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【発明の名称】 無人搬送装置
【発明者】 【氏名】珍部 弘

【要約】 【課題】故障した無人搬送車を走行レールの任意位置から吊り上げ撤去することができる無人搬送装置を提供すること。

【解決手段】走行レール1に沿って配設した高周波電流を流す給電線2と、無人搬送車側に設けた給電コイル4を介し、電磁誘導により非接触で無人搬送車に給電するようにした無人搬送装置において、無人搬送車3に、給電コイル4を給電線2から後退させる後退機構を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行レールに沿って配設した高周波電流を流す給電線と、無人搬送車側に設けた給電コイルを介し、電磁誘導により非接触で無人搬送車に給電するようにした無人搬送装置において、無人搬送車に、給電コイルを給電線から後退させる後退機構を設けたことを特徴とする無人搬送装置。
【請求項2】 給電コイルを、走行方向と直交して水平に設けた給電コイル支持軸に対し、その軸方向に沿って摺動可能とし、所定位置にて固定できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の無人搬送装置。
【請求項3】 走行レールのカバーを、L字形に屈曲形成し、その垂片下端を走行レールの外側面に形成した挿入溝に挿入して係止するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の無人搬送装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無人搬送装置に関し、特に、給電コイルを給電線から後退可能とすることにより、故障した無人搬送車を走行レールの任意位置から吊り上げ撤去することができる無人搬送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体等の製造ラインにおいては、部品等の必要部材を搬送するために、無人搬送車をクリーンルーム内の製造ラインに沿って自力走行するように配置している。この際、無人搬送車が走行するときの発塵を可能な限り抑制するために、無人搬送車に対し電磁誘導によって非接触で給電するようにしている。
【0003】また、この非接触給電を効率的に行うため、図4に示すように、走行レール1に沿って配設した給電線2に可及的に近接した状態で、給電コイル4を無人搬送車3側に固定している。具体的には、無人搬送車3下部の両側で、走行レール1から側方に突出するように支持された給電線2が、給電コイル4のE型コアの溝を挿通するように位置決めされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような無人搬送装置においては、無人搬送車が走行中に故障した場合、給電コイル4のコア内部を挿通する給電線がコアと干渉することから、その位置で走行レールから無人搬送車を上方に吊り上げて撤去することができず、故障した無人搬送車を待避位置まで移動させた後、走行レールから撤去して修理を行う必要がある。このため、修理に必要以上の手数を要するとともに、故障した無人搬送車を撤去するまでは他の無人搬送車の走行ができないことから、搬送装置全体が停止するという問題があった。
【0005】本発明は、上記従来の無人搬送装置が有する問題点に鑑み、給電コイルを給電線から後退可能とすることにより、故障した無人搬送車を走行レールの任意位置から吊り上げ撤去することができる無人搬送装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の無人搬送装置は、走行レールに沿って配設した高周波電流を流す給電線と、無人搬送車側に設けた給電コイルを介し、電磁誘導により非接触で無人搬送車に給電するようにした無人搬送装置において、無人搬送車に、給電コイルを給電線から後退させる後退機構を設けたことを特徴とする。
【0007】この無人搬送装置は、無人搬送車が故障した場合でも、給電コイルを給電線から後退させられることから、給電線と給電コイルが干渉することなく、その場で故障した無人搬送車を走行レールから吊り上げて撤去することができ、これにより、他の無人搬送車に影響を与えることなく、安定した搬送作業を継続することができる。
【0008】この場合において、給電コイルを、走行方向と直交して水平に設けた給電コイル支持軸に対し、その軸方向に沿って摺動可能とし、所定位置にて固定できるようにすることができる。
【0009】これにより、給電コイルを給電線から後退させる後退機構を簡易に構成することができる。
【0010】また、走行レールのカバーを、L字形に屈曲形成し、その垂片下端を走行レールの外側面に形成した挿入溝に挿入して係止するようにすることができる。
【0011】これにより、故障した無人搬送車を走行レールから吊り上げて撤去する際に支障となる走行レールのカバーを、走行レールから簡単に取り外すことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の無人搬送装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】図1〜図3に、本発明の無人搬送装置の一実施例を示す。この無人搬送装置は、図1〜図2に示すように、走行レール1に沿って配設した高周波電流を流す給電線2と、無人搬送車3側に設けた給電コイル(図示省略)を介し、電磁誘導により非接触で無人搬送車3に給電するように構成されている。
【0014】この無人搬送装置の走行レール1は箱形をしており、この走行レール1の空洞内に給電線2が張架配設されている。給電線2は、走行レール1の左側面と右側面にそれぞれ相対するように配設することにより、図3に示すように、走行レール1が分岐するような場合でも、その分岐点において、電力が中断されることなく左右いずれかの給電線2、2より、継続的に給電することができる。そして、この左右に相対する給電線2、2間の幅Wを、無人搬送車3のガイド車輪32、32間の幅Woよりも大となるように設定し、無人搬送車の吊り上げ撤去時においても、ガイド車輪32が給電線2、2に接触しないようにする。
