| 【発明の名称】 |
自動車、およびその電源装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】天野 雅彦
【氏名】正木 良三
【氏名】諸岡 泰男
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| 【要約】 |
【課題】複数電圧が供給可能な自動車電源において、複数のバッテリやDC/DCコンバータを不要とし、かつコントローラ故障時にも動作可能とする。
【解決手段】バッテリ6に高電圧端子11と低電圧端子12とを設け、インバータ3と高電圧端子11の間に高電圧端子11からインバータ3への一方向の電力供給を制御する高電圧FET4を、インバータ3と低電圧端子12との間にインバータ3から低電圧端子12への一方向の電力供給を制御する低電圧FET5を接続する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】高電圧端子と低電圧端子の複数の異なる電圧の端子を有するバッテリと、交流電力を直流電力に変換する変換器と、前記バッテリの高電圧端子から前記変換器への一方向の電力供給を制御する第1のスイッチング素子と、前記変換器から前記バッテリの低電圧端子への一方向の電力供給を制御する第2のスイッチング素子と、を有する自動車の電源装置。 【請求項2】請求項1記載において、前記変換器を構成するスイッチング素子と、前記第1及び第2のスイッチング素子とを一体構成とした自動車の電源装置。 【請求項3】請求項1記載において、前記第1及び第2のスイッチング素子を電界効果トランジスタ(FET)と逆接続のダイオードにより構成するとともに、前記第1あるいは第2のスイッチング素子のソース側からドレイン側に電流が流れようとする場合に該スイッチング素子のゲートをオンする自動車の電源装置。 【請求項4】請求項1記載において、前記第1及び第2のスイッチング素子の状態に応じて、前記変換器の直流側電圧を制御する自動車の電源装置。 【請求項5】請求項1記載において、前記第1,第2のスイッチング素子の少なくとも一方が制御できないとき、前記変換器の電力の方向に応じて前記変換器の直流側電圧を制御する自動車の電源装置。 【請求項6】請求項1記載において、前記バッテリは複数個のバッテリブロックを直列に接続して構成されている自動車の電源装置。 【請求項7】請求項1記載において、前記バッテリの高電圧端子側の充電率、及び前記バッテリの低電圧端子側の充電率をそれぞれ検知する充電率検出手段を有し、該充電率検出手段が検出した充電率に応じて前記第1及び第2のスイッチング素子を制御する自動車の電源装置。 【請求項8】請求項1記載において、前記変換器の直流側電圧を前記バッテリの一方の端子の電圧目標値に合わせて制御する場合に、前記バッテリの別の端子の電圧検出値に応じて補正を加える自動車の電源装置。 【請求項9】モータ/ジェネレータと、前記モータ/ジェネレータを駆動するインバータと、複数の異なる電圧の端子を介して前記インバータに接続されたバッテリと、前記バッテリの複数の異なる電圧の端子のうち所定の第1の端子と前記インバータの間に設けられた第1のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子の内部に断続切換手段と並列に設けられ、前記インバータから前記第1の端子への方向へより多く電流を流す第1の整流素子と、前記バッテリの複数の異なる電圧の端子のうち前記第1の端子よりも低電圧の第2の端子と前記インバータの間に設けられた第2のスイッチング素子と、前記第2のスイッチング素子の内部に断続切換手段と並列に設けられ、前記第2の端子から前記インバータの方向へより多く電流を流す第2の整流素子と、前記バッテリの充電状態に応じて前記第1及び第2のスイッチング素子をオン・オフするバッテリ制御装置と、を有する自動車。 【請求項10】請求項9記載において、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子は、それぞれ第1の電界効果トランジスタ、および第2の電界効果トランジスタである自動車。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車内の使用電力の増大に対応するために複数の異なる電圧を必要とする自動車、およびその電源装置に係り、特に複数電圧電源を低コストで実現するのに好適な技術に関する。 【0002】 【従来の技術】電動パワステや電動エアコンなど自動車搭載機器の電動化,大容量化に対応するため、従来の14V系電源に42V系電源を加えた42V自動車電源システムが提案されている。