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【発明の名称】 産業用車両
【発明者】 【氏名】永露 元正

【要約】 【課題】本発明は、エンジンの燃費を改善した走行車両を提供することを目的とする。

【解決手段】各車輪2毎の走行用電動モータ1およびインバータ3と、アクセルペダル20と、ハンドル22を備え、各車輪2の回転速度をそれぞれアクセルペダル20により入力された車両速度に応じて設定し、ハンドル22により入力された換向角度に応じて各車輪2の設定回転速度をそれぞれ補正し、この補正した設定回転速度をインバータ3へ出力することにより各車輪2の回転数をそれぞれ制御する制御装置6を備える。この構成によれば、ハンドル22により入力された換向角度に応じて各車輪2の設定回転速度がそれぞれ補正され、この補正された設定回転速度により各車輪2がそれぞれ制御されることにより、車両を換向することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の作業の駆動源となるエンジンと、前記エンジンに連結された発電機より給電される各車輪毎の走行用電動モータを備えた、前記複数の作業を実行可能な産業用車両であって、前記車両の速度入力手段と、前記車両の換向角度入力手段を備え、各車輪の回転速度をそれぞれ前記速度入力手段により入力された車両速度に応じて設定し、前記換向角度入力手段により入力された換向角度に応じて前記各車輪の設定回転速度をそれぞれ補正し、この補正した設定回転速度により各車輪をそれぞれ制御することにより換向する構成としたことを特徴とする産業用車両。
【請求項2】 換向角度入力手段により入力された換向角度により換向方向を求め、この換向方向により車輪のうちの内輪を求め、換向角度に応じて前内輪を遅らせ、後内輪を進めるように前記各設定回転速度を補正することを特徴とする請求項1に記載の産業用車両。
【請求項3】 所定時間の換向角度をθ°、車軸の中心から車輪の中心までの距離をa、ホイールベースの1/2の長さをcとするとき、各設定回転速度の所定時間の補正量を、前内輪の補正量=−E−F前外輪の補正量=+E−F後内輪の補正量=+E+F後外輪の補正量=−E+Fただし E=2πa×(θ/2)/360F={1/cos(θ/2)}×c−cとしたことを特徴とする請求項2に記載の産業用車両。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホイールローダなどの産業用車両、特にその走行駆動装置と換向装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】産業用車両(たとえばコンテナキャリア、走行台車など)において、ディーゼルエンジンの駆動により発電機を駆動し、この発電機が発生する電力を使用して、車輪に連結された電動モータを駆動することにより車両を走行させる、ディーゼル−エレキ方式と称される走行駆動装置が開発されている。
【0003】また従来の産業用車両の換向装置には通常、油圧回路を使用したパワーステアリング装置が装備され、ハンドルの操作に応じてパワーステアリング装置より圧油がステアリングシリンダへ供給され、車輪の向きを換えてステアリングが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記換向装置では、油圧回路や機械的な機構を多く使用することから部品点数が多く、コストが高くなり、組み立て、メンテナンスに多くの作業時間が必要となるという問題があった。
【0005】そこで、本発明は、パワーステアリング装置と同様に操作できるとともにコストを低減したディーゼル−エレキ方式の走行車両を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、複数の作業の駆動源となるエンジンと、前記エンジンに連結された発電機より給電される各車輪毎の走行用電動モータを備えた、前記複数の作業を実行可能な産業用車両であって、前記車両の速度入力手段と、前記車両の換向角度入力手段を備え、各車輪の回転速度をそれぞれ前記速度入力手段により入力された車両速度に応じて設定し、前記換向角度入力手段により入力された換向角度に応じて前記各車輪の設定回転速度をそれぞれ補正し、この補正した設定回転速度により各車輪をそれぞれ制御することにより換向する構成としたことを特徴とするものである。
【0007】ここで、速度入力手段は、アクセルペダルまたはアクセルペダルに相当する操作レバーである。また換向角度入力手段は、ハンドルまたはハンドルに相当する操作レバーである。
