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【発明の名称】 電動車両における回生エネルギ制御装置
【発明者】 【氏名】大石 和史

【要約】 【課題】回生ブレーキを用いた電動車両において、ブレーキの作動状態が突然変化したり、バッテリの充電が不充分になることを防止する。

【解決手段】トルク演算手段11は、電動車両の各作動状態およびトルクマップ12に記憶されたトルク指令値の特性に基づき、モータ35からモータ駆動用バッテリ31へエネルギを回生するためのトルク指令値を演算する。トルク指令値抑制手段13は、電圧センサ21により検出したモータ駆動用バッテリの電圧が所定の低い電圧以上である場合には、検出した電圧が高くなるにつれてトルク演算手段により演算されたトルク指令値の値を減少させて0に近づけるように補正する。モータ制御装置20は、この補正されたトルク指令値に基づきモータからモータ駆動用バッテリへエネルギを回生し、また別途演算されたトルク指令値に基づき、モータの出力トルクを制御して車輪を駆動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 モータ駆動用バッテリにより給電されモータ制御装置により制御されて車輪を駆動するモータと、ブレーキの作動を検出するブレーキセンサと、アクセル操作量を検出するアクセルセンサと、前記ブレーキセンサがブレーキの作動を検出しておらずかつ前記アクセルセンサにより検出される操作量が0でない作動状態において使用する前記モータにより前記車輪を駆動するためのトルク指令値の特性および前記ブレーキセンサがブレーキの作動を検出しているかまたは前記アクセルセンサにより検出される操作量が0である作動状態において使用する前記モータから前記モータ駆動用バッテリへエネルギを回生するためのトルク指令値の特性を記憶したトルクマップと、前記各センサにより検出した電動車両の各作動状態および前記トルクマップの各特性に基づき前記各作動状態に対応して前記モータにより前記車輪を駆動するためのトルク指令値またはエネルギを回生するためのトルク指令値を演算するトルク演算手段を備えてなり、前記モータ制御装置は、前記トルク演算手段により演算されたトルク指令値に基づき、前記モータの出力トルクを制御して前記車輪を駆動し、または前記モータから前記モータ駆動用バッテリへエネルギを回生するようにしてなる電動車両における回生エネルギ制御装置において、電圧センサにより検出した前記モータ駆動用バッテリの電圧が所定の低い電圧以上である場合には検出した前記電圧が高くなるにつれて前記トルク演算手段により演算されたエネルギを回生するためのトルク指令値の値を減少させて0に近づけるように補正するトルク指令値抑制手段を備え、前記モータ制御装置はこの補正されたトルク指令値に基づき前記モータから前記モータ駆動用バッテリへエネルギを回生するようにしたことを特徴とする電動車両における回生エネルギ制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バッテリにより給電されて車輪を駆動するモータを用いた電動車両において、モータからバッテリへ回収される回生エネルギを制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図2は本発明による電動車両における回生エネルギ制御装置を適用した電動車両の全体構成を示すブロック図であるが、従来のこの種の電動車両のブロック図はトルク指令値抑制手段13を備えていない点を除き、これと同じであるので、この図2を利用して従来技術の説明をする。従来のこの種の電動車両においては、手動のアクセルレバーなどによりアクセル操作を行えば、車両ECU(車両制御装置)10は左右の車輪に連結されたモータ35a,35bをモータECU(モータ制御装置)20を介して作動させて電動車両を走行させ、ブレーキを作動させることにより停止させている。ブレーキとして機械式ブレーキに加えて回生ブレーキを設ければ、この停止の際に電動車両の運動エネルギの一部は電力としてモータ駆動用バッテリ(高電圧用バッテリ)31に回収される。このような回生ブレーキは、ブレーキを作動させることなくアクセル操作量を0に戻した場合にも作動させるようにすることも行われている。