【0015】なお、走行レール1には、走行レール内で発生する塵埃がクリーンルーム内へ漏洩しないように、カバー13が配設されている。このカバー13は、L字形に屈曲形成され、その垂片下端を走行レール1の外側面に形成した挿入溝14に落とし込むように挿入して係止し、これによりカバー13を走行レール1から簡単に取り外し、取り付けが行えるようにしている。
【0016】一方、無人搬送車3は、下部に、走行車輪31とガイド車輪32とを備え、前記箱形の走行レール1の内底面に沿って配設されたレール11に走行車輪31が接触するようにしている。また、走行レール1の左右の内側面12でガイド車輪32を接触させ、これにより無人搬送車3が走行レール1に沿って安定して走行できるようにしている。
【0017】無人搬送車3の下部両側には、給電コイル4がそれぞれ配設されている。これらの給電コイル4、4はE型を呈し、給電コイル支持軸41によって、溝が側方に開口するように支持されている。そして、無人搬送車3の両側で、走行レール1から側方に突出するように支持された給電線2、2が、給電コイル4、4のE型コアの溝をそれぞれ挿通するように位置決めされている。
【0018】この場合、この無人搬送装置では、給電コイル4、4を給電線2、2から後退させる後退機構を設けている。この後退機構は、各給電コイル4、4を、走行方向と直交して水平に設けた給電コイル支持軸41に対し、その軸方向に沿って摺動可能とし、所定位置にて固定できるようにしている。具体的には、図1に示すように、給電コイル4のフレーム42にクランプ43を突設し、このクランプ43に給電コイル支持軸41を摺動可能に貫通させ、セットボルト44にて締結できるようにしている。これにより、図2に示すように、給電コイル4、4を、給電線2、2と上下に重ならない位置まで後退させることができ、給電線2と給電コイル4が干渉することなく、その場で故障した無人搬送車3を走行レール1から吊り上げることができる。
【0019】以下、本実施例の無人搬送装置の作用について説明する。走行レール1に沿って無人搬送車3が自動走行する際、走行レール1の内側面に張架された給電線2、2から無人搬送車3側の給電コイル4、4に電磁誘導により非接触で給電される。通常走行時においては、左右に相対する給電線2、2より給電されるが、図3に示すような走行レール1の分岐点7においては、左右の給電線2、2のいずれか一方から給電され、安定した走行が行われる。そして、無人搬送車3は自動走行し、目的地に到着すると停車し、停車位置の上にあるカセット5は、移載機6により持ち上げられ指定の位置に移動される。
【0020】ところで、この搬送作業時に無人搬送車3に故障が生じる場合がある。この場合、無人搬送車3が故障した位置で、無人搬送車3の吊り上げ撤去時に支障となる箇所のカバー13を取り外す。このカバー13の取り外しは、カバー13を挿入溝14内より持ち上げることにより、簡単に行うことができる。
【0021】次に、この取り外したカバー13の開口部からセットボルト44を弛め、給電コイル4、4を、給電コイル支持軸41に沿って給電線2、2と反対側に後退させ、この後退位置で再びセットボルト44を締結し、給電コイル4、4を給電コイル支持軸41に固定する。これにより、左右に相対する給電コイル4、4の出幅が、左右に相対して配設した給電線2、2間の幅Wよりも小となり、その結果、故障した無人搬送車3を、走行レールから給電線2、2と接触させることなく吊り上げて、撤去することができる。
【0022】そして、故障した無人搬送車3を所定の保守点検位置まで搬送し、この位置で修理する。これにより、後行する他の無人搬送車3の走行に支障を与えないようすることができる。また、故障した無人搬送車3は、修理が完了した時点で、上記と逆の手順により、再び走行レール1に復帰させることができる。
【0023】以上、本発明の無人搬送装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、給電コイルの後退機構を、ボールナット、エアシリンダ、ピニオンラック等を用いて構成することにより動作を自動化する等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0024】
【発明の効果】本発明の無人搬送装置によれば、無人搬送車が故障した場合でも、給電コイルを給電線から後退させられることから、給電線と給電コイルが干渉することなく、その場で故障した無人搬送車を走行レールから吊り上げて撤去することができ、これにより、他の無人搬送車に影響を与えることなく、安定した搬送作業を継続することができる。
【0025】また、給電コイルを、走行方向と直交して水平に設けた給電コイル支持軸に対し、その軸方向に沿って摺動可能とし、所定位置にて固定できるようにすることにより、給電コイルを給電線から後退させる後退機構を簡易に構成することができる。
【0026】また、走行レールのカバーを、L字形に屈曲形成し、その垂片下端を走行レールの外側面に形成した挿入溝に挿入して係止するようにすることにより、故障した無人搬送車を走行レールから吊り上げて撤去する際に支障となる走行レールのカバーを、走行レールから簡単に取り外すことができる。
【出願人】 【識別番号】000233206
【氏名又は名称】日立機電工業株式会社
【出願日】 平成12年8月23日(2000.8.23)
【代理人】 【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治 (外1名)
【公開番号】 特開2002−78102(P2002−78102A)
【公開日】 平成14年3月15日(2002.3.15)
【出願番号】 特願2000−251729(P2000−251729)