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【発明の名称】 空調装置
【発明者】 【氏名】一志 好則

【要約】 【課題】運転席側、助手席側の目標A/M開度が略同一の時に、各運転席側、助手席側エアミックスドアの目標位置と実際の位置(検出位置)とのずれ量をできるだけ小さくする。

【解決手段】運転席と助手席との吹出温度調節を互いに独立して行う左右座席独立温度コントロール方式のオートエアコンシステムにおいて、設定温度が運転席側と助手席側とで同じで、目標吹出温度が運転席側と助手席側とで同じ時、すなわち、運転席側、助手席側の目標A/M開度が一致している時に、目標A/M開度に対するずれの大きい方のエアミックスドアの検出位置(現在位置)と目標A/M開度との偏差が所定値以上の場合には、目標A/M開度に対するずれの大きい方のエアミックスドアのサーボモータを、目標吹出温度に応じて算出される目標A/M開度に対するずれの小さい方のエアミックスドアの検出位置(現在位置)に向けて一定の所定時間だけ通電する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】室内の第1空調ゾーンの空調制御量を調節する第1空調制御量調節手段と、室内の第2空調ゾーンの空調制御量を調節する第2空調制御量調節手段と、これらの各空調制御量調節手段の実際の位置と目標位置との偏差に応じて、前記各空調制御量調節手段のアクチュエータを互いに独立に制御する空調制御手段とを備え、前記空調制御手段は、前記各空調制御量調節手段の目標位置が略同一の時、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の目標位置と実際の位置との偏差が所定値以上異なる場合に、前記目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段を、前記偏差が小さくなる側に向けて、所定時間だけ強制的に作動させることを特徴とする空調装置。
【請求項2】室内の第1空調ゾーンの空調制御量を調節する第1空調制御量調節手段と、室内の第2空調ゾーンの空調制御量を調節する第2空調制御量調節手段と、これらの各空調制御量調節手段の実際の位置と目標位置との偏差に応じて、前記各空調制御量調節手段のアクチュエータを互いに独立に制御する空調制御手段とを備え、前記空調制御手段は、前記各空調制御量調節手段の目標位置が略同一の時、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の実際の位置と目標位置に対するずれの小さい方の空調制御量調節手段の実際の位置とが所定値以上異なる場合に、前記目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段を、前記目標位置に対するずれの小さい方の空調制御量調節手段の実際の位置に向けて、所定時間だけ強制的に作動させることを特徴とする空調装置。
【請求項3】請求項1または請求項2に記載の空調装置において、前記空調制御手段は、前記目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の目標位置と実際の位置との偏差が大きい程、あるいは前記目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の実際の位置と前記目標位置に対するずれの小さい方の空調制御量調節手段の実際の位置との位置差が大きい程、強制的に作動させる前記所定時間を長く設定することを特徴とする空調装置。
【請求項4】室内の第1空調ゾーンの空調制御量を調節する第1空調制御量調節手段と、室内の第2空調ゾーンの空調制御量を調節する第2空調制御量調節手段と、これらの各空調制御量調節手段の実際の位置と目標位置との偏差に応じて、前記各空調制御量調節手段のアクチュエータを互いに独立に制御する空調制御手段とを備え、前記空調制御手段は、前記各空調制御量調節手段の目標位置が略同一の時、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の目標位置と実際の位置との偏差が所定値以上異なる場合に、前記目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の目標位置を、前記偏差が小さくなる側に向けて、補正することを特徴とする空調装置。
【請求項5】室内の第1空調ゾーンの空調制御量を調節する第1空調制御量調節手段と、室内の第2空調ゾーンの空調制御量を調節する第2空調制御量調節手段と、これらの各空調制御量調節手段の実際の位置と目標位置との偏差に応じて、前記各空調制御量調節手段のアクチュエータを互いに独立に制御する空調制御手段とを備え、前記空調制御手段は、前記各空調制御量調節手段の目標位置が略同一の時、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の実際の位置と目標位置に対するずれの小さい方の空調制御量調節手段の実際の位置とが所定値以上異なる場合に、前記目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の目標位置を、前記目標位置に対するずれの小さい方の空調制御量調節手段の実際の位置に向けて補正することを特徴とする空調装置。
【請求項6】請求項4または請求項5に記載の空調装置において、前記空調制御手段は、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の作動する方向が、目標位置に対するずれの小さい方の空調制御量調節手段が最後に作動を停止したのと同じ方向と異なる方向の時とで、前記目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の目標位置を異ならせることを特徴とする空調装置。
【請求項7】請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の空調装置において、前記補正による空調制御量調節手段の目標位置は、所定時間経過後または前記補正による空調制御量調節手段の作動停止後または空調熱負荷が所定以上変化した時、前記補正による空調制御量調節手段の目標位置を、0にするか、あるいは少なくすることを特徴とする空調装置。
【請求項8】請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の空調装置において、前記補正による空調制御量調節手段の目標位置を、任意に設定することが可能な目標値設定手段を備えたことを特徴とする空調装置。
【請求項9】請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の空調装置において、前記各空調制御量調節手段の実際の位置が所定範囲外の時は、所定範囲内の時に比べて、前記補正による空調制御量調節手段の目標位置を、少なくするか、あるいは0にすることを特徴とする空調装置。
【請求項10】請求項1ないし請求項9のうちのいずれかに記載の空調装置において、前記第1空調制御量調節手段は、前記第1空調ゾーンへ吹き出す空気の吹出温度を変更することが可能な第1吹出温度可変手段であり、前記第2空調制御量調節手段は、前記第2空調ゾーンへ吹き出す空気の吹出温度を変更することが可能な第2吹出温度可変手段であり、前記空調制御手段は、各吹出温度可変手段の実際の位置と目標位置との偏差に応じて、前記各吹出温度可変手段のアクチュエータを互いに独立に制御することを特徴とする空調装置。
【請求項11】請求項10に記載の空調装置において、前記第1吹出温度可変手段は、前記第1空調ゾーンへ空気を送るための第1空気通路内に配された第1加熱用熱交換器を通過する空気量と迂回する空気量とを調節する第1エアミックスドアであり、前記第2吹出温度可変手段は、前記第2空調ゾーンへ空気を送るための第2空気通路内に配された第2加熱用熱交換器を通過する空気量と迂回する空気量とを調節する第2エアミックスドアであり、前記空調制御手段は、各エアミックスドアの実際の位置と目標位置との偏差に応じて、前記各エアミックスドアのサーボモータを互いに独立に制御することを特徴とする空調装置。
【請求項12】請求項10に記載の空調装置において、前記第1吹出温度可変手段は、前記第1空調ゾーンへ空気を送るための第1空気通路内に配された第1加熱用熱交換器内への熱媒体の流量を調節する第1流量調節弁であり、前記第2吹出温度可変手段は、前記第2空調ゾーンへ空気を送るための第2空気通路内に配された第2加熱用熱交換器内への熱媒体の流量を調節する第2流量調節弁であり、前記空調制御手段は、各流量調節弁の実際の位置と目標位置との偏差に応じて、前記各流量調節弁の電磁式アクチュエータを互いに独立に制御することを特徴とする空調装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の空調ゾーンの空調制御量をそれぞれ独立に制御する空調装置に関するもので、例えば運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンとの吹出温度調節を互いに独立して行う左右座席独立温度コントロール方式の車両用空調装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】近年、運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンとを互いに独立して吹出温度調節が可能な、所謂左右座席独立温度コントロール方式の車両用空調装置が多くなりつつある。このような車両用空調装置においては、空調ダクト内を仕切り板により運転席側通風路と助手席側通風路とに区画すると共に、運転席側通風路と助手席側通風路とを通過する空気を冷却水と熱交換させて加熱する加熱用熱交換器と、加熱用熱交換器を通過する空気量と加熱用熱交換器を迂回する空気量とを互い独立して調整する第1、第2エアミックスドアとを設けることで、運転席側通風路の下流端の運転席側吹出口から運転席側空調ゾーン内へ吹き出す運転席側吹出温度と助手席側通風路の下流端の助手席側吹出口から助手席側空調ゾーン内へ吹き出す助手席側吹出温度とを異ならせている。