42V系電源では電圧が従来の3倍となるため電流が3分の1で済み、損失低減やハーネスの軽量化,大電力負荷の採用などが期待できる。 【0003】しかし、電力負荷の中にはランプ系など42V化が難しいものもあるため、当面は42Vと14Vの2種類の電圧が混在する形になることが予想される。 【0004】そこで、42V用バッテリ(定格36V)と14V用バッテリ(定格12V)の両方を備え、オルタネータから42V用バッテリに充電し、14V用バッテリへはDC/DCコンバータを介して充電する方式が提案されている。 【0005】また、コスト低減策として、オルタネータの出力を42V側または14V側にスイッチで切り換えることにより、DC/DCコンバータを省略する方式も提案されている。 【0006】さらには、2つのバッテリを直列に接続して2種類の電圧端子を設け、スイッチング素子の切り換えにより各バッテリの充電を切り換える方式もある。これを42V電源に適用すれば、42V用バッテリに14V端子を持たせられるため、14V用バッテリを別に用意する必要がなくなる。この方式の記載例として、米国特許第4,686,442号がある。 【0007】また、オルタネータの効率向上やスタータの寿命向上を目的として、スタータとオルタネータの機能を一体化しインバータで制御するモータ/ジェネレータを42V電源に適用する方式も考えられている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】上記の方式のうち、オルタネータの出力を42V側または14V側にスイッチで切り換える方式では、スイッチを制御するコントローラが故障してスイッチをオンすることができなくなった場合、バッテリに全く充電することができなくなるという問題がある。また、42V用バッテリとは別に14V用バッテリを備える必要があり、コストが高くなってしまう。 【0009】2つのバッテリを直列に接続して2種類の電圧端子を設け、スイッチング素子の切り換えにより各バッテリの充電を切り換える方式では、オルタネータからの充電方向のみを考慮したスイッチング素子構成になっており、放電方向には電流が流せないため、スタータの機能を一体化させたモータ/ジェネレータには適用できないという問題がある。 【0010】また、どちらの例においてもスイッチを切り換える際の電源電圧の変化については考慮されていない。 【0011】本発明の目的の一つは、DC/DCコンバータを用いず、かつバッテリを複数個必要とせず、さらにスイッチを制御するコントローラが故障しても動作可能な自動車、およびその電源装置を提供することである。 【0012】また、本発明の他の目的は、スイッチを切り換える際の電源電圧の変動が少なくなるように制御可能な自動車、およびその電源装置を提供することである。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明は、高電圧端子と低電圧端子とを有するバッテリと、交流電力を直流電力に変換する変換器と、バッテリの高電圧端子から変換器への一方向の電力供給を制御する第1のスイッチング素子と、変換器からバッテリの低電圧端子への一方向の電力供給を制御する第2のスイッチング素子とを有する自動車の電源装置である。 【0014】この構成により、DC/DCコンバータを用いなくても複数電圧の電源系が実現できる。 【0015】また、1つのバッテリに複数電圧の端子を設けたため、電圧ごとに別々のバッテリを用意する必要がない。 【0016】本発明の好ましくは、第1及び第2のスイッチング素子は、電界効果トランジスタと逆接続のダイオードにより構成することである。 【0017】また本発明の好ましくは、変換器の直流側電圧を、スイッチング素子のオンオフ状態に応じて高電圧端子側あるいは低電圧端子側の電圧に制御することである。 【0018】また本発明の好ましくは、コントローラなどの故障により第1または第2のスイッチング素子が制御できない場合には、変換器が変換する電力の方向に応じて変換器の直流側電圧を制御することである。 【0019】このことによりスイッチング素子が制御不能となった場合でも、逆接続ダイオードの働きにより、高電圧端子側への充電、及び低電圧端子側からの放電は常に可能であり、低電圧端子側のバッテリ残存量がなくなるまで自動車を動作させることができる。 【0020】また、本発明の好ましくは、高電圧端子側のバッテリ充電率、及び低電圧端子側のバッテリ充電率をそれぞれ検知する充電率検出手段を備え、検出した充電率に応じて第1及び第2のスイッチング素子を制御することである。 