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【発明の名称】 磁気浮上式鉄道用推進コイル装置
【発明者】 【氏名】地蔵 吉洋

【氏名】梅木 健

【要約】 【課題】車上のコイルとのギャップを広げることなく、効率を低下させずに必要な巻数を巻線できる磁気浮上式鉄道用推進コイル装置を得る。

【解決手段】推進コイル装置の各コイルは、偶数段の構成で巻回されており、軌道側壁側から数えて奇数段は外周側から内周側に向かって巻線され、偶数段は内周側から外周側に向かって巻線されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軌道側壁に配置され、各相毎に1条のケーブルを巻線して複数のコイルを形成し、これらを直列に結線して、リニアモータの電機子を構成する磁気浮上式鉄道用推進コイル装置において、各コイルは偶数段の構成で巻回されており、軌道側壁側から数えて奇数段は外周側から内周側に向かって巻線され、偶数段は内周側から外周側に向かって巻線されていることを特徴とする磁気浮上式鉄道用推進コイル装置。
【請求項2】 コイルを形成するケーブルは可撓性絶縁材料を主材料とする耐圧ケーブルである請求項1記載の磁気浮上式鉄道用推進コイル装置。
【請求項3】 可撓性絶縁材料はエチレンプロピレンゴムである請求項2記載の磁気浮上式鉄道用推進コイル装置。
【請求項4】 各相2コイル〜8コイルをケーブル1条で連続したものを1グループ単位として、3相分を軌道側壁に巻線したものから構成される請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の磁気浮上式鉄道用推進コイル装置。
【請求項5】 各相2コイル〜8コイルをケーブル1条で連続したものを1グループ単位として、3相分を対応する長さ5.4m〜21.6mのコンクリート製のパネル状構造物あるいはビーム状構造物に巻線したものから構成される請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の磁気浮上式鉄道用推進コイル装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、磁気浮上式鉄道においてリニアモータの電機子を構成する推進コイル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図6は例えば特開平3−124253号公報に示された従来の推進コイルを示す構成図である。図6において、1は1条のケーブルを巻線して形成した集中巻コイル、3はコイル1間の渡り部である。9は集中巻コイルを保持するバインダである。3m(AC間長さ)ピッチで巻線され、バインダ9で保持された複数の集中巻コイル1とそれぞれ2m(BC間)長の渡り部3は、1条のケーブルで構成されている。図7は従来の推進コイルを予め巻線するための巻枠と巻線手順を示す図であり、図7(a) は端部の渡り部3を巻いたところで、10はドラム部のリール、12は胴板、13はスリット、11はつばである。図7(b) は1番目の集中巻コイル1を巻線したところで、巻枠のドラム部のリール10にスリット13が所定のピッチで設けられており、このスリット13でコイル1はバインダ9でバインドされる。図7(c) は上記の巻線作業を繰り返して3つのコイル1および4つの渡り部3まで巻線したところを示す。
【0003】このようにして製作された複数の集中巻コイル1をコンクリートパネルやコンクリートビーム(代表して以後コンクリートパネルという)に設けた取付用の型枠に取付け、コンクリートパネルの端部に取り付けた、コイル1からの渡り部3の先端のコネクタを介して隣のコンクリートパネルのコイル1の渡り部3に接続し、き電セクション毎に3相結線してリニアモータの電機子を構成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の推進コイル装置において、以下に示すような問題点があった。1条のケーブルを使用して巻線ドラムに複数コイルを巻線し、コンクリートパネルへは順次端のコイルから押し出して取り付けることから、巻枠にはコイル毎につばを付けないため、コイルは複数層巻きは崩れ易く巻線が困難であり、1層巻きとなる。このため推進コイルの必要な巻数を得るためには段方向(軌道側壁から遠ざかる方向)の巻数が多くなり、コイルの深さ方向の寸法が大きくなって、図8に示すように車上の界磁コイルである超電導コイルとのギャップGが大きくなり、LSM(リニアシンクロナスモータ)の効率が悪くなるという問題点があった。図8において、1はケーブルを巻線したコイル、3は渡り部、7は軌道側壁、8は磁気浮上車両、14はコイル取り付け用の突起又は取付用型枠、15は車両8に搭載された超電導コイルである。