【0003】ここで、特開平9−156340号公報においては、運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンとを互いに独立して吹出温度調節する目的で、運転席側エアミックスドアの現在位置と目標位置との偏差に応じて運転席側サーボモータを通電制御し、助手席側エアミックスドアの現在位置と目標位置との偏差に応じて助手席側サーボモータを通電制御している。なお、運転席側、助手席側エアミックスドアは、目標位置で停止するように制御されるのではなく、現在位置と目標位置との偏差が負方向の所定値(−4%)から正方向の所定値(+4%)までの範囲内となれば停止するように、不感帯(ヒステリシス)を設けている。ところで、上記公報の車両用空調装置においては、運転席側エアミックスドアと助手席側エアミックスドアとの目標位置が同一の時には、助手席側エアミックスドアの目標位置を、運転席側エアミックスドアの実際の位置となるように補正して、両エアミックスドアのずれ量をできるだけ小さくしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来の技術では、目標位置に対する運転席側エアミックスドアのずれ量が、目標位置に対する助手席側エアミックスドアの補正前のずれ量よりも大きいときには、助手席側エアミックスドアの目標位置がもともとの目標位置から大きくずれてしまうという問題が生じている。これにより、運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンとで目標吹出温度が同一で、運転席側、助手席側エアミックスドアの目標位置が同一の時に、運転側、助手席側空調ゾーンへ吹き出す実際の吹出温度が目標吹出温度と異なり、乗員に違和感を与える可能性があった。
【0005】
【発明の目的】本発明の目的は、各空調制御量調節手段の目標位置が略同一の時に、各空調制御量調節手段の目標位置と実際の位置とのずれ量をできるだけ小さくすることのできる空調装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明によれば、各空調制御量調節手段の目標位置が略同一の時、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の目標位置と実際の位置との偏差が所定値以上異なる場合に、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段を、前記偏差が小さくなる側に向けて、所定時間だけ強制的に作動させることにより、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の目標位置と実際の位置とが所定値以上異なる時のみ補正が実施されるので、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段のアクチュエータの作動回数が少なくて済むと共に、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の実際の位置と目標位置とをできるだけ近づけることができる。
【0007】請求項2に記載の発明によれば、各空調制御量調節手段の目標位置が略同一の時、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の実際の位置と目標位置に対するずれの小さい方の空調制御量調節手段の実際の位置とが所定値以上異なる場合に、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段を、目標位置に対するずれの小さい方の空調制御量調節手段の実際の位置に向けて、所定時間だけ強制的に作動させることにより、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の実際の位置と目標位置とをできるだけ近づけることができる。また、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の実際の位置と目標位置に対するずれの小さい方の空調制御量調節手段の実際の位置とが所定値以上異なる時のみ補正が実施されるので、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段のアクチュエータの作動回数が少なくて済む。
【0008】請求項3に記載の発明によれば、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の目標位置と実際の位置との偏差が大きい程、あるいは目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の実際の位置と目標位置に対するずれの小さい方の空調制御量調節手段の実際の位置との位置差が大きい程、強制的に作動させる所定時間を長く設定することにより、より正確に誤差の補正を行うことができる。
【0009】請求項4に記載の発明によれば、各空調制御量調節手段の目標位置が略同一の時、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の目標位置と実際の位置との偏差が所定値以上異なる場合に、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の目標位置を、前記偏差が小さくなる側に向けて、補正することにより、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の目標位置と実際の位置とが所定値以上異なる時のみ補正が実施されるので、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段のアクチュエータの作動回数が少なくて済むと共に、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の実際の位置と目標位置とをできるだけ近づけることができる。
【0010】請求項5に記載の発明によれば、各空調制御量調節手段の目標位置が略同一の時、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の実際の位置と目標位置に対するずれの小さい方の空調制御量調節手段の実際の位置とが所定値以上異なる場合に、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の目標位置を、目標位置に対するずれの小さい方の空調制御量調節手段の実際の位置に向けて補正することにより、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の実際の位置と目標位置とをできるだけ近づけることができる。また、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の実際の位置と目標位置に対するずれの小さい方の空調制御量調節手段の実際の位置とが所定値以上異なる時のみ補正が実施されるので、空調制御量調節手段のアクチュエータの作動回数が少なくて済む。
【0011】請求項6に記載の発明によれば、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の作動する方向が、目標位置に対するずれの小さい方の空調制御量調節手段が最後に作動を停止したのと同じ方向と異なる方向の時とで、前記目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の目標位置を異ならせることにより、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段が目標位置とずれている方向を推定して、目標位置に対するずれの大きい方の空調制御量調節手段の目標位置を補正できるので、1回の作動で、各空調制御量調節手段を非常に近いところで作動停止させることができる。
【0012】請求項7に記載の発明によれば、前記補正による空調制御量調節手段の目標位置は、所定時間経過後または前記補正による空調制御量調節手段の作動停止後または空調熱負荷が所定以上変化した時、前記補正による空調制御量調節手段の目標位置を、0にするか、あるいは少なくすることを特徴としている。これにより、補正後、空調熱負荷に変化があった時に、補正分のずれが出る不具合を解消できる。
【0013】請求項8に記載の発明によれば、前記補正による空調制御量調節手段の目標位置を、任意に設定することが可能な目標値設定手段を設けることにより、空調制御量調節手段のアクチュエータのバラツキによりハンチングする等が起きた場合でも製品毎の補正量で補正を行うことができる。
