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【発明の名称】 車両用空調装置
【発明者】 【氏名】佐藤 憲一郎

【要約】 【課題】ダクト内スペースを有効利用しつつ、エアミックスダンパを廃止でき、装置の小型化の要請に対応可能な車両用空調装置を提供する。

【解決手段】円弧部に複数の穴部が形成されたロータリダンパを、略円弧状に形成されたダクト壁に対して回転させ、該ダクト壁に設けられた複数の空気吹出路を選択して開閉する車両用空調装置において、前記ロータリダンパ内に、該ダンパとともに回転可能にヒータコアを収納するとともに、該ヒータコアの下流にロータリダンパの回転に連動して作動する板状ダンパを設けたことを特徴とする車両用空調装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 円弧部に複数の穴部が形成されたロータリダンパを、略円弧状に形成されたダクト壁に対して回転させ、該ダクト壁に設けられた複数の空気吹出路を選択して開閉する車両用空調装置において、前記ロータリダンパ内に、該ダンパとともに回転可能にヒータコアを収納するとともに、該ヒータコアの下流にロータリダンパの回転に連動して作動する板状ダンパを設けたことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】 前記板状ダンパがロータリダンパの周方向に回動可能、かつ軸方向にスライド可能に構成されている、請求項1の車両用空調装置。
【請求項3】 前記ロータリダンパが略半円筒状に形成されている、請求項1または2の車両用空調装置。
【請求項4】 前記ヒータコアへの温水の流量を調整する温水絞りバルブの開量が、前記ヒータコアの回転により調整される、請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項5】 前記ヒータコアへの温水の流量を調整する温水絞りバルブの開量が、前記ヒータコアの回転とは独立に調整される、請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項6】 前記各空気吹出路が、DEF吹出路、VENT吹出路、FOOT吹出路からなる、請求項1ないし5のいずれかに記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロータリダンパを有する車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、車両用(たとえば、自動車用)空調装置としては、たとえば図11に示すようなものが知られている。図11において、100は車両用空調装置を示している。車両用空調装置100は、ダクト101を有しており、ダクト101内には、送風機102、エバポレータ103、ヒータコア104が通風方向上流側からこの順に配設されている。エバポレータ103とヒータコア104との間には、ヒータコア4を通過する空気(温風)とバイパスする空気(冷風)との風量割合を調整可能な回動式のエアミックスダンパ105が設けられている。
【0003】ダクト101には、空気吹出路としてDEF吹出路107、VENT吹出路108、FOOT吹出路109が開口されている。そして、吹出路107、108の開口部110、111は、回動式のダンパ112により開閉され、吹出路109の開口部113は、回動式のダンパ114により開閉されるようになっている。つまり、ダンパ112、114がモード切換ダンパとして機能するようになっている。
【0004】しかし、上記のような車両用空調装置100においては、モード切換ダンパは回動式のものが用いられている。このため、ダクト101内にダンパの回動スペースあるいは設置スペースを確保する必要があり、近年の装置小型化の要請に対応できないおそれもある。
【0005】このため、ダクト壁を円弧状に形成し、該円弧部に各吹出路を開口するとともに、該開口を略半円筒状等のロータリダンパで開閉することにより、モード切換ダンパの回動スペース等を低減し装置の小型化を図る提案(たとえば、特開昭57−209414号公報、特開平8−20218号公報、特開平8−25945号公報等)も既になされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記提案においては、エアミックスダンパには回動式のダンパが用いられているため、該ダンパの回動スペース等を確保する必要があり、装置の小型化にも限界がある。また、モード切換ダンパとしてのロータリダンパ内は、いわゆるデッドスペースになっているため、さらなる装置の小型化の要請に対応できなくなるおそれもある。
