トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 燃料電池車両
【発明者】 【氏名】斉藤 幹夫

【氏名】塩澤 総一

【要約】 【課題】燃料電池の出力が過度に増大することがないようにしながら、走行用モータに給電できるようにする。

【解決手段】走行用モータ12に並列に接続した燃料電池ユニット21およびバッテリ25と、前記燃料電池ユニット21の出力電流を検出する電流センサ29とを備える。燃料電池ユニット21の発電量を制御する空気ポンプ32を備える。前記電流センサ29によって検出された電流値が予め定めた上限値を上回ったときに前記空気ポンプ32を発電量が低減するように駆動するFC出力制御部42を備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行用モータに並列に接続した燃料電池およびバッテリと、前記燃料電池の出力電流を検出する出力検出手段と、この燃料電池の発電量を制御する発電量制御手段と、前記出力検出手段によって検出された電流値が予め定めた上限値を上回ったときに前記発電量制御手段を発電量が低減するように駆動する制御手段とを備えたことを特徴とする燃料電池車両。
【請求項2】 走行用モータにDC/DC変換器を介して接続した燃料電池と、前記モータと前記DC/DC変換器との間に並列に接続したバッテリと、前記燃料電池の出力電流を検出する出力検出手段と、この出力検出手段によって検出された電流値が予め定めた上限値を上回ったときに前記DC/DC変換器の出力を低減させる制御手段とを備えたことを特徴とする燃料電池車両。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バッテリと燃料電池によって走行用モータに給電する燃料電池車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、燃料電池で発電した電気をモータに供給し、このモータによって車輪を駆動する燃料電池車両は、水素ガスボンベまたは水素生成用改質装置から供給された水素と、大気中の酸素とを燃料電池の燃料としている。前記燃料電池は、水素供給量と酸素供給量とを制御することによって出力を増減させることができ、水素供給量と酸素供給量が一定でも負荷の増減に伴って出力が増減することが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】燃料電池車両は、車体重量を軽くするとともに製造コストが低くなるように、小型の燃料電池を搭載することが好ましい。このように小型の燃料電池を搭載すると、この燃料電池は最大出力に近い出力で運転されることが多くなるから、過負荷になり易い。このため、負荷の増減に伴って出力が増減するという特性によって、登坂時などで負荷が増大すると出力電流が過大になってしまう。このように負荷が燃料電池の発電性能を上回るようになって出力が過大になると、自己発熱による温度が過度に上昇したり、過度の放電現象によって燃料電池セルが劣化してしまう。この結果、発電機としての機能が損なわれてしまい、発電できなくなってしまうこともある。この現象は、車体が相対的に小さい燃料電池式電動二輪車に最も顕著に現れる。
【0004】本発明は上述した問題点を解消するためになされたもので、燃料電池の出力が過度に増大することがないようにしながら、走行用モータに給電できる燃料電池車両を実現することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、本発明に係る燃料電池車両は、走行用モータに並列に接続した燃料電池およびバッテリと、前記燃料電池の出力電流を検出する出力検出手段と、この燃料電池の発電量を制御する発電量制御手段と、前記出力検出手段によって検出された電流値が予め定めた上限値を上回ったときに前記発電量制御手段を発電量が低減するように駆動する制御手段とを備えたものである。
【0006】本発明によれば、燃料電池の負荷が過大になったときに発電量が低減されて燃料電池の出力が減少する。燃料電池の出力減少に伴ってバッテリの放電電力量が増大し、モータの出力が維持される。
【0007】請求項2に記載した発明に係る燃料電池車両は、走行用モータにDC/DC変換器を介して接続した燃料電池と、前記モータと前記DC/DC変換器との間に並列に接続したバッテリと、前記燃料電池の出力電流を検出する出力検出手段と、この出力検出手段によって検出された電流値が予め定めた上限値を上回ったときに前記DC/DC変換器の出力を低減させる制御手段とを備えたものである。