【0014】請求項9に記載の発明によれば、各空調制御量調節手段の実際の位置が所定範囲外の時は、所定範囲内の時に比べて、前記補正による空調制御量調節手段の目標位置を、少なくするか、あるいは0にすることを特徴としている。これにより、成り行きで制御したい場合、例えばエアミックスドアのMAX・HOT時またはMAX・COOL時のようにエアミックスドアのサーボモータを作動端まで動かしたい場合に、補正が働いてしまう不具合を防止することができる。
【0015】請求項10に記載の発明によれば、第1空調制御量調節手段は、第1空調ゾーンへ吹き出す空気の吹出温度を変更することが可能な第1吹出温度可変手段であり、第2空調制御量調節手段は、第2空調ゾーンへ吹き出す空気の吹出温度を変更することが可能な第2吹出温度可変手段であり、空調制御手段は、各吹出温度可変手段の実際の位置と目標位置との偏差に応じて、各吹出温度可変手段のアクチュエータを互いに独立に制御することを特徴としている。
【0016】請求項11に記載の発明によれば、第1吹出温度可変手段は、第1空調ゾーンへ空気を送るための第1空気通路内に配された第1加熱用熱交換器を通過する空気量と迂回する空気量とを調節する第1エアミックスドアであり、第2吹出温度可変手段は、第2空調ゾーンへ空気を送るための第2空気通路内に配された第2加熱用熱交換器を通過する空気量と迂回する空気量とを調節する第2エアミックスドアであり、空調制御手段は、各エアミックスドアの実際の位置と目標位置との偏差に応じて、各エアミックスドアのサーボモータを互いに独立に制御することを特徴としている。
【0017】請求項12に記載の発明によれば、第1吹出温度可変手段は、第1空調ゾーンへ空気を送るための第1空気通路内に配された第1加熱用熱交換器内への熱媒体の流量を調節する第1流量調節弁であり、第2吹出温度可変手段は、第2空調ゾーンへ空気を送るための第2空気通路内に配された第2加熱用熱交換器内への熱媒体の流量を調節する第2流量調節弁であり、空調制御手段は、各流量調節弁の実際の位置と目標位置との偏差に応じて、各流量調節弁の電磁式アクチュエータを互いに独立に制御することを特徴としている。
【0018】
【発明の実施の形態】〔第1実施形態の構成〕図1ないし図8は本発明の第1実施形態を示したもので、図2はオートエアコンシステムの全体構成を示した図で、図3(a)は車両のインストルメントパネルを示した図で、図3(b)は空調ユニットの主要部を示した図で、図4はエアコン操作パネルを示した図である。
【0019】本実施形態のオートエアコンシステムは、内燃機関(エンジン)を搭載する自動車等の車両の車室内を空調する空調ユニット1における各空調機器のアクチュエータを、オートエアコンシステム制御用の電子回路(空調制御装置:以下エアコンECUと言う)10によって制御するように構成された車両用空調装置である。その空調ユニット1は、車室内の運転席(右座席)側空調ゾーンと助手席(左座席)側空調ゾーンとの温度調節および吹出口モードの変更を互いに独立して行うことが可能な左右座席独立温度コントロール方式のエアコンユニットである。
【0020】図2に示すように、空調ユニット1は、車両の車室内の前方に配置された空調ダクト2を備えている。この空調ダクト2の上流側には、内外気切替ドア3およびブロワ4とが設けられている。内外気切替ドア3は、サーボモータ5等のアクチュエータにより駆動されて内気吸込口6と外気吸込口7との開度(所謂吸込口モード)を変更する吸込口切替手段である。ブロワ4は、ブロワ駆動回路8によって制御されるブロワモータ9により回転駆動されて空調ダクト2内において車室内に向かう空気流を発生させる送風機である。
【0021】空調ダクト2の中央部には、空調ダクト2内を通過する空気を冷却するエバポレータ(冷却用熱交換器)41が設けられている。また、そのエバポレータ41の下流側には、運転席側通風路(第1空気通路)11および助手席側通風路(第2空気通路)12を通過する空気をエンジンの冷却水と熱交換して加熱するヒータコア42が設けられている。なお、運転席側、助手席側通風路11、12およびヒータコア42は仕切り板14により区画されている。これにより、ヒータコア42は、図3(b)に示したように、運転席側通風路11側に露出する運転席側ヒータコア(第1加熱用熱交換器)42a、および助手席側通風路12側に露出する助手席側ヒータコア(第2加熱用熱交換器)42bによって構成されている。
【0022】ここで、本実施形態のエバポレータ41は、冷凍サイクルの一構成部品を成すものである。冷凍サイクルは、車両のエンジンルーム内に搭載された車両走行用のエンジンの出力軸にベルト駆動されて、冷媒を圧縮して吐出する可変容量型冷媒圧縮機(コンプレッサ)と、このコンプレッサより吐出された冷媒を凝縮液化させる冷媒凝縮器(コンデンサ)と、このコンデンサより流入した液冷媒を気液分離する受液器(レシーバ)と、このレシーバより流入した液冷媒を断熱膨張させる膨張弁、この膨張弁より流入した気液二相状態の冷媒を蒸発気化させる上記のエバポレータ(冷媒蒸発器)とから構成されている。
【0023】そして、ヒータコア42の下流側には、運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンとの温度調節を互いに独立して行うための運転席側、助手席側エアミックス(A/M)ドア15、16が設けられている。そして、運転席側、助手席側A/Mドア15、16は、サーボモータ17、18により駆動される。ここで、運転席側A/Mドア15は、本発明の第1空調制御量調節手段に相当するもので、運転席側ヒータコア42を通過する空気量を連続的または段階的に調節して、運転席側空調ゾーンへ吹き出す空気の吹出温度を変更することが可能な第1吹出温度可変手段を構成する。
【0024】助手席側A/Mドア16は、本発明の第2空調制御量調節手段に相当するもので、助手席側ヒータコア42を通過する風量を連続的または段階的に調節して、助手席側空調ゾーンへ吹き出す空気の吹出温度を変更することが可能な第2吹出温度可変手段を構成する。そして、運転席側、助手席側A/Mドア15、16のサーボモータ17、18は、エアコンECU10からの制御仕様に応じて、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の開度を変更する第1、第2アクチュエータである。これにより、運転席側、助手席側通風路11、12内を流れ、各運転席側、助手席側吹出口から運転席側、助手席側空調ゾーンに向けて吹き出す空気の吹出温度を調節できる。
【0025】そして、運転席側通風路11の空気下流側に連通する各吹出ダクトの空気下流端では、運転席側空調ゾーンに空気を吹き出すための運転席側吹出口(第1吹出口)が開口している。本実施形態の運転席側吹出口としては、運転席側フロントウインドウガラスの内面に向けて空調風を吹き出すための運転席側デフロスタ(DEF)吹出口20と、運転席側乗員の頭胸部や運転席側サイドウインドウガラスの内面に向けて空調風を吹き出すための運転席側センタフェイス(FACE)吹出口21および運転席側サイドフェイス(FACE)吹出口22と、運転席側乗員の足元部に向けて空調風を吹き出すための運転席側フット(FOOT)吹出口23等である。
【0026】また、助手席側通風路12の空気下流側に連通する各吹出ダクトの空気下流端では、助手席側空調ゾーンに空気を吹き出すための助手席側吹出口(第2吹出口)が開口している。本実施形態の助手席側吹出口としては、助手席側フロントウインドウガラスの内面に向けて空調風を吹き出すための助手席側デフロスタ(DEF)吹出口30と、助手席側乗員の頭胸部や助手席側サイドウインドウガラスの内面に向けて空調風を吹き出すための助手席側センタフェイス(FACE)吹出口31および助手席側サイドフェイス(FACE)吹出口32と、助手席側乗員の足元部に向けて空調風を吹き出すための助手席側フット(FOOT)吹出口33等である。
【0027】そして、運転席側、助手席側通風路11、12内には、車室内の運転席側と助手席側との吹出口モードの設定を互いに独立して行う運転席側、助手席側吹出口切替ドア24〜26、34〜36が設けられている。そして、運転席側、助手席側吹出口切替ドア24〜26、34〜36は、サーボモータ28、29、38、39等のアクチュエータにより駆動されて運転席側、助手席側吹出口モードをそれぞれ切り替えるモード切替ドアである。ここで、運転席側、助手席側吹出口モードとしては、FACEモード、B/Lモード、FOOTモード、F/Dモード、DEFモード等がある。
【0028】エアコンECU10は、本発明の空調制御手段に相当するもので、エンジンの始動および停止を司るイグニションスイッチが投入(IG・ON)された時に、車両に搭載された車載電源であるバッテリ(図示せず)から直流電源が供給されると演算処理や制御処理を開始するように構成されている。エアコンECU10には、車室内前面のインストルメントパネル50に一体的に設置されたエアコン操作パネル51上の各種スイッチからの各スイッチ信号が入力される。
【0029】そして、図4に示すように、エアコン操作パネル51には、液晶表示装置(LCD:液晶ディスプレイ)52、内外気(REC/FRE)切替ボタン53、フロントデフロスタボタン(以下DEFボタンと言う)54、リヤデフロスタ(デフォッガ)ボタン55、DUALボタン56、吹出口モード(MODE)切替ボタン57、ブロワ風量切替ボタン58、A/Cボタン59、AUTOボタン60、OFFボタン61、運転席(DRIVER)側温度設定器62および助手席(PASSENGER)側温度設定器63等が設置されている。