【0007】本発明の課題は、装置の小型化の要請に十分に対応できる車両用空調装置を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の車両用空調装置は、円弧部に複数の穴部が形成されたロータリダンパを、略円弧状に形成されたダクト壁に対して回転させ、該ダクト壁に設けられた複数の空気吹出路を選択して開閉する車両用空調装置において、前記ロータリダンパ内に、該ダンパとともに回転可能にヒータコアを収納するとともに、該ヒータコアの下流にロータリダンパの回転に連動して作動する板状ダンパを設けたことを特徴とするものからなる。
【0009】上記板状ダンパは、ロータリダンパの周方向に回動可能、かつ軸方向にスライド可能であることが好ましい。
【0010】上記ロータリダンパは、略半円筒状に形成することができる。また、半円筒の円弧部に穴部を設ければ、ロータリダンパの回転に伴い上記穴部を周方向に移動させることができるので、上記空気通路を各モードに応じて開閉することができる。
【0011】上記ヒータコアへの温水の流量を調整する温水絞りバルブは、ヒータコアの回転すなわちロータリダンパの回転によりその開量が調整可能であることが好ましい。たとえば、温水絞りバルブをヒータコアの回転軸内に設ければ、ヒータコアの回転により温水絞りバルブの開量を調整することができる。ただし、これに限定されるものではなく、上記温水絞りバルブの開量は、ヒータコアの回転とは独立に調整することもできる。
【0012】上記空気通路は、たとえばDEF吹出路、VENT吹出路、FOOT吹出路とすることができる。
【0013】上記のような車両用空調装置においては、ヒータコアはロータリダンパ内に収納されているので、ロータリダンパ内のデッドスペースをヒータコア設置用スペースとして有効利用でき、ヒータコア専用の設置スペースを省略できる。したがって、装置の小型化を図ることができる。また、ヒータコアはロータリダンパとともに回転されるので、ヒータコアの回転位置を調整することによりロータリダンパの穴部を介して、ロータリダンパ内に直接冷風を導入することができる。したがって、従来のエアミックスダンパを省略しても温風と冷風の風量割合を調整できる。さらに、ヒータコアの下流には、ロータリダンパの回転に連動して、該ロータリダンパの周方向に回動可能、かつ径方向にスライド可能な板状ダンパが設けられているので、上記ロータリダンパの回転位置および板状ダンパの回動・スライド位置を調整することにより、ロータリダンパ内において、温風路および/または冷風路を形成したり、あるいは両者を好ましい状態でミックスさせることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明の車両用空調装置の望ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。図1ないし図10は、本発明の一実施態様に係る車両用空調装置を示している。図において、1は車両用空調装置を示している。本実施態様においては、車両用空調装置は自動車用空調装置からなっている。車両用空調装置1のダクト2内には、通風方向上流側から順に、送風機3、エバポレータ4、ヒータコア5が配設されている。
【0015】ヒータコア5は、略半円筒状に形成されたロータリダンパ6内に収納されている。ロータリダンパ6は回転中心軸7を中心に矢印A方向に回転するようになっており、該ダンパ6の回転とともにヒータコア5も回転するようになっている。
【0016】回転中心軸7内は、ヒータコア5へ温水を送る温水流路として形成されており、該流路内には温水絞りバルブ8が設けられている。そして、図2ないし図7に示すようにヒータコア5、すなわちロータリダンパ6の回転に伴って開量が調整されるようになっている。
【0017】ロータリダンパ6の円弧部9には穴部10、11、12が設けられている。また、ロータリダンパ6の円弧部9に対向するダクト2の壁13も略円弧状に形成されている。該壁13には空気吹出路としてのDEF吹出路14、VENT吹出路15、FOOT吹出路16が接続されており、各吹出路14、15、16は開口部17、18、19を有している。そして、ロータリダンパ6が矢印A方向に回転することにより穴部10、11、12と開口部17、18、19の重なり代が調整され、各吹出路14、15、16の開閉が行われるようになっている。
