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【発明の名称】 列車走行制御システム、及び列車走行制御方法
【発明者】 【氏名】内海 博文

【要約】 【課題】コストが低廉で、列車本数の増加にも対応し得る列車走行制御システム、及び列車走行制御方法を提供する。

【解決手段】先行列車1が列車IDコードと列車位置データを含む伝送信号53をレール3に流し、後方列車2の車上装置20は、受信された先行列車1の列車IDコードと列車位置位置データを読み取り、先行列車1と同様にして検出又は算出した後方列車2の現在位置と列車速度V2に基き、後方列車2の走行速度V2を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 列車に設けられ、前記列車の速度を検出する速度検出手段と、列車に設けられ、情報を処理又は演算し、前記列車の走行速度を制御する走行制御手段と、列車に設けられ、前記列車を特定する列車特定情報と、前記列車の走行性能に関する走行性能情報と、前記列車の長さに関する列車長情報と、前記列車における前記速度検出手段の位置に関する速度検出位置情報と、前記列車が走行を開始する基準位置に関する基準位置情報を記憶する情報記憶手段と、列車に設けられ、伝送情報を送信又は受信する送受信手段と、地上又は列車外に設けられ、前記伝送情報を伝送する情報伝送路を備えた列車走行制御システムであって、先行列車の走行制御手段は、速度検出手段が検出した列車速度の積分値と前記基準位置情報と前記列車長情報と前記速度検出位置情報から、前記先行列車の現在位置を算出し、列車位置情報として、前記先行列車の列車特定情報とともに前記送受信手段から情報伝送路へ送信させ、後方列車の走行制御手段は、前記送受信手段により受信された前記先行列車の列車特定情報と列車位置情報を読み取るとともに、前記先行列車と同様にして算出した前記後方列車の現在位置と、前記後方列車の速度検出手段が検出した列車速度に基き、前記後方列車の走行速度を制御することを特徴とする列車走行制御システム。
【請求項2】 列車に設けられ、前記列車の速度を検出する速度検出手段と、列車に設けられ、情報を処理又は演算し、前記列車の走行速度を制御する走行制御手段と、列車に設けられ、前記列車を特定する列車特定情報と、前記列車の走行性能に関する走行性能情報と、前記列車の長さに関する列車長情報と、前記列車における前記速度検出手段の位置に関する速度検出位置情報と、前記列車が走行を開始する基準位置に関する基準位置情報を記憶する情報記憶手段と、列車に設けられ、伝送情報を送信又は受信する送受信手段と、地上又は列車外に設けられ、前記伝送情報を伝送する情報伝送路による列車走行制御方法であって、先行列車の走行制御手段により、速度検出手段が検出した列車速度の積分値と前記基準位置情報と前記列車長情報と前記速度検出位置情報から、前記先行列車の現在位置を算出し、列車位置情報として、前記先行列車の列車特定情報とともに前記送受信手段から情報伝送路へ送信させ、後方列車の走行制御手段により、前記送受信手段により受信された前記先行列車の列車特定情報と列車位置情報を読み取るとともに、前記先行列車と同様にして算出した前記後方列車の現在位置と、前記後方列車の速度検出手段が検出した列車速度に基き、前記後方列車の走行速度を制御することを特徴とする列車走行制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ある線区内で複数の列車を安全に走行させるように制御する列車走行制御システム、及び列車走行制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道においては、複線のある区間内で複数の列車を走行させる場合には、先行列車に後続列車が追突することを防止する必要がある。このため、先行列車と後続列車との間に、安全確保のための所定の距離を保持させることが行われている。
【0003】この列車間隔保持の手段の一つとして、「閉そく区間」を設ける方式(以下、「閉そく方式」という。)がある。閉そく区間とは、線路(レール)をある間隔ごとに区切って設定した区間(例えば軌道回路)であり、線路には、閉そく区間が互いに隣接するようにして並ぶことになる。閉そく方式では、この閉そく区間内に存在を許容する列車を、常に1列車に限定し、ある列車がすでに存在する閉そく区間内には、他の列車の進入を禁止する(例えば、後続列車への信号を赤信号にする)ように制御が行われる。