【0003】次にこの従来技術の電動車両のさらに詳しい説明をする。この電動車両は、電動車両全体の作動を制御する車両ECU10と、この車両ECU10からの指令に基づいて左右の各車輪を駆動するモータ35a,35bの作動を制御するモータECU20を備えている。この両ECU10,20は低電圧用バッテリ32により給電され、また各モータ35a,35bはリレー33およびインバータ34を介してモータ駆動用バッテリ31により給電される。
【0004】車両ECU10には、電動車両のメインスイッチ15と、使用者により操作されるブレーキが作動すれば閉じるブレーキセンサ(ブレーキスイッチ)16と、使用者により操作されるアクセルレバーやアクセルペダル等のアクセル部材の操作量(開度)を検出するアクセルセンサ17と、前進・後進・中立の各シフト位置を検出するシフトポジションセンサ18が接続されている。また車両ECU10は、電動車両の各作動状態に対応してモータ35a,35bにより車輪を駆動する場合に使用するトルク指令値の特性(図3のAd ,Ar 参照)およびモータ35a,35bからモータ駆動用バッテリ31へエネルギを回生する場合に使用するトルク指令値の特性(図3のBd ,Br ,Cd ,Cr 参照)を記憶したトルクマップ12と、各センサ16〜18により検出した電動車両の各作動状態およびトルクマップ12に基づいて、モータ35a,35bにより車輪を駆動するためのトルク指令値(以下単に、車輪を駆動するためのトルク指令値という)およびモータ35a,35bからモータ駆動用バッテリ31へエネルギを回生するためのトルク指令値(以下単に、エネルギを回生するためのトルク指令値という)を演算するトルク演算手段11を備えている。モータ35a,35bへの給電回路にあるリレー33は車両ECU10により制御される。
【0005】モータECU20は、トルク演算手段11により演算されたトルク指令値に基づいて、各モータ35a,35bがこのトルク指令値の通りのトルクを生じて各車輪を駆動するように、また各モータ35a,35bからモータ駆動用バッテリ31へエネルギを回生するようにインバータ34を制御するものである。左右の車輪は常に左右のモータ35a,35bと対応する回転速度で駆動され、各モータ35a,35bの回転速度は各回転数センサ36a,36bにより検出されて、モータECU20を介して車両ECU10に伝達される。またモータ駆動用バッテリ31の電圧はモータECU20に設けた電圧センサ21により検出されて車両ECU10に伝達される。電圧センサ21は、検出分解能が0.5ボルトとされており、0.5ボルトきざみで検出電圧を出力する。両バッテリ31,32は、電動車両の不使用時に100ボルト交流電源に接続される充電器30により充電される。あるいは内燃機関により駆動される発電機を搭載し、電動車両の使用中にこの発電機により両バッテリ31,32を充電するようにしてもよい。
【0006】トルクマップ12は、図3に示すように、各モータ35a,35bの回転速度に対するトルク指令値の特性を記憶したもので、6つの特性Ad ,Ar ,Bd ,Br ,Cd ,Cr よりなっている。特性Ad および特性Ar は、モータ35a,35bにより車輪を駆動して走行する場合の出力可能範囲の最大限となるトルク指令値の特性であり、特性Ad はシフトポジションがD(前進)の場合における特性、特性Ar はシフトポジションがR(後進)の場合における特性である。特性Bd および特性Br は、ブレーキを作動させた場合におけるエネルギを回生するためのトルク指令値の特性であり、特性Bd は車両が前進中の場合における特性、特性Br は車両が後進中の場合における特性である。特性Cd および特性Cr は、アクセル操作量を0とした場合におけるエネルギを回生するためのトルク指令値の特性であり、特性Cd はシフトポジションがDの場合における特性、特性Cr はシフトポジションがRの場合における特性である。電動車両の各作動状態におけるこれらの各特性は、モータ35a,35bの回転速度に対応しているだけである。