【0005】また、工夫をして複数層に巻線したとしても巻始め部が最内周から始まるため、上記のギャップがケーブル1本分は無駄に広がるという問題点があった。この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、車上のコイルとのギャップを広げることなく、効率を低下させずに必要な巻数を巻線できる磁気浮上式鉄道用推進コイル装置を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明に係わる磁気浮上式鉄道用推進コイル装置は、軌道側壁に配置され、各相毎に1条のケーブルを巻線して複数のコイルを形成し、これらを直列に結線して、リニアモータの電機子を構成する磁気浮上式鉄道用推進コイル装置において、各コイルは偶数段の構成で巻回されており、軌道側壁側から数えて奇数段は外周側から内周側に向かって巻線され、偶数段は内周側から外周側に向かって巻線されているものである。
【0007】また、コイルを形成するケーブルは可撓性絶縁材料を主材料とする耐圧ケーブルである。また、可撓性絶縁材料はエチレンプロピレンゴムである。
【0008】また、各相2コイル〜8コイルをケーブル1条で連続したものを1グループ単位として、3相分を軌道側壁に巻線したものから構成される。
【0009】さらにまた、各相2コイル〜8コイルをケーブル1条で連続したものを1グループ単位として、3相分を対応する長さ5.4m〜21.6mのコンクリート製のパネル状構造物あるいはビーム状構造物に巻線したものから構成される。
【0010】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1である推進コイル装置の要部を示す正面図で、図において、1a ,1b ,1c はケーブルをコイル状に巻線した集中巻コイルで、例えば1a はU相、1bはV相、1cはW相のコイルである。2はケーブルをコイル状に巻線して納めるための溝16が形成されたコンクリートパネル、17は溝16で取り囲まれたコイルの取付用型枠、3a,3b,3cは同一の相の隣り合うコイルへの渡り部で、コイル1とは1条のケーブルで連続的に繋がっており、それぞれ3a ,3b,3cはそれぞれ1a ,1b,1cのコイルに繋がっている。また、4a,4b,4cは各相コイルの巻始め部、5a,5b,5cは各相コイルの巻終り部を示している。コイルの渡り部3はコンクリートパネルの端部でケーブルコネクタ6を介して隣のコンクリートパネルに巻線されたコイルの渡り部と接続されて、各相同士が直列接続される。各相コイル1a ,1b ,1cと渡り部3a,3b,3cはそれぞれ連続し、き電セクション毎に3相結線されており、リニアモータの電機子を構成している【0011】図2は図1のII―II線における推進コイル装置の集中巻コイル1bの断面図で、コンクリートパネルの溝にケーブルが2段×3ターン巻かれている。巻線を偶数段に構成することによって、巻始め部4bと巻終り部5bを互いに(軌道側壁からの)異なる高さ位置とすることができ、複数コイルを連続して巻線したときの渡り部3bへケーブルを無理な屈曲をさせることなくスムースに移行できる。なお、図2の2d,2e,2f面を図1では、点点状模様で表している。
【0012】次に実施の形態1におけるコイル1bの巻線手順を図3 (a)〜(g) に示す。図3(a) は巻線開始前を示し、(b) はコイル1bの1ターン目を巻線したところ、(c) は2ターン目、(d) は3ターン目を巻線したところを示す。軌道側壁側から数えて1段目は図3の( b) 〜( d) に示すように巻線外周側から巻始め、内周側に向かって巻線する。図3(e) 〜(g) は段上がりして、2段目を順次3ターン巻線する手順を示している。2段目は内周側から外周側に向かって巻線する。
【0013】上記のように巻線を偶数段に構成し、1段目(奇数段目)を溝の外周に沿って最外ターン(外周側)から最内ターン(内周側)に向かって巻始め、最内ターンで段上がりして2段目(偶数段目)は最内ターンから最外ターンに向かって巻線し、以下必要なら、最外ターンで段上がりして3段目(奇数段目)は最外ターンから最内ターンに向かって巻線し、段数を偶数同様に繰り返すことによって、巻始め部4bと巻終り部5bを互いに軌道側壁から異なる高さ位置の外周側に持ってくることができ、複数コイルを連続して巻線する渡り部3bへケーブルを無理な屈曲をさせることなくスムースに移行でき、また、巻始めと1段目、巻終わりと2段目(偶数段目)が同一の平面内に巻線でき、余分なスペースをとらずにコイル1を巻線できる。
【0014】ケーブルは例えばエチレンプロピレンゴムのような可撓性の高い材料を主絶縁とする高耐圧ケーブルとすることによりコイルの最小曲げ半径をケーブル外径の4.5〜5倍とすることができ、限られたスペースの中で大きな窓面積をとることができ、LSMの効率を向上できる。