【0030】上記のうちのLCD52には、運転席側、助手席側空調ゾーンの設定温度を視覚表示する設定温度表示部、吹出口モードを視覚表示する吹出口モード表示部、およびブロワ風量を視覚表示する風量表示部等が設けられている。なお、LCD52に外気温表示部、吸込口モード表示部、時刻表示部を設けても良い。また、視覚表示手段の代わりに音声やブザー等の聴覚表示手段を設けても良い。そして、DUALボタン56は、運転席側空調ゾーン内の温度調節と助手席側空調ゾーン内の温度調節とを互いに独立して行う左右独立温度コントロールを指令する左右独立制御指令手段である。また、MODE切替ボタン57は、乗員の操作に応じて、吹出口モードをFACEモード、B/Lモード、FOOTモードまたはF/Dモードに切り替える。
【0031】運転席側温度設定器62は、運転席側空調ゾーン内の温度を所望の温度に設定するための運転席側温度設定手段で、アップボタン62aとダウンボタン62bよりなる。また、助手席側温度設定器63は、助手席側空調ゾーン内の温度を所望の温度に設定するための助手席側温度設定手段で、アップボタン63aとダウンボタン63bよりなる。なお、エアコン操作パネル51上の各種の操作スイッチは、LCD52上に設けられていても良い。
【0032】また、エアコンECU10の内部には、CPU、ROMまたはEEPROM、RAM、およびI/Oポート等の機能を含んで構成される周知のマイクロコンピュータが設けられている。また、マイクロコンピュータには、各種センサからのセンサ信号がA/D変換回路によってA/D変換された後に、入力されるように構成されている。すなわち、図2に示すように、エアコンECU10のA/D変換回路には、車室内の空気温度(以下内気温と言う)を検出する内気温検出手段としての内気温センサ71、車室外の空気温度(以下外気温と言う)を検出する外気温検出手段としての外気温センサ72、および運転席側、助手席側空調ゾーン内に照射される日射量(日射強度)を検出する日射検出手段としての日射センサ73等が接続されている。
【0033】さらに、エアコンECU10のA/D変換回路には、エバポレータ41を通過した直後の空気温度(以下エバ後温度と言う)を検出するエバ後温度検出手段としてのエバ後温度センサ74、エンジン冷却水温を検出する冷却水温検出手段としての冷却水温センサ75、サーボモータ17の出力軸の回転角度を測定することで運転席側A/Mドア15の現在位置(実際の位置)を検出する第1位置検出手段としてのポテンショメータ76、およびサーボモータ18の出力軸の回転角度を測定することで助手席側A/Mドア16の現在位置(実際の位置)を検出する第2位置検出手段としてのポテンショメータ77等が接続されている。また、マイクロコンピュータの入力処理回路には、車両の走行速度(車速)を検出する車速検出手段としての車速センサ(図示せず)およびイグニション(IG)スイッチ等が接続されている。
【0034】これらのうち日射センサ73は、車室内の最前方側のフロントウインド近傍のインストルメントパネル50上に設置されている。なお、日射センサ73は、運転席側空調ゾーン内に照射される日射量(日射強度)TSDrを検知する運転席側日射強度検知手段(例えばフォトダイオード)、および助手席側空調ゾーン内に照射される日射量(日射強度)TSPaを検知する助手席側日射強度検知手段(例えばフォトダイオード)を有している。また、本実施形態の内気温センサ71は、インストルメントパネル50の前面に形成された凹所内に収容されている。なお、凹所は通気口が形成された蓋体50a(図3(a)参照)によって塞がれている。
【0035】〔第1実施形態の制御方法〕次に、本実施形態のエアコンECU10による制御方法を、図1ないし図8に基づいて説明する。ここで、図5はエアコンECU10の制御プログラムの一例を示したフローチャートである。
【0036】先ず、イグニションスイッチがONされてエアコンECU10に直流電源が供給されると、予めROMに記憶されている制御プログラム(図5のメインルーチン)の実行が開始される。このとき、先ず、エアコンECU10内部のマイクロコンピュータに内蔵されたデータ処理用メモリ(RAM)の記憶内容等の初期化を行う(ステップS1)。次に、各種データをデータ処理用メモリ(RAM)に読み込む。すなわち、各種操作スイッチからのスイッチ信号や各種センサからのセンサ信号を入力する(ステップS2)。
【0037】特に、内気温センサ71の検出値である内気温に対応した出力信号(内気温信号)TR、外気温センサ72の検出値である外気温に対応した出力信号(外気温信号)TAM、ポテンショメータ76、77の検出値である実際のA/M開度に対応した出力信号TPAMDr(%)、TPAMPa(%)等を入力してデータ処理用メモリに記憶する。また、日射センサ73の検出値である日射量(日射強度)に対応した出力信号(日射センサ信号)TSDr、TSPa等を入力してデータ処理用メモリに記憶する。
【0038】次に、上記のような記憶データおよび下記の数1の演算式および数2の演算式に基づいて、制御目標値である運転席側目標吹出温度TAO(Dr)、および助手席側目標吹出温度TAO(Pa)を演算する(目標吹出温度決定手段:ステップS3)。
【数1】

【数2】

【0039】但し、TSET(Dr)、TSET(Pa)は、それぞれ運転席側、助手席側設定温度を表し、TR、TAMは、それぞれ車室内温度、外気温を表し、TSDrは、運転席側空調ゾーン内に照射される日射量、TSPaは、助手席側空調ゾーン内に照射される日射量を表す。KSET、KR、KAM、KS、Kd(Dr)およびKd(Pa)は、それぞれ温度設定ゲイン、車室内温度ゲイン、外気温ゲイン、日射量ゲイン、運転席側、助手席側空調ゾーンの温度差補正ゲインを表す。なお、Ka(Dr)、Ka(Pa)は、それぞれ外気温TAMが運転席側空調ゾーンおよび助手席側空調ゾーンの各空調温度に及ぼす影響度合を補正するゲインを表し、CD(Dr)、CD(Pa)は上記影響度合に応じた定数、Cは補正定数を表す。ここで、Ka(Dr)、Ka(Pa)、CD(Dr)、CD(Pa)といった値は、車両の形や大きさ、空調ユニット1の各吹出口からの吹出方向等様々なパラメータで変化する。
【0040】次に、上記のステップS3で求めた運転席側、助手席側目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)に基づいて、制御目標値であるブロワ風量(ブロワ4に印加するブロワ制御電圧VA)を演算する(ステップS4)。具体的には、上記のブロワ制御電圧VAは、目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)にそれぞれ適合したブロワ制御電圧VA(Dr)、VA(Pa)を図6の特性図に基づいて求めると共に、それらのブロワ制御電圧VA(Dr)、VA(Pa)を平均化処理することにより得ている。
【0041】次に、上記のステップS3で求めた運転席側、助手席側目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)と、図7の特性図に示した目標吹出温度に対する吹出口モード特性とに基づいて運転席側、助手席側空調ゾーンの各吹出口モードを決定する(ステップS5)。具体的には、吹出口モードの決定においては、上記の目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)が低い温度から高い温度にかけて、FACEモード、B/LモードおよびFOOTモードとなるように決定されている。また、エアコン操作パネル51に設けられたMODE切替ボタン57を操作することにより、FACEモード、B/Lモード、FOOTモードおよびF/Dモードのうちいずれかの吹出口モードに固定される。
【0042】なお、上記のFACEモードとは、空調風を乗員の上半身(頭胸部)に向けて吹き出す吹出口モードである。また、B/Lモードとは、空調風を乗員の上半身(頭胸部)および足元部に向けて吹き出す吹出口モードである。そして、FOOTモードとは、空調風を乗員の足元部に向けて吹き出す吹出口モードである。さらに、F/Dモードとは、空調風を乗員の足元部および車両のフロントウインドウの内面に向けて吹き出す吹出口モードである。また、エアコン操作パネル51に設けられたDEFボタン54を押すと、空調風をフロントウインドウの内面に向けて吹き出すDEFモードに固定される。
【0043】次に、上記のような記憶データおよび下記の数3の演算式および数4の演算式に基づいて、運転席側A/Mドア15の制御目標値である目標位置(目標A/M開度SWDr(%))および助手席側A/Mドア16の制御目標値である目標位置(目標A/M開度SWPa(%))を演算する(ステップS6)。
【数3】

【数4】

但し、TAO(Dr)、TAO(Pa)は運転席側、助手席側目標吹出温度で、TEはエバ後温度センサ74の検出値であるエバ後温度で、TWは冷却水温センサ75の検出値であるエンジン冷却水温である。
【0044】ここで、運転席側、助手席側A/Mドア15、16は、目標A/M開度SWDr(%)、SWPa(%)に、実際のA/M開度TPAMDr(%)、TPAMPa(%)が一致するように、図8(a)、(b)に示すように、サーボモータ制御出力AMDr+、AMDr−、AMPa+、AMPa−を制御する。なお、運転席側、助手席側A/Mドア15、16のサーボモータ17、18は、目標A/M開度SWDr(%)、SWPa(%)で作動停止するように制御されるのではなく、目標位置である目標A/M開度と検出位置である実際のA/M開度との偏差(SWDr(%)−TPAMDr(%)またはSWPa(%)−TPAMPa(%))が、負の方向の所定値(本実施形態では、−2.604(%))から正の方向の所定値(本実施形態では、+2.604(%))までの制御範囲内となれば作動停止するように、不感帯(ヒステリシス)が形成されている。
