| 【発明の名称】 |
前後輪駆動車両の駆動力制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】内山 直樹
【氏名】喜多野 和彦
【氏名】山本 哲弘
【氏名】中佐古 享
【氏名】米倉 尚弘
【氏名】福田 俊彦
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| 【要約】 |
【課題】第2原動機の駆動源への駆動エネルギの充填を、車両の走行状態および運転者の意志に応じて、適切かつ容易に行うことができ、燃費および運転性を向上させることができる前後輪駆動車両の駆動力制御装置を提供する。
【解決手段】検出されたアクセル開度θAPおよび車速Vcarに基づいて車両2の目標駆動力FCMDを算出する目標駆動力算出手段11と、定速走行に必要な車両2の駆動力に基づき、それよりも大きな所定の値として設定された基準駆動力FCMD_CHRGを記憶する基準駆動力記憶手段11と、目標駆動力FCMDと基準駆動力FCMD_CHRGを比較する駆動力比較手段11と、駆動力比較手段により目標駆動力FCMDが基準駆動力FCMD_CHRGよりも小さいと判定されたときに、駆動源7への駆動エネルギの充填を許可する駆動エネルギ充填許可手段11と、を備えている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前後の駆動輪の一方を第1原動機で駆動するとともに、他方を第2原動機で駆動する駆動モードと、車両の走行エネルギを回収することにより前記第2原動機の駆動源に駆動エネルギとして充填する充填モードとに切り換えて運転される前後輪駆動車両の駆動力制御装置であって、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、前記検出されたアクセル開度および車速に基づいて前記車両の目標駆動力を算出する目標駆動力算出手段と、定速走行に必要な前記車両の駆動力に基づき、それよりも大きな所定の値として設定された基準駆動力を記憶する基準駆動力記憶手段と、前記目標駆動力と前記基準駆動力を比較する駆動力比較手段と、当該駆動力比較手段により前記目標駆動力が前記基準駆動力よりも小さいと判定されたときに、前記駆動源への駆動エネルギの充填を許可する駆動エネルギ充填許可手段と、を備えていることを特徴とする前後輪駆動車両の駆動力制御装置。 【請求項2】 前記基準駆動力が、所定の上り勾配の路面での定速走行に必要な前記車両の駆動力であることを特徴とする、請求項1に記載の前後輪駆動車両の駆動力制御装置。 【請求項3】 前記駆動源に貯留された駆動エネルギの貯留量を検出する駆動エネルギ貯留量検出手段と、当該検出された駆動エネルギ貯留量に応じて前記基準駆動力を補正する基準駆動力補正手段と、をさらに備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の前後輪駆動車両の駆動力制御装置。 【請求項4】 前記目標駆動力と前記基準駆動力との偏差に応じて、前記駆動源への駆動エネルギの充填量を設定する駆動エネルギ充填量設定手段をさらに備えていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の前後輪駆動車両の駆動力制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、前輪および後輪を第1および第2の原動機で互いに独立してそれぞれ駆動するタイプの前後輪駆動車両の駆動力制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来のこの種の駆動力制御装置として、例えば特開2000−79833号公報に開示されたものが知られている。この前後輪駆動車両は、前輪をエンジンで駆動し、後輪をモータで駆動するタイプのものである。このモータの駆動源であるバッテリは、車両の走行エネルギを回収することにより充電できるように構成されている。また、この駆動力制御装置では、バッテリの充電残量がその所定値以下で、かつ車両の加速操作、例えばアクセルペダルの操作が行われたときに、無段変速機の変速比を高ギヤ比側へ所定幅だけ変更し、それにより発生した余裕トルクに対応する回生制動トルクによって、バッテリの充電が行われる。この充電は、充電残量が所定値に達するまで実行される。このようにして減速時以外にもバッテリの充電を行うことで、充電残量が不足するのを防止するようにしている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来の駆動力制御装置では、バッテリの充電残量を確保するために、充電残量がその所定値以下の場合には、アクセルペダルの操作に伴って、充電走行が無条件に実行される。すなわち、運転者の加速要求により、高い駆動力が求められているにもかかわらず、エンジンの出力の一部が充電のための回生制動トルクとして消費され、その分、エンジン側の負荷が増えるため、燃費が低下してしまう。また、この充電走行に伴い、無段変速機の変速比が高ギヤ比側へ変更されるため、運転者にとっては予期しないシフトダウンとなることがあり、その場合には違和感を伴い、運転性が低下する。さらに、充電残量が所定値に達するまで、充電が単純に行われるにすぎないので、運転状況によっては、充電走行の開始時および終了時に回生制動トルクが急激に発生および消失し、トルク変動を招くため、このことによってもまた運転性が低下するおそれがある。 