【0021】これにより、高電圧端子側と低電圧端子側とでバッテリ充電率にアンバランスが生じないように制御することができ、充電率のアンバランスによるバッテリ性能の低下を防ぐことができる。 【0022】また、本発明の好ましくは、変換器により直流電圧を制御する際に、直接制御していない他の電圧端子の電圧を検出して、電圧制御系に補正を加えることである。 【0023】これにより、スイッチング素子を切り換えても端子電圧が大きく変化しないような制御が可能となる。 【0024】また本発明は、モータ/ジェネレータと、前記モータ/ジェネレータを駆動するインバータと、複数の異なる電圧の端子を介して前記インバータに接続されたバッテリと、前記バッテリの複数の異なる電圧の端子のうち所定の第1の端子と前記インバータの間に設けられた第1のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子の内部に断続切換手段と並列に設けられ、前記インバータから前記第1の端子への方向へより多く電流を流す第1の整流素子と、前記バッテリの複数の異なる電圧の端子のうち前記第1の端子よりも低電圧の第2の端子と前記インバータの間に設けられた第2のスイッチング素子と、前記第2のスイッチング素子の内部に断続切換手段と並列に設けられ、前記第2の端子から前記インバータの方向へより多く電流を流す第2の整流素子と、前記バッテリの充電状態に応じて前記第1及び第2のスイッチング素子をオン・オフするバッテリ制御装置と、を有する自動車である。 【0025】また本発明の好ましくは、前記第1のスイッチング素子と第1の整流器、および前記第2のスイッチング素子と第2の整流器は、それぞれ第1の電界効果トランジスタ、および第2の電界効果トランジスタである自動車である。 【0026】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。 【0027】図1は42V系と14V系の2つの電圧系を備えた自動車電源の構成例を示したものである。エンジン1の回転軸上にモータ/ジェネレータ2が接続されており、エンジン1の始動や発電を行う。モータ/ジェネレータ2の駆動力および発電電力はインバータ3により制御される。エンジン始動の場合は、バッテリ6の直流電圧をインバータ3で交流電圧に変換し、モータ/ジェネレータ2が駆動トルクを発生してエンジン1を回転させる。エンジン1が始動すれば、その回転によってモータ/ジェネレータ2に交流電圧が発生する。これをインバータ3で直流電圧に変換し、バッテリ6に充電する。 【0028】バッテリ6は42V用(定格36V)で、42V用の高電圧端子11とアース端子13とを備えている。さらに、14V系負荷に電力供給するために14V用の低電圧端子12も備えている。バッテリの構成としては一体型構成でも良いし、あるいは14V用(定格12V)のバッテリブロックを3つ直列につないだ形で構成しても良い。バッテリブロックを3つ直列につないだ構成の場合には、直列の順序を一定期間ごとに入れ換えたり、ブロック単位で交換したりできるという利点がある。また、28V用(定格24V)のバッテリと14V用のバッテリを組み合わせて構成しても良い。 【0029】42V用の高電圧端子11には、電動パワステ,電動エアコンなど比較的大電力の42V系負荷21が複数接続される。14V用の低電圧端子12には、主にランプ類や種々のコントローラなど低電圧の方が有利な14V系負荷22が複数接続される。また、高電圧端子11と低電圧端子12の間の電圧は28Vになるので、この2端子間に28V用の負荷をつなぐことも可能である。 【0030】インバータ3とバッテリ6の間は次のように接続する。まず、インバータ3の負極側はバッテリ6のアース端子13に接続する。インバータ3の正極とバッテリ6の高電圧端子11の間には第1のスイッチング素子である高電圧FET(電界効果トランジスタ)4を、インバータ3の正極とバッテリ6の低電圧端子12の間には第2のスイッチング素子である低電圧FET5をそれぞれ接続する。高電圧FET4のソースを高電圧端子11に、ドレインをインバータ3に接続する。なお高電圧FET4に内蔵している逆接続ダイオード(整流器)により、インバータ3から高電圧端子11への電流はスイッチがオフでも流すことができる。低電圧FET5のソースはインバータ3の正極に、ドレインは低電圧端子12に接続する。低電圧FET5に内蔵しているダイオードにより、バッテリ6の低電圧端子12からインバータ3への電流はスイッチがオフでも流すことができる。 