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【発明の名称】 車高調整装置
【発明者】 【氏名】瀧澤 昌宏

【要約】 【課題】空車状態から高積載状態に急激に移行しても短時間で走行に適した通常車高に復帰し得るようにした車高調整装置を提供する。

【解決手段】エアサスペンションを装備した運搬車両の車高調整装置に関し、車高調整用エアライン(メインエアライン12,サブエアライン13)を通した作動エアの供給によりエアベローズ10が空車状態で最大車高となる時の初期圧力よりも高い設定圧力となるようにエアタンク11から調圧バルブ24を介してエアベローズ10へ作動エアを導くバイパスライン23を車高調整用エアラインに対し独立して設け、積荷の積み込みを空車状態で待つ間に、バイパスライン23を通しエアベローズ10に作動エアを補充してエアベローズ10の圧力を予め高めておくようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エアサスペンションのエアベローズに対し車高調整用エアラインを介し作動エアを給排して車高を調整し得るようにした運搬車両の車高調整装置において、車高調整用エアラインを通した作動エアの供給によりエアベローズが空車状態で最大車高となる時の初期圧力よりも高い設定圧力となるようにエアタンクから調圧バルブを介してエアベローズへ作動エアを導くバイパスラインを車高調整用エアラインに対し独立して設け、該車高調整用エアラインと前記バイパスラインとを適宜に切り替え得るように構成したことを特徴とする車高調整装置。
【請求項2】 車高調整用エアラインが、車高を所定の高さに維持し得るようレベリングバルブによりエアベローズに対し作動エアを給排するメインエアラインと、車高を任意の高さに調整し得るよう前記レベリングバルブを迂回してコントロールバルブによりエアベローズに作動エアを給排するサブエアラインとにより構成され、該サブエアラインを選択して空車状態で車高を上げるように制御した際に前記レベリングバルブのレバーの上限位置への傾動を検出してバイパスラインへの切り替えが行われるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車高調整装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エアサスペンションを装備した運搬車両に適用するための車高調整装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、港湾荷役設備等において、コンテナ船から積卸されたコンテナを積載して運搬するような運搬車両には、前輪を板バネ式のリーフサスペンションとして後輪をエアサスペンションとしたトラクタが一般的に用いられており、図2に示す如く、この種のトラクタ1に牽引されているトレーラ2上にコンテナ3を吊り降ろして積載させるようにしている。
【0003】図3は前記トラクタ1のリヤサスペンション機構の一例を示すもので、図中4はフレーム、5は後輪、6は車軸を示しており、この車軸6のハウジングは、フレーム4のブラケット7に前端部をピン連結したリーフスプリング8の中途部に装着され、該リーフスプリング8の後端部にS字状に屈曲して形成されたサポートビーム9の下端上面と前記フレーム4の下面との間にエアベローズ10が介装されるようになっており、リーフスプリング8が車軸6にかかる前後左右及び捩じれ方向の荷重を受け持ち、エアベローズ10が車軸6にかかる上下方向の荷重を受け持つようにしてある。
【0004】そして、後輪5側の左右のエアベローズ10に対しては、エアタンク11からの作動エアがメインエアライン12とサブエアライン13とから成る車高調整用エアラインを選択的に経由して適切な量の作動エアが供給されるようになっており、通常の走行時にあっては、メインエアライン12が選択されてレベリングバルブ14により車高を所定の高さに維持し得るよう各エアベローズ10に対し作動エアが給排されるようになっている。
【0005】ここで、図3中のレベリングバルブ14は、本体部分をフレーム4側に取り付け且つ該本体部分に装備したレバー15を車高の上下動で機械的に作動するよう車軸6側にリンク連結したもので、荷重が大きくなって車高が下がった時に、前記レバー15の上方への傾動によりエアタンク11から各エアベローズ10へ作動エアを補充して車高を元の位置まで復帰させるようにし、また、荷重が小さくなって車高が上がった時には、前記レバー15の下方への傾動により各エアベローズ10から作動エアを抜き出して車高を元の位置まで復帰させるようにした従来周知のものである。
【0006】そして、レベリングバルブ14の下流側には、メインエアライン12を閉塞してサブエアライン13を選択するための開閉バルブ16と、該開閉バルブ16の閉作動時にサブエアライン13を通してエアタンク11から導いた作動エアを適宜にエアベローズ10へと導くコントロールバルブ17と、該コントロールバルブ17及び前記開閉バルブ16によりメインエアライン12及びサブエアライン13の両方が閉塞された状態でエアベローズ10の作動エアを抜き出すコントロールバルブ18とが装備されており、前記開閉バルブ16は、運転室のメインスイッチ19により操作され、前記各コントロールバルブ17,18は、運転室の車高調整操作スイッチ20からの車高の上げ下げの指令により操作されるようになっている。