【0004】これにより、先行列車と後続列車との間には、何個かの閉そく区間が確保されるため、追突等が防止され、列車走行の安全が確保されるようになっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来の閉そく方法では、その線路内を走行する列車本数を増加させるためには、閉そく区間の個数を増加させて線路内に存在させ得る列車本数を増加させる必要があり、そのためには各閉そく区間(例えば軌道回路)の間隔をそれぞれ短くするような工事を行わなければならず、その設備費、工事費のコストが高価である、という問題があった。
【0006】本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、コストが低廉で、列車本数の増加にも対応し得る列車走行制御システム、及び列車走行制御方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明に係る列車走行制御システムは、列車に設けられ、前記列車の速度を検出する速度検出手段と、列車に設けられ、情報を処理又は演算し、前記列車の走行速度を制御する走行制御手段と、列車に設けられ、前記列車を特定する列車特定情報と、前記列車の走行性能に関する走行性能情報と、前記列車の長さに関する列車長情報と、前記列車における前記速度検出手段の位置に関する速度検出位置情報と、前記列車が走行を開始する基準位置に関する基準位置情報を記憶する情報記憶手段と、列車に設けられ、伝送情報を送信又は受信する送受信手段と、地上又は列車外に設けられ、前記伝送情報を伝送する情報伝送路を備えた列車走行制御システムであって、先行列車の走行制御手段は、速度検出手段が検出した列車速度の積分値と前記基準位置情報と前記列車長情報と前記速度検出位置情報から、前記先行列車の現在位置を算出し、列車位置情報として、前記先行列車の列車特定情報とともに前記送受信手段から情報伝送路へ送信させ、後方列車の走行制御手段は、前記送受信手段により受信された前記先行列車の列車特定情報と列車位置情報を読み取るとともに、前記先行列車と同様にして算出した前記後方列車の現在位置と、前記後方列車の速度検出手段が検出した列車速度に基き、前記後方列車の走行速度を制御することを特徴とする。
【0008】また、本発明に係る列車走行制御方法は、列車に設けられ、前記列車の速度を検出する速度検出手段と、列車に設けられ、情報を処理又は演算し、前記列車の走行速度を制御する走行制御手段と、列車に設けられ、前記列車を特定する列車特定情報と、前記列車の走行性能に関する走行性能情報と、前記列車の長さに関する列車長情報と、前記列車における前記速度検出手段の位置に関する速度検出位置情報と、前記列車が走行を開始する基準位置に関する基準位置情報を記憶する情報記憶手段と、列車に設けられ、伝送情報を送信又は受信する送受信手段と、地上又は列車外に設けられ、前記伝送情報を伝送する情報伝送路による列車走行制御方法であって、先行列車の走行制御手段により、速度検出手段が検出した列車速度の積分値と前記基準位置情報と前記列車長情報と前記速度検出位置情報から、前記先行列車の現在位置を算出し、列車位置情報として、前記先行列車の列車特定情報とともに前記送受信手段から情報伝送路へ送信させ、後方列車の走行制御手段により、前記送受信手段により受信された前記先行列車の列車特定情報と列車位置情報を読み取るとともに、前記先行列車と同様にして算出した前記後方列車の現在位置と、前記後方列車の速度検出手段が検出した列車速度に基き、前記後方列車の走行速度を制御することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る列車走行制御システムの実施形態について、図面を参照しながら説明を行う。
【0010】図1は、本発明の一実施形態である列車走行制御システムの全体構成を示す図である。また、図2は、図1に示す列車走行制御システムにおける先行列車のさらに詳細な構成を示す図である。また、図3は、図1に示す列車走行制御システムにおける後方列車のさらに詳細な構成を示す図である。
【0011】図1に示すように、この列車走行制御システム100は、先行列車1と、後方列車2と、レール3を備えて構成されている。ここに、レール3は、情報伝送路に相当している。
【0012】また、先行列車1は、車上装置10を有している。図2に示すように、この車上装置10は、回転数検出部11と、走行制御部12と、車上アンテナ13と、送受信部14と、情報記憶部15と、駆動制動部16を有している。
【0013】また、後方列車2は、車上装置20を有している。図3に示すように、この車上装置20は、回転数検出部21と、走行制御部22と、車上アンテナ23と、送受信部24と、情報記憶部25と、駆動制動部26を有している。
