| 【発明の名称】 |
リニアインダクションモータ制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】河野 雅樹
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| 【要約】 |
【課題】ギャップ変動に基づいてその内部定数値の変化を補正することにより、回転型三相誘導電動機のベクトル制御演算と同様な制御性能が得られるリニアインダクタンスモータ制御装置を得る。
【解決手段】リニアインダクションモータの1次側6と2次側12のギャップとこのリニアインダクションモータの等価回路定数である相互インダクタンスの関係を導出し、この導出出力に基づいてリニアインダクタンスモータの1次側6と2次側12のギャップ変動による相互インダクタンスの変化を補正する定数補正装置11と、この定数補正装置11の出力に基づいてリニアインダクションモータを制御する制御手段とを備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リニアインダクションモータの1次側と2次側のギャップと該リニアインダクションモータの等価回路定数である相互インダクタンスの関係を導出し、該導出出力に基づいて上記リニアインダクタンスモータの1次側と2次側のギャップ変動による相互インダクタンスの変化を補正する補正手段と、該補正手段の出力に基づいて上記リニアインダクションモータを制御する制御手段と備えたことを特徴とするリニアインダクションモータ制御装置。 【請求項2】 上記補正手段は、上記リニアインダクションモータの速度に対応した外力を出力する外力出力手段と、該外力出力手段の出力と車体重量に基づいて上記リニアインダクションモータの1次側と2次側のギャップ長を演算する第1の演算手段と、該第1の演算手段の出力に基づいて上記リニアインダクションモータの等価回路定数に関連した相互インダクタンスを演算する第2の演算手段とを有することを特徴とする請求項1記載のリニアインダクションモータ制御装置。 【請求項3】 上記外力出力手段は、上記リニアインダクションモータの速度が入力されると予め設定されたテーブルを検索して対応する外力を求めることを特徴とする請求項2記載のリニアインダクションモータ制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、リニアインダクションモータ制御装置に関し、特に、電気車搭載リニアインダクションモータの制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、電気車駆動用リニアインダクションモータの1次側と2次側のギャップ長は、車両の走行中に大幅に変動する。このギャップ長の変動は、電気車に望まれる定トルク特性を損なうため、ギャップ長を検出してリニアインダクションモータのすべり周波数およびモータ電流を修正する方法がある。 【0003】図5は、例えば特開昭61−199404号公報に示されたこの種従来のリニアインダクションモータ制御装置を示す構成図である。図において、6はリニアインダクションモータの一次側、7はインバータ装置、12はリニアインダクションモータの二次側、40はすべり周波数パターン発生器、41はリニアインダクションモータの電流を検出する電流センサ、42はモータ周波数(車両速度)を検出する速度発電機、43は演算増幅器、44は電圧パターン発生器、45は電気車即ちリニアインダクションモータの1次側6に取り付けられたギャップ検出器、50は電流パターン発生器である。 【0004】次に、動作について説明する。ギャップ検出器45によりリニアインダクションモータの一次側6と二次側12間のギャップ長δを測定する。トルク指令Tとギャップ長δがすべり周波数パターン発生器40に入力され、後述するすべり周波数基準fSPを発生する。また、トルク指令Tとギャップ長δが電流パターン発生器50に導かれ、電流基準IPを発生する。 【0005】ギャップ長δが変動すると、これに伴いモータ定数が変動するが、リニアインダクションモータの定トルク特性を維持するためには、2次抵抗R2による発生トルクを一定にすればよいので、(I2)×R1・f1/fsが一定になるように各要素を補正すればよい。ここで、I2はモータ2次電流、R1は1次抵抗、f1は1次周波数、fSはすべり周波数を表す。リニアインダクションモータの1次誘起電圧E1は、下記の式(1)で表される。 【0006】 【数1】