【0007】即ち、トラクタ1とトレーラ2とを繋ぎ変えるような場合には、トレーラ2側の前部を図示しない折り畳み式のランディングギヤにより支えた状態として、トラクタ1側の後部側の車高を任意に調整することにより、トレーラ2側との連結を担うカプラ21の高さを調整する必要があるので、このような場合にメインスイッチ19をオフにしてメインエアライン12を閉塞し、車高調整操作スイッチ20により車高の上昇を指令すると、コントロールバルブ17によりサブエアライン13が選択されてエアタンク11からの作動エアがレベリングバルブ14を迂回してエアベローズ10へと補充されることにより車高が上がり、これとは逆に車高調整操作スイッチ20により車高の下降を指令すると、コントロールバルブ17によりサブエアライン13が閉塞されてコントロールバルブ18が大気開放され、エアベローズ10の作動エアが抜き出されて車高が下がることになる。
【0008】尚、車高調整操作スイッチ20を車高の上げ下げを指令しない中立位置とした場合には、メインエアライン12からの作動エアの供給をそのままエアベローズ10側へと導くように各コントロールバルブ17,18が操作されるようになっている。
【0009】また、車高調整操作スイッチ20からの車高の上げ下げの指令は、レベリングバルブ14のレバー15の傾動位置の上下にリミットスイッチを装備して成るリミットスイッチユニット22を経由して各コントロールバルブ17,18へと導かれるようにシーケンス回路が組まれており、レベリングバルブ14のレバー15が下限位置まで傾動した時に車高の上昇指令の出力を打ち切り、レベリングバルブ14のレバー15が上限位置まで傾動した時に車高の下降指令の出力を打ち切るようにしてある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上に述べた如き従来の車高調整装置においては、例えば、図2に示しているような大型のコンテナ3を積載して運搬する場合に、所定位置でコンテナ3の積み込みを待つ空車状態のトラクタ1が、レベリングバルブ14により決められた走行に適した通常車高となっていて、エアベローズ10の圧力が空車状態に対応した比較的低い圧力となっているので、大型のコンテナ3が一度に積み込まれて空車状態から高積載状態に急激に移行すると、車体がコンテナ3の大きな上載荷重により沈み込んで車高が著しく低下し、レベリングバルブ14によりエアタンク11から作動エアの補充が成されて通常車高に復帰するまでに時間が長くかかるという問題があり、このように積荷の積載後に車高が復帰するまでの待ち時間が長くかかってしまうと、次の新たなコンテナ3を受け取るべく後に並んでいる運搬車両の待ち時間が嵩んで荷役作業の効率を大幅に低下させてしまう虞れがあった。
【0011】本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、空車状態から高積載状態に急激に移行しても短時間で走行に適した通常車高に復帰し得るようにした車高調整装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、エアサスペンションのエアベローズに対し車高調整用エアラインを介し作動エアを給排して車高を調整し得るようにした運搬車両の車高調整装置において、車高調整用エアラインを通した作動エアの供給によりエアベローズが空車状態で最大車高となる時の初期圧力よりも高い設定圧力となるようにエアタンクから調圧バルブを介してエアベローズへ作動エアを導くバイパスラインを車高調整用エアラインに対し独立して設け、該車高調整用エアラインと前記バイパスラインとを適宜に切り替え得るように構成したことを特徴とするものである。
【0013】而して、大型の積荷の積み込みを空車状態で待つ間に、車高調整用エアラインを通しエアタンクから作動エアをエアベローズに導入して車高を最大に上げ、次いで、既に最大車高となって車高調整用エアラインによる作動エアの供給を停止されたエアベローズに対しバイパスラインを選択して更なる作動エアを導入すると、エアベローズの圧力が空車状態で最大車高となる時の初期圧力よりも高い設定圧力まで予圧されることになるので、大型の積荷を一度に積み込まれて空車状態から高積載状態に急激に移行しても、エアベローズの圧力が予め高められていることから車体の沈み量が少なくて済み、積荷の積載後に車高調整用エアラインに戻した際に、走行に適した車高に復帰させるのに要する時間が大幅に短縮されることになる。
【0014】尚、エアベローズにかける予圧を比較的大きめに設定してある場合や、積荷の重量が比較的軽かったような場合には、走行に適した車高に対し積荷の積載後の車高の方が高いケースも起こり得るが、そのような場合には、作動エアの余剰分を抜き出すだけで直ちに走行に適した車高に復帰させることが可能である(作動エアの抜き出しに作動エアの導入を行う場合のような多くの時間が費やされることはない)。
【0015】また、本発明の車高調整装置をより具体的に実施するにあたっては、例えば、車高調整用エアラインを、車高を所定の高さに維持し得るようレベリングバルブによりエアベローズに対し作動エアを給排するメインエアラインと、車高を任意の高さに調整し得るよう前記レベリングバルブを迂回してコントロールバルブによりエアベローズに作動エアを給排するサブエアラインとにより構成し、該サブエアラインを選択して空車状態で車高を上げるように制御した際に前記レベリングバルブのレバーの上限位置への傾動を検出してバイパスラインへの切り替えが行われるように構成すれば良い。
【0016】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0017】図1は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0018】図1に示す如く、本形態例の車高調整装置においては、先に図3で説明したメインエアライン12とサブエアライン13とから成る車高調整用エアラインに対し独立してエアタンク11から各エアベローズ10へ作動エアを導き得るようにしたバイパスライン23を新たに設けている。