【0004】本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、第2原動機の駆動源への駆動エネルギの充填を、車両の走行状態および運転者の意志に応じて、適切かつ容易に行うことができ、それにより燃費および運転性を向上させることができる前後輪駆動車両の駆動力制御装置を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、本発明の請求項1に係る発明は、前後の駆動輪の一方(実施形態における(以下、本項において同じ)前輪WFL、WFR)を第1原動機(エンジン3)で駆動するとともに、他方(後輪WRL、WRR)を第2原動機(モータ4)で駆動する駆動モードと、車両2の走行エネルギを回収することにより第2原動機の駆動源(バッテリ7)に駆動エネルギとして充填する充填モード(充電モード)とに切り換えて運転される前後輪駆動車両の駆動力制御装置であって、アクセル開度θAPを検出するアクセル開度検出手段(アクセル開度センサ16)と、車速Vcarを検出する車速検出手段(車輪回転数センサ12、ECU11)と、検出されたアクセル開度θAPおよび車速Vcarに基づいて車両2の目標駆動力FCMDを算出する目標駆動力算出手段(ECU11)と、定速走行に必要な車両2の駆動力に基づき、それよりも大きな所定の値として設定された基準駆動力FCMD_CHRGを記憶する基準駆動力記憶手段(ECU11、図8の充電走行マップ)と、目標駆動力FCMDと基準駆動力FCMD_CHRGを比較する駆動力比較手段(ECU11、図6のステップ50)と、駆動力比較手段により目標駆動力FCMDが基準駆動力FCMD_CHRGよりも小さいと判定されたときに、駆動源への駆動エネルギの充填を許可する駆動エネルギ充填許可手段(ECU11、図6のステップ55)と、を備えていることを特徴とする。 【0006】この前後輪駆動車両の駆動力制御装置によれば、基準駆動力が、定速走行に必要な車両の駆動力に基づき、それよりも大きな所定の値として設定されており、この基準駆動力よりも車両の実際の目標駆動力が小さいと判定されたときに、車両の走行エネルギの回収による第2原動機の駆動源への駆動エネルギの充填が許可され、充填モードが実行される。したがって、定速走行状態では、目標駆動力が基準駆動力よりも小さくなることで、第2原動機の駆動源に駆動エネルギが充填される。この場合、車両が定速走行されていて、車両全体としての目標駆動力が小さいことから、走行エネルギの回収に伴う第1原動機の負荷の増加量は小さい。一方、例えばアクセルペダルが踏み込まれた加速状態では、目標駆動力が増大し、基準駆動力を上回るようになることで、駆動エネルギの充填が禁止される。以上のように、第2原動機の駆動源への駆動エネルギを充填を、運転者による加速要求が無い場合にのみ、第1原動機に余分な負荷をかけずに無理なく行えるので、従来よりも燃費と運転性を向上させることができる。 【0007】また、この基準駆動力は、車両の走行状態が駆動エネルギの充填に適した定速走行状態にあるか否かを判定する基準になるとともに、駆動エネルギの充填を実行する基準にもなるので、この基準駆動力をあらかじめ設定し、記憶させておくだけで、定速走行状態の判定と駆動エネルギの充填の実行を、容易かつ適切に行うことができる。 【0008】請求項2に係る発明は、請求項1の駆動力制御装置において、基準駆動力FCMD_CHRGが、所定の上り勾配の路面での定速走行に必要な車両2の駆動力である(図8の充電走行マップ)ことを特徴とする。 【0009】この構成によれば、上記所定の上り勾配よりも緩やかな路面勾配での定速走行時には、目標駆動力が基準駆動力よりも必ず小さくなるので、駆動エネルギを充填する走行領域を確保でき、駆動エネルギの充填を確実に行うことができる。また、基準駆動力の設定を、計算によって容易に行うことができる。 【0010】また、請求項3に係る発明は、請求項1または2の駆動力制御装置において、駆動源に貯留された駆動エネルギの貯留量(充電残量SOC)を検出する駆動エネルギ貯留量検出手段(ECU11)と、検出された駆動エネルギ貯留量に応じて基準駆動力FCMD_CHRGを補正する基準駆動力補正手段(ECU11、図8の充電走行マップ)とをさらに備えていることを特徴とする。 【0011】この構成では、実際の駆動エネルギ貯留量に応じて基準駆動力を補正するので、駆動エネルギの充填を、その要求度合に応じて効率良く適切に行うことができる。 【0012】さらに、請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかの駆動力制御装置において、目標駆動力FCMDと基準駆動力FCMD_CHRGとの偏差に応じて、駆動源への駆動エネルギの充填量を設定する駆動エネルギ充填量設定手段(ECU11、図10のステップ72)をさらに備えていることを特徴とする。 【0013】この構成によれば、目標駆動力と基準駆動力との偏差に応じて、駆動エネルギの充填量を適切に設定できるとともに、第2原動機側の駆動輪の回生制動トルク(引きずり量)が非常に小さい状態で、充填走行を開始および終了できる。その結果、充填走行の開始時および終了時に、回生制動トルクが急激に発生したり消失したりすることがなくなるので、充填走行を、運転者に違和感を与えることなく行うことができる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を説明する。図1は、本発明による駆動力制御装置1を適用した前後輪駆動車両(以下「車両」という)2の概略構成を示している。同図に示すように、この車両2は、左右の前輪WFL、WFR(以下、総称する場合は「WF」という)をエンジン3で駆動するとともに、左右の後輪WRL、WRR(以下、総称する場合は「WR」という)を電気モータ(以下「モータ」という)4で駆動するものである。 【0015】エンジン3は、車両2の前部に横置きに搭載されており、トルクコンバータ5aを有する自動変速機5、およびフロントディファレンシャル6を介して、前輪WFに接続されている。 【0016】モータ4は、その駆動源であるバッテリ7に接続されるとともに、電磁クラッチ8およびリヤディファレンシャル9を介して、後輪WRに接続されている。モータ4がバッテリ7で駆動されており(駆動モード)、かつ電磁クラッチ8が接続されているときに、後輪WRがモータ4で駆動され、このとき、車両2は四輪駆動状態になる。