【0008】この発明によれば、DC/DC変換器の出力が低減されることによりDC/DC変換器の入力が減少するから、負荷が過大になったときに燃料電池の出力が減少する。燃料電池の出力減少に伴ってバッテリの放電電力量が増大し、モータの出力が維持される。
【0009】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発明に係る燃料電池車両の一実施の形態を図1ないし図8によって詳細に説明する。ここでは、本発明を燃料電池自動二輪車に適用する場合の形態について説明する。図1は本発明に係る燃料電池自動二輪車の側面図、図2は同じく平面図、図3は電力供給系の構成を示すブロック図、図4は電力供給系の概略構成を示すブロック図である。図5は燃料電池出力と燃料電池電流の関係を示すグラフ、図6は燃料電池電圧と燃料電池電流の関係を示すグラフ、図7は燃料電池の反応空気量と燃料電池電流の関係を示すグラフである。図8は燃料電池コントローラの動作を説明するためのフローチャートである。
【0010】これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態による燃料電池自動二輪車である。この燃料電池自動二輪車1は、車体フレーム2の前端部にフロントフォーク3を介して前輪4を操舵自在に支持させ、車体フレーム2におけるシート5の下方にユニットスイング式動力ユニット6を上下方向に揺動自在に支持させている。前記車体フレーム2は、前記フロントフォーク3を回動自在に支持するヘッドパイプ7と、このヘッドパイプ7から後下がりに延びる左右2本の前部パイプ8と、これらの前部パイプ8の下端部にそれぞれ接続した後部パイプ9と、これらの後部パイプ9どうしを接続するクロスメンバ10などによって形成している。
【0011】前記フロントフォーク3は、前記ヘッドパイプ7に回動自在に支持させたステアリング軸(図示せず)の下端部に固着している。前記ステアリング軸の上端部には、操向ハンドル11を固定している。前記動力ユニット6は、前端部に走行用モータ12を軸線方向が車幅方向を指向する状態で装着するとともに、後端部に後輪13を回転自在に支持しており、前記モータ12の動力が伝動ケース6a内の伝動装置(図示せず)を介して後輪13に伝達される構造を採っている。
【0012】車体フレーム2の後部パイプ9は、前部パイプ8との接続部分から略水平に後方へ延びるとともに、シート5の下方で後上がりに延びるように形成している。後部パイプ9の前記水平延在部を符号14で示す。この水平延在部14の上に後述する燃料電池ユニット21のセルスタック体22を搭載している。この実施の形態による燃料電池自動二輪車1は、車体フレーム2を含む車体の全体が車体カバー23によって覆われている。
【0013】燃料電池ユニット21は、従来からよく知られているように、前記セルスタック体22に水素と大気と加湿用の水とを供給して電気を発生させる構造のものであり、図3および図4に示すように、前記モータ12のモータコントローラ24バッテリ25と並列になるように接続している。この燃料電池ユニット21の制御は、図3および図4中に符号で示す燃料電池コントローラ26が行うようになっている。前記燃料電池コントローラ26が本発明に係る制御手段を構成している。
【0014】この実施の形態では、図3に示すように、燃料電池ユニット21の出力部にDC/DC変換器27を接続し、このDC/CD変換器27を介して燃料電池ユニット21を給電回路に接続している。前記DC/DC変換器27は、燃料電池ユニット21が出力する電圧/電流を変化させ、新たな電圧/電流に変換する構成を採っている。このDC/DC変換器27の出力側の電圧/電流は、後述する燃料電池コントローラ26によって自在に調整できるようになっている。また、このDC/DC変換器27の出力側の正極端子とバッテリ接続点との間には、燃料電池ユニット21からモータ側へのみに電流が流れるようにダイオード28を介装し、燃料電池ユニット21の負極端子とDC/DC変換器27の入力側の負極端子との間には、燃料電池ユニット21の出力電流を検出するための電流センサ29を接続している。前記電流センサ29が本発明に係る出力検出手段を構成している。
【0015】前記セルスタック体22は、カーボンによって平板状に形成したセル22a(図1および図2参照)と、これらのセル22aどうしの間に挟み込ませた高分子膜(例えばイオン交換樹脂膜)とを有し、これら両者を車体の前後方向に積層することによって形成している。セルスタック体22に供給する水素は、図1に示すように車体の後端部に搭載した水素ボンベ30から閉止バルブ31や図示していない流量調整バルブなどを通ってセルスタック体22に導かれるようにしている。
