| 【発明の名称】 |
電動車両におけるロールバック抑制装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】大石 和史
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| 【要約】 |
【課題】電動車両において、急勾配の坂道で一時停止した場合でも、ロールバックが充分に抑制されるようにする。
【解決手段】トルク演算手段11は、電動車両の各作動状態およびトルクマップ12に記憶されたトルク指令値の特性に基づき、モータ35によりロールバックを抑制するためのトルク指令値を演算する。モータ制御装置20は、このトルク指令値に基づき車両のロールバックを抑制し、また別途演算されたトルク指令値に基づきモータの出力トルクを制御して車輪を駆動する。トルクマップ12に記憶された車両のロールバックを抑制するためのトルク指令値の特性は、モータが車輪を前進方向に駆動するようにされている場合においては、モータの回転速度が0のときはトルク指令値が正の値で回転速度が負方向に増加するにつれて正方向に次第に増加する前進側特性である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 モータ駆動用バッテリにより給電されて車輪を駆動するモータと、ブレーキの作動を検出するブレーキセンサと、アクセル操作量を検出するアクセルセンサと、前記ブレーキセンサがブレーキの作動を検出しておらずかつ前記アクセルセンサにより検出される操作量が0でない作動状態において使用する前記モータにより前記車輪を駆動するためのトルク指令値の特性および前記ブレーキセンサがブレーキの作動を検出しておらずかつ前記アクセルセンサにより検出される操作量が0である作動状態において使用する前記モータにより車両のロールバックを抑制するためのトルク指令値の特性を記憶したトルクマップと、前記各センサにより検出した電動車両の各作動状態および前記トルクマップの各特性に基づき前記各作動状態に対応して前記モータにより前記車輪を駆動するためのトルク指令値または前記ロールバックを抑制するためのトルク指令値を演算するトルク演算手段と、このトルク演算手段により演算されたトルク指令値に基づいて前記モータの出力トルクを制御して前記車輪を駆動するとともに車両のロールバックを抑制するモータ制御装置を備えてなる電動車両におけるロールバック抑制装置において、前記トルクマップに記憶された車両のロールバックを抑制するためのトルク指令値の特性は、前記モータが前記車輪を前進方向に駆動するようにされている場合において前記モータの回転速度が0のときはトルク指令値が正の値で前記回転速度が負方向に増加するにつれて正方向に次第に増加する前進側特性よりなることを特徴とする電動車両におけるロールバック抑制装置。 【請求項2】 前記トルクマップに記憶された車両のロールバックを抑制するためのトルク指令値の特性は、前記前進側特性に加え、前記モータが前記車輪を後進方向に駆動するようにされている場合において前記モータの回転速度が0のときはトルク指令値が負の値で前記回転速度が正方向に増加するにつれて負方向に次第に増加する後進側特性よりなることを特徴とする請求項1に記載の電動車両におけるロールバック抑制装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、バッテリにより給電されて車輪を駆動するモータを用いた電動車両において、坂道の途中で停車した場合に、ブレーキを掛けなくても坂道の下方へのずり下がり(以下単にロールバックと言う)が生じないように抑制する装置に関する。 【0002】 【従来の技術】図2は本発明によるを備えた電動車両の全体構成を示すブロック図であるが、従来のこの種の電動車両のブロック図は、トルクマップ12に記憶された「モータ回転速度−トルク指令値」特性が異なる点を除き、これと同じであるので、この図2を利用して従来技術の説明をする。従来のこの種の電動車両においては、手動のアクセルレバーなどによりアクセル操作を行えば、車両ECU(車両制御装置)10は左右の車輪に連結されたモータ35a,35bをモータECU(モータ制御装置)20を介して作動させて電動車両を走行させ、ブレーキを作動させることにより停止させている。 【0003】この従来技術のさらに詳しい説明をすれば、この電動車両は、電動車両全体の作動を制御する車両ECU10と、この車両ECU10からの指令に基づいて左右の各車輪を駆動するモータ35a,35bの作動を制御するモータECU20を備えている。この両ECU10,20は低電圧用バッテリ32により給電され、また各モータ35a,35bはリレー33およびインバータ34を介してモータ駆動用バッテリ31により給電される。 