【0045】このようにヒステリシスを設けることによって、運転席側、助手席側A/Mドア15、16が作動停止している状態で、多少の外乱(例えば日射量の変化)があって、目標A/M開度SWDr(%)、SWPa(%)が多少変化しても、運転席側、助手席側A/Mドア15、16がハンチングすることなく、安定した状態で制御できる。ここで、図8(a)、(b)中のMHiONとは、サーボモータ17、18をMAX・HOT(最大暖房)側に通電(ON)する状態を言い、MCiONとは、サーボモータ17、18をMAX・COOL(最大冷房)側に通電(ON)する状態を言う。なお、i=Dr、Paである。また、IGはイグニッションスイッチ側、つまりバッテリの正極側を示し、GNDはアース側、つまりバッテリの負極側を示す。
【0046】次に、ステップS4で決定されたブロワ制御電圧VA(Dr)、VA(Pa)となるようにブロワ駆動回路8に制御信号を出力する(ステップS7)。次に、ステップS6で決定された運転席側、助手席側A/Mドア15、16の目標位置(目標A/M開度SWDr(%)、SWPa(%))と現在位置(実際の位置:A/M開度TPAMDr(%)、TPAMPa(%))とが一致するようにサーボモータ17、18に制御信号を出力する(サーボモータ制御手段:ステップS8)。次に、図1のサブルーチンが起動して、A/Mドア補正制御を行う(ステップS9)。次に、ステップS5で決定された吹出口モードとなるようにサーボモータ28、29、38、39に制御信号を出力する(ステップS10)。その後に、ステップS2の制御処理に戻る。
【0047】〔第1実施形態の特徴〕運転席側、助手席側設定温度TSET(Dr)、TSET(Pa)が同じであれば、車室内温度、外気温、日射量は同じであるので、運転席側、助手席側目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)が同じとなり、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の目標A/M開度SWDr(%)、SWPa(%)は同じとなる。したがって、ブロワ4の作動により空調ダクト2内に流入した車室外空気または車室内空気は、エバポレータ41を通過する際に除湿され、運転席側通風路11および助手席側通風路12内に流入する。
【0048】そして、運転席側通風路11内に流入した低湿度の空気の一部は、運転席側A/Mドア15の開度に応じて運転席側ヒータコア42aにて再加熱された後に、低湿度の空気の残部と混合して運転席側目標吹出温度TAO(Dr)に対応した温度となって、運転席側FACE吹出口21、22または運転席側FOOT吹出口23から車室内の運転席側空調ゾーン内へ吹き出される。これにより、運転席の乗員に快適な吹出温度の空調風が当たり、運転席側空調ゾーンが希望の温度で空調される。
【0049】一方、助手席側通風路12内に流入した低湿度の空気の一部は、助手席側A/Mドア16の開度に応じて助手席側ヒータコア42bにて再加熱された後に、低湿度の空気の残部と混合して助手席側目標吹出温度TAO(Pa)に対応した温度となって、助手席側FACE吹出口31、32または助手席側FOOT吹出口33から車室内の助手席側空調ゾーン内へ吹き出される。これにより、助手席の乗員に快適な吹出温度の空調風が当たり、助手席側空調ゾーンが希望の温度で空調される。
【0050】しかるに、図8(a)に示したように、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の各サーボモータ17、18にヒステリシスを設けているため、目標A/M開度SWDr(%)、SWPa(%)が同じ時でも、運転席側A/Mドア15の実際の開度が、例えばヒステリシスの中で正方向の最大の開度(SWDr−TPAMDr=+2.604(%))となり、助手席側A/Mドア16の実際の開度が、例えばヒステリシスの中で負方向の最大の開度(SWPa−TPAMPa=−2.604(%))となることがあり得る。
【0051】この場合、設定温度が運転席と助手席とで同じでも、各A/Mドア15、16の開度が最大5.208(%)もずれてしまい、運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンとに異なる吹出温度の空調風が吹き出され、乗員に違和感を与えてしまう。この不具合を解消するために、本実施形態では、図1のA/Mドア補正制御を行うことにより、設定温度が運転席と助手席とで同じで、各A/Mドア15、16の目標A/M開度が同じ時における運転席側空調ゾーン内に吹き出される空調風の吹出温度と助手席側空調ゾーン内に吹き出される空調風の吹出温度との差を小さくしている。
【0052】次に、エアコンECU10による吹出口モード制御を図1ないし図8に基づいて説明する。ここで、図1はエアコンECU10によるA/Mドア補正制御を示したフローチャートである。
【0053】ここで、図1のサブルーチンは、運転席側設定温度、助手席側設定温度TSET(Dr)、TSET(Pa)が一致し、運転席側、助手席側目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)が一致している時、すなわち、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の目標位置(目標A/M開度SWDr(%)、SWPa(%))が一致している時に実行される。また、図1のサブルーチンは、ポテンショメータ76により検出された検出位置(現在位置:A/M開度TPAMDr(%))と目標位置(目標A/M開度SWDr(%))との偏差、およびポテンショメータ77により検出された検出位置(現在位置:A/M開度TPAMPa(%))と目標位置(目標A/M開度SWPa(%))との偏差を比較することで、運転席側、助手席側A/Mドア15、16のうちどちらが、目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアか目標位置に対するずれの小さい方のA/Mドアかを判定する比較判定処理を行った後に実行される。
【0054】先ず、図1のサブルーチンが起動すると、ポテンショメータ76、77により検出された検出位置(現在位置:A/M開度TPAMDr(%)、TPAMPa(%))と、図5のステップS6で決定された目標位置(目標A/M開度SWDr(%)、SWPa(%))との偏差が所定値以上離れているか否かを判定する。
【0055】すなわち、目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアの検出位置と目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアの目標位置との偏差が、所定値(例えば+2.5%)よりもプラス側に大きく離れているか否かを判定する(ステップS11)。この判定結果がYESの場合には、マイナス側(MAX・COOL)側に目標位置とのずれが大きいA/Mドアが動くように、一定の所定時間(例えば500ms間)の間、サーボモータを通電(MCiON:但しi=Dr、Pa)する(ステップS12)。
【0056】また、ステップS11の判定結果がNOの場合には、ポテンショメータ76、77により検出された検出位置(現在位置:A/M開度TPAMDr(%)、TPAMPa(%))と、図5のステップS6で決定された目標位置(目標A/M開度SWDr(%)、SWPa(%))との偏差が所定値以上離れているか否かを判定する。
【0057】すなわち、目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアの検出位置と目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアの目標位置との偏差が、所定値(例えば−2.5%)よりもマイナス側に大きく離れているか否かを判定する(ステップS13)。この判定結果がYESの場合には、プラス側(MAX・HOT)側に目標位置とのずれが大きいA/Mドアが動くように、一定の所定時間(例えば500ms間)の間、サーボモータを通電(MHiON:但しi=Dr、Pa)する(ステップS14)。その後に、図1のサブルーチンを抜ける。
【0058】したがって、本実施形態のオートエアコンシステムによるA/Mドア補正制御によれば、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の目標位置が略一致している時に、目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアの検出位置と目標位置とが所定値以上異なる時に、A/Mドアのサーボモータを一定の通電時間(例えば500ms間)だけ通電することで、目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアが目標位置に近づくため、運転席側、助手席側目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)と実際の吹出温度との差を小さくすることができる。また、目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアが目標位置に対するずれの小さい方のA/Mドアに近づくため、運転席側空調ゾーン内に吹き出される空気の吹出温度と助手席側空調ゾーン内に吹き出される空気の吹出温度との差が小さくなる。