【0016】セルスタック体22に供給する大気は、図1および図2に示すようにセルスタック体22の車体前側の端部に装着した空気ポンプ32から導かれるようにしている。この空気ポンプ32は、カウリング23内の大気をセルスタック体22に供給する構造を採っており、後述する燃料電池コントローラ26によって回転数(風量)がデューティ制御される。この空気ポンプ32が本発明に係る発電量制御手段を構成している。
【0017】セルスタック体22に供給する水は、セルスタック体22で発電をすることによって生成される水を水タンク33に貯留させ、この水タンク33から水ポンプ34によってセルスタック体22に導かれるようにしている。前記水タンク33および水ポンプ34は、図1に示すように、セルスタック体22の後方であって車体左側に配設している。
【0018】前記燃料電池コントローラ26は、図3に示すように、各種装置の電源を一括管理するシステム電源制御部41と、前記燃料電池ユニット21から入力された電流/電圧に基づいて前記空気ポンプ32を制御するとともにバッテリ25の充電状態を制御するFC出力制御部42と、モータ12の出力を設定するためのモータ出力計算部43と、セルスタック体22の凍結を防止するための暖機運転制御部44と、バッテリ容量とバッテリ温度に基づいてモータ12への最大許容出力を設定する二次電池保護制御部45とを備え、モータ12の回転を制御するとともに、燃料電池ユニット21の発電およびバッテリ25の充電・放電を制御する構成を採っている。
【0019】また、この燃料電池コントローラ26は、メインスイッチ46(図3参照)がOFF状態であるときにもバッテリ25から絶えず機能維持のための電力が供給され、メインスイッチ46のON,OFFがインターフェイス47を介してメインスイッチ検出部48により検出されるようになっている。メインスイッチ46がOFF状態にあるときには、システム電源制御部41によってコントローラ電源が低消費電力状態(小電力状態)に移行するとともに、インターフェイス49,50を介してモータコントローラ24と、DC/DC変換器27の電源が絶たれる。前記低消費電力状態では、システム電源制御部41に一定時間毎にタイマー時間検出部51からタイマー信号が出力されるとともに、メインスイッチ46のON,OFF検出信号が出力される。
【0020】メインスイッチ46がOFF状態にあるときには、一定時間が経過すると燃料電池コントローラ26が再起動し、容量計算部52がバッテリ25の積算残存容量と、電圧検出部53と温度検出部54とを介して入力されたバッテリ電圧、温度とに基づいてバッテリ25の現在の残存容量を求める。
【0021】このとき、バッテリ25が満充電状態ではない場合には、FC出力制御部42がFC起動/停止判断部55に起動要求信号を出力し、インターフェイス56を介して起動信号が燃料電池ユニット21に出力される。これとともに、電圧指令値がD/A変換器57に出力され、インターフェイス50を介してDC/DC変換器27に基準電圧信号が送出される。この結果、燃料電池ユニット21が発電した電力によってバッテリ25が充電される。
【0022】充電電流は、電流センサ58によって検出され、電流検出部59を介してFC出力制御部42に入力される。FC出力制御部42は、最適な充電電流でバッテリ25が充電されるようにDC/DC変換器27の出力電圧を制御する。上述した自動充電機能は、図3中に符号60で示すユーザスイッチを操作することによって、有効/無効を切替えることができるようになっている。
【0023】前記FC出力制御部42は、メインスイッチ46がON操作されて走行可能状態になっているときには、前記空気ポンプ32の回転数を制御することによって燃料電池ユニット21の出力を制御する。ここで、FC出力制御部42のさらに詳細な構成を図8に示すフローチャートによって説明する。
【0024】図8のステップS1で示すように小電力状態で待機している状態(図示はしないが、上気したように一定時間が経過する毎にバッテリ25の充電状態を点検し、充電量が不足する場合燃料電池ユニット21による充電をする制御が行われる。)からステップS2で示すようにメインスイッチ46がON操作されると、ステップS3で小電力状態が解除された後に、同様に図示はしないが、下記のように要求負荷に対応するスロットル開度に応じモータ12、燃料電池ユニット21、およびDC/DC変換器27を制御する駆動制御が実施される。ステップS4においてFC出力制御部42がFC電流を検出する。このFC電流とは、燃料電池ユニット21とDC/DC変換器27の間に接続した電流センサ29によって検出された電流のことである。このFC電流が変化することにより、燃料電池ユニット21の出力(FC出力)は図5に示すように変化し、出力電圧(FC電圧)は図6に示すように変化する。