【0031】すなわち、高電圧FET4はバッテリ6の高電圧端子11からインバータ3への一方向の電力供給を制御するスイッチング素子として作用し、また低電圧FET5はインバータ3からバッテリ6の低電圧端子12への一方向の電力供給を制御するスイッチング素子として作用する。これらのFETは、内部に回路を断続する断続切換手段と、それと並列に設けられた整流素子で構成されている。 【0032】統合制御装置9は、運転者のキースイッチ操作,アクセル操作,ブレーキ操作,及びバッテリ充電率などに基づいて、エンジン始動,充電,アシスト,回生などの動作モード指令をバッテリ制御装置7に対して与える。また、モータ/ジェネレータ2が出すべきトルクの指令τoを出力する。 【0033】バッテリ制御装置7は、バッテリ6の充電状態に応じてスイッチング素子である高電圧FET4及び低電圧FET5を制御する。ここでは、高電圧FET4および低電圧FET5のゲート電圧を操作してスイッチングを達成する。また、スイッチの状態に対応してモータ制御装置8に電圧選択信号を与える。また、統合制御装置9からの指令に基づいて、モータ/ジェネレータ2が発生すべき駆動トルク、または発電トルクを決定し、モータ制御装置8にトルク指令τmを与える。さらに、バッテリ制御装置7自身が正常に動作しているかを示す動作確認信号を出力する。 【0034】モータ制御装置8は、バッテリ制御装置7からの電圧選択信号,トルク指令及びエンジン1のクランク角信号θcに基づいて、インバータ3に対してPWM信号Pu,Pv,Pwを出力する。また、バッテリ制御装置7からの動作確認信号を入力し、もしバッテリ制御装置7が正常に動作していない場合には、異常時の特殊処理を行う。 【0035】図1の自動車搭載例を図8に示す。 【0036】図8において、モータ/ジェネレータ2はエンジン1の外側に横置き方式で搭載されており、クランク軸プーリ103との間にベルト81が掛け渡され、これによりエンジン1と双方向の駆動力伝達が行われる。尚、モータ/ジェネレータ2の配置はエンジン1の配置の都合により適宜最適化することができ、エンジンに対して縦置きであるか横置きであるか限定されるものではない。 【0037】また、モータ/ジェネレータ2以外のバッテリ6,インバータ3,バッテリ制御装置7,モータ制御装置8,統合制御装置9のような装置,機器等もエンジンルーム105内に配置されているが、その詳細については図示しない車両関連機器の配置の都合により適宜最適化することができ、さらにエンジンルーム105以外の場所に配置することも可能である。さらにはバッテリ制御装置7,モータ制御装置8、および統合制御装置9も一つの筐体として図示しているが、別筐体であることを妨げるものではなく、またインバータ3を他の制御装置と同一の筐体に収めて配置することも可能である。 【0038】尚、本実施例ではエンジン101とモータ/ジェネレータ2はベルト81を介して機械的に連結されているが、これ以外にも例えばエンジン101のクランク軸102とモータ/ジェネレータ2の回転子が直結されている構成をとっても良く、さらに種々の連結構成を採用できることは言うまでもない。 【0039】以下、バッテリ制御装置7の構成と動作について詳しく説明する。 【0040】図2はバッテリ制御装置7の構成を示したものである。まず、高電圧側充電率測定部54が、電流検出手段14及び電圧検出手段16の出力をもとに高電圧側バッテリの充電率を測定する。同様に低電圧側充電率測定部55が、電流検出手段14,15及び電圧検出手段17の出力をもとに低電圧側バッテリの充電率を測定する。高電圧側バッテリの充電率は統合制御装置9に出力される。なお、高電圧側バッテリとは高電圧端子11と低電圧端子12の間のバッテリブロックを、低電圧側バッテリとは低電圧端子12とアース端子13の間のバッテリブロックのことを指すものとする。 【0041】充電率の測定方法としては様々なものがあるが、ここではバッテリに流れる電流の積算値と電圧・電流値とから、あらかじめ求めた特性データに従って定めるものとした。鉛,ニッケル水素,リチウムイオンなど、電池の種類によってそれぞれに適した測定手段があるので、それらを適宜用いるようにすればよい。 【0042】なお、低電圧バッテリに流れる電流は、42V側の電流検出手段14と14V側の電流検出手段15のそれぞれの電流を合計したものになることに注意する必要がある。 【0043】以上の方法で求めたバッテリの充電率と電圧検出値とに基づいて実際の制御を行う。統合制御装置9から出力された動作モードに応じて、エンジン始動制御部51,充電制御部52,回生・アシスト制御部53のいずれかが作動し、制御信号を出力する。 【0044】まずはじめにエンジン始動の場合について説明する。