なお、モータ4の出力は、最大12kWの範囲内で任意に変更することが可能である。一方、モータ4は、車両2の制動エネルギにより回転駆動されているとき(回生モード)に発電を行い、発電した電力(回生エネルギ)をバッテリ7に充電するジェネレータとしての機能を有している。このバッテリ7の充電残量SOCは、検出されたバッテリ7の電流・電圧値に基づき、後述するECU11によって算出される。 【0017】モータ4は、モータドライバー10を介して、ECU11に接続されており、モータ4の駆動モードおよび回生モードの切換え、駆動モード時における最大出力の設定や駆動トルク、ならびに回生モード時における回生量などは、ECU11で制御されるモータドライバー10によって、制御される。電磁クラッチ8の接続・遮断もまた、そのソレノイド(図示せず)への電流の供給・停止がECU11で制御されることによって、制御される。 【0018】左右の前輪WFL、WFRおよび後輪WRL、WRRには、磁気ピックアップ式の車輪回転数センサ12がそれぞれ設けられており、これらの車輪回転数センサ12から、各車輪回転数N_FL、N_FR、N_RL、N_RRを表すパルス信号がECU11にそれぞれ出力される。ECU11は、これらのパルス信号から、左右前輪回転数平均値N_Fwheel、左右後輪回転数平均値N_Rwheelや、車速Vcarなどを算出する。また、エンジン3のクランクシャフト(図示せず)には、所定のクランク角ごとにクランクパルス信号CRKを出力するクランク角センサ13が、自動変速機5のメインシャフト5bおよびカウンタシャフト(図示せず)には、それらの回転数Nm、Ncounterを表すパルス信号を出力する磁気ピックアップ式のメイン・カウンタシャフト回転数センサ14a、14bが、それぞれ設けられており、これらの信号もまた、ECU11に出力される。ECU11は、クランクパルス信号CRKに基づいてエンジン回転数NEを算出するとともに、このエンジン回転数NEとメインシャフト回転数Nmから、トルクコンバータ5aの速度比eを算出する(e=Nm/NE)。また、モータ4にはその回転数Nmotを表すパルス信号を出力するレゾルバによるモータ回転数センサ15が設けられており、この信号もECU11に出力される。 【0019】また、ECU11には、アクセル開度センサ16から、アクセルペダル17のON/OFFを含む開度(アクセル開度)θAPを表す検出信号が入力される。ECU11にはさらに、ブレーキのマスタシリンダ(図示せず)に取り付けたブレーキ圧センサ19からブレーキ圧PBRを表す検出信号が、操舵角センサ20からハンドル(図示せず)の操舵角θSTRを表す検出信号が、シフト位置センサ21から自動変速機5のシフトレバー位置POSIを表す検出信号が、加速度センサ22、23から前後の車輪WF、WRの加速度GF、GRを表す検出信号が、それぞれ入力される。 【0020】上記ECU11は、RAM、ROM、CPUおよびI/Oインターフェースなどからなるマイクロコンピュータ(いずれも図示せず)で構成されている。ECU11は、上述した各種センサからの検出信号に基づいて、車両2の走行状態を検出し、制御モードを判定するとともに、その結果に基づいて、車両2の目標駆動力FCMD、前輪目標駆動力FCMD_ENGおよび後輪目標駆動力FCMD_MOTを算出する。そして、算出した前輪目標駆動力FCMD_ENGに基づく駆動信号DBW_THを、DBW式のアクチュエータ24に出力することによって、スロットル弁25の開度(スロットル弁開度θTH)を制御し、エンジン3の駆動力を制御する。また、後輪目標駆動力FCMD_MOTに基づくモータ要求トルク信号TRQ_MOTをモータドライバー10に出力することによって、モータ4の駆動力を制御する。 【0021】図2は、ECU11で実行される制御処理のメインフローを示すフローチャートである。このプログラムは、所定時間(例えば10ms)ごとに実行される。この制御処理ではまず、ステップ21(「S21」と図示。以下同じ)において車両2の状態を検出する。具体的には、前述した各種センサで検出されたパラメータ信号を読み込み、これらに基づき、左右前輪・後輪回転数平均値N_Fwheel、N_Rwheel、車速Vcarや、後輪スリップ率Slip_ratioプの算出などの所定の演算を行うとともに、車両2が前進、後退および停止のいずれの走行状態にあるかを判定する。 【0022】次いで、ステップ21で検出された、自動変速機5のシフトレバー位置POSIおよびアクセルペダル(以下「AP」という)17のON/OFF状態、ならびに車両2の走行状態から、車両2の制御モードを判定する(ステップ22)。具体的には、制御モードを、車両2が前進状態でかつAP17がONのときには前進駆動モードと判定し、車両2が前進状態でかつAP17がOFFのときには前進回生モードと判定し、車両2が停止状態のときには停止モードと判定し、車両2が後退状態でかつAP17がONのときおよびOFFのときには、後退駆動モードおよび後退回生モードとそれぞれ判定する。 【0023】次に、ステップ22で判定された制御モードに応じて、車両2全体の目標駆動力FCMD、前輪目標駆動力FCMD_ENGおよび後輪目標駆動力FCMD_MOTを算出する(ステップ23)。これについては後述する。 【0024】次いで、電磁クラッチ8のON/OFF制御を実行する(ステップ24)。具体的には、車速Vcar、およびモータ4と後輪WRL、WRRとの差回転数に基づいて、電磁クラッチ8をONまたはOFFするかを判定するとともに、その判定結果に基づいて電磁クラッチ8をON/OFF制御する。 【0025】次に、ステップ23で算出した後輪目標駆動力FCMD_MOTと、ステップ24で制御した電磁クラッチ8のON/OFF状態に基づいて、モータ4の要求トルクTRQ_MOTを算出し(ステップ25)、これに基づく駆動信号をモータドライバー10に出力することによって、モータ4の駆動力を制御する。 