【0025】FC電流を前記電流センサ29によって検出した後、ステップS5に示すように、FC出力制御部42は、前記FC電流が予め定めた上限値を上回っているか否かを判定する。前記上限値は、セルスタック体22の機能が損なわれることがない程度の最大の値に設定している。判定の結果、前記FC電流が上限値より小さい場合には、ステップS6で示すように、空気ポンプ32の風量が最大になるように空気ポンプ32のモータのデューティ比を設定してこのモータ12を駆動し、FC電流が上限値を上回っている場合には、ステップS7で示すように、空気ポンプ32の風量が低減するように前記デューティ比を設定して空気ポンプ32のモータを駆動する。
【0026】空気ポンプ32の風量が増減すると(セルスタック体22での反応空気量が増減すると)、図7に示すように、FC電流が風量変化に対応するように増減する。すなわち、空気ポンプ32の風量が増大することにより燃料電池ユニット21の出力が増大し、前記風量が減少することによって、燃料電池ユニット21の出力が低減する。ステップS7で空気ポンプ32の風量が低減されて燃料電池ユニット21の出力が低減されると、燃料電池ユニット21の出力低減に伴ってバッテリ25の放電電力量が増大するようになる。このため、燃料電池ユニット21の出力が低下するにもかかわらず、モータ12の回転は略一定になるように維持される。
【0027】その後、ステップS8でメインスイッチ46がOFF操作されたか否かを判定し、OFF操作された場合にはステップS1に戻り、OFF操作されていない場合には前記ステップS4に戻る。なお、この実施の形態では空気ポンプ32をデューティ制御によって制御しているが、この制御方法とは別の制御方法を用いてもよい。
【0028】前記モータ出力計算部43は、前記操向ハンドル11に設けたスロットル操作子11a(図2参照)からスロットル開度信号が入力され、このスロットル開度に対応するようにモータ12の出力を制御する構成を採っている。前記暖機運転制御部44は、前記タイマーによる一定時間毎の再起動時に、外気温度センサ61によって検出された外気温度と、セルスタック体22の温度とが入力され、これらの温度が氷点下以下に低下した場合にバッテリ残容量にかかわりなく起動要求信号をFC起動/停止判断部55に送出するとともに、D/A変換器57に電圧指令値信号を出力する。
【0029】この結果、燃料電池ユニット21が起動し、燃料電池ユニット21の暖機運転が行われるようになる。この暖機運転においては、DC/DC変換器27から出力された余分の電力はFC冷却ファン62の近傍に位置するヒータ63で消費される。すなわち、ヒータ63の発熱により暖められた温風が冷却ファン62によってセルスタック体22に供給されるようになり、暖機が促進される。
【0030】前記二次電池保護制御部45は、前記容量計算部52が求めたバッテリ容量と、前記温度検出部54によって検出したバッテリ温度に基づいてモータ12の最大許容出力(出力制限値)を求め、この最大許容出力値をモータ出力計算部43に出力する構成を採っている。モータ出力計算部43は、モータ12の出力が前記最大許容出力より小さくなるようにスロットル開度に対応させてモータ12を駆動する。
【0031】すなわち、この駆動制御中モータ出力計算部43は、要求負荷に対応するスロットル開度に応じ、最大許容出力を限界としてスロットル開度が大なる程モータ出力を大として算出し、モーターコントローラ24は算出モータ出力値が大なる程、大きなモータ電流をモータ12に供給する。モータ電流は、バッテリ放電電流とDC/DC変換器27と経て変換された燃料電池ユニットのFC電流にバッテリ放電電流を加え(あるいはバッテリ充電電流を差し引き)、さらに補機類への供給電流を差し引いたものであるから、モーターコントーラ24によりモータ電流が増大すれば、FC電流も増大する。すなわち、DC/DC変換器27で特別な制御をされない限り、FC電流は要求負荷が増大する程増大する。
【0032】上述したように構成した燃料電池自動二輪車1は、電流センサ29によって検出された電流値が予め定めた上限値を上回ったときに空気ポンプ32を発電量が低減するように駆動する構成を採っているから、燃料電池ユニット21の負荷が過大になって前記電流値が増大したときに、空気量が低減されることにより発電量が低減されて燃料電池ユニット21の出力が減少する。このときには、バッテリ25の特性から燃料電池ユニット21の出力減少に伴ってバッテリ25の放電電力量が増大し、モータ12の出力が維持される。したがって、燃料電池ユニット21の出力が過度に増大することがないようにしながら、モータ12に電流を多く供給することができる。