【0007】電動車両の通常の走行状態、すなわちブレーキセンサ16がブレーキの作動を検出しておらずかつアクセルセンサ17により検出される操作量が0でない場合は、トルク演算手段11は、特性Ad および特性Ar ならびに回転数センサ36a,36bにより検出された各モータ35a,35bの回転速度に基づいて、走行する場合の出力可能範囲の最大限となるトルク指令値、すなわちアクセル操作量が最大の場合のトルク指令値を演算し、このトルク指令値とアクセルセンサ17により検出される操作量に基づいて、そのときのアクセル操作量に応じて車輪を駆動するためのトルク指令値を演算する。車両ECU10はこのように演算されたトルク指令値をモータECU20に出力し、モータECU20は、前述のようにこのトルク指令値に基づいて各モータ35a,35bが各車輪を駆動するようにインバータ34を制御する。これにより電動車両は、そのときのアクセル操作量に応じた出力で、シフトポジションに応じて前進または後進する。
【0008】電動車両の走行中に運転者によりブレーキが掛けられれば、ブレーキセンサ16がブレーキの作動を検出する。この状態では、アクセル操作量の如何にかかわらず、トルク演算手段11は、特性Bd および特性Br ならびに回転数センサ36a,36bにより検出された各モータ35a,35bの回転速度に基づいてエネルギを回生するためのトルク指令値を演算し、車両ECU10はこのトルク指令値をモータECU20に出力し、モータECU20は、前述のようにこのトルク指令値に基づいて各モータ35a,35bからモータ駆動用バッテリ31へエネルギを回生するようにインバータ34を制御する。また電動車両の走行中にブレーキを作動させることなくアクセルを閉じれば、ブレーキセンサ16はブレーキの作動を検出せずかつアクセルセンサ17により検出される操作量は0である。この状態では、トルク演算手段11は、特性Cd および特性Cr ならびに各モータ35a,35bの回転速度に基づいてエネルギを回生するためのトルク指令値を演算し、車両ECU10はこのトルク指令値をモータECU20に出力し、モータECU20は、ブレーキを作動させた場合と同様このトルク指令値に基づいて各モータ35a,35bからモータ駆動用バッテリ31へエネルギを回生するようにインバータ34を制御するが、エネルギ回生の程度はブレーキを作動させた場合よりは小さい。
【0009】このエネルギの回生は、各モータ35a,35bで生成された電流によりモータ駆動用バッテリ31を充電することにより行われるが、この充電電流がある許容量を超えるとモータ駆動用バッテリ31の温度が上昇しまた電圧が上昇してモータ駆動用バッテリ31が劣化する。そこで従来の技術では例えばモータ駆動用バッテリ31の電圧を検出して、その値が所定の限度電圧以上になれば充電電流を遮断してエネルギの回生を停止している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】機械式ブレーキに加えて回生ブレーキを使用してエネルギを回生するようにした上記従来技術では、上述のようにモータ駆動用バッテリの電圧を検出して、その値が所定の限度電圧以上になれば充電電流を遮断してエネルギの回生を停止するようにしているので、ブレーキを作動させている間にモータ駆動用バッテリの電圧が上昇して所定の限度電圧以上になれば回生ブレーキが作動しなくなり、ブレーキの作動状態が変化して運転者に違和感を与えることがある。これは長い下り坂の場合にブレーキの作動が低下する現象として現れるが、機械式ブレーキはそれ単独で充分な制動能力を有しているので、危険を伴うことはない。また走行中にブレーキを作動させることなくアクセルを閉じた場合も特性Cd および特性Cr による多少弱い回生ブレーキが作用するが、この場合もその作動中にもモータ駆動用バッテリの電圧が上昇し所定の限度を越えて回生ブレーキが作動しなくなることがあるので、やはり運転者に違和感を与えるおそれがある。
