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【発明の名称】 小型電動車の制御装置
【発明者】 【氏名】乾 勉

【氏名】菅家 博夫

【氏名】岡村 幸彦

【氏名】阪本 健二

【要約】 【課題】減速ギヤを介して車輪を駆動する小型電動車において登坂性を重視した大容量の電動モータを用いた場合でも、減速ギヤのバックラッシュに起因する発進時のショックを低減あるいは抑制させる。

【解決手段】始動時に電動モータに起動時補償電圧(第1の所定電圧)を直ちに印加し(S22からS24)、次いで起動時制限電圧(第2の所定電圧)に達するまで所定の増加率で印加電圧を増加させる電圧制御を実行した後(S28からS36)、目標速度となるように印加電圧を制御する(S38)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 減速ギヤを介して車輪を駆動する電動モータを備えた小型電動車の制御装置であって、少なくとも、a.設定速度を入力する設定速度スイッチ、b.発進および停止指示を入力するアクセルレバー、およびc.少なくとも前記設定速度スイッチおよびアクセルレバーの出力を入力し、入力に応じて目標速度を設定し、前記設定した目標速度となるように前記電動モータの印加電圧を制御する電動モータ制御手段、を備えるものにおいて、前記電動モータ制御手段は、停止状態から発進指示された場合、前記電動モータに第1の所定電圧を直ちに印加し、次いで第2の所定電圧に達するまで所定の増加率で印加電圧を増加させる電圧制御を実行した後、前記目標速度となるように印加電圧を制御することを特徴とする小型電動車の制御装置。
【請求項2】 前記電動モータ制御手段は、停止指示が入力された後、発進指示が入力されたときも、前記電圧制御を実行することを特徴とする請求項1項記載の小型電動車の制御装置。
【請求項3】 さらに、d.走行を開始したか否か判定する走行開始判定手段、を備え、前記電動モータ制御手段は、走行を開始したと判定されるとき、前記電圧制御を中止し、直ちに前記目標速度となるように印加電圧を制御することを特徴とする請求項1項または2項記載の小型電動車の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電動車椅子あるいはゴルフカートなどとして使用される小型電動車の制御装置に関し、より詳しくは、小型電動車の発進時における減速ギヤのバックラッシュに起因するショックを低減あるいは抑制するための制御装置に関する。
【0002】
【従来技術】上記した小型電動車としては、米国特許公報第4,729,447号公報あるいは特開平10−165454号公報記載の技術が知られている。さらに、特許第2724565号公報記載の技術は、停車時からの発進の際に急発進を防止する、円滑に発進させると共に、登坂時などにトルク不足によって小型電動車がずり下がった(後退した)場合、小型電動車を駆動する電動モータの出力トルクを増加して円滑に登坂動作を行う制御を提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の車両における駆動系は、通常、電動モータおよび減速ギヤの組み合わせで構成され、電動モータの出力が減速ギヤを介して車輪に伝達されるため、減速ギヤのバックラッシュが大きい状態で小型電動車を発進させると、乗員にショックを与える場合があった。特に、登坂性を重要視して大容量の電動モータを用いた場合、それが顕著となる。
【0004】しかしながら、上記した従来技術は円滑な発進制御などを提案するに止まり、減速ギヤのバックラッシュによるショックについては何等対策するものではなかった。
【0005】従って、この発明の目的は上記した課題を解消することにあり、登坂性を重視した大容量の電動モータを用いた場合でも、減速ギヤのバックラッシュに起因する発進時のショックを低減あるいは抑制しつつ、円滑に発進させるようにした小型電動車の制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、この発明は請求項1項において、減速ギヤを介して車輪を駆動する電動モータを備えた小型電動車の制御装置であって、少なくとも、設定速度を入力する設定速度スイッチ、発進および停止指示を入力するアクセルレバー、および少なくとも前記設定速度スイッチおよびアクセルレバーの出力を入力し、入力に応じて目標速度を設定し、前記設定した目標速度となるように前記電動モータの印加電圧を制御する電動モータ制御手段を備えるものにおいて、前記電動モータ制御手段は、停止状態から発進指示された場合、前記電動モータに第1の所定電圧を直ちに印加し、次いで第2の所定電圧に達するまで所定の増加率で印加電圧を増加させる電圧制御を実行した後、前記目標速度となるように印加電圧を制御する如く構成した。