運転者のキースイッチ操作に基づいてエンジン始動指令が動作モード信号として統合制御装置9から出力されると、エンジン始動制御部51が作動して制御を行う。アイドルストップ機能を備えた自動車の場合には、キースイッチ操作の他に、シフト操作やブレーキ操作,アクセル操作などに基づいてエンジン始動指令が出力される。 【0045】エンジン始動制御部の処理フローを図3に示す。まず、高電圧バッテリで始動可能かどうかを調べる(ステップ101)。始動可能かどうかは、高電圧側充電率測定部55が測定した充電率がある値以上かどうか、あるいは高電圧系(42V系)の電圧値がある値以上かどうかで判定する。電池の充電率が小さくても他の自動車の電池が接続されて電圧がある値以上になっていれば、いわゆるジャンプスタートによる始動が可能と判断する。始動可能であれば、ステップ103〜105に進み、低電圧FET5をオフ,高電圧FET4をオンとし、42Vを選択したことを電圧選択信号として出力する。 【0046】高電圧バッテリで始動可能と判定できなかった場合には、ステップ102に進んで低電圧バッテリで始動可能かどうかをチェックする。ステップ101と同様に、低電圧バッテリの充電率がある値以上かどうか、あるいは低電圧系(14V系)の電圧値がある値以上かどうかで判定する。始動可能であれば、ステップ106〜108に進み、高電圧FET4をオフ,低電圧FET5をオンとし、14Vを選択したことを電圧選択信号として出力する。 【0047】低電圧バッテリでも始動可能と判定できなかった場合、この例ではステップ103に進み、高電圧バッテリでの始動を試すこととした。電池の過放電を避けたい場合には、ステップ103に進まず、エンジン始動不能という表示をしてエンジン始動をあきらめ、他の自動車の電池を用いたジャンプスタートを促すという方法もある。 【0048】電圧選択信号が出力されると、次にステップ109に進んでトルク指令を出力する。エンジン始動の場合は、トルク指令値τmは統合制御装置9から出力された指令τoをそのまま用いることとする。最後に、バッテリ制御装置自身が正常に動作しているかどうかを示す動作確認信号を出力する(ステップ110)。 【0049】このように本実施例によれば、どちらの電圧から始動が可能かを判定して電圧を切り換えるため、確実にエンジン始動ができるという特長がある。また、他の自動車のバッテリを用いたジャンプスタートについても、42V,14Vどちらの電圧からでも始動が可能で、しかも電圧の判定が自動的に行えるという効果がある。 【0050】次に、エンジン1が始動してモータ/ジェネレータ2によりバッテリの充電を行う場合について説明する。統合制御装置9からは、エンジンが回転していることを確認して、充電指令が動作モード信号として出力される。なお、回生制動機能を持つ自動車の場合には、バッテリの充電率が100%になっていると回生ができないため、充電率を例えば90%程度以下に保つよう、充電率情報を考慮して充電の指令を出力する。 【0051】バッテリ制御装置7では、充電制御部52が作動して、図4のフローに従って充電の制御を行う。充電を行う際、高電圧側バッテリと低電圧バッテリの充電率に大きなアンバランスが生じないように高電圧FET4と低電圧FET5とを制御する必要がある。ここでは、高電圧バッテリの充電率と低電圧バッテリの充電率との差をΔSOCとし、このΔSOCが±5%の間に収まるように制御するものとする。 【0052】まずステップ201で、ΔSOCが−5%より小さくなっていないかどうかをチェックする。もし小さければ、高電圧側バッテリの充電率が大きくなるように低電圧FET5をオフ,高電圧FET4をオンとしてインバータ3を42V系に接続する(ステップ204〜205)。ステップ206で、電圧選択信号として42Vを選択したことを出力して、ステップ209に進む。ΔSOCが−5%以上であれば、ステップ202に進んでΔSOCが+5%よりも大きくないかどうかを調べる。もし+5%よりも大きければ、低電圧側バッテリの充電率が上がるように、高電圧FET4をオフ,低電圧FET5をオンとして、インバータ3を14V系に接続し、電圧選択信号として14Vを出力して(ステップ206〜208)、ステップ209に進む。もしΔSOCが+5%以下であれば、スイッチの変 更は何も行わず、ステップ209へ進む。ステップ209ではモータ/ジェネレータ2が発生すべき充電トルクを演算する。演算したトルクをステップ210で出力し、最後にステップ211で動作確認信号を出力する。 