【0011】また、バッテリに許容される充電電流は、バッテリ電圧が低い場合は大きくバッテリ電圧が高くなると小さくなるので、バッテリ電圧が高い状態で大きな充電電流を与えると、そのバッテリの定格容量まで充電される前にバッテリ電圧が所定の限度電圧に達して充電を停止しなければならず、バッテリを完全に充電することができないという問題がある。本発明はこのような各問題を解決することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明による電動車両における回生エネルギ制御装置は、モータ駆動用バッテリにより給電されモータ制御装置により制御されて車輪を駆動するモータと、ブレーキの作動を検出するブレーキセンサと、アクセル操作量を検出するアクセルセンサと、ブレーキセンサがブレーキの作動を検出しておらずかつアクセルセンサにより検出される操作量が0でない作動状態において使用するモータにより車輪を駆動するためのトルク指令値の特性およびブレーキセンサがブレーキの作動を検出しているかまたはアクセルセンサにより検出される操作量が0である作動状態において使用するモータからモータ駆動用バッテリへエネルギを回生するためのトルク指令値の特性を記憶したトルクマップと、各センサにより検出した電動車両の各作動状態およびトルクマップの各特性に基づき各作動状態に対応してモータにより車輪を駆動するためのトルク指令値またはエネルギを回生するためのトルク指令値を演算するトルク演算手段を備えてなり、モータ制御装置は、トルク演算手段により演算されたトルク指令値に基づき、モータの出力トルクを制御して車輪を駆動し、またはモータからモータ駆動用バッテリへエネルギを回生するようにしてなる電動車両における回生エネルギ制御装置において、電圧センサにより検出したモータ駆動用バッテリの電圧が所定の低い電圧以上である場合には検出した電圧が高くなるにつれてトルク演算手段により演算されたエネルギを回生するためのトルク指令値の値を減少させて0に近づけるように補正するトルク指令値抑制手段を備え、モータ制御装置はこの補正されたトルク指令値に基づきモータからモータ駆動用バッテリへエネルギを回生するようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に添付図面により、本発明の電動車両における回生エネルギ制御装置の説明をする。図1は本発明による電動車両における回生エネルギ制御装置の構成を示す図であり、図2は本発明による電動車両における回生エネルギ制御装置を適用した電動車両の一実施形態の全体構成を示すブロック図である。この実施の形態は、トルク指令値抑制手段13を備えている点および車両ECU10の制御内容の一部が異なる点を除き、前述した従来技術と同じである。
【0014】電動車両の通常の走行状態においては、前述した従来技術と同様、トルク演算手段11は、特性Ad および特性Ar 、回転数センサ36a,36bにより検出された各モータ35a,35bの回転速度、ならびにアクセルセンサ17により検出される操作量に基づいて車輪を駆動するためのトルク指令値を演算し、車両ECU10はこのように演算されたトルク指令値をモータECU20に出力し、モータECU20はこのトルク指令値に基づいて各モータ35a,35bが各車輪を駆動するようにインバータ34を制御する。これにより電動車両は、アクセル操作量に応じた出力で前進または後進する。
【0015】電動車両の走行中に運転者によりブレーキが掛けられれば、ブレーキセンサ16がブレーキの作動を検出する。この状態では、アクセル操作量の如何にかかわらず、先ずトルク演算手段11が、前述した従来技術の場合と同様にして、特性Bd および特性Br ならびに回転数センサ36a,36bにより検出された各モータ35a,35bの回転速度に基づいてエネルギを回生するためのトルク指令値を演算する。
【0016】このエネルギを回生するためのトルク指令値は、電圧センサ21により検出したモータ駆動用バッテリ31の電圧が所定の低い電圧(例えば78.0ボルト)未満の場合はそのまま、またそれ以上である場合は次に述べるように車両ECU10のトルク指令値抑制手段13により補正されて、モータECU20に出力される。モータ駆動用バッテリ31の電圧が所定の低い電圧以上である場合のトルク指令値の補正は、後述するように、検出した電圧が高くなるにつれて、トルク演算手段に11より演算されたエネルギを回生するためのトルク指令値の値を減少させて0に近づけるように補正し、また検出した電圧が上昇して所定の限度電圧(例えば92.5ボルト)以上になればトルク指令値の値を0とするように補正するものである。そしてモータECU20は、このように補正されたまたは補正されなかったトルク指令値に基づいて、各モータ35a,35bからモータ駆動用バッテリ31へエネルギを回生するようにインバータ34を制御する。
