップしているか否かを判定する(ステップS312)。前輪54,56のいずれもがスリップしていないときには、本ルーチンを終了する。 【0105】前輪54,56の一方または双方がスリップしているときには、前輪トルクT1をΔT1だけ小さく設定する(ステップS314)。ここでの前輪トルクT1の設定は計算上の設定であり、まだエンジン22の運転やモータMG1,MG2,MG3の駆動には反映されていないから前軸50から出力されているトルクは変化しない。次に、前輪トルクT1をΔT1だけ小さく設定することによる全体としての動力の減量分ΔPdを計算する(ステップS316)。動力減量分ΔPdは、前輪54,56のトルク変量としてのΔT1と前軸50の回転数N1(N1=r・V)とpの積により計算することができる。 【0106】続いて、現在のエンジン出力目標値Pe*から動力減量分ΔPdにトルク変換の効率ηeの逆数ηtを乗じたものを減じてエンジン出力目標値Pe*を変更設定すると共に(ステップS318)、前後輪トルク比DTを変更設定する(ステップS320)。前後輪トルク比DTは、DT=T2/T1であるから、DT=T2/(T1−ΔT1)として計算することができる。そして、変更設定したエンジン出力目標値Pe*と前後輪トルク比DTとに基づいて通常駆動制御の4輪駆動パターンにおける計算と同一の計算によりモータMG1の目標回転数Nm1*やモータMG1,MG2のトルク指令値Tm1*,Tm2*を設定し(ステップS322)、設定したエンジン出力目標値Pe*やモータMG1の目標回転数Nm1*,モータMG1,MG2のトルク指令値Tm1*,Tm2*をエンジンECU28やモータECU78に通信により出力して(ステップS324)、本ルーチンを終了する。こうした処理では、モータMG3のトルク指令値Tm3*は変更されないから、前輪54,56の一方または双方のスリップに拘わらず、後軸60には同一のトルクが出力される。しかも、前輪トルクT1の変量ΔT1に相当する動力減量分ΔPdだけエンジン22から出力される動力を小さくするから、前輪トルクT1の変更に伴って二次電池70の充放電を伴うことがない。即ち、二次電池70の充放電を行なうことなく後輪トルクT2を変更せずに前輪トルクT1だけを変化させて前輪54,56の一方または双方のスリップを解消することができる。 【0107】以上、実施例のハイブリッド自動車20における基本的な駆動制御と、この基本的な駆動制御に加えられる種々の制御について説明した。これらの制御を実行することにより、実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22からの動力を二次電池70の充放電なしに所望のトルク比として前軸50と後軸60とに出力することができると共にエンジン22からの動力と二次電池70の充放電電力とを用いて所望の動力を所望のトルク比として前軸50と後軸60に出力することができる。もとより、二次電池70の放電電力を用いてエンジン22を運転せずに所望の動力を所望のトルク比として前軸50と後軸60に出力することができる。また、実施例のハイブリッド自動車20によれば、制動時には、制動に伴うエネルギの多くを回生して二次電池70に充電することができると共に二次電池70が満充電のときには、モータMG2とモータMG3の回生制御により得られる電力を用いてモータMG1を駆動することにより、二次電池70の充放電なしに前軸50や後軸60に制動力を作用させることができる。しかも、前軸50と後軸60の制動トルク比を自由に設定することができるから、より効率のより制動トルク比とすることができる。 【0108】また、実施例のハイブリッド自動車20によれば、車両の走行路の種類に基づいて駆動パターンを変更したり固定したすることができる。この結果、走行路の種類に応じたより適切な駆動パターンと前後輪トルク比により走行することができる。また、実施例のハイブリッド自動車20によれば、走行ブロックの種類の基づいて二次電池70の残容量(SOC)を調整するから、更にエネルギ効率の高いものとすることができる。 【0109】さらに、実施例のハイブリッド自動車20によれば、二次電池70の残容量(SOC)が小さくて二次電池70からの放電が制限されるときでも、円滑に発進することができる。しかも、こうした状態で前輪54,56の一方または双方がスリップしたときでも、二次電池70の充放電を伴うことなく前輪54,56の一方または双方のスリップを解消することができる。しかも、このスリップの解消の際に後軸60のトルクを変更することがないから、トルク変更に伴うショックを生じることがない。 【0110】実施例のハイブリッド自動車20では、ディファレンシャルギヤ62を介して後軸60にモータMG3を取り付けるものとしたが、二つのモータを後輪64,66に直接取り付けるものとしてもよい。この場合、両モータの制御はモータMG3のトルク指令値Tm3*を用いて個々に行なえばよい。 【0111】また、実施例のハイブリッド自動車20では、4輪駆動の自動車として説明したが、補助駆動輪を有する6輪駆動の自動車、例えば牽引車両の牽引する車両が4輪駆動で牽引される車両に補助駆動輪を有する自動車などに適用してもよい。この場合、補助駆動輪の軸にモータを取り付け、このモータとディファレンシャルギヤ62を介して後軸60に取り付けられたモータMG3とにより消費または回生される電力を実施例のハイブリッド自動車20におけるモータMG3により消費または回生される電力に一致させればよい。なお、前後輪トルク比DTには、補助駆動輪のトルクを含ませるものとしてもよいし、補助駆動輪のトルクは含まないものとしてもよい。前後輪トルク比DTに補助駆動輪のトルクを含ませる場合には、前後輪トルク比DTの設定の際に車両の走行状態などに基づく調整に補助駆動輪のトルクの調整を含ませるものとしてもよいし含ませないものとしてもよい。 【0112】実施例のハイブリッド自動車20では、プラネタリギヤ31のキャリア35とリングギヤ36との接続および接続の解除を可能とするクラッチC1を設けたが、図20に例示する変形例のギヤユニット30Bのように、リングギヤ36の回転を規制するブレーキB1としてもよい。この場合、ブレーキB1を作動させると共にクラッチC2による接続の解除を行なえば、エンジン22のクランクシャフト24は所定のギヤ比でサンギヤ軸33に接続されることになる。 【0113】実施例のハイブリッド自動車20では、プラネタリギヤ31のリングギヤ36とリングギヤ軸37との接続および接続の解除を可能とするクラッチC2を設けたが、クラッチC2を備えず、リングギヤ36とリングギヤ軸37が接続された状態としてもよい。また、実施例のハイブリッド自動車20では、プラネタリギヤ31のキャリア35とリングギヤ36との接続および接続の解除を可能とするクラッチC1を設けたが、クラッチC1を備えず、キャリア35とリングギヤ36とが接続されていない状態としてもよい。また、図21の変形例のギヤユニット30Cに示すように、クラッチC1もクラッチC2も備えないものとしてもよい。この場合、キャリア35とリングギヤ36は常に接続が解除された状態となり、リングギヤ36とリングギヤ軸37は常に接続された状態となる。 【0114】実施例のハイブリッド自動車20では、リングギヤ軸37を前軸50に接続すると共に後軸60にモータMG3を接続したが、逆にリングギヤ軸37を後軸60に接続すると共に前軸50にモータMG3を接続するものとしてもよい。この場合、実施例のハイブリッド自動車20における前軸50に関連する制御を後軸60に関連する制御に置き換えてもよいし、そのまま適用するものとしてもよい。 【0115】以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年8月25日(2000.8.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075258 【弁理士】 【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−78105(P2002−78105A) |
| 【公開日】 |
平成14年3月15日(2002.3.15) |
| 【出願番号】 |
特願2000−256249(P2000−256249) |
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