【0007】ギャップ長δがΔδだけ変動したことにより、L2(リニアインダクションモータの2次漏れインダクタンス),R2,I2,fSがそれぞれ、ΔL2,ΔR2,ΔI2,ΔfSだけ変動したとすると、変動後の1次誘起電圧E1Δは、下記の式(2)の如くなる。 【0008】 【数2】
【0009】但し、上記式(2)において、R2′=R2+ΔR2,L2′=L2+ΔL2,I2′=I2+ΔI2,fS′=fS+ΔfSとなる。ここで、E1=E1Δとなるように、1次電圧Vを制御する場合、変数はfS,I2,(fS+ΔfS),(I2+ΔI2)となり、モータ定数はギャップ長の変動に対して予め演算もしくは計測より求め得る量となる。また、変数fS,I2,変数(fS+ΔfS)と(I2+ΔI2)は1次誘起電圧に対して一定の関係をもったものとなるため、2次電流I2とその変動分ΔI2が決まれば発生トルクTは一義的に決定される。また、1次誘起電圧E1と1次電圧とは下記の関係式で表される。 【0010】 【数3】
【0011】従って、リニアインダクションモータの界磁の利用率等から1次誘起電圧E1を決定し、ギャップ長に対するリニアインダクションモータのモータ定数を実測によって求め、所定のトルクTを得るために2次電流I2を演算し、1次誘起電圧E1を所定の値とした場合のギャップ長に対する励磁電流Ioの大きさを演算する。 【0012】上記のようにして求めたI2とI0から、ギャップ長に対する1次電流I1を演算する。上記I2をパラメータとして、所定のトルクTを得るためのすべり周波数fSを演算する。また、すべり周波数パターン発生器40は、トルク指令Tに対し、検出した入力されるギャップ長に対応するすべり周波数、すなわちすべり周波数基準fSPを演算して出力する。同様に、電流パターン発生器50はトルク指令Tに対し、入力されるギャップ長に対応する1次電流I1、すなわち電流基準Ipを演算して出力する。 【0013】従って、ギャップ長が増減した場合、発生しているリニアインダクションモータの2次出力が維持されるように、すべり周波数およびモータ電流が修正されるので、リニアインダクションモータは定トルク制御される。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のような従来のリニアインダクションモータ制御装置は、以下のような問題点があった。電気車では、ひとつの電力変換器から複数のリニアモータ、例えば2個モータ、4個モータへ給電することが多く、ギャップ長は個々のモータ毎に正確に検出しない限り、電気車の総合トルクを制御することはできない。このため、多数のギャップ検出器を必要とし、精度、信頼性に欠け、またコスト的にも高価になる等の問題点があった。 【0015】また、リニアインダクションモータは、図6に示すように周知の回転型三相誘導電動機と同じ等価回路で表現できる。従って回転型三相誘導電動機と同様のベクトル制御が可能である。しかし、電気車駆動リニアインダクタンスモータでは、ギャップ変動によりリニアインダクタンスモータの等価回路定数の変化によって制御内部定数値と異なってくるという問題点があった。 【0016】この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたものであり、ギャップ検出器なしでリニアインダクションモータが発生する吸引力または反発力と車両重量変化によるギャップ変動を検出しリニアインダクタンスモータの等価回路定数の変化を把握し、その制御内部定数値を補正することにより、回転型三相誘導電動機のベクトル制御演算と同様な制御性能が得られるリニアインダクタンスモータ制御装置を得ることを目的とする。 【0017】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るリニアインダクションモータ制御装置は、リニアインダクションモータの1次側と2次側のギャップと該リニアインダクションモータの等価回路定数である相互インダクタンスの関係を導出し、該導出出力に基づいて上記リニアインダクタンスモータの1次側と2次側のギャップ変動による相互インダクタンスの変化を補正する補正手段と、該補正手段の出力に基づいて上記リニアインダクションモータを制御する制御手段とを備えたものである。 【0018】請求項2の発明に係るリニアインダクションモータ制御装置は、請求項1の発明において、上記補正手段は、上記リニアインダクションモータの速度に対応した外力を出力する外力出力手段と、該外力出力手段の出力と車体重量に基づいて上記リニアインダクションモータの1次側と2次側のギャップ長を演算する第1の演算手段と、該第1の演算手段の出力に基づいて上記リニアインダクションモータの等価回路定数に関連した相互インダクタンスを演算する第2の演算手段とを有するものである。 