【0059】これにより、乗員の違和感を解消して、快適な左右座席独立温度コントロールを実現することができる。また、1回の作動で補正が完了することにより、簡単なソフトでA/Mドアの目標位置からのずれを補正することができる。さらに、吹出温度センサを用いずに、運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンとの吹出温度(左右座席の吹出温度)のバラツキを補正できるので、コストダウンを図れ、制御も簡単になり、マイクロコンピュータに必要な記憶容量も減少する。
【0060】〔第2実施形態〕図9は本発明の第2実施形態を示したもので、エアコンECU10によるA/Mドア補正制御を示したフローチャートである。
【0061】ここで、図9のサブルーチンは、運転席側設定温度、助手席側設定温度TSET(Dr)、TSET(Pa)が一致し、運転席側、助手席側目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)が一致している時、すなわち、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の目標位置(目標A/M開度SWDr(%)、SWPa(%))が一致している時に実行される。また、図9のサブルーチンは、ポテンショメータ76により検出された検出位置(現在位置:A/M開度TPAMDr(%))と目標位置(目標A/M開度SWDr(%))との偏差、およびポテンショメータ77により検出された検出位置(現在位置:A/M開度TPAMPa(%))と目標位置(目標A/M開度SWPa(%))との偏差を比較することで、運転席側、助手席側A/Mドア15、16のうちどちらが、目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアか目標位置に対するずれの小さい方のA/Mドアかを判定する比較判定処理を行った後に実行される。
【0062】先ず、図9のサブルーチンが起動すると、ポテンショメータ76により検出された運転席側A/Mドア15の検出位置(現在位置:A/M開度TPAMDr(%))とポテンショメータ77により検出された助手席側A/Mドア16の検出位置(現在位置:A/M開度TPAMPa(%))とが所定値以上離れているか否かを判定する。
【0063】すなわち、目標位置に対するずれの大きい方の助手席(Pa)側A/Mドア位置が、目標位置に対するずれの小さい方の運転席(Dr)側A/Mドア位置から所定値(例えば+3%)よりもプラス側に大きく離れているか否かを判定する(ステップS21)。この判定結果がYESの場合には、マイナス側(MAX・COOL)側に助手席側A/Mドア16が動くように、一定の所定時間(例えば500ms間)の間、助手席側A/Mドア16のサーボモータ18を通電(MCPaON)する(ステップS22)。
【0064】また、ステップS21の判定結果がNOの場合には、ポテンショメータ76により検出された運転席側A/Mドア15の検出位置(現在位置:A/M開度TPAMDr(%))とポテンショメータ77により検出された助手席側A/Mドア16の検出位置(現在位置:A/M開度TPAMPa(%))とが所定値以上離れているか否かを判定する。
【0065】すなわち、目標位置に対するずれの大きい方の助手席(Pa)側A/Mドア位置が、目標位置に対するずれの小さい方の運転席(Dr)側A/Mドア位置から所定値(例えば−3%)よりもマイナス側に大きく離れているか否かを判定する(ステップS23)。この判定結果がYESの場合には、プラス側(MAX・HOT)側に助手席側A/Mドア16が動くように、一定の所定時間(例えば500ms間)の間、助手席側A/Mドア16のサーボモータ18を通電(MHPaON)する(ステップS24)。その後に、図9のサブルーチンを抜ける。
【0066】したがって、本実施形態のオートエアコンシステムによるA/Mドア補正制御によれば、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の目標位置が略一致している時、目標位置に対するずれの大きい方の助手席側A/Mドア16の現在位置と目標位置に対するずれの小さい方の運転席側A/Mドア15の現在位置とが所定値以上異なる場合に、助手席側A/Mドア16の現在位置を、運転席側A/Mドア15に向けて、助手席側A/Mドア16のサーボモータ18を一定の通電時間(例えば500ms間)だけ通電することで、運転席側空調ゾーン内に吹き出される空気の吹出温度と助手席側空調ゾーン内に吹き出される空気の吹出温度との差が小さくなる。これにより、乗員の違和感を解消して、快適な左右座席独立温度コントロールを実現することができる。
【0067】また、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の目標位置が略一致している時、運転席側A/Mドア15の現在位置と助手席側A/Mドア16の現在位置とが所定値以上離れている場合に、運転席側空調ゾーン内に吹き出される空気の吹出温度と助手席側空調ゾーン内に吹き出される空気の吹出温度との差があった時だけ、目標位置に対するずれの大きい方の助手席側A/Mドア16の位置を補正できるので、助手席側A/Mドア16のサーボモータ18の作動回数が少なくて済む。
【0068】〔第3実施形態〕図10は本発明の第3実施形態を示したもので、エアコンECU10によるA/Mドア補正制御を示したフローチャートである。
【0069】ここで、図10のサブルーチンは、運転席側設定温度、助手席側設定温度TSET(Dr)、TSET(Pa)が一致し、運転席側、助手席側目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)が一致している時、すなわち、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の目標位置(目標A/M開度SWDr(%)、SWPa(%))が一致している時に実行される。また、図10のサブルーチンは、ポテンショメータ76により検出された検出位置(現在位置:A/M開度TPAMDr(%))と目標位置(目標A/M開度SWDr(%))との偏差、およびポテンショメータ77により検出された検出位置(現在位置:A/M開度TPAMPa(%))と目標位置(目標A/M開度SWPa(%))との偏差を比較することで、運転席側、助手席側A/Mドア15、16のうちどちらが、目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアか目標位置に対するずれの小さい方のA/Mドアかを判定する比較判定処理を行った後に実行される。
【0070】先ず、図10のサブルーチンが起動すると、ポテンショメータ76、77により検出された検出位置(現在位置:A/M開度TPAMDr(%)、TPAMPa(%))と、図5のステップS6で決定された目標位置(目標A/M開度SWDr(%)、SWPa(%))との偏差が所定値以上離れているか否かを判定する。
【0071】すなわち、目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアの検出位置と目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアの目標位置との偏差が、所定値(例えば+2.5%)よりもプラス側に大きく離れているか否かを判定する(ステップS31)。この判定結果がYESの場合には、A/Mドアの目標位置を、マイナス側(MAX・COOL)側に一定の所定値(例えば−1%)だけシフトする(ステップS32)。次に、新しい目標位置に従い、目標位置とのずれが大きいA/Mドアのサーボモータを制御する(ステップS33)。
【0072】また、ステップS31の判定結果がNOの場合には、ポテンショメータ76、77により検出されたA/M開度TPAMDr(%)、TPAMPa(%)と、図5のステップS6で決定された目標A/M開度SWDr(%)、SWPa(%)との偏差が所定値以上離れているか否かを判定する。
【0073】すなわち、目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアの検出位置と目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアの目標位置との偏差が、所定値(例えば−2.5%)よりもマイナス側に大きく離れているか否かを判定する(ステップS34)。この判定結果がYESの場合には、A/Mドアの目標位置を、プラス側(MAX・HOT)側に一定の所定値(例えば+1%)だけシフトする(ステップS35)。次に、新しい目標位置に従い、目標位置とのずれが大きいA/Mドアのサーボモータを制御する(ステップS36)。その後に、図10のサブルーチンを抜ける。
【0074】したがって、本実施形態のオートエアコンシステムによるA/Mドア補正制御によれば、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の目標位置が略一致している時、目標位置とのずれが大きいA/Mドアの目標位置を、目標位置とのずれが小さいA/Mドアの目標位置に向けて、一定の所定値だけ強制的に補正することで、運転席側空調ゾーン内に吹き出される空気の吹出温度と助手席側空調ゾーン内に吹き出される空気の吹出温度との差が小さくなる。これにより、乗員の違和感を解消して、快適な左右座席独立温度コントロールを実現することができる。また、通常と同じヒステリシスを用いたサーボモータの作動停止制御を行うので、逆側に大きく誤差が出ることなく補正を行うことができる。