【0053】以上の方法によれば、高電圧側バッテリと低電圧バッテリの充電率の差が常に設定した値以内になるように制御されるので、バッテリブロック間の充電率のアンバランスによるバッテリ性能の低下を防ぐことができる。なお、ΔSOCだけでなく、エンジン回転数も考慮してスイッチを切り換える方法もある。エンジン回転数が高いときにはモータ/ジェネレータ2の誘起電圧が高くなるのでインバータを42V系に接続し、逆にエンジン回転数が小さいときには14V系に接続する。これによりモータの誘起電圧に合った電圧を選択できるため、発電効率を高めることができるという効果がある。 【0054】また、図4のフローではΔSOCがある範囲内に収まるように制御したが、もっと頻繁にスイッチを切り換えればΔSOCをほぼ0に保つよう制御することも可能である。例えば、10msといったある制御周期の間で必ず高電圧FET4と低電圧FET5のオンオフ切り換えを行うようにし、高電圧FET4がオンになっている期間をΔSOCに応じて変化させる。ΔSOCが正ならば高電圧FET4がオンになっている期間を長くし、逆にΔSOCが負ならば高電圧FET4がオンになっている期間を短くする。期間を変化させる度合い(ゲイン)を調整すれば、常にΔSOCをほぼ0に保つような制御が可能となる。 【0055】ステップ209ではモータ/ジェネレータ2が出すべき発電トルクを演算するが、演算方法の一例として直流電圧を目標値に保つ方法について図5を用いて説明する。例えばインバータが42V系に接続されている場合、42V系の電圧目標値と電圧検出値との差に基づいて充電トルクを算出する。電圧検出値の方が低い場合には、充電トルクを増加させることにより電池に流れる充電電流が大きくなり、42V系の電圧も上昇する。制御方法としては例えば比例積分制御(PI制御)を用いればよい。その際、14V系についても電圧目標値と電圧検出値の差をとり、補正ゲインをかけて42V系の電圧目標値に加えるようにする。14V系にはランプ負荷など電圧変化が好ましくない負荷が接続されるため、スイッチを切り換えた際にも電圧が変化しないように制御することが重要である。図5に示す方法を用いれば、インバータを42V系につないだ場合でも、14V系の電圧を目標値近くに保つように制御することができる。 【0056】次に、動作モードとして回生制動またはエンジンアシストが指令された場合について説明する。この場合、回生・アシスト制御部53が作動して制御を行う。回生制動,エンジンアシストともに大きな電力がバッテリから充電または放電される可能性が高いため、基本的には低電圧スイッチ5をオフ,高電圧スイッチ4をオンとし、インバータを高電圧側に接続する。トルク指令としては統合制御装置9が出力したトルク指令値τoをそのまま出力する。処理ステップとしては、図3のステップ103〜105及びステップ109〜110と同様の処理を行えばよい。 【0057】次に、モータ制御装置8の動作について説明する。 【0058】図6は、モータ/ジェネレータ2として誘導機を用いた場合の制御ブロックを示したものである。まず、バッテリ制御装置7から出力されたトルク指令値τmをもとに、モータ/ジェネレータ2のすべり角周波数ωsをすべり制御部35で決定する。なお、バッテリ制御装置7からの動作確認信号によりバッテリ制御装置が異常と判定されたときには、τmではなく統合制御装置9から出力されたトルク指令値τoを用いるようにする。速度検出部34では、エンジン1のクランク角θcからモータ速度ωmを算出する。モータ/ジェネレータ2はエンジン1と直結しているため、クランク角θcでモータ速度ωmを検出すれば、モータ専用に回転センサを用いる必要がない。次にモータ速度ωmとすべり角周波数ωsの和によりインバータ3の1次角周波数ω1を演算する。また、モータ/ジェネレータ2に流れる電流がほぼ一定となるように、1次角周波数ω1から1次電圧V1を計算する。これは一般にV/f制御と呼ばれる方法で、V1/ω1の値を一定、あるいは所定の関数に制御するものである。この演算はV/f制御部36で行われる。電圧演算部37では、1次電圧V1と1次角周波数ω1から各相の電圧指令Vu,Vv,Vwが計算される。次にモータ/ジェネレータ2の電圧が電圧指令Vu,Vv,Vwとなるように、PWM制御部38でPWM信号Pu,Pv,Pwに変換されてインバータ3に出力される。インバータ3の直流電圧は接続されるバッテリの電圧により決定されるので、動作状態別処理部39で得られた電圧選択信号を入力してPWM信号を演算する。 【0059】動作状態別処理部39では、バッテリ制御装置7の動作確認信号に異常がないときには、電圧選択信号をそのまま出力する。動作確認信号からバッテリ制御装置7に異常があると判断された場合には、次のような処理を行う。