【0033】(第2の実施の形態)請求項2に記載した発明に係る燃料電池車両の一実施の形態を図9ないし図15によって詳細に説明する。図9は燃料電池自動二輪車の電力供給系の構成を示すブロック図、図10は電力供給系の概略構成を示すブロック図、図11は燃料電池出力と燃料電池電流の関係を示すグラフ、図12は燃料電池電圧と燃料電池電流の関係を示すグラフ、図13は燃料電池の効率と燃料電池電流の関係を示すグラフ、図14はDC/DC変換器の出力側の電流と電圧の関係を示すグラフである。図15は燃料電池コントローラの動作を説明するためのフローチャートである。これらの図において、前記図1〜図8によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明は省略する。
【0034】図9および図10に示す燃料電池ユニット21は、DC/DC変換器27によって出力を制御する構成を採っている。すなわち、DC/DC変換器27の出力電圧を燃料電池コントローラ26で制御することによって、DC/DC変換器27の入力、すなわち燃料電池ユニット21の出力を制御するようにしている。
【0035】DC/DC変換器27の出力特性は図14に示すようになっており、バッテリ25の出力電圧よりDC/DC変換器27からの出力電圧を小さくすると、DC/DC変換器27から電流が流れず、バッテリ25の出力電圧とDC/DC変換器27からの出力電圧を同じとすると、モーターコントローラ24が設定するモータ電流をバッテリ25の放電電流と分担するDC/DC変換器27からのDC/DC電流が流れ、さらにバッテリ25の出力電圧よりDC/DC変換器27からの出力電圧を大きくすると、DC/DC電流はモーターコントローラ24が設定するモータ電流となり、さらに余剰分の電流はバッテリ25の充電電流となる。そして、バッテリ25の出力電圧よりDC/DC変換器27からの出力電圧を大きくする領域において、出力電圧と出力電流とが比例関係になる。この領域で出力電圧を低減させることによって出力電流が低減され、これとともに、DC/DC変換器27に入力されるべき電力(燃料電池ユニット21の出力)も低下する。この結果、燃料電池ユニット21からDC/DC変換器27に流れる電流が低減する。
【0036】このとき、図12に示す燃料電池ユニット21の特性により、燃料電池ユニット21の出力電圧は上昇する。燃料電池ユニット21の効率は、図13に示すように、出力電流が低減しても略一定であるから、出力電流の低減に伴って燃料(酸素および水素)の消費量が低減する。このように、DC/DC変換器27の出力を制御することによって、燃料電池ユニット21の燃料の供給を制御することなく、燃料電池ユニット21の出力を制御することができる。
【0037】この実施の形態による燃料電池コントローラ26の動作を図15に示すフローチャートによって説明する。先ず、図15のステップP1〜P3に示すように、小電力状態(低消費電力状態)でメインスイッチ46がON操作されて燃料電池コントローラ26が前記小電力状態を解除した後に、ステップP4で示すように、バッテリ電流を電流センサ58によって検出する。ステップP1からステップP4では図8のフローチャートの場合と同様な燃料電池ユニット21による充電および、モータ12、燃料電池ユニット21、およびDC/DC変換器27を制御する駆動制御が実施される。そして、ステップP5でバッテリ25の負荷電流を計算し、ステップP6でバッテリ容量を計算する。この実施の形態では、バッテリ電流を積算することによってバッテリ容量を求めている。
【0038】その後、ステップP7で燃料電池ユニット21の出力電流を電流センサ29によって検出し、ステップP8でDC/DC変換器27の出力電圧を設定する。ステップP8では、DC/DC変換器27の出力電流(目標FC電流値)が許容最大値になるようにPI演算によって出力電圧指令値を設定する。この出力電圧指令値を以下において指令値1という。
【0039】このようにDC/DC変換器27の出力電圧を設定した後、ステップP9で燃料電池ユニット21の出力電流が所定値(許容最大値より大きな所定の過電流値)以上か否かを判定する。ステップP9でNOと判定された場合には、ステップP10に進み、前記指令値1を出力電圧値としてDC/DC変換器27に出力電圧制御信号を出力する。ステップP9でYESと判定された場合には、燃料電池コントローラ26は、ステップP11でバッテリ電圧を検出し、ステップP12に進んでDC/DC変換器27の出力電圧値を0とする。