【0007】停止状態から発進指示された場合、電動モータに第1の所定電圧を直ちに印加し、次いで第2の所定電圧に達するまで所定の増加率で印加電圧を増加させる電圧制御を実行するように構成したので、即ち、第1の所定電圧を印加して電動モータを微小量回転させることで減速ギヤのバックラッシュを吸収することができ、登坂性を重視した大容量の電動モータを用いた場合でも、減速ギヤのバックラッシュに起因する発進時のショックを低減あるいは抑制することができる。
【0008】また、次いで第2の所定電圧に達するまで所定の増加率で印加電圧を増加させる電圧制御を実行した後、前記目標速度となるように印加電圧を制御する如く構成したことで、円滑に発進させることができる。
【0009】請求項2項にあっては、前記電動モータ制御手段は、停止指示が入力された後、発進指示が入力されたときも、前記電圧制御を実行する如く構成した。
【0010】停止指示が入力された後、発進指示が入力されたときも、前記電圧制御を実行する如く構成したので、再加速状態にあっても減速ギヤのバックラッシュに起因するショックを低減あるいは抑制させることができると共に、円滑に速度制御(加速制御)に移行させることができる。
【0011】請求項3項にあっては、さらに、走行を開始したか否か判定する走行開始判定手段を備え、前記電動モータ制御手段は、走行を開始したと判定されるとき、前記電圧制御を中止し、直ちに前記目標速度となるように印加電圧を制御する如く構成した。
【0012】走行を開始したと判定されるとき、前記電圧制御を中止し、直ちに前記目標速度となるように印加電圧を制御する如く構成したので、坂道から発進するときなどに乗員が意図しないずり下がりが生じた場合、それ以上のずり下がりを防止して所望の方向に走行させることができる。また、かかる場合は減速ギヤのバックラッシュは、通常、最小となっていることから、上記した電圧制御は本来的に不要でもある。
【0013】より具体的には、前記走行開始判定手段として、前記電動モータの回転方向を検出する回転方向検出手段を備え、前記電動モータ制御手段は、前記検出された電動モータの回転方向が、前記発進指示された方向に走行するための回転方向と逆である場合、直ちに前記目標速度となるように印加電圧を制御するように構成した。
【0014】検出された電動モータの回転方向が、発進指示された方向に走行するための回転方向と逆である場合、直ちに前記目標速度となるように印加電圧を制御するように構成したので、登坂路などから登坂方向に発進するときなどに乗員が意図しない降坂方向へのずり下がり(後退)が生じた場合、それ以上のずり下がり(後退)を防止して所望の方向に走行させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に即してこの発明の一つの実施の形態に係る小型電動車の制御装置を説明する。
【0016】図1はその小型電動車の制御装置、より具体的にはその制御装置を収納する小型電動車の平面図、図2はその縮小側面図、図3はその正面図、および図4はその背面図である。
【0017】以下説明すると、この発明に係る制御装置が搭載される小型電動車10は、メインフレーム12を備えた、スクータ状の外観を呈する。メインフレーム12の前端にはハンドルパイプ14が取り付けられ、ハンドルパイプ14の上方にはステアリングホイール16が取り付けられる。
【0018】ハンドルパイプ14はその他端で、ギヤ機構18を介して2個の前輪22,22に連結され、ステアリングホイール16の回転に応じた方向および角度に前輪22を操舵する。
【0019】メインフレーム12には後端側でポスト24が立設され、その上方には乗員が着座するためのシート26が取り付けられる。尚、図3および図4でシートの図示を省略した。
【0020】シート26の下部には(発電)電動モータ28が収容される。電動モータ28の出力は、電磁ブレーキ30および減速ギヤ32を介してアクセル34に伝達され、その両端に取り付けられた2個の後輪36,36を駆動する。
【0021】電動モータ28は、前輪側のハンドルパイプ14付近に収容された2個のバッテリ(車載電源)38,38(それぞれ容量12V)に接続され、バッテリ電圧を供給されて回転する。このように、小型電動車10は4輪車として構成され、前輪の間にバッテリを配置して安定性を向上させる構成とした。尚、符号40は、メインヒューズボックスを示す。
【0022】さらに、図3に示す如く、車両前面にはヘッドライト44が設けられると共に、その両側面には方向指示用のウィンカライト46,46が設けられる。また、図4に示す如く、車両後部には2個のリフレクタ48,48が配置される。
【0023】電動モータ28は、それに隣接して後輪側のシート26の下部の空間に配置されたコントロールユニット(電子制御ユニット。電動モータ制御手段)50によって制御される(符号50はより詳しくはコントロールユニットを収容するボックスを示すが、図示の便宜上、コントロールユニットを符号50で示す)。コントロールユニット50はマイクロコンピュータを備える。