【0075】〔第4実施形態〕図11は本発明の第4実施形態を示したもので、エアコンECU10によるA/Mドア補正制御を示したフローチャートである。
【0076】ここで、図11のサブルーチンは、運転席側設定温度、助手席側設定温度TSET(Dr)、TSET(Pa)が一致し、運転席側、助手席側目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)が一致している時、すなわち、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の目標位置(目標A/M開度SWDr(%)、SWPa(%))が一致している時に実行される。また、図11のサブルーチンは、ポテンショメータ76により検出された検出位置(現在位置:A/M開度TPAMDr(%))と目標位置(目標A/M開度SWDr(%))との偏差、およびポテンショメータ77により検出された検出位置(現在位置:A/M開度TPAMPa(%))と目標位置(目標A/M開度SWPa(%))との偏差を比較することで、運転席側、助手席側A/Mドア15、16のうちどちらが、目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアか目標位置に対するずれの小さい方のA/Mドアかを判定する比較判定処理を行った後に実行される。
【0077】先ず、図11のサブルーチンが起動すると、ポテンショメータ76により検出された検出位置(現在位置:運転席側A/Mドア15のA/M開度TPAMDr(%))とポテンショメータ77により検出された助手席側A/Mドア16のA/M開度TPAMPa(%)とが所定値以上離れているか否かを判定する。
【0078】すなわち、目標位置に対するずれの大きい方の助手席(Pa)側A/Mドア位置が、目標位置に対するずれの小さい方の運転席(Dr)側A/Mドア位置から所定値(例えば+3%)よりもプラス側に大きく離れているか否かを判定する(ステップS41)。この判定結果がYESの場合には、助手席側A/Mドア16の目標位置を、マイナス側(MAX・COOL)側に一定の所定値(例えば−1.5%)だけシフトする(ステップS42)。次に、新しい目標位置に従い、目標位置とのずれが大きい助手席側A/Mドア16のサーボモータ18を制御する(ステップS43)。
【0079】また、ステップS41の判定結果がNOの場合には、ポテンショメータ76により検出された運転席側A/Mドア15のA/M開度TPAMDr(%)とポテンショメータ77により検出された助手席側A/Mドア16のA/M開度TPAMPa(%)とが所定値以上離れているか否かを判定する。
【0080】すなわち、目標位置に対するずれの大きい方の助手席(Pa)側A/Mドア位置が、目標位置に対するずれの小さい方の運転席(Dr)側A/Mドア位置から所定値(例えば−3%)よりもマイナス側に大きく離れているか否かを判定する(ステップS44)。この判定結果がYESの場合には、助手席側A/Mドア16の目標位置を、プラス側(MAX・HOT)側に一定の所定値(例えば+1.5%)だけシフトする(ステップS45)。次に、新しい目標位置に従い、目標位置とのずれが大きい助手席側A/Mドア16のサーボモータ18を制御する(ステップS46)。その後に、図11のサブルーチンを抜ける。
【0081】したがって、本実施形態のオートエアコンシステムによるA/Mドア補正制御によれば、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の目標位置が略一致している時、目標位置に対するずれの大きい方の助手席側A/Mドア16の現在位置と目標位置に対するずれの小さい方の運転席側A/Mドア15の現在位置とが所定値以上異なる場合に、助手席側A/Mドア16の目標位置を、運転席側A/Mドア15の目標位置に向けて一定の所定値だけ補正することで、運転席側空調ゾーン内に吹き出される空気の吹出温度と助手席側空調ゾーン内に吹き出される空気の吹出温度との差が小さくなる。これにより、乗員の違和感を解消して、快適な左右座席独立温度コントロールを実現することができる。
【0082】さらに、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の目標位置が略一致している時、運転席側A/Mドア15の現在位置と助手席側A/Mドア16の現在位置とが所定値以上離れている場合に、運転席側空調ゾーン内に吹き出される空気の吹出温度と助手席側空調ゾーン内に吹き出される空気の吹出温度との差があった時だけ、目標位置に対するずれの大きい方の助手席側A/Mドア16の目標位置の補正を行うので、助手席側A/Mドア16のサーボモータ18の作動回数を少なくすることができる。また、通常と同じヒステリシスを用いたサーボモータの作動停止制御を行うので、逆側に大きく誤差が出ることなく補正を行うことができる。
【0083】〔第5実施形態〕図12は本発明の第5実施形態を示したもので、エアコンECU10によるA/Mドア補正制御を示したフローチャートである。
【0084】先ず、図12のサブルーチンが起動すると、隣接する運転席側、助手席側空調ゾーンの日射量TSDr、TSPaがほぼ等しいか異なるかを判定する。すなわち、日射センサ73で検出した運転席側日射量TSDrと助手席側日射量TSPaとの差が所定値(例えば50W)よりも大きいか否かを判定する(ステップS51)。この判定結果がNOの場合、すなわち、左右座席の日射量がほぼ等しい場合には、通常の領域の作動停止制御(ヒステリシス)で、運転席側、助手席側A/Mドア15、16のサーボモータ17、18を通電制御する。
【0085】すなわち、目標位置である目標A/M開度と検出位置である実際のA/M開度との偏差(SWDr(%)−TPAMDr(%)またはSWPa(%)−TPAMPa(%))が、負の方向の所定値(本実施形態では、−2.6(%))から正の方向の所定値(本実施形態では、+2.6(%))までの制御範囲内となればサーボモータ17、18が作動停止するようにA/M制御を行う(ステップS52)。その後に、図12のサブルーチンを抜ける。
【0086】また、ステップS51の判定結果のYESの場合には、すなわち、左右座席の日射量が異なる場合には、通常よりも狭い領域の作動停止制御(ヒステリシス)で、運転席側、助手席側A/Mドア15、16のサーボモータ17、18を通電制御する。
【0087】すなわち、目標位置である目標A/M開度と検出位置(現在位置)である実際のA/M開度との偏差(SWDr(%)−TPAMDr(%)またはSWPa(%)−TPAMPa(%))が、負の方向の所定値(本実施形態では、−2.0(%))から正の方向の所定値(本実施形態では、+2.0(%))までの制御範囲内となればサーボモータ17、18の作動停止するようにA/M制御を行う(ステップS53)。その後に、図12のサブルーチンを抜ける。
【0088】したがって、本実施形態のオートエアコンシステムによるA/Mドア補正制御によれば、隣接する運転席側、助手席側空調ゾーンの日射量TSDr、TSPaが、ほぼ同じ時と異なる時とで、運転席側、助手席側A/Mドア15、16のサーボモータ17、18の作動停止制御(ヒステリシス)を異ならせることで、運転席側、助手席側A/Mドア15、16を高精度に制御する空調熱負荷条件を制限することにより、運転席側、助手席側A/Mドア15、16のサーボモータ17、18の作動回数の増加を最小限に抑えることができる。
【0089】〔第6実施形態〕図13は本発明の第6実施形態を示したもので、エアコンECU10によるA/Mドア補正制御を示したフローチャートである。
【0090】ここで、図13のサブルーチンは、運転席側設定温度、助手席側設定温度TSET(Dr)、TSET(Pa)が一致し、運転席側、助手席側目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)が一致している時、すなわち、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の目標位置(目標A/M開度SWDr(%)、SWPa(%))が一致している時に実行される。また、図13のサブルーチンは、ポテンショメータ76により検出された検出位置(現在位置:A/M開度TPAMDr(%))と目標位置(目標A/M開度SWDr(%))との偏差、およびポテンショメータ77により検出された検出位置(現在位置:A/M開度TPAMPa(%))と目標位置(目標A/M開度SWPa(%))との偏差を比較することで、運転席側、助手席側A/Mドア15、16のうちどちらが、目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアか目標位置に対するずれの小さい方のA/Mドアかを判定する比較判定処理を行った後に実行される。
【0091】先ず、図13のサブルーチンが起動すると、目標位置に対するずれの大きい方の助手席側A/Mドア16のサーボモータ18の作動開始時か否かを判定する(ステップS61)。この判定結果がNOの場合には、図13のサブルーチンを抜ける。また、ステップS61の判定結果がYESの場合には、目標位置に対するずれの小さい方の運転席側A/Mドア15のサーボモータ17が最後に作動を停止したのと同じ方向に作動しようとしているか否かを判定する(ステップS62)。この判定結果がYESの場合には、図13のサブルーチンを抜ける。