【0026】次いで、ステップ23で算出した前輪目標駆動力FCMD_ENGに基づいて、アクチュエータ出力値DBW_THを算出し(ステップ26)、これに基づく駆動信号をアクチュエータ24に出力し、スロットル弁開度θTHを制御することで、エンジン3の駆動力を制御し、本プログラムを終了する。 【0027】図3は、図2のステップ23で実行される駆動力算出サブルーチンを示す。この制御処理ではまず、判定された制御モードに従い、車両2全体の目標駆動力FCMDを演算する(ステップ31)。この目標駆動力FCMDは、例えば、検出された車速VcarおよびAP開度θAPに応じ、図4に一例を示すテーブルを検索することによって、算出される。図4には、AP開度θAPが0deg、5degおよび80degのときのテーブル値が代表的に示されており、目標駆動力FCMDは、アクセル開度θTHが大きいほど大きく、また車速Vcarが大きいほど小さくなるように設定されている。なお、AP開度θAP=0degのときのテーブル値は、シフトレバー位置がD4相当のラインを表しており、この場合、目標駆動力FCMDは、負値として算出される。 【0028】次に、充電モード要求判定を実行する(ステップ32)。具体的には、車速Vcarおよびバッテリ7の充電残量SOCに応じて、基準駆動力FCMD_CHRGを求めるとともに、この基準駆動力FCMD_CHRGと、ステップ31で算出した目標駆動力FCMDとの関係から、バッテリ7を充電する充電走行を行うべきか否かを判定し、その判定結果が肯定のときに、制御モードが充電モードとされる。その詳細については後述する。 【0029】次いで、後輪目標駆動力FCMD_MOTを演算する(ステップ33)。この演算は、図2のステップ22および上記ステップ32で判定された制御モード(駆動、回生、充電および停止のいずれか)に従い、制御モード別に行われる。 【0030】次に、上記ステップ33で算出した後輪目標駆動力FCMD_MOTに所定のフィルタ処理を施した(ステップ34)後、前輪目標駆動力FCMD_ENGを次式(1)によって演算し(ステップ35)、本プログラムを終了する。 FCMD_ENG =FCMD−FCMD_MOT−FENG_OFF・・・(1) ここで、FENG_OFFは、エンジン引きずり分(負値)である。このように、前輪目標駆動力FCMD_ENGは、基本的には、目標駆動力FCMDから後輪目標駆動力FCMD_MOTを差し引いた値として設定される。 【0031】図5〜図7は、図3のステップ32で実行される定速走行(クルーズ)時の充電モード要求判定のサブルーチンを示している。この制御処理ではまず、車速Vcarが、その第1下限値VSPCHGLH(例えば25km/h)よりも大きく、かつ第1上限値VSPCHGHL(例えば65km/h)よりも小さいか否かを判別する(ステップ41)。 【0032】この答がNO、すなわちVSPCHGLH<Vcar<VSPCHGHLのときには、車速Vcarが充電走行を行うべき所定の範囲内にあるとして、充電走行マップ検索フラグF_CHRMAPを「1」にセットする(ステップ42)。一方、ステップ41の答がNO、すなわちVcar≦VSPCHGLHまたはVcar≧VSPCHGHLのときには、車速Vcarが充電走行を行うべき所定の範囲内にないとして、ステップ42をスキップし、次のステップ43に進む。これは、車速Vcarが小さい渋滞などの極低速運転時には、充電走行に入るのが煩雑であるので、これを回避するためであり、一方、車速Vcarが大きい高速運転時には、モータ4が高速で回転する後輪WRに追随して回転することが困難になることから、電磁クラッチ8が遮断されるためである。なお、電磁クラッチ8を設けずに、大型モータを用いて後輪WRを駆動することも可能であり、その場合には、上述した第1上限値VSPCHGHLおよび次に述べる第2上限値VSPCHGHHによる車速Vcarの制限は、省略することが可能である。 【0033】前記ステップ41または42に続くステップ43では、車速Vcarが、その第2下限値VSPCHGLL(例えば20km/h)よりも小さく、あるいは第2上限値VSPCHGHH(例えば70km/h)よりも大きいか否かを判別する。これらの第2下限値および第2上限値VSPCHGLL、VSPCHGHHは、上記第1下限値および第1上限値VSPCHGLH、VSPCHGHLに対して、ヒステリシスを付与したものである。したがって、このステップ43の答がYES、すなわちVcar<VSPCHGLLまたはVcar>VSPCHGHHのときには、車速Vcarが充電走行を行うべき所定の範囲にないとして、充電走行マップ検索フラグF_CHRMAPを「0」にセットする(ステップ44)一方、NOのときには、ステップ44をスキップし、次のステップ45に進む。 【0034】このステップ45では、後輪スリップ率零点調整フラグF_Slip_ratio_zeroが「0」であるか否かを判別する。このフラグF_Slip_ratio_zeroは、前輪WFと後輪WRのタイヤ径が異なる場合などにこれを補正するために発進時に実行される後輪スリップ率Slip_ratioの零点調整が終了したときに、「1」にセットされるものである。したがって、ステップ45の答がYES、すなわちF_Slip_ratio_zero=0のときには、充電走行マップ検索フラグF_CHRMAPを「0」にセットする(ステップ46)一方、NOのときには、ステップ46をスキップして、次のステップ47に進む。 【0035】このステップ47では、充電走行マップ検索フラグF_CHRMAPが「1」であるか否かを判別する。この答がNO、すなわち車速Vcarが所定の範囲にないか、または後輪スリップ率Slip_ratioの零点調整が終了していないときには、充電モードの基本的な実行条件が成立していないとして、ステップ48に進み、充電モードフラグF_CHRG_CMDを「0」にセットして、充電走行を実行しないようにするとともに、後述するクルーズOUTディレイタイマTM_CRUISEOUTのタイマ値を、その所定時間TM_CRUISEOUT_MIN(例えば0.1秒)に設定し、また、クルーズINディレイタイマTM_CRUISEINのタイマ値を、値0にリセットした後、後述するステップ57に進む。 