【0024】図5はコントロールユニット50の詳細を示す回路図である。図5では省略するが、コントロールユニット50は、図6に示すような、モータ駆動回路54を備える。モータ駆動回路54は、4個のFET(スイッチング素子)A,B,C,Dからなるブリッジ回路を備える。
【0025】図6において、対向する2個のFET素子A,Dがオンされて矢印(実線)で示す如くソース電流が流されると、電動モータ28は矢印(実線)で示す方向に正転して小型電動車10を前進方向に走行させる。
【0026】他方、対向する2個のFET素子B,Cがオンされて矢印(破線)で示す如くソース電流が流されると、電動モータ28は矢印(破線)で示す方向に逆転して小型電動車10を後進方向に走行させる。さらに、並列に配置される2個のFET素子C,Dがオンされると、コイル短絡状態となる。
【0027】尚、所定の運転状態においては電動モータ28は発電機として作用し、バッテリ38を充電する。また、バッテリ38はチャージャ56を介して外部のDC電源から充電することができる。
【0028】ステアリングホイール16の付近にはメインコントロールパネル58が配置される。図7はメインコントロールパネル58の拡大上面図であり、図8はパネル部分の表示を示す説明図である(図5では「PANEL」と示す)。尚、図7でステアリングホイール16の図示は省略した。
【0029】図示の如く、メインコントロールパネル58の下部には回転式のキースイッチ62が設けられる。キースイッチ62は、電動モータ28をバッテリ38に接続するモータ駆動回路54に設けられる。
【0030】キースイッチ62は、乗員によって図8に示す「停止」位置に廻されるとき、バッテリ38と電動モータ28の接続を遮断すると共に、「運転」位置に廻されるとき、バッテリ38を電動モータ28に接続する。
【0031】キースイッチ62の図7および図8で右上方には、乗員が「前」(前進走行)あるいは「後」(後進走行)を選択するための前後進セレクトスイッチ64が設けられる。
【0032】キースイッチ62の上方にはスピードボリューム(設定速度スイッチ)66が設けられる。スピードボリューム66は、乗員によって数字2から6の間に廻される位置に応じて電圧Vsvを出力する。即ち、図9に示す如く、0V付近から8V付近の値を出力し、それに応じて設定速度が0km/h相当から6.5km/h相当に設定される。
【0033】さらに、図7に示す如く、メインコントロールパネル58の右端にはアクセルボリューム(アクセルレバー)68が配置される。アクセルボリューム68はその自由端が図7で紙面の上下方向に移動自在に構成され、乗員により紙面の下方向に移動されて発進あるいは停止指示が入力される。
【0034】コントロールユニット50は、スピードボリューム66およびアクセルボリューム68の出力を入力し、スピードボリューム66で設定された設定速度とアクセルボリューム66の操作量に応じて目標速度を設定し、その目標速度となるように、モータ駆動回路54を介して電動モータ28への印加電圧を制御する速度制御(加減速制御)を行う。
【0035】尚、電動モータ28の出力軸(図示せず)にはロータリエンコーダ(図5に「ENCODER」と示す。走行開始判定手段あるいは回転方向検出手段)72が配置され、モータ回転速度を通じて車両走行速度に比例する信号を出力する。
【0036】ロータリエンコーダ72は、出力軸に固定された24組の磁極を備えたマグネットリンクと、その付近に配置された2個のホールIC(共に図示せず)からなり、車両が前進走行するときには図10(a)に示すようなタイミングでA相,B相からなるパルスを出力すると共に、後進走行するときは図10(b)に示すようなタイミングでパルスを出力する。
【0037】ロータリエンコーダ72の出力はコントロールユニット50に入力され、コントロールユニット50はその出力から小型電動車10が走行を開始したか否か判定すると共に、走行速度を検出する。
【0038】次いで、この小型電動車10の制御装置の動作を説明する。
【0039】図11は、その動作を示すフロー・チャートであり、図示のプログラムは、所定時間毎に実行される。また図12から図14は、平地から始動する場合、坂道から始動する場合、および停止指示された後に発進(加速)指示された場合を示すタイム・チャートである。
【0040】以下、図12から図14のタイムチャートも参照しつつ説明すると、先ず、S10においてアクセルボリューム68などの出力を読み込み、S12に進み、アクセルボリューム68がオン(ON)、即ち発進指示がされているか否か判断する。
【0041】S12で肯定されるときはS14に進み、前回の処理においてアクセルボリューム68がオフ(OFF)されると共に、速度制御が実行中か否か判断する。即ち、図12および図13に示すように、小型電動車10が停止状態から発進指示を受けた場合ではなく、図14に示すように、停止指示された後、再度アクセルボリューム68がオンされて発進指示、換言すれば再加速指示がなされた場合か否か判断する。