【0019】請求項3の発明に係るリニアインダクションモータ制御装置は、請求項2の発明において、上記外力出力手段は、上記リニアインダクションモータの速度が入力されると予め設定されたテーブルを検索して対応する外力を求めるものである。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を、図を参照して説明する。 実施の形態1.図1は、この発明の実施の形態1を示す構成図である。なお、図1において、図5と対応する部分には同一符号を付して、その説明を省略する。図において、1は制御装置、2はパンタグラフ、3は直流リアクトル、4はフイルタコンデンサ、5はグランド、8はPWM装置、9はベクトル制御演算部、10は指令装置、11はリニアインダクションモータの1次側と2次側のギャップ変動によるリニアインダクションモータの等価回路定数を補正する補正手段としての定数補正装置である。なお、インバータ装置7、PWM装置8およびベクトル制御演算部9は制御手段を構成する。 【0021】図2は、図1の定数補正装置11の詳細を示すブロック図である。図において、11aは各速度に対する外力fをテーブルとして予め記憶させた外力出力手段としての速度−外力記憶手段、11bは車両重量検出器(図示せず)よりの車体重量Mtと外力fに基づき、ギャップδの長さを下記の式(9)により演算する第1の演算手段としてのギャップ長演算手段、11cは上記式(4)より推定相互インダクタンスMcを演算する第2の演算手段としての相互インダクタンス演算手段である。 【0022】また、図3は、リニアインダクションモータの起磁力分布と磁束分布を示す概略図、図4はこの発明の基本原理を示す概略図であり、図において、13は車体、14は車輪である。 【0023】次に、動作について説明する。先ず、図3および図4を参照して、この発明の基本原理を説明する。リニアインダクションモータの1次側と2次側のギャップ変動によるリニアインダクションの等価回路定数の1つである相互インダクタンスMは、磁束Φm/磁化電流IMlで表すことができる。磁束Φmを発生させるに必要な起磁力の最大値Fmは、次の式(5)ように表せる。 【0024】 【数4】
【0025】ここで、δ:ギャップの長さ[m]、μ:空気中の透磁率(=4π×10-7H/m)、s:ギャップ面の一極の広さ、すなわち、(極ピッチτb)×(鉄心長さl)[m2]、κs:飽和係数(鉄心の飽和のため、起磁力が増える係数で1.1〜1.5)、κc:カーター係数(スロットの開口部の影響で実質的にギャップの効果が増える係数で1.1〜1.3)である。また、Φm/sは平均の磁束密度であるから、π/2倍して最大値を求めている(図3参照)。起磁力の最大値Fmは、磁化電流を実効値で表してIMlとすれば、次の式(6)ように表すことができる。 【0026】 【数5】
【0027】ここで、N1:全巻き数、Pm:極数を表す。磁気抵抗が全てギャップに存在するとすれば、上記式(5)および(6)式より、相互インダクタンスMは、次の式(7)式を用いて算出される。 【0028】 【数6】
【0029】上記式(7)式より相互インダクタンスMとギャップδの関係は、下記の式(8)のように表すことができ、反比例の関係が成り立つ。 【0030】 【数7】
【0031】ただし、κ=2.64(N1/Pm)・(2Sμ/π・κs・κc)とし、κは一定定数と考えられる。相互インダクタンスは、温度変動、磁束飽和の影響を無視するとギャップの長さによって一義的に決まる。従ってギャップの長さが把握できれば、相互インダクタンスも予め把握できる。 【0032】また、ギャップの把握であるが、電気車駆動用リニアインダクションモータの場合、ギャップ変動はリニアインダクションモータが発生する吸引力または反発力による歪みと乗車の割合による車両重量変化で発生する。この変動量のうち車体重量は検出することによって把握できるため、外力(吸引力または反発力)が把握できれば、ギャップ変動量も把握できる。即ち、下記の式(9)で表される。 【0033】 ギャップの長さδ=ka×(Mt+f) (9) 【0034】ここで、ka:比例定数、Mt:車体重量、f:外力(吸引力または反発力)となる。次に、外力の把握であるが、電気車駆動リニアインダクションモータでは速度により外力が一義的に把握できる。 【0035】次に、図1および図2の動作について説明する。