【0036】一方、前記ステップ47の答がYES、すなわち車速Vcarが所定の範囲内にあり、かつ後輪スリップ率Slip_ratioの零点調整が実行済みのときには、充電モードの基本的な実行条件が成立しているとして、充電走行マップを検索することにより、車速Vcarおよびバッテリ7の充電残量SOCに応じて、基準駆動力FCMD_CHRGを求める(ステップ49)。 【0037】図8は、この充電走行マップの一例を示している。この充電走行マップは、充電走行を行うべき目標駆動力FCMDの領域を定めるものであり、後述するように、充電走行マップに定められた基準駆動力FCMD_CHRGよりも基準駆動力FCMDが小さいときに、充電走行が許可される。図8の充電走行マップでは、前記所定範囲内の車速Vcarに対し、基準駆動力FCMD_CHRGとして、低SOC用のFCMD_CHRG1および高SOC用のFCMD_CHRG2が設定されており、これらの一方がSOC値に応じて選択される。 【0038】一方、同図の破線は、各路面勾配において定速走行する際の走行抵抗曲線を表しており、これらの走行抵抗曲線は、「空気抵抗係数×車速Vcar2 +転がり抵抗係数×車重+路面勾配(%)×車重+モータ引きずり量」によって、理論的に求められる。同図から明らかなように、低SOC用の基準駆動力FCMD_CHRG1は、路面勾配=5%のときの走行抵抗曲線にほぼ相当するとともに、高SOC用の基準駆動力FCMD_CHRG2は、路面勾配=3%のときの走行抵抗曲線にほぼ相当している。その結果、低SOC用および高SOC用の基準駆動力FCMD_CHRG1、2は、いずれも車速Vcarの増加に応じて漸増するとともに、前者が後者よりも大きな値に設定される。なお、充電走行マップ中の下側のラインFCMD_MINは、AP17がOFFのときの目標駆動力FCMDを表し、すなわち目標駆動力FCMDの最低ラインに相当する。以上から明らかなように、図8の充電走行マップの基準駆動力FCMD_CHRG1またはFCMD_CHRG2と目標駆動力最低ラインFCMD_MINとの間の領域が、低SOC時および高SOC時における充電走行の実行領域を表す。 【0039】次いで、図6のステップ50において、図3のステップ31で算出した目標駆動力FCMDが、上記ステップ49で検索した基準駆動力FCMD_CHRGよりも小さいか否かを判別する。この答がYES、すなわち目標駆動力FCMD<基準駆動力FCMD_CHRGが成立していて、目標駆動力FCMDが図8の充電走行マップの実行領域内にあるときには、充電走行条件が成立しているとして、ステップ51に進み、クルーズINディレイタイマTM_CRUISEINのタイマ値が、その所定時間TM_CRUISEIN_MIN(例えば2秒)以上であるか否かを判別する。前述したように、このクルーズINディレイタイマTM_CRUISEINは、充電モードの基本的な実行条件が成立していないときに、前記ステップ48で値0にリセットされていることから、ステップ51の実行当初はこの答がNOになる。その場合には、ステップ52に進み、充電モードフラグF_CHRG_CMDを「0」に保持して、充電走行を実行しないようにするとともに、クルーズOUTディレイタイマTM_CRUISEOUTのタイマ値を所定時間TM_CRUISEOUT_MINに保持し、クルーズINディレイタイマTM_CRUISEINのタイマ値をインクリメントした後、後述するステップ57に進む。 【0040】一方、前記ステップ51の答がYES、すなわち充電走行条件の成立後、所定時間TM_CRUISEIN_MINが経過したときには、充電モードフラグF_CHRG_CMDを「1」にセットして、充電モードに移行し、充電走行を開始するとともに、クルーズOUTディレイタイマTM_CRUISEOUTを値0にリセットした(ステップ53)後、後述するステップ57に進む。以上のように、充電走行は、目標駆動力FCMDが基準駆動力FCMD_CHRGよりも小さく、かつその状態が所定時間TM_CRUISEIN_MINの間、維持されたときに、実行される。 【0041】一方、前記ステップ50の答がNO、すなわち目標駆動力FCMD≧基準駆動力FCMD_CHRGが成立していて、目標駆動力FCMDが図8の充電走行マップの実行領域内にないときには、クルーズOUTディレイタイマTM_CRUISEOUTのタイマ値が、所定時間TM_CRUISEOUT_MIN以上であるか否かを判別する(ステップ54)。今回のループが、充電モードから移行した直後のループである場合には、このクルーズOUTディレイタイマTM_CRUISEOUTが、前記ステップ53で値0にリセットされていることから、ステップ54の答がNOになる。その場合には、ステップ55に進み、充電モードフラグF_CHRG_CMDを「1」に保持して、充電走行を続行するとともに、クルーズINディレイタイマTM_CRUISEINのタイマ値を所定時間TM_CRUISEIN_MINに保持し、クルーズOUTディレイタイマTM_CRUISEOUTのタイマ値をインクリメントした後、後述するステップ57に進む。 【0042】一方、前記ステップ54の答がYES、すなわち目標駆動力FCMD≧基準駆動力となった後、所定時間TM_CRUISEOUT_MINが経過したときには、充電モードフラグF_CHRG_CMDを「0」にセットして、充電モードから離脱し、充電走行を終了するとともに、クルーズINディレイタイマTM_CRUISEINを値0にリセットした(ステップ56)後、後述するステップ57に進む。このように、充電走行は、目標駆動力FCMDが基準駆動力FCMD_CHRGよりも大きくなった後、その状態が所定時間TM_CRUISEOUT_MINの間、継続したときに、終了する。以上により、充電モードへの移行と離脱の間での制御ハンチングが防止される。 