【0004】車両ECU10には、電動車両のメインスイッチ15と、使用者により操作されるブレーキが作動すれば閉じるブレーキセンサ(ブレーキスイッチ)16と、使用者により操作されるアクセルレバーやアクセルペダル等のアクセル部材の操作量(開度)を検出するアクセルセンサ17と、モータ35a,35bを正方向または逆方向に回転させて車両を前進または後進させるシフト装置(図示省略)の各シフト位置(前進・後進・中立)を検出するシフトポジションセンサ18が接続されている。また車両ECU10は、電動車両の各作動状態に対応してモータ35a,35bにより車輪を駆動する場合に使用するトルク指令値の特性(図4のCd ,Cr 参照)およびロールバックを抑制する場合に使用するトルク指令値の特性(図4のDd ,Dr 参照)を記憶したトルクマップ12と、各センサ16〜18により検出した電動車両の各作動状態およびトルクマップ12に基づいて、モータ35a,35bにより車輪を駆動するためのトルク指令値およびロールバックを抑制するためのトルク指令値を演算するトルク演算手段11を備えている。モータ35a,35bへの給電回路にあるリレー33は車両ECU10により制御される。 【0005】モータECU20は、各モータ35a,35bがトルク演算手段11により演算されたトルク指令値の通りのトルクを生じて、電動車両を走行させるように、またロールバックを抑制するように、インバータ34を制御するものである。左右の車輪は、クラッチなどの動力を遮断する機構を介することなく左右のモータ35a,35bに連結されて常にこれと対応する回転速度で駆動され、各モータ35a,35bの回転速度(従って車速)は各回転数センサ36a,36bにより検出されて、モータECU20を介して車両ECU10に伝達される。またモータ駆動用バッテリ31の電圧はモータECU20に設けた電圧センサ21により検出されて車両ECU10に伝達される。両バッテリ31,32は、電動車両の不使用時に100ボルト交流電源に接続される充電器30により充電される。あるいは内燃機関により駆動される発電機を搭載し、電動車両の使用中にこの発電機により両バッテリ31,32を充電するようにしてもよい。 【0006】トルクマップ12は、図4に示すように、各モータ35a,35bの回転速度に対するトルク指令値の特性を記憶したもので、4つの特性Cd ,Cr ,Dd ,Dr よりなっている。特性Cd および特性Cr は、モータ35a,35bにより車輪を駆動して走行する場合の出力可能範囲の最大限となるトルク指令値の特性であり、特性Cd はシフトポジションがD(前進)の場合における特性、特性Cr はシフトポジションがR(後進)の場合における特性である。特性Dd および特性Dr は、ブレーキを作動させることなくアクセルを閉じた場合におけるロールバックを抑制するためのトルク指令値の特性であり、特性Dd はシフトポジションがDの場合における特性、特性Dr はシフトポジションがRの場合における特性である。 【0007】電動車両の通常の走行状態、すなわちブレーキセンサ16がブレーキの作動を検出しておらずかつアクセルセンサ17により検出される操作量が0でない場合は、トルク演算手段11は、特性Cd および特性Cr ならびに回転数センサ36a,36bにより検出された各モータ35a,35bの回転速度に基づいて、走行する場合の出力可能範囲の最大限となるトルク指令値、すなわちアクセル操作量が最大の場合のトルク指令値を演算し、このトルク指令値とアクセルセンサ17により検出される操作量に基づいて、そのときのアクセル操作量に応じて車輪を駆動するためのトルク指令値を演算する。車両ECU10はこのように演算されたトルク指令値をモータECU20に出力し、モータECU20は、前述のようにこのトルク指令値に基づいて各モータ35a,35bが各車輪を駆動するようにインバータ34を制御する。これにより電動車両は、そのときのアクセル操作量に応じた出力で、シフトポジションに応じて前進または後進する。 【0008】上述した従来技術では、シフトポジションを前進位置とし、ブレーキを作動させることなくアクセルを閉じた状態では、図4(a) の特性Dd に示すように、モータ35a,35bの回転速度(従って車速)が負の範囲内において、モータ35a,35bには一定の正のトルク指令値が与えられる。従って、上り坂の途中で一時停止した状態でブレーキを作動させずアクセルを閉じた場合のロールバックは、モータ35a,35bに生じる正のトルク(電動車両を前進させようとするトルク)により抑制され、坂道発進が容易となる。なお、シフトポジションを後進位置とし、ブレーキを作動させることなくアクセルを閉じた状態では、図4(b) の特性Dr に示すように、回転速度が正の範囲内において、モータ35a,35bには一定の負のトルク指令値が与えられるので、後進の場合の坂道発進も容易である。