【0092】また、ステップS62の判定結果がNOの場合には、プラス側に作動しようとしているかマイナス側に作動しようとしているかを判定する(ステップS63)。この判定結果がNOの場合には、助手席側A/Mドア16の目標位置(目標A/M開度SWPa(%))を、一定の所定値(例えば+1.5%)だけシフトすることにより、助手席側A/Mドア16を、運転席側A/Mドア15が作動停止しているところ、つまり運転席側A/Mドア15の実際の位置(A/M開度TPAMDr(%))に近いところで作動停止するように補正する(ステップS64)。その後に、図13のサブルーチンを抜ける。
【0093】また、ステップS63の判定結果がYESの場合には、助手席側A/Mドア16の目標位置(目標A/M開度SWPa(%))を、一定の所定値(例えば−1.5%)だけシフトすることにより、助手席側A/Mドア16を、運転席側A/Mドア15が作動停止しているところ、つまり運転席側A/Mドア15の実際の位置(A/M開度TPAMDr(%))に近いところで作動停止するように補正する(ステップS65)。その後に、図13のサブルーチンを抜ける。
【0094】したがって、本実施形態のオートエアコンシステムによるA/Mドア補正制御によれば、予め合わせたい助手席側A/Mドア16の作動する方向が、目標位置に対するずれの小さい方の運転席側A/Mドア15が最後に作動を停止したのと同じ方向と異なる方向の時とで、助手席側A/Mドア16の目標位置を異ならせることにより、助手席側A/Mドア16が目標位置とずれている方向を推定して、助手席側A/Mドア16の目標位置を一定の所定値だけ補正できるので、1回の作動で、各運転席側、助手席側A/Mドア15、16を非常に近いところで作動停止させることができる。これにより、運転席側、助手席側空調ゾーンへ吹き出す空気の吹出温度差等を小さくすることで、乗員の違和感を解消して、快適な左右座席独立温度コントロールを実現することができる。
【0095】〔他の実施形態〕本実施形態では、車室内の第1空調ゾーンを車室内の運転席(右座席)側空間、車室内の第2空調ゾーンを車室内の助手席(左座席)側空間としたが、車室内の第1空調ゾーンを車室内の前席(前部座席)側空間、車室内の第2空調ゾーンを車室内の後席(後部座席)側空間としても良い。また、本実施形態では、ポテンショメータ76、77によって、運転席側、助手席側A/Mドア15、16のサーボモータ17、18の出力軸の回転角度を測定することで実際のA/M開度TPAMDr(%)、TPAMPa(%)を検出するようにしたが、直接運転席側、助手席側A/Mドア15、16の現在位置を検出する位置検出手段を設けても良い。
【0096】本実施形態では、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の目標位置(目標A/M開度SWDr(%)、SWPa(%))を、運転席側目標吹出温度TAO(Dr)、助手席側目標吹出温度TAO(Pa)、エバ後温度TE、エンジン冷却水温TW等の制御パラメータを用いて算出しているが、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の目標位置を、運転席側空調ゾーン内に照射される日射量TSDr、助手席側空調ゾーン内に照射される日射量TSPa、運転席側設定温度TSET(Dr)、助手席側設定温度TSET(Pa)、車室内温度TR等の1つ以上の制御パラメータを用いて算出しても良い。
【0097】第1、第2実施形態では、目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアの検出位置と目標位置との偏差が所定値以上離れている時、あるいは目標位置に対するずれの大きい方の助手席側A/Mドア16の現在位置と目標位置に対するずれの小さい方の運転席側A/Mドア15の現在位置とが所定値以上離れている時に、一定の通電時間だけサーボモータを作動させるようにしているが、目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアの検出位置と目標位置との偏差が大きい程、あるいは目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアの現在位置と目標位置に対するずれの小さい方のA/Mドアの現在位置との位置差が大きい程、サーボモータを通電する通電時間を長く設定するようにしても良い。これにより、より正確に誤差の補正を行うことができる。
【0098】第3、第4実施形態では、目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアの検出位置と目標位置との偏差が所定値以上離れている時、あるいは目標位置に対するずれの大きい方の助手席側A/Mドア16の現在位置と目標位置に対するずれの小さい方の運転席側A/Mドア15の現在位置とが所定値以上離れている時に、A/Mドアの目標位置を一定の値だけシフトするようにしているが、目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアの検出位置と目標位置との偏差が大きい程、あるいは目標位置に対するずれの大きい方のA/Mドアの現在位置と目標位置に対するずれの小さい方のA/Mドアの現在位置との位置差が大きい程、A/Mドアの目標位置のシフト量を大きく設定するようにしても良い。これにより、より正確にしかも早く誤差の補正を行うことができる。
【0099】第5実施形態では、図12に示したように、隣接する運転席側、助手席側空調ゾーンの日射量TSDr、TSPaが、ほぼ同じ時と異なる時とで、運転席側、助手席側A/Mドア15、16のサーボモータ17、18の作動停止制御(ヒステリシス)を異ならせているが、隣接する運転席側、助手席側空調ゾーンの日射量TSDr、TSPaまたは運転席側、助手席側車室内温度TRまたは運転席側、助手席側設定温度TSET(Dr)、TSET(Pa)のいずれか1つ以上が、ほぼ同じ時と異なる時とで、運転席側、助手席側A/Mドア15、16のサーボモータ17、18の作動停止制御(ヒステリシス)を異ならせても良い。
【0100】本実施形態では、第1、第2空調ゾーンを、運転席側、助手席側空調ゾーンとして説明したが、第1、第2空調ゾーンを、例えば前席、後席空調ゾーンとしても良い。また、3つ以上の空調ゾーンでも本発明の効果を奏することはもちろんである。
【0101】本実施形態では、第1空調制御量調節手段として運転席側A/Mドア15を使用し、第2空調制御量調節手段として助手席側A/Mドア16を使用したが、運転席側、助手席側吹出口切替ドア24〜26、34〜36を使用しても良い。また、車室内を空調するために複数の第1、第2冷凍サイクルを設けて、第1空調制御量調節手段として第1冷凍サイクルの第1コンプレッサを使用し、第2空調制御量調節手段として第2冷凍サイクルの第2コンプレッサを使用しても良い。この場合には、第1、第2空気通路毎の目標エバ後温度(目標吹出温度:TAO)と第1、第2空気通路毎のエバ後温度(実際の吐出温度:TE)とが一致するように第1、第2コンプレッサの稼働率または回転速度を制御して、第1、第2空調ゾーンに吹き出す空気の吹出温度を調節できる。また、本発明を車両用空調装置以外の空調装置にも適用可能なことはもちろんである。
【0102】ここで、隣接する運転席側、助手席側空調ゾーン(第1、第2空調ゾーン)の空調熱負荷がほぼ同じ時と異なる時とで、運転席側、助手席側A/Mドア15、16(各空調制御量調節手段)のサーボモータ17、18(アクチュエータ)の作動停止制御を異ならせるようにしても良い。これにより、各空調制御量調節手段を高精度に制御する空調熱負荷条件を制限して、各空調制御量調節手段のアクチュエータの作動回数の増加を最小限に抑えることができる。
【0103】また、隣接する運転席側、助手席側空調ゾーン(第1、第2空調ゾーン)の空調熱負荷がほぼ同じ時と異なる時とは、日射量または車室内温度または設定温度のいずれか1つ以上が同じ時と異なる時である。これにより、車両乗員が第1、第2空調ゾーン(例えば左右座席)の吹出温度差に違和感を感じる空調熱負荷条件でのみ補正を行うことができ、運転席側、助手席側A/Mドア15、16(各空調制御量調節手段)のサーボモータ17、18(アクチュエータ)の作動回数の増加を最小限に抑えることができる。
【0104】さらに、上記補正による運転席側、助手席側A/Mドア15、16(空調制御量調節手段)の目標位置は、所定時間経過後または上記補正による空調制御量調節手段の作動停止後または空調熱負荷が所定以上変化した時、上記補正による空調制御量調節手段の目標位置を、0にするか、あるいは少なくするようにしても良い。これにより、補正後、空調熱負荷に変化があった時に、補正分のずれが出る不具合を解消できる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成12年11月10日(2000.11.10)
【代理人】 【識別番号】100080045
【弁理士】
【氏名又は名称】石黒 健二
【公開番号】 特開2002−144839(P2002−144839A)
【公開日】 平成14年5月22日(2002.5.22)
【出願番号】 特願2000−343952(P2000−343952)