【0017】また電動車両の走行中にブレーキを作動させることなくアクセルを閉じれば、ブレーキセンサ16はブレーキの作動を検出せずかつアクセルセンサ17により検出される操作量は0である。この状態では、上述したブレーキが掛けられた場合と同様、先ずトルク演算手段11が、特性Cd および特性Cr ならびに各モータ35a,35bの回転速度に基づいてエネルギを回生するためのトルク指令値を演算する。このエネルギを回生するためのトルク指令値は、上述と同様、電圧センサ21により検出したモータ駆動用バッテリ31の電圧が所定の低い電圧(同上)未満の場合はそのまま、またそれ以上である場合は車両ECU10のトルク指令値抑制手段13により補正されて、モータECU20に出力される。そしてモータECU20は、上述と同様にインバータ34を制御して各モータ35a,35bからモータ駆動用バッテリ31へエネルギを回生する。
【0018】次に上述した車両ECU10およびトルク演算手段11によるエネルギを回生するためのトルク指令値の演算と、このように演算されたトルク指令値のトルク指令値抑制手段13による補正を図4および図5に示すフローチャートにより説明する。
【0019】車両ECU10は、所定の時間間隔で割込信号が入力される都度、図4のフローチャートに示す処理の実行を開始する。車両ECU10は先ずシフトポジションセンサ18によりシフトポジションがN(中立)、R(後進)、D(前進)の何れであるかを認識し(ステップ100)、同じ認識値を3回連続して認識すれば(ステップ101〜104)、認識したシフトポジションに対応するエネルギ回生のためのトルク指令値を演算する(ステップ110〜115)。シフトポジションがNの場合はステップ111においてシフトポジションNに対応するエネルギ回生のためのトルク指令値を演算するが、このトルク指令値は0である。
【0020】シフトポジションがRの場合は、ステップ113においてシフトポジションRに対応するエネルギ回生のためのトルク指令値を演算する。この演算は、電動車両の走行中にブレーキを作動させた場合と、ブレーキを作動させることなくアクセルを閉じた場合に分けて行われる。電動車両の後進中にブレーキを作動させた場合は、アクセル操作量の如何にかかわらず、車両ECU10のトルク演算手段11は、図3に示すトルクマップ12の特性Br,Bdおよび回転数センサ36a,36bにより検出された各モータ35a,35bの回転速度に基づいてエネルギを回生するためのトルク指令値を演算し、またブレーキを作動させることなくアクセルを閉じた場合は、トルクマップ12の特性Cr および検出された各モータ35a,35bの回転速度に基づいてエネルギを回生するためのトルク指令値を演算する。
【0021】またシフトポジションがDの場合は、ステップ115においてシフトポジションDに対応するエネルギ回生のためのトルク指令値を演算する。この演算も、電動車両の走行中にブレーキを作動させた場合と、ブレーキを作動させることなくアクセルを閉じた場合に分けて行われる。電動車両の前進中にブレーキを作動させた場合は、アクセル操作量の如何にかかわらず、車両ECU10のトルク演算手段11は、図3に示すトルクマップ12の特性Bd,Brおよび検出された各モータ35a,35bの回転速度に基づいてエネルギを回生するためのトルク指令値を演算し、またブレーキを作動させることなくアクセルを閉じた場合は、トルクマップ12の特性Cd および検出された各モータ35a,35bの回転速度に基づいてエネルギを回生するためのトルク指令値を演算する。
【0022】これらのエネルギを回生するためのトルク指令値の何れかを演算した後に、車両ECU10はステップ116のトルク指令値抑制制御を行う。このトルク指令値抑制制御の内容は図5のフローチャートに示されている。先ず車両ECU10は電圧センサ21によりモータ駆動用バッテリ31の電圧を検出し(ステップ200)、ブレーキセンサ16がブレーキの作動を検出しているかまたはアクセルセンサ17により検出されるアクセル操作量が0であれば(ステップ201、202)、トルク指令値抑制手段13によりステップ210〜227のトルク指令値抑制制御を行う。ステップ200で検出したモータ駆動用バッテリ31の電圧(以下単にバッテリ電圧という)が78.0ボルト未満の場合は、トルク指令値抑制手段13は図5のステップ113またはステップ115で演算したエネルギ回生のためのトルク指令値(以下単に図5で演算したトルク指令値という)の補正は行わない。