【0008】上記構成によれば、各車輪の回転速度はそれぞれ速度入力手段により入力された車両速度に応じて設定され、さらに換向入力手段により入力された換向角度に応じてそれぞれ補正され、この補正された設定回転速度により各車輪をそれぞれ制御されることにより、車両は換向される。
【0009】また請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、換向角度入力手段により入力された換向角度により換向方向を求め、この換向方向により車輪のうちの内輪を求め、換向角度に応じて前内輪を遅らせ、後内輪を進めるように前記各設定回転速度を補正することを特徴とするものである。
【0010】上記構成によれば、換向角度入力手段により入力された換向角度により換向方向が求められ、この換向方向により車輪のうちの内輪が求められ、換向角度に応じて前内輪を遅らせ、後内輪を進めるように各設定回転速度が補正される。
【0011】また請求項3記載の発明は、請求項2に記載の発明であって、所定時間の換向角度をθ°、車軸の中心から車輪の中心までの距離をa、ホイールベースの1/2の長さをcとするとき、各設定回転速度の所定時間の補正量を、前内輪の補正量=−E−F前外輪の補正量=+E−F後内輪の補正量=+E+F後外輪の補正量=−E+Fただし E=2πa×(θ/2)/360F={1/cos(θ/2)}×c−cとしたことを特徴とするものである。
【0012】上記構成によれば、所定時間の換向角度をθ°と、車軸の中心から車輪の中心までの距離aと、ホイールベースの1/2の長さcに応じて、所定時間の各車輪の補正量が求められる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態における産業用車両の走行駆動装置のブロック図である。
【0014】図1において、1は4輪の各車輪2の軸にそれぞれその回転軸が連結された誘導モータ(電動モータの一例)であり、これら各モータ1をそれぞれ駆動するインバータ(走行駆動手段の一例)3が設けられ、それぞれ2台のインバータ3毎に、モータ1の回生制動エネルギーを消費する制動用抵抗器4が接続されている。さらに各モータ1にはモータ1の回転速度を検出する回転速度検出器(回転数検出器)5が設けられている。
【0015】上記各インバータ3は、回転数検出器5により検出されるモータ1の回転速度をフィードバックしながら、後述する制御装置6より入力するモータ1の回転数指令値にしたがって、モータ1の回転制御を行う。
【0016】また図1において、11はディーゼルエンジン(複数の作業の駆動源となるエンジンの一例)であり、このエンジン11の回転軸に発電機12、車両に装備されたバケットやフォークやクランプなど油圧により駆動される荷役装置7へ圧油を供給する油圧ポンプ13などの各軸が連結されており、エンジン11が回転することにより、発電機12において発電され、油圧ポンプ13より荷役装置7へ圧油が供給される。またディーゼルエンジン11は、60Hzの交流を得るため1800rpmで回転される。
【0017】また、上記発電機12は、発電機電圧調整器(AVR)14により発電電圧が一定になるように界磁電流が制御されており、この発電機12において発電された電力は、コンダクタ15を介して4台の各インバータ3およびモータ1へ給電される。また図1において、18はエンジン11と発電機12と制御装置6の始動用のバッテリである。
【0018】また、20はアクセルペダル(速度入力手段の一例:アクセルペダルに相当する操作レバーでもよい)であり、アクセルペダル20の踏み込み角度が、アクセルペダル角度検出器21により検出され、アクセルペダル20の踏み込み角度(たとえば10〜50°/0〜100%)の検出信号が制御装置6へ入力されている。
【0019】また、22はハンドル(換向角度入力手段の一例:ハンドルに相当する操作レバーでもよい)であり、このハンドル31の操作角度が、ハンドル角度検出器23により検出され、ハンドル22の操作角度(たとえば−90〜+90°/0〜100%)の検出信号が制御装置6へ入力されている。
【0020】また24は前進−中立−後進の車両の走行方向を選択する前後進操作レバーであり、この前進または中立または後進の走行方向操作信号が制御装置6へ入力されている。
【0021】上記制御装置6の走行制御のブロック図を図2に示す。制御装置6は、回転数設定部31、角度変換部32、判断部33、微分部34、移動距離演算部35、補正回転数演算部36、積算部37、目標回転数設定部38、車輪選択部39、割り当て部40、回転数出力部41から構成されている。