【0014】駆動制動部16は、電動モータ(図示せず)やブレーキ装置(図示せず)を有しており、先行列車1の車輪17の車軸等を駆動して走行させ、あるいはブレーキ装置を作動させて先行列車1の車輪17の車軸等の制動を行って減速させる装置である。駆動制動部26も同様であり、電動モータ(図示せず)やブレーキ装置(図示せず)を有しており、後方列車2の駆動車輪27の車軸等を駆動して走行させ、あるいはブレーキ装置を作動させて後方列車2の車輪27の車軸等の制動を行って減速させる装置である。
【0015】回転数検出部11は、先行列車1の車輪18の車軸等に取り付けられ、その回転数を検出し、回転数検出出力51を走行制御部12に出力する。回転数検出部21も同様であり、後方列車2の車輪28の車軸等に取り付けられ、その回転数を検出し、回転数検出出力61を走行制御部22に出力する。
【0016】走行制御部12は、図示しないCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)を備えており、情報の処理、演算、制御を行う。また、走行制御部12は、図示しないRAM(Random AccessMemory:随時書込み読出しメモリ)を備えており、演算等の途中結果は、RAMに一時的に記憶される。走行制御部12は、走行制御手段に相当している。
【0017】走行制御部22も同様であり、図示しないCPUを備えており、情報の処理、演算、制御を行う。また、走行制御部22は、図示しないRAMを備えており、演算等の途中結果は、RAMに一時的に記憶される。走行制御部22は、走行制御手段に相当している。
【0018】走行制御部12は、回転数検出部11に接続されるほか、情報記憶部15と、送受信部14と、駆動制動部16に接続されている。走行制御部22も同様であり、回転数検出部21に接続されるほか、情報記憶部25と、送受信部24と、駆動制動部26に接続されている。
【0019】情報記憶部15は、ROM(読出し専用メモリ:Read Only Memory)等の半導体記憶装置や、光ディスクや光磁気ディスク等の記憶媒体を用いる記憶装置等により構成され、情報を記憶する装置を有している。情報記憶部15は、情報記憶手段に相当している。
【0020】情報記憶部15は、先行列車1が走行する線区の各列車を特定する列車IDコードの表を記憶している。この列車IDコードは、各列車と1対1に対応するコードであり、列車特定情報に相当している。
【0021】また、情報記憶部15は、先行列車1の走行性能に関する走行性能データを記憶している。走行性能データとしては、先行列車1の駆動制動部16における駆動性能、例えば、駆動を開始した場合の時間と列車速度の関係、あるいは先行列車1の駆動制動部16における制動性能、例えば、制動(ブレーキ動作)を開始した場合の時間と列車速度の関係等が含まれる。この走行性能データは、走行性能情報に相当している。
【0022】また、情報記憶部15は、先行列車1の長さに関する列車長データを記憶している。列車長データとしては、図2における先行列車1の列車長さL1と、図2における先行列車1の回転数検出部11の設置位置から先行列車1の前端までの長さb1などが含まれる。この列車長データは、列車長情報に相当している。
【0023】また、情報記憶部15は、回転数検出部11の位置に関する回転数検出位置データを記憶している。回転数検出位置データとしては、図2における先行列車1の後端から回転数検出部11の設置位置までの長さa1などが含まれる。この回転数検出位置データは、速度検出位置情報に相当している。
【0024】また、情報記憶部15は、先行列車1が走行を開始する基準位置に関する基準位置データを記憶している。基準位置データとしては、先行列車1が走行を開始する始発駅における回転数検出部11の位置データなどが含まれる。この基準位置データは、基準位置情報に相当している。
【0025】情報記憶部25も同様であり、情報記憶部25は、ROM等の半導体記憶装置や、光ディスクや光磁気ディスク等の記憶媒体を用いる記憶装置等により構成され、情報を記憶する装置を有している。情報記憶部25は、情報記憶手段に相当している。
【0026】情報記憶部25は、後方列車2が走行する線区の各列車を特定する列車IDコードの表を記憶している。この列車IDコードは、列車特定情報に相当している。
【0027】また、情報記憶部25は、後方列車2の走行性能に関する走行性能データを記憶している。走行性能データとしては、後方列車2の駆動制動部26における駆動性能、例えば、駆動を開始した場合の時間と列車速度の関係、あるいは後方列車2の駆動制動部26における制動性能、例えば、制動(ブレーキ動作)を開始した場合の時間と列車速度の関係等が含まれる。この走行性能データは、走行性能情報に相当している。