検出したバッテリ電圧が78.0〜78.5ボルトの場合は、図5で演算したトルク指令値を7/8倍する補正を行う(ステップ210、211)。また検出したバッテリ電圧が79.0〜79.5ボルトの場合は、図5で演算したトルク指令値を6/8倍する補正を行う(ステップ212、213)。以下同様にして、トルク指令値抑制手段13は、検出したバッテリ電圧が高くなるにつれて、乗じる倍数を次第に低下させ、図5で演算したトルク指令値を減少させて0に近づけるように補正する(ステップ214〜225)。そして検出したバッテリ電圧が92.5ボルト以上となれば、トルク指令値抑制手段13は、図5で演算したトルク指令値を0とする補正を行う(ステップ226、227)。
【0023】モータECU20は、このように補正された(検出したバッテリ電圧が78.0ボルト以上の場合)または補正されなかった(検出したバッテリ電圧が78.0ボルト未満の場合)トルク指令値に基づいて、各モータ35a,35bからモータ駆動用バッテリ31へエネルギを回生するようにインバータ34を制御する。従ってモータ35a,35bからモータ駆動用バッテリ31への充電電流もモータ駆動用バッテリ31の電圧が高くなるにつれて減少して0に近づくので、ブレーキの際に生じる制動力における回生エネルギの占める比率もモータ駆動用バッテリ31の電圧が高くなるにつれて減少する。そしてモータ駆動用バッテリ31の電圧が所定の限度電圧以上になればモータ駆動用バッテリ31の劣化を防止するためにモータ35a,35bからの充電電流を0にするが、その時点では制動力における回生エネルギの占める比率は充分に減少しているので、充電電流を0にすることによるブレーキの作動状態の変化は0またはごく僅かであり、運転者に違和感を与えることはない。
【0024】また、一般的にバッテリに許容される充電電流は、バッテリ電圧が低い場合は大きくバッテリ電圧が高くなると小さくなり、バッテリ電圧が高い状態で大きな充電電流を与えると、そのバッテリの定格容量まで充電される前にバッテリ電圧が所定の限度電圧に達して充電を停止しなければならなくなる。しかしこの実施の形態では、モータ駆動用バッテリ31の電圧が高くなるにつれて充電電流が減少するので、モータ駆動用バッテリ31を劣化させるおそれなしに定格容量まで確実に充電することができる。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、エネルギを回生するためのトルク指令値は、モータ駆動用バッテリの電圧が所定の低い電圧以上である場合には検出した電圧が高くなるにつれて減少して0に近づくように補正されるので、モータ駆動用バッテリへの充電電流もモータ駆動用バッテリの電圧が高くなるにつれて減少して0に近づき、ブレーキの際に生じる制動力における回生エネルギの占める比率もモータ駆動用バッテリの電圧が高くなるにつれて減少する。そしてモータ駆動用バッテリの電圧が所定の限度電圧以上になればモータからモータ駆動用バッテリへ回収される回生エネルギも0になるが、その時点では制動力における回生エネルギの占める比率は充分に減少しているので、ブレーキの作動状態の変化は0またはごく僅かであり、運転者に違和感を与えることはない。
【0026】また、バッテリ電圧が高い状態で大きな充電電流を与えると、そのバッテリの定格容量まで充電される前にバッテリ電圧が所定の限度電圧に達して充電を停止しなければならないという問題があるが、この発明ではモータ駆動用バッテリの電圧が高くなるにつれて充電電流が減少するので、モータ駆動用バッテリを劣化させるおそれなしに定格容量まで確実に充電することができる。
【出願人】 【識別番号】000101639
【氏名又は名称】アラコ株式会社
【出願日】 平成12年8月4日(2000.8.4)
【代理人】 【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一 (外1名)
【公開番号】 特開2002−58106(P2002−58106A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−237620(P2000−237620)