【0022】回転数設定部31は、アクセルペダル角度検出器21により検出されたアクセルペダル20の踏み込み角度(たとえば10〜50°/0〜100%)を走行速度に相当するモータ1の設定回転数Rに変換する。
【0023】上記角度変換部32は、ハンドル角度検出器23により検出されたハンドル22の操作角度(たとえば−90〜+90°/0〜100%)を−90°(左)〜0〜+90°(右)に変換する。
【0024】上記判断部33は、角度変換部32により変換されたハンドル22の操作角度によりハンドル31の換向方向(+のとき右操作,−のとき左操作と判断する)を判断する。
【0025】また微分部34は、角度変換部32により変換されたハンドル22の操作角度を微分して、所定時間当たりの換向角度(+θ°)または(−θ°)を出力する。移動距離演算部35は微分部34により求められた所定時間の換向角度±θ°により、車軸の中心から車輪の中心までの距離をa、ホイールベースの1/2の長さをcとするとき、図3に示すように内輪にθ/2を与える第1移動距離Eと、車軸をさらに屈折させる方向に進ませる第2移動距離Fを式(1)(2)により演算する。
【0026】
E=2πa×(θ/2)/360 ・・・(1)
F={1/cos(θ/2)}×c−c ・・・(2)
a=1725mm,c=2565mmとしたとき、上記演算により求められた第1移動距離E(mm)と第2移動距離F(mm)のリストを図4に示す。なお、移動距離演算部35は入力した所定時間の換向角度±θ°によりこのリストを検索して所定時間当たりの第1移動距離Eおよび第2移動距離Fを出力するようにしてもよい。
【0027】上記補正回転数演算部36は移動距離演算部35により演算された所定時間当たりの第1移動距離Eおよび第2移動距離Fにより、図3に示すように前内輪、前外輪、後内輪、後外輪の補正移動量をそれぞれ式(3)(4)(5)(6)により求め、求めた所定時間当たりの各補正移動量を車輪2の外周Lによりそれぞれ式(7)(8)(9)(10)により除算してモータ1の回転数に変換する。これら演算により図3に示すように、換向角度に応じて前内輪を遅らせ、後内輪を進め、さらに前外輪を進め、後外輪を遅らせるように補正回転数が求められる。なお、式(3)〜(10)において(+)は進め、(−)は戻しを示している。
【0028】
前内輪の補正移動量=−E−F ・・・(3)
前外輪の補正移動量=+E−F ・・・(4)
後内輪の補正移動量=+E+F ・・・(5)
後外輪の補正移動量=−E+F ・・・(6)
前内輪の補正回転数GFI=(−E−F)/L ・・・(7)
前外輪の補正回転数GFO=(+E−F)/L ・・・(8)
後内輪の補正回転数GBI=(+E+F)/L ・・・(9)
後外輪の補正回転数GBO=(−E+F)/L ・・・(10)
積算部37は、補正回転数演算部36により求められた前内輪、前外輪、後内輪、後外輪の補正回転数にそれぞれ式(11)(12)(13)(14)により積算する。
【0029】
FI=GFI+(−E−F)/L ・・・(11)
FO=GFO+(+E−F)/L ・・・(12)
BI=GBI+(+E+F)/L ・・・(13)
BO=GBO+(−E+F)/L ・・・(14)
目標回転数設定部38は積算部37により求められた前内輪、前外輪、後内輪、後外輪の補正回転数にそれぞれ式(11)(12)(13)(14)により、回転数設定部31により求められたモータ1の設定回転数Rを加算して前内輪、前外輪、後内輪、後外輪の目標回転数Sを求める。すなわち、各車輪の設定回転数(設定回転速度)Rをそれぞれ補正回転数により補正する。
【0030】
前内輪の目標回転数SFI=R+GFI ・・・(11)
前外輪の目標回転数SFO=R+GFO ・・・(12)
後内輪の目標回転数SBI=R+GBI ・・・(13)
後外輪の目標回転数SBO=R+GBO ・・・(14)
また車輪選択部39は、判断部33により求められたハンドル31の換向方向と、前後進操作レバー24より入力された前進または中立または後進の走行方向操作信号に基づいて、図5に示すように、前軸左輪2■、前軸右輪2■、後軸左輪2■、後軸右輪2■の中から前内輪、前外輪、後内輪、後外輪を選択する。
【0031】上記割り当て部40は、目標回転数設定部38において求められた前内輪、前外輪、後内輪、後外輪の目標回転数SFI,SFO,SBI,SBOを、車輪選択部39において選択された各車輪2へ割り当てる。
【0032】上記回転数出力部41は、割り当て部38により各車輪2に割り当てられた目標回転数Sを、前後進操作レバー24より入力された前進または中立または後進の走行方向操作信号に基づいて後進のとき、符号(−)を付し、中立のとき全ての目標回転数Sを0(零)とし、前軸左輪2■、前軸右輪2■、後軸左輪2■、後軸右輪2■の各インバータ3へ回転数指令値を出力する。