【0043】次いで、前記ステップ48、52、53、55または56に続くステップ57では、充電モードフラグF_CHRG_CMDの今回値と前回値F_CHRG_CMD_OLDとの差を、充電走行開始フラグF_START_CHRG_CMDとして算出するとともに、次いで、その値が「1」であるか否かを判別する(ステップ58)。この答がYES、すなわちF_START_CHRG_CMD=1であって、今回のループが充電走行を開始した最初のループであるときには、充電スロープ制御タイマTM_CHRG_SLOPEをインクリメントして、スタートさせる(ステップ59)。一方、ステップ58の答がNO、すなわち今回のループが充電走行の開始時以外のときには、ステップ59をスキップし、次いで、今回の充電モードフラグF_CHRG_CMD値を、その前回値F_CHRG_CMD_OLDとして設定し(ステップ60)、本プログラムを終了する。 【0044】以上のように、本実施形態によれば、車両2の実際の目標駆動力FCMDが、図8の充電走行マップに定められた基準駆動力FCMD_CHRGよりも小さいと判定されたときに、充電走行が許可され、実行される。また、前述したように、この基準駆動力FCMD_CHRG1、2は、3%または5%の路面勾配での定速走行に必要な車両2の駆動力に相当する。したがって、この勾配よりも緩やかな路面勾配で定速走行を行っている状態では、車両2の目標駆動力FCMDが基準駆動力FCMD_CHRGよりも小さくなることで、充電走行が行われる。この場合、車両2が定速走行されていて、車両2全体としての目標駆動力FCMDが小さいことから、充電走行に伴うエンジン3の負荷の増加量は小さい。一方、例えばAP17が踏み込まれた加速状態では、目標駆動力FCMDが増大し、基準駆動力FCMD_CHRGを上回るようになることで、充電走行が禁止される。このように、充電走行を、運転者による加速要求が無い場合にのみ、エンジン3に余分な負荷をかけずに無理なく行えるので、従来よりも燃費と運転性を向上させることができる。 【0045】また、基準駆動力FCMD_CHRGが上述したように設定されので、定速走行時に、充電走行領域を確保でき、バッテリ7の充電を確実に行うことができるとともに、基準駆動力FCMD_CHRGを理論式によって容易に求めることができる。さらに、基準駆動力FCMD_CHRGは、車両2の走行状態が充電に適した定速走行状態にあるか否かを判定する基準になるとともに、充電走行を実行する基準にもなるので、この基準駆動力FCMD_CHRGをあらかじめ設定し、充電走行マップに記憶させておくだけで、定速走行状態の判定と充電走行の実行を、容易かつ適切に行うことができる。 【0046】また、基準駆動力FCMD_CHRGとして、低SOC時に大きな基準駆動力FCMD_CHRG1が用いられ、高SOC時に小さな基準駆動力FCMD_CHRG2が用いられるので、充電要求が高い低SOC時に、路面勾配がより大きい状態での定速走行時にも充電モードに入りやすくなることで、バッテリ7の充電を、その要求度合に応じて効率良く適切に行うことができる。 【0047】なお、上記の充電走行マップでは、基準駆動力FCMD_CHRGとして、低SOC用および高SOC用の2つの基準駆動力FCMD_CHRG1、2をあらかじめ設定し、実際の充電残量SOCに応じて選択するようにしているが、充電残量SOCによる基準駆動力FCMD_CHRGの補正を他の手法によって行ってもよい。図9は、そのためのテーブルの一例を示しており、このテーブルでは、基準勾配SLOPE_REFが、充電残量SOCが小さいほど、より大きくなるように設定されている。そして、このテーブルを検索することにより、実際の充電残量SOCに応じて基準勾配SLOPE_REFを求めるとともに、求めた基準勾配SLOPE_REFにおける車両2の走行抵抗曲線を、そのときの基準駆動力FCMD_CHRGとして決定する。これにより、基準駆動力FCMD_CHRGを、充電残量SOCに応じてよりきめ細かく設定できるので、バッテリ7の充電を、その要求度合に応じてより適切に行うことができる。 【0048】図10〜図12は、上述した図5〜図7のサブルーチンの判定結果に従って実行される定速走行充電モード時の後輪目標駆動力FCMD_MOTの算出サブルーチンを示す。この制御処理ではまず、図5のステップ49と同様、図8の充電走行マップにより、車速Vcarおよび充電残量SOCに応じて、基準駆動力FCMD_CHRGを検索する(ステップ71)。次に、検索した基準駆動力FCMD_CHRGと目標駆動力FCMDから、充電時後輪目標駆動力計算値FCMD_MOT_CHRGを、次式(2)によって算出する(ステップ72)。 FCMD_MOT_CHRG=FCMD−FCMD_CHRG・・・(2) 【0049】このように、充電時後輪目標駆動力計算値FCMD_MOT_CHRGは、目標駆動力FCMDと基準駆動力FCMD_CHRGとの偏差として決定される。また、前述したように、定速走行充電モードが、FCMD<FCMD_CHRGのときに実行されることから、式(2)で求められる充電時後輪目標駆動力計算値FCMD_MOT_CHRGは、負値となり、すなわち後輪WRの引きずりトルクとして設定される。また、前記ステップ35の説明で述べたように、前輪目標駆動力FCMD_ENGは、基本的に目標駆動力FCMDから後輪目標駆動力FCMD_MOTを差し引いた値(=FCMD−FCMD_MOT)として設定されるので、この定速走行充電モードでは、前輪目標駆動力FCMD_ENGにFCMD_MOT_CHRG値が上乗せされることになる。 【0050】次に、上記算出した充電時後輪目標駆動力計算値FCMD_MOT_CHRGのリミット処理を行う。まず、充電残量SOCに応じて、後輪WRの最大引きずり量FCMD_CHRG_MAXを検索する(ステップ73)。図13は、最大引きずり量テーブルの一例を示しており、このテーブルでは、最大引きずり量FCMD_CHRG_MAXは、基本的に、充電残量SOCが少ないほど、充電量を大きくするためにより大きな値に設定されている。