【0019】即ち、このバイパスライン23は、レベリングバルブ14、開閉バルブ16、コントロールバルブ17,18を全て迂回してエアタンク11から各エアベローズ10へ作動エアを導き得るようにしてある。
【0020】そして、このバイパスライン23には、空車状態で最大車高となる時のエアベローズ10の初期圧力よりも高い設定圧力となるように作動エアの圧力を制御する調圧バルブ24と、リミットスイッチユニット22によりレベリングバルブ14のレバー15が下限位置まで傾動した時にバイパスライン23を開通させるようにシーケンス回路を組んだ常時閉の開閉バルブ25とが備えられている。
【0021】ここで、空車状態で最大車高となる時のエアベローズ10の初期圧力とは、エアタンク11からの作動エアをレベリングバルブ14を迂回させてエアベローズ10へ補充することにより空車状態で車高を上昇させた際に、その車高が最初に最大車高に到達して、リミットスイッチユニット22により作動エアの供給を停止された時の最小圧力のことを指している(これ以降の作動エアの補充ではエアベローズ10の圧力を上昇できても車高は上がらない)。
【0022】而して、例えば、港湾荷役設備等でコンテナ船から積卸されたコンテナを積載して運搬するような場合に、所定位置でコンテナの積み込みを空車状態で待っている状態で運転室のメインスイッチ19をオフにしてメインエアライン12を閉塞し、車高調整操作スイッチ20により車高の上昇を指令すると、コントロールバルブ17によりサブエアライン13が選択され、エアタンク11からの作動エアがレベリングバルブ14を迂回してコントロールバルブ18を介しエアベローズ10へと補充され、これによりトラクタ1の後輪5側の車高が上昇される。
【0023】そして、その車高が最大車高に達した時点でレベリングバルブ14のレバー15が下限位置まで傾動してリミットスイッチユニット22により車高の上昇指令の出力が打ち切られ、コントロールバルブ17によりサブエアライン13が閉塞されることになるが、レベリングバルブ14のレバー15が下限位置まで傾動したことがリミットスイッチユニット22により検出された時点で開閉バルブ25が開作動してバイパスライン23が開通するので、調圧バルブ24により制御された所定の圧力となるようにエアベローズ10に対し更なる作動エアが導入され、エアベローズ10の圧力が空車状態で最大車高となる時の初期圧力よりも高い設定圧力まで予圧されることになる。
【0024】このようにエアベローズ10の圧力が予め高められた状態となっていれば、コンテナを一度に積み込まれて空車状態から高積載状態に急激に移行しても車体の沈み量が少なくて済むので、コンテナの積載後にメインスイッチ19をオンにし且つ車高調整操作スイッチ20を中立位置としてレベリングバルブ14による通常走行のための車高制御を再開した際に、走行に適した車高に復帰させるのに要する時間が大幅に短縮されることになる。
【0025】即ち、走行に適した車高に対しコンテナの積載後の車高が極端に下がることがなくなるので、走行に適した通常車高に復帰させるのに不足している分の作動エアを補うだけで必要なエアベローズ10の圧力が得られることになり、短時間で車高を復帰させることが可能となる。
【0026】尚、エアベローズ10にかける予圧を比較的大きめに設定してある場合や、コンテナの重量が比較的軽かったような場合には、走行に適した車高に対しコンテナの積載後の車高の方が高いケースも起こり得るが、そのような場合には、コントロールバルブ18から作動エアの余剰分を抜き出すだけで直ちに走行に適した車高に復帰させることが可能である(作動エアの抜き出しに作動エアの導入を行う場合のような多くの時間が費やされることはない)。
【0027】従って、上記形態例によれば、積荷の積み込みを空車状態で待つ間にエアベローズ10の圧力を予め高めておくことができるので、コンテナ等の大型の積荷を一度に積み込まれて空車状態から高積載状態に急激に移行しても、短時間で走行に適した通常車高に復帰させることができ、港湾荷役設備等でのトラクタ1による荷役作業の効率を大幅に向上させることができる。
【0028】尚、本発明の車高調整装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、港湾荷役設備でのコンテナの荷役作業を行う運搬車両に限定されないこと、また、トレーラを牽引するトラクタ以外の運搬車両にも同様に適用し得ること、更には、エアベローズの圧力が調圧バルブで制御される所定の圧力に到達したことを検知して運転室にてランプ等で表示されるようにすることも可能であること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0029】
【発明の効果】上記した本発明の車高調整装置によれば、積荷の積み込みを空車状態で待つ間にエアベローズの圧力を予め高めておくことができるので、大型の積荷を一度に積み込まれて空車状態から高積載状態に急激に移行しても、短時間で走行に適した通常車高に復帰させることができ、運搬車両による荷役作業の効率を大幅に向上させることができるという優れた効果を奏し得る。
【出願人】 【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
【出願日】 平成13年3月14日(2001.3.14)
【代理人】 【識別番号】100062236
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 恒光 (外1名)
【公開番号】 特開2002−274143(P2002−274143A)
【公開日】 平成14年9月25日(2002.9.25)
【出願番号】 特願2001−72473(P2001−72473)