【0033】上記構成による作用を説明する。エンジン11が起動されると、エンジン11は1800rpmの一定回転速度で回転され、これにより油圧ポンプ13が駆動され、発電機12において発電が開始される。またAVR14により発電電圧は一定に制御される。また発電機12の界磁電流は立ち上げ時はバッテリ18より供給され、立ち上げ後は自己の発電電流より供給される。
【0034】アクセルペダル20が踏み込まれ、その操作角度がアクセルペダル角度検出器21により検出され、制御装置6へ入力されると、操作角度に相当する走行モータ1の設定回転数Rが求められ、またハンドル22が操作されると、その操作角度がハンドル角度検出器23により検出され、制御装置6へ入力されると、所定時間当たりの換向角度±θと換向方向が求められ、この所定時間当たりの換向角度±θ°およびハンドル22の換向方向により前内輪、前外輪、後内輪、後外輪の目標回転数SFI,SFO,SBI,SBOが求められ、さらにハンドル22の換向方向と、前後進操作レバー24より入力された前進または中立または後進の走行方向操作信号に基づいて、前軸左輪2■、前軸右輪2■、後軸左輪2■、後軸右輪2■の中から前内輪、前外輪、後内輪、後外輪が選択され、選択された車輪2毎に前内輪、前外輪、後内輪、後外輪の目標回転数SFI,SFO,SBI,SBOが割り当てられ、前後進操作レバー24より入力された前進または中立または後進の走行方向操作信号に応じて各車輪2の回転数指令値が前記目標回転数より設定され、各インバータ3へ出力される。
【0035】各インバータ3は、入力した回転数指令値およびフィードバックされたモータ1の回転数にしたがって、各車輪2が回転され、車両の走行速度が制御され、さらに各車輪2の回転数の違いにより車両は換向される。このとき、前内輪を遅らせ、後内輪を進め、さらに前外輪を進め、後外輪を遅らせることにより、図3に示すように車軸の屈折中心が車両の中心より車幅方向(左右方向)外方に移動し、さらに車軸中心が移動した屈折中心の方へ寄せられる如く制御される。車両の旋回中心は、車両の中心より車幅方向へ延ばした直線上となり、この旋回中心へ前車軸と後車軸がそれぞれ向く。また非常にゆっくりした速度で走行しているとき、前進でありながら後進方向へ回転する車輪2(たとえば、前内輪)があり得る。なお、回転数指令値が(+)のとき前軸の方向へ車両は走行され(前進され)、(−)のとき後軸の方向へ走行される(後進される)。また必要な有効電力は発電機12より供給される。
【0036】このように、各車輪2の回転数をそれぞれ独立して制御でき、かつ内輪と外輪の回転数に差を設けることにより、換向することができ、さらに換向による角度による移動補正量E,Fにより、車輪2の屈折中心が外方に移動し、車軸中心は、移動した屈折中心の方へ寄せられる如く制御されることによって、車両は滑ることなく換向することができる。また、従来のようなパワーステアリング装置が不用となることから、部品点数を大幅に削減でき、よってコストを削減することが可能となり、作業時間を短縮することが可能となる。またハンドル22は単なる換向角度を入力する手段にすぎないことから、回転操作を軽くすることができ、軽い力で操作することができる。
【0037】なお、本実施の形態では、インバータ3においてモータ1の回転数をフィードバックして回転数を制御しているが、制御装置6へモータ1の回転数をフィードバックして回転数を制御するようにすることもできる。
【0038】また本実施の形態では、エンジンをディーゼルエンジンとしているが、ガソリンエンジンでも良いことはいうまでもない。
【0039】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、各車輪の回転速度はそれぞれ速度入力手段により入力された車両速度に応じて設定され、さらに換向入力手段により入力された換向角度に応じてそれぞれ補正され、この補正された設定回転速度により各車輪がそれぞれ制御されることにより、車両を換向することができる。
【出願人】 【識別番号】000003241
【氏名又は名称】ティー・シー・エム株式会社
【出願日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【代理人】 【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
【公開番号】 特開2002−10405(P2002−10405A)
【公開日】 平成14年1月11日(2002.1.11)
【出願番号】 特願2000−188548(P2000−188548)