【0042】S14で否定されるときは停止状態から発進指示された場合であるのでS16に進み、コイル短絡時間(例えば2msec)が経過したか否か判断し、否定されるときはS18に進み、小型電動車10が自重によってずり下がり(後退)を生じているか、換言すれば走行を開始したか否か判定する。
【0043】これは具体的には、前述のロータリエンコーダ72から図13に示すようにパルス列が出力され始めたか否か、より詳しくは電動モータ28が例えば90°回転したか否か判定することで行う。
【0044】尚、より厳密に、図10に示したロータリエンコーダ72の出力パルスの位相から、電動モータ28の回転方向が、乗員が意図する走行方向に対して逆方向か否か判断し、電動モータ28が、例えば90°逆方向に回転したとき、ずり下がりが生じた(走行を開始した)と判定しても良い。
【0045】S18で否定されるときはS20に進み、電動モータ28のモータコイルを短絡させてプログラムを終了する。
【0046】次回以降のプログラムループにおいてS16で肯定されるときはS22に進み、フラグF1のビットが1にセットされているか否か判断し、否定されるときはS24に進み、図12に示すように、電動モータ28に起動時補償電圧(第1の所定電圧、例えば0.6V)を印加する。この起動時補償電圧を印加することにより、電動モータ28を微小量回転させて減速ギヤ32のバックラッシュを吸収することができる。
【0047】次いでS26に進み、フラグF1のビットを1にセットする。即ち、このフラグF1のビットにセットすることは、起動時補償電圧を印加したことを示す。尚、S22で否定されるときはS24,S26の処理をスキップする。
【0048】次いでS28に進み、フラグF2のビットが1か否か判断し、否定されるときはS30に進み、電動モータ28への印加電圧が起動時制限電圧(第2の所定電圧。例えば1.0V)V2を超えたか否か判断する。
【0049】S30で否定されるときはS32に進み、ずり下がり(走行開始)が生じているか否か同様の手法で再度判断し、否定されるときはS34に進み、電動モータ28への印加電圧を所定の増加率(例えば0.4V/400msec)で増加させると共に、プログラムを終了する。
【0050】このように、起動時補償電圧を印加した後、起動時制限電圧に達するまで所定の増加率で電動モータ28に電圧を印加する電圧制御を行うことにより、減速ギヤ32のバックラッシュによるショックを低減あるいは抑制しつつ、小型電動車10を円滑に発進させることができる。
【0051】尚、S30で肯定されるときはS36に進み、フラグF2のビットを1にセットする。その結果、次回以降のプログラムループにおいてS30からS34の処理をスキップして後述する速度制御を直ちに実行する。S18で肯定されるときも、図13に示す如く、S22からS36までをスキップして上述した電圧制御を実行せず、速度制御に移行し、直ちに目標速度となるように印加電圧を制御する。
【0052】これは、坂道(登坂路)から登坂方向に発進する場合など、自重によってずり下がる可能性があるので、直ちに速度制御を実行してそれ以上のずり下がり(惰性走行)を防止するためであると共に、ずり下がり(後退)のときは減速ギヤ32のバックラッシュも最小となって、上記した電圧制御が本来不要のためである。
【0053】次いでS38に進み、上記した速度制御を行う。
【0054】図15は、S38の処理を説明するサブルーチン・フロー・チャートである。
【0055】以下説明すると、先ずS100において、前回アクセルボリューム68がオフか否か判断し、肯定されるときはS102に進み、走行速度Vが基準値VREF(例えば0.7km/h)以下か否か判断する。尚、走行速度Vはロータリエンコーダ72の出力から算出する。
【0056】S100で否定されるとき、およびS102で肯定されるときは、極低速状態、換言すれば停止指示された後に再度走行指示(加速指示)されたことを意味するので、S104からS118に進み、図11のS22からS36に述べた電圧制御と同様の制御を実行する。但し、その際にはフラグF1,F2をそれぞれF3,F4とする。
【0057】即ち、この実施の形態にあっては、図12に示すような停止状態から発進する場合のみならず、図14に示すような停止指示された後に加速指示された場合にあっても、上記した電圧制御を行うようにした。
【0058】これにより、停止指示された後に再び加速するときも、減速ギヤ32のバックラッシュによるショックを低減あるいは抑制しつつ、円滑に速度制御に移行させることができる。