速度vtが入力されると、速度−外力記憶手段11aはその内部のテーブルを検索して対応する外力fを求める。この外力fと車両重量検出器よりの車体重量Mtを用いてギャップ長演算手段11bにおいて、上記式(9)の演算を行い、ギャップ長δを求める。この演算されたギャップ長δから相互インダクタンス演算手段11cにより上記式(8)を演算し、推定相互インダクタンスMcを求める。この求められた推定相互インダクタンスMcは、実機の値に等しくなるように補正された等価回路定数である。 【0036】この等価回路定数Mは、ベクトル制御演算部9(図1)へ入力され、補正された推定相互インダクタンスMcを使用して演算される。なお、上述の等価回路定数の補正は、運行中、常に行われる。ベクトル制御演算部9では、すべり周波数形ベクトル制御の原理に基づいて、トルク指令TM*、2次磁束指令Φ2*から1次dq軸電流指令i1d*,i1q*とすべり周波数指令ωs*を次式より演算する。 【0037】 【数8】
【0038】よって、下記の式(13)および(14)に基づいて、dq軸電圧指令Vd*,Vq*を演算する。 【0039】 【数9】
【0040】dq軸電圧指令Vd*,Vq*をもとにして、PWM装置8でインバータ7を駆動させるPWM信号を出力する。 【0041】このように、本実施の形態では、リニアインダクションモータのギャップと等価回路定数である相互インダクタンスの関係を導出し、また、インダクションモータが発生する吸引力または反発力と車体重量を検出してギャップ長を把握し導出した式による相互インダクタンスを補正できる定数補正装置を設け、リニアインダクションの1次側と2次側のギャップ変動によるインダクションモータの等価回路定数の変化を補正するので、、制御演算で使用するリニアインダクションモータの内部定数値が実機と等しくなり、ギャップ変動に拘わらず推力が一定に維持され、乗り心地が悪くなることを防ぐことができる。 【0042】 【発明の効果】請求項1の発明によれば、リニアインダクションモータの1次側と2次側のギャップと該リニアインダクションモータの等価回路定数である相互インダクタンスの関係を導出し、該導出出力に基づいて上記リニアインダクタンスモータの1次側と2次側のギャップ変動による相互インダクタンスの変化を補正する補正手段と、該補正手段の出力に基づいて上記リニアインダクションモータを制御する制御手段とを備えたので、制御演算で使用するモータの等価定数が実機の値と等しくなり、ギャップ変動に拘わらず推力が一定に維持され良好な制御特性が得られ、車両等に適用した場合には良好な乗り心地が得られ、しかも精度、信頼性を向上できると共にコスト的にも安価になるという効果がある。 【0043】請求項2の発明によれば、上記補正手段は、上記リニアインダクションモータの速度に対応した外力を出力する外力出力手段と、該外力出力手段の出力と車体重量に基づいて上記リニアインダクションモータの1次側と2次側のギャップ長を演算する第1の演算手段と、該第1の演算手段の出力に基づいて上記リニアインダクションモータの等価回路定数に関連した相互インダクタンスを演算する第2の演算手段とを有するので、ギャップ変動に拘わらず推力が一定に維持され良好な制御特性が得られ、精度、信頼性の向上、コストの低廉化に寄与できるという効果がある。 【0044】請求項3の発明によれば、上記外力出力手段は、上記リニアインダクションモータの速度が入力されると予め設定されたテーブルを検索して対応する外力を求めるので、良好な制御特性等の向上に寄与できるという効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006013 【氏名又は名称】三菱電機株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月26日(2000.6.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100057874 【弁理士】 【氏名又は名称】曾我 道照 (外6名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−10412(P2002−10412A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月11日(2002.1.11) |
| 【出願番号】 |
特願2000−191125(P2000−191125) |
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