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した従来技術では、シフトポジションを前進位置とした場合に車速が負の範囲においてモータ35a,35bに生じる正のトルクは、特性Dd に示すように一定の値であるので上り坂の勾配が急な場合はロールバックの抑制に不充分であり、電動車両がずり下がり始めてその速度は次第に速くなるという問題がある。この問題への対策として、特性Dd の高さを全体的に高くするすることが考えられるが、そのようにした場合は平坦路または緩い上り坂で一時停止する場合にはブレーキを作動させておくことが必要となり、ブレーキを解除した場合に急発進するという問題が生じる。シフトポジションを後進位置とした場合にも同様な問題がある。本発明はこのような各問題を解決することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明による電動車両におけるロールバック抑制装置は、図1に示すように、モータ駆動用バッテリにより給電されて車輪を駆動するモータと、ブレーキの作動を検出するブレーキセンサと、アクセル操作量を検出するアクセルセンサと、前記ブレーキセンサがブレーキの作動を検出しておらずかつ前記アクセルセンサにより検出される操作量が0でない作動状態において使用する前記モータにより前記車輪を駆動するためのトルク指令値の特性および前記ブレーキセンサがブレーキの作動を検出しておらずかつ前記アクセルセンサにより検出される操作量が0である作動状態において使用する前記モータにより車両のロールバックを抑制するためのトルク指令値の特性を記憶したトルクマップと、前記各センサにより検出した電動車両の各作動状態および前記トルクマップの各特性に基づき前記各作動状態に対応して前記モータにより前記車輪を駆動するためのトルク指令値または前記ロールバックを抑制するためのトルク指令値を演算するトルク演算手段と、このトルク演算手段により演算されたトルク指令値に基づいて前記モータの出力トルクを制御して前記車輪を駆動するとともに車両のロールバックを抑制するモータ制御装置を備えてなる電動車両におけるロールバック抑制装置において、前記トルクマップに記憶された車両のロールバックを抑制するためのトルク指令値の特性は、前記モータが前記車輪を前進方向に駆動するようにされている場合において前記モータの回転速度が0のときはトルク指令値が正の値で前記回転速度が負方向に増加するにつれて正方向に次第に増加する前進側特性よりなることを特徴とするものである。 【0011】前項の発明のトルクマップに記憶された車両のロールバックを抑制するためのトルク指令値の特性は、前項の前進側特性に加え、モータが車輪を後進方向に駆動するようにされている場合においてモータの回転速度が0のときはトルク指令値が負の値で回転速度が正方向に増加するにつれて負方向に次第に増加する後進側特性よりなるものとすることが好ましい。 【0012】 【発明の実施の形態】以下に添付図面により、本発明の説明をする。図1は本発明による電動車両におけるロールバック抑制装置の構成を示す図であり、図2は本発明による電動車両におけるロールバック抑制装置の一実施形態の全体構成を示すブロック図である。この構成を示す図、ブロック図およびその全体的作動は、車両ECU10のトルクマップ12に記憶されたロールバックを抑制するためのトルク指令値の特性が異なる点を除き、前述した従来技術と本質的に変わるところはない。 【0013】トルクマップ12に記憶された各モータ35a,35bの回転速度に対するトルク指令値の特性は、図3に示すように、4つの特性Ad ,Ar ,Bd ,Br よりなっている。特性Ad および特性Ar は、モータ35a,35bにより車輪を駆動して電動車両が走行する場合の出力可能範囲の最大限となるトルク指令値の特性であるが、前述した従来技術の特性Cd および特性Cr と本質的に変わるところはない。 【0014】特性Bd および特性Br は、ブレーキを作動させることなくアクセルを閉じた場合、すなわちブレーキセンサ16がブレーキの作動を検出しておらずかつアクセルセンサ17により検出される操作量が0である場合におけるロールバックを抑制するためのトルク指令値の特性であり、特性Bd はシフトポジションがDの場合における前進側特性、特性Br はシフトポジションがRの場合における後進側特性である。シフトポジションがD、すなわちモータ35a,35bが車輪を前進方向に駆動するようにされている場合におけるトルク指令値の特性Bd は、図3(a) に示すように、モータ35a,35bの回転速度が0のときは正の値で回転速度が負方向に増加するにつれて正方向に次第に増加するようにした傾斜部分と、回転速度が0の場合の値より正方向にかなり大きくなった後の一定値部分よりなっている。すなわちこのロールバックを抑制するためのトルク指令値の前進側特性Bd は、モータ35a,35bの回転速度(従って車速)が0から負方向に増加するにつれて、回転速度が0のときの値からそれより正方向にかなり大きい値まで増加してから一定値となる点において、モータ35a,35bの回転速度が負の範囲において常に正の一定値である図4(a) に示す従来技術のトルク指令値の特性Dd とは異なっている。 