【0018】また、ロータリダンパ6内のヒータコア5の下流には、ロータリダンパ6の回転に連動して作動する板状ダンパ20が設けられている。板状ダンパ20は、リンク21、リンク22からなるリンク機構23およびラック24とピニオン25からなるラック−ピニオン機構26により、図1の矢印B方向に回転可能、矢印C、D方向に移動可能になっている。リンク機構23のリンク21には、該リンク21に動力を伝達するワイヤケーブル27が接続されている。ワイヤケーブル27が図8の矢印方向に移動することにより、リンク21はヒータコア5の回転中心軸7を中心として回動するようになっている。そして、該リンク21のピン28がダンパ20の支持具29に固定されるリンク22の溝30内を移動することによりダンパ20が矢印B方向に回転するようになっている。
【0019】また、板状ダンパ20には、ラック24が設けられておりラック24にはピニオン25が噛み合されている。ピニオン25は軸31を介してケーシング33の外部のモータアクチュエータ32に連結されている。モータアクチュエータ32はモータアクチュエータ支持具34に支持されている。そして、モータアクチュエータ32によりピニオン25が回転することにより、板状ダンパ20が矢印D方向に移動するようになっている。また、モータアクチュエータ32はモータ(図示略)に連結されており、該モータは移動機構(図示略)により図1の矢印C方向に移動可能になっている。そして、該移動に伴い軸31がケーシング33に設けられた長穴35内を移動することによりダンパ20が矢印C方向にも移動可能になっている。
【0020】次に、図2ないし図7を用いて、各モードにおけるロータリダンパ6の回転状態、板状ダンパ20の作動状態について説明する。図2に示すDEFモードにおいては、ロータリダンパ6の穴部10と開口部17とが完全に重なり合う位置まで回転しDEF吹出路14のみが開放されるようになっている。この状態においては、穴部11、12と開口部18、19との重なり代はなくなるので、VENT吹出路15、FOOT吹出路16は閉塞されている。また、送風機3から送風された空気は全てヒータコア5を通過するようになっており、この際、温水絞りバルブ8の開量は最大になっている。ダンパ20は、図2の左から右へ徐々にヒータコア5側に近づくように傾斜した状態になっている。このため、ヒータコア5を通過した温風に対して、開口部17方向への風向が付与されるようになっている。
【0021】ロータリダンパ6が、図2に示すDEFモードから反時計回りに若干回転すると、図3に示すDEF/FOOTモードが設定されるようになっている。該DEF/FOOTモードにおいては、穴部10と開口部17の一部が重なり合いDEF吹出路14が開口されるとともに、穴部12と開口部19の一部が重なり合いFOOT吹出路16が開口される。この状態においては、穴部11と開口部18との重なり代はないため、VENT吹出路15は閉塞されている。また、送風機3から送風された空気は全てヒータコア5を通過するようになっているが、温水絞りバルブ8の開量はDEFモード時よりも小さくなっている。ダンパ20は図3に示すようにヒータコア5の空気吹出側の面に対して略平行になるように位置しており、ヒータコア5から吹き出された温風はダンパ20に衝突し左右に振り分けられDEF吹出通路14、FOOT吹出通路16内へと流入するようになっている。
【0022】さらに、図3に示すDEF/FOOTモードから、ロータリダンパ6を反時計回りに回転させると、図4に示すFOOTモードが設定される。該FOOTモードにおける各吹出路の開閉状態、板ダンパ20の位置は、図3のDEF/FOOTモード時と略同様になっているが、FOOTモードにおいては、FOOT吹出路16の開口量が増大するようになっている。したがって、FOOTモードにおいては、ヒータコア5を通過した温風の大部分はFOOT吹出路16へ流入するとともに、一部はDEF吹出路14へと流入されるようになっている。なお、FOOTモードにおいて、DEF吹出路14を若干開口させることとしたのは、吹出通路14からの温風を車両のフロントガラス等に吹きつけて該フロントガラス等の曇りを防止するためである。