【0015】実施の形態2.図4はこの発明の実施の形態2の磁気浮上式鉄道を示す断面図で、1は集中巻コイル、3はコイル間の渡り部、7は軌道側壁、8は磁気浮上車両、15は車両に搭載された超電導コイルを示す。ケーブルはコンクリート軌道側壁7の溝16に沿わせて型枠17に、実施の形態1と同様の巻き方で、直接巻線される。軌道に沿って1条のケーブルで連続して巻線される集中巻コイル1の数は軌道上で扱える巻線ドラムの径で制限されるが、2コイル以上8コイル以下が適当である。2コイル以上とすることによりそれだけケーブルコネクタの数を減らすことができ、8コイル以下とするのは、ドラムの径で制限されるためである。2コイル以上8コイル以下をケーブル1条で連続させたものを1グループ単位としている。この単位の3相分U相、V相、W相がそれぞれ120度ピッチに軌道側壁7に巻線配置されている。そしてケーブルコネクタで次のグループ単位のU相、V相、W相にそれぞれ接続される。ケーブルにエチレンプロピレンゴムのような可撓性の高い材料を主絶縁とするケーブルを使用すると柔軟性があるため、軌道側壁の平面精度に厳しい精度が要求されないため、軌道側壁の建設コストを安価にすることができる。
【0016】実施の形態3.図5はこの発明の実施の形態3における磁気浮上式鉄道を示す断面図で、18はケーブルから、実施の形態1と同様の巻き方で、コイル1を形成するように巻線したコンクリートパネルであり、軌道側壁7に取り付けられる。各相2コイル〜8コイルをケーブル1条で連続したものを1グループ単位として、3相分を対応する長さ5.4m〜21.6mのコンクリート製のパネル状構造物に巻線している。そしてケーブルコネクタで次のコンクリート製のパネル状構造物のU相、V相、W相にそれぞれ接続される。例えば、コンクリート製のパネル状構造物は、各相2コイル×3層分=6コイルで、コイルピッチ0. 9mで5.4m長となり、各相8コイル×3層分=24コイルで、コイルピッチ0. 9mで21.6m長となる。図5の場合は、実施の形態2における効果に加えて、コンクリートパネルを軌道上ではなく、別の建屋内に設置して巻線できるため、巻線のための設備を固定的に設置でき、巻線作業の能率を向上させることができる。なお、この実施の形態3では、コンクリートパネルについて説明したが、軌道に対して、自立するようなコンクリートビーム構造の場合にも同等の効果を奏する。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の磁気浮上式鉄道用推進コイル装置によれば、軌道側壁に配置され、各相毎に1条のケーブルを巻線して複数のコイルを形成し、これらを直列に結線して、リニアモータの電機子を構成する磁気浮上式鉄道用推進コイル装置において、各コイルは偶数段の構成で巻回されており、軌道側壁側から数えて奇数段は外周側から内周側に向かって巻線され、偶数段は内周側から外周側に向かって巻線されているので、各コイルは車上のコイルとのギャップを広げることなく、効率を低下させずに必要な巻数を巻線でき、巻始め部と巻終り部を互いに軌道側壁から異なる高さ位置の外周側に持ってくることができ、複数コイルを連続させる渡り部へケーブルをスムースに移行できる。
【0018】また、コイルを形成するケーブルは可撓性絶縁材料を主材料とする耐圧ケーブルであるので、コイルの最小曲げ半径を小さくでき、限られたスペースの中で大きな窓面積をとることができ、効率を向上できる。
【0019】また、可撓性絶縁材料はエチレンプロピレンゴムであるので、コイルの最小曲げ半径を小さくできる。
【0020】また、各相2コイル〜8コイルをケーブル1条で連続したものを1グループ単位として、3相分を軌道側壁に巻線したものから構成されるので、軌道側壁の建設コストを安価にすることができる。また、可撓性絶縁材料を使用しておれば、軌道側壁の平面度に厳しい精度が要求されない。
【0021】さらにまた、各相2コイル〜8コイルをケーブル1条で連続したものを1グループ単位として、3相分を対応する長さ5.4m〜21.6mのコンクリート製のパネル状構造物あるいはビーム状構造物に巻線したものから構成されるので、コンクリートパネルを軌道上ではなく、別の建屋内に設置して巻線できるため、巻線のための設備を固定的に設置でき、巻線作業の能率を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
【出願日】 平成12年6月30日(2000.6.30)
【代理人】 【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
【公開番号】 特開2002−27614(P2002−27614A)
【公開日】 平成14年1月25日(2002.1.25)
【出願番号】 特願2000−199656(P2000−199656)