【0028】また、情報記憶部25は、後方列車2の長さに関する列車長データを記憶している。列車長データとしては、図3における後方列車2の列車長さL2と、図3における後方列車2の回転数検出部21の設置位置から後方列車2の前端までの長さb2などが含まれる。この列車長データは、列車長情報に相当している。
【0029】また、情報記憶部25は、回転数検出部21の位置に関する回転数検出位置データを記憶している。回転数検出位置データとしては、図3における後方列車2の後端から回転数検出部21の設置位置までの長さa2などが含まれる。この回転数検出位置データは、速度検出位置情報に相当している。
【0030】また、情報記憶部25は、後方列車2が走行を開始する基準位置に関する基準位置データを記憶している。基準位置データとしては、後方列車2が走行を開始する始発駅における回転数検出部21の位置データなどが含まれる。この基準位置データは、基準位置情報に相当している。
【0031】送受信部14は、伝送信号を送信する送信部(図示せず)と、伝送信号を受信する受信部(図示せず)を有している。また、送受信部24も同様であり、伝送信号を送信する送信部(図示せず)と、伝送信号を受信する受信部(図示せず)を有している。伝送信号は、伝送情報に相当している。
【0032】車上アンテナ13は、レール3に接近した位置、又はレール3に接触するように配置されており、送受信部14から送られてきた伝送信号をレール電流等としてレール3へ流し、レール電流等としてレール3を流れる伝送信号を取り込んで送受信部14へ送る。車上アンテナ23も同様であり、レール3に接近した位置、又はレール3に接触するように配置されており、送受信部24から送られてきた伝送信号をレール電流等としてレール3へ流し、レール電流等としてレール3を流れる伝送信号を取り込んで送受信部24へ送る。
【0033】送受信部14と車上アンテナ13は、送受信手段を構成している。また、送受信部24と車上アンテナ23は、送受信手段を構成している。
【0034】次に、上記した列車走行制御システム100の作用について、さらに詳細に説明する。
【0035】まず、先行列車1の走行制御部12内のCPU(図示せず)は、回転数検出部11から送られてくる回転数検出出力51から、先行列車1の車輪18の回転数を検出する。この回転数がN1(回/秒)であったとすると、走行制御部12内のCPU(図示せず)は、先行列車1の走行速度V1(m/秒)を、下式V1=2π×N1×R1により算出する。ここに、πは円周率であり、R1は車輪18の半径(m)である。R1の値は、例えば情報記憶部15に記憶されている。算出された速度V1の値は、制御や処理に直接用いられるほか、用いられるまでの間、いったんRAM(図示せず)等に一時記憶される。この場合、回転数検出部11と、走行制御部12内のCPU(図示せず)は、速度検出手段を構成している。
【0036】また、後方列車2についても同様であり、走行制御部22内のCPU(図示せず)は、回転数検出部21から送られてくる回転数検出出力61から、後方列車2の車輪28の回転数を検出する。この回転数がN2(回/秒)であったとすると、走行制御部22内のCPU(図示せず)は、後方列車2の走行速度V2(m/秒)を、下式V2=2π×N2×R2により算出する。ここに、πは円周率であり、R2は車輪28の半径(m)である。R2の値は、例えば情報記憶部25に記憶されている。算出された速度V2の値は、制御や処理に直接用いられるほか、用いられるまでの間、いったんRAM(図示せず)等に一時記憶される。この場合、回転数検出部21と、走行制御部22内のCPU(図示せず)は、速度検出手段を構成している。
【0037】また、走行制御部12内のCPU(図示せず)は、上記した列車速度V1を積分することにより、先行列車1が走行した距離を算出する。これにより、走行制御部12内のCPU(図示せず)は、基準位置データ(例えば、先行列車1が走行を開始した始発駅における回転数検出部11に対応するレール位置の座標)を情報記憶部15から読み出すことにより、基準位置を始点とした場合の現在時点での先行列車1の線路上の位置(以下、「現在位置」という。)の座標や距離等のデータを算出することができる。先行列車1の現在位置は、回転数検出部11が設置されている列車位置に対応するレール上の位置P13である。
【0038】また、走行制御部12内のCPU(図示せず)は、列車長データ(例えば、図2におけるb1)と、回転数検出位置データ(例えば、図2におけるa1)を情報記憶部15から読み出すことにより、基準位置を始点とした場合の現在時点での先行列車1の前端部に対応する線路上の現在位置P11のデータと、基準位置を始点とした場合の現在時点での先行列車1の後端部に対応する線路上の現在位置P12のデータを算出することができる。この算出結果は、制御や処理に直接用いられるほか、用いられるまでの間、いったんRAM(図示せず)等に一時記憶される。