【0023】図4に示すFOOTモードから、ロータリダンパ6をさらに反時計回りに回転させると、図5に示すバイレベルモード(以下、B/Lモードという。)が設定される。B/Lモードにおいては、穴部11と開口部18の一部が重なり合いVENT吹出路15が開口されるとともに、穴部12と開口部19の位置が略一致しFOOT吹出路16の開口量が最大となる。温水絞りバルブ8の開量はFOOTモード時よりも多少絞られている。また、B/Lモードにおいては、穴部10は壁13の範囲外へと移動するため、DEF吹出路14が閉塞されるとともに、エバポレータ4で冷却された空気(冷風)がヒータコア5をバイパスし直接ロータリダンパ6内に流入するようになっている。また、板ダンパ20は、ロータリダンパ6内において、穴部10、11と穴部12とを隔てるように位置している。このため、B/Lモードにおいては、ヒータコア5をバイパスした冷風は穴部10を介してロータリダンパ6内へ流入した後、温風とミックスされることなく穴部11、開口部18を介してVENT吹出路15内へ流入する。また、ヒータコア5を通過した温風は、ロータリダンパ6内で冷風とミックスされることなく、穴部12、開口部19を介してFOOT吹出路16内へ流入するようになっている。したがって、B/Lモード時においては、いわゆる頭寒足熱状態が実現されるようになっている。
【0024】図5に示すB/Lモードから、ロータリダンパ6をさらに反時計回りに回転させると、図6に示すVENT−1モード(COOLMAXモード)が設定されるようになっている。VENT−1モードにおいては、開口部10は壁13の範囲外に位置するため、DEF吹出路14は閉塞されている。また、穴部12と開口部19との重なり代もなくなるため、FOOT吹出路16も閉塞されている。一方、穴部11と開口部18の位置が略一致するため、VENT吹出路15の開口量は最大になっている。また、温水絞りバルブ8の開量は最小となっている。また、板ダンパ20は、穴部10、11とヒータコア5とを隔てるように、ロータリダンパ6内に位置している。このため、VENT−1モードにおいては、エバポレータ4を通過した空気は、穴部10を介してロータリダンパ6内に流入した後、穴部11、開口部18を介してVENT吹出口15内へと流入するようになっている。なお、この状態においても、ヒータコア5を通過し、ロータリダンパ6内へも多少空気が流入することになるが、冷風通路とは板ダンパ20により隔てられているので、冷風の温度が上昇するような不具合は生じないようになっている。
【0025】図7はVENT−2モード(AIRMIXモード)を示している。該VENT−2モードにおける、ロータリダンパ6の位置、各吹出路の開閉状態は、図6のVENT−1モードに準じている。しかし、このVENT−2モードにおいては、板ダンパ20がスライドし、その一部が穴部10から外部へ突出している。このため、ヒータコア5を通過した温風と穴部10から流入した冷風が穴部11の直上流においてミックスされるようになっている。したがって、VENT吹出路15内へ流入する冷風の温度はVENT−1モードよりも若干高くなるようになっている。
【0026】本実施態様の車両用空調装置1においては、ヒータコア5はロータリダンパ6内に該ダンパ6とともに回転可能に収納されているので、ロータリダンパ6内のデッドスペースを有効利用できる。したがって、ヒータコア専用の設置スペースを省略でき、装置の小型化を図ることができる。また、ロータリダンパ6の回転位置を調整することにより、穴部10を介してロータリダンパ6内に直接冷風を導入することもできる。ヒータコア5の下流にはロータリダンパ6の回転に連動して、該ダンパ6の周方向に回動可能、かつ軸方向にスライド可能な板状ダンパ20が設けられているので、ロータリダンパ6内に温風路および/または冷風路を形成できるとともに、温風と冷風とをミックスさせることもできる。したがって、エアミックスダンパの省略により一層装置の小型化を促進できるとともに、空調装置に要求される各空調モードを確実に実行することができる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の車両用空調装置によるときは、従来のデッドスペースを有効利用するとともに、エアミックスダンパを省略することができるので、装置の小型化を効果的に達成することができる。
【出願人】 【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
【出願日】 平成12年7月10日(2000.7.10)
【代理人】 【識別番号】100091384
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 俊光
【公開番号】 特開2002−19446(P2002−19446A)
【公開日】 平成14年1月23日(2002.1.23)
【出願番号】 特願2000−207808(P2000−207808)