【0015】またシフトポジションがR、すなわちモータ35a,35bが車輪を後進方向に駆動するようにされている場合におけるトルク指令値の特性Br は、図3(b)に示すように、モータ35a,35bの回転速度が0のときは負の値で回転速度が正方向に増加するにつれて負方向に次第に増加するようにした傾斜部分と、回転速度が0の場合の値より負方向にかなり大きくなった後の一定値部分よりなっている。すなわちこのロールバックを抑制するためのトルク指令値の後進側特性Br は、モータ35a,35bの回転速度(従って車速)が0から正方向に増加するにつれて、回転速度が0のときの値より負方向にかなり大きい値まで増加してから一定値となる点において、モータ35a,35bの回転速度が正の範囲において常に負の一定値である図4(b) に示す従来技術のトルク指令値の特性Ddとは異なっている。 【0016】この実施の形態によれば、シフトポジションをDとした状態で電動車両がブレーキを作動させることなくアクセルを閉じて上り坂の途中で一時停止した場合には、上り坂の勾配が急で電動車両がずり下がり始めればその速度の増大に応じてロールバックを抑制するトルクも増大する。従って、勾配が急な坂道の場合でもずり下がり速度が加速度的に増大することはないので、坂道発進は容易である。また停止時におけるロールバックを抑制するトルクは小さいので、平坦路で一時停止するためにブレーキを作動させ、ブレーキを解除した場合のロールバックを抑制するトルクによる電動車両の発進は緩やかであり、急発進することはない。同様に、シフトポジションをRとした状態でも、坂道発進は容易であり、平坦路で一時停止した場合においてブレーキを解除した際に電動車両が急発進することはない。従って、取り扱いやすい電動車両を得ることができる。 【0017】なお上述した実施の形態では、ロールバックを抑制するためのトルク指令値の特性Bd および特性Br は、一定勾配の傾斜部分と高い一定値部分よりなるものとしているが、この傾斜部分はモータ回転速度に応じて勾配が変化するようにしてもよいし、階段状にトルク指令値が変化するようにしてもよい。また傾斜部分を延長させて一定値部分をなくしてもよいし、これらを組み合わせた特性としてもよい。 【0018】 【発明の効果】本発明によれば、モータが車輪を前進方向に駆動するようにされている場合における車両のロールバックを抑制するためのトルク指令値の特性は、モータの回転速度が0のときは正の値で回転速度が負方向に増加するにつれて正方向に次第に増加する前進側特性としたので、そのように駆動されている状態で電動車両がブレーキを作動させることなくアクセルを閉じて上り坂の途中で一時停止した場合には、上り坂の勾配が急で電動車両がずり下がり始めればその速度の増大に応じてロールバックを抑制するトルクも増大する。従って、勾配が急な坂道の場合でもずり下がり速度が加速度的に増大することはない。また停止時におけるロールバックを抑制するトルクは小さくすることができるので、平坦路で一時停止するためにブレーキを作動させ、ブレーキを解除した場合のロールバックを抑制するトルクによる電動車両の発進は緩やかであり、急発進することはない。これにより取り扱いやすい電動車両を得ることができる。 【0019】前項の発明において、車両のロールバックを抑制するためのトルク指令値の特性を、前項の前進側特性に、モータが車輪を後進方向に駆動するようにされている場合にはモータの回転速度が0のときは負の値で回転速度が正方向に増加するにつれて負方向に次第に増加する後進側特性加えたものとしたものによれば、モータが車輪を後進方向に駆動するようにされている場合にも前項と同じ効果が得られるので、一層取り扱いやすい電動車両を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000101639 【氏名又は名称】アラコ株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年8月4日(2000.8.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064724 【弁理士】 【氏名又は名称】長谷 照一 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−58101(P2002−58101A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月22日(2002.2.22) |
| 【出願番号】 |
特願2000−237808(P2000−237808) |
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