統合制御装置9から出力されたトルク指令値τoの符号から、充電を要求している状態か、エンジン始動を要求している状態かを判断する。τoが正の場合にはエンジン始動状態と判断して、電圧選択信号を低電圧(14V)とPWM制御部38に出力する。τoが負の場合には充電状態と判断して、電圧選択信号を高電圧(42V)とする。このような制御を行うことにより、バッテリ制御装置7が動作できなくなったときでも、低電圧端子12からのエンジン始動と高電圧端子11への充電が、それぞれ低電圧FET及び高電圧FET内蔵の逆接続ダイオードを介して可能となる。つまり、バッテリ制御装置が故障した場合、従来のスイッチではできなかったエンジン始動と充電ができるようになったので、複数電圧を有する自動車電源システムの信頼性を向上できる効果がある。特に、高電圧端子側には大電力を必要とする車載機器が接続されるので、バッテリ制御装置が故障しても高電圧側への充電が継続できる本発明の方式は有用である。 【0060】なお、以上の説明ではモータ/ジェネレータ2に誘導機を用いた場合について説明したが、同期機を用いた場合についても、モータ制御装置を少し変更するだけで本発明は適用可能である。 【0061】さて、図1の構成図ではインバータ3と高電圧FET4及び低電圧FET5は別々の構成要素としたが、この3つを全て一つのモジュールとして実装することも可能である。インバータ用のパワーMOSFETチップ6個と、電圧切換用のパワーMOSFETチップを2個を同一モジュールに内蔵させれば、一体モジュールとすることができ、省スペース,小型化,低コスト化が実現できる。また、モジュール内に制御ICを内蔵させた場合には、同一のICで全てのパワーMOSFETチップが監視・制御できるので、制御の高精度化,コストの低減を図ることができる。 【0062】次に、本発明を3種類の電圧を備えた自動車電源に適用した例について図7を用いて説明する。バッテリ6は42V用の高電圧端子11,14V用の低電圧端子12,アース端子13の他に、28V用の中電圧端子62を備えている。中電圧端子62には28V系負荷63が接続される。高電圧端子11は高電圧FET4を介して、低電圧端子12は低電圧FET5を介してインバータ3の正極に接続される。中電圧端子62は中電圧FET61a及び62bを介してインバータの正極に接続される。中電圧FET61a及び62bはダイオードの極性を逆にして直列に接続する。これは高電圧FET4または低電圧FET5がオンになったときに、ダイオードを介して短絡状態になるのを防ぐためである。このような構成により、3種類の電圧を持つ電源に対しても本発明は適用可能である。なお、図7では電流,電圧の検出系や制御系を省略しているが、図1と同様の構成や制御方法が適用できる。 【0063】また、図7では高電圧を42Vとして説明したが、ハイブリッド自動車に適用されている100V以上の電圧であっても同様の構成が適用可能である。その場合、ハイブリッド自動車の駆動モータと42V用機器,12V用機器がすべて1つのバッテリから駆動でき、しかもDC/DCコンバータが不要でコストが低減できるという効果がある。 【0064】また上記実施形態によれば、複数の電圧が供給可能な自動車電源装置において、DC/DCコンバータや複数のバッテリを必要とせず、さらに電圧を切り換えるスイッチを制御するコントローラが故障してもエンジン始動やバッテリの充電を行うことができるという効果がある。またスイッチを切り換えた際の電源電圧の変動を抑えることができるという効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所
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| 【出願日】 |
平成12年6月19日(2000.6.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075096 【弁理士】 【氏名又は名称】作田 康夫
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| 【公開番号】 |
特開2002−10408(P2002−10408A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月11日(2002.1.11) |
| 【出願番号】 |
特願2000−187503(P2000−187503) |
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