【0040】次に、ステップP13でメインスイッチ46がOFF操作されたか否かを判定し、YESと判定されたときには前記ステップP1に戻り、NOと判定されたときには前記ステップP4に戻って上述した制御を繰り返す。FC電流が過大な場合には、DC/DC変換器27の出力が0へと変化されるので、燃料電池ユニット21にとっての負荷が激減し、水素はほとんどが酸素と反応することなく不図示の回収タンクに回収される。モーターコントローラー24はFC電流の如何にかかわらず、スロットル開度に対応したモータ電流をモータ12に供給する。すなわち、このモータ電流の全てがバッテリ25から供給される。なお、DC/DC変換器27の出力電圧を0にすべくステップP12、P10の制御を実施しても、DC/DC変換器27の出力の変化および燃料電池ユニット21からの出力電流の変化のそれぞれに時定数を持つので、ステップP13、および再びステップP4〜P6が実施されてさらにステップP7が実行されるとき、FC電流は0にはならないが最初の過電流値より下げることができる。
【0041】前記時定数が小さい程早くFC電流をステップP9で言う所定電流値以下にでき、その直前のステップP8で算出した指令値に基づきステップP10が実施される。なお、ステップP12の代わりに、先ずバッテリ容量計算値(ステップP6による)が所定値より大きいか否か判断し(ステップP12a)、大なる場合には、バッテリの現在容量(=バッテリ容量計算値)、バッテリ電圧検出値、不図示の記憶装置中のバッテリの電流特性データから現在の負荷電流値(ステップP5による)を全てバッテリから供給するためのバッテリ電圧計算値より僅かに小さい値を指令値2とする(ステップ12b)。一方、小なる場合には、所定値からバッテリ容量計算値を引いた差値が0に近いほど、1以下で1に近い係数値を付与し(例えば、0.8、差値が大きくなれば例えば0.5、差値が所定値に近くなれば例えば0)、現在の負荷電流値(ステップP5による)に付与係数値を掛けた負荷電流値を、バッテリから供給するためのバッテリ電圧を、バッテリの現在容量(=バッテリ容量計算値)、バッテリ電圧検出値、不図示の記憶装置中のバッテリの電流特性データから計算する計算値より僅かに小さい値を指令値3とする(ステップ12c)。
【0042】以上のプログラムとモーターコントローラ24は算出モータ出力値(スロットル開度に応じた要求負荷電流値)と一致するか(バッテリの現在容量が所定値以上時)、算出モータ出力値より小さい(バッテリの現在容量が所定値以下時)モーター電流をモータ12に供給することにより、バッテリを保護しつつFCの過電流を減少させて燃料電池ユニット21を保護することができる。
【0043】この実施の形態による燃料電池自動二輪車は、DC/DC変換器27の出力が低減されることによりDC/DC変換器27の入力が減少し、負荷が過大になったときに燃料電池ユニット21の出力が減少する。このため、燃料電池ユニット21の出力減少に伴ってバッテリ25の放電電力量が増大し、モータ12の出力が維持される。したがって、燃料電池ユニット21の出力が過度に増大することがないようにしながら、モータ12に電流を多く供給することができる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、燃料電池の負荷が過大になったときに発電量が低減されて燃料電池の出力が減少し、これに伴ってバッテリの放電電力量が増大する。このため、燃料電池の出力が過度に増大することがないようにしながら、走行用モータに給電できる燃料電池車両を実現することができる。
【0045】請求項2記載の発明によれば、負荷が過大になったときにDC/DC変換器の入力が減少して燃料電池の出力が減少し、燃料電池の出力減少に伴ってバッテリの放電電力量が増大する。このため、燃料電池の出力が過度に増大することがないようにしながら、走行用モータに給電できる燃料電池車両を実現することができる。
【出願人】 【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
【出願日】 平成12年8月16日(2000.8.16)
【代理人】 【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
【公開番号】 特開2002−64902(P2002−64902A)
【公開日】 平成14年2月28日(2002.2.28)
【出願番号】 特願2000−246719(P2000−246719)