具体的には、SOC値が第1所定値SOC1(例えば30%)以下のときに第1設定値FCMD_CHRG_MAX1(例えば−60kgf)に、第1所定値SOC1よりも大きな第2所定値SOC2(例えば60%)以上のときに、より小さな第2設定値FCMD_CHRG_MAX2(例えば−35kgf)にそれぞれ設定され、両所定値SOC1、2の間では漸減するように設定されている。 【0051】次いで、充電時後輪目標駆動力計算値FCMD_MOT_CHRG(負値)が、最大引きずり量FCMD_CHRG_MAX以下であるか(絶対値として大きいか)否かを判別する(ステップ74)。この答がYESのときには、充電時後輪目標駆動力計算値FCMD_MOT_CHRGを最大引きずり量FCMD_CHRG_MAXに設定する(ステップ75)一方、NOのときには、ステップ75をスキップして、FCMD_MOT_CHRG値を保持する。 【0052】ステップ74または75に続くステップ76では、充電スロープ制御タイマTM_CHRG_SLOPEのタイマ値が、値0より大きく、かつその所定時間TM_CHRG_SLOPE_END(例えば1.5秒)以下であるか否かを判別する。この答がYES、すなわち充電走行の開始後、所定時間TM_CHRG_SLOPE_ENDが経過していないときには、後輪目標駆動力FCMD_MOTを、それ以前の駆動状態から充電時の引きずり状態にスロープ状に徐々に移行させるために、これを次式(3)によって算出する(ステップ77)とともに、充電スロープ制御タイマTM_CHRG_SLOPEをインクリメントする(ステップ78)。 FCMD_MOT =FCMD_MOT_OLD+(FCMD_MOT_CHRG−FCMD_ MOT_OLD)/(TM_CHRG_SLOPE_END−TM_CH RG_SLOPE+1) ・・・(3) 【0053】ここで、FCMD_MOT_OLDは後輪目標駆動力の前回値、右辺の分母(TM_CHRG_SLOPE_END−TM_CHRG_SLOPE+1)は、充電スロープ制御タイマTM_CHRG_SLOPEの作動残り時間(スロープ演算残り回数)を表す。すなわち、式(3)による演算により、このタイマの作動時間中の各ループにおいて、そのときの充電時後輪目標駆動力計算値FCMD_MOT_CHRGと後輪目標駆動力の前回値FCMD_MOT_OLDとの差をタイマの作動残り時間で除した値を、FCMD_MOT_OLD値に随時、加算することによって、後輪目標駆動力FCMD_MOTは、スロープ状に徐々に変化し、所定時間TM_CHRG_SLOPE_ENDの経過時に、最終的に充電時後輪目標駆動力計算値FCMD_MOT_CHRGに達する。これにより、後輪目標駆動力FCMD_MOTを、駆動状態から充電時の引きずり状態にスロープ状に徐々に移行させることができる。 【0054】一方、前記ステップ76の答がNO、すなわち充電走行の開始後、所定時間TM_CHRG_SLOPE_ENDが経過したときには、充電時後輪目標駆動力計算値FCMD_MOT_CHRGをそのまま後輪目標駆動力FCMD_MOTとして設定するとともに、充電スロープ制御タイマTM_CHRG_SLOPEを値0にリセットした(ステップ79)後、ステップ80以降に進む。 【0055】図15は、これまでに説明した制御処理によって得られる、定速走行中およびその終了後における動作例を示すタイムチャートである。まず、低路面勾配で定速走行が行われているとすると、そのときの目標駆動力FCMDが基準駆動力FCMD_CHRGを下回り、図6のステップ50の答がYESとなることで、充電走行が実行される。このときの後輪目標駆動力FCMD_MOT、すなわち充電量は、前記式(2)などにより、基本的に、目標駆動力FCMDと基準駆動力FCMD_CHRGとの偏差(=FCMD−FCMD_CHRG)として決定される。その後、例えば路面勾配が次第に大きくなると、目標駆動力FCMDが漸増するとともに、それに伴い、基準駆動力FCMD_CHRGとの偏差が小さくなることで、後輪目標駆動力FCMD_MOTが漸減する(時刻t1、t2の間)。そして、目標駆動力FCMDが基準駆動力FCMD_CHRGに達した時点(時刻t2)で、ステップ50の答がNOとなることで、定速走行充電モードが終了する。このときの後輪目標駆動力FCMD_MOTすなわち充電量は、ほぼ値0であり、この状態から、制御モードが例えば駆動モードに移行する。 【0056】以上のように、本実施形態では、定速走行充電モードにおける後輪目標駆動力FCMD_MOTが、目標駆動力FCMDと基準駆動力FCMD_CHRGとの偏差に応じて設定されるので、後輪目標駆動力FCMD_MOTが非常に小さい状態で、充電走行を開始および終了できる。その結果、この後輪目標駆動力FCMD_MOTが急激に発生したり消失したりすることがなくなるので、充電走行を、運転者に違和感を与えることなく行うことができる。 【0057】図11のステップ80以降では、充電走行に伴う後輪スリップを抑制して車両2の走行安定性を確保するために、充電量の制限制御を実行する。まず、充電量制限フラグF_CHRG_LMTが「1」であるか否かを判別する(ステップ80)。この答がNO、すなわち充電量の制限中でないときには、左右前輪回転数平均値N_Fwheelがその切換回転数Vn_change(例えば車速5km/h相当)以上で、かつ後輪スリップ率Slip_ratioがその判別値CHRG_Slip_ratio(例えば1%)以上であるか否かを判別する(ステップ81)。この答がYES、すなわちN_Fwheel≧Vn_changeかつSlip_ratio≧CHRG_Slip_ratioのときには、後輪スリップが大きく、充電量の制限を開始すべきとして、充電量制限フラグF_CHRG_LMTを「1」にセットするとともに、そのときの後輪目標駆動力FCMD_MOTを、充電量制限値LMT_FCMD_MOT_CHRGの初期値として設定した(ステップ82)後、後述するステップ88に進む。