【0039】また、走行制御部22内のCPU(図示せず)についても同様であり、上記した列車速度V2を積分することにより、後方列車2が走行した距離を算出する。これにより、走行制御部22内のCPU(図示せず)は、基準位置データ(例えば、後方列車2が走行を開始した始発駅における回転数検出部21に対応するレール位置の座標)を情報記憶部25から読み出すことにより、基準位置を始点とした場合の現在時点での先行列車1の線路上の現在位置のデータ(例えば、基準位置から現在位置P23までの距離)を算出することができる。この算出結果は、制御や処理に直接用いられるほか、用いられるまでの間、いったんRAM(図示せず)等に一時記憶される。
【0040】また、走行制御部22内のCPU(図示せず)は、列車長データ(例えば、図3におけるb2)と、回転数検出位置データ(例えば、図3におけるa2)を情報記憶部25から読み出すことにより、基準位置を始点とした場合の現在時点での後方列車2の前端部に対応する線路上の現在位置P21のデータと、基準位置を始点とした場合の現在時点での後方列車2の後端部に対応する線路上の現在位置P22のデータを算出することができる。
【0041】次に、先行列車1の走行制御部12は、先行列車1の現在位置P11とP12のデータと、先行列車1を特定するための列車IDコードを含ませた情報を送受信部14に出力する。送受信部14は、走行制御部12から送られてきた情報を伝送信号53として車上アンテナ13に出力する。車上アンテナ13は、伝送信号53を、レール電流等としてレール3に流して送信する。
【0042】伝送信号53は、レール3を流れ、後方列車2の車上アンテナ23により取り込まれ、送受信部24に送られる。送受信部24は、伝送信号53から、先行列車1の現在位置P11とP12のデータと、先行列車1の列車IDコードが含まれた情報を受信し、走行制御部22へ出力する。
【0043】後方列車2の走行制御部22は、送受信部24から送られてきた情報から、先行列車1の列車IDコードと、先行列車1の後端部の現在位置P12のデータを読み取る。また、後方列車2の走行制御部22は、上記のようにして求めた後方列車2の前端部の現在位置P21のデータと、現在の走行速度V2の値をRAM(図示せず)等から読み出す。
【0044】後方列車2の走行制御部22は、これらの値に基き、後方列車2の走行速度を制御する。例えば、先行列車1の列車IDコードから、この先行列車1が後方列車2の直前を走行する列車であることが判明した場合には、追突しないように、先行列車1の後端部P12と後方列車2の前端部P21との間に所要の離隔距離D(例えば情報記憶部25に記憶されている。)を確保する必要がある。
【0045】このため、後方列車2の走行制御部22は、先行列車1の後端部P12のデータ(例えば基準位置からの距離)と後方列車2の前端部P21のデータ(例えば基準位置からの距離)の差を演算する。これにより、両列車の間の間隔が算出される。また、後方列車2の走行制御部22は、確保すべき離隔距離Dの値を情報記憶部25から読み出す。その後、現在の後方列車2の走行状況から将来を予測する。その結果、後方列車2がこのままの走行を続けた場合、t1秒後に離隔距離がDを下回ることが判明した場合には、駆動制動部26に制動を開始させる制御指令64を出力する。
【0046】駆動制動部26は、この制御指令64を受けると、ブレーキ装置(図示せず)を作動させ、後方列車2の車輪27の車軸等の制動を行って減速させる。これにより、後方列車2の走行速度はV2より低くなる。
【0047】この際、後方列車2の走行制御部22は、後方列車2の駆動制動部26における制動性能(例えば、ブレーキ動作を開始した後の、時間と列車速度の関係)を、情報記憶部25から読み出す。そして、現在の後方列車2の走行状況から将来を予測する。その結果、後方列車2は、t2秒後まで減速を続け、その後は、その時点の速度で走行すれば、離隔距離がDをやや上回る値に維持できることが判明した場合には、t2秒後の時点で、駆動制動部26に、制動を停止させる制御指令64を出力する。
【0048】上記とは異なる列車走行制御も可能である。例えば、後方列車2の走行制御部22は、伝送信号53から、先行列車1の列車IDコードと、先行列車1の後端部の現在位置P12のデータを読み取り、現在の両列車の間隔距離と現在の後方列車2の走行状況から将来を予測した結果、後方列車2がこのままの走行を続けた場合には、離隔距離がDを大幅に上回って増加を続けることが判明した場合には、駆動制動部26に加速を開始させる制御指令64を出力する。