【0059】尚、S110で肯定されるとき、あるいはS118でフラグF4 のビットを1にセットした後はS120に進み、目標速度となるように、電動モータ28に例えば2.5V/200msecの増加率(あるいは減少率)で電圧を印加する速度制御(加減速制御)を実行する。
【0060】また、S102で否定されるときはS122に進み、フラグF3,F4のビットを0にリセットしS120に進む。
【0061】図11の説明に戻ると、S12で否定されるときはS40に進み、フラグF1,F2のビットを0にリセットし、S42に進み、停止処理を行う。尚、S14で肯定されるときはS44に進み、フラグF3,F4のビットを0にリセットし、S38に進む。
【0062】この発明は上記のように構成したので、電動モータ28として登坂性を重視して大容量のものを用いた場合でも、減速ギヤ32のバックラッシュに起因する発進時のショックを低減あるいは抑制しつつ、小型電動車10を円滑に発進させることができる。
【0063】また、停止指示されてから再び加速するときも、減速ギヤ32のバックラッシュによるショックを低減あるいは抑制しつつ、円滑に速度制御(加速制御)に移行させることができる。
【0064】この実施の形態は上記の如く、減速ギヤ32を介して車輪36を駆動する電動モータ28を備えた小型電動車10の制御装置であって、少なくとも、設定速度を入力する設定速度スイッチ(スピードボリューム66)、発進および停止指示を入力するアクセルレバー(アクセルボリューム68)、および少なくとも前記設定速度スイッチおよびアクセルレバーの出力を入力し、入力に応じて目標速度を設定し、前記設定した目標速度となるように前記電動モータの印加電圧を制御する電動モータ制御手段(コントロールユニット50)を備えるものにおいて、前記電動モータ制御手段は、停止状態から発進指示された場合、前記電動モータに第1の所定電圧(起動時補償電圧)を直ちに印加し、次いで第2の所定電圧(起動時制限電圧)に達するまで所定の増加率で印加電圧を増加させる電圧制御を実行した後(S10からS36)、前記目標速度となるように印加電圧を制御する(S38,S100からS122)如く構成した。
【0065】また、前記電動モータ制御手段は、停止指示が入力された後、発進指示が入力されたときも、前記電圧制御を実行する(S14,S38,S100からS118)如く構成した。
【0066】さらに、走行を開始したか否か判定する走行開始判定手段(ロータリエンコーダ72)を備え、前記電動モータ制御手段は、走行を開始したと判定されるとき、前記電圧制御を中止し、直ちに前記目標速度となるように印加電圧を制御する(S18,S32,S38,S114,S120)如く構成した。
【0067】尚、上記において、走行開始判定手段あるいは回転方向検出手段として磁電変換型のロータリエンコーダを使用したが、電動モータ28の回転を検出できるものであれば、光学式のものなど、どのようなセンサを用いても良い。
【0068】
【発明の効果】請求項1項にあっては、停止状態から発進指示された場合、電動モータに第1の所定電圧を直ちに印加し、次いで第2の所定電圧に達するまで所定の増加率で印加電圧を増加させる電圧制御を実行するように構成したので、即ち、第1の所定電圧を印加して電動モータを微小量回転させることで減速ギヤのバックラッシュを吸収することができ、登坂性を重視した大容量の電動モータを用いた場合でも、減速ギヤのバックラッシュに起因する発進時のショックを低減あるいは抑制することができる。
【0069】また、次いで第2の所定電圧に達するまで所定の増加率で印加電圧を増加させる電圧制御を実行した後、前記目標速度となるように印加電圧を制御する如く構成したことで、円滑に発進させることができる。
【0070】請求項2項にあっては、停止指示が入力された後、発進指示が入力されたときも、前記電圧制御を実行する如く構成したので、再加速状態にあっても減速ギヤのバックラッシュに起因するショックを低減あるいは抑制させることができると共に、円滑に速度制御(加速制御)に移行させることができる。
【0071】請求項3項にあっては、走行を開始したと判定されるとき、前記電圧制御を中止し、直ちに前記目標速度となるように印加電圧を制御する如く構成したので、坂道から発進するきなどに乗員が意図しないずり下がりが生じたとき、それ以上のずり下がりを防止して所望の方向に走行させることができる。また、かかる場合は減速ギヤのバックラッシュは、通常、最小となっていることから、上記した電圧制御は本来的に不要でもある。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成12年8月18日(2000.8.18)
【代理人】 【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
【公開番号】 特開2002−64904(P2002−64904A)
【公開日】 平成14年2月28日(2002.2.28)
【出願番号】 特願2000−248583(P2000−248583)