ステップ81の答がNOのときには、そのままステップ88に進む。 【0058】一方、前記ステップ80の答がYES、すなわち充電量制限フラグF_CHRG_LMT=1であって、充電量の制限中のときには、ステップ77または79で算出された今回の後輪目標駆動力FCMD_MOT(負値)が、充電量制限値LMT_FCMD_MOT_CHRG以上であるか(絶対値として小さいか)否かを判別する(ステップ83)。この答がNO、すなわちFCMD_MOT<LMT_FCMD_MOT_CHRGが成立し、後輪引きずり量が大きいときには、充電量の制限を継続すべきとして、ステップ84に進み、後輪スリップ率Slip_ratioに応じて、充電量制限補正値KCHRG_LMTを検索する。 【0059】図14は、充電量制限補正値テーブルの一例を示しており、このテーブルでは、充電量制限補正値KCHRG_LMTは、後輪スリップ率Slip_ratioが上述した充電量制限開始用の判別値CHRG_Slip_ratio付近では値0に設定され、後輪スリップ率Slip_ratioがそれよりも大きい領域では階段状に大きくなる一方、小さい領域では一定の負値に設定されている。なお、充電量制限補正値KCHRG_LMTがこのように階段状に設定されるのは、後輪スリップ率Slip_ratioの変化に過敏に反応して変化しないようにするためである。 【0060】次いで、充電量制限補正値KCHRG_LMTを充電量制限値の前回値LMT_FCMD_MOT_CHRG_OLDに加算した値を、今回の充電量制限値LMT_FCMD_MOT_CHRGとして設定する(ステップ85)。次に、この充電量制限値LMT_FCMD_MOT_CHRGを、後輪目標駆動力FCMD_MOTとして設定した(ステップ86)後、後述するステップ88に進む。 【0061】一方、前記ステップ83の答がYES、すなわち後輪目標駆動力FCMD_MOT≧充電量制限値LMT_FCMD_MOT_CHRGになったときには、充電量の制限を解除すべきとして、ステップ87に進み、充電量制限フラグF_CHRG_LMTを「0」にセットするとともに、充電量制限値LMT_FCMD_MOT_CHRGを、前記ステップ73で検索した最大引きずり量FCMD_CHRG_MAXに設定した後、ステップ88に進む。 【0062】このステップ88では、今回の充電量制限値LMT_FCMD_MOT_CHRGを、その前回値LMT_FCMD_MOT_CHRG_OLDとして設定する。 【0063】次いで、ステップ89以降において、前記ステップ77、79または86で設定した後輪目標駆動力FCMD_MOTの最終的なリミット処理を行う。まず、後輪目標駆動力FCMD_MOTが、モータ4の回転抵抗であるモータ引きずり分FMOT_OFF以上であるか否かを判別する(ステップ89)。この答がYES、すなわちFCMD_MOT≧FMOT_OFFのときには、後輪WRでモータ4を回転駆動できる状態を確保すべく、後輪目標駆動力FCMD_MOTをモータ引きずり分FMOT_OFFに設定する(ステップ90)一方、NOのときには、ステップ90をスキップして、後輪目標駆動力FCMD_MOTを保持する。 【0064】次に、後輪目標駆動力FCMD_MOTが、最大引きずり量FCMD_CHRG_MAX以下であるか否かを判別する(ステップ91)。この答がYES、すなわちFCMD_MOT≦FCMD_CHRG_MAXのときには、後輪目標駆動力FCMD_MOTを最大引きずり量FCMD_CHRG_MAXに設定する(ステップ92)一方、NOのときには、ステップ92をスキップして、後輪目標駆動力FCMD_MOTを保持し、本プログラムを終了する。 【0065】なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、モータ4と後輪WRの間を接続・遮断するクラッチとして、電磁クラッチ8を用いているが、伝達容量を制御可能なクラッチであればよく、例えば油圧式多板クラッチを採用してもよい。また、実施形態は、前輪をエンジンで駆動し、後輪をモータで駆動するタイプの前後輪駆動車両に、本発明を適用した例であるが、本発明は、これに限らず、エンジンおよびモータによる駆動を前後輪逆に行う車両にも、同様に適用することが可能である。 【0066】 【発明の効果】以上のように、本発明の前後輪駆動車両の駆動力制御装置によれば、第2原動機の駆動源への駆動エネルギを充填を、運転者の加速意志が無い定速走行時に、第1原動機に余分な負荷をかけずに無理なく行うことができ、それにより、燃費と運転性を向上させることができる。また、基準駆動力によって、定速走行の判定と駆動エネルギの充填の実行を、容易かつ適切に行えるとともに、定速走行時に、駆動エネルギを充填する走行領域を確保でき、駆動エネルギの充填を確実に行うことができる。さらに、駆動エネルギの充填を、その要求度合に応じて効率良く適切に行うことができる。また、充填走行の開始時および終了時に、回生制動トルクの急激な発生および消失を防止できることで、充填走行を運転者に違和感を与えることなく行うことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年7月21日(2000.7.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095566 【弁理士】 【氏名又は名称】高橋 友雄
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| 【公開番号】 |
特開2002−36906(P2002−36906A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月6日(2002.2.6) |
| 【出願番号】 |
特願2000−220828(P2000−220828) |
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