【0049】駆動制動部26は、この制御指令64を受けると、電動モータ(図示せず)を作動させ、後方列車2の車輪27の車軸等の駆動を行って加速させる。これにより、後方列車2の走行速度はV2より高くなる。
【0050】この際、後方列車2の走行制御部22は、後方列車2の駆動制動部26における駆動性能(例えば、駆動を開始した後の、時間と列車速度の関係)を、情報記憶部25から読み出す。そして、現在の後方列車2の走行状況から将来を予測する。その結果、後方列車2は、t3秒後まで加速を続け、その後は、その時点の速度で走行すれば、離隔距離がDをやや上回る値に維持できることが判明した場合には、t3秒後の時点で、駆動制動部26に、駆動を停止させる制御指令64を出力する。
【0051】さらに上記とは異なる列車走行制御も可能である。例えば、後方列車2の走行制御部22は、伝送信号53から、先行列車1の列車IDコードと、先行列車1の後端部の現在位置P12のデータを読み取り、現在の両列車の間隔距離(現在位置データの差)を延在した結果、現時点で離隔距離がDを下回っていることが判明した場合には、駆動制動部26に列車を緊急停止させる制御指令64を出力する。
【0052】駆動制動部26は、この制御指令64を受けると、ブレーキ装置(図示せず)を緊急作動させ、後方列車2の車輪27の車軸等の緊急制動を行って停止させる。
【0053】上記のような列車走行制御により、後方列車2は、先行列車1との間に、必要十分な離隔距離Dをつねに確保しながら走行を行うことができる。
【0054】上記した実施形態の列車走行制御システムは、以下のような利点を有している。
【0055】(1)列車の走行制御は、主として列車内の車上装置が行い、地上設備として必要な設備は情報伝送路のみであるため、従来の場合に比べて設備コストが低廉である。
【0056】(2)車上装置内に記憶されている離隔距離Dの値を変えることにより、その線路内の列車本数を増加させることが可能であり、工事が不要で、容易である。
【0057】なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0058】例えば、上記実施形態においては、情報伝送路の例としてレール3を例に挙げて説明したが、本発明はこの例には限定されず、他の構成の情報伝送路であってもよく、例えば、無線電波等であってもよい。
【0059】また、各列車から情報伝送路へ送信される列車特定情報と列車位置情報は、後方列車だけでなく、地上の総合運行指令室や各駅において受信し、これを利用するようにしてもよい。例えば、これにより、列車ダイヤ等が乱れて列車が遅延した場合などに、次の列車やその後方の列車がどの地点に存在するを検出し、旅客への案内放送等に利用することなどが可能となる。
【0060】また、上記実施形態においては、後方列車の例として直後を走行する列車を例に挙げて説明したが、本発明はこの例には限定されず、他の後方列車であってもよく、例えば、直後の列車だけでなく、さらにその後方の列車も受信して走行制御に利用することも可能である。
【0061】さらに、後方の列車だけでなく、例えば先行列車1の前方の列車も後方の列車(1)が線路上のどの地点に存在するか認識できるので、前後の列車の状況を判断しつつ、等時間間隔で運転するように制御することも可能である。
【0062】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれば、先行列車が列車特定情報と列車位置情報を情報伝送路に送信し、後方列車の走行制御手段は、受信された先行列車の列車特定情報と列車位置情報を読み取り、先行列車と同様にして検出又は算出した後方列車の現在位置と列車速度に基き、後方列車の走行速度を制御するように構成したので、列車の走行制御を主として列車内の車上装置が行い地上設備として必要な設備は情報伝送路のみであるため従来の場合に比べて設備コストが低廉であり、車上装置内に記憶されている離隔距離Dの値を変えることによりその線路内の列車本数を増加させることが可能であり、工事が不要で、容易である、という利点を有している。
【出願人】 【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
【出願日】 平成12年7月11日(2000.7.11)
【代理人】 【識別番号】100105108
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 洋一
【公開番号】 特開2002−27617(P2002−27617A)
【公開日】 平成14年1月25日(2002.1.25)
【出願番号】 特願2000−209206(P2000−209206)